JP6458982B2 - ウォーム減速機 - Google Patents
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Description
ウォームシャフトとウォームホイールとの噛み合いには、バックラッシが必要であるが、走行時に、バックラッシに起因した歯打ち音(ラトル音)が発生するおそれがある。
通例、ウォームシャフトは右ねじ状である。その右ねじ状であるウォームシャフトが右回りに回転するときのみに、噛み合い部においてウォームシャフトがウォームホイールから受ける噛み合い反力(駆動反力)が、ウォームシャフトの噛み合い部を、前記一端を中心として、ウォームホイール側(付勢部材の付勢方向と同じ側)へ付勢するモーメントを生じさせる。
一方、電動パワーステアリング装置において、ウォームシャフトの一対の歯面の圧力角を互いに異ならせる技術と、ウォームホイールの各歯の一対の歯面の圧力角を互いに異ならせる技術が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
本発明の目的は、回転方向の相違による摩擦抵抗トルク差を抑制することができる安価なウォーム減速機を提供することである。
これに対して、請求項1の発明によれば、例えば右ねじ状であるウォームシャフトが右回りに回転するときに、ウォームシャトは、ウォームホイールの対応する一方の歯面において、前記従来の場合と比較して、圧力角がより大きくて噛み合い摩擦トルクがより小さくなる位置で噛み合う。また、例えば右ねじ状であるウォームシャフトが左回りに回転するときに、ウォームシャフトは、ウォームホイールの対応する他方の歯面において、前記従来の場合と比較して、圧力角がより小さくて噛み合いトルクがより大きくなる位置で噛み合う。これにより、回転方向の相違による噛み合い反力の差を低減することができるので、回転方向の相違による摩擦抵抗トルクの差を抑制することができる。
図1は本発明の一実施形態のウォーム減速機を含む電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置1は、運転者のステアリングホイール2(操舵部材)の操作に基づき転舵輪3を転舵させる操舵機構4と、運転者のステアリング操作を補助するアシスト機構5を備えている。
ピニオンシャフト11の軸方向下端にはピニオン11aが設けられている。操舵機構4は、ピニオン11aと噛み合うラック12aを形成したラックシャフト12を備えている。ピニオン11aとラック12aとにより、運動変換機構であるラックアンドピニオン機構Aが形成されている。
ウォーム減速機15は、ハウジング17と、ウォームシャフト18と、ウォームシャフト18と噛み合うウォームホイール19と、電動モータ14の出力シャフト14aとウォームシャフト18とをトルク伝達可能に連結する動力伝達継手20とを含む。ウォームシャフト18、ウォームホイール19および動力伝達継手20は、ハウジング17内に収容されている。
また、電動パワーステアリング装置1には、運転者のステアリング操作に際してステアリングシャフト6に付与されるトルクである操舵トルクTを、コラムシャフト7の入力シャフト7aと出力シャフト7bとの相対回転に基づいて検出するトルクセンサ21が設けられている。一方、車両には、車速V(車両の走行速度)を検出する車速センサ22が設けられている。
本実施形態では、電動パワーステアリング装置1が、電動モータ14がコラムシャフト7に動力を付与する、いわゆるコラムアシストタイプである例に則して説明するが、これに限らず、本発明は、電動モータがピニオシャフトに動力を付与する、いわゆるピニオンアシストタイプの電動パワーステアリング装置に適用することができる。
ウォームシャフト18は、その軸長方向に離隔する第1端部18aおよび第2端部18bと、第1端部18aおよび第2端部18b間の中間部に設けられた歯部18cとを有する。
具体的には、動力伝達継手20は、ウォームシャフト18の第1端部18aに一体回転可能に連結された第1回転要素23と、電動モータ14の出力シャフト14aに一体回転可能に連結された第2回転要素24と、第1回転要素23と第2回転要素24との間に介在し、両回転要素23,24間にトルクを伝達するゴム等の弾性部材を含む中間要素25とを備えている。
動力伝達継手20の中間要素25の弾性部材が弾性変形することで、第1軸受33の軸受中心を中心として、電動モータ14の出力シャフト14aに対するウォームシャフト18の揺動が許容されている。
第1軸受33は、ウォームシャフト18の第1端部18aに一体回転可能に嵌合された内輪35と、ハウジング17に設けられた軸受孔36に固定された外輪37とを備えている。
外輪37が、軸受孔36の端部に設けられた位置決め段部38と、軸受孔36に設けられたねじ部にねじ嵌合された止定部材39との間で軸方向に挟持されている。これにより、外輪37の軸方向移動が規制されている。
ハウジング17には、第2軸受34を保持するための軸受孔53が設けられている。軸受孔53は、第2軸受34を、ウォームシャフト18とウォームホイール19の中心間距離D1が増減する方向に偏倚可能に保持することのできる偏倚孔に形成されている。
軸受孔53の内周と、第2軸受34の外輪54との間に、例えば環状の板ばねからなる付勢部材60が介在している。付勢部材60は、第2軸受34を中心間距離D1が減少する予圧方向Y2(ウォームホイール19側に相当)に付勢して、第2端部18bに予圧を付与する。付勢部材60は、例えば板金により形成される薄板状の部材である。
再び図3を参照して、ハウジング17の軸受孔53は、その内周の一部に、第2軸受34に対してウォームホイール19側(予圧方向Y2)とは反対の方向(反予圧方向Y1)に窪む受け凹部64を形成している。
受け凹部64は、それぞれ軸受孔53の周方向Zに対向する一対の内壁64a,64bを有しており、付勢部材60の各回転規制部62は、対応する内壁64a,64bに当接することにより、軸受孔53の周方向Zへの、付勢部材60の回転を規制する。
図5および図6に示すように、ウォームシャフト18の中心軸線C1は、ウォームホイールの中心軸線C2とは直交する平面であって且つウォームホイール19の歯幅方向Wの中央位置WCを通過する平面Pに対して、オフセット方向OFFにオフセット量eでオフセットされている。
図5に示すように、ウォームホイール19の隣接する歯40間に、歯溝41が形成されている。噛み合い領域MAにおいて、ウォームホイール19の歯溝41に対して、ウォームシャフト18の歯部18cが噛み合わされている。
逆に、ウォームシャフト18が、左回りL(第1端部18a側から見て反時計回り)に回転駆動されると、ウォームホイール19は、第2回転方向KL(図5では反時計回り)に回転する。
噛み合い領域MAにおいては、第1歯面81が、ウォームシャフト18の軸方向第1端部側X1の歯面に相当し、第2歯面82が、ウォームシャフト18の軸方向第2端部側X2の歯面に相当する。
ウォームホイール19の歯部19cの拡大図である図8(a)において白抜き矢符で示すように、第1歯面81では、歯幅方向Wの一方側W1(オフセット方向OFFの反対方向)に向かうにしたがって、圧力角が大きくなり且つ進み角が小さくなる。逆に、第2歯面82では、歯幅方向Wの他方側W2(オフセット方向OFF)に向かうにしたがって、圧力角が大きくなり且つ進み角が小さくなる。
図8(a)の8B−8B線に沿って切断された断面図である図8(b)に示すように、ウォームシャフト18の中心軸線C1を含み平面Pとは平行な面で切断される各歯面81,82の部位において、第2歯面82の圧力角α2が、第1歯面81の圧力角α1よりも大きい(α2>α1)。
ウォームシャフト18が右回りRに回転するときには、両歯面81,82のうち第2歯面82が、ウォームシャフト18に対する接触歯面となる。このときの中心軸線C1Rは、その第2端部側部分C1Rbが、無負荷のときの中心軸線C1に対して、オフセット方向OFFに変位するように傾斜する。これにより、第2歯面82に、ウォームシャフト18に対する歯当たり領域HRが形成される。
従来例の図9(b)に示すように、ウォームシャフトが右回りRに回転するときには、第2歯面82に、歯当たり領域HJRが形成され、ウォームシャフトが左回りLに回転するときには、第1歯面81に歯当たり領域HJLが形成される。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ウォームシャフトとして左ねじ状のものを用い、右手座標系を用いてオフセット方向を設定してもよい。すなわち、左ねじ状のウォームシャフトの中心軸線のオフセット方向は、ウォームシャフトが右ねじ状である場合のオフセット方向とは逆方向になる。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
Claims (1)
- 電動モータと駆動連結される第1端部および前記第1端部とは反対側の第2端部を含むウォームシャフトと、
各歯溝を区画する一対の歯面を含むウォームホイールと、
前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを収容し、前記ウォームシャフトの前記第2端部を前記第1端部を中心として揺動可能に支持するハウジングと、
前記ハウジングにより支持され、前記ウォームシャフトの前記第2端部をウォームシャフトおよびウォームホイールの中心間距離が減少する方向としての予圧方向に弾性的に付勢する付勢部材と、を備え、
無負荷のときに、前記ウォームホイールの中心軸線とは直交し且つ前記ウォームホイールの歯幅方向の中央位置を通過する平面に対して、前記ウォームシャフトの中心軸線が、オフセット方向に平行にオフセットされており、
前記ウォームシャフトが右ねじ状である場合には直交座標系である左手座標系において、また、前記ウォームシャフトが左ねじ状である場合には直交座標系である右手座標系において、前記ウォームシャフトの軸方向第1端部側を親指方向に相当させ、前記予圧方向を人指し指方向に相当させるときに、前記オフセット方向は、中指方向に相当するように構成されており、
前記ウォームホイールの前記一対の歯面が、
右回りに回転するときの前記ウォームシャフトに対して接触し、前記オフセット方向側に向かうにしたがって圧力角が大きくなる歯面であって、前記ウォームシャフトに対して、無負荷のときに中心軸線が前記平面に対してオフセットされない仮想のウォームシャフトが右回りに回転するときに前記仮想のウォームシャフトに対して当該歯面が形成する歯当たり領域である第1仮想歯当たり領域に対して前記オフセット方向側に配置されて前記第1仮想歯当たり領域における圧力角よりも大きい圧力角を有する第1歯当たり領域を形成する歯面と、
左回りに回転するときの前記ウォームシャフトに対して接触し、前記オフセット方向の反対側に向かうにしたがって圧力角が大きくなる歯面であって、前記ウォームシャフトに対して、前記仮想のウォームシャフトが左回りに回転するときに前記仮想のウォームシャフトに対して当該歯面が形成する歯当たり領域である第2仮想歯当たり領域に対して前記オフセット方向側に配置されて前記第2仮想歯当たり領域における圧力角よりも小さい圧力角を有する第2歯当たり領域を形成する歯面と、を含むウォーム減速機。
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