JP4556109B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
そこで、フリクションおよび歯打ち音の発生を最小限にするため、加工精度の範囲内で上記バックラッシ量を厳密に調整しておく必要があった。すなわち、ウォーム軸およびウォームホイールを組付けるときに、各部品を寸法精度のばらつき度合に応じて選別し、互いの組合せ精度が適正になるもの同士を組み合わせていた(いわゆるマッチング作業)が、この作業に非常に手間がかかり、製造コストが高くなっていた。
そこで、ウォーム軸の一端をウォームホイール側へ偏倚可能に支持すると共に、ウォーム軸の一端をウォームホイール側へ弾性的に付勢する付勢手段を設けることで、フリクションを抑制しつつバックラッシを無くすことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、ウォーム軸を収容するハウジングに孔を設け、この孔内に押圧部材とばねを収容している。そして、ばねは、押圧部材を介してウォーム軸の一端をウォームホイール側に付勢している。
上記ウォームホイールの複数の歯は、それぞれ合成樹脂により形成されていることが好ましい。この場合、ウォームホイールの各歯の歯面の摩擦抵抗を十分に低くすることができ、フリクションをより低減することができる。また、ウォーム軸の歯と弾性的に良好に噛み合うことができ、歯打ち音の発生をより確実に抑制することができる。
図1は、本発明の一実施の形態の電動パワーステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結されているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結されている中間軸5と、この中間軸5に自在継手6を介して連結されるピニオン軸7と、ピニオン軸7の先端部に設けられたピニオン8に噛み合うラック9を形成して車両の左右方向に延びるラック軸10とを有している。
トーションバー15を介する第1の操舵軸13と第2の操舵軸14との相対回転変位量を検出するトルクセンサ16が設けられている。このトルクセンサ16の検出信号は、制御部17に与えられる。制御部17は、トルクセンサ16からの検出信号に基づいて操舵部材2に加えられた操舵トルクを算出する。そして、算出した操舵トルクや車速センサ22からの車速検出信号等に基づいて、ドライバ18を介して操舵補助用の電動モータ19を駆動制御する。これにより、電動モータ19が駆動し、その出力回転(動力)が、ウォームギヤ機構20を介して第2の操舵軸14へ伝達される。第2の操舵軸14に伝えられた動力は、さらに中間軸5等を介して、上記ラック軸10、タイロッド11およびナックルアーム等を含む操舵機構21に伝えられ、運転者の操舵が補助される。
電動モータ19は、モータハウジング24と、モータハウジング24から突出する出力軸25とを有している。モータハウジング24は、ハウジング23の環状フランジ部26に固定されている。
ウォーム軸27は、スプライン継手等の継手29を介して電動モータ19の出力軸25に一体回転可能に連結されている。ウォーム軸27は、歯部30と、歯部30の一対の端部のそれぞれに設けられる第1および第2の被支持部31,32と、第1の被支持部31に連なる一端部33とを備えている。
ウォームホイール28は、第2の操舵軸14等を介して操舵機構に連結されているものであり、合成樹脂製の環状歯体39と、環状歯体39の径方向内方に配置される金属製の環状保持体40とを含んでいる。
環状保持体40は、環状歯体39の成形時にインサートされるものであり、環状歯体39と一体に形成されている。環状保持体40には、挿通孔42が形成されており、この挿通孔42に挿通された第2の操舵軸14と、キー43を介して一体回転可能に連結されている。具体的には、第2の操舵軸14の外周面と環状保持体40の挿通孔42の内周面のそれぞれに、凹溝44,45が設けられている。凹溝44,45は、第2の操舵軸14の軸方向(図2において、紙面に垂直な方向)に延びると共に、ウォームホイール28の径方向R(以下、単に「径方向R」という)に相対向している。
また、第2の操舵軸14の外周面と環状保持体40の内周面との間には、隙間が設けられており、この隙間には弾性部材46が介装されている。弾性部材46は、例えば、ゴム等により形成された有端環状の部材であり、キー43を周方向Cの両側から挟んでいる。弾性部材46の外周面および内周面が、対応する環状保持体40の内周面および第2の操舵軸14の外周面のそれぞれに加硫接着されている。このように、ウォームホイール28は、弾性部材46を介して第2の操舵軸14に支持されている。これにより、ウォームホイール28は、第2の操舵軸14およびウォーム軸27に対して、周方向Cおよび径方向Rに弾性的に僅かに相対移動可能となっている。したがって、ウォームホイール28は、ウォーム軸27から離れる方向に移動することができる。その結果、例えば、組み付け誤差に起因して第2の操舵軸14とウォーム軸27との軸間距離が近くなりすぎても、ウォームホイール28が移動することで、ウォーム軸27とウォームホイール28との間のバックラッシが過度に詰まることを防止でき、フリクションの増大を抑制することができる。
複数の歯溝47は、周方向Cに沿って等ピッチに配置されている。すなわち、複数の歯溝47のそれぞれの幅中心Bが、周方向Cに等ピッチで配置されている。なお、幅中心Bとは、周方向Cに関する複数の歯溝47のそれぞれの中心の位置をいう。隣り合う幅中心B間の距離は、所定の値Eに設定されている。
第2の歯溝49の幅W2は、ウォーム軸27の歯厚W3と概ね等しく(W2≒W3)されている。これにより、第2の歯溝49を通るウォーム軸27の歯34とこの歯34の周方向Cの両側にある歯41とは隙間無く噛み合うようになっている。
図4を参照して、車両の直進走行時(操舵部材2が操舵中立位置にあるとき)、噛み合い領域Aにおいて、ウォーム軸27は、1枚の歯34が第2の歯溝49に入って、ウォームホイール28の対応する一対の歯41とバックラッシ無しに噛み合っている。また、残りの2枚の歯34はそれぞれ、対応する第1の歯溝48に入っているが、バックラッシFがあるので、ウォームホイール28の歯41に噛み合っていない。
しかも、図2に示すように、第2の操舵軸14とウォームホイール28とは、弾性部材46が介装されて弾性的に相対回転可能となっているので、操舵初期時(微小操舵時)において、操舵部材2の操作に伴い第2の操舵軸14が回転しても、ウォームホイール28、ウォーム軸27および電動モータ19の出力軸25が連れ回りされることを防止できる。その結果、操舵感が重くなることを防止して、より軽快な操舵感を実現することができる。
さらに、ウォーム軸27の歯34を複数条の歯にしているので、ウォーム軸27のリードをより多くしてウォームホイール28の回転速度を十分に確保でき、優れた応答性を確保することができる。
また、弾性部材46を、第2の操舵軸14とウォームホイール28との間の隙間に、加硫接着せずに嵌め合わせる構成でも良い。この場合、装置を例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、まず、第2の操舵軸14と製造中間体50を用意する。そして、これら第2の操舵軸14と製造中間体50との間に、弾性部材46と同様の形状のスペーサを取り付けて、第2の操舵軸14と製造中間体50とを仮組みする。そして、仮組みした状態で製造中間体50に歯切り加工を施してウォームホイール28を形成し、その後にスペーサを取り除いて弾性部材46を取り付ける。この場合、装置の製造時に弾性部材46に不要な負荷が作用することを防止することができる。
19 電動モータ
21 操舵機構
25 出力軸
27 ウォーム軸
28 ウォームホイール
34 (ウォーム軸の)歯
41 (ウォームホイールの)歯
47 歯溝
48 第1の歯溝
49 第2の歯溝
B 幅中心
C 周方向
W1 (第1の歯溝の)幅
W2 (第2の歯溝の)幅
Claims (3)
- 電動モータの出力を操舵機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置において、
電動モータの出力軸に連結されるウォーム軸と、
ウォーム軸に噛み合い操舵機構に連なるウォームホイールとを備え、
上記ウォームホイールは、複数の歯と、互いに隣り合う歯間にそれぞれ区画形成される複数の歯溝とを含み、
上記複数の歯溝の幅中心は、ウォームホイールの周方向に等ピッチで配置され、
上記複数の歯溝は、ウォームホイールの周方向に交互に配置される第1および第2の歯溝を含み、第1の歯溝の幅は、上記ウォームホイールの歯の歯すじ方向の全域において第2の歯溝の幅よりも広く、
上記電動モータが駆動していないとき、第2の歯溝に入っているウォーム軸の歯はウォームホイールの歯に噛み合い、且つ、第1の歯溝に入っているウォーム軸の歯はウォームホイールの歯に噛み合わず、
上記電動モータが駆動することにより、第2の歯溝に入っているウォーム軸の歯がウォームホイールの歯を弾性的に撓ませ、これにより、第1の歯溝に入っているウォーム軸の歯がウォームホイールの歯に噛み合い得ることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1において、上記ウォームホイールの複数の歯は、それぞれ合成樹脂により形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 請求項1または2において、上記ウォーム軸は、複数条の歯を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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