(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2は、実施の形態1にかかる溶接方法によって得られる溶接加工品を示す図である。本実施の形態においては、溶接加工品が電池である例について説明するが、溶接加工品は電池に限られない。
図1及び図2には、溶接加工品である電池1が示されている。図1は、電池1の斜視図であり、図2は、電池1の平面図である。電池1は、ケース2、蓋部材3、正極端子4及び負極端子5を有する。好ましくは、ケース2及び蓋部材3の素材は、ともにアルミニウムである。正極端子4及び負極端子5は、蓋部材3の上部に設けられている。
ケース2は、電極捲回体(図示せず)等を内部に収容するための略直方体の容器である。ケース2の1つの面(例えば上面)は開放されており、開口部2aが形成されている。蓋部材3は、開口部2aを塞ぐための板状部材であり、開口部2aに挿入される。蓋部材3は、開口部2aの内周の形状に対応した形状で形成されている。また、電池1は、図2のように上から見たときに略長方形の形状に形成されており、短辺部10(10a,10b)及び長辺部12(12a,12b)を有する。
図3は、電池1の短辺部10における断面詳細図である。短辺部10において、ケース2と蓋部材3との境界部20には、隙間22が形成されている。つまり、短辺部10においては、(ケース2の内寸)>(蓋部材3の外寸)である。短辺部10において境界部20に隙間22が形成されるのは、ケース2の開口部2aに電極捲回体及び蓋部材3を挿入する際に、境界部20においてケース2の内壁面2bと蓋部材3の外周面3bとが擦れて異物が発生しないようにするためである。なお、長辺部12においては、隙間は形成されていなくてもよい。つまり、長辺部12においては、(ケース2の内寸)≧(蓋部材3の外寸)である。さらに、(短辺部10における隙間)>(長辺部12における隙間)である。
また、ケース2は、隙間22の反対側に外壁面2cを有する。また、ケース2は、上端面2dと、外壁面2cと上端面2dとが交差して形成される角部2eとを含む。
図4は、実施の形態1にかかる溶接方法を実施する溶接装置100を示す図である。溶接装置100は、電池1のケース2と蓋部材3とを溶接する。これにより、電池1が密閉される。図4に示すように、溶接装置100は、レーザ発振器101と、レーザ光照射部102(レーザ光照射手段)と、制御装置120とを有する。レーザ光照射部102は、光ファイバ104と、コリメイトレンズ106と、回折光学素子108と、ガルバノスキャナ110(走査手段)と、Fθレンズ112と、保護ガラス114とを有する。
制御装置120は、例えばコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置120は、後述するように、プログラムを実行することによって、レーザ発振器101及びガルバノスキャナ110の動作を制御する。
レーザ発振器101は、制御装置120による制御によって、エネルギー線であるレーザ光50を発振するレーザ光源である。レーザ発振器101から発せられたレーザ光50は、光ファイバ104を通って、コリメイトレンズ106に入射される。コリメイトレンズ106を通ったレーザ光50は、回折光学素子108に入射される。そして、回折光学素子108を通ったレーザ光50は、ガルバノスキャナ110に入射される。
コリメイトレンズ106は、入射光であるレーザ光の光束を平行に調整するためのレンズである。回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)108は、コリメイトレンズ106によって平行光となったレーザ光50を、複数筋のレーザ光に分光するためのレンズである。回折光学素子108によって複数筋に分光されたレーザ光50は、ガルバノスキャナ110に入射される。
ガルバノスキャナ110は、高速かつ正確な位置にレーザ光を走査するための装置である。ガルバノスキャナ110は、一対の反射鏡(ガルバノミラー)110a,110bを有する。反射鏡110a,110bは、図示しないモータ軸上に支持されている。ガルバノスキャナ110は、制御装置120による制御によりモータを駆動することによって、反射鏡110a,110bの反射角を高速で変更し、これにより、レーザ光50を高速で走査することを実現する。
Fθレンズ112及び保護ガラス114は、ガルバノスキャナ110の出力側に設けられている。Fθレンズ112は、レーザ光50の走査速度が一定となるように補正するためのレンズである。Fθレンズ112及び保護ガラス114を通過したレーザ光は、電池1上に走査される。
図5は、実施の形態1にかかる溶接装置100がレーザ光を走査することを示す図である。溶接装置100は、ガルバノスキャナ110の反射鏡110a,110bの角度をそれぞれ独立して変更しつつレーザ光50を反射することで、矢印Aに示すように、レーザ光50を、電池1のケース2と蓋部材3との間の境界部20に沿って走査する。そして、矢印Bに示すように、溶接装置100が、蓋部材3の周囲に対し短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bの隙間22に沿ってレーザ光を走査することで、ケース2と蓋部材3とが溶接され、電池1が密閉される。
図6は、制御装置120の処理を示すフローチャートである。図6には、短辺部10aから長辺部12aをレーザ溶接するときの処理を示しているが、短辺部10bから長辺部12bをレーザ溶接するときの処理も実質的に同様である。
制御装置120は、短辺部10aにおける設定値を、レーザ発振器101に指示する(S102)。具体的には、制御装置120は、短辺部10aにおけるレーザ光の出力値(エネルギー値)、及び出力時間を、レーザ発振器101に指示する。これによって、レーザ発振器101は、短辺部10aに対して、設定された時間、設定された出力値で、レーザを照射する。ここで、「出力時間」は、短辺部10aの長さと、後述する走査速度とから算出され得る。
制御装置120は、短辺部10aにおける位置及び走査速度を、ガルバノスキャナ110に指示する(S102)。具体的には、制御装置120は、短辺部10aにおける位置にレーザ光を照射するような角度に反射鏡110a,110bを制御するように、ガルバノスキャナ110に指示する。また、制御装置120は、短辺部10aについて適切に溶接を行い得るような走査速度を、ガルバノスキャナ110に指示する。これによって、ガルバノスキャナ110は、反射鏡110a,110bの角度を調整する。このようにして、溶接装置100は、短辺部10aにおける狙った位置に、設定された強度のレーザ光を照射する。
制御装置120は、S102と同様にして、長辺部12aにおける設定値を、レーザ発振器101に指示する(S108)。これによって、レーザ発振器101は、長辺部12aに対して、設定された時間、設定された出力値で、レーザを照射する。
制御装置120は、S104と同様にして、長辺部12aにおける位置及び走査速度を、ガルバノスキャナ110に指示する(S110)。これによって、ガルバノスキャナ110は、反射鏡110a,110bの角度を調整する。このようにして、溶接装置100は、長辺部12aにおける狙った位置に、設定された強度のレーザ光を照射する。
図7は、実施の形態1にかかる溶接装置100によって電池1に照射されるレーザ光の照射パターンを例示する図である。図7に例示した照射パターンは、複数のレーザ光が略X字状に配置されて構成されている。図7に例示した照射パターンは、主レーザ光51(51a,51b,51c,51d)と、副レーザ光52(52a,52b,52c,52d)と、端部照射レーザ光53(53b,53c)とが組み合わされて構成されている。
この照射パターンは、回折光学素子108によってレーザ光が分光されることで実現され得る。つまり、回折光学素子108によって、レーザ発振器101から出力されたレーザ光50は、主レーザ光51a,51b,51c,51dと、副レーザ光52a,52b,52c,52dと、端部照射レーザ光53b,53cとに分光される。このことは、後述する他の照射パターンについても同様である。
主レーザ光51(第1レーザ光)は、素材を十分に溶融させて、必要な溶け込み深さを確保するために照射される主要なレーザ光(主熱源)である。また、副レーザ光52は、レーザ光が短辺部10の境界部20を走査するときに、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向(矢印X1で示す)における前方側に照射されるレーザ光を含む。端部照射レーザ光53は、レーザ光が短辺部10の境界部20を走査するときに、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2に照射されるレーザ光を含む。このとき、端部照射レーザ光53(外側照射レーザ光)は、ケース2に照射される副レーザ光52よりもケース2の端部(角部2e)側の位置に照射される。言い換えると、ケース2に照射される副レーザ光52(内側照射レーザ光)は、端部照射レーザ光53よりもケース2の蓋部材3側に照射される。
図8は、図7に例示した照射パターンで電池1の短辺部10にレーザ光を照射した状態を示す図である。図8においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。溶接装置100(レーザ光照射部102)は、主レーザ光51を境界部20に照射する。また、溶接装置100(レーザ光照射部102)は、副レーザ光52を、主レーザ光51の照射位置に対して前方側及び後方側で、蓋部材3及びケース2に照射する。さらに、溶接装置100(レーザ光照射部102)は、端部照射レーザ光53を、主レーザ光51の照射位置に対して前方側及び後方側で、それぞれケース2及び蓋部材3に照射する。これによって、溶接部14(ビード)が形成される。なお、溶接部14は、レーザ光によって素材が溶融した後、凝固した箇所である。
主レーザ光51によって付与される熱量によって、隙間22の周辺の素材が十分に溶融され、これにより、隙間22の周辺における素材の溶け込み深さが確保される。したがって、境界部20において必要な溶接強度が確保され得る。
ここで、主レーザ光51aは、レーザ光の進行方向(矢印X1で示す)における前方側で、蓋部材3の隙間22の近傍に照射される。主レーザ光51bは、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2の隙間22の近傍に照射される。主レーザ光51cは、レーザ光の進行方向における後方側で、蓋部材3の隙間22の近傍に照射される。主レーザ光51dは、レーザ光の進行方向における後方側で、ケース2の隙間22の近傍に照射される。
副レーザ光52のうち、副レーザ光52aは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、蓋部材3に照射される。副レーザ光52bは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2に照射される。副レーザ光52cは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、蓋部材3に照射される。副レーザ光52dは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、ケース2に照射される。
副レーザ光52a及び副レーザ光52bは、主レーザ光51の照射位置に対して前方の隙間22に、溶融させた素材を供給する。これによって、隙間22の周辺の素材が溶融され、隙間22が埋められる。つまり、溶接装置100は、副レーザ光52a(第2レーザ光)及び副レーザ光52b(第3レーザ光)によって隙間22を埋め、主レーザ光51を、埋められた隙間22の位置に照射する。
端部照射レーザ光53bは、主レーザ光51の照射位置に対して前方側で、ケース2の角部2e(端部)の近傍に照射される。ここで、端部照射レーザ光53b(外側照射レーザ光)は、副レーザ光52bよりも角部2e(端部)側の位置に照射される。言い換えると、副レーザ光52b(内側照射レーザ光)は、端部照射レーザ光53bよりも蓋部材3側の位置に照射される。また、端部照射レーザ光53cは、主レーザ光51の照射位置に対して後方側で、蓋部材3に照射される。端部照射レーザ光53b(第3レーザ光)によって、ケース2は、外壁面2cまで溶融される。つまり、ケース2において、溶接部14は、外壁面2c(角部2e)まで達している。
図9は、実施の形態1にかかる溶接装置100によって溶接された電池1の断面図を示す図である。図9には、電池1の短辺部10における断面図が示されている。図9に示すように、端部照射レーザ光53bによって、溶接部14は、ケース2の外壁面2cまで形成されている。言い換えると、実施の形態1にかかる溶接装置100によって、ケース2の外壁面2cまで素材が溶け込んでいる。なお、ケース2の外壁面2cまで素材が溶け込こんでいることについては、後述する比較例と対比して後で詳述する。
図10は、図7に例示した照射パターンで電池1の蓋部材3の周囲について境界部20に沿ってレーザ光が走査される状態を示している。図10に示すように、溶接装置100は、短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bそれぞれについて、図7に例示した照射パターンの向きを変えることなく、レーザ光を走査する。つまり、溶接装置100は、短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bそれぞれについて、図7に例示した照射パターンで構成されたレーザ光の進行方向のみを変更する。
これにより、短辺部10bにおいては、副レーザ光52dが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、蓋部材3に照射される。また、副レーザ光52cが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2に照射される。また、副レーザ光52bが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、蓋部材3に照射される。また、副レーザ光52aが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、ケース2に照射される。主レーザ光51についても同様である。
したがって、短辺部10bにおいては、副レーザ光52d及び副レーザ光52cによって、主レーザ光51の照射位置に対して前方の隙間22が埋められる。つまり、溶接装置100は、副レーザ光52d(第2レーザ光)及び副レーザ光52c(第3レーザ光;内側照射レーザ光)によって隙間22を埋め、主レーザ光51を、埋められた隙間22の位置に照射する。
また、短辺部10bにおいては、端部照射レーザ光53cが、主レーザ光51の照射位置に対して前方側で、ケース2の角部2eの近傍に照射される。この端部照射レーザ光53c(第3レーザ光;外側照射レーザ光)によって、ケース2は、外壁面2cまで溶融される。
また、長辺部12aにおいては、副レーザ光52c及び端部照射レーザ光53cが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向(矢印X2で示す)における前方側で、蓋部材3に照射される。また、副レーザ光52aが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2に照射される。また、副レーザ光52dが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、蓋部材3に照射される。また、副レーザ光52b及び端部照射レーザ光53bが、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における後方側で、ケース2に照射される。主レーザ光51についても同様である。
したがって、長辺部12aにおいては、副レーザ光52c(端部照射レーザ光53c)及び副レーザ光52aによって、主レーザ光51の照射位置に対して前方の隙間22が埋められる。つまり、溶接装置100は、副レーザ光52c(端部照射レーザ光53c)(第2レーザ光)及び副レーザ光52a(第3レーザ光)によって隙間22を埋め、主レーザ光51を、埋められた隙間22の位置に照射する。
ここで、上述したように、長辺部12の隙間22の大きさは、短辺部10の隙間22の大きさよりもはるかに小さい。したがって、長辺部12aにおいて、ケース2に照射される主レーザ光51a,51bと、蓋部材3に照射される主レーザ光51c,51dとの間に境界部20が配置されるように、図7に例示した照射パターンでレーザ光が照射されると、副レーザ光52aがケース2の角部2e近傍に照射され得る。これにより、長辺部12aにおいても、ケース2は、外壁面2cまで溶融される。
(比較例)
次に、本実施の形態と対比するための比較例について説明する。
図11は、第1の比較例にかかる照射パターンで電池1の短辺部10にレーザ光を照射した状態を示す図である。図11においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。第1の比較例にかかる照射パターンは、1つの主レーザ光51のみで構成されている。このような照射パターンの場合、隙間22と重なる位置に主レーザ光51を照射し、主レーザ光51によって溶融された素材が隙間22に溶け込むのを待って、レーザ光の進行方向(矢印X1で示す)に主レーザ光51の照射位置を変位させる。第1の比較例にかかる照射パターンでは、レーザ光の進行速度を速くすると、隙間22にレーザ光が侵入する可能性がある。この場合、隙間22において多重反射が発生する。
図12は、隙間22において発生する多重反射を示す図である。主レーザ光51が隙間22に侵入すると、レーザ光がケース2の内壁面2bと蓋部材3の外周面3bとに複数回反射する。主レーザ光51が照射されることによって隙間22の素材が溶融して溶融部16が形成されるが、隙間22においてレーザ光が反射を繰り返す多重反射により、レーザ光の溶融部16への吸収率が急激に上昇する。つまり、溶融部16への入熱量が急激に上昇するので、溶融部16の溶け込み深さが急激に上昇する。これにより、ケース2の内部に溶融部16が貫通する内部貫通が発生するおそれがある。したがって、ケース2と蓋部材3との間に隙間22が形成されている境界部20に対して第1の比較例にかかる照射パターンでレーザ溶接を行うと、隙間22における多重反射によって内部貫通が発生する可能性がある。
図13は、第2の比較例にかかる照射パターンで電池1の短辺部10にレーザ光を照射した状態を示す図である。図13においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。図8に例示した実施の形態1にかかる照射パターンと同様に、第2の比較例にかかる照射パターンでは、主レーザ光51(51a,51b,51c,51d)が境界部20に照射され、副レーザ光52(52a,52b,52c,52d)が主レーザ光51の照射位置に対して前方側及び後方側で、蓋部材3及びケース2に照射される。一方、図8に例示した実施の形態1にかかる照射パターンとは異なり、第2の比較例にかかる照射パターンには、端部照射レーザ光53は存在しない。なお、主レーザ光51a,51b,51c,51d及び副レーザ光52a,52b,52c,52dの配置は、図8に例示した照射パターンと実質的に同様であるので、説明を省略する。
上述したように、副レーザ光52a及び副レーザ光52bは、主レーザ光51の照射位置に対して前方の隙間22に、溶融させた素材を供給する。これによって、隙間22の周辺の素材が溶融され、隙間22が埋められる。これにより、主レーザ光51が隙間22に侵入することが抑制される。したがって、第2の比較例においては、第1の比較例と異なり、隙間22における多重反射が抑制される。
図14は、第2の比較例にかかる照射パターンで構成されたレーザ光によって溶接された電池1の断面図を示す図である。図14には、電池1の短辺部10における断面図が示されている。図14の矢印Cで示すように、第2の比較例においては、実施の形態1の場合(図9に示す)と異なり、溶接部14はケース2の外壁面2c(角部2e)に到達していない。言い換えると、第2の比較例においては、ケース2の外壁面2cまで素材が溶け込んでいない。これにより、第2の比較例においては、強度の強いレーザ光によって発生したキーホールにおける多重反射が発生する可能性がある。以下、説明する。
図15は、第2の比較例における、キーホールにおいて発生する多重反射を示す図である。上述したように、素材の溶け込み深さを確保するために、金属が蒸発するほど強い強度(エネルギー密度)のレーザ光50(主レーザ光51及び副レーザ光52)がケース2及び蓋部材3に照射されると、まず、ケース2及び蓋部材3の素材が溶融して溶融部16が形成される。そして、高強度のレーザ光の照射によって溶融部16の溶融金属が蒸発し、溶融部16の内部に蒸発部18(キーホール)が形成される。さらにレーザ光が蒸発部18の内壁18aに照射されると、図15の矢印で示すように、蒸発部18において、レーザ光が複数回反射を繰り返す、多重反射が発生する。この多重反射により、レーザ光の溶融部16への吸収率が急激に上昇する。つまり、溶融部16への入熱量が急激に上昇するので、溶融部16の溶け込み深さが急激に上昇する。これにより、ケース2の内部に溶融部16が貫通する内部貫通が発生するおそれがある。
ここで、図14を用いて上述したように、第2の比較例にかかる照射パターンでレーザ溶接を行った場合、ケース2の外壁面2cまで金属が溶融されない。したがって、第2の比較例においては、主レーザ光51又は副レーザ光52によって蒸発部18が発生すると、蒸発部18の内壁18aは開放されない。つまり、主レーザ光51又は副レーザ光52は、蒸発部18の側面から脱出され得ない。したがって、上述した多重反射が発生するおそれがある。これにより、第2の比較例にかかる照射パターンでレーザ溶接を行うと、高強度のレーザ光により発生した蒸発部18における多重反射によって内部貫通が発生する可能性がある。
一方、実施の形態1においては、図9に示したように、端部照射レーザ光53によって、ケース2の外壁面2c(角部2e)まで、金属が溶融される。このとき、以下に説明するように、蒸発部18が、ケース2の端部(外壁面2c,角部2e)に形成されることとなる。言い換えると、端部照射レーザ光53は、ケース2の端部(外壁面2c,角部2e)に達する蒸発部18を形成し得るエネルギー線である。
図16は、実施の形態1においてケース2の外壁面2cに蒸発部18が形成された状態を示す図である。外壁面2cに達するように蒸発部18が形成されると、蒸発部18の内壁18aの一部が開放され、開放部18bが形成される。これにより、レーザ光50が蒸発部18に入射したとしても、レーザ光50の反射光は、開放部18bから蒸発部18の外部に脱出する。したがって、この場合、多重反射の発生が抑制される。
ここで、実施の形態1にかかる照射パターン(図7)において、各レーザ光(51,52,53)は、互いに隣接している。これにより、各レーザ光によって発生した蒸発部18が、一体となり得る。したがって、各レーザ光(51,52,53)が蒸発部18に入射した場合であっても、多重反射が発生する前に、端部照射レーザ光53(53b)によって形成された蒸発部18における開放部18bから、入射したレーザ光が蒸発部18から脱出し得る。したがって、実施の形態1においては、蒸発部18における多重反射の発生を抑制することが可能となる。したがって、実施の形態1においては、内部貫通の発生を抑制することが可能となる。
図17は、実施の形態1と比較例との比較を示す図である。上述したように、ケース2と蓋部材3との間の隙間22にレーザ光が入射すると、隙間22において多重反射が発生するおそれがある。したがって、内部貫通を抑制するための第1の要件として、主レーザ光51が隙間22近傍に照射される前に隙間22が埋まることが必要となる(要件1)。また、金属が蒸発するほどレーザ光の強度を強くすることで蒸発部18(キーホール)が発生し、蒸発部18に入射したレーザ光によって多重反射が発生するおそれがある。したがって、内部貫通を抑制するための第2の要件として、蒸発部18がケース2の端部(外壁面2c)に達するように形成されることが必要となる(要件2)。
図17に示すように、第1の比較例(図11)においては、隙間22が埋まっていない状態で主レーザ光51が隙間22と重なる位置に照射されるので、要件1は満たされない。さらに、主レーザ光51の強度が強くなると蒸発部18が発生するが、第1の比較例においては、蒸発部18は、隙間22に対応する位置に形成されるのみであって、ケース2の端部(外壁面2c)に達するようには形成されない。したがって、要件2も満たされない。したがって、第1の比較例においては、多重反射が発生する。
また、第2の比較例(図13)においては、隙間22が埋まった状態で主レーザ光51が隙間22の近傍に照射されるので、要件1は満たされる。一方、第2の比較例においては、蒸発部18は、上述したように、ケース2の端部(外壁面2c)には形成されない。したがって、要件2は満たされない。したがって、第2の比較例においては、多重反射が発生する。
一方、実施の形態1においては、第2の比較例と同様に、隙間22が埋まった状態で主レーザ光51が隙間22の近傍に照射されるので、要件1は満たされる。さらに、端部照射レーザ光53によって、ケース2の端部(外壁面2c)に達するように蒸発部18が形成される。したがって、要件2も満たされる。したがって、実施の形態1においては、多重反射が発生しない。
上述したように、実施の形態1においては、蒸発部18(キーホール)が発生した場合であっても、多重反射の発生を抑制することが可能となる。したがって、素材の溶け込み深さを確保するために、レーザ光の強度を、金属が蒸発するほど強い強度としても、溶融部16の抜け落ち(内部貫通)を抑制することが可能となる。したがって、実施の形態1においては、溶接強度を確保し得るような安定した溶け込み深さを実現することが可能となる。
また、実施の形態1にかかる照射パターンは、略X字状に構成されている。つまり、実施の形態1にかかる照射パターンは、点対称の配置となっている。したがって、図10を用いて説明したように、溶接装置100は、短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bそれぞれについて、レーザ光の進行方向を変更するのみで照射パターンの向きを変えることなく、レーザ光を走査することが可能となる。したがって、照射パターンの向きを変更する制御が不要となるので、効率よく溶接処理を行うことが可能となる。
さらに、実施の形態1にかかる照射パターンは、略X字状に構成され、主レーザ光51の後方側においても副レーザ光52が照射される。これにより、一体的な蒸発部18を広範囲に形成することができるので、隙間22の近傍において素材の溶け込み深さをより十分に確保することが可能となる。また、これにより、レーザ光の走査速度を速くすることも可能となる。
なお、図8に例示した照射パターンにおいては、主レーザ光51の数は4個としたが、これに限られない。主レーザ光51の数は1つでもよい(後述する図20においても同様)。なお、主レーザ光51の数を複数とすることによって、より大きなエネルギーが境界部20に供給されるので、溶け込み深さをより確実に確保することができる。
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例について説明する。実施の形態1の変形例においては、実施の形態1と比較して、照射パターンにおけるレーザ光の配置が異なっている。
図18は、実施の形態1の第1の変形例にかかる照射パターンを例示する図である。図18においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。図18に例示した照射パターンは、複数のレーザ光が略X字状に配置されて構成されている。また、図18に例示した照射パターンは、1つの主レーザ光51と、副レーザ光52(52a,52b,52c,52d)と、端部照射レーザ光53(53b,53c)と、追加レーザ光54(54a,54b,54c,54d)とが組み合わされて構成されている。
図18に例示した照射パターンにおいて、1つの主レーザ光51が、境界部20の隙間22に重なる位置に照射される。また、主レーザ光51と、副レーザ光52a,52b,52c,52dとの間に、それぞれ、追加レーザ光54a,54b,54c,54dが配置される。また、端部照射レーザ光53bは、副レーザ光52bの照射位置に対してレーザ光の進行方向(矢印X1で示す)における斜め前方側の、ケース2の端部(角部2e)近傍に照射される。また、端部照射レーザ光53cは、副レーザ光52cの照射位置に対してレーザ光の進行方向における斜め後方側の位置に照射される。これにより、端部照射レーザ光53c、副レーザ光52c、追加レーザ光54c、主レーザ光51、追加レーザ光54b、副レーザ光52b及び端部照射レーザ光53bが、略一直線上に配置される。
図18に例示するように、主レーザ光51と副レーザ光52との間に追加レーザ光54を配置することで、素材を溶融させるために要する時間を短縮することができる。これにより、レーザ溶接の高速化を実現することができ、さらに、十分な溶け込み深さが得られるようになるので、溶接品質を向上させることができる。さらに、端部照射レーザ光53によって、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)に蒸発部18が形成されるので、実施の形態1と同様に、蒸発部18における多重反射を抑制できる。したがって、内部貫通を抑制することが可能となる。
また、図18に例示した照射パターンは、図8に例示した照射パターンと同様に、主レーザ光51を対称点とした点対称の配置となっている。したがって、実施の形態1と同様に、照射パターンの向きを変えることなく、電池1(蓋部材3)の周囲に対してレーザ光を走査することが可能となる。したがって、効率よく溶接処理を行うことが可能となる。
なお、図18に例示した照射パターンにおいては、主レーザ光51の数は1個としたが、これに限られない(後述する図22においても同様)。図8に例示した照射パターン等と同様に、主レーザ光51の数を4個としてもよい。また、図18に例示した照射パターンにおいては、端部照射レーザ光53bは、副レーザ光52bのレーザ光の進行方向における斜め前方側に照射されるとしたが、これに限られない。端部照射レーザ光53bは、照射スペースがあれば、副レーザ光52bの横(ケース2の端部(角部2e)側)に照射されるようにしてもよい。端部照射レーザ光53cにおいても同様である。
図19は、実施の形態1の第2の変形例にかかる照射パターンを例示する図である。図19においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。また、図19に例示した照射パターンは、複数のレーザ光が略V字状に配置されて構成されている。図19に例示した照射パターンは、1つの主レーザ光51と、副レーザ光52(52a,52b)と、1つの端部照射レーザ光53とが組み合わされて構成されている。
図19に例示した照射パターンにおいて、1つの主レーザ光51が、境界部20の隙間22に重なる位置に照射される。副レーザ光52aは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、蓋部材3に照射される。副レーザ光52bは、主レーザ光51の照射位置に対して、レーザ光の進行方向における前方側で、ケース2に照射される。また、端部照射レーザ光53は、副レーザ光52bの照射位置に対してレーザ光の進行方向(矢印X1で示す)における斜め前方側の、ケース2の端部(角部2e)近傍に照射される。
図19に例示した略V字状の照射パターンにおいても、副レーザ光52a及び副レーザ光52bによって隙間22が埋められるので、隙間22における多重反射を抑制することが可能となる。また、端部照射レーザ光53によって、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)に蒸発部18が形成されるので、実施の形態1と同様に、蒸発部18における多重反射を抑制できる。したがって、図19に例示した略V字状の照射パターンにおいても、実施の形態1と同様に、内部貫通を抑制することができる。
なお、図19に例示した照射パターンは、点対称の配置となっていない。したがって、実施の形態1と異なり、電池1(蓋部材3)の周囲に対してレーザ光を走査する場合、短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bごとに、進行方向を変更させるだけでなく、照射パターン(回折光学素子108)を略90度回転させる必要がある。
また、図19に例示した照射パターンにおいては、主レーザ光51の数は1個としたが、これに限られない(後述する図23においても同様)。図8に例示した照射パターン等と同様に、主レーザ光51の数を4個としてもよい。また、図19に例示した照射パターンにおいては、端部照射レーザ光53は、副レーザ光52bのレーザ光の進行方向における斜め前方側に照射されるとしたが、これに限られない。端部照射レーザ光53は、照射スペースがあれば、副レーザ光52bの横(ケース2の端部(角部2e)側)に照射されるようにしてもよい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、照射パターンにおいて、端部照射レーザ光と副レーザ光とが一体となっている点で、実施の形態1と異なる。なお、実施の形態2にかかる溶接方法は、実施の形態1にかかる溶接装置100を用いて実現可能であるので、溶接装置100の説明については省略する。
図20は、実施の形態2にかかる照射パターンを例示する図である。図20にかかる照射パターンは、図13に例示した照射パターンと、レーザ光の配置は実質的に同じである。つまり、図20にかかる照射パターンにおいては、略X字状にレーザ光が配置されている。一方、実施の形態2においては、副レーザ光52b,52cの強度(エネルギー密度)が、他のレーザ光よりも強くなっている。なお、副レーザ光52b,52cの強度を強くすることは、例えば回折光学素子108の構造を変更することで、実現可能である。
副レーザ光52b,52cの強度を強くすることにより、副レーザ光52b(第3レーザ光)は、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)に達するように蒸発部18(キーホール)を形成する。つまり、副レーザ光52bは、実施の形態1にかかる端部照射レーザ光53の機能も有する。なお、短辺部10bにおいては、副レーザ光52c(第3レーザ光)が、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)を溶融して蒸発部18を形成する。
図21は、実施の形態2にかかる照射パターンで構成されたレーザ光によって溶接された電池1の断面図を示す図である。図21には、電池1の短辺部10における断面図が示されている。実施の形態2においては、副レーザ光52bの照射位置からケース2の角部2eまでの距離Lが短いため、端部照射レーザ光53を照射できない。一方、実施の形態2においては、副レーザ光52bの照射位置からケース2の角部2eまでの距離Lが短いため、副レーザ光52bの強度を強くすることによって、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)を溶融することが可能である。
したがって、実施の形態2においては、副レーザ光52bの強度を、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)が溶融され蒸発部18が形成され得る程度まで強くすることで、ケース2の端部に達するような蒸発部18が形成される。つまり、実施の形態2においては、端部照射レーザ光53を配置することなく、ケース2の端部に蒸発部18を形成することが可能となる。したがって、実施の形態2においても、蒸発部18における多重反射を抑制することが可能となる。
なお、実施の形態1と同様に、副レーザ光52a及び副レーザ光52bによって、主レーザ光51の進行方向(図20の矢印X1で示す)における前方側で、隙間22が埋められる。したがって、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、隙間22における多重反射を抑制することが可能となる。したがって、実施の形態2においても、内部貫通を抑制することが可能となる。
また、実施の形態2においては、端部照射レーザ光53を配置することが不要となる。これによって、照射パターン全体の大きさ(面積)を、実施の形態1と比較して小さくすることが可能である。照射パターンが大きいとレーザ光を照射する領域の周囲が焦げるおそれがあるが、実施の形態2においては、照射パターンの大きさを低減することができるので、周囲が焦げることが抑制される。
さらに、実施の形態2においては、端部照射レーザ光53を配置することが不要となるため、照射パターンを、レーザ光の進行方向に対して前後左右対称とすることができる。ここで、照射パターンを前後左右対称とすることによって、回折光学素子108の設計を効率化することが可能となる。具体的には、回折光学素子108の設計において、照射パターンが前後左右対称でない場合、狙った位置にレーザ光が分光されず、意図しない位置にレーザ光が漏れる可能性がある。一方、照射パターンを前後左右対称とすることで、より確実に、狙った位置にレーザ光を照射させることが可能となる。
また、図21に例示した照射パターンは、図8に例示した照射パターンと同様に、点対称の配置となっている。したがって、実施の形態1と同様に、照射パターンの向きを変えることなく、電池1(蓋部材3)の周囲に対してレーザ光を走査することが可能となる。したがって、効率よく溶接処理を行うことが可能となる。
(実施の形態2の変形例)
次に、実施の形態2の変形例について説明する。実施の形態2の変形例においては、実施の形態2と比較して、照射パターンにおけるレーザ光の配置が異なっている。
図22は、実施の形態2の第1の変形例にかかる照射パターンを例示する図である。図22においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。図22に例示した照射パターンは、図18に示した照射パターンから、端部照射レーザ光53を除外したものである。さらに、副レーザ光52b,52cの強度が、他のレーザ光よりも高くなっている。つまり、図22に例示した照射パターンは、複数のレーザ光が略X字状に配置されて構成されている。
図22に例示した照射パターンにおいても、実施の形態2と同様に、副レーザ光52bによって、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)に蒸発部18が形成されるので、実施の形態2と同様に、蒸発部18における多重反射を抑制でき、したがって、内部貫通を抑制することが可能となる。さらに、図22に例示した照射パターンにおいても、実施の形態2と同様に、端部照射レーザ光53を配置することが不要となるため、レーザ光の進行方向(矢印X1で示す)に対して照射パターンを前後左右対称とすることができる。したがって、より確実に、狙った位置にレーザ光を照射させることが可能となる。
また、図22に例示した照射パターンは、図8に例示した照射パターンと同様に、点対称の配置となっている。したがって、実施の形態1と同様に、照射パターンの向きを変えることなく、電池1(蓋部材3)の周囲に対してレーザ光を走査することが可能となる。したがって、効率よく溶接処理を行うことが可能となる。
なお、図22においては、副レーザ光52b,52cの強度を他のレーザ光よりも高くしたが、追加レーザ光54b,54cの強度も高くしてもよい。
図23は、実施の形態2の第2の変形例にかかる照射パターンを例示する図である。図23においては、短辺部10aにレーザ光が照射された状態が示されている。図23に例示した照射パターンは、図19に示した照射パターンから、端部照射レーザ光53を除外したものである。さらに、副レーザ光52bの強度が、他のレーザ光よりも高くなっている。つまり、図23に例示した照射パターンは、複数のレーザ光が略V字状に配置されて構成されている。
図23に例示した照射パターンにおいても、実施の形態2と同様に、副レーザ光52bによって、ケース2の端部(角部2e,外壁面2c)に蒸発部18が形成されるので、実施の形態2と同様に、蒸発部18における多重反射を抑制できる。したがって、内部貫通を抑制することが可能となる。
(変形例)
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した実施の形態においては、電池1の溶接を行うにあたり、短辺部10a、長辺部12a、短辺部10b及び長辺部12bという順序でレーザ光を走査するとしたが、走査の順序は任意である。例えば、長辺部12a、短辺部10a、長辺部12b及び短辺部10bという順序でレーザ光を走査してもよい。
また、上述した実施の形態においては、回折光学素子108を用いて、レーザ発振器101から出力されたレーザ光を複数筋のレーザ光に分光することで、レーザ光の照射パターンを実現するとしたが、このような構成に限られない。照射パターンを構成する複数のレーザ光それぞれについて別個にレーザ光照射部102(レーザ光照射手段)を設けてもよい。一方、回折光学素子108を用いて分光することによって、簡易な構成で本実施の形態にかかる照射パターンを実現することが可能となる。これにより、溶接装置100の構造を簡易化することが可能となる。