JP2021109184A - レーザ溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギ効率を高めることが可能なレーザ溶接方法を提供する。【解決手段】金属板W1の溶接用レーザ照射位置Waに向けてレーザ光を照射して各金属板W1を溶融して接合させる溶接工程に先立って、溶接用レーザ照射位置Waの近傍に、レーザ光Lb’を照射することにより、金属板W1よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域としての凹部6を作成する。これにより、溶接工程において、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ光の照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制され、エネルギロスの削減を図ることができて、エネルギ効率を高めることができる。【選択図】図2
Description
本発明は複数枚の金属板を重ね合わせて接合するレーザ溶接方法に係る。
従来、重ね合わされた複数枚の金属板同士を接合(溶接)する手法としてレーザ溶接が知られている。特許文献1には、レーザ溶接の実施時におけるワークによるレーザ光の吸収率を小さくする技術として、互いに接合される第1の部材および第2の部材のうちの一方の部材における接合箇所(他方の部材との合わせ面)に、レーザ光の進行方向(照射方向に沿う方向)に亘って複数の小吸収部位としての凹条を所定間隔を空けて形成した構成が開示されている。これにより、レーザ光の吸収率を小さくし、レーザ溶接深度を大きくできるようにしている。
ところで、レーザ溶接において溶接作業時間の短縮化を図るためには、レーザ照射時のエネルギ効率を高めることが有効である。
本発明の発明者は、図17(従来のレーザ溶接の実施時における金属板b,cの断面図)に示すようにレーザ溶接の実施時にあっては、レーザ光aの照射時のエネルギ(熱エネルギ)が金属板b,cの延在方向に伝達されて分散されてしまい(図17における矢印を参照)、溶接対象箇所以外の部分にも大きな温度上昇が生じており、これが大きなエネルギロスとなって、エネルギ効率を高めることを阻害していることに着目した。前述した特許文献1にあっては、エネルギが金属板の延在方向に伝達されて分散されてしまうことについては考慮されておらず、エネルギ効率を高めるには不十分であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エネルギ効率を高めることが可能なレーザ溶接方法を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、重ね合わされた複数枚の金属板のうちの1枚の金属板の表面をレーザ照射面とし、該レーザ照射面における溶接用レーザ照射位置に向けてレーザ光を照射することにより前記各金属板を溶融して当該金属板同士を接合させるレーザ溶接方法を前提とする。そして、このレーザ溶接方法は、前記レーザ照射面を有する前記金属板における前記溶接用レーザ照射位置の近傍に、当該金属板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成する低熱伝導率領域作成工程と、前記低熱伝導率領域作成工程の後、前記溶接用レーザ照射位置に向けて前記レーザ光を照射して前記各金属板を溶融して接合させる溶接工程とを有することを特徴とする。
この特定事項により、先ず、低熱伝導率領域作成工程では、金属板における溶接用レーザ照射位置の近傍に、金属板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成する。その後、溶接工程において、前記溶接用レーザ照射位置に向けてレーザ光を照射して各金属板を溶融して接合させる。この溶接工程にあっては、前記溶接用レーザ照射位置にレーザ光を照射した場合に、このレーザ光の照射に伴って金属板で発生する熱の伝達(熱伝動による伝達)は、低熱伝導率領域によって抑制されることになる。つまり、金属板の延在方向に沿う熱の伝達は、低熱伝導率領域によって抑制され、この低熱伝導率領域を越えて更に金属板の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ照射時のエネルギが金属板の延在方向に分散されてしまうことが抑制され、エネルギロスの削減を図ることができて、エネルギ効率を高めることができる。
本発明では、金属板の溶接用レーザ照射位置に向けてレーザ光を照射して各金属板を溶融して接合させる溶接工程に先立って、前記溶接用レーザ照射位置の近傍に、金属板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成するようにしている。これにより、溶接工程において、金属板の延在方向に沿う熱の伝達は、低熱伝導率領域によって抑制され、この低熱伝導率領域を越えて更に金属板の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ照射時のエネルギが金属板の延在方向に分散されてしまうことが抑制され、エネルギロスの削減を図ることができて、エネルギ効率を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動車の車体の製造工程で使用されるレーザ溶接装置により実施されるレーザ溶接方法として本発明を適用した場合について説明する。
−レーザ溶接装置の概略構成−
図1は、本実施形態に係るレーザ溶接に使用されるレーザ溶接装置1を示す概略構成図である。この図1に示すように、レーザ溶接装置1は、レーザ発振器2、レーザスキャナ3、溶接ロボット4、および、ロボットコントローラ5を備えている。
図1は、本実施形態に係るレーザ溶接に使用されるレーザ溶接装置1を示す概略構成図である。この図1に示すように、レーザ溶接装置1は、レーザ発振器2、レーザスキャナ3、溶接ロボット4、および、ロボットコントローラ5を備えている。
レーザ発振器2はレーザ光を生成する。この生成されたレーザ光は、光ファイバーケーブル21を経てレーザスキャナ3に導かれる。レーザ光としては、例えば炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ等を用いることができる。
レーザスキャナ3は、光ファイバーケーブル21を経て導かれたレーザ光を、2枚の金属板(例えば鋼板)W1,W2が重ね合わされて成るワークWに照射する(図1の一点鎖線Lbを参照)。レーザスキャナ3の内部には図示しないレンズ群や複数のミラー31(図1では1個のミラー31のみを示している)が収容されている。レンズ群としては、レーザ光を平行光にするためのコリメートレンズや、レーザ光をワークWの加工点(ワークW上の所定のレーザ照射位置;本発明でいうレーザ照射面における溶接用レーザ照射位置)Waにおいて焦点を結ぶように集光させる集光レンズ等が備えられている。また、各ミラー31はそれぞれ回動軸32を中心に回動可能に構成されている。具体的には、前記回動軸32は走査モータ33に連結されており、この走査モータ33の作動に伴う回動軸32の回動によって各ミラー31が回動するようになっている。そして、これらミラー31の回動によってレーザ光Lbを走査し、ワークWの所定範囲内でレーザ光Lbの照射位置を移動させることが可能となっている。これにより、レーザスキャナ3自体を移動させることなくレーザ光Lbの照射位置を移動させることが可能である。各ミラー31は例えばガルバノミラーを用いて構成することができる。
本実施形態で使用されるレーザ溶接の一例としてはレーザスクリューウェルディング(LSW)が挙げられる。つまり、ワークWの溶接対象箇所の中心点(溶接用レーザ照射位置の中心点)Wp(図2を参照)の周囲の全周に亘ってレーザ光(溶接用レーザ光)Lbを走査していき、このレーザ光Lbの照射箇所を溶融させることで溶接を行うものとなっている。このレーザ光Lbの走査が前記各ミラー31によって行われることになる。このレーザ光Lbの走査の詳細については後述する。
溶接ロボット4は、レーザスキャナ3を移動可能とするように構成されている。この溶接ロボット4は、多関節ロボットによって構成されている。具体的に、本実施形態のものでは、ベース台41、該ベース台41の内部に収容された回転機構(図示省略)、関節42,43,44、および、アーム45,46,47を備えている。回転機構の回転動作および各関節42,43,44におけるアーム45,46,47の揺動動作により、レーザスキャナ3を任意の方向に移動することが可能となっている。
ロボットコントローラ5には、予めオフラインティーチングによって、溶接対象箇所に向けてレーザスキャナ3を移動させるための情報(各関節42,43,44の回動角度量等の情報)が記憶されている。そして、車体製造ライン上の溶接工程箇所まで車体が搬送されてきた際に、ロボットコントローラ5からの制御信号に従い、前記情報に基づいて溶接ロボット4が作動することで、レーザスキャナ3が溶接対象箇所に対向され、このレーザスキャナ3から溶接対象箇所に向けてレーザ光Lbが照射されることで順次レーザ溶接が行われていくことになる。
また、前記ロボットコントローラ5には、ワークW上におけるレーザ照射位置を移動させるための制御信号を出力するレーザ光走査制御部51が備えられている。このレーザ光走査制御部51は、前記走査モータ33に対して制御信号を出力する。この制御信号に従って走査モータ33が作動することにより、各ミラー31が回動軸32を中心に回動してレーザ光Lbが走査され、ワークW上のレーザ照射位置が移動される。このレーザ照射位置の移動により、後述する低熱伝導率領域作成工程(本実施形態において特徴とする工程)および溶接工程が行われることになる。これらの工程および各工程におけるワークW上でのレーザ照射位置の移動(走査)については後述する。
−溶接方法−
次に、本実施形態の特徴である溶接方法(レーザ溶接方法)について説明する。本実施形態では、鉛直方向で重ね合わされた2枚の金属板W1,W2の重ね溶接を行う場合であって、この金属板W1,W2の重ね合わせ部分に対して、前記レーザスキャナ3より出射されるレーザ光Lbを上方から照射する場合について説明する。このため、以下では、上側の金属板を上板W1と呼び、下側の金属板を下板W2と呼ぶ場合もある。
次に、本実施形態の特徴である溶接方法(レーザ溶接方法)について説明する。本実施形態では、鉛直方向で重ね合わされた2枚の金属板W1,W2の重ね溶接を行う場合であって、この金属板W1,W2の重ね合わせ部分に対して、前記レーザスキャナ3より出射されるレーザ光Lbを上方から照射する場合について説明する。このため、以下では、上側の金属板を上板W1と呼び、下側の金属板を下板W2と呼ぶ場合もある。
従来より、レーザ溶接において溶接作業時間の短縮化を図るためには、レーザ溶接でのエネルギ効率を高めることが有効である。しかしながら、従来のレーザ溶接にあっては図17で示したようにレーザ光aの照射時のエネルギ(熱エネルギ)が金属板b,cの延在方向に伝達されて分散されてしまい(図17における矢印を参照)、溶接対象箇所以外の部分にも大きな温度上昇が生じており、これが大きなエネルギロスとなって、エネルギ効率を高めることを阻害していた。
本実施形態は、この点に鑑み、金属板W1,W2の溶接用レーザ照射位置Wa(LSWにおいてレーザ光Lbが照射される範囲;LSWにおけるレーザ光Lbの走査領域)に向けてレーザ光Lbを照射して各金属板W1,W2を溶融して接合させる溶接工程に先立って、前記溶接用レーザ照射位置Waの近傍にレーザ光Lb’(後述する低熱伝導率領域を作成するためのレーザ光;図2を参照)を照射することにより、金属板W1,W2よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成するようにしたものである。以下、具体的に説明する。
前記低熱伝導率領域を作成する低熱伝導率領域作成工程では、上板W1の上面(レーザ照射面)Sfにおける溶接用レーザ照射位置(溶接工程においてレーザ光Lbが照射される範囲)Waの外周囲にレーザ光Lb’を照射することによって、上板W1の上面Sfの一部を除去して凹部6を形成する(図2(d)を参照)。この凹部6の形成領域は、前記溶接用レーザ照射位置Waの外周側であって当該溶接用レーザ照射位置Waの中心点Wpを中心とする平面視が円形の領域である。つまり、低熱伝導率領域作成工程では、溶接用レーザ照射位置Waの外周側の全周囲に亘って、当該溶接用レーザ照射位置Waを囲むように平面視が円形の凹部(平面視が円形の溝)6が形成される。
図2は、低熱伝導率領域作成工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。この低熱伝導率領域作成工程にあっては、先ず、溶接用レーザ照射位置Waの中心点Wpから所定の距離t1を存した位置(図2(a)における位置A)を始点としてレーザ光Lb’の照射を開始する。この距離t1は溶接用レーザ照射位置Waの半径t2の長さよりも僅かに長く設定されている。
このレーザ光Lb’の照射によって上板W1の上面Sfを構成する金属は部分的に溶融し、この溶融した金属が飛ばされることによって、その部分には凹部6が形成されることになる。そして、図2(b)〜図2(d)に示すように、溶接用レーザ照射位置Waの中心点Wpから所定の距離t1を存した円形の軌跡に沿ってレーザ光Lb’を走査していくことにより、図2(d)および図3(図2(d)におけるIII−III線に沿った断面図)に示すように、溶接用レーザ照射位置Waの外周側に平面視が円形の凹部6が形成される。
このようにして上板W1の上面Sfに円形の凹部6を形成するためのレーザ光Lb’の出力やレーザ光Lb’の走査速度や前記円形の軌跡に沿ったレーザ光Lb’の周回数は、予め実験やシミュレーションによって決定されている。例えば、上板W1の厚さ寸法に対して約1/3の深さ寸法の凹部6が形成されるように各制御量は決定される。
なお、凹部6の深さ寸法や幅寸法は任意に設定可能であるが、溶接用レーザ照射位置Waの周辺部における上板W1の剛性が十分に確保される範囲内に設定される。また、レーザ光Lb’の照射位置を決定する溶接用レーザ照射位置Waの中心点Wpからの距離t1(前記円形の軌跡の半径に相当)についても任意に設定可能であるが、後述するエネルギロスの削減効果を十分に発揮させるためには、この距離t1は前記溶接用レーザ照射位置Waの半径t2よりも長い範囲内で、できるだけ短い方が好ましい。
より具体的な各部の寸法として、本実施形態にあっては、上板W1の板厚寸法が約1.0mmであるのに対して凹部6の深さ寸法は約0.3mmに設定されている。また、溶接用レーザ照射位置Waの半径t2の長さ寸法が約2.5mmであるのに対して凹部6の平面視における半径(中心点Wpから凹部6までの距離)t1は約3.5mmに設定されている。また、凹部6の幅寸法(溝幅)は約0.5mmに設定されている。これらの値はこれに限定されるものではなく、適宜設定される。
図2(d)に示すように溶接用レーザ照射位置Waの外周側の全周囲に亘って円形の凹部6が形成されて低熱伝導率領域作成工程が終了した後、以下の溶接工程が開始される。以下、図4を用いて溶接工程を説明する。
溶接工程は、前述したようにレーザスクリューウェルディングによって行われる。この溶接工程は、上板W1上の溶接対象箇所においてレーザ光Lbを走査する(例えば溶接用レーザ照射位置Waの周方向に沿って走査する)ことによって行われる。具体的に、溶接工程が開始されると、レーザ溶接装置1のレーザスキャナ3から出射されたレーザ光Lbは上板W1の表面に向けて照射される。この際、レーザ溶接装置1は、レーザ光Lbの照射軌跡が円形状(上板W1を上方から見た形状が円形状)となるようにレーザ光Lbを走査し、図4(a)に示すように、上板W1の金属材料と下板W2の金属材料とを溶融し、これら両者に亘って溶融池を形成する(第1の走査)。この場合のレーザ光Lbの条件(レーザ光Lbの光量やレーザ光Lbの焦点位置等)は、該レーザ光Lbが上板W1を貫通することなく、この上板W1と下板W2とを溶融可能とする値として実験またはシミュレーションによって設定される。例えば、レーザ光Lbの焦点位置が上板W1の表面とされ、この状態で、下板W2の厚さ方向の約半分が溶融されるレーザ光Lbの光量に設定される。なお、これらはこれに限定されるものではない。
本実施形態では、この溶接工程にあっては、溶接用レーザ照射位置Waにレーザ光Lbを照射した場合に、このレーザ光Lbの照射に伴って金属板(上板)W1で発生する熱の伝達(熱伝動による伝達)は、凹部6の内部空間に存在する空気によって抑制されることになる。つまり、溶接用レーザ照射位置Waから金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる(図4(a)の金属板W1における熱の伝達を表す矢印を参照)。このため、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制されている。
その後、レーザ溶接装置1は、レーザ光Lbの走査によって、前記溶融池内の溶融金属を攪拌して流動させる。つまり、溶融池の中心を貫通する軸P周りを所定方向(図4(b)における矢印Rの向き)に向けて回転するように、レーザ光Lbを走査する(第2の走査)。これにより、溶融池内で溶融金属がかき混ぜられる。このとき、溶融池は、溶融金属が周方向へ流動することによって、すり鉢形状に形成される。同時に、溶融池では、溶融金属のうねりが生じる。この溶融金属のうねりが生じている溶融池は、溶融金属の表面張力によって纏まり、孔空きまたは分離ビードのない接合部が形成され、これによって上板W1と下板W2とが一体的に溶接される。
このようなレーザ光Lbの走査(第2の走査)が行われる際にあっても、本実施形態にあっては、金属板W1で発生する熱の伝達は、凹部6の内部空間に存在する空気によって抑制され、凹部6を越えて更に金属板W1の延在方向に伝達される熱量は削減される(図4(b)の金属板W1における熱の伝達を表す矢印を参照)。つまり、このレーザ光Lbの走査が行われる際にあっても、エネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制されている。
なお、本実施形態にあっては、溶接工程において凹部6の周辺部の金属も溶融され、これによって凹部6は消失するものとなっている(溶接工程が終了した状態を表す図4(c)を参照)。
以上の低熱伝導率領域作成工程および溶接工程によって上板W1と下板W2とが接合されることになる。
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態では、溶接工程にあっては、溶接用レーザ照射位置Waにレーザ光Lbを照射した場合に、このレーザ光Lbの照射に伴って金属板W1で発生する熱の伝達(熱伝動による伝達)は、凹部(低熱伝導率領域)6によって抑制されることになる。つまり、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制され、エネルギロスの削減を図ることができて、エネルギ効率を高めることができる。これにより、溶接作業時間の短縮化を図ることができる。また、少ないエネルギ量で所定の大きさの溶接箇所(溶接ナゲット)を生成することも可能である。言い替えると、従来と同じエネルギ量で溶接箇所の径を拡大することが可能である。
以上説明したように、本実施形態では、溶接工程にあっては、溶接用レーザ照射位置Waにレーザ光Lbを照射した場合に、このレーザ光Lbの照射に伴って金属板W1で発生する熱の伝達(熱伝動による伝達)は、凹部(低熱伝導率領域)6によって抑制されることになる。つまり、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制され、エネルギロスの削減を図ることができて、エネルギ効率を高めることができる。これにより、溶接作業時間の短縮化を図ることができる。また、少ないエネルギ量で所定の大きさの溶接箇所(溶接ナゲット)を生成することも可能である。言い替えると、従来と同じエネルギ量で溶接箇所の径を拡大することが可能である。
−凹部の形状の変形例−
次に凹部6の形状の変形例(変形例1〜変形例5)について説明する。前述した実施形態では、低熱伝導率領域作成工程において形成される凹部6の形状を平面視が円形としていた。本変形例は、この凹部6の形状(平面視の形状)が前記実施形態のものと異なっている。以下、各変形例について説明する。
次に凹部6の形状の変形例(変形例1〜変形例5)について説明する。前述した実施形態では、低熱伝導率領域作成工程において形成される凹部6の形状を平面視が円形としていた。本変形例は、この凹部6の形状(平面視の形状)が前記実施形態のものと異なっている。以下、各変形例について説明する。
(変形例1)
図5は変形例1における図2(d)相当図である。この図5に示すように、本変形例では、凹部6の形状(平面視の形状)が楕円形状となっている。この場合、楕円形状の短軸に沿う方向(図5における上下方向)において溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと凹部6との間の距離が短いことから、溶接工程にあっては、特に楕円形状の短軸に沿う方向でのエネルギの分散が効果的に抑制されることになる。
図5は変形例1における図2(d)相当図である。この図5に示すように、本変形例では、凹部6の形状(平面視の形状)が楕円形状となっている。この場合、楕円形状の短軸に沿う方向(図5における上下方向)において溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと凹部6との間の距離が短いことから、溶接工程にあっては、特に楕円形状の短軸に沿う方向でのエネルギの分散が効果的に抑制されることになる。
(変形例2)
図6は変形例2における図2(d)相当図である。この図6に示すように、本変形例では、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpを中心とした周方向に亘って間欠的に凹部6が形成されている。このような形状の凹部6を形成するに当たっては、低熱伝導率領域作成工程におけるレーザ光Lb’の照射軌跡を円形状(平面視が円形状)としながらも、レーザ光Lb’の照射を間欠的に行う(レーザ光Lb’の照射を停止する期間を設ける)ことにより行われる。
図6は変形例2における図2(d)相当図である。この図6に示すように、本変形例では、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpを中心とした周方向に亘って間欠的に凹部6が形成されている。このような形状の凹部6を形成するに当たっては、低熱伝導率領域作成工程におけるレーザ光Lb’の照射軌跡を円形状(平面視が円形状)としながらも、レーザ光Lb’の照射を間欠的に行う(レーザ光Lb’の照射を停止する期間を設ける)ことにより行われる。
(変形例3)
変形例3は、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと金属板W1の端縁との間の距離が比較的短い場合を対象としたものである。
変形例3は、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと金属板W1の端縁との間の距離が比較的短い場合を対象としたものである。
図7は本変形例3における図2(d)相当図である。この図7に示すように、本変形例では、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと金属板W1の端縁Weとの間の距離が比較的短くなっている。この場合における低熱伝導率領域作成工程での凹部6の形成範囲としては、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpに対して金属板W1の端縁We側(図7における右側)とは反対側(図7における左側)に略円弧形状の凹部6を形成する。これは、溶接工程において、金属板W1の端縁We側へ分散される熱量が少ないことを考慮したものである。つまり、溶接工程において、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達量は、金属板W1の端縁We側とは反対側において多くなる。このため、この熱の伝達量が多くなる可能性のある部分のみに凹部6を設けている。これにより、凹部6の形成範囲を必要最小限に抑えながら、エネルギロスの削減を図ることができ、エネルギ効率を高めることができる。
(変形例4)
図8は変形例4における図2(d)相当図である。この図8に示すように、本変形例では、凹部6の形状(平面視の形状)を四角形状としている。
図8は変形例4における図2(d)相当図である。この図8に示すように、本変形例では、凹部6の形状(平面視の形状)を四角形状としている。
(変形例5)
変形例5は、幅寸法が比較的短い金属板W1,W2を対象としたものである。例えば短冊状(長方形状)の金属板W1,W2を対象としたものである。
変形例5は、幅寸法が比較的短い金属板W1,W2を対象としたものである。例えば短冊状(長方形状)の金属板W1,W2を対象としたものである。
図9は本変形例5における図2(d)相当図である。この図9に示すように、幅寸法が比較的小さい金属板W1にあっては、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpと金属板W1の幅方向の両端縁We,Weとの間の距離が比較的短くなっている。この場合における低熱伝導率領域作成工程での凹部6,6の形成範囲としては、溶接用レーザ照射位置の中心点Wpに対して金属板W1の長手方向の両側(図9における右側および左側)に略円弧形状の凹部6,6を形成する。これは、溶接工程において、金属板W1の幅方向の両端縁We,We側へ分散される熱量が少ないことを考慮したものである。つまり、溶接工程において、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達量は、金属板W1の長手方向の両側において多くなる。このため、この熱の伝達量が多くなる可能性のある部分のみに凹部6,6を設けている。これによっても、凹部6,6の形成範囲を必要最小限に抑えながら、エネルギロスの削減を図ることができ、エネルギ効率を高めることができる。
−凹部の深さの変形例−
次に、凹部6の深さの変形例(変形例6〜変形例9)について説明する。以下の変形例では、3枚の金属板W1,W2,W3が重ね合わされて成るワークWに対して凹部6を形成するものとして説明する。このため、以下では、各金属板を上側から上板W1、中間板W2、下板W3と呼ぶこととする。
次に、凹部6の深さの変形例(変形例6〜変形例9)について説明する。以下の変形例では、3枚の金属板W1,W2,W3が重ね合わされて成るワークWに対して凹部6を形成するものとして説明する。このため、以下では、各金属板を上側から上板W1、中間板W2、下板W3と呼ぶこととする。
(変形例6)
本変形例は、図10に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3のうち、最も上側に位置する上板W1と、該上板W1の下側に重ね合わされた中間板W2とに亘って凹部6を形成したものである。この図10は、低熱伝導率領域作成工程が完了し、溶接工程が開始される前の状態を示す断面図である。
本変形例は、図10に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3のうち、最も上側に位置する上板W1と、該上板W1の下側に重ね合わされた中間板W2とに亘って凹部6を形成したものである。この図10は、低熱伝導率領域作成工程が完了し、溶接工程が開始される前の状態を示す断面図である。
この構成によれば、溶接工程において、上板W1および中間板W2それぞれにおいて発生する熱の伝達(金属板W1,W2の延在方向に沿う熱の伝達)は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1,W2の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1,W2の延在方向に分散されてしまうことが抑制されることになる。つまり、上板W1のみに凹部6を設けた場合に比べてエネルギの分散を抑制することが可能となる。
(変形例7)
本変形例は、図11に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3の全てに亘って凹部6を形成したものである。この図11も、低熱伝導率領域作成工程が完了し、溶接工程が開始される前の状態を示す断面図である。
本変形例は、図11に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3の全てに亘って凹部6を形成したものである。この図11も、低熱伝導率領域作成工程が完了し、溶接工程が開始される前の状態を示す断面図である。
この構成によれば、溶接工程において、各金属板W1,W2,W3それぞれにおいて発生する熱の伝達(金属板W1,W2,W3の延在方向に沿う熱の伝達)は、凹部6によって抑制され、この凹部6を越えて更に金属板W1,W2,W3の延在方向に伝達される熱量は削減されることになる。このため、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1,W2,W3の延在方向に分散されてしまうことが抑制されることになる。つまり、上板W1および中間板W2のみに凹部6を設けた場合に比べてエネルギの分散を抑制することが可能となる。
(変形例8)
本変形例は、図12に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3のうち最も上側に位置する上板W1のみに凹部6を形成したものであるが、この凹部6の深さ寸法が当該凹部6の周方向の各箇所において互いに異なるものである。図12に示すものでは、図中の左側に位置する凹部6aの深さ寸法よりも図中の右側に位置する凹部6bの深さ寸法の方が所定寸法だけ大きく設定されている。この構成によれば、溶接工程において、金属板W1において発生する熱の伝達(金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達)としては、図中の左側へ伝達される熱量よりも図中の右側へ伝達される熱量の方が小さくなる。このように、凹部6の深さ寸法を変更することで、金属板W1において特にエネルギの分散を抑制したい方向での当該分散を抑制することができる。
本変形例は、図12に示すように、3枚の金属板W1,W2,W3のうち最も上側に位置する上板W1のみに凹部6を形成したものであるが、この凹部6の深さ寸法が当該凹部6の周方向の各箇所において互いに異なるものである。図12に示すものでは、図中の左側に位置する凹部6aの深さ寸法よりも図中の右側に位置する凹部6bの深さ寸法の方が所定寸法だけ大きく設定されている。この構成によれば、溶接工程において、金属板W1において発生する熱の伝達(金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達)としては、図中の左側へ伝達される熱量よりも図中の右側へ伝達される熱量の方が小さくなる。このように、凹部6の深さ寸法を変更することで、金属板W1において特にエネルギの分散を抑制したい方向での当該分散を抑制することができる。
(変形例9)
本変形例も、凹部6の深さ寸法が当該凹部6の周方向の各箇所において互いに異なるものとなっている。具体的には、図13に示すように、図中の左側に位置する凹部6aの深さ寸法よりも図中の右側に位置する凹部6bの深さ寸法の方が所定寸法だけ大きく設定されており、図中の左側に位置する凹部6aは上板W1および中間板W2に亘って形成されているのに対し、図中の右側に位置する凹部6bは全ての金属板W1,W2,W3に亘って形成されている。この構成によっても、溶接工程において、金属板W1,W2,W3において発生する熱の伝達(金属板W1,W2,W3の延在方向に沿う熱の伝達)としては、図中の左側へ伝達される熱量よりも図中の右側へ伝達される熱量の方が小さくなる。このように、本変形例にあっても、凹部6の深さ寸法を変更することで、金属板W1,W2,W3において特にエネルギの分散を抑制したい方向での当該分散を抑制することができる。
本変形例も、凹部6の深さ寸法が当該凹部6の周方向の各箇所において互いに異なるものとなっている。具体的には、図13に示すように、図中の左側に位置する凹部6aの深さ寸法よりも図中の右側に位置する凹部6bの深さ寸法の方が所定寸法だけ大きく設定されており、図中の左側に位置する凹部6aは上板W1および中間板W2に亘って形成されているのに対し、図中の右側に位置する凹部6bは全ての金属板W1,W2,W3に亘って形成されている。この構成によっても、溶接工程において、金属板W1,W2,W3において発生する熱の伝達(金属板W1,W2,W3の延在方向に沿う熱の伝達)としては、図中の左側へ伝達される熱量よりも図中の右側へ伝達される熱量の方が小さくなる。このように、本変形例にあっても、凹部6の深さ寸法を変更することで、金属板W1,W2,W3において特にエネルギの分散を抑制したい方向での当該分散を抑制することができる。
−低熱伝導率領域作成工程および溶接工程の変形例−
次に、低熱伝導率領域作成工程および溶接工程の変形例(変形例10〜変形例12)について説明する。
次に、低熱伝導率領域作成工程および溶接工程の変形例(変形例10〜変形例12)について説明する。
(変形例10)
図14は、変形例10における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
図14は、変形例10における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
本変形例では、先ず、低熱伝導率領域作成工程において、前述した実施形態の場合と同様に、上板W1の上面Sfにおける溶接対象箇所の外周囲にレーザ光Lb’を照射することによって、上板W1の上面Sfの一部を除去して、平面視が円形の凹部6を形成する(図14(a)を参照)。
その後、溶接工程にあっては、前述した実施形態の場合に比べてレーザ光Lbの照射範囲を小さくする、または、レーザ光Lbの出力を小さくすることによって、金属板W1,W2の溶融範囲を小さくし(図14(b)において破線の斜線を付した範囲を参照)、凹部6の周辺部の金属を溶融させないようにする。つまり、凹部6が形成されている領域よりも内側の金属のみを溶融させる。これにより、溶接工程の終了時点にあっては、図14(b)に示すように、溶接領域(破線の斜線を付した領域)の外周側に凹部6を残存させるようにしている。
(変形例11)
図15は、変形例11における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
図15は、変形例11における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
本変形例では、第1の低熱伝導率領域作成工程、第1の溶接工程、第2の低熱伝導率領域作成工程、第2の溶接工程が順に行われる。
先ず、第1の低熱伝導率領域作成工程においては、前述した実施形態の場合と同様に、上板W1の上面Sfにおける溶接対象箇所の外周囲にレーザ光Lb’を照射することによって、上板W1の上面Sfの一部を除去して、平面視が円形の凹部61を形成する(図15(a)を参照)。
その後、第1の溶接工程にあっては、前述した実施形態の場合と同様に、溶接用レーザ照射位置(図示省略)の外縁に沿ってレーザ光Lbを走査していき、凹部61が形成されている領域よりも内側の金属を溶融させた後(図15(b)において破線の斜線を付した領域を参照)、レーザ光Lbの走査範囲を拡大させて、凹部61が形成されている領域の金属を溶融させる(図15(c)において破線の斜線を付した領域を参照)。これにより凹部61は消失する。この第1の溶接工程にあっては、凹部61が消失するまでの期間では、この凹部61の存在によって、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は抑制されることになり、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制される。
次に、第2の低熱伝導率領域作成工程を開始する。この第2の低熱伝導率領域作成工程では、前記第1の溶接工程において生成された溶接領域(図15(c)において破線の斜線を付した領域)の外周側に円形の凹部62を形成する。つまり、上板W1の上面Sfにおける前記溶接領域の外周側にレーザ光Lb’を照射することによって、上板W1の上面Sfの一部を除去して凹部62を形成する(図15(d)を参照)。
その後、第2の溶接工程にあっては、前記溶接領域の更に外側に沿ってレーザ光Lbを走査し、凹部62が形成されている領域よりも内側の金属および凹部62の周辺の金属を溶融させる(図15(e)において破線の斜線を付した領域を参照)。これにより凹部62は消失する。この第2の溶接工程にあっては、凹部62が消失するまでの期間では、この凹部62の存在によって、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は抑制されることになり、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制される。
(変形例12)
図16は、変形例12における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
図16は、変形例12における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程を説明するための金属板W1,W2の溶接対象箇所周辺の平面図である。
本変形例においても、第1の低熱伝導率領域作成工程、第1の溶接工程、第2の低熱伝導率領域作成工程、第2の溶接工程が順に行われる。
先ず、第1の低熱伝導率領域作成工程および第1の溶接工程は前述した変形例10における低熱伝導率領域作成工程および溶接工程と同様に行われる(図16(a)および図16(b)を参照)。
第1の溶接工程の終了後に行われる第2の低熱伝導率領域作成工程では、残存している凹部6の外周側に更に凹部63を形成する。つまり、上板W1の上面Sfにおける凹部6の外周側にレーザ光Lb’を照射することによって、上板W1の上面Sfの一部を除去して新たな凹部63を形成する(図16(c)を参照)。これら凹部6,63同士の間の間隔は任意に設定可能である。
その後、第2の溶接工程にあっては、内側の凹部6の周辺の金属を溶融させると共に、外側の凹部63の周辺の金属を溶融させないように、レーザ光Lbの照射範囲の調整、または、レーザ光Lbの出力の調整を行う。これにより、溶接工程の終了時点にあっては、図16(d)に示すように、内側の凹部6が消失し、外側の凹部63が残存することになる。この第2の溶接工程にあっては、凹部63の存在によって、金属板W1の延在方向に沿う熱の伝達は抑制されることになり、レーザ光Lbの照射時のエネルギが金属板W1の延在方向に分散されてしまうことが抑制される。
−他の実施形態−
なお、本発明は、前記実施形態および前記各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
なお、本発明は、前記実施形態および前記各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態および前記各変形例では、自動車の車体の製造工程で使用されるレーザ溶接装置1により実施されるレーザ溶接方法として本発明を適用した場合について説明したが、その他の部材のレーザ溶接に対しても本発明は適用することが可能である。
また、本発明のレーザ溶接方法が適用可能な金属板の材料としては、鉄(鋼板)に限らず、アルミニウム合金、マグネシウム、チタン、銅等であってもよい。また、異種金属同士の溶接に適用することもできる。
また、前記実施形態および前記各変形例では、鉛直方向で重ね合わされた金属板W1,W2の重ね溶接を行う場合について説明した。つまり、レーザ光がワークWの上側から照射される場合について説明した。本発明はこれに限らず、水平方向で重ね合わされた金属板の重ね溶接を行う場合にも適用可能である。つまり、レーザ光がワークWに対して水平方向から照射される場合にも適用可能である。
また、前記実施形態および前記各変形例の低熱伝導率領域作成工程では、上板W1の上面Sfにおける溶接対象箇所の外周囲にレーザ光Lb’を照射することによって凹部6を形成するようにしていた。本発明に係る低熱伝導率領域作成工程は、溶接用レーザ照射位置Waの近傍に金属板W1,W2よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成するものであればよく、例えば、切削や打刻等によって前記凹部6を形成するようにした場合も技術的思想に含まれるものである。また、溶接用レーザ照射位置Waの近傍における金属組織を変化させておく(公知の熱処理等によって金属組織を変化させておく)ことによって、金属板W1,W2(組織変化前の金属)よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成するようにしてもよい。例えばCrやNi等の添加により熱伝導率が低下する(鋼の結晶格子に歪みが発生し、結晶格子の熱振動が阻害されることに起因する)ことが知られているので、これを利用することなどが挙げられる。
本発明は、重ね合わされた複数枚の金属板のレーザ照射面に向けてレーザ光を照射することにより各金属板を溶融して接合するレーザ溶接方法に適用可能である。
1 レーザ溶接装置
2 レーザ発振器
3 レーザスキャナ
6,61,62,63 凹部(低熱伝導率領域)
Lb,Lb’ レーザ光
Sf 上面(レーザ照射面)
W ワーク
W1 上板(金属板)
W2 下板、中間板(金属板)
W3 下板(金属板)
Wa 溶接用レーザ照射位置
2 レーザ発振器
3 レーザスキャナ
6,61,62,63 凹部(低熱伝導率領域)
Lb,Lb’ レーザ光
Sf 上面(レーザ照射面)
W ワーク
W1 上板(金属板)
W2 下板、中間板(金属板)
W3 下板(金属板)
Wa 溶接用レーザ照射位置
Claims (1)
- 重ね合わされた複数枚の金属板のうちの1枚の金属板の表面をレーザ照射面とし、該レーザ照射面における溶接用レーザ照射位置に向けてレーザ光を照射することにより前記各金属板を溶融して当該金属板同士を接合させるレーザ溶接方法であって、
前記レーザ照射面を有する前記金属板における前記溶接用レーザ照射位置の近傍に、当該金属板よりも熱伝導率が低い低熱伝導率領域を作成する低熱伝導率領域作成工程と、
前記低熱伝導率領域作成工程の後、前記溶接用レーザ照射位置に向けて前記レーザ光を照射して前記各金属板を溶融して接合させる溶接工程とを有することを特徴とするレーザ溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020001597A JP2021109184A (ja) | 2020-01-08 | 2020-01-08 | レーザ溶接方法 |
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JP2020001597A JP2021109184A (ja) | 2020-01-08 | 2020-01-08 | レーザ溶接方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021109184A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023277096A1 (ja) | 2021-06-30 | 2023-01-05 | 株式会社コーセー | 共重合体およびそれを含む化粧料 |
-
2020
- 2020-01-08 JP JP2020001597A patent/JP2021109184A/ja not_active Withdrawn
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WO2023277096A1 (ja) | 2021-06-30 | 2023-01-05 | 株式会社コーセー | 共重合体およびそれを含む化粧料 |
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