JP5196128B2 - レーザ溶接方法 - Google Patents

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本発明は、金属板の重ね合わせ部にレーザ光を照射して複数の金属板をスポット状に溶接するレーザ溶接方法に関し、特に、重ね合わせ部の溶接対象部に種々の形状のレーザ溶接パターンで溶接する。
レーザ溶接は、金属板の重ね合わせ部に細いビームスポットの高エネルギー密度の熱源を照射して複数の金属板をスポット状に溶接することができる。従来から車体接合などに多用されるスポット溶接と比較すると、レーザ溶接は非接触溶接であるため、スポット溶接のようにスポットガンや治具とワークとの干渉を回避する干渉回避動作を必要としないので、高効率な溶接方法である。
しかし、複数の亜鉛メッキ鋼板の重ね合わせ部の溶接対象部にレーザ光を照射して溶接したとき、重ね合わせ部に隙間がない場合、亜鉛の融点が鉄の融点よりも低く凝固が遅れるため、鋼板溶融直前又は溶融中に溶接対象部で亜鉛が蒸発して、溶接対象部内でその亜鉛蒸気が圧力によって周りの溶融金属を吹き飛ばす爆飛現象(吹き上げ現象)が発生して穴あき等の欠陥部位が形成される。また、その亜鉛蒸気が溶融部に取り残されて気泡(ブローホールやピット)となり、溶接強度の低下を招くことになる。一方、鋼板間の隙間が大きい場合、溶け落ち(エッジ切れ)が発生して、鋼板の溶接対象部が十分に接合されず溶接強度が低下する。
上述の問題点を解決すべく、特許文献1には、予めシリーズ溶接及びレーザ光照射による前工程とレーザ溶接による本溶接工程とを備えたレーザ溶接方法が開示されている。このレーザ溶接方法では、シリーズ溶接工程において亜鉛メッキ鋼板の接合領域の片側から抵抗スポット溶接電極を押し当てて亜鉛を蒸発除去して亜鉛除去領域が形成される。次に、レーザ光照射工程においてその亜鉛除去領域にレーザ光をインフォーカス又はデフォーカス状態で照射して亜鉛除去領域に残留した亜鉛及びその周囲の亜鉛を除去して亜鉛除去領域を広げる。そして、本溶接工程において亜鉛除去領域にレーザ光をジャストフォーカス状態で照射して複数の亜鉛メッキ鋼板を溶融接合する。
特開2006−110565号公報
特許文献1のレーザ溶接方法は、抵抗スポット溶接によるシリーズ溶接とレーザ溶接の組み合わせにより亜鉛メッキ鋼板が溶接されるので、工程が複雑であり且つ前加工の工程が必要となるため非効率な溶接方法である。また、亜鉛除去領域の形成が前加工の加工効率に依存する形となるので、この前加工の精度がレーザ溶接の溶接品質に大きな影響を与えることになり、レーザ溶接のメリットを低減させる虞がある。
本発明の目的は、低融点金属メッキが形成された複数の金属板の重ね合わせ部の溶接対象部にレーザ光を照射して、金属板の重ね合わせ部の隙間の大きさにかかわらず、溶接品質に優れ且つ安定した溶接を効率良く行えるレーザ溶接方法を提供する。
請求項1のレーザ溶接方法は、低融点金属メッキが形成された鋼板を含む複数の鋼板を重ね、前記鋼板の重ね合わせ部にレーザ光を照射して複数の鋼板をスポット状に溶接するレーザ溶接方法において、前記鋼板における外形がほぼ円形の溶接対象部の外周よりも内側の領域内に、溶接対象部の全域を予熱可能な第1溶接パターンとなるように前記鋼板中の鉄が融点以上となる高エネルギー密度のレーザ光を照射して溶接する第1工程と、次に溶接対象部の外周部に沿った環状の第2溶接パターンとなるようにレーザ光を照射して溶接する第2工程とを備えたことを特徴としている。
このレーザ溶接方法では、低融点金属メッキが形成された鋼板を含む複数の鋼板を重ね、第1工程において、鋼板の重ね合わせ部の溶接対象部の外周よりも内側の領域内に鋼板中の鉄が融点以上となる高エネルギー密度のレーザ光が照射されて第1溶接パターンが形成される。次に第2工程において、第1溶接パターンにより溶接対象部の全域が予熱された状態で、溶接対象部の外周部に沿ってレーザ光が照射されて環状の第2溶接パターンが形成されるので、第1溶接パターン溶接時に低融点金属メッキを蒸発させ、第2溶接パターン加工時の溶融金属量を増加させることができる。
請求項2のレーザ溶接方法は、請求項1の発明において、第1溶接パターンが溶接対象部の中心で交差する複数の直線状溶接パターンからなり、第2溶接パターンが複数の直線状溶接パターンの外側端部を通過する円環状溶接パターンからなることを特徴としている。
請求項3のレーザ溶接方法は、請求項1の発明において、第1溶接パターンが溶接対象部の中心を中心とし且つ溶接対象部の面積の約1/2の面積を囲繞する円環状溶接パターンからなることを特徴としている。
請求項4のレーザ溶接方法は、請求項1の発明において、第1溶接パターンが第2溶接パターンに渦巻き状に連なる渦巻き状溶接パターンからなることを特徴としている。
請求項5のレーザ溶接方法は、請求項1〜4の発明の何れかにおいて、低融点金属メッキが形成された板が、亜鉛メッキを形成した鋼板であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、第1工程において鋼板における外形がほぼ円形の溶接対象部の外周よりも内側の領域内に、溶接対象部の全域を予熱可能な第1溶接パターンとなるように鋼板中の鉄が融点以上となる高エネルギー密度のレーザ光を照射して溶接し、次に第2工程において溶接対象部の外周部に沿った環状の第2溶接パターンとなるようにレーザ光を照射して溶接するので、低融点金属メッキを除去する為の前加工工程を必要とせず、鋼板の重ね合わせ部の隙間の大きさにかかわらず溶接品質の安定した良好な溶接を効率良く行うレーザ溶接を実現することができる。
即ち、溶接対象部の全域を予熱可能な第1溶接パターンとなるようにレーザ溶接するので、溶接対象部の全域の低融点金属メッキを蒸発除去できる。また、第1溶接パターンにより溶接対象部の全域が予熱された状態で、溶接対象部の外周部に沿った環状の第2溶接パターンとなるようにレーザ溶接するので、第2溶接パターン溶接時に溶融金属量が増加して重ね合わせ部の隙間が大きい場合でも安定して溶接接合を行うことができる。また、重ね合わせ部に隙間がない場合に発生する低融点金属メッキの爆飛による溶接対象部の欠陥部位へ溶融金属を供給でき、内部欠陥の発生を低減できると共に、溶接不良を確実に防止することできる。
請求項2の発明によれば、第1溶接パターンが溶接対象部の中心で交差する複数の直線状溶接パターンからなり、第2溶接パターンが複数の直線状溶接パターンの外側端部を通過する円環状溶接パターンからなるので、複数の直線状溶接パターンにより溶接対象部の全域をほぼ均等に予熱できると共に、溶接対象部の低融点金属メッキを確実に蒸発除去できる。また、複数の直線状溶接パターンにより溶接対象部の全域が予熱された状態で円環状溶接パターンの溶接が行われるので、溶接時の溶融金属量が増加して重ね合わせ部の隙間が大きい場合でも安定して溶接接合を行うことができる。また、重ね合わせ部に隙間がない場合、低融点金属メッキの爆飛による欠陥部位へ溶融金属を供給でき、溶接強度の高い接合部を形成することができる。
請求項3の発明によれば、第1溶接パターンが溶接対象部の中心を中心とし且つ溶接対象部の面積の約1/2の面積を囲繞する円環状溶接パターンからなるので、溶接対象部の全域を均等に予熱できると共に、溶接対象部の低融点金属メッキを確実に蒸発除去できる。その他、請求項1と同様の効果を奏する。
請求項4の発明によれば、第1溶接パターンが第2溶接パターンに渦巻き状に連なる渦巻き状溶接パターンからなるので、溶接対象部の全域をほぼ均等に予熱できると共に、溶接対象部の低融点金属メッキを確実に蒸発除去できる。その他、請求項1と同様の効果を奏する。
請求項5の発明によれば、低融点金属メッキが形成された板が、亜鉛メッキを形成した鋼板であるので、溶接品質に優れ且つ防錆効果の高い亜鉛メッキ鋼板の溶接部を形成することができる。その他、請求項1〜4と同様の効果を奏する。
本実施例は、低融点金属メッキが形成された金属板を含む複数の金属板を重ね、金属板の重ね合わせ部にレーザ光を照射して複数の金属板をスポット状に溶接するレーザ溶接方法に、本発明を適用した場合の一例である。
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、レーザ溶接装置1は、レーザ発振器2と、スキャナ加工ヘッド3と、これらを制御する制御装置4とを備えている。
レーザ発振器2は、制御装置4から指示された出力制御指令に基づいて種々のエネルギー密度のレーザ光LAを出力する。レーザ発振器2から出力されたレーザ光LAは、伝送ファイバー5を介してスキャナ加工ヘッド3に伝送される。このとき、スキャナ加工ヘッド3には、レーザ発振器2及び伝送ファイバー5に依存した広がり角をもったレーザ光LAが伝送される。
スキャナ加工ヘッド3は、制御装置4からのレーザ光位置制御指令により、レーザ発振器2から出力されたレーザ光LAの焦点を調整して、金属板の重ね合わせ部25において溶接対象部14にレーザ光LAを照射して局所的に溶接部を形成する。ここで、レーザ光LAとしては、YAGレーザやCO2レーザなどがあり、YAGレーザの方がCO2レーザよりも金属に対する光エネルギーの吸収性が優れている。
スキャナ加工ヘッド3のケーシング6内には、可動式のコリメートレンズ7、固定ミラー8、可動ミラー9、集光レンズ10及びカバースライド11などが配設されている。コリメートレンズ7は、集光レンズ10によりレーザ光LAを集光させるためにレーザ光LAを平行光にするレンズであり、アクチュエータ(図示略)により、ケーシング6内を上下方向(Z軸方向)に移動可能となっている。
可動ミラー9は、X軸モータ12及びY軸モータ13により、X軸方向及びY軸方向に傾動可能に設けられている。X軸モータ12及びY軸モータ13は、サーボモータ等で構成されている。コリメートレンズ7に伝送されたレーザ光LAは、固定ミラー8によって可動ミラー9側へ反射され、X軸モータ12及びY軸モータ13によりミラー角度が変化する可動ミラー9より反射されて集光レンズ10で集光される。そのため、集光されたレーザ光LAを、複数の金属板の重ね合わせ部25の溶接対象部14に対し可動ミラー9の角度変化により高速で移動させながら照射してレーザ溶接部を形成することが可能となる。
図1に示すように、集光レンズ10からレーザ光LAが最も集光する位置までの距離であるZ軸方向の焦点距離FLは、コリメートレンズ7の上下方向の移動及び集光レンズ10によって調整される。レーザスポット径の外径が最も小さい部分が高エネルギー密度の熱源部分となり、そこから離れるにつれてレーザ光LAのエネルギー密度は低くなる。なお、スキャナ加工ヘッド3は、必要に応じてロボットアーム(図示略)に取り付けて使用することが可能である。
制御装置4によるレーザ発振器2の出力制御は、スキャナ加工ヘッド3の位置制御命令と同期させてレーザ光LAのエネルギー密度の強弱調整が行われるように構成されている。低密度エネルギーのレーザ光LAと高密度エネルギーのレーザ光LAの切換は、制御装置4からレーザ発振器2に対し電気信号が送信されることにより行われる。
次に、上述のレーザ溶接装置1を用いたレーザ溶接方法について説明する。
金属板として、鉄の融点よりも低い低融点金属の亜鉛メッキ15が形成された鋼板16,17を採用する。この亜鉛メッキ15が形成された鋼板16,17は、防錆性能を有し、自動車の車体など種々の分野で使用されている。なお、亜鉛の融点は419.5℃、沸点は930℃である。鉄の融点は1535℃、沸点は2750℃である。
図1、図2に示すように、亜鉛メッキ15が形成された上側鋼板16と下側鋼板17とを重ね合わせたものをロボット(図示略)でハンドリングし、レーザ溶接装置1の照射範囲Aに配置する。例えば、照射範囲Aは、直径300mmとし、レーザスポット外径は、0.6mmとする。なお、スキャナ加工ヘッド3自体の位置は固定しておく。次に、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25の溶接対象部14にレーザ光LAを照射して複数の亜鉛メッキ鋼板をスポット状に溶接する。
第1工程において、外形がほぼ円形の溶接対象部14の外周よりも内側の領域内においてスポット溶接の直径となる部分に焦点を合わせ、上側鋼板16の上面に上側鋼板16中の融点(1535℃)以上となる高エネルギー密度のレーザ光LAが照射される。そして、そのレーザ光LAがスポット溶接の直径となる部分に沿って可動ミラー9の角度変化により高速で移動照射され、このレーザ溶接により、スポット溶接の直径となる部分に溶接対象部14の中心で交差する複数の直線状溶接パターン(第1溶接パターン)、例えば、図3に示す「×」型の溶接パターン18が形成されるとともに、「×」型の溶接パターン溶接時の熱が溶接対象部14の外周側に向けて広がり溶接対象部14の全域がほぼ加熱される。
レーザ溶接時において、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25に隙間がない場合、鋼板溶融直前又は溶融中に、亜鉛の融点が鉄の融点よりも低く凝固が遅れるため、溶接対象部14の亜鉛メッキ15が蒸発し、この亜鉛蒸気が、溶接対象部14内で気泡(ブローホールやピット)として残存し、又は圧力によって周りの溶融金属を吹き飛ばして爆飛する。この爆飛により溶接対象部14の亜鉛メッキ15が外部へ除去される。溶接対象部14内には爆飛による穴あき等の欠陥部位が形成される。他方、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25の隙間が大きい場合、レーザ溶接時に蒸発した亜鉛メッキ15が溶接対象部14から外周側へ離散して除去される。
次に、第2工程において、溶接対象部14の外周部に焦点を合わせ,上側鋼板W1の上面に高エネルギー密度のレーザ光LAが照射される。そして、そのレーザ光LAが溶接対象部14の外周部に沿って可動ミラー9の角度変化により高速で移動照射され、このレーザ溶接により、前記の複数の直線状溶接パターンの外側端部を通過する環状の溶接パターン(第2溶接パターン)、例えば、図3に示すように、前記の「×」型の溶接パターンの外側端部を通過する「○」型の円環状溶接パターン19が形成される。その結果、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25に局所的に「×」型の周囲に「○」型が形成された溶接パターンの溶接部が形成される。
レーザ溶接時において、溶接対象部14の全域が予熱された状態でレーザ溶接が行われることで溶融金属量が増加し、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25に隙間がない場合に発生した溶接対象部14の亜鉛メッキ15の爆飛による溶接対象部14の欠陥部位へ溶融金属が供給される。また、溶接対象部14に残存していた気泡が再加熱されることで蒸発して離散する。
一方、上側鋼板16と下側鋼板17の重ね合わせ部25の隙間が大きい場合、溶接対象部14の全域が予熱された状態でレーザ溶接が行われるので溶融金属量が増加し、安定した状態でレーザ溶接による溶接接合が行われることになる。
次に、上述した実施例のレーザ溶接方法によりレーザ溶接された種々の溶接パターンの接合部の効果検証試験について図4に基づいて説明する。
[ワーク材料]
金属板として、厚み1.4mmの440系亜鉛メッキ鋼板を準備した。
[溶接方法]
上述のレーザ溶接装置1を用いたレーザ溶接方法に基づいて、複数の亜鉛メッキ鋼板を重ね合わせ、亜鉛メッキ鋼板の重ね合わせ部の溶接対象部14に鉄の融点以上のエネルギー密度のレーザ光LAを照射して複数の亜鉛メッキ鋼板をスポット状に溶融接合した。
[溶接パターン]
「×」型溶接パターンを溶接後、この「×」型溶接パターンの外側端部を通過する「○」型の円環状溶接パターン(25.7mm溶接)の接合部を溶接した。比較例の溶接パターンとして、直線型溶接パターン(20mm溶接)、C字型溶接パターン(20mm溶接)の接合部を夫々溶接した。
[接合強度の試験及び評価]
各種形状の溶接パターンの接合部の引張り剪断強度を測定した。図4に示すように、鋼板の重ね合わせ部に亜鉛蒸気を溶接対象部から逃がすだけの隙間がある場合(0.1mm〜0.4mm)、全ての溶接パターンの接合部が高い剪断強度を示した。一方、鋼板の重ね合わせ部に隙間がない場合(0.0mm)や隙間が大きい場合(0.5mm〜0.8mm)、実施例の溶接パターンの接合部のみが高い剪断強度を示した。一方、直線型やC字型溶接パターンの接合部は、鋼板の重ね合わせ部の隙間が大きくなるほど剪断強度が低くなる。特に、重ね合わせ部の隙間の大きさが0.5mm以上の場合、エッジ切れや鋼板の溶接対象部が十分に溶接されておらず溶接不良が発生していると考えられる。
この検証試験結果から、実施例の溶接パターンを溶接することにより、2つの効果を確認できた。1つ目の効果は、×型溶接により、溶接対象部14に対し予熱効果及び亜鉛メッキ除去効果が得られ、予熱状態での○型溶接により溶融金属量が増加して、×型溶接時に発生した溶接対象部の亜鉛メッキの爆飛による穴あき等の欠陥部位へ溶融金属が供給され、鋼板の重ね合わせ部に隙間がない場合でも高い溶接強度を有する溶接部が形成されることが確認できた。また、2つ目の効果としては、×型溶接での予熱効果により○型溶接時の溶融金属量が増加して鋼板の重ね合わせ部の隙間が大きい場合でもロバストな溶接が可能となり、高い接合強度を有する接合部が形成されることが確認できた。更に、×型溶接での予熱効果により○型溶接時のスパッタの発生が低減する効果も確認できた。
以上説明した実施例のレーザ溶接方法の作用効果について説明する。
第1工程において、溶接対象部14の全域を予熱可能な「×」型溶接パターン18となるようにレーザ溶接するので、溶接対象部14の全域の亜鉛メッキ15を蒸発除去できる。また、第2工程において、「×」型溶接パターン18により溶接対象部14の全域が予熱された状態で、「×」型溶接パターン18の外側端部を通過する「○」型溶接パターン19となるようにレーザ溶接するので、溶接パターン溶接時の溶融金属量が増加して鋼板16,17の重ね合わせ部25の隙間が大きい場合でも安定して溶接接合を行うことができる。
また、鋼板16,17の重ね合わせ部25に隙間がない場合に発生する亜鉛メッキ15の爆飛による溶接対象部14の穴あき等の欠陥部位へ溶融金属を供給でき、内部欠陥の発生を低減できると共に、溶接不良を確実に防止することができる。その結果、鋼板16,17の重ね合わせ部25の隙間の大きさにかかわらず、溶接品質に優れ且つ安定したレーザ溶接を効率良く行うことができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕溶接パターンは実施例で示した形状に限定されるものではなく、種々の形状の溶接パターンを適用可能であり、特に、第1溶接パターン溶接時の熱が溶接対象部14の中心から外周へ放射状に広がる溶接パターンが有効である。
例えば、図5に示すように、「◎」型溶接パターン20でもよい。即ち、第1溶接パターン溶接時の予熱が第1溶接パターンの領域と第2溶接パターンの領域に均等に伝わるようにする為、第1溶接パターンが溶接対象部14の中心を中心とし且つ溶接対象部14の面積の約1/2の面積を囲繞する円環状溶接パターン21からなり、第2溶接パターンが円環状の溶接パターンの外側端部を通過する円環状溶接パターン19とする。この溶接パターンにより、第1溶接パターン溶接時の熱が溶接対象部14の全域に広がる予熱効果と、亜鉛メッキ蒸発除去効果が得られ、第2溶接パターン溶接時の溶融金属量が増加して、鋼板16,17の溶接対象部14の隙間に対しロバストな溶接部を形成することができる。
この場合、溶接対象部14において、第1溶接パターンの半径をxRとし、第2溶接パターンの半径をRとした場合、第2溶接パターンの半径Rに対し、第1溶接パターンの半径を約0.707Rとすることで溶接対象部14の1/2の面積を囲繞する第1溶接パターンにより、第1溶接パターンの領域と第2溶接パターンの領域とが均等に予熱されると考えられる
2〕また、図6に示すように、「渦巻き」型溶接パターン24でもよい。即ち、第1溶接パターンが第2溶接パターン23に渦巻き状に連なる渦巻き状溶接パターン22となる形状としてもよい。この溶接パターンにより、第1溶接パターン溶接時の熱が溶接対象部14の全域に広がる予熱効果と、亜鉛メッキ蒸発除去効果が得られ、第2溶接パターン溶接時の溶融金属量が増加する。
3〕実施例では、低融点金属メッキを亜鉛メッキ15としたが、その他、亜鉛合金メッキ、沸点109℃のマグネシウム合金メッキ、アルミニウム合金メッキ等でもよい。母材の融点よりも低い融点の低融点金属メッキであれば、本発明の適用が可能である。
4〕実施例では、亜鉛メッキ15が形成された上側鋼板16と下側鋼板17の溶接対象部14をレーザ溶接したが、亜鉛メッキ15が形成されていない上側鋼板と、亜鉛メッキが形成された下側鋼板17の溶接対象部14をレーザ溶接してもよい。また、下側鋼板は、複数枚であってもよく、それらは亜鉛メッキが形成されたものでも、形成されていないものでもよい。
5〕本発明のレーザ溶接方法は、自動車、鉄道車両、航空機などの生産ラインに適用可能であり、その適用分野や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態が実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
レーザ溶接装置の概要とスキャナ加工ヘッドの概要を示す図である。 亜鉛メッキ鋼板の重ね合わせ部の溶接対象部の拡大斜視図である。 第1溶接パターンと第2溶接パターンの拡大図である。 接合部の引張り剪断強度を示すデータである。 変更形態に係る溶接パターンを示す図である。 変更形態に係る溶接パターンを示す図である。
LA レーザ光
14 溶接対象部
15 亜鉛メッキ
16、17 鋼板
18、21、22 第1溶接パターン
19、23 第2溶接パターン
25 重ね合わせ部

Claims (5)

  1. 低融点金属メッキが形成された鋼板を含む複数の鋼板を重ね、前記鋼板の重ね合わせ部にレーザ光を照射して複数の鋼板をスポット状に溶接するレーザ溶接方法において、
    前記鋼板における外形がほぼ円形の溶接対象部の外周よりも内側の領域内に、溶接対象部の全域を予熱可能な第1溶接パターンとなるように前記鋼板中の鉄が融点以上となる高エネルギー密度のレーザ光を照射して溶接する第1工程と、
    次に溶接対象部の外周部に沿った環状の第2溶接パターンとなるようにレーザ光を照射して溶接する第2工程とを備えたことを特徴とするレーザ溶接方法。
  2. 前記第1溶接パターンが溶接対象部の中心で交差する複数の直線状溶接パターンからなり、前記第2溶接パターンが複数の直線状溶接パターンの外側端部を通過する円環状溶接パターンからなることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  3. 前記第1溶接パターンが溶接対象部の中心を中心とし且つ溶接対象部の面積の約1/2の面積を囲繞する円環状溶接パターンからなることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  4. 前記第1溶接パターンが前記第2溶接パターンに渦巻き状に連なる渦巻き状溶接パターンからなることを特徴とする請求項1に記載のレーザ溶接方法。
  5. 前記低融点金属メッキが形成された鋼板が、亜鉛メッキを形成した鋼板であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のレーザ溶接方法。
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