JP7328835B2 - 溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、溶接方法に関する。
レーザ光を照射することで複数の被溶接材料同士を溶接する方法がある。例えば、銅などを含む被溶接材料に近赤外領域に波長をもつレーザ光を照射することで溶接しようとすると、レーザ光の吸収率が低い(すなわち、レーザ光の反射率が高い)ために溶け込みが安定せず、安定した溶接が困難であるという問題がある。
岡本 康寛、"銅の微細レーザ溶接における光吸収率と溶け込み深さの安定化に関する検討"、[online]、公益財団法人天田財団、[平成31年2月19日検索]、インターネット<URL:http://www.amada-f.or.jp/r_report2/kkr/31/AF-2015221.pdf>
本発明が解決しようとする課題は、レーザ光の吸収率が低い被溶接材料を溶接する場合にも安定した溶接が可能な溶接方法を提供することである。
実施形態に係る溶接方法は、準備工程と、溶接工程と、を含む。準備工程では、第1被溶接材料及び第2被溶接材料を準備する。溶接工程では、第1被溶接材料及び第2被溶接材料の少なくとも一方にレーザ光を照射することで、第1被溶接材料及び第2被溶接材料を溶接する。第1被溶接材料及び第2被溶接材料の少なくとも一方は、第1部分と第2部分とを有する。第2部分のレーザ光吸収率は、第1部分のレーザ光吸収率よりも高い。溶接工程では、第2部分にレーザ光を照射することで、第1被溶接材料及び第2被溶接材料を溶接する。
図1(a)~図1(c)は、実施形態に係る溶接方法のフローを模式的に表す説明図である。 実施形態に係る溶接方法の準備工程における表面処理加工を模式的に表す説明図である。 実施形態に係る溶接方法の溶接工程を模式的に表す説明図である。 実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分周辺を模式的に表す断面図である。 実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の一部を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。 実施形態の変形例に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の一部を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。 実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の断面を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。 実施形態の変形例に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の断面を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)~図1(c)は、実施形態に係る溶接方法のフローを模式的に表す説明図である。
図1(a)~図1(c)に表したように、実施形態に係る溶接方法は、準備工程と、溶接工程と、を含む。
実施形態に係る溶接方法では、まず、図1(a)及び図1(b)に表したように、溶接の対象となる第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを準備する(準備工程)。
第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bの少なくとも一方は、第1部分11と第2部分12とを有する。第2部分12のレーザ光吸収率は、第1部分11のレーザ光吸収率よりも高い。換言すれば、第2部分12のレーザ光反射率は、第1部分11のレーザ光反射率よりも低い。
この例では、第1被溶接材料10aは第1部分11aと第2部分12aとを有し、第2被溶接材料10bは、第1部分11bと第2部分12bとを有する。すなわち、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bの両方が、第1部分11と第2部分12とを有する。なお、第1部分11及び第2部分12は、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bの一方にだけ形成されてもよい。
準備工程においては、まず、図1(a)に表したように、母材1a及び母材1bを準備する。母材1a及び母材1bは、例えば、金属を含む。母材1a及び母材1bは、例えば、銅またはアルミニウムを含む。母材1a及び母材1bは、同じ材質でもよいし、異なる材質でもよい。
準備工程においては、次に、図1(b)に表したように、母材1aの一部及び母材1bの一部に対して、レーザ光吸収率を向上させるための表面処理加工を施す。これにより、レーザ光吸収率が相対的に低い部分(すなわち、第1部分11)とレーザ光吸収率が相対的に高い部分(すなわち、第2部分12)とを有する第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bが作製される。
つまり、母材1a及び母材1bのうち、表面処理加工を施されレーザ光吸収率が向上した部分が第2部分12になり、表面処理加工を施されずレーザ光吸収率が向上しなかった部分が第1部分11になる。このように、母材1a及び母材1bに表面処理加工を施すことで、均一なレーザ光吸収率を有する母材1a及び母材1bから、レーザ光吸収率が相対的に低い第1部分11とレーザ光吸収率が相対的に高い第2部分12とを有する第1被溶接材料10aまたは第2被溶接材料10bを作製することができる。表面処理加工については、後述する。
実施形態に係る溶接方法では、次に、図1(b)及び図1(c)に表したように、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bの少なくとも一方にレーザ光を照射することで、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを溶接する(溶接工程)。この例では、溶接工程において、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bの両方にレーザ光を照射している。
溶接工程においては、第2部分12にレーザ光を照射することで、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを溶接する。この例では、溶接工程において、第1被溶接材料10aの第2部分12a及び第2被溶接材料10bの第2部分12bの両方にレーザ光を照射することで、第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを溶接する。
第2部分12にレーザ光が照射されると、第2部分12及びその周辺は加熱されて溶融する。その後、溶融した部分が冷却されて凝固すると、ビード15が形成される。ビード15により、第1被溶接材料10aと第2被溶接材料10bとが接合される。溶接工程については、後述する。
上述のように、第2部分12のレーザ光吸収率は、第1部分11のレーザ光吸収率よりも高い。そのため、溶接工程においてレーザ光吸収率が相対的に高い第2部分12にレーザ光を照射することで、照射されたレーザ光を十分に吸収させることができる。換言すれば、溶接工程においてレーザ光を照射する部分のレーザ光吸収率を相対的に高くしておくことで、溶接工程においてレーザ光を照射した際に、照射されたレーザ光を十分に吸収させることができる。これにより、レーザ光の吸収率が低い被溶接材料を溶接する場合にも、溶接工程においてレーザ光を十分に吸収させて溶け込みを安定化させることができ、安定した溶接を行うことができる。
また、実施形態によれば、溶接工程においてレーザ光吸収率が相対的に高い第2部分12にレーザ光を照射することで、レーザ光を十分に吸収させることができるため、溶接工程におけるレーザの照射時間を短縮できる。これにより、歩留まりを向上できるとともに、スパッタの発生を抑制できる。
また、通常、銅などを含む被溶接材料を溶接する場合には、レーザ光の吸収率が低い(すなわち、レーザ光の反射率が高い)ために、高出力でレーザ光を照射することが求められる。したがって、銅などを含む被溶接材料を溶接する場合には、ビード15の幅や深さを調節することが難しい。これに対し、実施形態によれば、溶接工程においてレーザ光吸収率が相対的に高い第2部分12にレーザ光を照射するため、低出力でレーザ光を照射した場合にも、被溶接材料を溶接することができる。したがって、ビード15の幅や深さを調節し、より微細な溶接をすることができる。
また、実施形態においては、第2部分12の幅を調節することで、ビード15の幅を調節することができる。すなわち、第2部分12の幅を広くしてビード15の幅を広くしたり、第2部分12の幅を狭くしてビード15の幅を狭くしたりすることができる。
また、実施形態においては、照射されるレーザ光の出力を調節することで、ビード15の深さを調節することができる。すなわち、照射されるレーザ光の出力を小さくしてビード15の深さを浅くしたり、照射されるレーザ光の出力を大きくしてビード15の深さを深くしたりすることができる。
なお、図1(a)~図1(c)では、第1被溶接材料10aと第2被溶接材料10bとを突合せ継手で溶接する場合を例示しているが、実施形態に係る溶接方法における継手は、これに限定されない。実施形態に係る溶接方法における継手は、例えば、T継手、かど継手、及び重ね継手などでもよい。
例えば、第1被溶接材料10aと第2被溶接材料10bとを重ね、第1被溶接材料10a側からレーザ光を照射して重ね継手で溶接する場合には、溶接工程において第1被溶接材料10aにのみレーザ光が照射される。したがって、この場合には、第1被溶接材料10aにのみ第2部分12を形成し、第2被溶接材料10bには第2部分12を形成しなくてもよい。換言すれば、この場合には、第1被溶接材料10aになる母材1aにのみ表面処理加工を施し、第2被溶接材料10bになる母材1bには表面処理加工を施さなくてもよい。
また、実施形態においては、予め第1部分11と第2部分12とが形成された第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを用いてもよい。このような第1被溶接材料10a及び第2被溶接材料10bを用いる場合には、母材1a及び母材1bに対する表面処理加工は省略可能である。
図2は、実施形態に係る溶接方法の準備工程における表面処理加工を模式的に表す説明図である。
図2に表したように、表面処理加工は、例えば、レーザアブレーションにより行われる。レーザアブレーションは、レーザ光の照射により部材の表面を加工する技術である。レーザアブレーションにおいては、レーザ装置50から照射されたレーザ光をレンズ55で集光し、母材1aの一部及び母材1bの一部に照射する。
母材1aのうち、レーザ光が照射された部分は、レーザ光により改質されて第2部分12aになり、レーザ光が照射されなかった部分は、改質されずに残る(すなわち、第1部分11aになる)。同様に、母材1bのうち、レーザ光が照射された部分は、レーザ光により改質されて第2部分12bになり、レーザ光が照射されなかった部分は、改質されずに残る(すなわち、第1部分11bになる)。
例えば、表面処理加工を薬剤により行うことが考えられるが、この方法では、表面処理加工後の洗浄が不十分だと溶接工程においてビード15に薬剤(不純物)が混入し、溶接の品質が低下するおそれがある。また、表面処理加工を行わずに、レーザ光吸収率を向上させるシートなどを第1被溶接材料10aや第2被溶接材料10bに貼り付ける方法も考えられるが、この方法では、シートに含まれる成分(不純物)が溶接工程においてビード15に混入し、溶接の品質が低下するおそれがある。
これに対し、表面処理加工をレーザアブレーションにより行うことで、ビード15に不純物が混入することを抑制でき、溶接の品質が低下することを抑制できる。また、表面処理加工を薬剤により行う場合やレーザ光吸収率を向上させるシートなどを第1被溶接材料10aや第2被溶接材料10bに貼り付ける場合に比べて、手間やコストを低減することができる。
レーザアブレーションに用いられるレーザ装置50は、例えば、パルス状の出力を一定の繰り返し周波数(パルス幅)で発振するパルスレーザである。レーザ装置50は、例えば、フェムト秒レーザまたはピコ秒レーザである。換言すれば、レーザアブレーションにおいて照射されるレーザ光のパルス幅は、例えば、数フェムト秒または数ピコ秒である。また、レーザアブレーションにおいて照射されるレーザ光の波長は、例えば、300nm以上1070nm以下である。
このように、フェムト秒レーザまたはピコ秒レーザを用いることで、レーザ照射時の熱によって母材1aまたは母材1bが変形したり、母材1aまたは母材1bの材質が変化したりするなどの影響が生じることを抑制できる。また、フェムト秒レーザまたはピコ秒レーザを用いることで、より微細な加工をすることができる。すなわち、母材1aや母材1bの所望の位置に所望の大きさで第2部分12を形成することができる。
図3は、実施形態に係る溶接方法の溶接工程を模式的に表す説明図である。
図3に表したように、溶接工程においては、例えば、レーザ装置51から照射されたレーザ光をレンズ55で集光し、第1被溶接材料10aの第2部分12a及び第2被溶接材料10bの第2部分12bに照射する。
第1被溶接材料10aのうち、レーザ光が照射された第2部分12aは、レーザ光により溶融してビード15になり、レーザ光が照射されなかった第1部分11aは、溶融せずに残る。同様に、第2被溶接材料10bのうち、レーザ光が照射された第2部分12bは、レーザ光により溶融してビード15になり、レーザ光が照射されなかった第1部分11bは、溶融せずに残る。
溶接工程に用いられるレーザ装置51は、例えば、一定の出力を連続して発振するCW(Continuous Wave)レーザである。レーザ装置51は、パルスレーザでもよい。また、溶接工程において照射されるレーザ光の波長は、例えば、1020nm以上1070nm以下、好ましくは1060nmである。
実施形態において、溶接工程後には、第2部分12が残らないことが好ましい。換言すれば、第2部分12は、溶接工程においてレーザ光が照射される部分をカバーする最小限の範囲に設けられることが好ましい。
図4は、実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分周辺を模式的に表す断面図である。
図5は、実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の一部を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。
図4は、図1(b)に示したA1-A2線による断面図である。
図4及び図5に表したように、第2部分12は凹凸を有する。例えば、第2部分12の表面粗さは、第1部分11の表面粗さよりも大きい。
より具体的には、第2部分12は、例えば、粒状の突起13を有する。ここで、粒状の突起13とは、レーザ光が照射される側に向かって球状に突出した部分である。
このように、第2部分12が粒状の突起13を有することで、より効果的にレーザ光の吸収率を向上させることができる。これは、溶接工程においてレーザ光が照射された際に、レーザ光が粒状の突起13によって散乱し、散乱したレーザ光が粒状の突起13の隙間に入射することで、反射されずに第2部分12に吸収されやすくなるためと考えられる。
粒状の突起13の外接円の直径R1の平均は、例えば、10nm以上100nm以下である。粒状の突起13がこのような大きさであれば、より効果的にレーザ光の吸収率を向上させることができる。粒状の突起13の外接円の直径R1の平均は、例えば、図5に示したような電子顕微鏡写真の所定範囲内に存在する粒状の突起13の外接円の直径R1の平均として求めることができる。
第2部分12に存在する粒状の突起13の密度は、例えば、1万個/mm以上100万個/mm以下である。粒状の突起13の密度がこのような密度で第2部分12に存在すれば、より効果的にレーザ光の吸収率を向上させることができる。
表面処理加工による加工の深さd1は、例えば、0.1mm以下、好ましくは0.01mm以下である。加工の深さd1は、レーザ光が照射される方向における第1部分11と第2部分12との間の距離である。
このように、加工の深さd1を0.1mm以下とすることで、表面処理加工による寸法の変化を抑制できる。また、このような加工の深さd1であれば、表面処理加工に要する時間が短いため、表面処理加工時の熱によって母材1aまたは母材1bが変形したり、母材1aまたは1bの材質が変化したりするなどの影響が生じることを抑制できる。
粒状の突起13の大きさ、粒状の突起13の密度、及び表面処理加工による加工の深さd1は、例えば、表面処理加工を行う際の加工条件により調節することができると考えられる。より具体的には、例えば、表面処理加工をレーザアブレーションで行う場合、パルスレーザの出力、パルス幅、及びレーザ光の照射時間の少なくともいずれかを調節することで、粒状の突起13の大きさ、粒状の突起13の密度、及び表面処理加工による加工の深さd1を調節することができると考えられる。
レーザアブレーションにおいて照射されるレーザ光のパルス幅は、100ピコ秒以下であることが好ましい。パルス幅が100ピコ秒以下であれば、パルス幅が100ピコ秒を超える場合と比べて、粒状の突起13が形成されやすい。したがって、表面処理加工後の第2部分12において、レーザ光の吸収率を向上させやすい。
また、実施形態においては、レーザアブレーションを行う際の雰囲気によって、粒状の突起13の大きさなどを調節することもできる。レーザアブレーションは、例えば、酸素含有雰囲気下または不活性ガスにより酸素をパージした不活性ガス雰囲気下で行われる。不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、またはアルゴンである。ヘリウム及びアルゴンのガス粘度は、窒素のガス粘度よりも低い。このため、ヘリウムまたはアルゴンを用いることで、窒素を用いた場合と比べて、第2部分12におけるボイドの発生を抑制することができる。
以下、レーザアブレーションを行う際の雰囲気の違いによる表面処理加工後の第2部分12の状態の違いについて説明する。
図6は、実施形態の変形例に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の一部を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。
図7は、実施形態に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の断面を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。
図8は、実施形態の変形例に係る溶接方法における被溶接材料の第2部分の断面を拡大して表す電子顕微鏡写真の一例である。
図5は、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の一部を表している。また、図7は、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の断面を表している。一方、図6は、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の一部を表している。また、図8は、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の断面を表している。
図5及び図6に表したように、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の粒状の突起13の外接円の直径R2の平均は、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の粒状の突起13の外接円の直径R1の平均よりも大きい。つまり、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の粒状の突起13の大きさは、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の粒状の突起13の大きさよりも大きい。不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合、粒状の突起13のサイズ(直径R2)は、数十nmから数μmまでの範囲で分布しているが、基本的には、ミー散乱理論により直径380nm以上で散乱効率が高くなり、直径380nm以上のサイズなら同じ効果を示す。
このように、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行うことで、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行う場合よりも、第2部分12の粒状の突起13を大きくすることができる。これにより、第2部分12のレーザ光の吸収率を向上させることができる。
一方、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合、第2部分12は、雰囲気中の酸素により酸化される。母材1a及び母材1bが銅またはアルミニウムを含む場合、第2部分12の銅またはアルミニウムは、酸化されて黒色の酸化銅または酸化アルミニウムになる。これにより、第2部分12のレーザ光の吸収率を向上させることができる。
また、図7及び図8に表したように、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の改質領域の深さL2は、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合の第2部分12の改質領域の深さL1よりも大きい。
このように、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行うことで、酸素含有雰囲気下でレーザアブレーションを行う場合よりも、第2部分12を深い位置まで改質させることができる。これにより、第2部分12のレーザ光の吸収率を向上させることができる。第2部分12の改質領域の深さが大きいほど、第2部分12のレーザ光の吸収率を向上させることができる。
また、図8に表したように、不活性ガス雰囲気下でレーザアブレーションを行った場合、第2部分12は、櫛状に改質される。レーザ光が櫛状に改質された第2部分12の隙間に入射することで、第2部分12のレーザ光の吸収率をさらに向上させることができる。
以上のように、実施形態によれば、レーザ光の吸収率が低い被溶接材料を溶接する場合にも安定した溶接が可能な溶接方法を提供することができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1a、1b…母材、 10a…第1被溶接材料、 10b…第2被溶接材料、 11、11a、11b…第1部分、 12、12a、12b…第2部分、 13…粒状の突起、 15…ビード、 50、51…レーザ装置、 55…レンズ、 d1…深さ、 L1、L2…深さ、 R1、R2…直径

Claims (4)

  1. 第1被溶接材料及び第2被溶接材料を準備する準備工程と、
    前記第1被溶接材料及び前記第2被溶接材料の少なくとも一方にレーザ光を照射することで、前記第1被溶接材料及び前記第2被溶接材料を溶接する溶接工程と、
    を備え、
    前記第1被溶接材料及び前記第2被溶接材料の前記少なくとも一方は、第1部分と、前記第1部分のレーザ光吸収率よりも高いレーザ光吸収率を有する第2部分と、を有し、
    前記溶接工程において、前記第2部分に前記レーザ光を照射することで、前記第1被溶接材料及び前記第2被溶接材料を溶接し、
    前記準備工程において、母材の一部にレーザ光吸収率を向上させるための表面処理加工を施すことで、前記第1部分及び前記第2部分を有する前記第1被溶接材料及び前記第2被溶接材料の少なくとも一方を作製し、
    前記第2部分は、粒状の突起を有し、
    前記粒状の突起の密度は、1万個/mm 以上100万個/mm 以下であり、
    前記粒状の突起の外接円の直径の平均は、10nm以上100nm以下である、溶接方法。
  2. 前記表面処理加工は、レーザアブレーションにより行われる、請求項記載の溶接方法。
  3. 前記レーザアブレーションにおいて照射されるレーザ光のパルス幅は、100ピコ秒以下である、請求項記載の溶接方法。
  4. 前記表面処理加工による加工の深さは、0.1mm以下である、請求項1~3のいずれか1つに記載の溶接方法。
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