JP7416999B2 - レーザ・アークハイブリッド溶接装置 - Google Patents
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Description
本開示は、レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置に関する。
特開2005-40806号公報(特許文献1)は、被溶接材の少なくとも一方が亜鉛メッキ鋼板でありかつ継手部にギャップを有する溶接継手を、アーク発生部にレーザを照射しながら溶接するレーザ照射アーク溶接方法を開示する。この溶接方法では、レーザの照射部がデフォーカスになるように設定される。これにより、亜鉛メッキを幅広く除去して溶融池に亜鉛ガスが混入するのを防止することによりブローホール及びピットの発生を抑制するとともに、溶融金属がギャップ全体に十分に充填される(特許文献1参照)。
接合部への単位面積あたりの入熱量(以下、単に「入熱量」と称する場合がある。)が多いと、溶接中に生成される溶融池の温度(溶融温度)が高くなり、溶融池の深さ(溶込深さ)も深くなる。このため、溶融池の凝固速度が遅くなり、その結果、溶接に伴ない生成される金属間化合物(たとえば、アルミニウム板と鋼板との溶接時に生成されるアルミニウムと鉄との合金等)の生成量が多くなる。金属間化合物は、母材自体に比べて脆いため、金属間化合物の生成量が多くなると、接合強度が低下する。
レーザは、通常、照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度を最大にするために、照射領域においてフォーカスが合うように調整される。しかしながら、この場合、接合部における入熱量が多くなることにより、上記の問題が発生する可能性がある。一方、入熱量が減少すると、溶接ビードと母材との接合面積が減少し、その結果、接合強度が低下する可能性がある。接合面積の減少による接合強度の低下は、溶接ビード幅を大きくすることで解消可能である。
特許文献1に記載の溶接手法は、レーザの焦点をデフォーカスしているので、接合部における入熱量を抑制可能である。しかしながら、照射領域における照射エネルギ密度分布は、通常、照射領域の中央部においてエネルギ強度が最大であり、中央部から遠ざかるに従って強度が低下するので、上記の溶接手法では、中央部から離れた部位において入熱量が不足し、接合強度が不足する可能性がある。中央部から離れた部位において入熱量を確保しようとすれば、中央部における入熱量が増加するため、上述した金属間化合物の生成量増加を招く。
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、接合部への単位面積あたりの入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成して接合強度を確保可能なレーザ・アークハイブリッド溶接装置を提供することである。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置は、レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置であって、接合部に向けてレーザを照射するように構成されたレーザトーチと、接合部との間にアークを発生させるように構成された溶接トーチとを備える。レーザトーチは、レーザが照射される照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度分布を調整するように構成された調整機構を含む。調整機構は、レーザトーチに調整機構が設けられない場合に比べて照射領域の面積を拡大するように構成される。調整機構によって調整される照射エネルギ密度の分布は、照射領域の中央部における照射エネルギ密度以上の照射エネルギ密度を有する部位が中央部以外に存在する分布プロフィールを有する。
この溶接装置によれば、上記の調整機構を設けることによって、レーザ照射領域の面積が拡大される。そして、その照射領域における照射エネルギ密度分布が上記のような分布プロフィールを有するので、照射領域の中央部における入熱量を抑制しつつ、中央部以外の部位における入熱量を高めることができる。したがって、接合部への単位面積あたりの入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成することが可能となる。その結果、接合強度を確保することができる。
調整機構によって調整される照射エネルギ密度分布は、照射領域において均一であってもよい。
この溶接装置によれば、生成される金属間化合物が一部に集中することのない、品質の高い溶接ビードを形成することができる。
調整機構によって調整される照射エネルギ密度分布は、照射領域の中央部における照射エネルギ密度以上の照射エネルギ密度を有する部位が中央部の周囲に環状に形成された分布プロフィールを有してもよい。
この溶接装置によれば、照射領域の中央部における照射エネルギ密度を抑制しつつ、中央部の周囲における照射エネルギ密度を高めることができる。したがって、照射領域の中央部における入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成することが可能となる。その結果、接合強度を確保することができる。
調整機構は、照射エネルギ密度分布が上記の分布プロフィールを有するように構成された回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)を含んでもよい。
この溶接装置によれば、上記のような回折光学素子を設けるだけで、上記の分布プロフィールを有する照射エネルギ密度分布を照射領域に容易に形成することができる。
調整機構は、照射エネルギ密度分布が上記の分布プロフィールを有するように、照射領域においてレーザを走査するように構成されたレーザスキャン装置を含んでもよい。
この溶接装置によれば、レーザスキャン装置を用いて、上記の分布プロフィールを有する照射エネルギ密度分布を照射領域に形成するので、上記の照射エネルギ密度分布を形成する際の自由度が高い。
本開示のレーザ・アークハイブリッド溶接装置によれば、接合部への単位面積あたりの入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成して接合強度を確保することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
図1は、本開示の実施の形態1に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成を示す図である。図1を参照して、レーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、溶接トーチ10と、溶接ワイヤ20と、溶接電源装置30と、レーザトーチ40と、レーザ発振装置60とを備える。
図1は、本開示の実施の形態1に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成を示す図である。図1を参照して、レーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、溶接トーチ10と、溶接ワイヤ20と、溶接電源装置30と、レーザトーチ40と、レーザ発振装置60とを備える。
このレーザ・アークハイブリッド溶接装置1は、金属同士の接合に用いられ、特に、異材接合の溶接に用いることができる。たとえば、A1050等のアルミニウム板と、GI材やGA材等の溶融亜鉛メッキ鋼板との溶接に、このレーザ・アークハイブリッド溶接装置1を用いることができる。レーザ・アークハイブリッド溶接装置1によって、非溶接材70の一方と他方とが、たとえば、重ね隅肉溶接継手やフレア溶接継手等によって接合される。
溶接トーチ10及び溶接電源装置30は、アーク溶接を行なうための機器である。溶接トーチ10は、非溶接材70の接合部に向けて、溶接ワイヤ20及び図示しないシールドガスを供給する。溶接トーチ10は、溶接電源装置30から溶接電流の供給を受け、溶接ワイヤ20の先端と非溶接材70の接合部との間にアーク25を発生させるとともに、溶接部に向けてシールドガス(アルゴンガスや炭酸ガス等)を供給する。
溶接電源装置30は、アーク溶接を行なうための溶接電圧及び溶接電流を生成し、生成された溶接電圧及び溶接電流を溶接トーチ10へ出力する。また、溶接電源装置30は、溶接トーチ10における溶接ワイヤ20の送り速度も制御する。
レーザトーチ40及びレーザ発振装置60は、レーザによる溶接を行なうための機器である。レーザトーチ40は、レーザ発振装置60からレーザ光の供給を受け、非溶接材70の接合部に向けてレーザを照射する。
本開示に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置では、レーザトーチは、非溶接材70においてレーザが照射される照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度の分布を調整する調整機構を含む。本実施の形態1では、調整機構は、レーザトーチ40に調整機構が設けられない場合に比べてレーザの照射領域の面積を拡大し、かつ、照射領域における照射エネルギ密度分布が略均一となるように、照射領域における照射エネルギ密度分布を調整する。そして、本実施の形態1では、そのような調整機構として、レーザトーチ40にDOEが設けられる。レーザトーチ40の構成については、後ほど説明する。
上記のような調整機構が設けられることにより、接合部への入熱量を抑制しつつ広いビード幅を形成することが可能となる。その結果、接合部の接合強度を確保することができる。以下、この点について詳しく説明する。
上述のように、接合部への入熱量(単位面積あたりの入熱量)が多いと、溶融池の凝固速度が遅くなることにより、溶接に伴なって生成される金属間化合物の生成量が多くなる。たとえば、アルミニウム板と亜鉛メッキ鋼板との溶接を行なう場合、溶接によりアルミニウムと鉄との合金(FeAl、Fe3Al、Fe2Al5、FeAl3等)である金属間化合物が接合部に生成され、接合部への入熱量が多いほどその生成量が多くなる。このような金属間化合物は、母材に比べて脆いため、金属間化合物の生成量が多くなると、接合強度が低下する。
レーザは、通常、照射領域における照射エネルギ密度(単位面積あたりの照射エネルギ量)を高めて効果的に部材を溶融するために、照射領域においてフォーカスが合うように焦点が調整される。しかしながら、この場合、照射領域において照射エネルギ密度が最高となる照射領域中央部の入熱量が多くなり、上述のように、金属間化合物の生成量が増加することにより接合強度が低下する可能性がある。
そこで、金属間化合物の生成量を抑制するために入熱量を減少させることが考えられるが、入熱量が減少すると、溶接ビードと母材との接合面積が減少し、その結果、接合強度が低下する可能性がある。接合面積の減少による接合強度の低下は、溶接ビード幅を大きくすることで解消可能である。
照射領域中央部の入熱量を抑制するために、レーザの焦点をデフォーカスすることが考えられる。しかしながら、レーザの照射領域における照射エネルギ密度分布は、通常、照射領域中央部においてエネルギ強度が最大であり、中央部から遠ざかるに従って強度が低下するため、レーザをデフォーカスすると、中央部から離れた部位(照射領域周辺部)における入熱量も抑制される。このため、溶接ビード幅を十分に拡大することができない。このように、レーザをデフォーカスしても、照射領域中央部の入熱量を抑制しつつ溶接ビード幅を拡大することはできない。
そこで、本実施の形態1に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置1では、レーザの照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度分布を調整する調整機構がレーザトーチ40に設けられる。そして、この調整機構によって、調整機構が設けられない場合に比べて照射領域の面積を拡大するとともに、照射領域における照射エネルギ密度分布が均一となるように照射エネルギ密度分布が調整される。なお、均一とは、厳密に一様である必要はなく、たとえば、任意の2点における照射エネルギ密度の差が、照射領域における照射エネルギ密度の平均値の数%以内である場合も、照射エネルギ密度分布が均一であるとする。
このような調整機構が設けられることにより、照射領域の中央部における入熱量を抑制しつつ、広いビード幅を形成することができる。その結果、接合部の接合強度を確保することができる。
図2は、実施の形態1におけるレーザトーチ40の構成を概略的に示す図である。図2を参照して、レーザトーチ40は、回折光学素子(以下「DOE」と称する。)41と、レンズ42とを含む。レーザ発振装置60から出力されたレーザ光は、DOE41及びレンズ42を通過し、非溶接材70の照射領域80に照射される。
DOE41は、上記の調整機構に相当するものであり、レーザ発振装置60から受けるレーザ光を、回折現象を利用して所望のビームパターンに加工する。具体的には、DOE41は、レーザ発振装置60から受ける入射光を幾何学的に分散し、入射光よりも広幅のビームパターンに加工する。たとえば、図3に示されるように、DOE41は、レーザ発振装置60から受ける入射光を複数のビーム43に分散して出力する。なお、この例では、DOE41は、放射状(円形状)にレーザ光を分散させているが、たとえば行列状(長方形或いは正方形)にレーザ光を分散させてもよい。
レンズ42は、DOE41によって加工されたレーザ光を集光して、非溶接材70に向けて出力する。このようなDOE41が設けられることによって、非溶接材70上の照射領域80におけるレーザの照射エネルギ密度分布は、照射領域80において均一となる。
図4は、照射領域80におけるレーザの照射エネルギ密度分布を示す図である。図4を参照して、線k1は、レーザトーチ40にDOE41が設けられた本実施の形態1における、照射エネルギ密度分布を示す。線k2は、比較例として、DOE41が設けられない場合の照射エネルギ密度分布を示す。また、線k3は、比較例として、DOE41が設けられない場合であって、かつ、レンズ42によりレーザの焦点をデフォーカスした場合の照射エネルギ密度分布を示す。
DOE41が設けられない場合の照射エネルギ密度の分布プロフィール(線k2)については、レンズ42によりレーザのフォーカスが合わされているので、照射領域の中央部Cにおいて鋭いピークを有する。なお、この場合の中央部Cにおけるエネルギ密度をE1とする。
レーザをデフォーカスした場合の照射エネルギ密度の分布プロフィール(線k3)については、デフォーカスされていることにより、照射領域の中央部Cにおけるピーク高さはE2(E2<E1)に抑えられている。しかしながら、照射領域において、中央部Cから遠ざかるに従って照射エネルギ密度が低下する。このため、中央部Cから離れた部位の入熱量が不足し、溶接ビード幅を十分に拡大できないために接合強度が不足する可能性がある。
これらに対して、本実施の形態1における照射エネルギ密度の分布プロフィール(線k1)は、レーザトーチ40にDOE41が設けられることによって、照射領域80において略均一に調整されている。これにより、照射領域80において、中央部Cにおける照射エネルギ密度を抑制しつつ、中央部Cから離れた部位(たとえば中央部CからA1よりも遠い部位)においても、中央部Cと略同等の照射エネルギ密度Ec1を有する。このような照射エネルギ密度の分布プロフィールにより、照射領域80の中央部Cにおける入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成することができる。その結果、接合部の接合強度を確保することができる。
図5は、重ね継手のすみ肉溶接における接合部の断面の一例を示す図である。図5を参照して、この例では、非溶接材70は、GI材71と、GI材71上に重ねられたアルミニウム板72とを含む。実線で示される溶接ビード73は、本実施の形態1に従うレーザ・アークハイブリッド溶接装置1(以下、単に「溶接装置1」と称する場合がある。)を用いてすみ肉溶接を行なった場合の溶接ビードである。一方、比較例として点線で示される溶接ビード75は、DOE41が設けられていないレーザ・アークハイブリッド溶接装置(以下、「従来タイプの溶接装置」と称する。)を用いてすみ肉溶接を行なった場合の溶接ビードである。
従来タイプの溶接装置によって溶接が行なわれる場合は、レーザの照射領域が狭く(なお、レーザの照射領域が狭いとアークの幅も狭くなる)、かつ、照射領域中央部の照射エネルギ密度が高いために(図4の線k2)、母材への溶込深さが深く、かつ、母材(GI材71)との接触部位76が狭い溶接ビード75が形成される。
これに対して、溶接装置1によって溶接が行なわれる場合は、レーザ照射領域が広く(レーザの照射領域が広いとアークの幅も広くなる)、かつ、照射領域中央部の照射エネルギ密度を抑えつつ照射領域において照射エネルギ密度が均一化されているために(図4の線k1)、母材への溶込深さが抑制され、かつ、母材との接触部位74が上記の接触部位76に対して広い溶接ビード73が形成される。
このように、溶接ビード75に対して、母材への溶込深さが浅く、かつ、母材との接触部位が大きい溶接ビード73が生成される際の凝固速度は、溶接ビード75が生成される際の凝固速度よりも速い。したがって、溶接ビード75における金属間化合物の生成量は、溶接ビード73における金属間化合物の生成量よりも少ない。また、溶接ビード73と母材(GI材71)との接触部位74は、溶接ビード75と母材との接触部位76よりも大きい。以上により、溶接ビード75による接合強度は、溶接ビード73による接合強度よりも高いものとなる。
以上のように、この実施の形態1によれば、DOE41が設けられることにより、照射領域80の中央部における入熱量を抑制しつつ、広い溶接ビード幅を形成することができる。その結果、接合部の接合強度を確保することができる。
また、この実施の形態1によれば、DOE41により、照射領域80における照射エネルギ密度の分布が均一に調整されるので、生成される金属間化合物が一部に集中することのない、品質の高い溶接ビードを形成することができる。
また、この実施の形態1によれば、調整機構としてDOE41を設けるだけで、均一に調整された分布プロフィールを有する照射エネルギ密度分布を照射領域80に容易に形成することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、DOE41によって、非溶接材70上の照射領域80の面積を拡大し、かつ、照射領域80におけるレーザの照射エネルギ密度分布が均一となるようにした。この実施の形態2では、DOEに代えて、非溶接材70に照射されるレーザを非溶接材70上で走査可能なレーザスキャン装置がレーザトーチに設けられ、レーザスキャン装置によりレーザを走査することによって、実施の形態1と同様の照射領域が形成される。
実施の形態1では、DOE41によって、非溶接材70上の照射領域80の面積を拡大し、かつ、照射領域80におけるレーザの照射エネルギ密度分布が均一となるようにした。この実施の形態2では、DOEに代えて、非溶接材70に照射されるレーザを非溶接材70上で走査可能なレーザスキャン装置がレーザトーチに設けられ、レーザスキャン装置によりレーザを走査することによって、実施の形態1と同様の照射領域が形成される。
実施の形態2におけるレーザ・アークハイブリッド溶接装置の全体構成は、図1に示したレーザ・アークハイブリッド溶接装置1と同じである。
図6は、実施の形態2におけるレーザトーチの構成を概略的に示す図である。図6を参照して、このレーザトーチ40Aは、図2に示したレーザトーチ40において、DOE41に代えて、スキャンミラー44と、光軸制御装置45とを含む。
スキャンミラー44及び光軸制御装置45は、本開示における調整機構に相当するものであり、非溶接材70上でレーザを走査可能なレーザスキャン装置を構成する。スキャンミラー44は、レーザ発振装置60から受けるレーザ光を反射してレンズ42へ出力する。スキャンミラー44は、光軸制御装置45によって向きを変更可能に構成されており、レンズ42を通じて照射されるレーザ光の照射位置81を変更することができる。スキャンミラー44は、たとえば、照射位置81をX方向に変更可能なXスキャンミラーと、照射位置81をY方向に変更可能なYスキャンミラーとを含む。
光軸制御装置45は、スキャンミラー44の角度を変更する駆動装置と、駆動装置を制御することによってレーザ光の照射位置81を調整する制御装置とを含む(いずれも図示せず)。駆動装置は、たとえば、Xスキャンミラーを回転駆動するX軸モータと、Yスキャンミラーを回転駆動するY軸モータとによって構成される。
このような構成により、非溶接材70上でレーザを走査することによって、非溶接材70上に、図2に示した照射領域80と同等の照射領域82を形成することができる。なお、レーザの走査位置とともに、レーザの出力及び走査速度を適宜調整することによって、照射領域82における照射エネルギ密度の分布プロフィールを図4の線k1のように調整することが可能である。
以上のように、この実施の形態2によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、この実施の形態2によれば、スキャンミラー44及び光軸制御装置45(レーザスキャン装置)を用いて、所望の分布プロフィールを有する照射エネルギ密度分布を照射領域に形成するので、照射エネルギ密度分布を形成する際の自由度が高い。
なお、上記の各実施の形態では、DOE41、或いはスキャンミラー44及び光軸制御装置45(レーザスキャン装置)によって、照射領域における照射エネルギ密度分布が均一に調整されるものとしたが、照射エネルギ密度は、照射領域において必ずしも均一でなくてもよい。
たとえば、図7に示されるように、レーザの照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度の分布は、照射領域の中央部Cを中心とする環状であってもよい。或いは、特に図示しないが、中央部Cから遠ざかるに従って照射エネルギ密度が高くなるような、すり鉢形状の分布プロフィールであってもよい。照射エネルギ密度の分布は、中央部Cにおける照射エネルギ密度以上の照射エネルギ密度を有する部位が中央部C以外に存在する分布プロフィールを有するものであればよい。このような分布プロフィールにより、中央部Cにおける照射エネルギ密度を抑制しつつ、中央部C以外の部位のエネルギ密度を高めることができる。したがって、照射領域中央部の入熱量を抑制しつつ広い溶接ビード幅を形成することが可能となる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 レーザ・アークハイブリッド溶接装置、10 溶接トーチ、20 溶接ワイヤ、30 溶接電源装置、40,40A レーザトーチ、41 DOE、42 レンズ、44 スキャンミラー、45 光軸制御装置、60 レーザ発振装置、70 非溶接材、73,75 溶接ビード、80,82 照射領域。
Claims (2)
- レーザ及びアークを用いたレーザ・アークハイブリッド溶接装置であって、
接合部に向けてレーザを照射するように構成されたレーザトーチと、
前記接合部との間にアークを発生させるように構成された溶接トーチとを備え、
前記レーザトーチは、レーザが照射される照射領域におけるレーザの照射エネルギ密度の分布を調整するように構成された調整機構を含み、
前記調整機構は、前記レーザトーチに前記調整機構が設けられない場合に比べて前記照射領域の面積を拡大するように構成されており、
前記調整機構によって調整される前記照射エネルギ密度の分布は、前記照射領域の中央部における照射エネルギ密度以上の照射エネルギ密度を有する部位が前記中央部以外に存在する分布プロフィールを有し、
前記調整機構によって調整される前記照射エネルギ密度分布は、前記照射領域において均一である、レーザ・アークハイブリッド溶接装置。 - 前記調整機構は、前記照射エネルギ密度分布が前記分布プロフィールを有するように、前記照射領域において前記レーザを走査するように構成されたレーザスキャン装置を含む、請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2023072167A JP7416999B2 (ja) | 2019-02-14 | 2023-04-26 | レーザ・アークハイブリッド溶接装置 |
Applications Claiming Priority (2)
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