JP6454920B2 - シート防水構造およびシート防水構造の施工方法 - Google Patents

シート防水構造およびシート防水構造の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、躯体に防水を施すシート防水構造、および、かかるシート防水構造を施工するシート防水構造の施工方法に関する。
近年、建築物の高耐久化が求められるに伴って、多くの建築物の屋上やベランダ等において、防水シート(樹脂シート)を敷設施工したシート防水構造が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
このシート防水構造では、例えば、床部の少なくとも一部を防水シートで覆う構成をなしているが、防水シートの床部(躯体)への固定は、複数の円盤状をなす固定ディスク(鋼板)を、所定の間隔で床部に固定ビス等を用いて固定し、さらに、これら固定ディスクにおいて、固定ディスクの上面と防水シートとの下面とを接合することで、固定ディスクを介して床部と防水シートとが接合されることにより実施される。これにより、躯体に雨水等に対する防水が施されるとともに、風等に対して防水シートが引き剥がされることなく躯体に固定される。
このような構成のシート防水構造では、台風、突風等の強風下において、防水シートが風に煽られる。そのため、この防水シートの固定ディスクに接合される接合部位において、風で煽られることに起因して応力が生じる。特に、防水シートの接合部位における固定ディスクとの境界部、すなわち、防水シートの固定ディスクの縁部に対応して接合される位置に応力が局所的に作用し、これにより、この境界部において、防水シートに亀裂が生じ、その結果、防水シートの防水性が低下する問題があった。
特開2013−53517号公報
本発明の目的は、防水シートを用いた躯体に防水を施すシート防水構造において、たとえ防水シートが強風下で煽られたとしても、防水シートに亀裂が生じるのを低減して、防水シートにおける防水性の低下が的確に抑制または防止されたシート防水構造、および、かかるシート防水構造が施工されるシート防水構造の施工方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜()に記載の本発明により達成される。
(1) 躯体が有する床部の少なくとも一部を防水シートで覆い、前記躯体に防水を施すシート防水構造であって、
厚さ方向に貫通する貫通孔を有する固定ディスクと、該固定ディスクの表面を覆う樹脂層とを備える樹脂層付き固定ディスクと、
前記樹脂層に固着される前記防水シートと、を有し、
前記防水シートは、前記樹脂層の上面に可溶性溶媒を塗布することで少なくとも表面が溶融状態とされた前記樹脂層に前記防水シートを貼り合わせることにより、前記樹脂層に固着されたものであり、
前記樹脂層と前記防水シートとの間の接合強度をA[N/mm]とし、前記樹脂層と前記固定ディスクとの間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足することを特徴とするシート防水構造。
(2) 前記接合強度Aおよび前記接合強度Bは、それぞれ、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して測定された、面方向に対するピール強度である上記(1)に記載のシート防水構造。
(3) 前記接合強度Aは、35N/mm以上、100N/mm以下である上記(1)または(2)に記載のシート防水構造。
(4) 前記接合強度Bは、5N/mm以上、30N/mm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシート防水構造。
) 前記固定ディスクは、該固定ディスクの上面に接着剤を塗布し、その後、前記樹脂層を前記上面に貼り合わせることにより、前記樹脂層が固着されたものである上記(1)ないし()のいずれかに記載のシート防水構造。
) 前記樹脂層は、その平均厚さが、0.05mm以上である上記(1)ないし()のいずれかに記載のシート防水構造。
) 前記防水シートは、その平均厚さが、0.5mm以上、3mm以下である上記(1)ないし()のいずれかに記載のシート防水構造。
) 躯体が有する床部の少なくとも一部を防水シートで覆い、前記躯体に防水を施すシート防水構造の施工方法であって、
厚さ方向に貫通する貫通孔を有する固定ディスクと、該固定ディスクの表面を覆う樹脂層とを備える樹脂層付き固定ディスクを、前記床部に前記固定ディスクを前記床部側にして配置する配置工程と、
固定ビスを前記貫通孔に貫通して、前記床部に前記樹脂層付き固定ディスクを固定する固定工程と、
前記防水シートで前記床部の少なくとも一部を前記樹脂層付き固定ディスクとともに覆い、かつ、前記樹脂層と前記防水シートとの間の接合強度をA[N/mm]とし、前記樹脂層と前記固定ディスクとの間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足するように、前記防水シートを前記樹脂層に固着する固着工程とを有することを特徴とするシート防水構造の施工方法。
防水シートを用いて躯体に防水を施す、本発明のシート防水構造によれば、たとえ防水シートが強風下で煽られて、防水シートを躯体に固定するために用いられる固定ディスクと防水シートとの接合部位の境界部において、防水シートに局所的に応力が作用したとしても、亀裂が防水シートに生じて、その防水性が低下してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
躯体に施工された本発明のシート防水構造を部分的に取り出した部分斜視図である。 図1に示すシート防水構造のA−A線縦断面図である。 防水シートにおける亀裂の発生の有無を検証するために用いられる繰り返し疲労試験機の模式図である。
以下、本発明のシート防水構造およびシート防水構造の施工方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のシート防水構造10は、躯体100が有する床部101の少なくとも一部を防水シート20で覆い、躯体100に防水を施すものであり、樹脂層付き固定ディスク60と、樹脂層付き固定ディスク60が備える樹脂層(ラミネートシート)62に固着される防水シート20とを有し、樹脂層62と防水シート20との間の接合強度をA[N/mm]とし、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足する。
かかる構成のシート防水構造10とすることで、たとえ防水シート20が強風下で煽られて、防水シート20を床部101(躯体100)に固定するために用いられる樹脂層付き固定ディスク60と防水シート20との接合部位64の境界部65において、防水シート20に局所的に応力が作用したとしても、亀裂が防水シート20に生じ、その結果、その防水性が低下してしまうのを的確に抑制または防止することができる。
以下、このシート防水構造10について詳述する。
<シート防水構造>
図1は、躯体に施工された本発明のシート防水構造を部分的に取り出した部分斜視図、図2は、図1に示すシート防水構造のA−A線縦断面図である。なお、以下の説明では、図1、2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1では、説明の便宜上、シート防水構造の全体を示すことなく、躯体が備える床部と壁部とを部分的に図示している。
本実施形態では、シート防水構造10が施工された、屋上やベランダのような躯体(構造体)100を一例にして説明する。
躯体100は、床部101と、この床部101の外縁を取り囲むように沿って立設して設けられた壁部102とを有している。
シート防水構造10は、この躯体100、すなわち枠体をなす壁部102と、底部を構成する床部101とに対して施工されるものであり、防水シート20と、配置部材50と、樹脂層付き固定ディスク60と、固定ビス70とを有している。
配置部材50は、床部101と壁部102との境界部103に配置され、さらに、複数の樹脂層付き固定ディスク60は、所定(一定)の間隔を開けて床部101に固定ビス70により固定されており、この状態で、防水シート20は、配置部材50、樹脂層付き固定ディスク60および固定ビス70とともに床部101と壁部102とを覆っており、これにより、躯体100の防水性が確保される。
すなわち、日光や雨水には防水シート20が晒されることとなり、躯体100が直接的に日光や雨水に晒されることが防止されるため、躯体100の防水性が確保される。また、樹脂層付き固定ディスク60の上面と防水シート20との下面とが接合されており、これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101と防水シート20とが接合され、その結果、風等に対して防水シート20が引き剥がされることなく躯体100に固定される。
複数(本実施形態では5つ)の樹脂層付き固定ディスク(ラミネートシート付き固定ディスク)60は、前述の通り、所定(一定)の間隔を開けて床部101に固定ビス70により固定され、さらに、この状態で、樹脂層付き固定ディスク60の上面と防水シート20との下面とが接合されている。これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101と防水シート20とが接合され、その結果、防水シート20は、風等に対して引き剥がされることなく躯体100に固定されている。
この樹脂層付き固定ディスク60は、固定ディスク61と、この固定ディスク61の表面を被覆する樹脂で構成される樹脂層(ラミネートシート)62とからなり、全体形状が円盤状をなし、そのほぼ中心部に厚さ方向に貫通する貫通孔63を有している。
この貫通孔63には、固定ディスク61を床部101側にして固定ビス70が挿通され、固定ビス70が備えるビス頭が、樹脂層付き固定ディスク60が備える座繰り部に嵌合した状態で、固定ビス70が床部101に捻じり込み固定されることで、床部101に樹脂層付き固定ディスク60が固定される。
また、樹脂層付き固定ディスク60は、前述の通り、貫通孔63を有する固定ディスク61と、この固定ディスク61の表面を被覆する樹脂層62とで構成される。このように、固定ディスク61の表面を樹脂層62で被覆することで、固定ディスク61の腐食を確実に防止することができ、さらに、この樹脂層62により、樹脂層付き固定ディスク60の上面において、防水シート20の下面に対して確実に接合することができる。
固定ディスク(金属板)61は、平面視で真円状をなし、その縦断面形状が長方形状をなしている。すなわち、中心部側から縁部側に向かって厚さが一定の全体形状が円盤状をなすものである。また、その中心部に厚さ方向に貫通する貫通孔63を有している。
また、この固定ディスク61は、例えば、ステンレス鋼板、鉄板のような鋼板、アルミ板、銅板等で構成されるが、鋼板であるのが好ましい。これにより、樹脂層付き固定ディスク60を優れた強度を有するものとすることができる。
また、固定ディスク61の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上、3mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上、2.5mm以下程度であるのがより好ましい。
さらに、固定ディスク61の直径は、特に限定されないが、20mm以上、150mm以下程度であるのが好ましく、40mm以上、100mm以下程度であるのがより好ましい。
樹脂層62を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。すなわち、後述する防水シート20を構成する樹脂と、同種または同一であることが好ましい。これにより、樹脂層62と防水シート20との密着性を向上させることができる。さらに、ポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、前記効果をより顕著に発揮させることができるとともに、固定ディスク61の腐食をより確実に防止することができる。
また、この樹脂層62を構成する樹脂には、後述する防水シート20の構成材料で挙げる可塑剤、安定化剤等の他の材料が含まれていてもよい。
また、樹脂層62の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上であるのが好ましく、0.3mm以上、0.8mm以下であるのがより好ましい。これにより、防水シート20が風で煽られることに起因して、樹脂層62に応力が作用したとしても、この樹脂層62おいて亀裂や破断が生じるのを的確に抑制することができる。
配置部材50は、前述の通り、床部101と壁部102との境界部103付近に配置されるものである。
この配置部材50は、金属板と、この金属板の表面を被覆する樹脂で構成される樹脂層とからなり、それぞれ全体形状が長方形状をなす底部51と立ち上がり面52とを有している。
これら底部51および立ち上がり面52は、それぞれ、境界部103に配置する際に、床部101および壁部102に対応するように位置設定され、本実施形態では、このような構成の配置部材50が境界部103に沿うように、1つ配置されている。
なお、本実施形態では、配置部材50が1つ前記境界部103に配置されているが、防水が施工される躯体100の形状は、当然、様々であることから、配置部材50としては、複数の種類の形状のものが予め用意され、実際に施工される躯体100が備える境界部103の形状に合致するものが複数選択される。そして、これら配置部材50は、前記境界部103にその形状に対応するように、並べられる。
また、配置部材50は、金属板と、この金属板の表面を被覆する樹脂層とで構成される。このように、金属板の表面を樹脂層で被覆することで、金属板の腐食を確実に防止することができる。
この配置部材50が備える金属板および樹脂層は、それぞれ、前述した樹脂層付き固定ディスク60で挙げた固定ディスク(金属板)61および樹脂層62と同様のもので構成することができる。このように、金属板の表面を樹脂層で被覆することで、金属板の腐食を確実に防止することができる。
また、金属板および樹脂層の厚さは、それぞれ、樹脂層付き固定ディスク60で挙げた固定ディスク(金属板)61および樹脂層62の厚さと同様の範囲の大きさに設定される。
防水シート20は、シート状(板状)をなし、配置部材50、樹脂層付き固定ディスク60および固定ビス70とともに床部101と壁部102とを覆うものである。
これにより、日光や雨水には防水シート20が晒され、躯体100が直接的に日光や雨水に晒されることが防止されることから、躯体100の防水性が確保される。
このような防水シート20は、樹脂材料を含有する樹脂シートで構成される。
樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、防水シート20の溶剤溶着性や熱融着性を優れたものとすることができる。
なお、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわちオリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、およびこれらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
また、樹脂材料には、さらに、各種可塑剤、各種安定化剤、各種酸化防止剤、各種紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、充填材、難燃剤および色材等を含んでいてもよく、特に、可塑剤が含まれることが好ましい。これにより、防水シート20をより優れた柔軟性を有するものとすることができる。
なお、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ−2−エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ−2−エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、安定剤としては、例えば、グリシン亜鉛等が挙げられ、この場合の安定助剤としては、例えば、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリキシリル(TXP)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2−エチルヘキシル・ジフェニルのような有機リン酸エステル等が挙げられる。
以上のことから、防水シート20は、塩化ビニル系樹脂と可塑剤とを含有する塩化ビニル系樹脂シートで構成されることが好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
なお、防水シート20は、前記樹脂シートの単層で構成されるものの他、例えば、その厚さ方向の途中に繊維層が介挿されたもの、すなわち、厚さ方向に積層された第1樹脂層と第2樹脂層との間に繊維層(繊維シート)が挾持された構成のものであってもよい。
この繊維層は、繊維の集合体で構成されたものであり、例えば、織布や不織布等のクロス、縦糸と横糸とで複数の格子を形成したネット等の繊維シートが挙げられるが、防水シート20を、このような繊維層を備えるものとすることにより、防水シート20の強度(引き裂き強度や引っ張り強度等)および耐久性(耐繰り返し疲労特性)を向上させることができる。
また、防水シート20の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上、3mm以下程度であるのが好ましく、0.8mm以上、3mm以下程度であるのがより好ましい。これにより、床部101と壁部102とを、防水シート20により確実に覆うことができる。また、防水シート20が風で煽られることに起因して、この防水シート20に応力が作用したとしても、早期に防水シート20に亀裂が生じるのを的確に抑制することができる。
さて、このような構成のシート防水構造10では、台風、突風等の強風下において、防水シート20が風に煽られる。そのため、この防水シート20の樹脂層付き固定ディスク60(樹脂層62)に接合される接合部位64において、風で煽られることに起因して応力が生じる。特に、防水シート20の接合部位64における樹脂層62との境界部65、すなわち、防水シート20における樹脂層62の縁部に対応して接合される位置に応力が局所的に作用する。
そのため、従来のように、樹脂層62と防水シート20との間の接合強度と、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度との関係を考慮することなく、これら同士を接合すると、施工後に年月を経て、長期に亘って風に煽られることにより、この境界部65において、防水シート20に亀裂が生じ、その結果、防水シート20の防水性が低下する問題があった。
本発明者は、かかる問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、境界部65において、防水シート20に亀裂が生じるのは、樹脂層62と防水シート20との間の接合と、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合とがともに強固になされている際に、顕著に認められることが判ってきた。すなわち、樹脂層62と防水シート20との間の接合と、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合とがともに強固であると、防水シート20が風で煽られる度に、境界部65において防水シート20が繰り返し屈曲され(折り曲げられ)るため、かかる境界部65で防水シート20に亀裂が生じることが判った。
そして、本発明者は、さらに検討を重ねた結果、樹脂層62と防水シート20との間の接合強度をA[N/mm]とし、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足することにより、前記問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、長期に亘って防水シート20が風に煽られると、本発明では、接合強度A[N/mm]と接合強度B[N/mm]とがA>Bなる関係を満足することから、樹脂層62と固定ディスク61との間で剥離が生じる。そのため、防水シート20が風で煽られる度に屈曲する防水シート20の境界部65が、固定ディスク61の縁部から中心部側に経時的に移動することとなり、防水シート20の屈曲する位置(屈曲部)が1点に固定されることを確実に防止することができる。その結果、防水シート20における亀裂の発生が的確に抑制または防止される。さらに、この剥離の際に、剥離された樹脂層62を防水シート20に付着させ(取り込み)ながら、境界部65が移動することとなる。そのため、防水シート20の屈曲時に、境界部65において、取り込まれた樹脂層62が防水シート20を補強する。かかる観点からも、防水シート20における亀裂の発生を的確に抑制または防止することができる。なお、樹脂層62と固定ディスク61との間での剥離が進行して、固定ディスク61から樹脂層62が完全に剥離することで、この固定ディスク61における防水シート20の床部101への固定は解除されるが、シート防水構造10では、複数の樹脂層付き固定ディスク60を介して防水シート20の床部101への固定が実現されている。そのため、このような固定の解除が、1個または数個の固定ディスク61において生じたとしても、防水シート20による防水性は確保される。
以上のことから、防水シート20における亀裂の発生が的確に抑制または防止され、これにより、防水シート20の防水性を長期に亘って維持することができる。
ここで、樹脂層62と防水シート20との間の接合強度A、および、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度Bは、それぞれ、それらの測定方法は特に限定されないが、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して測定された、面方向に対するピール強度であることが好ましい。接合強度A、Bを、それぞれ、面方向に対するピール強度で規定することにより、防水シート20が風に煽られた際に、樹脂層62と防水シート20との間で剥離を生じさせることなく、樹脂層62と固定ディスク61との間で選択的に剥離を確実に生じさせることができる。
なお、これらピール強度(接合強度A、B)は、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して、それぞれ、防水シート20または固定ディスク61に固着(固定)された樹脂層62を、10mmの幅で切れ目を入れた後、その一端を把持し、常温で180°の方向に10mm/分の速度で引き剥がした時の荷重(接着強度)を、ピール剥離試験装置等を用いて測定することで得ることができる。
また、前記接合強度A、Bは、A>Bなる関係、すなわち、1<A/Bなる関係を満足すればよいが、1.2<A/B<15なる関係を満足することが好ましく、2<A/B<7なる関係を満足することがより好ましい。これにより、防水シート20における亀裂の発生をより的確に抑制または防止することができるとともに、樹脂層62と固定ディスク61との間での剥離が顕著に進行して、固定ディスク61における防水シート20の床部101への固定が早期に解除されるのを的確に抑制することができる。
また、具体的には、接合強度Aは、35N/mm以上、100N/mm以下であることが好ましく、40N/mm以上、70N/mm以下であることがより好ましい。これにより、樹脂層62と防水シート20との間で剥離が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、接合強度Bは、5N/mm以上、30N/mm以下であることが好ましく、10N/mm以上、20N/mm以下であることがより好ましい。これにより、樹脂層62と固定ディスク61との間での剥離を確実に生じさせることができるとともに、この剥離が顕著に進行して、固定ディスク61における防水シート20の床部101への固定が早期に解除されるのを的確に抑制することができる。
以上のような構成のシート防水構造10は、例えば、以下に示すシート防水構造の施工方法(本発明のシート防水構造の施工方法)により施工される。
<シート防水構造の施工方法>
本実施形態のシート防水構造の施工方法は、樹脂層付き固定ディスク60と配置部材50とを、躯体100の所定の位置に配置する配置工程と、固定ビス70で床部101に樹脂層付き固定ディスク60を固定する固定工程と、防水シート20で床部101の少なくとも一部を樹脂層付き固定ディスク60とともに覆い、かつ、防水シート20を樹脂層62に固着する固着工程とを有する。
以下、これら各工程について、詳述する。
[1]まず、シート防水構造10を施工すべき躯体100において、樹脂層付き固定ディスク(ラミネートシート付き固定ディスク)60と配置部材50とを、躯体100の所定の位置に配置する(配置工程)。
すなわち、配置部材50を、床部101と壁部102との境界部103に配置するとともに、複数(本実施形態では5つ)の樹脂層付き固定ディスク60を、所定(一定)の間隔(ピッチ)を開けて床部101の上面に配置する。
ここで、樹脂層付き固定ディスク60は、予め、樹脂層62で固定ディスク61の表面(上面)が被覆されたものが用意される。
この樹脂層付き固定ディスク60において、樹脂層62の固定ディスク61の表面への被覆、すなわち、樹脂層62と固定ディスク61との接合は、接着剤を介して接合する接着法、後工程[3]で説明する溶着法および熱融着法等のいずれを用いても行い得るが、中でも、接着法を用いて行われたものであることが好ましい。
この接着法では、具体的には、固定ディスク61の上面に接着剤を塗布し、その後、樹脂層62を、接着剤を介してこの上面に貼り合わせた後、接着剤を固化または硬化させることで、固定ディスク61の表面を樹脂層62で被覆させることができる。
このような接着法を選択することで、接合強度Aと接合強度Bとを、A>Bなる関係を満足するものとなるように、接合強度B、すなわち樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度を、容易に適切な範囲内に設定することができる。より具体的には、接合強度Bを、5N/mm以上、30N/mm以下の範囲内に容易に設定することができる。
なお、接着法を用いて用意された樹脂層付き固定ディスク60は、接着剤(接着剤層)を介して樹脂層62と固定ディスク61とが接合され、溶着法および熱融着法を用いて用意された樹脂層付き固定ディスク60は、接着剤を介することなく樹脂層62と固定ディスク61とが接合されることになるが、樹脂層付き固定ディスク60は、これらの何れのものであってもよく、さらに、樹脂層付き固定ディスク60が接着剤を介して樹脂層62と固定ディスク61とが接合されるものである場合、樹脂層62と固定ディスク61と間における剥離は、樹脂層62と接着剤(接着剤層)との間、または、固定ディスク61と接着剤(接着剤層)との間の何れで生じるものであってもよい。
[2]次に、各樹脂層付き固定ディスク60を、固定ビス70を用いて床部101に固定する(固定工程)。
より具体的には、各樹脂層付き固定ディスク60の貫通孔63に固定ビス70の固定ビス70を挿通して、固定ビス70が備えるビス頭が、樹脂層付き固定ディスク60が備える座繰り部に嵌合した状態で、固定ビス70を床部101に捻じり込み固定する。これにより、樹脂層付き固定ディスク60が固定ビス70で床部101に固定される。
[3]次に、これら配置部材50、樹脂層付き固定ディスク60および固定ビス70とともに床部101と壁部102との表面を防水シート20で覆うとともに、樹脂層付き固定ディスク60と防水シート20とを、樹脂層付き固定ディスク60の上面に位置する樹脂層62と、防水シート20の下面とにおいて接合することで、防水シート20を樹脂層62に固着させる(固着工程)。
これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101に防水シート20が接合され、その結果、躯体100(床部101)に防水シート20が固定される。
この際、本発明では、接合強度Aと接合強度BとがA>Bなる関係を満足するように、防水シート20を樹脂層62に固着させる。これにより、施工されるシート防水構造において、防水シート20における亀裂の発生を的確に抑制または防止することができるため、防水シート20を、その防水性を長期に亘って維持し得るものとすることができる。
この樹脂層付き固定ディスク60と防水シート20との接合は、例えば、I)溶剤で樹脂層62を溶融して接合する溶着法や、II)高周波誘導加熱で樹脂層62を溶融して接合する熱融着法を用いることで行われるが、以下、これらの方法について、それぞれ、説明する。
I)溶着法
この溶着法としては、防水シート20の敷設に先立って、樹脂層付き固定ディスク60が備える樹脂層62を溶融状態とする刷毛溶着法と、防水シート20の敷設の後に、樹脂層62を溶融状態とする注射溶着法とが挙げられる。
(I−1)刷毛溶着法
この刷毛溶着法では、まず、床部101および壁部102の表面に防水シート20を敷設するのに先立って、樹脂層付き固定ディスク60の上面、すなわち、樹脂層(ラミネートシート)62の上面に、刷毛ブラシ等を用いて、溶剤(可溶性溶剤)を塗布(供給)する。これにより、樹脂層62の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
次いで、床部101および壁部102の表面に防水シート20を敷設する。
次いで、防水シート20の上から樹脂層付き固定ディスク60を、作業員の手等により押圧することで、防水シート20の下面を樹脂層62の上面に固定させる。これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101に防水シート20が接合される。
なお、前記溶剤(可溶性溶剤)としては、樹脂層62を溶融状態とし得るものであれば、特に限定されないが、樹脂層62が塩化ビニル系樹脂を含む樹脂で構成される場合、例えば、テトラヒドロフラン(THF)ニトロベンゼン、四塩化炭素、ピリジン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、THFであることが好ましい。THFは、樹脂層62を確実に溶融状態とし得るとともに、揮発性に優れた溶剤であるため、防水シート20の下面と樹脂層62の上面とを強固に固定することができる。
(I−2)注射溶着法
この注射溶着法では、まず、床部101および壁部102の表面に防水シート20を敷設する。
次いで、敷設された防水シート20に対して、樹脂層付き固定ディスク60の上面、すなわち、樹脂層62の上面と、防水シート20の下面との間に、注射器を用いて、注射器が備える注射針が防水シート20を貫通した状態として、溶剤を選択的に供給する。これにより、樹脂層62の上面が溶剤と接触し、その結果、溶融状態とされる。
次いで、注射針を防水シート20から抜いた後、防水シート20の上から樹脂層付き固定ディスク60を、作業員の手等により押圧することで、防水シート20の下面を樹脂層62の上面に固定させる。これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101に防水シート20が接合される。
なお、前記溶剤としては、刷毛溶着法で説明したのと同様のものが用いられる。
II)熱融着法
この熱融着法では、まず、床部101および壁部102の表面に防水シート20を敷設する。
次いで、敷設された防水シート20の上面側から、樹脂層付き固定ディスク60に対応する位置で、高周波を当てる。これにより、固定ディスク61が加熱され、この熱が樹脂層62に伝達されることで樹脂層62が熱溶融状態とされる。
なお、防水シート20の上面側から、樹脂層付き固定ディスク60に高周波を当てる方法としては、特に限定されないが、例えば、高周波融着機が備える高周波ヘッドを、防水シート20の上から樹脂層付き固定ディスク60に押し当てる方法が挙げられる。
次いで、防水シート20の上から樹脂層付き固定ディスク60を、作業員の手等により押圧することで、防水シート20の下面を樹脂層62の上面に固定させる。これにより、樹脂層付き固定ディスク60を介して床部101に防水シート20が接合される。
なお、樹脂層付き固定ディスク60と防水シート20とを接合させる方法は、ここで示したI)溶着法や、II)熱融着法に限定されるものではなく、例えば、前記工程[1]で説明した接着法を用いることもできる。
以上のようなI)溶着法(刷毛溶着法、注射溶着法)、II)熱融着法のうち、樹脂層付き固定ディスク60と防水シート20との接合には、樹脂層付き固定ディスク60(樹脂層62)の上面に可溶性溶媒を塗布することで少なくとも表面が溶融状態とされた樹脂層62に防水シート20を貼り合わせることにより、防水シート20を樹脂層62に固着するI)溶着法を用いることが好ましい。I)溶着法によれば、樹脂層62の裏面(下面)を溶融状態とすることなく、表面(上面)を選択的に溶融状態として樹脂層62に対する防水シート20の固着を実施することができる。そのため、前記工程[1]で用意された樹脂層付き固定ディスク60で設定された樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度Bに変化を生じさせることなく、樹脂層62に対する防水シート20の固着が行われることとなる。換言すれば、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度Bに変化を生じさせることなく、接合強度Aと接合強度Bとを、A>Bなる関係を満足するものとなるように、樹脂層62と防水シート20との間の接合強度Aを適切な範囲内に設定することができる。より具体的には、接合強度Aを、35N/mm以上、100N/mm以下の範囲内に容易に設定することができる。
さらに、I)溶着法の中でも、(I−1)刷毛溶着法を用いることがより好ましい。刷毛溶着法によれば、樹脂層62の上面のほぼ全面に亘って、可溶性溶媒を確実に塗布(供給)することができるため、樹脂層62の上面のほぼ全面で防水シート20との接合部位64を形成することができる。したがって、防水シート20が風で煽られて、防水シート20が屈曲する際に、防水シート20と樹脂層62との間における剥離を生じさせることなく、固定ディスク61と樹脂層62との間で確実に剥離させることができる。そのため、剥離された樹脂層62は、防水シート20に付着することから、屈曲する防水シート20をこの樹脂層62により確実に補強することができる。
以上のような工程を経て、シート防水構造10が躯体100に施工される。
<他の構成>
また、シート防水構造10は、上述した構成のものの他、例えば、以下に示すような他の構成の樹脂層付き固定ディスク60を備えるものであってもよい。
すなわち、他の構成の樹脂層付き固定ディスク60では、このものが備える固定ディスク61は、その上面が、その少なくとも縁部において、上面側に反ったものであってもよい。縁部をかかる構成のものとすることで、作業員の手等により防水シート20の上面を押圧した際に、前記縁部において、防水シート20の下面と樹脂層62の上面とをより確実に固定させることができる。したがって、樹脂層62と固定ディスク61との間の接合強度Bを比較的高いものとしたとしても、防水シート20が風に煽られた際に、樹脂層62と防水シート20との間で剥離を生じさせることなく、樹脂層62と固定ディスク61との間で選択的に剥離を確実に生じさせることができる。
なお、固定ディスク61の上面は、縁部を含む一部が中心部側に対して上面側に反ったものであっても良いし、その全体が中心から縁部側に上面側に反ったものであってもよい。
また、固定ディスク61の下面は、その全体が平坦面で構成されるものであっても良いし、縁部を含む一部が中心部側に対して上面側に反ったものであっても良い。
なお、下面の中心部と、上面の縁部とがなす角度は、好ましくは0°超、5°未満、より好ましくは2°以上、4°以下に設定される。これにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。なお、図2に示した固定ディスク61では、その下面の中心部と、上面の縁部とがなす角度は、0°となっている。
図2は、図1に示すシート防水構造の他の構成例におけるA−A線縦断面図である。なお、以下の説明では、図中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、他の構成例のシート防水構造10について、上述した構成のものとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
他の構成例のシート防水構造10では、シート防水構造10が備える樹脂層付き固定ディスク60Aの形状が異なること、より詳しくは樹脂層付き固定ディスク60Aが有する固定ディスク61Aの縦断面形状が異なること以外は、上述した構成のものと同様である。
以上、本発明のシート防水構造およびシート防水構造の施工方法について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のシート防水構造において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
また、前記実施形態では、樹脂層付き固定ディスクを床部に直接固定した後、樹脂層付き固定ディスクと床部とを防水シートで覆う場合について説明したが、かかる場合に限定されず、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム等からなる断熱材を床部に敷設した後、この断熱材を介して樹脂層付き固定ディスクを、床部に固定した後、樹脂層付き固定ディスクと断熱材とを防水シートで覆うようにしてもよい。さらに、断熱材上に絶縁シートを敷設するようにしてもよい。
さらに、本発明のシート防水構造の施工方法には、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.防水シートの製造
塩化ビニル樹脂100重量部、ジイソノニルフタレート(DINP)55重量部、エポキシ系可塑剤5重量部、Ba−Zn系安定剤6重量部、紫外線吸収剤1重量部、軽質炭酸カルシウム15重量部、着色剤10重量部の配合比率で混合した原材料を、押出成形機に投入した後、180℃で押出形成し、平均厚さ1.5mmの溶融状態の樹脂シートを冷却することで防水シートを得た。
2.樹脂層付き固定ディスクの製造
(樹脂層付き固定ディスクA)
まず、塩化ビニル樹脂100重量部、ジイソノニルフタレート(DINP)55重量部、エポキシ系可塑剤5重量部、Ba−Zn系安定剤6重量部、紫外線吸収剤1重量部、軽質炭酸カルシウム15重量部、着色剤10重量部の配合比率で混合した原材料を、押出成形機に投入した後、180℃で押出形成し、平均厚さ0.2mmの溶融状態の樹脂シートを冷却することで樹脂層を得た。
次に、直径65mm×厚さ0.5mmのステンレス鋼で構成される中心部に貫通孔を備える固定ディスクを用意し、前工程で得た樹脂層をこの固定ディスクの形状に対応して切り抜いた後、エポキシ樹脂接着剤を用いて、固定ディスク上に貼付することで樹脂層付き固定ディスクAを得た。
(樹脂層付き固定ディスクB)
次に、直径65mm×厚さ0.5mmのステンレス鋼で構成される中心部に貫通孔を備える固定ディスクを用意し、この固定ディスク上にホットメルト接着剤を塗布した後、乾燥することで、固定ディスク上に接着層を備える樹脂層付き固定ディスク(接着層付き固定ディスク)Bを得た。
3.試験片の製造
[実施例1]
樹脂層付き固定ディスクAの上面に、刷毛ブラシを用いてテトラヒドロフラン1mLを塗布して、樹脂層を溶融状態とした後、防水シートで樹脂層付き固定ディスクAの上面を覆った。
次に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に3kgの重りで押圧力を付与することで、防水シートに固定ディスクが固着された実施例1の試験片を得た。
[実施例2]
樹脂層付き固定ディスクAの上面を防水シートで覆った後、注射器を用いて防水シート側から、樹脂層付き固定ディスクAの上面と防水シートの下面との間に、テトラヒドロフラン1mLを供給して、樹脂層を溶融状態とした。
次に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に3kgの重りで押圧力を付与することで、防水シートに固定ディスクが固着された実施例2の試験片を得た。
[実施例3]
樹脂層付き固定ディスクAの上面を防水シートで覆った後、防水シートの上面側から、樹脂層付き固定ディスクAに対応する位置で、高周波を当てて、樹脂層を溶融状態とした。
次に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に3kgの重りで押圧力を付与することで、防水シートに固定ディスクが固着された実施例3の試験片を得た。
[実施例4]
防水シートに固定ディスクを固着する際に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に付与する押圧力を4kgの重りで付与したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例4の試験片を得た。
[実施例5]
防水シートに固定ディスクを固着する際に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に付与する押圧力を5kgの重りで付与したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例5の試験片を得た。
[比較例1]
防水シートに固定ディスクを固着する際に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に付与する押圧力をなしとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1の試験片を得た。
[比較例2]
樹脂層付き固定ディスク(接着層付き固定ディスク)Bの上面を防水シートで覆った後、防水シートの上面側から、樹脂層付き固定ディスクBに対応する位置で、高周波を当てて、接着層を溶融状態とした。
次に、樹脂層付き固定ディスクAと防水シートとの間に3kgの重りで押圧力を付与することで、防水シートに固定ディスクが固着された比較例2の試験片を得た。
4.評価
各実施例および各比較例の試験片について、以下の方法を用いて評価した。
(1)層間剥離試験
各実施例および比較例の試験片について、それぞれ、カッターナイフを用いて、幅10mmで防水シート側から固定ディスクに達するまで刃を入れることで、防水シートおよび樹脂層に切れ目を入れた。
次いで、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して、固定ディスクを固定し、防水シートと樹脂層との双方の一端を把持し、常温にて、180°方向に10mm/分の速度で引っ張り、固定ディスクから樹脂層を防水シートとともに剥離させた。この時の荷重、すなわち樹脂層と固定ディスクとの間の接合強度B[N/mm]を、ピール剥離試験装置を用いて測定した。
次いで、剥離された樹脂層および防水シートについて、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して、防水シートを固定し、樹脂層の一端を把持し、常温にて、180°方向に10mm/分の速度で引っ張り、防水シートから樹脂層を剥離させた。この時の荷重、すなわち樹脂層と防水シートとの間の接合強度A[N/mm]を、ピール剥離試験装置を用いて測定した。
(2)耐繰り返し疲労試験
各実施例および比較例の試験片について、それぞれ、固定ディスクが備える貫通孔を中心として、防水シートを直径175mmの円状に切断して、疲労試験用試験片200とした。
なお、この耐繰り返し疲労試験に用いる各実施例および比較例の試験片には、これら試験片を製造する際に、予め、樹脂層付き固定ディスクの貫通孔に固定ビスを挿通した状態で、樹脂層付き固定ディスクに防水シートを固着させることとした。
次いで、得られた疲労試験用試験片200を、図3に示す繰り返し疲労試験機1000に装着した。すなわち、繰り返し疲労試験機1000が備える支持台700に固定ビス70で固定することで樹脂層付き固定ディスク60がされ、さらに、防水シート20縁部が固定治具400に固定される状態とした(図3(a)参照。)。
次いで、図3(b)に示すように、シート固定冶具400を上部に移動させ、防水シート20に繰返し荷重(圧力:5.46KPa、周波数:3Hz、波形:矩形)を与えて、シートが破断するまでの回数を測定した。そして、測定された回数にしたがって、以下の基準で評価した。
<破断回数による評価>
◎◎: 破断回数 15000回以上
◎ : 破断回数 15000回未満、11000回以上
○ : 破断回数 11000回未満、 8000回以上
△ : 破断回数 8000回未満、 5000回以上
× : 破断回数 5000回未満
また、破断が生じた位置の近辺における剥離の状態を目視にて観察した。そして、剥離が生じている位置にしたがって、以下の剥離パターンに分類した。
<剥離位置による分類>
パターン1: 固定ディスクと樹脂層との間で剥離が生じている
パターン2: 防水シートと樹脂層との間で剥離が生じている
パターン3: 何れの位置においても剥離が生じていない
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006454920
10 シート防水構造
20 防水シート
50 配置部材
51 底部
52 立ち上がり面
60、60A 樹脂層付き固定ディスク
61、61A 固定ディスク
62 樹脂層
63 貫通孔
64 接合部位
65 境界部
70 固定ビス
100 躯体
101 床部
102 壁部
103 境界部
200 疲労試験用試験片
400 固定治具
700 支持台
1000 繰り返し疲労試験機
θ 角度

Claims (8)

  1. 躯体が有する床部の少なくとも一部を防水シートで覆い、前記躯体に防水を施すシート防水構造であって、
    厚さ方向に貫通する貫通孔を有する固定ディスクと、該固定ディスクの表面を覆う樹脂層とを備える樹脂層付き固定ディスクと、
    前記樹脂層に固着される前記防水シートと、を有し、
    前記防水シートは、前記樹脂層の上面に可溶性溶媒を塗布することで少なくとも表面が溶融状態とされた前記樹脂層に前記防水シートを貼り合わせることにより、前記樹脂層に固着されたものであり、
    前記樹脂層と前記防水シートとの間の接合強度をA[N/mm]とし、前記樹脂層と前記固定ディスクとの間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足することを特徴とするシート防水構造。
  2. 前記接合強度Aおよび前記接合強度Bは、それぞれ、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して測定された、面方向に対するピール強度である請求項1に記載のシート防水構造。
  3. 前記接合強度Aは、35N/mm以上、100N/mm以下である請求項1または2に記載のシート防水構造。
  4. 前記接合強度Bは、5N/mm以上、30N/mm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート防水構造。
  5. 前記固定ディスクは、該固定ディスクの上面に接着剤を塗布し、その後、前記樹脂層を前記上面に貼り合わせることにより、前記樹脂層が固着されたものである請求項1ないしのいずれか1項に記載のシート防水構造。
  6. 前記樹脂層は、その平均厚さが、0.05mm以上である請求項1ないしのいずれか1項に記載のシート防水構造。
  7. 前記防水シートは、その平均厚さが、0.5mm以上、3mm以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載のシート防水構造。
  8. 躯体が有する床部の少なくとも一部を防水シートで覆い、前記躯体に防水を施すシート防水構造の施工方法であって、
    厚さ方向に貫通する貫通孔を有する固定ディスクと、該固定ディスクの表面を覆う樹脂層とを備える樹脂層付き固定ディスクを、前記床部に前記固定ディスクを前記床部側にして配置する配置工程と、
    固定ビスを前記貫通孔に貫通して、前記床部に前記樹脂層付き固定ディスクを固定する固定工程と、
    前記防水シートで前記床部の少なくとも一部を前記樹脂層付き固定ディスクとともに覆い、かつ、前記樹脂層と前記防水シートとの間の接合強度をA[N/mm]とし、前記樹脂層と前記固定ディスクとの間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足するように、前記防水シートを前記樹脂層に固着する固着工程とを有することを特徴とするシート防水構造の施工方法。
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