JP5228577B2 - 積層シート及び積層シートの製造方法 - Google Patents
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Description
図1には、一部が切り出された積層シートが拡大して示されている。図1に示すように、積層シート1は、金属箔2の両面にウレタン樹脂3を積層させると共に、それぞれのウレタン樹脂3の外面にガラス繊維織物4を積層させることによって形成される。このように形成された積層シート1は、超低温タンクの断熱補強材として用いられ、断熱材としての発泡ウレタン5を介してステンレス製のタンク壁面6に貼り付けられる。なお、積層シート1は、接着剤によって発泡ウレタン5に接着している。以下、積層シート1の各構成要素について詳しく説明する。
金属箔2は、積層シート1の中間層となる薄膜フィルムであり、その材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、アンバー合金などを用いることができ、特にアルミニウムが最適である。また、その厚さは、薄すぎる場合は衝撃に対する強度の問題があり、厚すぎる場合は柔軟性が損なわれるという問題があるため、50〜250μmとすることが好適であり、60〜100μmとすることが更に好適である。
ウレタン樹脂3は、上述のフェノキシ樹脂及びシラン化合物を含有する樹脂組成物によって金属箔2の両面に強固に接着された樹脂層を形成している。その材質としては、公知の溶融熱可塑性ウレタンを用いることができ、特にポリエステル系ウレタンやポリエーテル系ウレタンを用いることが好ましい。これらの材質の溶融温度は160〜230℃である。また、積層シート1中のウレタン樹脂3の量は50〜400g/m2とすることが好ましい。
ガラス繊維織物4は、複数のガラス繊維からなるガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織された織物である。織り組織は特に限定されないが、特に平織りが好ましい。ガラス繊維織物4の単位質量は150〜500g/m2とすることが好ましく、300〜400g/m2とすることが特に好ましい。また、糸番手は40〜300tex、密度は20〜40本/25mmとする。
次に、図3を参照して、上述の積層シート1を製造するための製造方法について説明する。図3には、上述の積層シート1を製造するための製造装置10が概略的に示されている。
[実施例1]
(1)金属箔
フェノキシ樹脂としてビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成されたポリビスフェノールA−ヒドロキシプロピルエーテル(東都化成株式会社製フェノトートYP−50S、重量平均分子量50000〜70000)10質量部、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10質量部、メチルエチルケトン60質量部、2−メトキシエタノール20質量部をヘンシェルミキサーにて撹拌することによって、フェノキシ樹脂とγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシランが混合した樹脂組成物を得て、この樹脂組成物に厚さ70μm、幅1070mmの1N−30軟質アルミ箔をディッピングさせ150℃にて乾燥させ、樹脂組成物が5.0g/m2付着した金属箔を得た。
ガラス繊維織物の経糸及び緯糸のガラス繊維束として、ガラス繊維重量100重量部に対し、0.3重量部の水溶性エポキシ樹脂系の1次サイズ剤が付着しているガラス繊維合撚糸(ECG75 1/2 3.3S)を用いて、経糸29本/25mm、緯糸32本/25mmの平織り組織に製織し、バイブロウオッシャーにより開繊処理を施し、ガラス繊維織物(質量345g/m2、厚さ0.25mm)を得た。なお、ガラス繊維重量に対する1次サイズ剤の付着量は、開繊処理前では0.3重量%、開繊処理後では0.1重量%であった。またガラス繊維織物の通気度は、開繊処理前では40cm3/cm2/sec、開繊処理後では15cm3/cm2/secであった。
ポリエーテルウレタン樹脂(BASFジャパン株式会社製ET880)のペレットをエクストルーダ機(成型機)に投入し、T−ダイノズルの出口から約200℃で溶融された状態で供給した。
上述の金属箔及びガラス繊維織物を連続的に供給しながらその間に上述のウレタン樹脂を供給し、加圧ローラで加圧してその後冷却硬化させることによって、金属箔の片側の表面のみにウレタン樹脂及びガラス繊維織物が積層された積層物を得た。次いで、上述と同様の方法で金属箔のもう一方の表面にもウレタン樹脂及びガラス繊維織物を積層させた。この際、加圧ローラの表面を30〜40℃に保つように温度制御した。このようにして得られた積層物を115℃雰囲気下で48時間アフターキュアを行った後、常温に放置して積層シートA1を得た。
ガラス繊維織物の緯糸のガラス繊維束として、水溶性エポキシ樹脂系の1次サイズ剤がガラス繊維重量100重量部に対し、0.3重量部付着しているガラス繊維単糸(ECG37 1/0 1.0Z)を用い、経糸のガラス繊維束として、この1次サイズ剤を施したガラス繊維単糸にさらに、水溶性エポキシ樹脂系の2次サイズ剤をガラス繊維重量100重量部に対し、1.0重量部付着させる処理を施したガラス繊維単糸を用いた。それ以外は実施例1の積層シートA1の作製に準じて実施し、積層シートA2を得た。なお、開繊処理前のガラス繊維織物の通気度は30cm3/cm2/sec、開繊処理後では10cm3/cm2/secであった。また、開繊処理後のサイズ剤の付着量は、ガラス繊維重量に対し、0.15重量%であった。
開繊処理を施さないガラス繊維織物を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層シートB1を得た。
積層シートの作製において、加圧ローラの表面を特に温度制御せず、加圧して積層シートを作製した。なお、この際の加圧ローラの表面温度は110〜130℃であった。それ以外は実施例1の積層シートA1の作製に準じて、積層シートB2を得た。
樹脂組成物にフェノキシ樹脂が含まれていないこと、及び160℃雰囲気下で5分間アフターキュアを行ったこと以外は積層シートA1の作製に準じて実施し、積層シートB3を得た。
上記実施例1及び実施例2、並びに比較例1〜3の積層シートについてそれぞれ外観評価、引張強度評価及び剥離強度評価を行った。
積層シート100mにおいて、金属箔とガラス繊維織物との間の直径10mm以上の膨れ部分を剥離不良箇所として数え、表面状態を観察した。
それぞれの積層シートを縦方向及び横方向について幅50mm×長さ400mmで5片ずつ切り出し、それぞれの試験片の両面の長さ方向の端部に接着剤を塗布して合板を貼り、常温雰囲気下(23℃)及び低温雰囲気下(−196℃)で引張試験機により5mm/minで引張試験を行った。各5片について得られた結果の平均値を表1に示す。
それぞれの積層シートを縦方向及び横方向について幅25mm×長さ300mmで5片ずつ切り出し、それぞれの試験片の片面に全面に渡り接着剤を塗布して鉄治具を貼り、常温雰囲気下(23℃)及び低温雰囲気下(−196℃)、並びに海水に浸して6週間経過した後に、濡れた状態のまま常温雰囲気下でISO4578に従い引張試験機により100mm/minで引き剥がし試験を行った。各5片について得られた結果の平均値を表2に示す。
Claims (3)
- 金属箔の両面にウレタン樹脂を積層させると共に、それぞれの前記ウレタン樹脂の外面にガラス繊維織物を積層させることによって形成される積層シートであって、
前記ガラス繊維織物は単位重量150〜500g/m2であり、通気度が20cm3/cm2/sec以下であり、
前記ガラス繊維織物は、合成樹脂系サイズ剤を付着させたガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織され、
前記ガラス繊維織物の経糸及び緯糸の少なくともいずれかのガラス繊維束が、ガラス繊維合撚糸であり、
前記ガラス繊維織物には、0.4重量%以下の合成樹脂系サイズ剤が付着していることを特徴とする積層シート。 - 金属箔の両面にウレタン樹脂を積層させると共に、それぞれの前記ウレタン樹脂の外面に、単位重量が150〜500g/m2であり通気度が20cm3/cm2/sec以下のガラス繊維織物を積層させ、積層物を表面温度が100℃以下の加圧面で加圧してシート化するシート化工程と、
前記シート化した積層物を加熱するアフターキュア工程と、を備え、
前記ガラス繊維織物は、合成樹脂系サイズ剤を付着させたガラス繊維束を経糸及び緯糸として製織され、
前記ガラス繊維織物の経糸及び緯糸には、一次サイズ剤のみが付着され、
前記ガラス繊維織物の経糸及び緯糸の少なくともいずれかのガラス繊維束が、ガラス繊維合撚糸であることを特徴とする積層シートの製造方法。 - 前記アフターキュア工程では、前記シート化した積層物を60〜120℃の雰囲気下で加熱することを特徴とする請求項2記載の積層シートの製造方法。
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