JP6590740B2 - 熱プレス用クッション材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材及びその製造方法に関する。
一般的に、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のために熱プレスが行われる。熱プレスを行う際には、プレス対象物に対して均一に熱と圧力を加えるため、プレス盤とプレス対象物との間に平板状の熱プレス用クッション材及びステンレス板からなる鏡面板が配置される。このような熱プレス用クッション材には、クッション性、熱伝導性、耐熱性及び耐久性が要求される。このような熱プレス用クッション材としては、フッ素ゴム等からなるゴム層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の耐熱性繊維の多重織クロスからなる中間層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の繊維部材からなる表面の表面層が積層されたものが一般的である。このような熱プレス用クッション材を製造する際には、通常、ゴム層となるゴムシートと中間層となる多重織クロスや表面層となる繊維部材を組み合わせて積層し、加硫により一体化させる。その後、所定のプレス盤に適合するサイズに切断する。
そして、熱プレス用クッション材の表面層に用いられる部材には、自動積層装置等で吸引搬送される場合の気密性、熱プレス後のプレス盤や鏡面板との離型性等の特性が求められると共に、熱プレス用クッション材としての高いクッション性が求められる。ここで、離型性とは、プレス盤や鏡面板といった型からの取り外しやすさをいう。具体的は、離型性は、表面に粘着や焼き付きを起こさない性質を表し、非粘着性ともいう。このような熱プレス用クッション材は、高温状況下で繰り返し使用されるため、ゴム層のゴムが中間層に形成される空隙に浸入し、クッション性が低減してしまうという問題があった。
そこで、特許文献1に示すように、嵩高糸を用いた織物と、織物に含浸させたゴムとからなり、内部に空隙を有する繊維‐ゴム複合材料層を有する熱プレス用クッション材が開発されている。この特許文献1に示す熱プレス用クッション材では、ゴムをはじめからクロス織りの織物の組織内部へ浸入させて、ゴムの中に空隙を形成していることにより、繊維‐ゴム複合材料層の内部にある程度の空隙性を維持することができるため、繰り返し熱プレスに使用した場合でも、良好なクッション性を維持することができる。
しかしながら、特許文献1に示す熱プレス用クッション材では、織物の組織内部にゴムが含浸しているため、織物が本来持つクッション性が低減されている。また、特許文献1に示す熱プレス用クッション材では、織物にゴムを含浸させることにより熱プレス用クッション材を製造するため、クッション性に影響を及ぼす織物へのゴムの含浸量や繊維‐ゴム複合材料層内部の空隙残存率のコントロールが難しいという問題が生じている。更に、特許文献1に示す熱プレス用クッション材では、製造コストがかかるという問題も生じる。
特開2009−137208号公報
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、吸引搬送性及びプレス盤等との離型性を確保しつつ、高いクッション性を備えることができる熱プレス用クッション材及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱プレス用クッション材は、プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する嵩高性の多重織クロスからなる中間層と、が積層された積層体と、前記積層体の表面に積層され、耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなり、前記積層体の最外側の前記ゴム層の両側に積層された表面層と、を備え、前記表面層は、前記糸の内部に含浸され、且つ、前記糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで前記織物または編物の表面に付着する耐熱性樹脂を有し、前記中間層は、前記多重織クロスの表面に形成されて前記ゴム層のゴムが浸入された凹凸と、前記多重織クロスの内部に形成された空隙と、を有することを特徴とする。
本発明の熱プレス用クッション材によれば、表面層が、耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなる。また、表面層は、糸の内部に含浸され、且つ、糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで織物または編物の表面に付着した耐熱性樹脂を有する。尚、糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度に付着するとは、糸が交差する部分において、耐熱性樹脂が、糸の形状に沿って糸の表面に付着することを意味する。これにより、表面層に糸が交差して形成された隙間が耐熱性樹脂に被覆されずに存在しているため、表面層の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との離型性を良好にすることができる。そして、熱プレス用クッション材を繰り返し使用した後でも、糸が交差して表面層の表面に形成された凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との離型性を良好に維持することができる。また、中間層は、嵩高性の多重織クロスで形成されており、中間層の多重織クロスで形成される微細な表面に凹凸を有する。そして、中間層が有する凹凸に、ゴム層のゴムが浸入して、アンカー効果により中間層とゴム層とが接着、固定されるため、ゴム層のゴムの浸入を表面付近でせき止めることができる。従って、中間層でゴムの占める体積は、表面付近で大きく、内部で小さくなる。即ち、中間層では、表面付近の空隙が少なく、内部で空隙が多く形成される。そして、熱プレス用クッション材を繰り返し熱プレスで使用した後でも、ゴム層のゴムの浸入が表面付近でせき止められているため、中間層の内部の空隙が維持されて、高いクッション性を備えることができる。また、表面層に含浸された耐熱性樹脂と表面層の内表面に積層されているゴム層のアンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の糸が交差して形成された隙間に浸入され、表面層の当該隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、織り密度が小さく、耐熱性樹脂の量が少ないため、熱プレス用クッション材の硬度が小さくなり、熱プレス用クッション材の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
尚、表面層の外表面とは、表面層の外部に露出する表面である。また、表面層の内表面とは、ゴム層に対向して配置されて、ゴム層に積層される表面層の表面である。表面層の外表面及び内表面に、表面層の側面は含まない。表面層の表面とは、積層体に積層される表面層の厚さ方向に直交する方向の面である。表面層の側面とは、積層体に積層される表面層の厚さ方向の面である。
上記熱プレス用クッション材では、未加硫時の前記熱プレス用クッション材において、前記ゴム層に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75であって良い。
ゴム層に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25未満の場合、ゴムの流動性が高くなる。そのため、ゴム層のゴムが表面層の糸が交差して形成された隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。その反面、ゴムを中間層の表面付近でせき止めることができず、中間層の内部の空隙を確保することができなくなり、クッション性が低くなる。また、ゴム層に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が75を超えると、ゴムの流動性が低くなる。そのため、ゴム層のゴムを中間層の微細な表面の凹凸に適度に浸入させて、アンカー効果により、ゴムを中間層の表面付近でせき止めて、中間層の内部の空隙を確保することができ、クッション性が高くなる。その反面、ゴム層のゴムが表面層の糸が交差して形成された隙間に浸入しにくくなり、通気を遮断できず気密性を確保することができなくなる。従って、ゴム層に最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の未加硫ゴム組成物を用いることで、ゴム層のゴムを中間層の微細な表面の凹凸に適度に浸入させることができる。そして、アンカー効果により、ゴムを中間層の表面付近でせき止めて、中間層の内部の空隙を確保することができ、クッション性を確保することができる。また、アンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の糸が交差して形成された隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。言い換えると、ゴム層に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の範囲であると、クッション性と気密性の両立が図れる。
ここで、最低ムーニー粘度Vm値は、JIS K6300(2013)の規格によりムーニー粘度計で測定した値である。また、未加硫ゴム組成物とは、未加硫状態でのゴム組成物のことを意味する。
上記熱プレス用クッション材では、加硫後の前記熱プレス用クッション材において、前記熱プレス用クッション材の表面の硬度が81〜87度であり、前記ゴム層の硬度が90〜97度であり、前記表面層の硬度が88〜93度であって良い。
ゴム層の硬度よりも表面層の硬度を小さくしつつ、更に熱プレス用クッション材の表面の硬度を小さくすることにより、熱プレス用クッション材が適正なクッション性を有することができる。
ここで、硬度は、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した値である。
上記熱プレス用クッション材では、未加硫時の前記熱プレス用クッション材において、前記ゴム層の1層あたりの平均的な厚さは、前記熱プレス用クッション材全体の厚さの4〜10%であって良い。
ゴム層の1層あたりの平均的な厚さ、即ち、加圧積層する前のゴム層となるゴムシート1枚の平均厚さが、全体の厚さの4%より小さいと、ゴム層と中間層または表面層との接着強度が低下する虞がある。また、ゴム層の1層あたりの平均的な厚さ、即ち、加圧積層する前のゴム層となるゴムシート1枚の平均厚さが、全体の厚さの10%より大きいと、材料コストが高くなる上に、熱プレス用クッション材全体の厚みが増えて熱伝達性が低下する虞がある。
上記熱プレス用クッション材において、前記ゴム層は、周縁部の厚さが、それ以外の部分の厚さよりも10〜250%厚くて良い。また、上記熱プレス用クッション材において、前記ゴム層は、周縁部の硬度が、それ以外の部分の硬度よりも大きくて良い。
熱プレス用クッション材は、繰り返し使用することにより、板厚精度が劣化して、中央部から端部にかけて厚みが徐々に薄くなり、その端部が押圧力不足となってしまう。そのため、周縁部の厚みを厚くする、または、硬度を大きくすることにより、板厚精度の劣化を抑えることができる。
本発明の熱プレス用クッション材の製造方法は、上記熱プレス用クッション材の製造方法であって、積層された前記積層体と前記表面層とを、加熱下において無圧状態で放置した後、前記ゴム層の架橋反応が作用し始めた直後に加硫して、前記積層体と前記表面層とを一体化させることを特徴とする。
積層体と表面層とを、加熱下において無圧状態で放置した後、ゴム層の架橋反応が作用し始めた直後に加硫して、積層一体化させることにより、本発明の熱プレス用クッション材を製造する。これにより、中間層の多重織クロスで形成される微細な表面の凹凸に、適度にゴム層のゴムを入り込ませて、アンカー効果により中間層とゴム層とが接着、固定しつつ、ゴム層のゴムの浸入を表面付近でせき止めることができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、吸引搬送性及びプレス盤等との離型性を確保しつつ、高いクッション性を備える熱プレス用クッション材及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスを説明する概念図である。 本実施形態に係る熱プレス用クッション材を示す断面図である。 本実施形態に係る熱プレス用クッション材の中間層を示す断面図である。 本実施形態に係る熱プレス用クッション材の表面層を示す断面図であり、(a)がプレス前の状態を示し、(b)が繰り返しプレスに用いた後の状態を示す。 写真代用図面であり、本実施形態に係る熱プレス用クッション材の中間層の断面を撮影した顕微鏡写真である。 写真代用図面であり、図5に示す本実施形態に係る熱プレス用クッション材の中間層の断面の一部を拡大して撮影した顕微鏡写真である。 写真代用図面であり、本実施形態に係る熱プレス用クッション材の中間層の断面の一部を拡大して撮影した顕微鏡写真である。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材は、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のための熱プレスに用いられる。
[熱プレス]
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1を使用して、プレス対象物21をプレス盤20によってプレス成形する一例を示している。
図1に示すように、2枚のプレス盤20の間に、平板状の2枚の熱プレス用クッション材1が配置され、さらに、その2枚の熱プレス用クッション材1の間にステンレス板22を介してプレス対象物21が配置される。即ち、2枚のプレス盤20とプレス対象物21との間に、それぞれ、熱プレス用クッション材1及びステンレス板22が介在する。この状態で、プレス盤20によって、熱と圧力が加えられる。プレス条件は、例えば、温度が常温〜260℃で、加圧力0.5〜100MPa、プレス時間1〜3時間である。熱プレス用クッション材1は、プレス対象物21に対して均一に圧力と熱を加える目的で用いられる。
[熱プレス用クッション材]
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1について説明する。
図2に示すように、熱プレス用クッション材1は、ゴム層4と中間層5と表面層6とが積層されて形成される。本実施形態に係る熱プレス用クッション材1は、積層体2と、表面層6とから構成される。積層体2は、3層のゴム層4及びゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5が積層される。積層体2の最外側の両側には、ゴム層4が配置される。2層の表面層6は、積層体2の最外側のゴム層4の両側に積層される。
即ち、熱プレス用クッション材1は、表面層6、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、表面層6の順で図2に示す紙面の上下方向に積層されたものである。尚、中間層5及びゴム層4は、それぞれ、2層及び3層に限定されるものではない。例えば、中間層5を1層とし、2層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成してもよい。また、中間層5を3層とし、4層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成としてもよい。
ゴム層4は、ゴム組成物から構成される。ゴム成分としては、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた、フッ素ゴム又はシリコンゴムを用いることができる。圧縮永久歪み性が小さいと耐久性が向上する。また、ゴム組成物は未加硫状態で最低ムーニー粘度Vm値が25〜75であることが好ましい。最低ムーニー粘度は、ムーニー粘度計で測定する。ゴム層4に最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の未加硫ゴム組成物を用い、ゴムの流動性をコントロールすることで、ゴム層のゴムを中間層5の微細な表面の凹凸に適度に浸入させて、アンカー効果により、ゴムを中間層5の表面付近でせき止めて、中間層5の内部の空隙を確保することができ、クッション性を確保することができる。また、アンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。つまり、ゴム層4に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の範囲であると、クッション性と気密性の両立が図れる。尚、ゴム層4に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25未満の場合、ゴムの流動性が高くなる。そのため、ゴム層4のゴムが表面層6の糸が交差して形成された隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。その反面、ゴムを中間層5の表面付近でせき止めることができず、中間層5の内部の空隙を確保することができなくなり、クッション性が低くなる。また、ゴム層4に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が75を超えると、ゴムの流動性が低くなる。そのため、ゴム層4のゴムを中間層5の微細な表面の凹凸に適度に浸入させて、アンカー効果により、ゴムを中間層5の表面付近でせき止めて、中間層5の内部の空隙を確保することができ、クッション性が高くなる。その反面、ゴム層4のゴムが表面層6の糸が交差して形成された隙間に浸入しにくくなり、通気を遮断できず気密性を確保することができなくなる。尚、表面層6の隙間とは、後述する織物60が有する織糸が交差して形成された隙間のことを意味する。また、フッ素ゴムの種類としては、含フッ素アクリレートの重合体、フッ化ビニリデンの共重合体、含フッ素珪素ゴム、含フッ素ポリエステルゴムなどが挙げられる。
また、ゴム層4にフッ素ゴム組成物を用いる場合、架橋剤としてジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3、1・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物系架橋剤、ヘキサメチレンカルバメート、N,N'−ジシアニルジエン−1、6−ヘキサジアミン、ビスフェノールAF、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド等のポリオール系架橋剤、およびトリエチレンテトラミン(TETA)、トリエチレンペンタミン(TEPA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)等のアミン系架橋剤といった、フッ素ゴムの架橋剤として公知のものを使用することができる。
また、ゴム層4にシリコンゴム組成物を用いる場合、架橋剤として、公知の有機過酸化物系架橋剤を使用することができる。
また、ゴム層4を構成するゴム組成物には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが含有される。さらに、ゴム補強のために、ゴム組成物に短繊維を含ませてもよい。短繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等の耐熱性繊維を用いる。
ここで、未加硫時の熱プレス用クッション材1において、ゴム層4の一層当たりの平均的な厚さ、即ち、加圧積層する前のゴム層4となるゴムシート1枚の平均厚さは、プレス用クッション材1全体の厚さの4〜10%であることが好ましい。4%を下回るとゴム層4と中間層5(または表面層6)との接着強度が低下する虞があるからである。また、10%を上回ると、材料コストが嵩むうえに、熱プレス用クッション材1の全厚が増した分だけ熱伝達性が低下する虞があるからである。
また、ゴム層4は、周縁部の厚さが、それ以外の部分の厚さよりも10〜250%厚くなるように、熱プレス用クッション材1の端部から所定幅(例えば、50mm)程度の範囲の領域を、他の領域よりも10〜250%厚くしたゴムシートを用いることも可能である。また、ゴム層4は、周縁部の硬度が、それ以外の部分の硬度よりも大きくなるように、熱プレス用クッション材1の端部から所定幅(例えば、50mm)程度の範囲の領域において、ゴムシートの硬度(JIS A)を、他の領域が90〜97であるのに対して、最大99程度まで硬度の高いゴムシートを選択することも可能である。熱プレス用クッション材1は繰り返し使用することにより、板厚精度が劣化して、中央部から端部にかけて厚みが徐々に薄くなり、その端部が特有の押圧力不足となることがある。そこで、このようにゴム層4を構成することにより、押圧力不足を抑制することができる。
中間層5は、嵩高性の多重織クロスから構成される。嵩高性の多重織クロスとしては、二重織クロス、三重織クロス又は四重織クロス等があり、捲縮加工糸で織られたもの、又は、クロス状態で嵩高加工したものを用いることができる。
多重織クロスとは、複数組の緯糸及び経糸を用いた多層構造の織物である。例えば、二重織クロスは、上下2組の緯糸を、1組の経糸に絡ませた二重織りの構成になっている。また、図3に示すように、複数組の緯糸51及び経糸52を用いた多重織クロスから構成されても良い。多重織クロスで構成される中間層5は、表面に形成された凹凸を有する。そして、中間層5は、図3に示すように、両側(紙面の上下方向)に積層されたゴム層4に挟まれているため、ゴム層4のゴムが多重織クロスの表面の織糸(緯糸51及び経糸52)で構成される微細な凹凸に浸入する。そして、中間層5は、ゴム‐繊維複合層として形成された表面部53と、ゴム層4のゴムの浸入が少なく、空隙が多く存在する内部54とで構成される。つまり、中間層5は、内部54に空隙を有する。表面部53では、ゴム層4のゴムが、多重織クロスの表面の織糸(緯糸51及び経糸52)で構成される微細な凹凸に入り込んで、アンカー効果で接着・固定されるため、ゴム層4のゴムの浸入を表面付近でせき止めることができ、内部54の空隙が維持される。尚、構成糸を捲縮加工したり、クロス状態で嵩高加工したりすることにより、さらに多重織クロスの内部54の空隙が多くなる。このように中間層5は、内部54に空隙が多く存在する構造を備えるため、高いクッション性と、プレスを繰り返した際の変形を阻止する機能を有する。
また、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等が用いられる。好ましくはガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維等の無機繊維が挙げられる。これらは、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有する。そのため、ゴム組成物からなるゴム層4を補強することが可能となる。
尚、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としてガラス繊維を用いる場合、多重織クロスの表面にシランカップリング剤による処理を施してもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなど、公知のものを用いることができる。多重織クロスの表面をシランカップリング剤で処理することにより、ゴム層4をフッ素ゴム組成物で構成した場合に、ゴム層4と中間層5の接着性が向上する。
表面層6は、図4(a)及び(b)に示すように、耐熱性繊維部材からなる織糸(経糸61及び緯糸62)で製織された織物60で構成される。つまり、織物60は、経糸61及び緯糸62を有する。尚、本実施形態では、表面層6が織物60で構成されているが、それに限らず、表面層6が耐熱性繊維部材からなる糸で編まれた編物で構成されていてもよい。織物60は、平織や綾織、朱子織等の織物からなる。特に、綾織が、伸縮性、柔軟性の観点から好ましい。織物60は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度に、所定の空隙率を備えるように製織される。尚、空隙率とは、実体積と見かけの体積の差から算出される物質内にある空間の割合を意味する。ここで、織物60の所定の空隙率は、小さすぎると、織糸(経糸61及び緯糸62)の間が密になりすぎる。織糸の間が密になりすぎると、表面層6の表面粗さが小さく、熱プレス用クッション材1の硬度が大きくなり、熱プレス用クッション材1の離型性及び柔軟性の観点から好ましくない。一方、織物60の所定の空隙率は、大きすぎると、織糸の間に大きな隙間ができてしまう。織糸の間に大きな隙間ができると、熱プレス用クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくない。そこで、所定の空隙率は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度であって、織糸の間に隙間ができる空隙率よりも小さく、且つ、織糸の間が密になりすぎる空隙率よりも小さな織り密度となる。具体的には、所定の空隙率は、例えば、10〜80%である。
そして、織物60の空隙率は、織糸の径と織り密度によって変化するため、織物60は、所定の空隙率を備えるように、所定の径を有する経糸61と緯糸62とが、所定の織り密度で織成される。ここで、織糸の径とは、フィラメントを束ねた状態の糸の径のことを意味する。織糸の径は、大きすぎると、織り糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。また、織り密度は、大きすぎると、織り糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。具体的には、所定の織糸の径は、300〜600μmである。また、所定の織り密度は、例えば、経糸61及び緯糸62ともに、25〜100本/inである。
織糸(経糸61及び緯糸62)の基材となる耐熱性繊維部材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO繊維、フッ素繊維等が用いられる。熱プレス用クッション材1の表面層6を、耐熱性繊維部材からなる織糸で製織された織物60で構成することにより、熱プレス用クッション材1の表面に傷が付きにくいため、均一にプレスすることができる。特に、耐熱性繊維部材として、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有するガラス繊維が好ましい。耐熱性繊維部材にガラス繊維を使用した場合、成形される熱プレス用クッション材1がある程度の硬度をもつため、数メートル×数メートルの大きさで熱プレス用クッション材1を成形しても、自重で垂れ下がることなく、吸引搬送装置から落下しない利点がある。また、ガラス繊維と耐熱性樹脂の接着力が、アラミド繊維等の他の耐熱性繊維を使用した場合のように弱くなく、高温でも接着力が強いため、260℃まで使用することができる(本発明では180〜240℃の範囲で使用することを想定)利点がある。また、高温の熱プレスにおいても繊維が劣化することなく、毛羽などが発生しないという利点がある。
また、織物60には、耐熱性樹脂63が含浸される。耐熱性樹脂63としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の単体、ブレンド系または共重合体が挙げられる。中でも、耐熱性、低圧縮永久歪み性等が良好なフッ素樹脂が最も好ましい。
耐熱性樹脂63は、織物60に、所定の含浸量で含浸させる。所定の含浸量とは、プレス前の図4(a)及び繰り返しプレスに用いた後の図4(b)に示すように、織物60を構成する織糸(経糸61,緯糸62)の内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度(凹凸を保持する程度)に薄く付着する量である。尚、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度に付着するとは、経糸61と緯糸62とが交差する部分において、耐熱性樹脂63が、経糸61及び緯糸62の形状に沿って、経糸61及び緯糸62の表面に付着することをいう。ここで、耐熱性樹脂63の含浸量は、小さすぎると、織糸の内部への含浸及び織物の表面の付着が不十分となり、表面層6の気密性が足りず、熱プレス用クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくなく、また、大きすぎると、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸がつぶれてしまい、表面層6の表面の表面粗さが小さく、熱プレス用クッション材1の硬度が大きくなり、熱プレス用クッション材1の離型性及び柔軟性の観点から好ましくない。そこで、所定の含浸量は、織物60を構成する織糸(経糸61,緯糸62)の内部に含浸され、織物60の表面に形成された凹凸を覆わず、凹凸を保持する程度に薄く付着する量に調整される。具体的には、所定の含浸量は、例えば、100〜200g/m2である。
また、織物60への耐熱性樹脂63の含浸は、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キャストコーティング等の公知の方法により行うことができる。
[熱プレス用クッション材の製造方法]
次に、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を製造する製造方法について説明する。
まず、ゴム層4となる3枚の未加硫ゴムシートと、中間層5となる2枚の多重織クロスとを、ゴムシートが外側になるように交互に積層して積層体2を成形する。次に、この積層体2の外表面の両側(つまり、最外側のゴムシートの両側)から、表面層6となる2枚の耐熱性樹脂を含浸させた織物60をはさんで積層する。外表面とは、外部に露出する表面である。積層体2の外表面に、積層体2の側面は含まない。積層体2の表面とは、積層体2の厚さ方向に直交する方向の面である。積層体2の側面とは、積層体2の厚さ方向の面である。そして、加熱下(温度150〜180℃)において、無圧状態で0.2〜15分間放置した後、ゴム層4の架橋反応が作用し始めた直後に、温度を維持した状態で面圧を0.1〜5.0MPaに加圧して、プレス時間10〜40分の条件でプレス加硫し、一体化させる。そして、所定のプレス盤に適合するサイズに切断して熱プレス用クッション材1を作製する。
尚、加硫後の熱プレス用クッション材1において、熱プレス用クッション材1の表面の硬度が81〜87度であることが好ましい。また、ゴム層4の硬度が90〜97度であることが好ましい。また、表面層6の硬度が88〜93度であることが好ましい。ここで、硬度は、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した値である。このように、ゴム層4の硬度よりも表面層6の硬度を小さくしつつ、更に、熱プレス用クッション材1の表面の硬度を小さくすることにより、熱プレス用クッション材1が適正なクッション性を有することができる。
また、圧縮永久歪み性を向上させるために、所定のサイズに切断する前の熱プレス用クッション材1に対して、アフターキュアを200〜250℃、30分〜4時間実施してもよい。
以上のように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1によれば、表面層6が、耐熱性繊維部材からなる織糸(経糸61及び緯糸62)を有する織物または編物からなる。表面層6は、耐熱性樹脂が、織糸の内部に含浸され、且つ、織糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで織物または編物の表面に付着した耐熱性樹脂を有する。これにより、表面層6に織糸が交差して形成された隙間が耐熱性樹脂に被覆されずに存在しているため、表面層6の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との離型性を良好にすることができる。そして、熱プレス用クッション材1を繰り返し使用した後でも、織糸が交差して表面層6の方面に形成された凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との離型性を良好に維持することができる。また、中間層5が嵩高性の多重織クロスで形成されており、中間層5の多重織クロスで形成される微細な表面の凹凸に、ゴム層4のゴムが浸入して、アンカー効果により中間層5とゴム層4とが接着、固定されるため、ゴム層4のゴムの浸入を表面付近でせき止めることができる。従って、中間層5でゴムの占める体積は、表面付近で大きく、内部で小さくなる。即ち、中間層5では、表面付近の空隙が少なく、内部で空隙が多く形成される。そして、熱プレス用クッション材1を繰り返し熱プレスで使用した後でも、ゴム層4のゴムの浸入が表面付近でせき止められているため、中間層5の内部の空隙が維持されて、高いクッション性を備えることができる。また、表面層6に含浸された耐熱性樹脂と表面層6の内側に積層されているゴム層4のアンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の織糸が交差して形成された隙間に浸入され、表面層6の当該隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、織り密度が小さく、耐熱性樹脂の量が少ないため、熱プレス用クッション材1の硬度が小さくなり、熱プレス用クッション材1の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本実施形態では、表面層6が織物60で構成されているが、それに限らない。表面層6が耐熱性繊維部材からなる糸で編まれた編物で構成されていてもよい。この場合、上記説明における「織糸」が「糸」に相当する。
[熱プレス用クッション材の材料]
まず、本実施例及び比較例の熱プレス用クッション材で用いた材料について説明する。 本実施例においては、実施例1〜6及び比較例1〜5として、2層の表面層6の間に、3層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5とが積層された積層体2を配置した熱プレス用クッション材1を用いた。また、実施例7として、2層の表面層6の間に、4層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する3層の中間層5とが積層された積層体2を配置した熱プレス用クッション材1を用いた。
ゴム層4で用いるゴム組成物として、ポリオール加硫系のフッ素ゴム組成物(デュポン社製のバイトン(登録商標)V9006)を使用した。また、中間層5で用いる多重織クロスとして、捲縮加工した繊維からなる2重織ガラスクロス(日東紡製のKS4325)を使用した。また、表面層6で用いる耐熱性樹脂63を含浸させた織物60として、PTFE含浸ガラスクロスを使用した。ここで、PTFE含浸ガラスクロスとは、ガラス繊維を基材とする織糸(経糸61及び緯糸62)で製織した織物(クロス)にフッ素樹脂を含浸させたガラスクロスである。ガラス繊維のため、耐熱性に優れ、高強度、高弾性を有すると共に、フッ素樹脂が含浸されているため、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた表面層6を構成することができる。本実施例では、織糸の径、織り密度、PTFEの含浸量の異なる複数種類のガラスクロスを表面層6として使用した。尚、経糸の織り密度は、経糸密度を意味する。同様に、緯糸の織り密度は、緯糸密度を意味する。
そして、実施例1〜7及び比較例4、5では、これらのゴム層4、中間層5及び表面層6を積層し、通常のプレス加硫装置に温度170℃で12分間、無圧状態で放置した後、そのままの温度で面圧を1.6MPaに高め、プレス時間12分間の条件でこれらをプレス加硫し、熱プレス用クッション材1を作製した(積層工法A)。また、比較例1及び2では、これらのゴム層4、中間層5及び表面層6を積層し、通常のプレス加硫装置に温度170℃、面圧1.6MPaで、プレス時間24分間の条件でこれらをプレス加硫し、熱プレス用クッション材1を作製した(積層工法B)。また、比較例3では、以下の積層工法Cにより、熱プレス用クッション材1を作製した。まず、酢酸ブチルとメチルエチルケトンとを質量比1:1の割合で混合した溶剤に、未加硫フッ素ゴムを溶解し、未加硫フッ素ゴム溶液を作製した。次に、この溶液に2重織ガラスクロスを浸漬した後、十分に乾燥させて溶剤を除去することで、内部まで未加硫フッ素ゴムが浸入した2重織ガラスクロスを作製した。このガラスクロスを中間層5として、ゴム層4、中間層5及び表面層6を積層し、通常のプレス加硫装置にて温度170℃、面圧1.6MPaで、プレス時間24分間の条件でこれらをプレス加硫し、熱プレス用クッション材1を作製した。
[表面層の測定試験]
そして、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、表面層6に用いられるガラスクロスの織糸の径、織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaを測定した。ここで、ガラスクロスの織糸の径は、ガラスクロス1枚からガラス織糸の写真を撮影し、短径と長径の平均値より、ガラス織糸1本の径を算出し、算出した10本の径から平均値を算出した。ガラスクロスの織り密度は、一辺5cmの試料の織り密度をJIS L 1096に準拠した方法により測定し、単位インチあたりの値を算出した。ガラスクロスのPTFE含浸量は、示差熱熱重量同時測定装置を用いて650℃昇温後の重量変化により測定した。表面層6の表面粗さは、表面性状測定機((株)ミツトヨ製SURF TEST500、標準スタイラス型番996133)を用いて、表面層6を経糸方向に倣い速度2mm/sで40mmの範囲を計測し、表面粗さRa(JIS B 0031で規定された算術平均粗さ)を測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、表面層6に用いられるガラスクロスの織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaの測定結果を、表1に示す。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、PTFEの除いたガラスクロスの空隙率を求めた。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、ガラスクロスの空隙率の計算結果を、表1に示す。尚、ガラスクロスの空隙率は、下記の手順に従って計算した。
・PTFE含浸ガラスクロスから一辺10cmの試料を切り出し、重量を測定する。
・測定した重量とPTFE含浸量の差より、ガラスクロスのみの重量を算出する。
・切り出した試料の面積に厚みを乗じて、ガラスクロスの体積を算出する。
・算出したガラスクロスの体積とガラス繊維の比重から、空隙率0%の場合の重量を算出する。
・算出したガラスクロスのみの重量と算出した空隙率0%の場合の重量からガラスクロスの占める割合を算出し、そこから空隙率を求める。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、表面層6の硬度を測定した。表面層6の硬度は、積層体2の層分離により表面層6を取り出して、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての表面層6の硬度の測定結果を、表1に示す。
[ゴム層の測定試験]
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、未加硫時のゴムシートのムーニー粘度を測定した。最低ムーニー粘度は、ムーニー粘度計で測定した。最低ムーニー粘度は、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1未加硫時のゴムシートついての最低ムーニー粘度を、表1に示す。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、積層前のゴムシート1枚の平均厚みを測定した。積層前のゴムシート1枚の平均厚みは、任意に測定した5点より平均値を算出した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての積層前のゴムシート1枚の平均厚みの測定結果を、表1に示す。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、ゴム層4の硬度を測定した。ゴム層4の硬度は、積層体2の層分離によりゴム層4を取り出して、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についてのゴム層4の硬度の測定結果を、表1に示す。
[中間層の評価試験]
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての中間層5であるガラスクロスへのゴムの浸入、ガラスクロス内部の空隙については、熱プレス用クッション材1の断面を実体顕微鏡(Nikon製SAM−1500)で撮影することより確認した。そして、ガラスクロスへのゴムの浸入については、実体顕微鏡写真により、表面部までか、内部までかを観察した。また、ガラスクロス内部の空隙については、実体顕微鏡写真を目視することにより、実施例及び比較例の間で比較して、多いか少ないかを観察した。例えば、中間層5がKS4325であり、糸の太さが経糸、緯糸ともに67.5TEXの場合、目安として、表面から3本分くらいまでゴムに包まれているものを空隙が多い、内部の糸までゴムに包まれているものを空隙が少ないとした。
具体的な評価について、実施例7の熱プレス用クッション材1に基づいて説明する。実施例7の熱プレス用クッション材1は、4層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する3層の中間層5とが積層された積層体2と、積層体2の表面(即ち、積層体2におけるゴム層4の中間層5と反対側の面)に積層される2層の表面層6とから構成される。実施例7の熱プレス用クッション材1の中間層5の断面を実体顕微鏡で撮影した写真代用図面を図5に示す。図5に示すように、表面部53では、ゴム層4のゴムが、アンカー効果により、多重織クロスの表面の織糸(緯糸51及び経糸52)で構成される微細な凹凸(図5の破線で示す部分を参照)に入り込んでいる。一方、内部54は、多重織クロスの織糸(緯糸51及び経糸52)にゴムがあまり浸入しておらず、空隙が多く存在することが分かる。また、図5の四角枠で表示する経糸52の部分を拡大した写真代用図面を図6に示す。図6に示すように、経糸52の表面部53であるゴム‐繊維複合層の界面付近は、経糸52の内部54と異なって色が黒くなっており、経糸52の微細な凹凸にゴム層4のゴムが入り込んでいる。また、実施例7の熱プレス用クッション材1の図5とは別の部位の中間層5の断面の一部を拡大して実体顕微鏡で撮影した写真代用図面を図7に示す。図7に示すように、緯糸51及び経糸52の表面部53であるゴム‐繊維複合層の界面付近は、緯糸51及び経糸52の内部54と異なって色が黒くなっており、緯糸51及び経糸52の微細な凹凸にゴム層4のゴムが入り込んでいる。以上の図5〜図7で示す実体顕微鏡写真の結果により、実施例7の熱プレス用クッション材1は、ガラスクロスへのゴムの浸入が表面部のみであり、ガラスクロス内部の空隙が多いことが分かる。
[熱プレス用クッション材の測定試験]
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1の気密性(通気度)、硬度を測定した。ここで、熱プレス用クッション材1の通気度は、JIS R 3420(2006年)に準拠した方法でフラジール試験機により測定した。また、熱プレス用クッション材1の硬度は、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての通気度と硬度の測定結果を、表1に示す。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1の全厚を測定した。プレス用クッション材1の全厚は、任意に測定した5点より平均値を算出した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての全厚の測定結果を、表1に示す。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1のクッション量を測定した。クッション量は、50mm×50mmの熱プレス用クッション材(サンプル)に対して、常温下で、熱プレス用クッション材1を挟んで熱プレス用クッション材1の両表面に対向して配置された直径25.4mmのプローブを使用して、0.5mm/minの速度で圧縮し、面圧が2.5MPaに達したときの圧縮量を測定した。尚、熱プレス用クッション材1のクッション量と、全厚より単位厚み当たりのクッション量を算出した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についてのクッション量の測定結果を、表1に示す。尚、単位厚み当たりのクッション量の値が大きいほどクッション性の良い熱プレス用クッション材である。クッション性の評価では、クッション量が0.4以上であり、且つ、単位厚みあたりのクッション量が0.1以上である場合は○、クッション量が0.4未満である、または、単位厚みあたりのクッション量が0.1未満である場合は×とした。
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1のたわみ量を測定した。たわみ量は、300mm×50mmの熱プレス用クッション材(サンプル)を250mm突き出した状態で、押え板で固定し、突き出した自由端の垂れ量(たわみ量)を測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についてのたわみ量の測定結果を、表1に示す。尚、たわみ量が小さいほど吸引搬送性に優れていることが分かる。
更に、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、吸引搬送性、プレス盤との離型性、柔軟性について評価を行う評価試験を実施した。
吸引搬送性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1(2m×1m)を、自動積層装置(熱プレス用クッション材を吸着パッドで吸引して搬送し、積層する装置)などで吸引搬送して、熱プレス用クッション材1が落下しないかどうかに基づいて、吸引搬送性を評価した。この評価では、吸着パッドを20個並列(熱プレス用クッション材1表面の端部(端から150mm程度)を除いて、等間隔に並列)して吸引した。吸引搬送性の評価は各熱プレス用クッション材について5回ずつ行い、吸引搬送した際に、5回の内に1回以上搬送できた場合には○、5回の内に1回も搬送できなかった場合は×とした。
プレス盤との離型性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1について、250mm×250mmの試験片を真空プレス試験機のプレス盤の間に挟み、4MPaまで加圧した後、1時間かけて230℃まで昇温して、230℃で1時間保持し、30分間かけて50℃まで冷却後、0MPaに減圧するという工程を1サイクルとして、この工程を100サイクル繰り返したときに、熱プレス用クッション材1がプレス盤に貼り付かず剥離するかどうかに基づいて、プレス盤との離型性を評価した。剥離性の評価では、熱プレス用クッション材1がプレス盤20に貼り付かなければ○、熱プレス用クッション材1がプレス盤20に貼り付いたら×とした。
柔軟性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1を使用した場合に、プレス対象物に反りが生じるかどうかに基づいて、プレス対象物の反りの有無を評価すると共に、プレス対象物の反りの程度に基づいて、柔軟性を評価した。柔軟性の評価では、プレス対象物に反りが生じなければ○、プレス対象物に反りが生じていれば×とした。
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、吸引搬送性、プレス盤との離型性、柔軟性、プレス対象物の反りの評価結果を、表1に示す。
尚、表1において、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、クッション性の評価、吸引搬送性の評価、プレス盤との離型性の評価、柔軟性の評価に基づいて、総評価を行った。総評価では、全て○である場合には○に、1つでも×がある場合は×と評価した。
[クッション性の検討]
表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1のクッション性について検討した。その結果、ガラスクロスへのゴムの浸入が中間層5の表面部53付近のみであり、ガラスクロス内部の空隙が多い実施例1〜7と比較例4、5の熱プレス用クッション材1が、クッション量が0.4以上であり、単位厚みあたりのクッション量が0.1以上であり、クッション性が高いことがわかる。更に、実施例7の熱プレス用クッション材1は、実施例1〜6及び比較例4、5の熱プレス用クッション材1と比較して、層が厚いが、良好なクッション性を得られていることが分かる。その一方、ガラスクロスへのゴムの浸入が内部54まで達しており、ガラスクロス内部の空隙が少ない比較例1〜3の熱プレス用クッション材1が、クッション量が0.4未満であり、単位厚みあたりのクッション量が0.1未満であり、クッション性が低いことが分かる。ここで、比較例1〜3の熱プレス用クッション材1が積層工法BまたはCで作製されているのに対して、実施例1〜7と比較例4、5の熱プレス用クッション材1が、積層工法Aで作製されている。このことにより、積層工法Aで熱プレス用クッション材1を作製することにより、中間層5のガラスクロスで形成される微細な表面の凹凸に、ゴム層4のゴムが入り込んで、アンカー効果により中間層5とゴム層4とが接着、固定され、ゴム層4のゴムの浸入を、中間層5の表面部53付近でせき止めることができることが推定できる。
また、表1の結果から、実施例1〜7と比較例4、5の熱プレス用クッション材1は、ゴム層4の硬度が90〜97度であり、表面層6の硬度がゴム層4の硬度よりも小さい88〜93度であり、熱プレス用クッション材1の表面の硬度がゴム層4の硬度よりも更に小さい81〜87度であり、高いクッション性を備えている。その一方、比較例1〜3の熱プレス用クッション材1は、ゴム層4の硬度が90〜97度であり、表面層6の硬度がゴム層4の硬度よりも小さい88〜93度であり、熱プレス用クッション材1の表面の硬度が表面層6の硬度と同じかそれ以上である91〜94度であり、高いクッション性を備えていない。このことより、表面層6の硬度がゴム層4の硬度よりも小さい88〜93度であり、熱プレス用クッション材1の表面の硬度がゴム層4の硬度よりも更に小さい81〜87度となるように熱プレス用クッション材1を形成することにより、適正なクッション性を備えることができると推定できる。
また、表1の結果から、実施例1〜7と比較例1、2、4、5の熱プレス用クッション材1は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の範囲内であり、高いクッション性を備えている。その一方、比較例3の熱プレス用クッション材1は、最低ムーニー粘度Vm値が25未満であり、クッション量が0.4未満であり、単位厚みあたりのクッション量が0.1未満であり、クッション性が低いことが分かる。このことにより、最低ムーニー粘度Vm値が25未満であると、ゴムを中間層5の表面付近でせき止めることができず、中間層5の内部の空隙を確保することができなくなることが推定できる。
[吸引搬送性の検討]
また、表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1の吸引搬送性について検討した。その結果、表面層6のPTFE含有量が0g/m2である比較例4の熱プレス用クッション材1のみが、たわみ量が大きく、通気性が高く、気密性が劣っていたため、吸引搬送性を備えていないことが分かる。その一方、PTFE含有量が100g/m2以上である実施例1〜7及び比較例1〜3、5の熱プレス用クッション材1は、たわみ量が小さく、通気性が1.0cm3/cm2・s以下とほとんどなく、気密性に優れていたので、吸引搬送が可能であることが分かる。このことにより、表面層6のPTFE含有量が100g/m2以上となるように熱プレス用クッション1を作製することにより、表面層6に含浸されたPTFEと表面層6の内側に積層されているゴム層4のアンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の織糸が交差して形成された隙間に浸入され、表面層6の当該隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となることが推定できる。
また、表1の結果から、最低ムーニー粘度Vm値が75以下である実施例1〜7と比較例1〜3、5の熱プレス用クッション材1は、たわみ量が小さく、通気性が1.0cm3/cm2・s以下とほとんどなく、気密性が確保されていることが分かる。このことにより、最低ムーニー粘度Vm値が75以下であると、ゴム層4のゴムが表面層6の糸が交差して形成された隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができることが推定できる。
[プレス盤との離型性及び柔軟性の検討]
また、表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1のプレス盤との離型性及び柔軟性について検討した。その結果、表面層6のガラスクロスの織糸の径の平均が500μm程度であり、且つ、織り密度が緯糸、経糸共に100本/in以上である比較例5の熱プレス用クッション材1のみが、ガラスクロスの空隙率が10%以下であり、表面粗さRaが20μm未満と小さく、織糸の間が密になりすぎていると考えられ、プレス盤との離型性及び柔軟性を備えていないことが分かる。その一方、表面層6のガラスクロスの織糸の径の平均が400〜500μm程度であり、且つ、織り密度が緯糸、経糸共に30本/in以上100本/in未満である実施例1〜7及び比較例1〜4の熱プレス用クッション材1は、ガラスクロスの空隙率が10〜80%であり、表面粗さRaが20μm以上と大きく、プレス盤との離型性及び柔軟性を備えていることが分かる。このことにより、表面層6のガラスクロスの空隙率が10%以上であり、表面粗さRaが20μm以上となるように熱プレス用クッション1を作製することにより、PTFEが、表面層6のガラスクロスの内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで付着しており、表面層6に織糸が交差して形成された隙間が耐熱性樹脂に被覆されずに存在しているため、表面層6の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との離型性及び柔軟性を良好にすることができることが推定できる。
[考察]
以上より、熱プレス用クッション材1が、吸引搬送性及びプレス盤との離型性を確保しつつ、高いクッション性を備えるためには、中間層5が、ガラスクロスの表面部53の凹凸にゴム4層のゴムが浸入され、且つ、ガラスクロスの内部54に空隙を有すればよいことが分かった。そのためには、積層体2と表面層6とは、加熱下において無圧状態で放置した後、ゴム層4の架橋反応が作用し始めた直後に加硫して、積層一体化させる積層工法を用いて熱プレス用クッション材1を作成すればよいことが明らかになった。また、吸引搬送性及びプレス盤との離型性を確保するためには、表面層6が、PTFEがガラスクロスの内部に含浸され、且つ、織糸(経糸61と緯糸62)が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで付着していればよいことが分かった。そのためには、熱プレス用クッション材1にPTFEを含浸させ、熱プレス用クッション材1の通気度が1.0cm3/cm2・s以下であり、表面層6の表面粗さRaが20μm以上で、ガラスクロスの空隙率が10〜80%であるように、熱プレス用クッション材1を形成すればよいことが明らかとなった。また、ゴム層4に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の範囲であると、クッション性と気密性の両立が図れることが明らかになった。
本発明を利用すれば、吸引搬送性及びプレス盤との離型性を確保しつつ、高いクッション性を備える熱プレス用クッション材及びその製造方法を提供することができる。
1 熱プレス用クッション材
2 積層体
4 ゴム層
5 中間層
6 表面層
51 経糸
52 緯糸
53 表面部
54 内部
60 織物
61 経糸
62 緯糸
63 耐熱性樹脂

Claims (7)

  1. プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、
    少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する嵩高性の多重織クロスからなる中間層と、が積層された積層体と、
    耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなり、前記積層体の最外側の前記ゴム層の両側に積層された表面層と、を備え、
    前記表面層は、前記糸の内部に含浸され、且つ、前記糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで前記織物または編物の表面に付着された耐熱性樹脂を有し、
    前記中間層は、前記多重織クロスを構成する織糸の表面に形成された微細な凹凸に前記ゴム層のゴムが浸入され、ゴム−繊維複合層としての表面部と、この表面部付近で前記ゴム層のゴムの浸入がせき止められ、前記表面部の中で空隙が維持された内部と、を有することを特徴とする熱プレス用クッション材。
  2. 未加硫時の前記熱プレス用クッション材において、
    前記ゴム層に用いる未加硫ゴム組成物は、最低ムーニー粘度Vm値が25〜75であることを特徴とする請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
  3. 加硫後の前記熱プレス用クッション材において、
    前記熱プレス用クッション材の表面の硬度が81〜87度であり、
    前記ゴム層の硬度が90〜97度であり、
    前記表面層の硬度が88〜93度であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱プレス用クッション材。
  4. 未加硫時の前記熱プレス用クッション材において、
    前記ゴム層の1層あたりの平均的な厚さは、前記熱プレス用クッション材全体の厚さの4〜10%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱プレス用クッション材。
  5. 前記ゴム層は、周縁部の厚さが、それ以外の部分の厚さよりも10〜250%厚いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱プレス用クッション材。
  6. 前記ゴム層は、周縁部の硬度が、それ以外の部分の硬度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱プレス用クッション材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱プレス用クッション材の製造方法であって、
    積層された前記積層体と前記表面層とを、加熱下において無圧状態で放置した後、前記ゴム層の架橋反応が作用し始めた直後に加硫して、前記積層体と前記表面層とを一体化させることを特徴とする熱プレス用クッション材の製造方法。
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