JP7160746B2 - 熱プレス用クッション材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このような熱プレス用クッション材には、クッション性、熱伝導性、耐熱性及び耐久性が要求される。このような熱プレス用クッション材としては、フッ素ゴム等からなるゴム層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の耐熱性繊維の多重織クロスからなる中間層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の繊維部材からなる表面の表面層が積層されたものが一般的である。このような熱プレス用クッション材を製造する際には、通常、ゴム層となるゴムシートと中間層となる多重織クロスや表面層となる繊維部材を組み合わせて積層し、加硫により一体化させる。その後、所定の熱プレス盤に適合するサイズに切断する。
このような熱プレス用クッション材としては、例えば、特許文献1には、中間層であるガラス繊維クロスの両面に、耐熱性良好なフッ素ゴムのゴム層を形成し、その上部にアラミド繊維等の耐熱性良好な全芳香族繊維からなる表面層が積層された熱プレス用クッション材が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の熱プレス用クッション材は、表面層の気密性が不十分であるため、自動積層装置などで吸引搬送する場合に落下するなどの不具合があり、更なる改善が求められていた。
しかし、熱プレス用クッション材が自動積層装置等で吸引搬送される場合、吸引により熱プレス用クッション材が持ち上げられた状態で搬送される際に、熱プレス用クッション材の端部付近が撓みやすい。そのため、吸引搬送等の連続的な使用により撓みが繰り返されると、端部付近での屈曲変形が繰り返し起こることになる。その屈曲変形に伴う表面層及び中間層の変形に対してゴム層が追従できなくなり、糸の凹凸からゴム層が抜け出し、抜けた箇所が拡大していくことにより、層間剥離が起こる。つまり、屈曲耐久性が確保されていなければ、表面層と積層体のゴム層との間で層間剥離が発生する。また、表面層では、耐熱性樹脂が糸の内部に浸透し、耐熱性樹脂が糸の表面にも付着しているため、ゴム層が入り込む量が少なく、表面層と積層体との間で層間剥離が起こりやすい。
特に、加熱処理した表面層を用いると、より剥離し易くなる。そこで、表面層と積層体との間での層間剥離に対する対応策として、熱プレス用クッション材の作製時の加圧力を増やしたり、加圧開始時間を早めたりすることで、表面層へのゴム層の入り込み量を増やすことができる。しかしながら、この対応策では、中間層へのゴム層の入り込み量が増えてしまうため、クッション量が下がってしまう問題がある。
また、中間層が嵩高性の多重織クロスで形成されており、中間層の多重織クロスで形成される微細な表面の凹凸に、ゴム層のゴムが入り込んで、アンカー効果により中間層とゴム層とが接着、固定されるため、ゴム層のゴムの浸入を表面付近でせき止めることができる。従って、中間層でゴムの占める体積は、表面付近で大きく、内部で小さくなり、即ち、中間層では、表面付近の空隙が少なく、内部で空隙が多くなる。そして、熱プレス用クッション材を繰り返し熱プレスで使用した後でも、ゴム層のゴムの浸入が表面付近でせき止められているため、中間層の内部の空隙が維持されて、高いクッション性を備えることができる。
また、表面層に含浸された耐熱性樹脂と表面層の内側に積層されているゴム層のアンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の隙間に浸入され、表面層の隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。
また、露出部は、ゴム層と積層される側の表面層に形成される。この露出部では、耐熱性樹脂が剥がれ、織物または編物の繊維束が露出している。これにより、従来の表面層では耐熱性樹脂に覆われて滲入できなかった繊維束の隙間にもゴムが充分に滲入できる。その結果、表面層とゴム層との接触面積が増えてアンカー効果が増大して、接着力が向上する。その結果、屈曲耐久性が高まることで、表面層剥離を防止できる。
すなわち、この構成は、従来のクッション性能、吸引搬送性、耐剥離性を維持したまま、表面層とゴム層との接着力と耐屈曲性を向上させる構成である。
尚、表面層の表面とは、積層体に積層される表面層の厚さ方向に直交する方向の面である。また、繊維束とは、糸を構成する繊維の束である。
ここで、表面層材とは、加圧、加硫により、積層体と一体化される前のものをいう。
これにより、従来の表面層では耐熱性樹脂に覆われて滲入できなかった繊維束の隙間にもゴムが充分に滲入できる。その結果、表面層とゴム層との接触面積が増えてアンカー効果が増大して、接着力が向上する。その結果、屈曲耐久性が高まることで、表面層剥離を防止できる。
ここで、研磨加工は、表面層材をやすり、スチールウール、ブラシ等の公知の研磨材で研磨して、耐熱性樹脂を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を毛羽立たせる加工である。
また、起毛加工は、針布を巻いたローラーを備えた針布型起毛機を用いて、回転するローラー上に表面層材を送り込み、生地の表面のスパン糸から、針で繊維を引っ掻きだすことで、耐熱性樹脂を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を起毛させることにより毛羽立たせる加工である。
また、ヘアライン加工は、複数の針状のもので繊維を引っ掻いて切断することで、耐熱性樹脂を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を毛羽立たせる加工である。
これらの加工では、耐熱性樹脂の剥がしと、繊維の毛羽立てとが効率的になされる。そして、熱プレス用クッション材に屈曲による変形が生じた際に、屈曲箇所に層間剥離を確実に防止することができる。
この加熱処理は、例えば、360~430℃の温度で施される。
また、この加熱処理により、表面層とゴム層との接着性が下がるが、表面層材の粗面化加工による接着性向上で充分に補える。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材は、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のための熱プレスに用いられる。
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスについて説明する。
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1について説明する。
ここで、最低ムーニー粘度Vm値は、JIS K6300(2013)の規格により測定した値である。
織物60は、図3(a)及び(b)に示すように、表面層6の表面に凹凸が存在する程度に、所定の空隙率を備えるように製織される。尚、空隙率とは、実体積と見かけの体積の差から算出される物質内にある空間の割合を意味する。ここで、織物60の所定の空隙率は、小さすぎると、織糸(経糸61及び緯糸62)の間が密になりすぎる。織糸の間が密になりすぎると、表面層6の表面粗さが小さく、熱プレス用クッション材1の硬度が大きくなり、熱プレス用クッション材1の離型性及び柔軟性の観点から好ましくない。一方、織物60の所定の空隙率は、大きすぎると、織糸の間に大きな隙間ができてしまう。織糸の間に大きな隙間ができると、熱プレス用クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくない。そこで、所定の空隙率は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度であって、織糸の間に隙間ができる空隙率よりも小さく、且つ、織糸の間が密になりすぎる空隙率よりも小さな織り密度となる。具体的には、所定の空隙率は、例えば、10~80%である。
これにより、露出部10から織物または編物の繊維束が露出しているだけではなく、繊維束から繊維が毛羽立った状態になっている。そのため、表面層6とゴム層4との接触面積が更に増えてアンカー効果が更に増大して、接着力が更に向上する。その結果、屈曲耐久性が更に高まることで、表面層剥離を更に防止できる。
図4(b)に示すように、粗面化加工を施したものにあっては、表面層材の耐熱性樹脂が除去されるとともに、繊維束の表面側の繊維が乱れ、起毛状態になっている。
それに対して図5(b)に示すように、粗面化加工を施した表面層材とゴム層との界面にあっては、表面層に含浸した耐熱性樹脂(PTFE)が剥がれ、ゴム層が表面層の繊維束の内部まで滲入している。そのため、表面層とゴム層との界面が見分けにくい。
それに対して図6(b)に示すように、粗面化加工を施した表面層から剥離した後のゴム層側の表面にあっては、粗面化加工を施した表面層から剥離したゴム層表面には、大量の繊維屑が付着している。このことから、ゴムが表面層の繊維束(毛羽の糸)の隙間にまで滲入して、強固に接着していたことがわかる。
まず、ゴム層となる、少なくとも2層の未加硫ゴムシートと、中間層となる、前記未加硫ゴムシートの間に介在する嵩高性の多重織クロスとを、前記未加硫ゴムシートが外側になるように交互に積層してなる積層体を形成する工程である。
図2の例では、ゴム層4となる3枚の未加硫ゴムシートと、中間層5となる2枚の多重織クロスとを、ゴムシートが外側になるように交互に積層して積層体2を形成している。
つぎに、耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなる表面層材であって、前記糸の内部に含浸され、且つ、前記糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで前記織物または編物の表面を覆う耐熱性樹脂を有する表面層材を形成する工程である。
図3の例では、表面層6となる、耐熱性樹脂63を含浸させた2枚の織物60(表面層材)を形成する工程である。この耐熱性樹脂63は、織物60を構成する織糸(経糸61、緯糸62)の内部に含浸され、且つ織糸(経糸61、緯糸62)が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さでコーティングされている。
表面層材の耐熱性樹脂に含まれる有機成分を除去する加熱処理を施す工程である。
図3の例では、表面層6となる2枚の耐熱性樹脂を含浸させた織物60(表面層材)は、耐熱性樹脂を含浸させた後、360~430℃の温度において予め加熱処理を施す。尚、この加熱処理は、次の粗面化加工工程の後に行われてもよい。
表面層材のうち、未加硫ゴムシートと積層される側の面に粗面化加工を施す工程である。
図3の例では、この粗面化加工により、織物60(表面層材)を構成する織糸(経糸61、緯糸62)のゴム層側の表面に露出部10を形成し、繊維を毛羽立たせる工程である。
このような粗面化加工は、研磨加工、起毛加工、ヘアライン加工のいずれか一つである。
ここで、研磨加工は、表面層材をやすり、スチールウール、ブラシ、工業用パッドを取り付けたサンダー、ワイヤーデッキブラシ等の公知の研磨材で研磨して、耐熱性樹脂を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を毛羽立たせる加工である。
また、起毛加工は、針布を巻いたローラーを備えた針布型起毛機を用いて、回転するローラー上に表面層材を送り込み、生地の表面のスパン糸から、針で繊維を引っ掻きだすことで、耐熱性繊維を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を起毛させることにより毛羽立たせる加工である。
また、ヘアライン加工は、複数の針状のもので繊維を引っ掻いて切断することで、耐熱性樹脂を剥がして繊維束を露出させるとともに、繊維を毛羽立たせる加工である。
このような研磨加工、起毛加工、ヘアライン加工のいずれか一つによる粗面化加工によれば、加工を施す部位を選別したり、加工密度を高めることにより、表面層材の加工面の周囲(剥離が起きやすい部分)に密に繊維束を露出させたり、密に繊維を毛羽立たせるという疎密な粗面化加工が簡単にできる。
粗面化加工を施した表面層を、積層体の両側から挟んで積層し、加熱下において無圧状態で放置した後、ゴム層の架橋反応が作用し始めた直後に加圧、加硫して、前記表面層材と前記積層体とを一体化する工程である。
図2及び図3の例では、積層体2の外表面の両側(つまり、最外側のゴムシートの両側)から、表面層6となる、耐熱性樹脂を含浸させ、粗面化加工が施された2枚の織物60(表面層材)をはさんで積層する。
そして、加熱下(温度150~180℃)において、無圧状態で0.2~15分間放置した後、ゴム層4の架橋反応が作用し始めた直後に、温度を維持した状態で面圧を0.1~5.0MPaに加圧して、プレス時間10~40分の条件でプレス加硫し、一体化させる。
そして、所定の熱プレス盤に適合するサイズに切断する。所定の熱プレス盤に適合するサイズの形状は、例えば矩形である。
これにより、従来の表面層では耐熱性樹脂に覆われて滲入できなかった繊維束の隙間にもゴムが充分に滲入できる。その結果、表面層とゴム層との接触面積が増えてアンカー効果が増大して、接着力が向上する。その結果、屈曲耐久性が高まることで、表面層剥離を防止できる。
また、この加熱処理により、表面層とゴム層との接着性が下がるが、表面層材の粗面化加工による接着性向上で充分に補える。
まず、本実施例、比較例の熱プレス用クッション材で用いた材料について説明する。
実施例、比較例として、図2のように、2層の表面層6の間に、3層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5とが積層された積層体2を配置した熱プレス用クッション材1を作製した。
また、図3に示すように、表面層6で用いる耐熱性樹脂63を含浸させた織物60として、PTFE含浸ガラスクロスを使用した。ここで、PTFE含浸ガラスクロスとは、ガラス繊維を基材とする織糸(経糸61及び緯糸62)で製織した織物(クロス)にフッ素樹脂を含浸させたガラスクロスである。ガラス繊維のため、耐熱性に優れ、高強度、高弾性を有すると共に、フッ素樹脂が含浸されているため、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた表面層6を構成することができる。
表面層に用いた織物として、以下の織物A、B(以下、織物A、織物Bと略称する)を使用した。
織物A:PTFE含浸ガラスクロス(Taconic製:♯7226)であり、朱子織され、サイズ200×300mmにカットしたものである。
織物B:PTFE含浸ガラスクロス(TCI製:EJ1650)であり、綾織され、サイズ200×300mmにカットしたものである。
表面層1:織物Aを用い、織物Aのゴム層と接着する側の面を上にしてテーブルに置き、その上に、織物Aと同じサイズの80番手の紙やすりを配置する。さらに、紙やすりの上に重さ3.6kg(単位面積当たり0.006kgf/cm2程度)の重りを載せた状態で、織物Aを手で引っ張って動かし、1動作を1回として10回研磨加工を行い粗面化を施した。
表面層2:100番手の紙やすりを用いた以外は、表面層1と同じ方法で粗面化を施した。
表面層3:400番手の紙やすりを用いた以外は、表面層1と同じ方法で粗面化を施した。
表面層4:織物Aを用い、織物Aのゴム層と接着する側の面を、工業用パッド(スコッチ・ブライト製ハイパット、砥粒:酸化アルミニウム、仕上がり相当番手:#150)を取り付けたサンダー(RYOBI製MS-30)で研磨面を霧吹きで濡らしながら研磨を行う粗面化を施した。
表面層5:織物Aを用い、織物Aを水中に沈め、織物Aのゴム層と接着する側の面を、水中でステンレスワイヤーのデッキブラシで10回研磨を行った後乾燥する粗面化を施した。
表面層6:織物Aを用い、ゴム層と接着する側の面をヘアライン加工にて粗面化を施した。
表面層7:織物Aを用い、ゴム層と接着する側の面を起毛加工にて粗面化を施した。なお、起毛加工には、針布型起毛機(布送り速度5m/min、ドラム回転数110rpm)を用い、それによる起毛処理回数は10回とした。
表面層8:起毛処理回数15回とした以外は、表面層5と同じ方法で起毛加工を施した。
表面層9:起毛処理回数20回とした以外は、表面層5と同じ方法で起毛加工を施した。
表面層10:織物Bを用いた以外は、表面層2と同じ方法で粗面化を施した。
表面層11:織物Bを用いた以外は、表面層7と同じ方法で粗面化を施した。
表面層12:織物Aを粗面化加工を施さずに用いた。
表面層13:織物Bを粗面化加工を施さずに用いた。
表面層14:織物Aを用い、ゴム層と接着する側の面をプラズマ処理にて加工した。
実施例1~11、比較例1~3の熱プレス用クッション材では、それぞれ表1に記載の表面層を用いた。
各表面層を温度400℃で加熱処理を施してから、ゴム層、中間層及び表面層を形成する材料を順次積層し、プレス加硫装置を用い、温度170℃で12分間無圧状態で放置した後、そのままの温度で面圧を1.6MPaに高め、プレス時間12分間の条件でこれらをプレス加硫して熱プレス用クッション材を得た。
以上のように作製した実施例1~11、比較例1~3の熱プレス用クッション材1を用いて、屈曲耐久性試験、剥離強度試験を行った。
屈曲耐久性試験では、熱プレス用クッション材1を縦25mm、横140mmの寸法で矩形に切断した試験片を用いた。
剥離強度試験では、熱プレス用クッション材を縦25mm、横150mmの寸法で矩形に切断した試験片を用いた。
屈曲耐久性試験では、デマッチャ屈曲試験機の固定つかみ具と移動つかみ具との間を75mmにセットし、ストロークを40mmに設定した。評価サンプルを取り付け、400回屈曲させた。そして、屈曲200回終了時と400回完了後に、評価サンプルの屈曲箇所を観察し、積層体と表面層の層間剥離の有無を確認した。屈曲耐久性試験での評価は3段階とし、屈曲箇所に層間剥離がない場合を○、屈曲箇所に層間剥離が認められるが、製品として実用上問題ない場合を△、屈曲箇所に層間剥離がある場合を×とした。実施例1~11、比較例1~3の評価サンプルの屈曲耐久性試験での評価結果を、表1に示す。
剥離強度試験では、引張試験機の固定つかみ具と移動つかみ具との間を150mmにセットし、ストロークを60mmに設定した。試験片の片面の表面層を90mm剥がし、引張試験機に取り付けて、移動つかみ具を50mm/minの速度で移動させ、180°剥離強度を測定した。実施例1~11、比較例1~3の評価サンプルの剥離強度試験での評価結果を、表1に示す。
また、表1の剥離強度試験の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1の剥離強度について検討した。
実施例1~3において、同じ朱子織に対する、紙やすりによる粗面化加工であっても、目の粗いもののほうが剥離強度は大きくなっている。実施例3の400番手による目の細かいものは、比較例1より剥離強度が大きくなっているものの、その程度は僅かである。目が細かいため、露出部での毛羽立ちが殆どなかったことによるものと推定される。
実施例4~5においては、比較例1~3に比べて剥離強度は2倍以上大きくなっている。
実施例6のヘアライン加工によるものは、実施例2のものより剥離強度が大きいものが得られる。
実施例7~9において、同じ朱子織に対する、起毛加工であっても起毛処理回数が多いほど剥離強度は大きくなっている。
実施例1~9より、紙やすり、工業用パッドを取り付けたサンダー、ワイヤーデッキブラシ、ヘアライン加工、起毛加工のいずれの粗面化加工であっても、加工条件を適切にすると使えることが判る。
実施例10において、綾織に対する、紙やすり(♯100)で粗面化加工したものは、朱子織に対する、紙やすり(♯100)で粗面化加工したものである実施例2より、僅かに剥離強度が低下している。実施例11において、綾織に対する、起毛加工(20回)で粗面化加工したものは、朱子織に対する、起毛加工(20回)で粗面化加工したものである実施例9より、僅かに剥離強度が低下している。織物の場合、朱子織のほうが綾織に比べて表面に現れる繊維束が多く、露出部が広くなったためと考えられるが、いずれの織物も使える。
また、表1の屈曲耐久性試験の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1の屈曲耐久性について検討した。
屈曲400回後では、実施例1,2,4~11のいずれでも、屈曲箇所に層間剥離がなかったものの、実施例3では、屈曲箇所に製品として実用上問題ない程度の層間剥離が認められた。
屈曲耐久性向上のためには、ある程度の剥離強度が必要であることが判る。表1の例では、剥離強度8.5(N/25mm)以上あればよいことになる。
粗面化処理を施していない表面層を用いた比較例1、2、及びプラズマ処理を施した比較例3では、剥離強度が小さく、屈曲耐久試験においても屈曲箇所で層間剥離が発生した。粗面化処理を施さない比較例1は、プラズマ処理を施した比較例3より剥離強度が僅かに高い。プラズマ処理のような表面活性化処理は層間剥離防止には役立たない。
粗面化加工を施した実施例1、2、4~11においては、比較例に比べて剥離強度が大きく(2倍以上)、屈曲耐久試験においても層間剥離は発生しなかった。
400番手の紙やすりによる研磨加工を行った実施列3では、他の実施例に比べ剥離強度が若干小さく、屈曲耐久性試験においても屈曲箇所に層間剥離が発生したが、実用上問題ない程度であった。400番手の紙やすりは目が細かく、露出部の毛羽立てが不十分であったと考えられる。
2 積層体
4 ゴム層
5 中間層
6 表面層
10 露出部
20 熱プレス盤
60 織物
61 経糸
62 緯糸
63 耐熱性樹脂
Claims (6)
- 熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、
少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する嵩高性の多重織クロスからなり、前記多重織クロスの表面に形成されて前記ゴム層のゴムが浸入された凹凸と、前記多重織クロスの内部に形成された空隙と、を有する中間層と、が積層された積層体と、
前記積層体の最外側の前記ゴム層の両側の表面に積層され、耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなり、前記糸の内部に含浸され、且つ、前記糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで前記織物または編物の表面に付着した耐熱性樹脂を有する表面層と、
前記ゴム層と積層される側の前記表面層に形成され、前記耐熱性樹脂が剥がれ、前記織物または編物の前記糸を構成する繊維束が露出し、露出した前記繊維束の隙間に前記ゴム層のゴムが滲入している露出部と、
を備える熱プレス用クッション材。 - 前記露出部における前記織物または編物の前記糸を構成する前記繊維束は、毛羽立ち状態になっている請求項1に記載の熱プレス用クッション材。
- 前記表面層は、前記耐熱性繊維部材からなる経糸と緯糸とが交差して織成された織物で形成されている請求項1または2に記載の熱プレス用クッション材。
- 熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材の製造方法であって、
ゴム層となる、少なくとも2層の未加硫ゴムシートと、中間層となる、前記未加硫ゴムシートの間に介在する嵩高性の多重織クロスとを、前記未加硫ゴムシートが外側になるように交互に積層してなる積層体を形成する工程と、
耐熱性繊維部材からなる糸を有する織物または編物からなる表面層材であって、前記糸の内部に含浸され、且つ、前記糸が交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで前記織物または編物の表面を覆う耐熱性樹脂を有する表面層材を形成する工程と、
前記表面層材のうち、前記未加硫ゴムシートと積層される側の面に粗面化加工を施す工程と、
前記粗面化加工を施した表面層材を、前記積層体の両側から挟んで積層し、加熱下において無圧状態で放置した後、前記ゴム層の架橋反応が作用し始めた直後に加圧、加硫して、前記表面層と前記積層体とを一体化する工程と、
を備える熱プレス用クッション材の製造方法。 - 前記粗面化加工は、研磨加工、起毛加工、ヘアライン加工のいずれか一つである請求項4に記載の熱プレス用クッション材の製造方法。
- 前記粗面化加工の前後に、前記表面層材の前記耐熱性樹脂に含まれる有機成分を除去する加熱処理を施す工程を更に備える請求項4又は5に記載の熱プレス用クッション材の製造方法。
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