JP2010106648A - 脱気用複合体の構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築構造物の防水工法において、施工後の塗膜面での膨れの発生を防止し、長期間にわたり美観と機能を維持する防水工法での脱気用複合体の構造を提供する。
【解決手段】粘着層の片面に開口部を有する平板状プラスチックネット又は穴開きプラスチックフィルムとモノフィラメントからなるブラスチックネットを装着し下地との間に縦横に繋がった空隙を形成し、施工時に巻き込まれた空気や下地に含まれる水分等を導き防水層の膨れ発生を防止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築構造物の防水工法における脱気用複合体の構造に関する。さらに詳しくは、防水工法において問題となっている防水層の膨れの発生を防止して、安価で施工が容易で長期間にわたる美観と防水機能を維持する防水工法での脱気用複合体の構造に関し、塗膜防水及びシート防水両工法に使用できる。
コンクリート建築構造物の屋上防水工法としては、溶融アスファルト防水工法、シート防水工法及び塗膜防水工法などが行われている。溶融アスファルト防水工法は、熱アスファルト塗工とも呼ばれ、古くから行われている最も安価な工法である。しかし、熱アスファルトによる火災発生の危険性、煙や悪臭の発生・放散、汚染等、施工に際して近隣に及ぼす問題点を多く抱えており、さらに、耐久性、特に低温下における役物廻りや立上がり部との取合いにおけるクラックの発生など、施工後の不具合も多く、近年減少傾向にある。シート防水工法は、合成ゴムやプラスチック製の防水シートを下地に接着する工法で、耐久性に優れた各種のシートがJIS−A−6008に規定されており広く行なわれているものの、防水シート及び下地の両者に接着剤を塗布し、可使時間内に下地に押圧するという煩雑な接着作業を伴う。また、施工時に巻き込まれた空気や下地に残存していた水分、或いは接着剤中に残存していた水分や溶剤等が、施工後太陽熱等によって温められて気化・膨張し、その結果、内圧が上昇して接着面が破壊され、防水層が膨れ上がって外観が損なわれるばかりでなく防水シートの劣化を促進するなどの問題点がある。
最近では、防水シートを接着剤に拠らず機械的に敷設する工法も行われるようになってきた。この方法は、平場と立ち上がりの取り合い部でシートの端部をL型長尺金具とビスを使用して下地に固定する方法で、平場の下地から水蒸気が出てきても全面に拡散できるので内圧が上昇しにくく難防水シートの膨れがないという特徴がある。しかしながら、ビスをしっかり固定する為の下地の強度が十分でなければならないし、ビスを打ち込む際に振動や騒音が発生したり、また、立ち上がり部や防水シート同士の継ぎ目は接着剤の使用が不可欠で、工程の煩雑さや工事に要求される職人の高い熟練度の必要性は大きな問題として残されている。近年では、ポリウレタンやFRPなど耐候性に優れた液状ポリマーやアクリルエマルジョン、アスファルトエマルジョンと合成ゴムラテックスの混合物等を下地に直接塗り付け、継ぎ目のない塗膜を一面に形成させる塗膜防水工法が、多く採用されている。この工法は、常温での施工が可能であると共に、塗膜の厚さを自由に調整できる等経済的にも優れた工法であり、工事現場の近隣に及ぼす影響も少ない。しかしながら、塗膜防水工法においても、下地に残存していた水分等が太陽熱によって暖められることによって気化・膨張し、その結果、接着面を破壊して下地から浮き上がらせ塗膜に膨れが生じたり、ポリマーの劣化を促進するなどの問題点は、依然として残っている。さらに、下地に亀裂が発生すれば、直接塗膜自身に伝達して亀裂が発生し、外観を損ねるばかりでなく防水機能が低下してしまう。また、下地の凹凸が激しい特に改修工事では、塗膜にも凹凸が現れるなど、下地の影響を直接受けてしまうといった難点も多い。
これらの問題点を解決する手段として、下記文献が開示されている。
実公平2−30571号公報 上記文献には、塗膜防水工法の脱気用防水シートとして、穿設孔を有する合成樹脂繊維製不織布シートを下地と塗材層の間に介在させることが提案されている。しかしながら、下地に接着剤を塗布して穿設孔を有する合成樹脂繊維製不織布シートを接着させなければならないという煩雑な作業が必要である。さらに十分な脱気性を確保する為には、密度が小さくて分厚い不織布シートを使用せざるを得ず、このような穿設孔を設けた不織布シートに塗膜防水材を施工すると、穿設孔のあった場所では凹状に窪んだ仕上がりとなって見苦しいばかりでなく、該凹部と他の平坦部との境界において、硬化時の収縮や硬化後の膨張及び収縮繰り返しによる亀裂が生じ易い等、耐久性に問題が残ることは避けられない。
特開平7−144393号公報 上記文献には、塗膜防水工法の脱気用防水シートとして、ポリウレタンフィルムをラミネートした不織布シートの使用が提案されている。しかしながら、この方法においては、塗材塗膜の平滑性は得られるものの、十分な脱気性を確保する為には、特許文献1と同様に、密度が小さい分厚い不織布シートを使用せざるを得ず、同様の問題点がある。
特開2000−336861号公報 上記文献には、塗膜防水工法の脱気方法として、穴を開けたプラスチックフィルムやプラスチック製合成紙の穴の部分に接着剤を流し込んで穴の周辺部分を下地に接着し、後に全体に防水材を塗布するという工法が提案されている。しかしながらこの方法は、穴開きプラスチックフィルムやプラスチック製合成紙を工事現場で下地に接着する為の作業に手間がかかる上、穴の周辺部分のみ接着しなければならず熟練を要する。さらに、穴の周辺部分だけに留まらず内部に迄接着剤が流れ込むと、気体流動部が狹められて脱気性が低下する。また、施工後硬化した防水層が、プラスチックフィルムやプラスチック製合成紙の穴のあった場所で凹状に窪んだ見苦しい仕上がりとなって、前述のように該凹部と他の平坦部との境界においては、耐久性が損なわれる危険性を孕んでいることに変わりはない。
特開2005−139744号公報 上記文献は、出願人の特許出願であり、塗膜防水工法の脱気用シートとして、プラスチックフィルムとプラスチックネットを積層し、これに開孔率が30〜80%になるよう、直径が5〜100mm、間隔が5〜100mmの孔を開けて合成ゴムやゴム・アフスファルト系粘着層を下地に接着させ、気体流通経路を確保する手段としてはプラスチックフィルムとプラスチックネットの間隙が有効であると提案している。本法は、下地に対する接着作業が不要で、かつ粘着層の変形も起こらず長期にわたって安定した脱気効果が期待できる。しかしながら開孔部を設ける為の孔開け作業を行う前に予めプラスチックフィルムとプラスチックネットを部分的に接着しておかねばならず、工場での生産工程が煩雑である。両者を部分接着しながら同時に孔を開けることができれば効率的であるが高度な製造設備を必要とし、ひいては製造原価の高騰を余儀なくされる。
特開昭59−225944号公報 上記文献には、合成ゴムやプラスチックの防水シートを用いるシート防水工法において、防水シートの裏面に発泡粘着層と網状物を積層しておき、これを下地に接着すると、発泡粘着層、網状物及び下地の3者間にできる空隙が、空気や水蒸気の流通路として働き膨れを防止することができると提案されている。しかしながら、発泡粘着層は常温で僅かずつ流動、即ちコールドフローを起こし易く3者間にできた空隙が狹められたり埋められたりして、長期間にわたって脱気層としての性能を維持することが難しい。また、発泡粘着層の厚さは網物状のそれよりも厚く設計されている故、網状物が発泡粘着層中に埋没し易いので、時間の経過に伴って脱気のための通路が縮小されてしまう危険性がある。このような現象が起きると、網状物を構成している繊維に通気性があるものを使用していても、脱気効果は失われてしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、工場での生産性を大幅に改 善して価格の低減を図り、熟練者による煩雑な現場作業を簡略化することができ、長期間にわたって美観と安定した脱気性が確保できて防水層の膨れが起こらない防水工法での脱気用複合体の構造を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決と、特許文献4の改良の為鋭意検討の結果、開口部を有する平板状プラスチックネット、又は穴開きプラスチックフィルムとモノフィラメントから作られたプラスチックネットを重ね合わせて装着することにより、仕上がり面である防水層と下地との間に極めて安定した気体流通路を形成することができることを見出した。即ち、30〜80%の開口部を有する平板状プラスチックネット、又は穴開きプラスチックフィルム(以下両者を開口シートと表示する)とモノフィラメントから作られたプラスチックネット(以下モノネットと表示する)を重ね合わせて装着し、開口シートの開口部の粘着層によって防水層と下地とを接着し、非開口部とモノネットの重ね合わせ部が気体流通路として効果があることに着目して本発明を完成するに至った。さらに詳しくは、防水層と下地は開口部の粘着層で接合され、非開口部にできた空隙が縦横に繋がって存在することにより、通気性が確保されて、下地に含まれた空気や水分等が太陽熱で暖められ気化した際に気体流通経路、即ち脱気層として働き、拡散して脱気筒へ導いて内圧の上昇を緩和し防水層の膨れが生じない。また、本発明に係る脱気用複合体の構造は塗膜防水及びシート防水の両工法に使用できる。
本発明において、開口シートとしての平板状プラスチックネットは、厚さは10〜50ミクロンのポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムを幅2〜10mmに裁断して得られたフラットヤーンを縦横に配向させ交点を融着又は接着した網状で、目の粗さ、即ちヤーンの端部から隣接するヤーンの端部までの寸法が縦横2〜50mmである。また、開口シートとしての穴開きプラスチックフィルムは、厚さ10〜50ミクロンのポリエチレン、ポリプロピレン或いはポリエステル等のプラスチックフィルムに穴を開けたもので、直径が10〜100mm、間隔が10〜100mmの穴開きプラスチックフィルムである。
開口シートの開口率が高い場合、即ち、粘着層と下地との接着面積が大きい場合、下地への接着性は向上するものの気体流通経路が少なく、また、連続性が乏しくなって気体の流通性が低下するので、防水層の膨れを抑制する効果は小さい。逆に開口率が低い場合、即ち、粘着層と下地の接着部が少ない場合には、気体の流通性は向上するものの下地への接着性が低下してしまい経時に伴って防水層の浮きや剥がれの原因になる。よって、開口率は、30〜80%の範囲にあることが望ましい。
風圧によって働く剥離力、即ち負圧に対する抵抗性は、空気抵抗を受け易いシート同士の継ぎ目を有し接着剤によって貼り付けられるシート防水工法に比べて、継ぎ目のない仕上がりで且つ接着・硬化する塗膜防水工法の方が一般的に大きい。防水シートを貼り付ける作業時に接着剤の塗布やオープンタイム、或いはローラー掛けをしてシートを押さえ付ける工程等で曖昧な工事が接着の不完全さを招き剥離に対する抵抗性を低下させているといわれている。よって、塗膜防水の為の脱気用複合体に好適な開口率は40〜60%が好ましく、シート防水工法においては50〜70%が好ましい。その為本発明に適する平板状プラスチックネットのフラットヤーンの幅は4〜8mm、目の粗さは10〜30mmであることが好ましく、要求される開口率に応じてその幅と間隔を適宜選定すればよい。該ネットの一例として、積水フィルム株式会社製、商品名ソフが挙げられる。
本発明において、穴開きプラスチックフィルムの穴の形状は、限定されるものではなく、円、楕円、矩形 或いは多角形等でよいが、特に延伸プラスチックフィルムの強度は一方向に弱く、開けられた穴の隅から裂け易いので円形が望ましい。穴開け作業は、2種の材料を積層して行わなければならない特許文献4の場合とは異なり、フィルム1枚を操作するだけであるので容易に行うことができる。また、円の直径は30〜80mm、間隔は30〜80mmが好ましく、要求される開口率に応じて大きさと間隔を選定すればよい。また、該シートの左右両端部において非接着部が連続して現れることを防止するため、穴を千鳥状に配することがより望ましい。
モノネットは、太さ0.1〜1mmのポリエチレンやポリブロピレンのモノフィラメントを縦横に配向させて交点を融着したもので、目の粗さは3〜50mmの網状となっているものをいい、本発明には10〜30mmが好適である。モノフィラメントは、釣り糸や漁網、歯ブラシ等に使われているもので、コシがあって繊維を押し潰そうとしても断面形状が変形しにくいという特徴があり、また、縦糸と横糸の交点は融着工程で盛り上がり、この部分の厚さは糸の太さの約1.5〜3倍になっていて、この盛り上がり部が更に大きな空隙を確保する為の一因となる。該ネットの一例として、新日本プラスト 株式会社製、商品名「コンウェドネット」が挙げられる。
粘着層を介して本発明の開口シートとモノネットの複合体を下地に接着したとき、開口シートとモノネットが重なったところでは下地との3者間に隙間ができる。また、モノネットの交点が盛り上がっていることから、この部分が開口シートを支え上げ、隙間はさらに高く拡げられる。それ故、モノネットは必ず下地側に配置されていなければならない。
このようにして形成された隙間が気体流通路、即ち脱気層としての働きを発揮する。モノネットの支え上げ効果は、モノフィラメントが押し潰されにくく、且つ縦糸と横糸の交点が盛り上がっていることによってもたらされるもので、コシのない極細糸から作られたマルチフィラメントによる網状物は、長期間にわたる防水層の荷重に耐えられず平坦になり易くて、十分な空隙が得られない。しかし、合成樹脂等を含浸して強化した網状物は本目的に適合するが、高価格で実用的でない。
モノネットを構成しているモノフィラメントが太い程、開口シートが高く支え上げられ大きな空隙が得られるので気体の流通にとって好都合であるが、この文様が防水層の仕上がり面に現れて見苦しくなってしまう。一方、細いものを使った場合は、開口シートの支え上げは乏しく空隙は僅少で、十分な大きさの気体流通路が確保できない。このような観点から美観と通気性を両立させるのに好適な該フィラメントの太さは0.2〜0.5mmが好ましい。また、断面形状は特に限定されるものではないが、汎用品は円形である。
開口シートとモノネツトが重なり合わない部分では、開口シートと下地との間隔は著しく狹く気体の流通は殆どないし、モノネットは粘着層中に埋没し易く下地との間隙は形成されないので気体は流通しない。また、それぞれ単独で使用した場合、気体流通効果が僅少或いは皆無であることは言うまでもない。さらに、開口シートとモノネットが重なり合わない部分の接着性において、開口シートの非開口部は粘着層の下地に対する接触部分を若干低下させるが、開口部で十分な接着性が確保されているので風圧等に対する抵抗性は問題なく全体として接着耐久性に与える影響は極めて軽微である。また、モノネットは粘着層中に埋没し易く実用上接着性を阻害するものではない。
本発明において、粘着層としては、合成ゴムを主成分とした粘着性非加硫ゴムシートや改質アスファルトを主成分としたゴム・アスファルト系粘着シート等を用いることができる。ゴム・アスファルト系粘着シートは、アスファルトに熱可塑性ゴムをブレンドして改質し、これに粘着付与樹脂等を添加して得られ、廉価で防水工事に広く使用されている。本発明には、とりわけ耐久性に優れた非加硫ブチルゴム系が望ましく、ブチルゴムに粘着性付与樹脂、軟化剤、充填材、安定剤等を混練して得ることができる。粘着層は下地に対する接着機能の他に、下地に発生したクラックの挙動を吸収してその影響が表面の防水層に現れることを防止したり、防水層が損傷した場合、二次防水機能を発揮する。そのため、厚さは、0.5〜3,0mm程度が望ましい。
本発明の脱気用複合体を塗膜防水工法に用いる場合、脱気用複合体を下地に貼り付けた後、その粘着面に直接塗膜防水材を塗工することは不可能である。即ち、粘着面を歩行しながら作業することは甚だ困難であるし、あてがわれている離型紙を少しづつ捲き取りながら塗工作業を行うことが可能であったとしても、施工後粘着材中の軟化剤等が塗膜側に移行し両者の接着性が脅かされたり塗膜汚染の問題も懸念される。よって、脱気層と反対側の粘着面には塗膜防水材の接着層を設けておくことが不可欠である。
本発明において、塗膜防水材の接着層としては、熱可塑性樹脂を原料とするプラスチックフィルムが使用でき、一例としてポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。該フィルムの厚さは、20〜200ミクロンが適当であり、30〜100ミクロンがより好ましい。また、該プラスチックフィルムに対するポリウレタンやFRP等の塗膜防水材の親和性をより向上させる目的で、その表面に予めプライマーを塗布しておいたり、薄手の不織布をラミネートしたものを用いることが好ましい。
親和性を向上させる目的でラミネートされる薄手の不織布は、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ビニロン、ポリウレタン糸等が使用できるが、一般的なポリエステルスパンボンド不織布の使用が経済的で、その目付は、10〜50g/mが好適である。
下地の凹凸が激しい場合、塗膜防水工法の仕上がり面にその影響が現れて見苦しい形状となるのを防止する為、塗膜防水材接着層としてプラスチックフォームを使用する事が有効である。この場合のプラスチックフォームは、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリウレタン系等の発泡体が使用でき、発泡倍率5〜50倍で厚さ1〜5mm程度が好ましい。
塗膜防水材の接着性が良好なプラスチックフォームを使用する場は、フォーム単体で使用できるが、接着性に乏しいポリエチレンやポリ塩化ビニールの発泡体を使用する場合は、前述のように、予め塗膜防水材の適切なプライマーを塗布しておくか、薄手の不織布をラミネートしておくことが好ましい。プラスチックフィルムやプラスチックフォーム等の塗膜防水材接着層は、下地に本発明の脱気用複合体を貼り付けた後に、粘着面に工事現場で貼り付けてもよいが、前述のように粘着面上での作業は困難を伴うことから、工場で一体化しておくことが望ましい。
本発明の脱気用複合体を、シート防水工法に用いる場合の防水シートとしては、JIS−A−6008に規定されている合成高分子ルーフィングが使用できる。中でも、エチレン・プロピレン・ジエンモノマーを主剤とし、これにカーボンブラック、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、老化防止剤などを配合して熱処理した加硫EPDM系防水シートが使用でき、厚さ0.8〜2mm、幅1,200mmのものが一般的である。更に、廉価なポ塩化ビニール製防水シート、非加硫ブチルゴム系防水シート等も広く使用されており、遮熱性を有する金属箔やアルミ箔とプラスチックフィルムの複合体等の防水シートも本発明の防水層として使用できる。シート防水工法の施工においても、下地に本発明の脱気用複合体を貼り付けた後に、粘着面に工事現場で合成高分子ルーフィングを貼り付けてもよいが、やはり工場で一体化加工しておいた方が施工性ははるかに良好である。
本発明に係る脱気用複合体の構造によれば、開口シートとモノネットを重ね合わせた装着により下地に接する面に縦横に繋がる非接着部を構成すると共に、両者の重ね合わせ部分では開口シートをモノネットが支え上げて空隙を形成して、これが脱気層として働き、施工時に巻き込まれた空気や下地に含まれている水分を拡散して脱気筒へ導き、内圧緩和による塗膜防水層の膨れを防止することが可能となった。この空隙と粘着層との間には、開口シートが存在しコールドフローによる粘着層の流れ込みを遮り、安定した気体流通路が確保でき、防水仕上がり層の形状が平滑で荷重がかけられても押し潰されることがない上、煩雑な接着作業を必要とせず、予め積層されている粘着層の離型紙を捲り取りながら押圧するだけで容易に施工でき、経済的で長期間脱気機能と美観を維持することができる。
以下、本発明を次の実施例及び比較例により説明するが、これらに限定されるものではない。
<実施例1> 表1に示す原料配合割合の、厚さ0.5mm、幅1,000mmの粘着性非加硫ブチルゴムシートを粘着層とし、該粘着層の片面に、塗膜防水剤親和層として予めポリウレタン系防水材用プライマーを塗布しておいた、厚さ50ミクロン、幅1,000mmのポリプロピレンフィルムのプライマー非塗布面を貼り付け、他面にポリエチレン製平板状ネット(積水フィルム株式会社製、商品名積水ソフKA−11.5L 開口率約49%)及びポリプロピレン製ネット(新日石プラスト株式会社製、商品名コンウェドネットRO1674)を脱気層として配した後、該ポリプロピレン製ネット面に離型紙をあてがって長さ20mの塗膜防水のための脱気用複合体を得た。
Figure 2010106648
<実施例2> 厚さ30ミクロンのポリエステルフィルムに目付け15g/mのポリエステルスパンボンド不織布をドライラミネーション法で貼り合わせた複合体を塗膜防水材親和層とし該ポリエステルフィルム面に、実施例1と同様の粘着層を貼り付け、該粘着層面に直径50mmの穴を50mmの間隔を設けて千鳥状に開けた厚さ50ミクロンのポリエチレンフィルム(開口率約40%)、次いで実施例1と同様のポリプロピレン製モノネットを貼り付けて脱気層として、該ポリプロピレン製モノネット面に離型紙をあてがって長さ20mの塗膜防水のための脱気用複合体を得た。
<実施例3> エチレン・プロピレン・ジエンモノマーを主剤にした厚さ1mm、幅1,200mmの加硫ゴム系防水シート(三ツ星ベルト株式会社製、商品名ネオルーフィング)の裏面に、実施例1と同様の粘着性非加硫ブチルゴムシートを貼り付け、該粘着面に実施例1と同様のポリエチレン製平板状ネット及び実施例1と同様のポリプロピレン製モノネットを順次貼り付けた後、該ポリプロピレン製モノネット面に離型紙をあてがって長さ10mの脱気用複合体付き防水シートを得た。
<実施例4> ポリ塩化ビニルを主剤にした厚さ1mm、幅1,200mmの防水シートの裏面に、厚さ0.5mm、幅1,200mmのゴム・アスファルト系粘着シートを貼り付け、該粘着面にポリエチレン製平板状ネット(積水フィルム株式会社製、商品名セキスイソフGX−23 開口率約60%)及び実施例1と同様のポリプロピレン製モノネットを順次貼り付けた後、該ポリプロピレン製モノネット面に離型紙あてがって長さ10mの脱気用複合体付き防水シートを得た。
<比較例1> 実施例1と同様のポリプロピレンフィルムの片面に、実施例1と同様の粘着性非加硫ブチルゴムシートを貼り付け、他面に実施例1と同様のポリエチレン製平板状ネットを貼り付け、該ネット面に離型紙をあてがって長さ20mの塗膜防水の為の脱気用複合体を得た。
<比較例2> 実施例1と同様のポリプロピレンフィルムの片面に、実施例1と同様の粘着性非加硫ブチルゴムシートを貼り付け、他面に実施例1と同様のポリエチレン製モノネットを貼り付け、該ネット面に離型紙をあてがって長さ20mの塗膜防水の為の脱気用複合体を得た。
<比較例3> 実施例1と同様のポリプロピレンフィルムの片面に、実施例1と同様の粘着性非加硫ブチルゴムシートを貼り付け、他面に実施例2と同様の穴開きフィルムを貼り付け、該フィルム面に離型紙をあてがって長さ20mの塗膜防水の為の脱気用複合体を得た。
<通気抵抗性試験> 昭和61年版建築工事標準仕様書(JASS−8)第8節「下地との間の通気抵抗性試験」に準拠して測定を行った。測定に際しては、送気口から10mmAqの圧力空気を吹き込んだときの通気量を流量計から読み取った。
<試験体1の作成> 厚さ6mm、長さ1,200mm、幅600mmのフレキシブルボード表面に、下塗材として、ディックプルーフィング株式会社製 EXP−2306を0.15Kg/mの割合で塗り付け乾燥後、長さ1,000mm、幅500mmに裁断した実施例1、2及び比較例1、2、3で得られた脱気用複合体の離型紙を捲き取って貼り付けた。その表面に、ポリウレタン防水材(デイックプルーフィング株式会社製 フラットワン707ECO)を2,6Kg/mの割合で塗布し、硬化後、更に、トップコート(デイックプルーフィング株式会社製、商品名SPグリーン)を0.2Kg/mの割合で塗布した。1週間室内に水平に保持して養生し試験体とした。なお、表面の仕上がり状態は、いずれも平滑であった。
<試験体2の作成> 厚さ6mm、長さ1,200mmのフレキシブルボード表面に、下塗材(三ツ星ベルト株式会社製、商品名ネオプライマー)を、0.15Kg/mの割合で塗布し乾燥後、長さ1,000mm、幅500mmに裁断した実施例3、4で得られた脱気用複合体付き防水シートの離型紙を捲き取って貼り付けた。1週間室内に水平に保持して養生し、試験体とした。なお、表面の仕上がり状態は、いずれも平滑であった。試験結果:測定の結果を表2に示す。通気量の単位:cm/分。
Figure 2010106648
防水層に膨れが生じないとされる規格値は、経験的に170cm/分以上といわれており、実施例1〜4は規格値を大きく上回っていることが確認できた。しかし平板状プラスチックネットのみを使用した比較例1、モノネットのみを使用した比較例2及び穴開きフィルムのみを使用した比較例3の通気量は、いずれも50cm/分以下で規格値に達しなかった。
<時間経過後の膨れの観察> 通気抵抗性試験の終了した試験体を7ケ月間屋外に暴露したのち、防水層の表面を観察した結果は表3の通りで、実施例の4試験体には異常が見られず良好であったが、比較例の3試験体には数個所の膨れが生じていた。
Figure 2010106648
記号の説明 ○…膨れなし
×…3〜5ケ所の膨れが発生し凹凸が見られる。
本発明に基づく脱気用複合体は、新築物件における塗膜防水工法やシート防水工法、断熱防水工事等に使用でき、更に、下地が荒廃している防水改修工事に極めて有用で、防水層と下地との間の脱気層で気体を拡散して内圧上昇による防水層の膨れを防止し、長期間の脱気機能と美観を維持することができる。
本発明に係る脱気用複合体の構造を示す一部切欠き全体斜視図である。 本発明に係る実施例1の脱気用複合体の斜視模式図である。 本発明に係る実施例2の脱気用複合体の斜視模式図である。 脱気用複合体を下地に貼り付け塗膜防水材を塗工した施工断面模式図である。 本発明に係る脱気用複合体を下地に貼り付けた構成の断面拡大模式図である。 本発明に係る平板状プラスチックネットの平面図である。 本発明に係る穴開きプラスチックフィルムの平面図である。
符号の説明
1 脱気用複合体
1−a 塗膜防水材接着層
2 粘着層
2−a 開口部
2−b 非開口部
3 開口シート
3−a 平板状プラスチックネット
3−b 穴開きプラスチックフィルム
4 モノネット
5 空隙
6 離型紙
7 防水層
7−a 塗膜防水材
7−b 合成高分子ルーフィングシート
8 下地

Claims (4)

  1. 防水材の膨れ防止工法に用いる脱気用複合体であって、防水層の片面に粘着層と、30〜80%の開口率を有する平板状プラスチックネットとモノフィラメントからなるプラスチックネット、或いは前記同様の開口率を有する穴開きプラスチックフィルムとモノフィラメントからなるプラスチックネットを装着し、離型紙を順次積層したことを特徴とする脱気用複合体の構造。
  2. 前記防水層として、合成高分子ルーフィングシート又は金属箔のいずれかを使用し、かつその裏面に粘着層を貼り付けてなる請求項1記載の脱気用複合体の構造。
  3. 前記防水層として、塗膜防水材を使用し、かつ該防水材の接着層としてプラスチックフィルム、不織布、プラスチックフォームの中から選ばれた少なくとも1種以上を使用し、その片面に粘着層と、離型紙を順次積層してなる請求項1記載の脱気用複合体の構造。
  4. 前記粘着層が、粘着性非加硫ブチルゴムシート及び/又はゴム・アスファルト系粘着シートからなる請求項1、2、3のいずれか記載の脱気用複合体の構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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