JP5652754B2 - 防水面構造、及びその施工方法 - Google Patents
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そして、これらの各工法にて施工されるシート防水部と塗膜防水部とを接合する場合には、一般的にはプライマーなどを使用して接合していたが、その接着(接合)部分には異種防水層の異なる伸縮応力が作用するため、短期間で接着(接合)部分の塗膜防水層が破損して早期漏水していた。
特許文献1には、異形突出部の表面全体、及び周辺の陸屋根に、繊維下地シートを被せ、ついでその表面に合成樹脂製塗料を塗布して塗膜防水層を形成し、周辺部において防水層を、接合片および固定具によって押え止めると共に、異形突出部以外に張設されたシート防水層の防水シートの端部を、前記接合片の上面に接合する方法が記載されている。
また、特許文献2には、異形突出部の周辺に接合片を固定具によって固定し、異形突出部以外に張設されたシート防水層の防水シートの端部を、接合片の上面に接合し、異形突出部の表面全体、及びその周辺に繊維シートを被せ、該繊維シートに合成樹脂製防水塗料を塗布、含浸せしめて塗膜防水層を形成すると共に該塗膜防水層の裾部分を、合成樹脂防水塗膜自体の接着力により防水シートの端部の上面に接合する方法が記載されている。
また、特許文献3には、異形突出部の周壁に筒状体を嵌め被せ、該筒状体の内側に合成樹脂製防水塗料を流し込んで固化させて防水層を形成し、異形突出部以外に張設されたシート防水層の防水シートに、防水用筒状体の外面に沿って立ち上がる延長部を設けて、この防水シート延長部を筒状体の外面に接合する方法が記載されている。
また、特許文献4には、異形突出部の下端側面に下方固定板を、上端側面に上方固定板周設して防水シートを接合し、異形突出部の天端に合成樹脂製塗膜用防水材を流し入れて固化させる方法が記載されている。
また、特許文献5には、コンクリート躯体面に樹脂コート鋼鈑をビスで直接固定し、その樹脂コート鋼鈑を覆うように防水シートの端部を溶着してシート防水部を形成した後、そのシート防水部の近傍のコンクリート躯体面に、エポキシ系耐水接着剤により不織布を接着すると共に、その不織布と樹脂コート鋼鈑を跨ぐように補強クロスを設けると共に、その補強クロス上にウレタン塗膜防水材、さらにフッ素系保護塗料を塗布し、補強クロス−ウレタン塗膜防水材−フッ素系保護塗料からなる防水部でシート防水部の端部を覆う方法が記載されている。
また、前記特許文献2に記載の方法は、前記接合片の上面にシート防水層を接合し、さらにその上面に塗膜防水層を接合するものであって、シート防水層の下面でも上面でも剥離が生ずるものであった。
また、前記特許文献3,4に記載の方法は、異形突出部の側周にて筒状にシート防水層を形成して異形突出部の頂部に塗膜防水層を形成する構成であるため、支柱設置台のような異形突出部に限定され、しかも筒状内面に塗膜防水部を形成する樹脂塗料を流し込んでいるに過ぎないため、その接着面に亀裂が発生する恐れがあった。
さらに、前記特許文献5に記載の方法は、シート防水層と塗膜防水層との接合部分に形成される防水層の構成材料が補強クロス−ウレタン塗膜防水材−フッ素系保護塗料と多いため、施工が面倒であるという問題もあった。
したがって、本発明の防水面構造は、各種の既設又は新設の建築物の防水屋根として好適に利用でき、例えばマンションやビル等の陸屋根或いは緩勾配の屋根に施工される防水(床)屋上としても、或いは防水性能に優れた緑化構造の下地としても、或いはその他の各種建築物等の通常屋根としても利用できる。
この接着剤としては、塗膜防水部との接着性に優れたものであれば特に限定するものではなく、塗膜防水部を形成する樹脂でもよい。この場合、塗膜防水部が乾く以前に含浸させるようにしてもよいし、塗膜防水部を加熱して熱溶融させて含浸させるようにしてもよく、前者は、不織布積層防水シートを配設した後に塗膜防水部を形成する場合に相当し、後者は、塗膜防水部が形成された後に不織布積層防水シートを配設する場合に相当する態様である。
そして、広幅の平坦面にはシート防水部を施工し、例えば支柱設置台を含む施工面には塗膜防水部を施工し、その間の接続部分にのみ不織布積層防水シートを敷設すればよいので、各防水工法の利点を効率的に発揮させ、コストや労力を低減して容易に且つ確実にシート防水部と塗膜防水部とを接合することができる。
また、前記支持部材は、シート防水部のズレ防止の効果を果たすが、塗膜防水部のズレ防止を目的にして、塗膜防水部の裏面に位置する下地に目地加工を施し、該目地に樹脂塗料を充填してもほぼ同様の効果が得られる。
まず、既存下地を清掃し、劣化した既設防水層8を撤去(取り合い部300mm程度)し、当該部分に樹脂モルタルにて下地処理面9Aを施工した。
ここで用いられる樹脂モルタルは、特にその組成を限定するものではなく、公知の材料を用いて公知の手段にて施工することができ、劣化した既存下地に細かな亀裂が生じていてもそこに浸入して強度を向上する役割を果たす。
幅5mm×深さ50mm程度の目地91を下地処理面9Aに欠きこんだ。これは、シーリング92を入れることで、塗膜防水部とシート防水部から万が一浸水した場合に他方側への雨水の回り込みを遮る(絶縁する)ことを目的とするものである。
そして、前記目地91内に、ウレタン系シーリング92を充填した。
ここで用いられる充填材(92)は、ウレタン系に限定されるものではなく、例えば後述する塗膜防水部2Aに用いられる樹脂塗料20を流用してもよい。
前記下地処理面9Aの前記目地91の右方側に、エポキシ系接着剤7を塗布し、その上から不織布積層防水シート(元旦ビューティ工業社製「元旦サーナルーフG410-12Felt」)10を貼り付け、貼り付けた部分を十分に填圧してシート防水部3Aを形成した。この不織布積層防水シート10は、塩ビ系の樹脂層にガラス繊維基布を積層した構成の防水シートの裏面側に不織布を積層してなる構成であって、表層側には熱融着できるという特性を有し、また伸縮変形(寸法変化)が殆ど無いという利点をも有している。
ここで用いられる接着剤は、特に限定するものではなく、例えば後述する塗膜防水部2Aに用いられる樹脂塗料20を流用してもよい。
そして、不織布積層防水シート10は、裏面側に不織布が積層された構成であるため、この不織布中に接着剤7が含浸されて、下地処理面9Aに強固に敷設される。
前記下地処理面9A上の、前記シート防水部3Aの左方側にウレタンプライマーを塗布した後、二液型樹脂塗料20を所定の乾燥塗膜になるように施工して塗膜防水部2Aとし、塗工後1日以上養生を行った。
ここで用いられるプライマーは、特に限定するものではなく、下地及び樹脂塗料に応じて適宜に選択して用いればよい。
前記塗膜防水部2Aを施工し、樹脂塗料20が乾かないうちに(流動性を失う前に)、前記不織布積層防水シート10を敷設し、不織布を樹脂塗料20中に含浸させた。
さらに、敷設した不織布積層防水シート10の端部を覆うように樹脂塗料20を施工(追加補充)した。この重ね部分を2aで図示した。
そして、施工後1日以上養生を行った。
前記図1の実施例と同様に下地処理面9Bを施工した。
支柱Xが設置される上段部分から段差を介して下段までの下地処理面9B上に二液型樹脂塗料21を所定の乾燥塗膜になるように施工して塗膜防水部2Bとした。
前記下地処理面9Bの下段部分における塗膜防水部2Bが乾かないうちに(流動性を失う前に)、不織布積層防水シート(元旦ビューティ工業社製「元旦サーナルーフG410-12Felt」)10を幅100mm程度に貼り付け、貼り付けた部分を十分に填圧し、不織布を樹脂塗料21中に含浸させた。この不織布積層防水シート10は、前記図1の実施例でも使用したので、説明を省略する。
前記不織布積層防水シート10の段差に近い端縁を覆うように樹脂塗料21を施工(追加補充)して前記塗膜防水部2Bと連結した。この重ね部分を2bで図示した。そして、施工後1日以上養生を行った。
前記不織布積層防水シート10の外側(図面左側)に位置する下地処理面9Bに、ニトリルゴム系接着剤(元旦ビューティ工業社製「サーナコル2170」)を用いて防水シート(元旦ビューティ工業社製「元旦サーナルーフG410-12」)30を敷設し、シート防水部3Bを形成した。この防水シート30は、前記不織布積層防水シート10と同様に塩ビ系の樹脂層にガラス繊維基布を積層した構成を有するため、表層側には熱融着できるという特性を有し、また伸縮変形(寸法変化)が殆ど無いという利点をも有している。
そして、前記防水シート30の端部を、前記不織布積層防水シート10の端部の上面に沿わせ、熱融着にて固定した。なお、図中、301は熱融着部分を示す。
そして、不織布積層防水シート10が、シート防水部3Bと塗膜防水層2Bとの接着部分を形成し、両防水部3B,2Bが直接接触していないので、従来の防水構造のように両防水部3B,2Bの伸縮の相違が剥離を引き起こすことがない。
前記図1の実施例と同様に下地処理面9Cを施工した。
幅5mm×深さ50mm程度の目地93を下地処理面9Cに欠きこんだ。そして、前記目地93内に、充填材94として樹脂モルタルを充填した。
先端(係止部61)を下方へ折り下げた支持部材(元旦ビューティ工業社製「サーナメタル」)6を、前記目地93及びその右側に向かって下地処理面9Cにビス止め固定(ビス62)した。この支持部材6は、亜鉛メッキ鋼板の表面に塩ビ系樹脂層が積層されている構成である。
前記支持部材6の図面右側に位置する下地処理面9C上に絶縁材(元旦ビューティ工業社製「サーナフェルト」)51を敷き込み、その上面に、防水シート(元旦ビューティ工業社製「元旦サーナルーフS327-12」)32を敷設し、シート防水部3Cを形成した。この防水シート32は、塩ビ系の樹脂層にポリクロスを補強布として積層した構成であって、表層側には熱融着できるという特性を有し、また伸縮変形(寸法変化)が少ないという利点をも有している。なお、この防水シート32の端部は、前記支持部材6の上面に臨ませて熱融着にて固定した。図中、321は、防水シート32の熱融着部分を示す。
前記支持部材6と目地93の取り合いに、ウレタン系シーリング95を塗布し、続いて図面左側に位置する下地処理面9Cに絶縁材(元旦ビューティ工業社製「サーナフェルト」)52を敷設した。
前記絶縁材52の図面左側には、プライマーを塗布した後、二液型樹脂塗料20を所定の乾燥塗膜になるように施工して塗膜防水部2Cとした。
前記塗膜防水部2Cの樹脂塗料20が乾かないうちに(流動性を失う前に)、不織布積層防水シート10を幅100mmに貼り付け、貼り付けた部分を十分に填圧し、不織布を樹脂塗料20中に含浸させた。この不織布積層防水シート10は、前記図1実施例でも使用したので、説明を省略する。
前記不織布積層防水シート10の左側端縁を覆う(幅50mm以上重ねる)ように樹脂塗料20を施工(追加補充)して前記塗膜防水部2Cと連結した。この重ね部分を2cで図示した。そして、施工後1日以上養生を行った。
前記シート防水部3Cと前記不織布積層防水シート10との取り合い部に、増張シート(元旦ビューティ工業社製「元旦サーナルーフS327-12」)40を貼り付け、シート端部は熱融着にて固定した。この増張シート40は、前記防水シート32と同じものであり、塩ビ系の樹脂層にポリクロスを補強布として積層した構成で、表層側には熱融着でき、伸縮変形(寸法変化)が少ないという利点を有している。なお、図中、401,402は増張シート40の熱融着部分を示す。
そして、不織布積層防水シート10が、シート防水部3Cと塗膜防水層2Cとの接着部分を形成し、両防水部3C,2Cが直接接触していないので、従来の防水構造のように両防水部3C,2Cの伸縮の相違が剥離を引き起こすことがない。
2A〜2C 塗膜防水部
2a〜2c 重ね部分
20,21 樹脂塗料
3A〜3C シート防水部
30,32 防水シート
301,321 熱融着部分
40 増張シート
51,52 絶縁材
6 支持部材
61 係止部
7 接着剤
8 既設防水層
9A〜9C 下地処理面
91,93 目地
92,94 充填材
Claims (6)
- 下地の表面に形成する塗膜防水部の端縁に、防水シートの裏面側に不織布を積層してなる不織布積層防水シートを配置させ、不織布積層防水シート中の不織布が塗膜防水部との接着性に優れたものか、塗膜防水部を形成する樹脂である接着剤中に含浸されて塗膜防水部と接合していることを特徴とする防水面構造。
- 下地の表面に形成するシート防水部と塗膜防水部とが、少なくとも防水シートの裏面側に不織布を積層してなる不織布積層防水シートを介在させて接続してなり、不織布積層防水シート中の不織布が塗膜防水部との接着性に優れたものか、塗膜防水部を形成する樹脂である接着剤中に含浸されて塗膜防水部と接合していることを特徴とする防水面構造。
- シート防水部と不織布積層防水シートとは、熱溶着にて接合されていることを特徴とする請求項2に記載の防水面構造。
- シート防水部と不織布積層防水シートとを、下地への係止部を有する支持部材を介して接続すると共に、シート防水部を構成する防水シートと同じ増張シートを積層することを特徴とする請求項2に記載の防水面構造。
- 下地に、塗膜防水部を施工する工程と、防水シートの裏面側に不織布を積層してなる不織布積層防水シートを敷設してシート防水部を施工する工程と、前記不織布積層防水シート中の不織布を塗膜防水部との接着性に優れたものか、塗膜防水部を形成する樹脂である接着剤中に含浸させて塗膜防水部と接合させる工程とを含むことを特徴とする防水面構造の施工方法。
- 下地に、シート防水部を施工する工程と、塗膜防水部を施工する工程と、防水シートの裏面側に不織布を積層してなる不織布積層防水シート中の不織布を塗膜防水部との接着性に優れたものか、塗膜防水部を形成する樹脂である接着剤中に含浸させて塗膜防水部と接合させる工程とを含むことを特徴とする防水面構造の施工方法。
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