JP2016132946A - 下張緩衝シートおよび防水構造 - Google Patents

Abstract

【課題】１液型（湿気硬化型）の防水材を用いた防水施工において、塗膜の硬化速度を高めて工期の短縮を図ることができ、かつ塗布作業の容易さが損なわれることがない下張緩衝シートを提供する。
【解決手段】下地２０の表面に設置されて、その上に防水塗膜が形成される下張緩衝シートを提供する。重ね面１２ａを有する緩衝層１２と、重ね面１２ａとは反対側に塗膜形成面１１ａを有する硬化促進層１１とを備えている。硬化促進層１１の塗膜形成面１１ａは、１液型の液状防水材の塗布によりポリウレタン樹脂からなる防水塗膜が形成される。硬化促進層１１は、液状防水材と反応可能な反応性材料を含み、前記反応性材料は、次の［１］、［２］のいずれかに該当する。［１］前記液状防水材に含まれるイソシアネートと反応可能な官能基を有する。［２］前記液状防水材に含まれる潜在性硬化剤と反応して、前記液状防水材の成分と反応可能な官能基を生成する。
【選択図】図１

Description

本発明は、コンクリートなどからなる下地の防水施工において、液状防水材の塗布により防水塗膜を形成する前に、下地上に敷設する下張緩衝シート、およびこの下張緩衝シートを用いた防水構造に関する。

従来、コンクリートなどからなる床面（下地）などの防水施工では、防水シート（下張緩衝シート）を床面上などに敷き並べ、この下張緩衝シートの上に液状防水材を塗布し、これを硬化させることにより防水塗膜を形成するのが一般的である。
下張緩衝シートは、防水だけでなく、人の歩行やコンクリートの収縮により加えられる力を緩衝する作用がある。下張緩衝シートとしては、ポリオレフィン、塩化ビニル、加硫ゴム、アスファルト、ゴムアスファルトを主材とするものが一般的に用いられる。

特開２００４−３６３２４号公報

ポリウレタン樹脂からなる防水材としては、１液型（湿気硬化型）と２液型とがある。１液型の防水材は、液剤の計量、撹拌作業などが不要であるため、施工が容易であるという利点がある。
一般的に利用されている１液型（湿気硬化型）の液状防水材は２つに分類できる。１つは空気中の水分と液状防水材中のイソシアネート成分とが直接反応して硬化するタイプである。もう１つは、液状防水材中に少なくとも２つの成分、すなわち成分１と成分２とを含有するタイプである。成分２は成分１とは反応しないが、空気中の水分によって成分２’となり、この成分２’が成分１と反応することによって硬化が進行する。一般に、成分２を潜在性硬化剤という。
しかしながら、１液型（湿気硬化型）の防水材は、いずれのタイプでも空気中の水分と反応し硬化が進むため、塗膜の表面から硬化し、内部まで硬化するには時間がかかるという問題がある。特に、冬期などの低温低湿度環境下において、この問題は顕著である。このため、１液型の防水材には、液状防水材の硬化に長時間を要し、工期が長期化するという問題があった。この問題を解決するため、１液型の防水材に、水を、硬化を促す触媒とともに添加し、これら水および触媒を防水材に混合し分散させる手法があるが、この手法を採用した防水構造では、撹拌作業が必要となるため１液型のメリットが損なわれる。また、硬化時間を短くするために水の添加量を多くすると、液状防水材の可使時間が短くなり塗布作業の作業性に影響が及ぶことがあった。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、１液型（湿気硬化型）の防水材を用いた防水施工において、塗膜の硬化速度を高めて工期の短縮を図ることができ、かつ塗布作業の容易さが損なわれることがない下張緩衝シートおよびこれを用いた防水構造を提供することを目的とする。

本発明は、下地表面に設置されて、その上に防水塗膜が形成される下張緩衝シートであって、前記下地に対して重ねられる重ね面を有する緩衝層と、前記重ね面とは反対側に塗膜形成面を有する硬化促進層とを備え、前記硬化促進層の塗膜形成面は、１液型のポリウレタン樹脂からなる液状防水材の塗布により防水塗膜が形成される面であり、前記硬化促進層は、前記液状防水材と反応可能な反応性材料を含み、前記反応性材料は、次の［１］、［２］のいずれかに該当することを特徴とする下張緩衝シート。［１］前記液状防水材に含まれるイソシアネートと反応可能な官能基を有する。［２］前記液状防水材に含まれる潜在性硬化剤と反応して、前記液状防水材の成分と反応可能な官能基を生成する。
前記［１］の反応性材料の官能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、およびカルボキシ基のうち少なくとも１つであることが好ましい。
前記［２］の反応性材料によって生成する官能基は、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、およびカルボキシ基のうち少なくとも１つであることが好ましい。
前記反応性材料は、水であることが好ましい。
前記硬化促進層は、吸液性材料からなるシート材に、前記反応性材料を含む液剤を含浸させることにより形成されていることが好ましい。
前記緩衝層の重ね面には通気溝が形成されていることが好ましい。
本発明は、前記下張緩衝シートの前記塗膜形成面に、１液型の液状防水材の塗布により防水塗膜が形成された防水構造を提供する。

本発明によれば、塗膜形成面を有する硬化促進層は、液状防水材に含まれる成分と反応可能な反応性材料を含むため、液状防水材層の表層領域だけでなく深層領域でも硬化が進行する。そのため、硬化反応の速度が低下しやすい冬期などの低温低湿度環境下においても液状防水材の硬化速度を高くし、工期の短縮を図ることができる。
本発明では、防水塗膜に、１液型のポリウレタン樹脂を使用するため、液剤の計量、撹拌作業などが必要ないことから、施工の作業性および作業効率は良好である。また、水を液状防水材に添加、混合する場合とは異なり、液状防水材の可使時間が短くなることはないため、塗布作業の作業性に悪影響はない。

本発明の下張緩衝シートの一実施形態およびこの下張緩衝シートの敷設例を示す概略斜視図である。 図１に示す下張緩衝シートを示す概略断面図である。 図１に示す下張緩衝シートを用いた防水構造を示す概略断面図である。

以下、本発明を詳しく説明する。
図１は、本発明の下張緩衝シートの一実施形態である下張緩衝シート１０を示す概略斜視図である。図２は、下張緩衝シート１０を示す概略断面図である。図３は、下張緩衝シート１０を用いた防水構造４０を示す概略断面図である。

図３に示すように、防水構造４０は、下地２０上に敷設された下張緩衝シート１０の上に、ポリウレタン樹脂からなる防水塗膜３０が形成された構造である。

防水塗膜３０は、１液型（湿気硬化型）のポリウレタン樹脂からなる液状防水材の塗布により形成される。
１液型（湿気硬化型）の液状防水材は２つに分類できる。１つは空気中の水分と液状防水材中のイソシアネート成分が直接反応して硬化するタイプである。このタイプを第１タイプという。
もう１つは、液状防水材中に少なくとも２つの成分、すなわち成分１と成分２とを含有するタイプである。成分２は成分１とは反応しないが、空気中の水分によって成分２’となり、この成分２’が成分１と反応することによって硬化が進行する。一般に、成分２を潜在性硬化剤という。このタイプを第２タイプという。

第１タイプの防水材は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを含む。
ポリイソシアネートとしては、例えばジフェニルメタン−４，４’−ジイソシアネート（ＭＤＩ）、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート（液状ＭＤＩ）、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート（粗製ＭＤＩ）、２，４−トリレンジイソシアネート（２，４−ＴＤＩ）、２，６−トリレンジイソシアネート（２，６−ＴＤＩ）、キシリレンジイソシアネート（ＸＤＩ）、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低分子量イソシアネート化合物が挙げられる。
ポリオールとしては、水酸基を２以上持つものであれば特に限定されないが、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
第１タイプの防水材は、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるウレタンプレポリマーであってもよい。

第２タイプの防水材は、例えば、ポリイソシアネート（成分１）と、潜在性硬化剤（成分２）とを含む。
ポリイソシアネート（成分１）としては、第１タイプの防水材に使用できるポリイソシアネートとして例示したポリイソシアネートが使用できる。ポリイソシアネート（成分１）としては、上述のウレタンプレポリマーが使用できる。

潜在性硬化剤は、水分と反応して活性水素基を生成する。潜在性硬化剤としては、加水分解型潜在性硬化剤、熱潜在性硬化剤などがある。
加水分解型潜在性硬化剤は、水がない環境下では硬化剤として機能しないが、水（湿気）がある条件下では加水分解して硬化剤として機能する。加水分解型潜在性硬化剤としては、例えば、オキサゾリジン化合物、ケチミン化合物等が挙げられる。
熱潜在性硬化剤は、常温では硬化剤として機能しないが、ある一定以上の熱を加えると溶融、相溶または活性化して硬化剤として機能する。熱潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、イミダゾール類等が挙げられる。

図１および図２に示すように、下張緩衝シート１０は、防水性を有する緩衝層１２と、その表面に積層された硬化促進層１１とを有する。下張緩衝シート１０は、緩衝層１２をコンクリートなどからなる下地２０側に向けて、この下地２０の表面を覆うように敷設される。

図１において、下地２０の表面はほぼ水平な床面であり、下地２０の表面には、１または複数の下張緩衝シート１０が敷設される。図１では、複数の下張緩衝シート１０が敷設され、これら複数の下張緩衝シート１０が固定具（図示略）などにより互いに接合されている。

緩衝層１２は、ポリオレフィン、塩化ビニル、加硫ゴム、アスファルト、ゴムアスファルトを主材とするものが好ましい。
緩衝層１２は弾力性を有し、下地２０に敷設された状態で、例えば、下張緩衝シート１０上の人の歩行などによる衝撃を、突起１３の弾性変形によって吸収することができる。通気溝１４は、突部１３の弾性変形を容易にするための空間としても機能する。

緩衝層１２の下地２０に向けられる下面１２ａには、突部１３が多数形成され、これら突部１３間に形成される通気溝１４が緩衝層１２下面全体に網目状に形成されている。下面１２ａは、下張緩衝シート１０の下面に相当する。下面１２ａは「重ね面１２ａ」ともいう。
突部１３および通気溝１４は、例えば、型付きのロールを用いて下張緩衝シート１０をロール成形する際に、ロールの型を緩衝層１２に圧接することで形成することができる。
突部１３および通気溝１４によって離型性が高められるため、緩衝層１２を形成する材料中に滑剤などを添加しておく必要がない。このため、下張緩衝シート１０は、接着剤などを用いて下地２０と接着する際の接着性が良好である。
なお、図１では突部１３は亀甲状になっているが、突部１３の形状は、円形、長方形状、菱形などの各種形状を採用することができる。

硬化促進層１１は、後述する反応性材料を含む層である。
硬化促進層１１は、例えば緩衝層１２の表面に積層された基布１５に、反応性材料を含む反応性液剤を含浸させることにより形成することができる。

基布１５は、例えば吸液性材料からなるシート材である。基布１５としては、例えば、織布（布）、不織布（布）、ネットクロス（網状の布）など、単繊維もしくは集束繊維によって布状または網状に形成されたもの、あるいは、これらが複数種類組み合わされたものが用いられる。
基布１５は、緩衝層１２が下地２０の凹凸に追従し易くする観点から、薄く形成するのが好ましい。具体的には、基布１５の厚みは例えば０．１〜２ｍｍ（好ましくは０．１〜１ｍｍ）とすることができる。

基布１５を構成する繊維としては、綿、麻などからなる天然繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂からなる合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが用いられる。これらの中でも、緩衝層１２や、防水塗膜３０との接着性を確保する観点から、ポリエステルからなる不織布が好ましく用いられる。

反応性材料は、液状防水材と反応可能である。具体的には、次の［１］、［２］のいずれかに該当する。
［１］液状防水材に含まれるイソシアネートと反応可能な官能基を有する反応性材料。
［２］液状防水材に含まれる潜在性硬化剤と反応して、液状防水材の成分と反応可能な官能基を生成する反応性材料。

［１］において「液状防水材に含まれるイソシアネートと反応可能な官能基」は、例えば、活性水素を含む官能基であり、例えばヒドロキシ基（−ＯＨ）、アミノ基（−ＮＨ_２等）、チオール基（−ＳＨ）およびカルボキシ基（−ＣＯＯＨ）のうち少なくとも１つが挙げられる。なかでも特に、ヒドロキシ基およびアミノ基は、長期安定性に優れた防水構造４０が得られるため好ましい。
前記官能基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基およびカルボキシ基のうち１つのみを使用してもよいし、２以上を併用してもよい。

ヒドロキシ基を有する反応性材料としては、水、ビニルアルコール系、鹸化物系などの化合物がある。なかでも特に、水が好ましい。
ビニルアルコール系化合物としては、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体などが使用できる。
鹸化物系としては、エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物、などがある。
アミノ基を有する反応性材料としては、例えば、ポリアミノスチレン、ポリビニルアミンなどがある。また、スチレン−ブタジエン共重合体にアミノ基を導入したものも使用できる。
チオール基を有する反応性材料としては、例えば、１，２−エタンジチオール、１，２−プロパンジチオールなどがある。
カルボキシ基を有する反応性材料としては、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースなどがある。

上述の［２］、すなわち「液状防水材に含まれる潜在性硬化剤と反応して、液状防水材の成分と反応可能な官能基を生成する反応性材料」において、液状防水材の成分と反応可能な官能基は、例えば、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、およびカルボキシ基のうち少なくとも１つである。
前記官能基としては、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基およびカルボキシ基のうち１つのみを使用してもよいし、２以上を併用してもよい。

ヒドロキシ基を生成する反応性材料としては、水、ビニルアルコール系、鹸化物系などの化合物がある。なかでも特に、水が好ましい。
ビニルアルコール系化合物としては、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）、エチレン−ビニルアルコール共重合体（ＥＶＯＨ）、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体などが使用できる。
鹸化物系としては、エチレン酢酸ビニル共重合体鹸化物、などがある。
アミノ基を生成する反応性材料としては、例えば、水などがある。

反応性材料は水に溶解させて、反応性液剤として基布１５に含浸させてもよい。
反応性材料には、液状防水材の硬化反応を促進する触媒（例えば、金属有機酸塩、有機金属化合物など）を添加してもよい。

以下、この実施形態の下張緩衝シートの敷設方法について図１および図３を参照して説明する。
図１および図３に示すように、下張緩衝シート１０を用いた防水施工方法では、まず、下地２０の表面の清掃を行った後、下地２０の上に、下地用プライマー（図示略）を塗布する。

下地２０の表面に塗布する下地用プライマーは、下張緩衝シート１０の下地２０に対する接着性を高めるためのものである。
下地用プライマーとしては、常温硬化性のウレタン系樹脂；エポキシ樹脂；一般的に用いられるクロロプレン、アクリルなどからなる溶剤もしくはエマルジョンなどのプライマーが好ましく用いられる。
下地用プライマーを下地２０の上に塗布する方法としては、スプレーガンによって噴射する方法、あるいは、ローラーや刷毛もしくはレーキによって塗布する方法が好ましい。
なお、下地２０の表面状態などによっては、下地用プライマーの塗布を省略してもよい。

次いで、下地２０の表面に下張緩衝シート１０を敷設する。下張緩衝シート１０は、基布１５と接着している側とは反対側の緩衝層１２の面１２ａ（重ね面１２ａ）を下地２０に向けて敷設される。
これによって、下張緩衝シート１０は、硬化促進層１１が、緩衝層１２と接着している側とは反対側の面１１ａ（塗膜形成面１１ａ）を露出させた状態となる。
下張緩衝シート１０は、このシートを貫通して下地２０に打ち込まれる固定具（タッカー、ワッシャ付釘、傘釘、ピン等）によって下地２０に固定してもよい。

次いで、下張緩衝シート１０の硬化促進層１１の表面（塗膜形成面１１ａ）に１液型（湿気硬化型）の液状防水材を塗布し、この液状防水材層を硬化させて防水塗膜３０とする。これによって、下張緩衝シート１０と防水塗膜３０からなる防水構造４０が形成される。
液状防水材の塗布には、例えばスプレーガン、ローラー、鏝、レーキを用いることができる。
液状防水材が第１タイプの液状防水材である場合、この液状防水材からなる層の表層領域では、イソシアネートが外気中の水と反応して硬化する。硬化反応の例を以下に示す。

下張緩衝シート１０は、水などの反応性材料を含む硬化促進層１１が表面に形成されているため、液状防水材層の下面を含む深層領域においても、反応性材料との反応により硬化が進行する。
例えば、反応性材料が水であれば、深層領域で、前述の反応（ａ）〜（ｃ）により硬化が進行する。水以外のヒドロキシ基を有する反応性材料でも、反応（ａ）〜（ｃ）と同様の反応により硬化が進行する。
アミノ基を有する反応性材料では、アミノ基（−ＮＨ_２）は、液状防水材のイソシアネート（−Ｎ＝Ｃ＝Ｏ）と反応し、ウレア結合（−ＮＨ−Ｃ（＝Ｏ）−ＮＨ−）が形成されることにより硬化が進行する。
チオール基を有する反応性材料では、チオール基（−ＳＨ）は、液状防水材のイソシアネート（−Ｎ＝Ｃ＝Ｏ）と反応し、チオウレタン結合（−Ｓ−Ｃ（＝Ｏ）−ＮＨ−）が形成されることにより硬化が進行する。
カルボキシ基を有する反応性材料では、カルボキシ基（−ＣＯＯＨ）は、液状防水材のイソシアネート（−Ｎ＝Ｃ＝Ｏ）と反応し、カルバミン酸無水物を経由して最終的にはアミド結合（−ＮＨ−Ｃ（＝Ｏ）−）が形成されることにより硬化が進行する。

第２タイプの液状防水材からなる層の表層領域では、潜在性硬化剤が外気中の水と反応して、活性水素を含む官能基を有する化合物を生成し、この活性水素を有する化合物とイソシアネートとが反応して硬化する。
例えば、潜在性硬化剤がオキサゾリジン化合物を含む場合は、オキサゾリジン化合物は、外気中の水分と反応して加水分解を受け、オキサゾリジン環が２級アミノ基とアルコール性水酸基を生成し、これらがイソシアネートと反応することにより硬化が進行する。
潜在性硬化剤がケチミン化合物を含む場合は、ケチミン化合物は水との反応によりアミンを生成させる。このアミンとイソシアネートとの反応により硬化が進行する。

液状防水材層の下面を含む深層領域においては、潜在性硬化剤が反応性材料と反応して、活性水素を含む官能基を有する化合物を生成し、この活性水素を有する化合物とイソシアネートとが反応して硬化する。
潜在性硬化剤が反応性材料と反応してイソシアネート基を含む化合物を生成した場合には、このイソシアネート基を含む化合物は液状防水材のポリオールと反応して硬化する。

下張緩衝シート１０によれば、塗膜形成面１１ａを有する硬化促進層１１は、液状防水材に含まれる成分と反応可能な反応性材料を含むため、液状防水材層の表層領域だけでなく深層領域でも硬化が進行する。そのため、硬化反応の速度が低下しやすい冬期などの低温低湿度環境下においても液状防水材の硬化速度を高くし、工期の短縮を図ることができる。
防水塗膜３０には、１液型のポリウレタン樹脂を使用するため、液剤の計量、撹拌作業などが必要ないことから、施工の作業性および作業効率は良好である。また、水を液状防水材に添加、混合する場合とは異なり、液状防水材の可使時間が短くなることはないため、塗布作業の作業性に悪影響はない。

なお、この発明は上記の実施の形態に限定されず、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜の選択が可能である。
上述の実施形態では、硬化促進層１１を、反応性材料を含む反応性液剤を基布１５に含浸させた構成としたが、硬化促進層１１の構成はこれに限らず、反応性材料を含む反応性液剤を、緩衝層１２の表面に塗布し、硬化させて形成された塗膜であってもよい。この場合にはシート材は使用しなくてもよい。

下張緩衝シート１０の表面には、防水塗膜３０の施工において、液状防水材の塗布量（塗装厚）の目安とするために、印刷などによって表示を形成してもよい。半透明の液状防水材を用い、下張緩衝シート１０の表面の表示の隠蔽度合いを確認することで、防水塗膜３０の必要な膜厚を確保しやすくなる。このため、液状防水材塗膜が極端に薄い箇所の発生を防止でき、防水性を確実に確保できる。
液状防水材に用いられるポリウレタン樹脂は、硬化時に可撓性を有するものが好ましい。防水塗膜３０が可撓性を有すると、防水塗膜３０は下地２０などの撓みなどによる変形に追従して変形するため、破断しにくくなる。

１０・・・下張緩衝シート、１１・・・硬化促進層、１１ａ・・・塗膜形成面、１２・・・緩衝層、１２ａ・・・重ね面、１３・・・突部、１４・・・通気溝、１５・・・基布、２０・・・下地、３０・・・防水塗膜、４０・・・防水構造。

Claims (7)

1. 下地表面に設置されて、その上に防水塗膜が形成される下張緩衝シートであって、
   前記下地に対して重ねられる重ね面を有する緩衝層と、前記重ね面とは反対側に塗膜形成面を有する硬化促進層とを備え、
   前記硬化促進層の塗膜形成面は、１液型のポリウレタン樹脂からなる液状防水材の塗布により防水塗膜が形成される面であり、
   前記硬化促進層は、前記液状防水材と反応可能な反応性材料を含み、
   前記反応性材料は、次の［１］、［２］のいずれかに該当することを特徴とする下張緩衝シート。
   ［１］前記液状防水材に含まれるイソシアネートと反応可能な官能基を有する。
   ［２］前記液状防水材に含まれる潜在性硬化剤と反応して、前記液状防水材の成分と反応可能な官能基を生成する。
2. 前記［１］の反応性材料の官能基は、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、およびカルボキシ基のうち少なくとも１つであることを特徴とする請求項１に記載の下張緩衝シート。
3. 前記［２］の反応性材料によって生成する官能基は、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、およびカルボキシ基のうち少なくとも１つであることを特徴とする請求項１に記載の下張緩衝シート。
4. 前記反応性材料は、水であることを特徴とする請求項１〜３のうちいずれか１項に記載の下張緩衝シート。
5. 前記硬化促進層は、吸液性材料からなるシート材に、前記反応性材料を含む液剤を含浸させることにより形成されていることを特徴とする請求項１〜４のうちいずれか１項に記載の下張緩衝シート。
6. 前記緩衝層の重ね面には通気溝が形成されていることを特徴とする請求項１〜５のうちいずれか１項に記載の下張緩衝シート。
7. 前記請求項１〜６のうちいずれか１項に記載の下張緩衝シートの前記塗膜形成面に、１液型の液状防水材の塗布により防水塗膜が形成されたことを特徴とする防水構造。

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