JP2019108735A - ウレタン塗膜防水用下張り材 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウレタン塗膜防水材との付着性がよく、しかも、強度に優れ、耐久性に富み、また、鋏やカッターナイフ等での切断も容易で、しかも、自己粘着層が積層されていない部分でも撓まずに平滑性が保持できるウレタン塗膜防水用下張り材を提供する。【解決手段】炭酸カルシウム(CaCO3)60〜80%と高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)40%〜20%で形成したシート状成形品2からなり、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂3を塗布した。【選択図】図1
Description
本発明は、ウレタン塗膜防水工事で使用する下張シートもしくは水切り等の下張り用テープもしくはアングルとしてのウレタン塗膜防水用下張り材に関するものである。
近年、アスファルト防水やゴムシート防水に替わるものとしてウレタン塗膜防水の普及が高まっており、ウレタン塗膜防水工法は、下地に鏝やローラーによって塗布するタイプ、及び、専用の機械にて加温圧送し、ホース先端の専用ガンの中で混合して吹き付け塗布して防水層を形成する工法である。
ウレタン塗膜防水工法に用いる、ポリウレタン樹脂からなる防水材としては、1液型(湿気硬化型)と2液型とがあり、1液型の防水材は、空気中の水分と液状防水材中の潜在性硬化剤を介してイソシアネート成分とが反応して硬化、もしくは、空気中の水分と直接反応して硬化するタイプがある。
イソシアネートと空気中の水分が直接反応すると炭酸ガスが発生し、ウレタン塗膜防水層が発泡し、スポンジ状になる危険性があるため、液状防水材中に少なくとも2つの成分、すなわち成分1(イソシアネート成分)と成分2(ケチミン等の潜在性硬化剤)とを含有するタイプが主流となっている。
2液型は、主剤(イソシアネートプレポリマー)と硬化剤(ポリアミンおよびポリオール)との2液成分の液体材料を施工時に混合撹拌したものを下地に鏝やローラーによって塗布するタイプ、及び、専用の機械にて加温圧送し、ホース先端の専用ガンの中で混合して吹き付け等により塗布して、反応固化させて、防水層を形成する。
1液型と2液型のいずれの場合も、液状の材料を塗布するために、狭い場所や、設備用基礎が多くある屋上など平面が複雑な形状であっても納まりやすく容易に施工できる利点があり、またジョイントが無く、ジョイント部分で施工不良を防止できる利点がある。
また、重ねて塗布することにより防水性能を高められるため、改修時には塗り重ねれば良く、低コストで防水層の改修が可能となる利点があった。更に、液体材料の選択により耐摩擦・耐衝撃を高めるなど種々の用途の仕様に対応することもできる。
他方、液状材料を塗布するため、水平に広がりやすく、下地面に不陸があると均一な厚みに施工できず、膜厚の確保が難しい短所がある。
下記特許文献はウレタン塗膜防水用下張りシート用表面材として提案されたもので、ウレタン塗膜防水材が上面に施工されるウレタン塗膜防水用下張りシート用表面材であって、ポリウレタン樹脂との易接着性を付与されたPETフィルムの上面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂をグラビアロールで塗布したものである。
特許第5443665号公報
このウレタン塗膜防水用下張りシートを打設したコンクリート下地の表面に貼着し、このウレタン塗膜防水用下張りシートの表面(ポリウレタン樹脂層)にJISA6021ウレタンゴム系高伸長形(旧1類)に規定される防水材を塗布して複合防水層を形成する。
前記特許文献1はウレタン塗膜防水用下張りシート用表面材としてPETフィルムを基材フィルムとして使用するものであり、最良の形態としてPETフィルムの厚みは12μmとされている。
また、接着剤を下地に塗布して不織布面を貼り付けるタイプの構成(特許文献1の図1)と下地接着面に自着層が施され、自着層の上に剥離紙が貼られ、剥離紙を剥がして下地に貼り付けるタイプの構成(特許文献1の図2)が記載されている。
下地に接着剤を塗布する工程が省ける自着タイプの構成(特許文献1の図2)が、省力化の観点から現在では、市場シェアを殆ど占有しつつある。
特許文献1の図2のウレタン塗膜防水用下張りシートには、ポリウレタン樹脂層が積層された基材フィルムのポリウレタン樹脂層と反対の面の最下層に、厚さ0.5mmの連通した凹部を有する自己粘着層が積層されている。
つまり、自己粘着層が積層された部分は、自立することになるが、自己粘着層が積層されていない部分は、橋梁の桁のように宙に浮いた状態となっている。
このため、剛性の弱い特許文献1の図2のウレタン塗膜防水用下張りシート用表面は、荷重や重力で撓んでしまい、ウレタン塗膜防水用下張りシートの表面平滑性を保持することが出来ない。
特許文献1の図2のウレタン塗膜防水用下張りシート用表面の撓みは、下地に鏝やローラーによって塗布するタイプのウレタン塗膜防水材で施工した場合でも、専用機械で圧送して吹付施工するタイプのウレタン塗膜防水材で施工した場合でも、施工後に目視でもわかるように残り、且つ、この撓みで凹んだ部分には、降雨による水が乾燥せず永く残ることで、汚れが付着することが多々ある。
また、PETフィルムはポリウレタン樹脂との易接着性を付与するために、コロナ処理機でコロナ処理を行うか、コート剤をコートするか、更にポリウレタン樹脂と接着し易い樹脂もしくは成分をPET樹脂と共押出しした後、MD、TD方向に夫々2.5〜5.0倍二軸延伸後、熱固定されたPETフィルムとするかなどの処理を必要とする。
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、ウレタン塗膜防水材との付着性がよく、しかも、強度に優れ、耐久性に富み、また、鋏やカッターナイフ等での切断も容易で、しかも、自己粘着層が積層されていない部分でも撓まずに平滑性が保持できるウレタン塗膜防水用下張り材を提供することにある。
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、炭酸カルシウム(CaCO3)60〜80%と高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)40%〜20%で形成したシート状成形品からなり、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂を塗布したことを要旨とするものである。
請求項1記載の本発明によれば、ウレタンを用いるウレタン防水で使用する下張材として、ウレタン塗膜防水用下張りシートもしくは、コンクリート造等の笠木の顎からパラペットへ雨水が伝わって流れることを防ぐ水切りテープや、笠木の天場から外壁に雨水が伝わって流れることを防ぐ水切りアングルとして使用するもので、原料は60%〜80が%炭酸カルシウム(CaCO3)、残り約40〜20%が高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)であるシート状成形品で形成することで、所定の厚みが得られ、かつ、水に強いく、破れにくい覆いが得られる。
自己粘着層が積層されていない部分でも、もしくは接着剤を塗布しない部分にも撓まずに平滑性が保持できる
また、紙のように裁断可能であり、矩形状や台形状の折曲げ成形も簡単であり、形状保持性に富むもので、下地材やとして最適なものである。
さらに、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂を塗布したことで、このポリウレタン樹脂を介在させてウレタン防水材との付着性を高めることができ、本発明品をコンクリートやアスファルト、その他の下地に貼り付けることで従来のプライマー処理に代わるものとしてこれらとウレタン防水材との結合を行うことが容易となる。
請求項2記載の本発明は、ポリウレタン樹脂を塗布した面と反対側の面に自己粘着層を形成したことを要旨とするものである。
請求項2記載の本発明によれば、予め自己粘着層を設けることで、接着剤を塗布しないでも本発明品を簡単かつ迅速に貼り付けることができる。
請求項3記載の本発明は、自己粘着層を剥離紙で被覆したことを要旨とするものである。
請求項3記載の本発明によれば、予め自己粘着層を設ける場合に接着層を剥離紙で被覆しおくことで、貼り付けの際にはこの剥離紙を剥がして接着層を露出させることができる。
請求項4記載の本発明は、部分的に、山折り、谷折りにより、複数枚重ね貼りによって直進性と剛性を持たせることを要旨とするものである。
請求項4記載の本発明によれば、前記紙のように裁断可能であり、矩形状や台形状の折曲げ成形も簡単であり、形状保持性に富むことを受けて、部分的に、山折り、谷折りにより、複数枚重ね貼りによって直進性と剛性を持たせることにより、この剛性を持たせた部分をコンクリート等の下地から突出させて、例えば、水切りテープの一部として形状を確保することが可能である。
以上述べたように本発明のウレタン塗膜防水用下張り材は、ウレタンとの付着性がよく、しかも、強度に優れ、耐久性に富み、また、鋏等での切断も容易で、しかも、自立性があり、折り曲げなどによる形状保持にも優れ、また、自己粘着層が積層されていない部分でも撓まずに平滑性が保持できるものである。
以下図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明のウレタン塗膜防水用下張り材のシートの場合の1実施形態を示す斜視図で、図2は同上部分縦断側面図である。
図中1は、ウレタンを用いるウレタン防水で使用する下張シートであり、炭酸カルシウム(CaCO3)60〜80%と高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)40%〜20%で形成したシート状成形品2からなり、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂3を塗布した。
シート状成形品の原料は、約1重量%〜2重量%の添加剤を含むものでもよく、添加剤は、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−オレイルパルミトアミド、およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)の組み合わせからなる。
炭酸カルシウム(CaCO3)、高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、添加剤の組み合わせを、混合、押し出し、練り、および重合という工程に付し、結果として粒質物とし、それらの粒質物を、押出機に供給し、任意のパラメーターによって、各々31μmおよび52μm(実施例1)、73μmおよび82μm(実施例2)、102μmおよび116μm(実施例3)する単層のシートを生産する。
各実施例の物性を下記表1に示す。
ジイソシアネートとジオールの重付加反応である(ジイソシアネートとしてはトルレンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等、ジオールとしては長鎖のポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオール等)ポリウレタン樹脂3をシート状成形品2に積層するには、有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂をグラビアロールで塗布することにより、又はポリウレタン樹脂をビヒクルとして含有する溶剤型のインキをグラビアロールで塗布することにより行う。有機溶剤としては一般的にトルエン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール等の混合溶剤が用いられ、ポリウレタン樹脂の濃度は、10〜30%が好ましい。濃度が10%未満であると、グラビアロールで塗布した時に塗布量が少なくなり防水ウレタンとの接着が悪くなる。
ポリウレタン樹脂層の厚みは、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。ポリウレタン樹脂層の厚みが0.3μ未満であると、防水ウレタンと充分な接着性を得られない。
以上のようなポリウレタン樹脂3が積層されたシート状成形品2のポリウレタン樹脂3の層と反対の面に自己粘着層4を形成する。
自己粘着層4の形成に用いられる粘着剤の材質としては特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、ブチルゴム系、ゴムアスファルト系、(メタ)アクリル酸エステル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ビニルブチラール系、ポリイソブチレン系、スチレンブタジエン系、イソプレン系、クロロプレン系、塩化ゴム系等、又はこれらの共重合系等が挙げられる。
また、この自己粘着層4を剥離紙5で被覆した。剥離紙5は下張シート1の使用時には剥離するもので、少なくとも離型シート基材と離型剤による離型層を有する。
離型シート基材の材質は、材質は、特に限定はないが、例えば、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、布、等が挙げられる。離型剤の塗布性、コスト等の点からは紙が好ましいが、薄くできる点等からはプラスチックフィルムが好ましい。
離型層の材質は特に限定はないが、離型性の点からシリコーン樹脂が好ましい。
前記下張シートの使用法としては、防水下地に貼り付け、その上からウレタン塗膜防水材を吹付けもしくは塗布する。
例えば、このウレタン塗膜防水用下張りシートを厚さ100mmのコンクリートを打設し、打設5日後の未だ完全に乾燥せず中に水分が残っているコンクリートの表面に、自己粘着層4が接するように被せ、圧力をかけながら貼着する。
そして、このウレタン塗膜防水用下張りシートの表面に吹付けもしくは塗布するウレタン塗膜防水材としては、1成分形、2成分形いずれも問わないが、塗布する2成分反応形のタイプには、イソシアネートプレポリマー(主材)と、水酸基を2個以上有するポリオール、ポリプロピレングリコール(以下、PPGと略すこともある。)およびポリアミンに、可塑剤、老化防止剤、充填材、顔料および反応触媒を加えたコンパウンド(硬化材を混合、攪拌して塗布し硬化させるものである。
吹付けする成分反応形のウレタン塗膜防水材は、水酸基を2個以上有するPPGの水酸基当量に対して、過剰な当量比のジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略すこともある。)を混合し、加熱、攪拌することにより反応させて得られた、イソシアネート基を2個以上有するMDI系プレポリマーやMDI系プレポリマーに可塑剤を加えたもの(主材)と、アミノ基を2個以上有するジエチルトルエンジアミン(DETDA)等のポリアミン、水酸基を2個以上有するPPG、可塑剤、老化防止剤および反応触媒を配合したもの(硬化材)に可塑剤を加えて混練した顔料ペーストとを予め混合し、専用の機械にて加温しながら、ホース圧送してホース先端にて衝突混合して吹付け塗工するものである。
図7はウレタン塗膜防水用下張り材の笠木と外壁取り合い部の使用状態を示すもので、建物屋上のパラベット8の上部のコンクリート笠木9の顎からパラペット8へ雨水が伝わって流れることを防ぐ水切り用のテープ6や、笠木9の天場から外壁10に雨水が伝わって流れることを防ぐ水切り用アングル7として使用する。
図3、図4は水切り用のテープ6の場合を示し細長帯状のものである。
また、図5、図6はアングル7の場合を示し、幅方向中央でほぼ直角に山折りに折り曲げ成形した棒状のものである。なお、幅広のテープを現場で折り曲げ加工することも可能である。
テープ6やアングル7の構成も前記下張シート1と同様であり、炭酸カルシウム(CaCO3)60〜80%と高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)40%〜20%で形成したシート状成形品2からなり、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂3を塗布した。
さらに、ポリウレタン樹脂3が積層されたシート状成形品2のポリウレタン樹脂3の層と反対の面に自己粘着層4を形成し、その上を剥離紙5で被覆した。
さらに、前記テープ6やアングル7の構成する場合に、図7、8に示すように、部分的に、山折り11や谷折り13により、複数枚重ね貼りによって直進性と剛性12を持たせることも可能である。
図7の例はテープ6を長さ方向で山折り11とした場合であり、内側に360°折返して複数枚重ね貼りによって直進性と剛性12を持たせた。
図8はアングル7の場合であり、垂直部分を谷折り13により内側に360°折返して、複数枚重ね貼りによって直進性と剛性12を持たせた。
図7、図8のいずれの場合も図示は省略するが、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂3を塗布し、ポリウレタン樹脂3の層と反対の面に自己粘着層4を形成し、その上を剥離紙5で被覆する。複数枚重ね貼り重ねる部分の内側ではこの自己粘着層4は省略することができる。
テープ6やアングル7の使用法としては、図9に示すように水切り用のアングルテープ6の場合はコンクリート笠木9の顎から一部下方に突き出るように貼り付け、水切り用アングル7の場合はコンクリートおよびモルタル笠木9の天場から外壁に一部下方に突き出るよう貼り付け、図示は省略するが、前記下張シートの使用法の場合と同じく上からウレタン塗膜防水材を吹付けもしくは塗布する。
図10に示すように、前記水切り用のテープ6においては、コンクリートおよびモルタル笠木9から飛び出す部分には、山折り12の加工を施し、パラペット8の方向に内側に360°折返すことで巻癖を解消し、直線性を担保すると共に強風による変形に対する耐久性を高めるようにした。
1 下張シート
2 シート状成形品
3 ポリウレタン樹脂
4 接着層
5 剥離紙
6 テープ
7 アングル
8 パラベット
9 コンクリートおよびモルタル笠木
10 外壁
11 山折り
12 直進性と剛性
13 谷折り
2 シート状成形品
3 ポリウレタン樹脂
4 接着層
5 剥離紙
6 テープ
7 アングル
8 パラベット
9 コンクリートおよびモルタル笠木
10 外壁
11 山折り
12 直進性と剛性
13 谷折り
Claims (4)
- 炭酸カルシウム(CaCO3)60〜80%と高密度ポリエチレン(HDPE樹脂)もしくは、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)40%〜20%で形成したシート状成形品からなり、表面に有機溶剤に溶解したポリウレタン樹脂を塗布したことを特徴とするウレタン塗膜防水用下張り材。
- ポリウレタン樹脂を塗布した面と反対側の面に自己粘着層を形成した請求項1記載のウレタン塗膜防水用下張り材。
- 自己粘着層を剥離紙で被覆した請求項2記載の塗膜防水用下張り材。
- 部分的に、山折り、谷折りにより、複数枚重ね貼りによって直進性と剛性を持たせる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のウレタン塗膜防水用下張り材。
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