JP3488824B2 - 樹脂系シート防水部と塗膜防水部との接合工法 - Google Patents

樹脂系シート防水部と塗膜防水部との接合工法

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JP3488824B2 JP06007498A JP6007498A JP3488824B2 JP 3488824 B2 JP3488824 B2 JP 3488824B2 JP 06007498 A JP06007498 A JP 06007498A JP 6007498 A JP6007498 A JP 6007498A JP 3488824 B2 JP3488824 B2 JP 3488824B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の属する技術分野】
【0001】本発明は、ビルの屋上等のコンクリート製
躯体表面に施工される樹脂系シート防水部と塗膜防水部
の接合工法に関するものである。
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】従来、ビルの屋上等のコンクリート製躯体
表面の防水施工は、アスファルト防水工法、シート防水
工法、塗膜防水工法の3種に大別される。
【0003】このうち、樹脂系シートを用いたシート防
水工法を採用する場合、躯体の構造上どうしても施工で
きないときや、経済的に不向きな部位等は、ウレタン塗
膜等の塗膜防水工法と併用して施工しなければならない
場合が多く発生する。
【0004】図3は、この従来の樹脂系シート防水工法
で得られる樹脂系シート防水部Aと塗膜防水工法で得ら
れるウレタン塗膜防水部Bの接合工法の一例を示したも
のである。
【0005】図示するようにこの接合工法は、コンクリ
ート躯体1上に樹脂系防水シート2を施工して樹脂系シ
ート防水部Aを形成した後、この樹脂系防水シート2端
部にウレタン塗膜防水部Bを形成するに際して、樹脂系
防水シート2端部のコンクリート躯体1上に溶剤系接着
剤3を塗布し、この溶剤系接着剤3上に樹脂系防水シー
ト2の端部を重ね合わせるように補強クロス4を介して
ウレタン塗膜防水材5を積層した後、このウレタン塗膜
防水材5の表面に保護塗料6を塗布するようにしたもの
である。尚、この樹脂系防水シート2と、ウレタン塗膜
防水材5との接触面には樹脂系防水シート2の可塑剤の
移行を防止するためのプライマーが塗布されるようにな
っている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】ところで、このような防水処理が施された
コンクリート躯体1を改修する場合、一般に、コンクリ
ート躯体1には長年の漏水によって多量の水分が染み込
んでいるのが殆どであるが、改修時の短期間にコンクリ
ート躯体1を十分に乾燥することは不可能である。その
ため、コンクリート躯体1に湿気がある状態で上述した
ような従来工法を行うと以下に示すような問題が発生す
る。
【0007】すなわち、上述したような従来工法では、
(1) コンクリート躯体1に塗布する接着剤として溶剤系
接着剤3を使用しているため、コンクリート躯体1に染
み込んだ水分の影響により施工時の接着不良が発生する
ことがあった。(2) また、この溶剤系接着剤3は耐水寿
命もあまり良くないため、経年後の接着不良発生も懸念
されるため、特に施工後にウレタン塗膜防水材5がコン
クリート躯体1面から剥がれたり、膨れたりすることが
あり、良好な防水機能を発揮することが困難であった。
(3) また、樹脂系シート防水部Aとウレタン塗膜防水部
Bとの接合は、異種材料同士の接合となるため、両者の
接点の動きに追従することができず、経年劣化により、
その接合部で破断が生じ漏水を招くことがあった。(4)
さらに、このウレタン塗膜防水部B側のウレタン塗膜防
水材5は耐候性に難点があり、保護塗料によりその寿命
が左右されるが、一般に、従来の保護塗料はコストダウ
ンのために安価な塗料を使用することが多く、耐候性寿
命の点でも問題があった。
【0008】そこで、本発明はこのような課題を有効に
解決するために案出されたものであり、その目的は、コ
ンクリート躯体に湿気があっても良好な防水施工を行う
ことができると共に、経年による不都合が少なく信頼性
の高い樹脂系シート防水部と塗膜防水部の接合工法を提
供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】上述したような問題点から、水分を含むコ
ンクリート躯体に防水処理を施すためには、特にウレタ
ン塗膜防水部側に、以下の4つの条件が要求される。
【0010】すなわち、(1) 湿潤性:コンクリート躯体
に多少の湿気があっても施工できること、(2) 耐水接着
性:コンクリート躯体との接着剤に耐水性があること、
(3) 脱気性:コンクリート躯体の水分が脱気できるこ
と、(4) 絶縁性:コンクリート躯体のクラックの動きに
追従できること、の4つの特性を満足する必要がある。
【0011】そこで、上記課題を解決するために本発明
は、コンクリート躯体面に樹脂コート鋼鈑をビスで直接
固定し、その樹脂コート鋼鈑を覆うように樹脂系防水シ
ートの端部を溶着して樹脂系シート防水部を形成した
後、その樹脂系シート防水部の樹脂コート鋼鈑近傍のコ
ンクリート躯体面に、親水性のあるエポキシ系耐水接着
剤により不織布を接着すると共に、その不織布と上記樹
脂コート鋼を跨ぐように補強クロスを設けると共に、
その補強クロス上にウレタン塗膜防水材を積層し、さら
に、その上面にフッ素系保護塗料を塗布し、上記補強ク
ロスとウレタン塗膜防水材とフッ素系保護塗料からなる
ウレタン塗膜防水部で、上記不織布と樹脂コート鋼
の樹脂系シート防水部の端部を連続して覆うように積層
したものである。
【0012】従って、この結果上述した湿潤性、耐水接
着性、脱気性、絶縁性のいずれをも満足することができ
る。すなわち、ウレタン塗膜防水部側に不織布を介在さ
せることにより、良好な通気性が生じ、コンクリート躯
体内に染み込んでいる水分を良好に脱気することができ
るため、コンクリート躯体内の水分の影響による塗膜防
水部及びその接合部に発生しやすかった剥がれや膨れを
未然に防止することができる。しかも、この不織布は可
撓性に富むため、コンクリート躯体のクラックの動きに
も容易に追従することができる。次に、この不織布を接
着する接着剤として、親水性のあるエポキシ系耐水性接
着剤を用いることにより、コンクリート躯体に多少の湿
気があっても、コンクリート躯体と不織布との耐水接着
性が向上するため、剥がれや膨れを未然に防止すること
ができる。さらに、上記ウレタン塗膜防水材上に塗布す
る保護塗料として、耐候性に優れたフッ素系保護塗料を
用いることにより、ウレタン塗膜防水材の寿命が向上
し、信頼性が向上する。
【0013】また、樹脂系シート防水部と塗膜防水部と
の端部がそれぞれ樹脂コート鋼鈑によって強固に固定さ
れるため、両者の材料が異なっていても、両者の接合部
の動きが規制されてその接合部で破断が生じ難くなり、
漏水等の不都合を長期に亘って未然に防止することがで
きる。
【発明の実施の形態】
【0014】次に、本発明を実施する好適一形態を添付
図面を参照しながら説明する。
【0015】図1は本発明工法で得られた樹脂系シート
防水部Aと塗膜防水部Bとの接合部の実施の一形態を示
したものである。
【0016】先ず、樹脂系シート防水部Aは、図示する
ようにビルの屋上等のコンクリート躯体1上に施工され
た樹脂系防水シート2と、この樹脂系シート2端部に位
置するコンクリート躯体1上に固定ビス7によって直接
固定された樹脂コート鋼鈑8とから構成されており、こ
の樹脂系防水シート2の端部が樹脂コート鋼鈑8の上面
を覆うように溶着されている。すなわち、この樹脂コー
ト鋼鈑8は鋼鈑の表面を防錆用の樹脂でコーティングし
たものであり、湿気などによって容易に腐食しないよう
になっている。
【0017】一方、塗膜防水部Bは、樹脂系シート防水
部A近傍のコンクリート躯体1上に塗布された親水性の
あるエポキシ系耐水接着剤9を介して接着された不織布
10と、この不織布10上に補強クロス11を介して積
層されたウレタン塗膜防水材12とから構成されてい
る。
【0018】そして、これら樹脂系シート防水部Aと塗
膜防水部Bとの接合部は、この塗膜防水部B側の補強ク
ロス11とウレタン塗膜防水材12とを樹脂系シート防
水部A側にまで延出させて樹脂コート鋼鈑8上に樹脂系
防水シート2を連続して覆うように構成されており、さ
らに、このウレタン塗膜防水材12上には、耐候性に優
れたフッ素系保護塗料13が塗布されている。
【0019】また、ここで用いられる不織布10は、厚
さ1.5mm以上で、分子内に極性基を持たない非極性
繊維の不織布、例えば、ポリオレフィン繊維からなって
いる。すなわち、ポリオレフィン繊維等の非極性繊維か
らなる不織布は、耐水性、耐アルカリ性に優れ、その結
果コンクリート躯体1面に水分があっても加水分解劣化
や接着破壊等を起さず、さらに優れた通気緩衝性を発揮
するといった特長を有している。また、この不織布10
には上記エポキシ系耐水性接着剤9が約1/2程度の厚
みまで含浸するように接着されており、通気性が保持さ
れるようになっている。
【0020】次に、このような樹脂系シート防水部Aと
塗膜防水部Bとの接合工法の一例を説明する。
【0021】先ず、予めコンクリート躯体1上に敷設又
は改修時において新たに敷設された樹脂系防水シート2
の端部を捲り上げてその下部のコンクリート躯体1上
に、樹脂系防水シート2の端部に沿って延びる樹脂コー
ト鋼鈑8を複数本の固定ビス7で直接固定した後、捲り
上げた樹脂系防水シート2の端部をこの樹脂コート鋼鈑
8を覆うように被せ、その後、この樹脂系防水シート2
の端部をバーナーなどによって加熱溶融して樹脂コート
鋼鈑8上面の樹脂に一体的に溶着して樹脂系シート防水
部A側を形成する。
【0022】次に、この樹脂コート鋼鈑8近傍のコンク
リート躯体1上にエポキシ系耐水接着剤9を塗布して不
織布10を接着した後、この不織布10の上面から樹脂
コート鋼鈑8上に亘って補強クロス11を被せると共
に、この補強クロス11上にウレタン塗膜防水材12を
重ね合わせる。尚、この樹脂系防水シート2とウレタン
塗膜防水材12との接触面には、従来と同様、樹脂系シ
ート防水材2の可塑剤の移行防止のためにプライマーを
塗布しておくことが望ましい。そして、ウレタン塗膜防
水材12が樹脂系防水シート2上に積層されたならば、
さらにその上面にフッ素系保護塗料13をコーティング
することによって塗膜防水部Bが形成されると同時に樹
脂系シート防水部Aと塗膜防水部Bが連続するように接
合されることになる。
【0023】このようにして得られた樹脂系シート防水
部Aと塗膜防水部Bとの接合部にあっては、先ず、塗膜
防水部Bに、ポリオレフィン繊維等の非極性繊維からな
る不織布10を用いたため、優れた耐水性、耐アルカリ
性、通気緩衝性を発揮することができる。その結果、コ
ンクリート躯体1面に水分があっても加水分解劣化や接
着破壊等を起さず、良好な通気性が生じるため、コンク
リート躯体1内に染み込んでいる水分を長期に亘って良
好に脱気することができる。また、この不織布10を接
着する接着剤として、親水性のあるエポキシ系耐水性接
着剤9を用いたため、コンクリート躯体1に多少の湿気
があっても、コンクリート躯体1と不織布10との耐水
接着性が向上する。
【0024】従って、これらの理由から、コンクリート
躯体1内の水分の影響による塗膜防水部B及びその接合
部に発生しやすかった剥がれや膨れを未然に防止するこ
とができる。
【0025】また、樹脂系シート防水部Aと塗膜防水部
Bとの端部がそれぞれ樹脂コート鋼鈑8によって強固に
固定されるため、両者の材料が異なっていても、両者の
接合部の動きが規制されてその接合部で破断が生じ難く
なり、漏水等の不都合を長期に亘って未然に防止するこ
とができる。しかも、上記ウレタン塗膜防水材12上に
塗布する保護塗料として、耐候性に優れたフッ素系保護
塗料13を用いることにより、ウレタン塗膜防水材12
の耐久性も大幅に向上し、その結果、塗膜防水部B及び
その接合部全体の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0026】次に、図2は本発明工法の他の実施の形態
を示したものである。
【0027】図示するように、本実施の形態は上述した
樹脂コート鋼鈑8に代えて、上面に不織布を積層した不
織布付樹脂系シート防水材14を用い、これをBの不織
布と連続するようにエポキシ系耐水接着剤9でコンクリ
ート躯体1上に直接接着したものである。
【0028】従って、本実施の形態によっても上記実施
の形態と同様、優れた湿潤性、耐水接着性、脱気性、絶
縁性を発揮することが可能となり、湿気を含むコンクリ
ート躯体1であっても良好な防水施工を行うことができ
る。
【0029】しかも、上記実施の形態では、樹脂コート
鋼鈑8の部分のみは、通気性を発揮することができない
のに対し、本実施の形態の場合では、不織布付樹脂系シ
ート防水材14自身が優れた通気性を発揮することがで
きるため、接合部位のコンクリート躯体1の脱気性もよ
り向上することになる。さらに、本実施の形態は、コン
クリート躯体1内に固定ビス7を打ち込むことがないた
め、作業時の騒音やコンクリート躯体1のひび割れの発
生を抑制することができると共に、ひび割れの成長によ
るコンクリート躯体1の損傷も未然に回避することがで
きる。
【発明の効果】
【0030】以上要するに本発明によれば、コンクリー
ト躯体に湿気や水分がある場合でも、樹脂系シート防水
部と塗膜防水部との接合部に発生する膨れや剥がれ、破
断等の不都合を未然に防止することができる。従って、
コンクリート躯体の乾燥を待つまでもなく直ちに防水施
工を行うことができると共に、経年劣化の少ない信頼性
の高い接合施工を迅速に行うことができる等といった優
れた効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明工法による樹脂系シート防水部と塗膜防
水部との接合部の実施の一形態を示す部分拡大断面図で
ある。
【図2】本発明工法による樹脂系シート防水部と塗膜防
水部との接合部の他の実施の一形態を示す部分拡大断面
図である。
【図3】従来工法による樹脂系シート防水部と塗膜防水
部との接合部の従来例を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0032】 1 コンクリート躯体 2 樹脂系防水シート 7 固定ビス 8 樹脂コート鋼鈑 9 エポキシ系耐水接着剤 10 不織布 11 補強クロス 13 フッ素系保護塗料 14 不織布付樹脂系シート防水材 A 樹脂系シート防水部 B 塗膜防水部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有賀 隆 茨城県日立市滑川本町5丁目12番15号 日立化成工材株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−42120(JP,A) 特開 平9−41584(JP,A) 特開 昭54−84309(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 11/00 E04D 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート躯体面に樹脂コート鋼鈑を
    ビスで直接固定し、その樹脂コート鋼鈑を覆うように樹
    脂系防水シートの端部を溶着して樹脂系シート防水部を
    形成した後、 その樹脂系シート防水部の樹脂コート鋼鈑近傍のコンク
    リート躯体面に、親水性のあるエポキシ系耐水接着剤に
    より不織布を接着すると共に、その不織布と上記樹脂コ
    ート鋼を跨ぐように補強クロスを設けると共に、その
    補強クロス上にウレタン塗膜防水材を積層し、さらに、
    その上面にフッ素系保護塗料を塗布し、 上記補強クロスとウレタン塗膜防水材とフッ素系保護塗
    料からなるウレタン塗膜防水部で、上記不織布と樹脂コ
    ート鋼上の樹脂系シート防水部の端部を連続して覆う
    ように積層したことを特徴とする樹脂系シート防水部と
    塗膜防水部との接合工法。
  2. 【請求項2】 コンクリート躯体面に不織布付樹脂系シ
    ート防水材を親水性のあるエポキシ系耐水接着剤により
    接着し、その不織布付樹脂系シート防水材を覆うように
    樹脂系防水シートの端部を溶着して樹脂系シート防水部
    を形成した後、 その樹脂系シート防水部近傍のコンクリート躯体面に、
    上記エポキシ系耐水接着剤により不織布を接着すると共
    に、その不織布上に補強クロスを介してウレタン塗膜防
    水材を積層し、さらにその上面にフッ素系保護塗料を塗
    布して塗膜防水部を形成するに際して、 上記補強クロスとウレタン塗膜防水材とフッ素系保護塗
    料とを、上記不織布上から樹脂系シート防水部の端部を
    連続して覆うように積層したことを特徴とする樹脂系シ
    ート防水部と塗膜防水部の接合工法。
  3. 【請求項3】 上記不織布として、厚さ1.5mm以上
    の非極性繊維品を用いたことを特徴とする請求項1又は
    2に記載の樹脂系シート防水部と塗膜防水部の接合工
    法。
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