JP7095829B2 - 固定部材および防水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、固定部材および防水構造に関する。
従来から建築物の屋根や屋上の床には、防水加工が施されている。この防水加工としては、例えば、屋根全体に樹脂系防水シートを敷設して、その樹脂系防水シートの縁部にウレタン塗膜防水材を重ねる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、この特許文献1に記載の方法では、樹脂系防水シートとウレタン塗膜防水材との間に、補強クロスが介在している。
特許文献1には、樹脂系防水シートと補強クロスとが接合されているか否かについては、一切開示されていない。樹脂系防水シートと補強クロスとが接合されていない場合、ウレタン塗膜防水材は、例えば風等により、補強クロスごと樹脂系防水シートからめくれて(剥離して)しまい、屋根に対する防水性が損なわれるという問題があった。
特開平11-256778号公報
本発明の目的は、防水シートから樹脂膜が剥離してしまうのを長期に亘って防止することができる固定部材および防水構造を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~()の本発明により達成される。
(1) 帯状をなす帯状体で構成され、樹脂材料で構成された防水シートと、該防水シート上に重ねられ、樹脂材料で構成された樹脂膜との間に配置され、該樹脂膜を前記防水シートに対して固定する固定部材であって、
少なくとも前記防水シートと接する部分に、樹脂材料で構成された樹脂材料部と、
凹部および凸部のうちの少なくとも一方で構成され、前記樹脂膜と接する部分に設けられ、前記樹脂膜が係合する係合部とを有し、
前記凹部は、前記帯状体の長手方向に沿って形成された溝であり、
前記凸部は、前記帯状体の長手方向に沿って形成された凸条であり、
前記樹脂材料部を前記防水シートに溶着して用いられることを特徴とする固定部材。
(2) 前記樹脂材料部と前記防水シートとは、同じ熱可塑性樹脂で構成されている上記(1)に記載の固定部材。
(3) 前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂である上記(2)に記載の固定部材。
) 前記溝のは、前記防水シート側に向かって漸増しており、
前記凸条のは、前記樹脂膜側に向かって漸増している上記(1)ないし()のいずれかに記載の固定部材。
) 樹脂材料で構成された防水シートと、
前記防水シート上に重ねられ、樹脂材料で構成された樹脂膜と、
前記防水シートと前記樹脂膜との間に配置され、該樹脂膜を前記防水シートに対して固定する固定部材とを備え、
前記固定部材は、上記(1)ないし()のいずれかに記載の固定部材であることを特徴とする防水構造。
) 当該防水構造は、床面と、該床面に対して交差する方向に形成された立面とを備える躯体に施工されるものであり、
前記防水シートは、前記床面上に敷設され、
前記樹脂膜は、前記防水シート上と前記立面とにまたがって設けられ、
前記固定部材は、前記立面に対して接触または接近して配置されている上記()に記載の防水構造。
) 前記樹脂材料部と前記防水シートとは、塩化ビニル系樹脂で構成され、
前記樹脂膜は、熱硬化性樹脂で構成されている上記()または()に記載の防水構造。
本発明によれば、防水シートから樹脂膜が剥離してしまうのを長期に亘って防止することができる。
図1は、本発明の防水構造(固定部材)の第1実施形態を示す垂直断面斜視図である。 図2は、図1中のA-A線断面図である。 図3は、図2中の二点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大図である。 図4は、本発明の固定部材の第2実施形態を示す垂直断面図である。 図5は、本発明の固定部材の第3実施形態を示す垂直断面図である。 図6は、本発明の固定部材の第4実施形態を示す垂直断面図である。 図7は、本発明の固定部材の第5実施形態を示す垂直断面図である。 図8は、本発明の防水構造の第6実施形態を示す斜視図である。 図9は、本発明の防水構造の第7実施形態を示す斜視図である。 図10は、本発明の防水構造の第8実施形態を示す斜視図である。 図11は、本発明の防水構造の第9実施形態を示す斜視図である。 図12は、本発明の防水構造の第10実施形態を示す斜視図である。 図13は、本発明の防水構造の第11実施形態を示す垂直断面図である。 図14は、本発明の防水構造の第12実施形態を示す垂直断面図である。 図15は、本発明の防水構造の第13実施形態を示す垂直断面図である。 図16は、本発明の防水構造の第14実施形態を示す垂直断面図である。 図17は、本発明の防水構造の第15実施形態を示す垂直断面図である。 図18は、本発明の防水構造の第16実施形態を示す垂直断面図である。 図19は、本発明の防水構造の第17実施形態を示す垂直断面図である。 図20は、本発明の防水構造の第18実施形態を示す垂直断面図である。
以下、本発明の固定部材および防水構造を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の防水構造の第1実施形態を示す垂直断面斜視図である。図2は、図1中のA-A線断面図である。図3は、図2中の二点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大図である。なお、以下では、説明の都合上、図1~図3中(図4~図20についても同様)の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
図1に示す防水構造1は、例えば、躯体100の屋根や屋上に施工されるものである。この防水構造1は、防水シート2と、防水シート2上に重ねられた樹脂膜3と、防水シート2と樹脂膜3との間に配置されたアンカー部材(固定部材)4とを備えている。これにより、躯体100の屋根や屋上は、防水加工が施された状態となる。
なお、躯体100としては、特に限定されず、例えば、マンションおよびアパート等の居住施設、事務所および銀行等の業務施設、百貨店、スーパーおよびアウトレットモール等の商業施設、劇場、映画館、スーパー銭湯等の娯楽施設、オリンピック競技場、球場および競馬場等の遊戯施設、工場施設のような建築物等が挙げられる。
また、躯体100は、屋上や屋根の床面101と、床面101に対して交差する方向(上方)に形成された立面102とを備えている。
以下、防水構造1の各部の構成について説明する。
防水シート2は、床面101上に敷設され、この床面101のほぼ全体を覆っている。なお、防水シート2は、1枚で床面101のほぼ全体を覆ってもよいし、複数枚で床面101のほぼ全体を覆ってもよい。また、本実施形態では、防水シート2は、床面101に対しては、固定用ディスクや固定用鋼板(図示せず)を介して固定されている。
この防水シート2は、樹脂材料で構成され、特に、熱可塑性樹脂が好ましい。そして、熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル系樹脂が挙げられる。これにより、アンカー部材に対する防水シート2の溶剤溶着性やシーリング溶着性および熱融着性を優れたものとすることができる。
なお、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわちオリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、およびこれらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
さらに、各種可塑剤、各種安定化剤、各種酸化防止剤、各種紫外線吸収剤、加工助剤、滑剤、充填材、メッシュ状をなす繊維強化材、難燃剤および色材等を含んでいてもよく、特に、可塑剤が含まれることが好ましい。これにより、防水シート2をより優れた柔軟性を有するものとすることができる。
なお、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、DOP(ジオクチルフタレート)、DBP(ジブチルフタレート)、DIBP(ジイソブチルフタレート)、DHP(ジヘプチルフタレート)のようなフタル酸エステル系可塑剤、DOA(ジ-2-エチルヘキシルアジペート)、DIDA(ジイソデシルアジペート)、DOS(ジ-2-エチルヘキシルセバセート)のような脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、エチレングリコールのベンゾエート類のような芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、およびTOTM(トリオクチルトリメリテート)のようなトリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填材としては、例えば、酸化チタン、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、安定化剤としては、例えば、グリシン亜鉛等が挙げられ、この場合の安定助剤としては、例えば、リン酸トリクレジル(TCP)、リン酸トリキシリル(TXP)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸2-エチルヘキシル・ジフェニルのような有機リン酸エステル等が挙げられる。
また、防水シート2は、単層体であってもよいし、積層体であってもよい。
防水シート2の厚さ(総厚)は、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上5.0mm以下程度であるのが好ましく、1.0mm以上2.5mm以下程度であるのがより好ましい。これにより、躯体100(床面101)に対する防水性を確実に付与することができる。
図2に示すように、樹脂膜3は、防水シート2の縁部21の上に重ねられ、さらに、防水シート2上と立面102上とにまたがって設けられている。これにより、防水シート2と立面102との境界部に対する防水性を確保することができる。
なお、以下では、樹脂膜3の防水シート2に重なった部分を「第1重なり部31」と言い、立面102に重なった部分を「第2重なり部32」と言う。
樹脂膜3は、熱硬化性を有する塗膜防水材(熱硬化性樹脂)を主材料として構成された塗膜である。塗膜防水材としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系塗膜防水材、エポキシ系塗膜防水材およびシリコーン系塗膜防水材等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、中でも、ウレタン系塗膜防水材であることが好ましい。ウレタン系塗膜防水材は、取り扱いが容易であるとともに、優れた防水性を有する塗膜を、より均一な膜厚で成膜することができることから好ましく用いられる。
ウレタン系塗膜防水材としては、2液型のウレタン系塗膜防水材、および、1液型(湿気硬化型)のウレタン系塗膜防水材の何れをも用いることができる。これらのうち、2液型のウレタン系塗膜防水材としては、イソシアネート成分を含む液状の主剤と、液状の硬化剤とを混合して得られる混合物が好ましく用いられる。
イソシアネート成分(主剤)としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート(液状MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低分子量イソシアネート化合物が挙げられる。
なお、この主剤には、必要に応じて、可塑剤、硬化触媒、充填材、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、着色顔料等の添加剤を添加してもよい。また、可塑剤としては、後述する防水シート2に含まれる可塑剤と同様のものを用いることができる。
硬化剤としては、活性水素含有化合物が挙げられ、例えば、ポリオール、ポリアミン、および水等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオールおよびポリテトラメチレングリコール等の一般ポリオール、含燐ポリオール等の難燃性ポリオール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、ポリアミンとしては、特に限定されないが、例えば、芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂膜3の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.5mm以上5mm以下程度であるのが好ましく、0.8mm以上3mm以下程度であるのがより好ましい。これにより、防水シート2と立面102との境界部に対する防水性を確実に付与することができる。
図2に示すように、防水シート2と樹脂膜3の第1重なり部31との間には、アンカー部材4が配置されている。このアンカー部材4は、樹脂膜3を防水シート2に対して固定する固定部材である。
図1に示すように、アンカー部材4は、帯状をなす帯状体で構成されている。これにより、アンカー部材4を防水シート2と立面102との境界部に沿わせて配置することができる。また、アンカー部材4は、立面102に対して接触して配置されている(図2参照)。このような配置により、アンカー部材4の位置決めがなされるとともに、樹脂膜3を固定する固定強度を十分に確保することができる。
なお、アンカー部材4の幅は、例えば、10mm以上200mm以下であるのが好ましく、20mm以上100mm以下であるのがより好ましい。
また、アンカー部材4の厚さ(最大厚さ)は、例えば、0.05mm以上4mm以下であるのが好ましく、0.3mm以上2mm以下であるのがより好ましい。
また、アンカー部材4は、防水シート2上に敷設されるまでは、ロール状に巻回されている。これにより、アンカー部材4の搬送を容易に行なうことができる。そして、アンカー部材4は、防水シート2上に敷設されるときに、展開して用いられる。
また、アンカー部材4の表側には、防水シート2上に敷設されるまで汚れを防止する剥離紙が設けられていてもよい。
本実施形態では、アンカー部材4は、その全体が樹脂材料で構成された樹脂材料部41となっている。
樹脂材料部41(アンカー部材4)は、防水シート2と同じ熱可塑性樹脂で構成されているのが好ましい。そして、この熱可塑性樹脂も、防水シート2と同様に、前述した塩化ビニル系樹脂であるのが好ましい。
このような熱可塑性樹脂で樹脂材料部41が構成されていることにより、アンカー部材4を防水シート2に溶着(熱・溶剤溶着・シーリング溶着)して用いることができる。これにより、アンカー部材4が防水シート2に強固に密着することとなり、このアンカー部材4よって、樹脂膜3が防水シート2から剥離してしまうのを長期に亘って防止することができる。なお、塩化ビニル系樹脂は、樹脂膜3を構成するウレタン系塗膜防水材との密着性にも優れている。
樹脂膜3が防水シート2から剥離した場合、樹脂膜3の裏側に空隙が生じて、例えば雨水等が溜まってしまい、雨漏りの原因となるおそれがある。しかしながら、樹脂膜3の剥離が防止されることにより、防水性が維持され、よって、雨漏りを確実に長期間防止することができる。
なお、アンカー部材4は、本実施形態ではその全体が樹脂材料部41となっているが、これに限定されず、少なくとも防水シート2と接する部分に樹脂材料部41を有していればよい。
また、アンカー部材4の表側、すなわち、樹脂膜3側には、可塑剤の移行を防止する可塑剤移行防止層が形成されていてもよい。可塑剤移行防止層は、例えば、ポリエーテルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、チオール・ジエン反応型系樹脂のような紫外線硬化性樹脂、または、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂のような熱可塑性樹脂を主材料として構成されることが好ましい。特に、樹脂膜3が可塑剤を含み、アンカー部材4における可塑剤の含有量が樹脂膜3よりも低くなっている際に、樹脂膜3からアンカー部材4への可塑剤の移行をより的確に抑制または防止することができるため、これに起因する、アンカー部材4の収縮がより的確に抑制または防止される。可塑剤移行防止層の厚さは、特に限定されないが、0.01mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.02mm以上1mm以下程度であるのがより好ましい。
また、アンカー部材4の表側には、樹脂膜3との密着性を高めるプライマー層が形成されていてもよい。プライマー層は、樹脂膜3がウレタン系塗膜防水材を主材料として構成される場合、例えば、ウレタン系樹脂を主材料として構成されることが好ましい。これにより、プライマー層の樹脂膜3に対する親和性を確実に向上させることができる。プライマー層の厚さは、特に限定されないが、0.01mm以上1mm以下程度であるのが好ましく、0.05mm以上0.5mm以下程度であるのがより好ましい。
図2、図3に示すように、アンカー部材4は、樹脂膜3の第1重なり部31と接する部分に設けられ、この第1重なり部31が係合する係合部42を有している。この係合により、アンカー部材4による樹脂膜3の固定を確実に行なうことができる。
係合部42は、凹部421および凸部422のうちの少なくとも一方で構成されており、本実施形態では、双方で構成されている。すなわち、係合部42は、アンカー部材4の幅方向に交互に配置された凹部421と凸部422とで構成されている。そして、凹部421は、アンカー部材4(帯状体)の長手方向に沿って形成された溝である。この溝の幅W421は、防水シート2側(図2中の下側)に向かって漸増している。一方、凸部422は、アンカー部材4の長手方向に沿って形成された凸条である。この凸条の幅W422は、樹脂膜3側(図2中の上側)に向かって漸増している。このような形状の凹部421、凸部422により、樹脂膜3との接触面積が増加するとともに、樹脂膜3が凹部421や凸部422に噛み込むことができ、よって、係合部42での係合力が高まる。これにより、樹脂膜3の剥離を長期に亘って確実に防止することができ、よって、樹脂膜3による防水性を維持することができる。
なお、凹部421の底部421aや、凸部422の頂部422aの形状は、図3に示す構成では平坦形状、すなわち、平坦面となっているが、これに限定されない。
また、以上のようなアンカー部材4は、例えば、押出成形により製造される。
<第2実施形態>
図4は、本発明の固定部材の第2実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部を構成する凹部および凸部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図4に示すように、本実施形態では、凹部421は、その幅W421が図4中の上下方向に沿って一定となっている。同様に、凸部422も、その幅W422が図4中の上下方向に沿って一定となっている。このような形状の凹部421、凸部422により、例えば、アンカー部材4を金型で容易に成形することができる。
なお、幅W421と幅W422との大小関係は、図4に示す構成ではW421>幅W422となっているが、これに限定されず、例えば、W421<幅W422となっていてもよいし、W421=幅W422となっていてもよい。
<第3実施形態>
図5は、本発明の固定部材の第3実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部を構成する凸部の形状が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
図5に示すように、本実施形態では、凸部422は、その幅W422が上下方向の途中まで増加しており、樹脂膜3に対する係合を増加する返し部423を有している。この返し部423により、樹脂膜3の剥離をより確実に防止することができる。
<第4実施形態>
図6は、本発明の固定部材の第4実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部を構成する凸部の突出方向が異なること以外は前記第2実施形態と同様である。
図6に示すように、本実施形態では、凸部422は、その突出方向が図中の左右方向に対して傾斜して形成されている。このような凸部422によっても、樹脂膜3が係合することができ、樹脂膜3の剥離を確実に防止することができる。
なお、凸部422の頂部422aの形状は、図6示す構成では丸みを帯びているが、これに限定されない。
<第5実施形態>
図7は、本発明の固定部材の第5実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部を構成する凹部の形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図7に示すように、本実施形態では、凹部421は、貫通孔で構成されている。このような凹部421によっても、樹脂膜3が係合することができ、樹脂膜3の剥離を確実に防止することができる。
また、アンカー部材4は、金属材料で構成された長尺な板状の金属材料部43と、金属材料部43の下面に形成された層状の樹脂材料部41とを有している。これにより、アンカー部材4は、金属材料部43を有する分、強度が増加したものとなる。
なお、金属材料部43を構成する金属材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等のような各種金属材料を用いることができる。
<第6実施形態>
図8は、本発明の防水構造の第6実施形態を示す斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第6実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の施工箇所が具体的に示されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
図8に示すように、本実施形態では、防水構造1は、躯体100の屋上にある手摺の架台103およびその周辺に施工されている。
アンカー部材4は、立面102からは離間してはいるものの、立面102に対してできる限り接近して配置されている。このような配置は、アンカー部材4を立面102から離間させたい場合に有効である。
また、架台103は、複数の立面102を有する出隅となっている。そして、アンカー部材4は、各立面102に沿って、すなわち、架台103を囲むように複数本配置されている。
<第7実施形態>
図9は、本発明の防水構造の第7実施形態を示す斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第7実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の施工箇所が具体的に示されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
図9に示すように、本実施形態では、防水構造1は、躯体100の排水溝104およびその周辺に施工されている。排水溝104は、床面101に対して、交差する方向(下方)に形成された立面102を備えている。
また、樹脂膜3は、アンカー部材4側から排水溝104を跨ぎ、さらに奥側まで設けられている。これにより、排水溝104およびその周辺の防水性を維持することができる。
<第8実施形態>
図10は、本発明の防水構造の第8実施形態を示す斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第8実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の施工箇所が具体的に示されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
図10に示すように、本実施形態では、防水構造1は、排水口105およびその周辺に施工されている。
また、防水シート2は、床面101と立面102とに跨って敷設されている。
アンカー部材4は、排水口105を囲むように複数本配置されている。本実施形態では、床面101側の防水シート2上に配置されているものと、立面102側の防水シート2上に配置されているものとがある。これにより、樹脂膜3による排水口105の周辺の防水性を維持することができる。
<第9実施形態>
図11は、本発明の防水構造の第9実施形態を示す斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第9実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の施工箇所が具体的に示されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
図11に示すように、本実施形態では、防水構造1は、サッシ106を支持するサッシ枠107の周辺に施工されている。このサッシ枠107の周辺では、立面102の高さは、比較的低く、例えば、10mm以上50mm以下である。
このようなサッシ枠107の周辺に対しても、防水構造1によって防水性を維持することができる。
<第10実施形態>
図12は、本発明の防水構造の第10実施形態を示す斜視図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第10実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の施工箇所が具体的に示されていること以外は前記第1実施形態と同様である。
図12に示すように、本実施形態では、防水構造1は、円柱108の周辺に施工されている。この円柱108は、立面102を有している。
アンカー部材4は、円柱108を囲むように円環状に配置されている。これにより、樹脂膜3による円柱108の周辺の防水性を維持することができる。
<第11実施形態>
図13は、本発明の防水構造の第11実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第11実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図13に示すように、本実施形態では、防水シート2は、複数の固定用ディスク(または固定用鋼板)5を介して、床面101に固定されている。各固定用ディスク(または固定用鋼板)5は、ビス11を介して、床面101に固定されている。
また、各固定用ディスク(または固定用鋼板)5は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム、メッキ鋼板等のような各種金属材料で構成された部分と、その上側に形成された樹脂層とを有している。そして、この樹脂層と防水シート2とを接合することができる。これにより、固定用ディスク(または固定用鋼板)5を介して防水シート2を固定することができる。なお、樹脂層と防水シート2との接合方法としては、特に限定されず、例えば、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)や溶着による方法が挙げられる。
また、複数の固定用ディスク(または固定用鋼板)5のうちの、少なくとも1つの固定用ディスク5は、防水シート2を介して、樹脂膜3の第1重なり部31と反対側に配置されている。さらに、固定用鋼板の形状は、平板状、L字形状、片・両方の端部を折り曲げ加工したヘミングであることが好ましい。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
<第12実施形態>
図14は、本発明の防水構造の第12実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第12実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図14に示すように、本実施形態では、防水シート2は、その下面全体が接着剤層6を介して床面101に固定されている。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
<第13実施形態>
図15は、本発明の防水構造の第13実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第13実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
図15に示すように、本実施形態では、防水シート2は、縁部21、すなわち、立面102側の部分が接着剤層6を介して床面101に固定され、縁部21よりも内側の部分が複数の固定用ディスク5を介して床面101に固定されている。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
<第14実施形態>
図16は、本発明の防水構造の第14実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第14実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第11実施形態と同様である。
図16に示すように、本実施形態では、床面101上に断熱材7が敷設されている。これにより、躯体100での断熱性が向上する。
なお、断熱材7は、ビス11を介して、固定用ディスク(または固定用鋼板)5とともに床面101に固定されている。
<第15実施形態>
図17は、本発明の防水構造の第15実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第15実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第12実施形態と同様である。
図17に示すように、本実施形態では、床面101上に断熱材7が敷設されている。これにより、躯体100での断熱性が向上する。
また、断熱材7の裏側の全面は、接着剤層6(接着剤層6A)を介して床面101に固定されている。防水シート2は、接着剤層6(接着剤層6B)を介して、断熱材7の表側の全面に固定されている。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
<第16実施形態>
図18は、本発明の防水構造の第16実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第16実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第13実施形態と同様である。
図18に示すように、本実施形態では、床面101上に断熱材7が敷設されている。これにより、躯体100での断熱性が向上する。
また、断熱材7の立面102側の部分は、接着剤層6(接着剤層6A)を介して床面101に固定されている。
また、防水シート2の立面102側の部分は、接着剤層6(接着剤層6B)を介して、断熱材7に固定されている。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
<第17実施形態>
図19は、本発明の防水構造の第17実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第17実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記第15実施形態と同様である。
図19に示すように、本実施形態では、床面101上に断熱材7が敷設されている。これにより、躯体100での断熱性が向上する。
なお、断熱材7は、ビス11を介して、固定用ディスク(または固定用鋼板)5とともに床面101に固定されている。
<第18実施形態>
図20は、本発明の防水構造の第18実施形態を示す垂直断面図である。
以下、この図を参照して本発明の固定部材および防水構造の第18実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、防水構造の下方の構成が異なること以外は前記実施形態と同様である。
図20に示すように、本実施形態では、防水シート2は、固定用ディスク(または固定用鋼板)5に接着剤層6を介して固定されている部分を有している。これにより、例えば、風によって防水シート2がめくれてしまうのを防止することができる。
以上、本発明の固定部材および防水構造を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、固定部材および防水構造を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の固定部材および防水構造は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
1 防水構造
2 防水シート
21 縁部
3 樹脂膜
31 第1重なり部
32 第2重なり部
4 アンカー部材(固定部材)
41 樹脂材料部
42 係合部
421 凹部
421a 底部
422 凸部
422a 頂部
423 返し部
43 金属材料部
5 固定用ディスク(または固定用鋼板)
6 接着剤層
6A 接着剤層
6B 接着剤層
7 断熱材
11 ビス
100 躯体
101 床面
102 立面
103 架台
104 排水溝
105 排水口
106 サッシ
107 サッシ枠
108 円柱
421
422

Claims (7)

  1. 帯状をなす帯状体で構成され、樹脂材料で構成された防水シートと、該防水シート上に重ねられ、樹脂材料で構成された樹脂膜との間に配置され、該樹脂膜を前記防水シートに対して固定する固定部材であって、
    少なくとも前記防水シートと接する部分に、樹脂材料で構成された樹脂材料部と、
    凹部および凸部のうちの少なくとも一方で構成され、前記樹脂膜と接する部分に設けられ、前記樹脂膜が係合する係合部とを有し、
    前記凹部は、前記帯状体の長手方向に沿って形成された溝であり、
    前記凸部は、前記帯状体の長手方向に沿って形成された凸条であり、
    前記樹脂材料部を前記防水シートに溶着して用いられることを特徴とする固定部材。
  2. 前記樹脂材料部と前記防水シートとは、同じ熱可塑性樹脂で構成されている請求項1に記載の固定部材。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、塩化ビニル系樹脂である請求項2に記載の固定部材。
  4. 前記溝のは、前記防水シート側に向かって漸増しており、
    前記凸条のは、前記樹脂膜側に向かって漸増している請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定部材。
  5. 樹脂材料で構成された防水シートと、
    前記防水シート上に重ねられ、樹脂材料で構成された樹脂膜と、
    前記防水シートと前記樹脂膜との間に配置され、該樹脂膜を前記防水シートに対して固定する固定部材とを備え、
    前記固定部材は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の固定部材であることを特徴とする防水構造。
  6. 当該防水構造は、床面と、該床面に対して交差する方向に形成された立面とを備える躯体に施工されるものであり、
    前記防水シートは、前記床面上に敷設され、
    前記樹脂膜は、前記防水シート上と前記立面とにまたがって設けられ、
    前記固定部材は、前記立面に対して接触または接近して配置されている請求項に記載の防水構造。
  7. 前記樹脂材料部と前記防水シートとは、塩化ビニル系樹脂で構成され、
    前記樹脂膜は、熱硬化性樹脂で構成されている請求項またはに記載の防水構造。
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