JP6453095B2 - 座席用表皮材、及び座席用表皮材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車、バス、鉄道等の車両や家具等に用いられるエンボス模様を有する座席用表皮材、及びエンボス模様を有する座席用表皮材の製造方法に関する。
近年、自動車、バス、鉄道等の車両の座席シートや、ソファ、座椅子等の家具のシート等、座席用表皮材の意匠性を高めるべく、エンボス加工を施してその表面に凹凸形状(エンボス模様)を形成したものが用いられている。エンボス加工を施すことにより、座席用表皮材の表面が立体的となって好適な装飾性を付与することができ、また、凹凸形状が形成されることにより触感を好適に変化させることもできる。
このような座席用表皮材としては、ポリウレタンフォーム等のクッション材に、表地として、織物、編物、不織布、或いは、人造皮革等を積層一体化して得られた積層シートに、エンボス加工を施したものが知られている。このような座席用表皮材では、表地の材質を適宜選択することによって見た目や性状が異なる積層シートが得られ、エンボス加工による意匠性の向上と併せて、様々な表情を有し、様々な機能を有する座席用表皮材を得ることができる。例えば、人工皮革を表地に使用した積層シートを使用した場合、座席用表皮材に天然皮革様の高級感を付与することができるとともに、防水性、耐候性、耐汚性等の各種機能を付与することができる。
しかし、表地に人工皮革や合成皮革等人造皮革を使用した積層シートにエンボス加工を施す場合、凹凸形状を深くはっきりと形成させることが難しく、所望の立体感を十分に表現できなかったり、長期間の使用により凹凸形状に崩れや変形等が生じたりすることが課題となっていた。
特許文献1には、合成樹脂と繊維質基材を積層一体化して得られた合成皮革にエンボス加工を施して、凹凸模様を有する座席用表皮材を製造する方法が記載されている。ここでは、エンボスロールを100〜250℃に温度設定するとともに、該エンボスロールに対向配置されるヒートロールを100〜250℃に温度設定し、積層シートの送り速度を比較的遅く設定することにより、積層シートを表裏両面から効率的に加熱するようにして、凹凸模様を深くはっきりと形成することを可能としている。
特開2007−276285号公報
ここで、人工皮革や合成皮革等人造皮革とは、基布にポリウレタン等の合成樹脂を主成分とする層を積層、或いは含浸させて形成されているものであり、エンボスロールを高温に加熱して人造皮革の表面を長時間押圧し続けると、人造皮革の主成分であるポリウレタン等の合成樹脂が熱溶融してしまう。そのため、高温で加熱することによって凹凸形状を深くはっきりとつけることができたとしても、座席用表皮材の外観形状が悪くなってしまうといった問題があった。
本発明は、従来の技術に存在する課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、外観形状が良好で意匠性に優れた座席用表皮材の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の座席用表皮材の製造方法は、人造皮革からなる表地に、クッション材が積層一体化されてなる積層シートにエンボス模様を形成する座席用表皮材の製造方法であって、ベース面に型押部が突設された加熱エンボスロールと、該加熱エンボスロールに対向配置されるヒートロールとの間に前記積層シートを通過させて、前記クッション材を加熱により圧縮して前記積層シートの裏面に凹み形状を形成し、前記凹み形状における圧縮されたクッション材に引っ張られるようにして、前記表地における前記凹み形状に対応する位置に凹部を形成する。
この構成によれば、積層シートの裏面側に積層されるクッション材が加熱により圧縮されて積層シートの裏面には凹み形状が形成され、圧縮されたクッション材によって、積層シートの表面にも凹部が形成される。圧縮されたクッション材が、積層シートの表地を引っ張るように作用し、その結果として、積層シートの表地には、裏面側の凹み形状に対応する位置に凹部が形成されることになる。これにより、表地側の加熱温度を低く設定したとしても、クッション材が圧縮される程度に積層シートが加熱されれば、クッション材の圧縮に伴って表地にも凹部を形成することができる。積層シートの表側に、加熱により合成樹脂の溶融痕が生じやすい人造皮革を配置したとしても、溶融痕を生じさせることなくエンボス模様を形成することができる。したがって、人造皮革からなる表地に、クッション材が積層一体化されてなる積層シートに、人造皮革の風合いを損なわない外観形状の良好なエンボス模様を形成することができ、意匠性に優れた座席用表皮材が得られる。
なお、ここで言う人造皮革とは、人工皮革、合成皮革、ポリ塩化ビニル(PVC)レザー等、織布、編布、不織布等からなる基布と、合成樹脂等とから形成されているものを指す。人工皮革は、基布に合成樹脂を含浸させて形成されたものであり、合成皮革、ポリ塩化ビニル(PVC)レザーは、基布の上に合成樹脂を積層して形成されたものである。
請求項2に記載の座席用表皮材の製造方法は、ベース面に型押部が突設された加熱エンボスロールと、該加熱エンボスロールに対向配置されるヒートロールとの間に前記積層シートを通過させて前記型押部を前記表地に押し当て、前記型押部と前記ヒートロールとの間で前記積層シートを加熱することにより、前記クッション材を加熱により圧縮して前記凹み形状を形成することを要旨とする。
エンボスロールの型押部を積層シートの表地に押し当て、型押部とヒートロールとの間で積層シートを加熱することにより、積層シートを効率的に加熱することができる。また、積層シートの表地に押し当てられた型押部により、積層シートの表面は、型押部により凹み、積層シートの表面が凹んだ状態で、積層シートが加熱される。積層シートの表面が凹んだ状態で、クッション材が圧縮されて積層シートの表地を引っ張るように作用することから、積層シートの表地の人造皮革には、型押部に沿う形状の凹部が形成される。これにより、人造皮革に深くはっきりとしたエンボス模様を形成することができる。
請求項3に記載の座席用表皮材の製造方法は、前記加熱エンボスロールの加熱温度を、前記人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定することを要旨とする。
この構成によれば、積層シートの表側の人造皮革の熱溶融が抑制されることから、人造皮革の風合いを損なうことなく、人造皮革の外観形状を良好に保持することができる。
請求項4に記載の座席用表皮材の製造方法は、前記ヒートロールの加熱温度を、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の軟化点温度より高く、かつ、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定することを要旨とする。
この構成によれば、積層シートを加熱エンボスロールとヒートロールとの間に通過させる際、積層シートを、積層されたクッション材が熱変形可能な温度に保持することができる。これにより、加熱エンボスロールの温度を、人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定して人造皮革の熱溶融を抑制したとしても、積層シートに、深くはっきりとしたエンボス模様を形成することができる。
なお、ここで言う溶融温度とは、合成樹脂が溶けて液状となる温度であり、軟化点温度とは、合成樹脂が熱軟化し、変形し始める温度である。
本発明によれば、外観形状が良好で意匠性に優れた座席用表皮材が得られる。
本実施形態の車両用表皮材の部分拡大斜視図。 本実施形態の車両用表皮材の製造方法を説明する図。 本実施形態の車両用表皮材の製造方法を説明する図。
本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図3により説明する。
本実施形態では、自動車の座席シートに用いられる座席用表皮材(以下、表皮材Pという。)を例に挙げて説明する。表皮材Pは、丈の長い長尺状の長尺材1にエンボス加工を施すことにより、その表面にエンボス模様が付与されたものである。
図1に示すように、表皮材Pは、人造皮革からなる表地2と、織物、編物、不織布、或いは、これらの複合材等からなる裏地3との間に、クッション材4を挟んで積層一体化して形成された長尺材1(積層シート)に、エンボス加工が施されてなるものである。表地2には、凹部5と凸部6とからなる格子状のエンボス模様が形成されているとともに、裏地3にも、表地2の凹部5と凸部6と対応する位置に、それぞれ凹み形状7と凸形状8が形成されている。
表地2に用いられる人造皮革は、合成皮革、人工皮革、ポリ塩化ビニル(PVC)レザーのいずれであってもよい。ここで、合成皮革とは、織布、編布、不織布等からなる基布の上にポリウレタン樹脂等の合成樹脂を積層して形成されたものを言い、合成皮革の中で、合成樹脂としてポリ塩化ビニル樹脂を使用したものを、特にポリ塩化ビニルレザーと言う。また、人工皮革とは、ランダムな三次元構造を有する不織布からなる基布に、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂溶液を含浸させて形成されたものを言う。なお、合成皮革は、湿式法、乾式法いずれの方法で形成されたものであってもよい。
合成皮革、人工皮革、ポリ塩化ビニルレザーに使用されるポリウレタン樹脂は、一般にポリオール、イソシアネート、鎖伸長剤などを溶剤中でウレタン化反応させることにより得られるものである。本実施形態の長尺材1に使用されるポリウレタン樹脂は、従来より使用されているポリウレタン樹脂を適宜選択して使用することができる。具体的には、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、ポリカプトラクトン系ポリウレタン樹脂、ポリエステル/ポリエーテル共重合系ポリウレタン樹脂、ポリアミノ酸/ポリウレタン共重合樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、これらのポリウレタン樹脂に、ポリ塩化ビニル樹脂や合成ゴムなどを混合したものを使用することもできる。
合成皮革、人工皮革、ポリ塩化ビニルレザーに使用される基布の材質としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリウレタン等の合成繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、綿、麻、絹等の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート、キュプラ等の再生繊維が挙げられる。これらは1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせた混紡繊維として使用することもできる。
合成皮革、ポリ塩化ビニルレザーの基布としては、これら繊維からなる編布、織布、不織布が使用される。また、人工皮革の基布としては、これら繊維をランダムに交錯させて形成された三次元構造を有する不織布が使用される。
裏地3の材質は特に限定されない。例えば、人造皮革に使用される基布と同様、各種合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維を挙げることができる。これらを1種単独或いは2種以上を組み合わせて、織物、編物、不織布として使用することができる。
クッション材4の材質も特に限定されず、自動車の座席シートに適した適度な柔軟性を有するものを適宜選択して使用することができる。例えば、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、フェノールフォーム、シリコーンフォーム、アクリルフォーム、ポリイミドフォーム等、合成樹脂発泡体を好適に挙げることができる。
長尺材1の幅、長さ、厚みについては特に限定されないが、厚みについては、はっきりとしたエンボス模様が付与された表皮材Pを得るといった観点から、3mm〜15mm程度とするのが好ましい。
図2に示すように、エンボス加工は、回転可能に設けられたエンボスロール11と、エンボスロール11に対向して回転可能に設けられたヒートロール21との間に、長尺材1を通過させることにより行う。このとき、表地2がエンボスロール11に対向するとともに、裏地3がヒートロール21に対向するように、長尺材1を配置する。
エンボスロール11のベース面12には格子状の型押部13が立設されている一方、ヒートロール21の表面は、平滑面として形成されている。長尺材1は、エンボスロール11とヒートロール21の間を、所定のテンションが掛けられた状態で所定速度で通過し、その際、エンボスロール11に立設された型押部13が、長尺材1の表地2表面に押し当てられる。このとき、表地2側の表面にエンボスロール11の型押部13が所定深さ食込み、かつ、エンボスロール11のベース面12が表地2側の表面に接触しないよう、あらかじめ、エンボスロール11及びヒートロール21の位置調整がされている。
エンボスロール11及びヒートロール21は、それぞれ個別に加熱制御が可能な加熱機構14、23によって加熱温度が制御される。これにより、長尺材1の表地2側の温度と、裏地3側の温度とを個別に設定、管理することができる。エンボスロール11及びヒートロール21の加熱温度は、表地2、裏地3、或いはクッション材4の材質や、付与すべきエンボス模様の凹凸形状に応じて適宜設定することができる。また、長尺材1に掛けられるテンション、及び長尺材1の通過速度も、適宜設定することができる。
長尺材1の表地2は、ポリウレタン等の合成樹脂を主成分とする人造皮革であることから、表地2側に配置されるエンボスロール11の加熱温度は、人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低くなるように設定する。エンボスロール11の加熱温度は、合成樹脂の種類によっても異なるが、人造皮革に含まれる合成樹脂の溶融温度に対して、−140〜−10℃の範囲に設定することが好ましい。この範囲に設定することで、エンボスロール11の型押部13が、長尺材1の表地2に接触して押し当てられたとしても、人造皮革に含まれる合成樹脂が熱溶融することが抑制され、表皮材Pの外観形状を良好なものとすることができる。
具体的には、エンボスロール11の加熱温度は、表地2に合成皮革を使用した場合、90〜180℃に設定することが好ましく、表地2にポリ塩化ビニルレザーを使用した場合、50〜170℃に設定することが好ましく、表地2に人工皮革を使用した場合、90〜200℃に設定することが好ましい。
一方、長尺材1の裏地3側に配置されるヒートロール21の加熱温度は、クッション材4に主成分として含まれる合成樹脂の軟化点温度より高く、かつ、クッション材4に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低くなるように設定する。ヒートロール21の加熱温度は、クッション材4の主成分である合成樹脂の種類によっても異なるが、クッション材4に含まれる合成樹脂の軟化点温度より高く、クッション材4に含まれる合成樹脂の溶融温度に対して−120〜±0℃の範囲に設定することが好ましい。この範囲に設定することで、クッション材4の主成分である合成樹脂の熱溶融が抑制されるとともに、クッション材4内部での熱軟化が起こる。また、長尺材1の表地2側が低い温度となっていても、クッション材4が熱変形可能な温度に保持される。
具体的には、ヒートロール21の加熱温度は、表地2に合成皮革を使用した場合、ポリ塩化ビニルレザーを使用した場合、人工皮革を使用した場合のいずれの場合であっても、90〜260℃に設定することが好ましい。
また、積層シート1の表地2がエンボスロール11に対向して配置される場合、ヒートロール21の加熱温度は、エンボスロール11の加熱温度より高く設定することが好ましい。エンボスロール11の加熱温度は、表地2に含まれる合成樹脂の溶融温度を基準として、それより低く設定されるが、ヒートロール21の加熱温度を高く設定することで、長尺材1の厚み方向全体の温度を好適に保持することができる。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、加熱されたエンボスロール11とヒートロール21との間を長尺材1が通過すると、長尺材1はエンボスロール11とヒートロール21とに挟まれて、クッション材4の厚みが圧縮された状態となる。また、エンボスロール11に形成された型押部13が長尺材1の表地2に押し当てられて食い込み、長尺材1の表地2側は型押部13の形状に凹んで凹部5が形成される。
このとき、エンボスロール11とヒートロール21とがともに加熱されていることから、型押部13が押し当てられた部分(凹部5)では、長尺材1は、エンボスロール11とヒートロール21とによりその両面から加熱されて、長尺材1の厚み方向全体が加熱された状態となる。そして、ヒートロール21の加熱温度がクッション材4に主成分として含まれる合成樹脂の軟化点温度より高く設定されていることから、裏地3側ではクッション材4に含まれる合成樹脂が熱軟化し、クッション材4内部での熱融着、及び、裏地3とクッション材4との熱融着が起こって、クッション材4の体積が圧縮する。このクッション材4の圧縮により、裏地3側における凹部5に対応する部分では、凹み形状7が形成される。型押部13が押し当てられていない部分に対応する裏地3側の部分では、クッション材4に含まれる合成樹脂の熱軟化が起こらないことからクッション材4が圧縮せず、凹み形状7に対して突出した凸形状8として保持される。
表地2側では、裏地3での凹み形状7でのクッション材4の圧縮により、表地2が裏地3側に引っ張られる。また、型押部13が押し当てられた凹部5では、クッション材4内部での熱融着、及び、表地2とクッション材4との熱融着が起こる。これにより、凹部5では、その形状を保持するようにクッション材4が圧縮し、表地2側には凹部5と凸部6からなるエンボス模様が形成される。
一方、エンボスロール11は、表地2の人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低い加熱温度に設定されていることから、表地2の凹部5の表面は、合成樹脂の熱溶融が生じず、合成樹脂の溶融痕が形成されることが抑制される。
このようにして、長尺材1をエンボスロール11とヒートロール21の間に通過させると、表地2側には凹部5が形成され、裏地3側には表地2側の凹部5と対応する位置に凹み形状7が形成された表皮材Pが得られる。長尺材1で型押部13が押し付けられた部分では、クッション材4が熱軟化して圧縮し、表地2側では、凹部5と凸部6とからなるエンボス模様が形成され、裏地3側では、凹み形状7と凸形状8とからなるエンボス模様が形成される。
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)エンボスロール11の加熱温度を、長尺材1の表地2の人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定している。これにより、表皮材Pの表面に合成樹脂の溶融痕が形成されることが抑制され、表皮材Pの外観形状を良好に保持することができる。
(2)長尺材1をエンボスロール11とヒートロール21とで両面から加熱するとともに、ヒートロール21の加熱温度を、エンボスロール11の加熱温度より高くなるように設定している。これにより、エンボスロール11の加熱温度を長尺材1の表地2に含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定したとしても、長尺材1の厚み方向全体の温度を好適に保持することができる。表皮材Pの表面に合成樹脂の溶融痕が形成されることを抑制しつつ、表地2及び裏地3とクッション材4との熱融着を進行させて、人造皮革の風合いを損なわない外観形状の良好なエンボス模様を形成することができる。
(3)エンボスロール11及びヒートロール21は、それぞれ個別に加熱制御が可能な加熱機構14、23によって加熱温度が制御される。これにより、長尺材1の表地2側の温度と、裏地3側の温度とを個別に設定、管理することができる。人造皮革に含まれる合成樹脂の性状等表地2の材質、或いは、裏地3の材質、クッション材4の材質等によって、エンボスロール11及びヒートロール21の加熱温度を個別に適宜設定することが容易となる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変更例を組み合わせて実施してもよい。
・ 長尺材1は、表地2と裏地3との間にクッション材4を挟んで積層一体化して構成したが、裏地3を備えず、表地2とクッション材4とを積層一体化して構成してもよい。
・ ヒートロール21の表面を平滑面として形成したが、エンボスロール11と同様に、型押部が立設されたものとしてもよい。エンボスロール11の型押部13の位置と対応する位置にヒートロール21の型押部を形成するようにすれば、長尺材1の両面から型押部を押し当ててエンボス加工を行うことができる。
・ 表地2がエンボスロール11に対向し、裏地3がヒートロール21に対向するように、長尺材1を配置したが、この逆としてもよい。つまり、表地2がヒートロール21に対向し、裏地3がエンボスロール11に対向するように長尺材1を配置してもよい。この場合、ヒートロール21の加熱温度を、表地2の人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定する。一方、エンボスロール11の加熱温度を、人造皮革に含まれる合成樹脂の溶融温度より高く設定してもよい。こうすることで、型押部13による押圧と加熱とにより、裏地3側でのクッション材4の圧縮が進行し、裏地3側でのクッション材4の圧縮に伴って、表地2側にも深い凹部5を形成することができる。表皮材Pの表面に合成樹脂の溶融痕が形成されることを抑制しつつ、深くはっきりとしたエンボス模様を形成することができる。
・ 本実施形態のエンボスロール11には、格子状の型押部13が立設されているが、型押部13の形状はこれに限定されない。複数の型押部13が、点在するようにベース面12から立設されていてもよい。型押部13の形状、大きさ、数等は、形成すべきエンボス模様に応じて適宜設定することができる。
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記クッション材は、ウレタンフォーム材、織物、編物のうち少なくとも一種である座席用表皮材の製造方法。
(ロ)前記加熱エンボスロールの加熱温度を、前記人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度の−140〜−10℃に設定する座席用表皮材の製造方法。
(ハ)前記クッション材を合成樹脂発泡体で形成し、前記ヒートロールの加熱温度を、前記人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度の−120〜±0℃に設定する座席用表皮材の製造方法。
(ニ)前記クッション材を合成樹脂発泡体で形成し、前記ヒートロールの加熱温度を、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の熱軟化温度より高く、かつ、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定する座席用表皮材の製造方法。
(ホ)前記加熱エンボスロールの加熱温度を、前記ヒートロールの加熱温度より低く設定する座席用表皮材の製造方法。
1…長尺材(積層シート)、2…表地、4…クッション材、5…凹部、7…凹み形状、11…エンボスロール(加熱エンボスロール)、12…ベース面、13…型押部、21……ヒートロール、P…表皮材(座席用表皮材)。

Claims (4)

  1. 人造皮革からなる表地に、クッション材が積層一体化されてなる積層シートにエンボス模様を形成する座席用表皮材の製造方法であって、
    ベース面に型押部が突設された加熱エンボスロールと、該加熱エンボスロールに対向配置されるヒートロールとの間に、前記表地を加熱エンボスロール側とした前記積層シートを通過させて、前記クッション材を加熱により圧縮して、前記積層シートにおける前記表地側とは反対側となる前記積層シートの裏面に凹み形状を形成し、前記凹み形状における圧縮されたクッション材に引っ張られるようにして、前記表地における前記凹み形状に対応する位置に凹部を形成することを特徴とする座席用表皮材の製造方法。
  2. ベース面に型押部が突設された加熱エンボスロールと、該加熱エンボスロールに対向配置されるヒートロールとの間に前記積層シートを通過させて前記型押部を前記表地に押し当て、前記型押部と前記ヒートロールとの間で前記積層シートを加熱することにより、前記クッション材を加熱により圧縮して前記凹み形状を形成する請求項1記載の座席用表皮材の製造方法。
  3. 前記加熱エンボスロールの加熱温度を、前記人造皮革に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定する請求項1又は2記載の座席用表皮材の製造方法。
  4. 前記ヒートロールの加熱温度を、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の軟化点温度より高く、かつ、前記クッション材に主成分として含まれる合成樹脂の溶融温度より低く設定する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の座席用表皮材の製造方法。
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