JP7339738B2 - 積層体 - Google Patents

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本発明は、表皮と不織布を備える積層体に関し、より詳しくは、プレス成形加工物の製造に用いることのできる積層体に関する。
従来、種々の技術分野において所望形状の成形加工物が提供されている。最も一般的には、熱可塑性樹脂を用いてなる所望形状の射出成形物、あるいは当該射出成型物の表面に表皮を貼りつけてなる表皮付き成形加工物などが挙げられる。上記表皮付き成形加工物は、表面に表皮が施されて見栄えがよいが、射出成型物が深絞りされた形状である場合、当該射出成型物に表皮を貼り付ける工程において、表皮に皺が寄ってしまうため、深絞り成形物には不向きであった。
これに対し、表皮と芯材となる熱可塑性樹脂とを圧縮成形などにより積層とプレス成形とを同時に行い成形加工物を製造する方法(たとえば特許文献1)や、雌雄一対からなる金型を用い、まず、第一の溶融樹脂を流し込んで芯材となる熱可塑性樹脂層を形成し、次いで上記熱可塑性樹脂層の一方側の面に所定のキャビティを設け、当該キャビティに溶融状態の熱可塑性エラストマーを供給して表皮を形成し、芯材と表皮とを一体化させてなる成形加工物を製造する方法(たとえば特許文献2)が知られる。
また芯材として不織布を用いる成形加工物も提案されている。たとえば、特許文献3には、不織布に合成樹脂を含侵させて凹凸状に成形してなる成形不織布からなる成形加工物(具体的には自動車用シートバック)が提案されている。
特開昭63-159022号公報 特開平11-123736号公報 特開2009-291599号公報
しかし、上述する成形加工物は以下の課題を有していた。
即ち、特許文献1および特許文献2に開示される成形加工物は、芯材に熱可塑性樹脂を用いているため、人体が接触した場合の感触が硬く、適度な柔軟性が求められる分野において望ましくない場合があり、また縫製により他の部材と組み合わせることができないという問題がある。また近年の車両等のように、軽量化が大きな課題となっている技術分野において、車両用部材に用いる成形加工物自体のさらなる軽量化が望まれている。
これに対し特許文献3に開示される成形加工物は、芯材が不織布であるため、芯材に熱可塑性樹脂を用いる成形加工物に比べ、軽量化の要請には応えることが可能であり、また縫製による加工も可能である。しかしながら、不織布では、充分な硬度を出し難いという問題があり、また合成樹脂を不織布に含侵させるための工程を要することから製造コストが高くなるという問題がある。
特許文献3に開示される加工成形物の硬度を上げるためには、不織布の目付を大きくすることが考えられるが、この場合、不織布に含浸させる合成樹脂の量を増加させなければならい。ところが、目付の大きい不織布に多量の合成樹脂を均一に含侵させることは難しく、合成樹脂の含浸が不均一であると、成形加工時の成形性が不良となる場合がある。また、特許文献3に開示される成形加工物は、不織布がむき出しになるため見栄えが良くない。特許文献3には、合成樹脂を含侵させた成形不織布の成形時に装飾用の樹脂フィルムをラミネートしてもよい旨が記載されているが、プレス加工時に不織布と樹脂フィルムとを同時にラミネートした場合、成形加工品の細部に皺が寄り易いという問題があった。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、芯材が熱可塑性樹脂である従来の成形加工物に比べて柔軟性および軽量性に優れるとともに、縫製加工が可能である上、適度な硬度を示し成形性の良好なプレス成形加工物の製造を可能とする積層体の提供、および当該積層体を用いてなるプレス成形加工物の提供を課題とする。
本発明の積層体は、接着層を介して積層された表皮と、目付が450g/m2以上900g/m2以下である不織布とを有し、前記表皮は、厚みが0.5mm以上1.5mm以下の合成皮革であり、前記接着層は、厚みが1.0mm以上10mm以下の軟質ポリウレタンフォームであり、前記不織布は、不織布本体と低融点材とを含み、前記不織布の質量における低融点材の質量の比率は10質量%以上40質量%以下であり、前記低融点材の融点が、前記表皮および前記不織布本体の融点よりも低く、前記軟質ポリウレタンフォームの中間部に発泡状態を残し前記表皮と前記不織布とが、前記接着層である前記軟質ポリウレタンフォームを介して貼り合わされてなることを特徴とする。
上記構成を有する本発明の積層体は、柔軟性および軽量性に優れるとともに、縫製加工が可能である上、適度な硬度を示し成形性の良好なプレス成形加工物の提供を可能とする。
また上記積層体を用いてなるプレス成形加工物は、上記優れた効果を奏するとともに、成形性が良好で見栄えも良好である。本発明の効果の詳細は、以下の発明を実施するための形態において述べる。
本発明の積層体の第一実施形態の断面図である。 本発明の積層体の第二実施形態の断面図である。 本発明のプレス成形加工物の一例の断面図である。 本発明のプレス成形加工物の製造方法の例を説明する工程図であり、(a)はプレス成形加工物の製造に用いられる積層体の断面図であり、(b)は、積層体における不織布に含まれる低融点材を融解させる加熱工程を示し、(c)は、低融点材が融解した状態の積層体をプレス成形用型に設置した状態を示し、(d)は、プレス成形するプレス工程を示している。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。尚、本発明の説明に関し用いる図面は、本発明および本発明に含まれる部材の寸法および形状を限定するものではない。
尚、以下の説明においてプレス成形加工物の成形性が良好であるとは、積層体を用いてプレス成形によりプレス成形加工物を成形した際に成形不良が生じない、または生じ難いことを意味する。ここでいう成形不良とは、プレス成形加工物が、所望の形状に賦形されないという状態を意味する。
<第一実施形態>
以下に本発明の第一実施形態にかかる積層体100について図1を用いて説明する。図1は、積層体100を厚み方向に切断してなる断面を模式的に示す断面図である。
図1に示すとおり、積層体100は、接着層20を介して積層された表皮30と目付が450g/m以上900g/m以下である不織布10とを有している。
不織布10は、不織布構成繊維110からなる不織布本体120と低融点材130とを含んで構成されている。本発明は、低融点材130として、表皮30の融点および不織布本体120の融点よりも低い融点の部材が選択される。
以下に、積層体100の詳細について説明する。
(不織布)
不織布10は、積層体100の芯材に相当し、繊維(不織布構成繊維110)を絡みあわせてなるシート状物である。不織布10を芯材として備える積層体100は、芯材が熱可塑性樹脂である従来の成形加工物に比べて柔軟性および軽量性に優れる上、縫製により他の部材との縫合が可能であり加工性にも優れる。
不織布10の厚みは、所定範囲の目付を実現できる範囲において、特に限定されず、積層体100を用いて成形されるプレス成形加工物の用途(技術分野)に応じて適宜変更することができる。軽量性、柔軟性、および硬度を良好なバランスで発揮可能であるという観点からは、不織布10の厚みは2mm以上15mm以下の範囲であることが好ましい。
不織布10の目付は、450g/m以上900g/m以下である。かかる目付を実現することで、積層体100は、軽量性および柔軟性を有しつつも、適度な硬度を発揮するプレス成形加工物を提供することが可能である。
不織布10の目付が450g/m未満であると、積層体100を用いてプレス成形してなるプレス成形加工物の硬度が充分でなくなる虞がある。プレス成形加工物の硬度をより大きくするという観点からは、上記目付は、500g/m以上であることが好ましく、550g/m以上であることがより好ましい。
不織布10の目付が900g/mを超える場合、柔軟性が損なわれる虞があり、また、積層体を製造する際にロール状に巻き難くなるため、加工性が悪化する傾向にある。適度な硬度を有しつつ、より柔軟なプレス成形加工物を提供するという観点からは、上記目付は、850g/m以下であることが好ましく、800g/m以下であることがより好ましい。
不織布10の製造方法は、特に限定されず、一般的な不織布の製造方法に倣って製造することができる。不織布の10の製造において、不織布構成繊維110を絡み合わせる工程において、低融点材130を不織布構成繊維110と混合させるとよい。
たとえば不織布10は、ます不織布構成繊維110を用いてシート状のプレ不織布を形成し(第一工程)、次いで、プレ不織布を構成する不織布構成繊維110同士を結合させる(第二工程)ことにより、製造することができる。
上記第一工程としては、たとえば、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法などが挙げられる。上記第二工程としては、たとえば、ニードルパンチ法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、スパンレース法、ステッチボンド法、またはスチームジェット法などが挙げられる。
不織布構成繊維110は、不織布を構成可能な1種の繊維または2種以上の繊維の組合せである。不織布構成繊維110の例としては、たとえば、アラミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等が挙げられるが、これに限定されない。
(低融点材)
低融点材130は、表皮30および不織布本体120の融点よりも低い融点の部材である。低融点材130を含む積層体100は、プレス成形前にプレヒーティングされることで、低融点材130を溶融させることができる。低融点材130が溶融された状態の積層体100をプレス成形して所望形状に賦形し、その状態で低融点材130を硬化させることによって、所望形状に成形されたプレス成形加工物を製造することができる。
低融点材130の構成する部材は、表皮30および不織布本体120の融点、後述するプレス成形加工時の温度条件等を勘案して決定することができ、1種または2種以上の部材の組合せであってよい。
たとえば、適度な融点を示す熱可塑性樹脂は低融点材130として適している。上記熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル(特には低融点ポリエステル)、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、およびメタクリル系樹脂から選択される1種または2種以上の組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。
低融点材130の融点は、表皮10および不織布本体120の融点との相対的な関係で決定されるため、特に限定されないが、上記融点が100℃以上120℃以下であれば、表皮10および不織布本体120を構成する部材、後述するプレス成形加工時の温度条件等の選択の範囲が広くなるため好ましい。
低融点材130の形状は、不織布本体120の内部に混合させることができる範囲において、特に限定されない。たとえば、上記形状として、繊維状の低融点材130、または不織布本体120から抜け落ちない程度の粒径の粒状の低融点材130などが挙げられる。図1では、繊維状の低融点材130が混合された不織布10を図示しており、低融点材130は、視認容易なよう、不織布構成繊維110よりも便宜的に太線で示している。低融点材130として、融点が100℃以上120℃以下である繊維状の部材が好ましい。特に、1デニール以上10デニール以下の範囲の繊維状の低融点材130は、ニードルパンチ法などの汎用の不織布製造方法によって、不織布構成繊維110と絡ませてシート状に形成し易い上、適度な温度のプレヒーティングで短時間に溶融させ易いため、好ましい。
低融点材130を不織布本体120の内部に混合させる方法は特に限定されないが、たとえば、上述する不織布の製造に関する第一工程において、不織布構成繊維110に低融点材130を混合させ、一緒にシート状に形成することができ、または上記第二工程におけるニードルパンチ法などにおいて、繊維状の低融点材130を上記第一工程で得られたシート状の不織布構成繊維110に漉き込んでいってもよい。
不織布10の質量における低融点材130の質量の比率は特に限定されないが、不織布本体120が所望の形状に良好に賦形されるという観点からは、上記比率は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また良好なプレス成形性を確保しつつ、柔軟性の良好なプレス成形加工物を提供するという観点からは、
上記比率は、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明者らの検討によれば、上記比率が40質量%を境にして、これ以上、低融点材130を混合させても、成形性の向上効果が得られ難いことが把握されている。そのため、コストパフォーマンスの観点から、上記比率は、40質量%以下であることが好ましい。
(表皮)
表皮30は、接着層20を介して不織布10に積層し固着させることができるものであればよい。たとえば、表皮30として、天然皮革、合成皮革、またはファブリックなどから構成される1層のシートまたはこれらの任意の組合せでなる2層以上の積層シートを挙げることができる。
上記天然皮革は、動物の皮膚をなめしてシート状にしたものであり、牛、豚、馬等のいずれの動物の皮膚を用いたものであってもよい。
上記合成皮革は、たとえば、ポリウレタンまたはポリ塩化ビニルなどを用いて構成されるものが挙げられるがこれに限定されない。上記合成皮革は、適宜選択された基材上に上述する合成樹脂が塗布されてなる樹脂層を備えるものであってもよい。ポリ塩化ビニルを用いてなる、所謂塩ビレザーは、代表的な合成皮革であって、表皮30として好適である。上記合成皮革は、表面加工により、スエード調に加工されたものであってもよいし、表面平滑な所謂銀面に仕上げられたものであってもよい。
上記ファブリックは、織物、編物、および不織布を含む。
積層体100は、表皮30を備えるため、外観の見栄えが良好である。
上述するとおり、芯材を予め所望の深絞り形状に成形し、後工程において表皮を貼り付けてなる成形加工品では、表皮が皺になり易い。これに対し、積層体100は、予め芯材である不織布10に表皮30が積層されているため、これを用いて深絞り形状にプレス成形した場合、不織布10と表皮30とが互いに追従して所望の形状をなすため、表皮30に皺が寄り難く成形性に優れる。しかも、後工程において表皮を貼り付けて成形加工品を製造する場合に比べ、簡易な製造設備でプレス成形品を製造可能である。
高級感のあるプレス成形加工物を提供可能であるという観点からは、表皮30として、合成皮革が用いられることが好ましい。
表皮30の厚みは、特に限定されない。たとえば合成皮革からなる表皮30としては、0.5mm以上1.5mm以下の範囲で調整することができる。
(接着層)
接着層20は、不織布10と表皮30とを積層させ固着させる。かかる目的が達成される範囲において、接着層20は、いずれの部材から構成されてもよいが、望ましくは、上述する低融点材130の融点よりも高い融点を示す部材から構成された接着層20が好ましい。
接着層20を接着剤で構成する場合には、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられるがこれに限定されない。また不織布10または表皮30の少なくとも一方に接着剤を塗布して、他方を積層することにより、接着層20を形成しつつ、両者を積層させてもよいが、シート状のポリウレタンフォームを用い、フレームラミネートにより当該ポリウレタンフォームを接着層20として不織布10と表皮30とを積層させることもできる。
ここでいうフレームラミネートとは、シート状の軟質ウレタンフォームの表面を火炎により溶融させ、他の部材と張り合わせるラミネート加工を指す。シート状物を用いて不織布10と表皮30とを接着させることにより、接着層20の厚みが不均一になり難く好ましい。
他のシート状の接着剤の例としては、シート状のホットメルト接着剤が挙げられる。シート状のホットメルト接着剤を用いて接着層20を形成する場合には、不織布10と表皮30との間に当該ホットメルト接着剤を挟み、少なくとも一方側から加熱して、接着剤を溶融させる必要がある。しかしこの場合、不織布10に含まれる低融点材130が溶融しないよう配慮が必要である。これに対し、上記フレームラミネートであれば、軟質ウレタンフォームの表面を火炎により溶融させればよいので、低融点材130が溶融する虞がない。
上記フレームラミネートは、シート状の軟質ウレタンフォームの側面だけを火炎により熱溶融させて中間部に発泡状態を残す加工方法(以下、フォーム加工という)、および火炎により軟質ウレタンフォームの全体を溶融させて実質的に発泡状態を消失させる加工方法(以下、フォームレス加工)を含む。
図1では、フォームレス加工により形成された接着層20を備える積層体100を示している。フォームレス加工により形成された接着層20の厚みは、1μm以下程度に調整することができるので、厚みの小さいプレス成形加工物を提供する場合には、フォームレス加工により形成された接着層20が好ましい。フォーム加工により形成された接着層を備える積層体については、後述する第二実施態様において説明する。
<第二実施形態>
以下に本発明の第二実施形態にかかる積層体150について図2を用いて説明する。図2は、積層体150を厚み方向に切断してなる断面を模式的に示す断面図である。
積層体150は、接着層22が、ポリウレタンフォーム230を備えること以外は、積層体100と同様に構成される。そのため、以下の説明では、主として接着層22について説明し、積層体100と同様の構成について適宜第一実施形態を参照するものとする。
図2に示すとおり、積層体150は、不織布10と表皮30とが接着層22を介して積層されている。
接着層22は、中間部にポリウレタンフォーム230を備えるとともに、不織布10側の面に不織布側接着面220を有し、表皮30側の面に表皮側接着面210を有している。積層体150は、接着層22において、ポリウレタンフォーム230を備えることから、柔軟性に優れるとともに衝撃吸収性を示すプレス成形加工物を提供可能である。
また積層体150を用いてプレス成形する際、不織布10に若干の収縮や歪みが生じる場合があるが、ポリウレタンフォーム230が、かかる収縮や歪みを吸収するため、当該収縮や歪みに起因する凹凸が表皮30に発生し難い。またポリウレタンフォーム230の存在により、プレス成形時の不織布10の収縮や歪み自体を抑制することができる。さらに、不織布10が元来有する表面の凹凸が、表皮30にあばた模様となって現れ難い効果も有する。したがって積層体150を用いてなるプレス成形加工物は特に外観が優れる。
プレス成形の際の不織布10の収縮や歪みを吸収する効果および不織布10が元来有する表面の凹凸を表皮30に発現させない効果が顕著に期待されるという観点からは、ポリウレタンフォーム230の厚みは、1.0mm以上であることが好ましく1.5mm以上であることがより好ましく、2.0mm以上であることがさらに好ましい。ポリウレタンフォーム230の厚みの上限は特に限定されないが、概ね10mm以下である。
積層体150は、上述するフレームラミネートにおけるフォーム加工により製造することができる。即ち、所定厚みのシート状のポリウレタンフォームを用い、その両面を加熱し、中間部にポリウレタンフォーム230を残しつつ、両面を溶融状態にして、不織布10と表皮30とをそれぞれ貼り合せることで積層体150を得ることができる。
(プレス成形加工物)
次に、図3および図4を用いて、本発明の積層体を用いてなるプレス成形加工物200について説明する。具体的には、積層体150を用いてなるプレス成形加工物200について説明する。図3は、プレス成形加工物200を厚み方向に切断してなる断面を模式的に示す断面図である。図4は、プレス成形加工物200の製造方法の例を説明する工程図であり、図4(a)はプレス成形加工物の製造に用いられる積層体150の断面図であり、図4(b)は、積層体150における不織布10に含まれる低融点材130を融解させる加熱工程を示し、図4(c)は、低融点材130が融解した状態の積層体150をプレス成形用型(雄型320、雌型330)に設置した状態を示し、図4(d)は、設置された積層体150をプレス成形するとともに冷却するプレス冷却工程を示している。
本実施形態にかかるプレス成形加工物200は、積層体150を用いて製造される。プレス成形加工物200は、積層体150に由来する不織布10、接着層22、および表皮30を備える。プレス成形加工物200における不織布10は、溶融され硬化した低融点材130を含むが、図3および図4(c)、図4(d)では低融点材130を図示省略している。
プレス成形加工物200における不織布10のショアA硬度は40以上70以下である。上記ショアA硬度が40未満であると、プレス成形加工物200の硬度が充分でない場合がある。また上記ショアA硬度が70を超える場合、プレス成形加工物200の柔軟性が損なわれる。
かかる構成を備えるプレス成形加工物200は、軽量であり柔軟性に優れる上、適度な硬度を発揮する。また、積層体150のプレス加工時の成形性が良好であるため、プレス成形加工物200は、所望形状が良好に実現され、外観も良好である。たとえば深絞り加工されたプレス成形加工物200であっても、表皮30や不織布10に皺が発生し難く、外観が良好である。また、芯材として不織布10を備えるため、縫製により他の部材との縫合が可能である。
プレス成形加工物200における不織布10のショアA硬度は、JIS K6253-3に準拠して測定することができる。具体的には、不織布10のショアA硬度は、プレス成形加工物200の製造に用いられ不織布10と同じ不織布を測定用不織布として用意し、プレス成形加工物200のプレス加工と同じ条件で上記測定用不織布のみをプレス加工し、プレス加工後の測定用不織布を上記方歩に準拠して測定した値である。
不織布10のショアA硬度の調整方法は、特に限定されないが、たとえば、不織布10の目付および低融点材130の含有量、プレス加工時の温度や圧力などにより調整し得る。特にプレス成形前の不織布10の目付が、450g/m以上900g/m以下の範囲では、好ましい範囲のショアA硬度を示す不織布10が得られ易い。
プレス成形加工物200は、積層体150を用いて製造されたため、図示省略するポリウレタンフォーム230を備える。そのため、プレス成形加工物200は、プレス成形の際の不織布10の収縮や歪みを吸収する効果および不織布10が元来有する表面の凹凸を表皮30に発現させない効果を示す。プレス成形加工物200におけるポリウレタンフォーム230の厚みは、プレス加工前のポリウレタンフォーム230の厚みよりも小さくなる傾向にあるが、概ね0.5mm以上であることが好ましく、1.0mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがさらに好ましい。またプレス成形加工物200におけるポリウレタンフォーム230の厚みの上限は、特に限定されないが、概ね5.0mm以下である。
プレス成形加工物200の単位面積当たりの質量は、用途によって適宜調整されるが、たとえば、750g/m以上2000g/m以下の範囲であれば、軽量であるにも関わらず、適度な硬度を示すため、種々の用途に好適である。
以上において説明する本発明の積層体を用いて形成されたプレス成形加工物は、その適度な柔軟性および硬度、並びに優れた外観等から、種々の技術分野に適用可能である。上記プレス成形加工物は、後述する製造方法等により簡単に所望の形状をなすことができる。したがって、上記プレス成形加工物は、たとえば車両用シートバックボードなどの車両の種々の部位における成形部材として良好に適用可能である。
(プレス成形加工物の製造方法)
次にプレス成形加工物200の製造方法について説明する。かかる製造方法は、本発明の積層体を用いてプレス加工し、所望形状のプレス成形加工物200を得られる方法であればよい。具体的には、以下のような製造方法が適切である。
即ち、プレス成形加工物200の製造方法は、不織布10に含まれる低融点材130を溶融させるプレヒーティングを行う工程1、上記工程1を経た積層体150をプレス成形し所望の形状に賦形する工程2、プレス成形されてなるプレス成形加工物200の形状を維持した状態で冷却する工程3を備える。尚、工程3における冷却とは、相対的に低い温度にすることを意味し、たとえば加温状態にあるプレス成形加工物200を積極的に冷却する態様および室内に放置して温度を冷ます態様のいずれも包含する。
上述する工程1~3は、それぞれが独立の工程であってもよいし、工程1および工程2を同工程(特には同時)において実施し、その後に工程3を実施してもよいし、あるいは、工程1を実施し、次いで工程2および工程3を同工程(特には同時)に実施してもよい。
推奨される製造方法の態様として、まず積層体150をプレヒーティングし(工程1)、続いて、低温状態にあるプレス成形型に積層体150を配置して型締めしプレスする(即ち、工程2と工程3とを同時に行う)態様1が挙げられる。ここで低温状態とは、プレス成形型が、配置された積層体150における不織布10の表面温度よりも相対的に低い温度である状態をいい、例えば不織布10の表面温度が室温を超える温度であれば、上記プレス成形型は室温程度(より具体的には、例えば20℃±3℃程度)でもよい。
また製造方法の異なる態様として、まず積層体150を加熱してプレス成形し(即ち、工程1と工程2とを同時または連続的に行い)、次いでプレスされた形状が維持された状態でプレス成形加工物200を冷却する(工程3)態様2が挙げられる。ここでいう冷却は、室温に放置することによる冷却であってもよいし、室温を下回る温度で工程2を経たプレス成形加工物200を積極的に冷やすことによる冷却であってもよい。
図4を用い、上述する態様1の製造方法を具体的に説明する。
まず図4(a)に示すとおり、積層体150を準備する。
そして、図4(b)に示すとおり積層体150を適温に加熱された下側加熱部300と上側加熱部310との間に配置し、プレヒーティングを行う。このとき、低融点材130を溶融させるとともに、表皮30が加熱により変性しないよう配慮するとよい。具体的には図4(b)に示すとおり、適温(例えば170℃以上190℃以下の温度)に加熱された下側加熱部300に不織布10を下側にして積層体150を載置し、かつ表皮30から離間した位置に配置された上側加熱部310により適温(例えば130℃以上150℃以下の温度)で加熱するとよい。表皮30の表面から上側加熱部300までの距離hは特に限定されないが、例えば1mm以上10mm以下の範囲にすることによって、表皮30を変性させない範囲で上方からも積層体150を加熱することができ、溶融しない低融点材130が有意に残存することを防止することができる。
図4(c)に示すとおり、プレヒーティングにより低融点材130が溶融された積層体150は、速やかにプレス成形用型に配置される。図4(c)に示されるプレス成形用型である雄型320および雌型330は、上述する低温状態であることが好ましい。これにより、図4(d)に示すとおり、雄型320および雌型330を接近させて型締めし、積層体150を所望形状にプレスすることで、賦形と冷却とを同時に実施することができる。以上により、溶融していた低融点材130が硬化し、所望形状に賦形されたプレス成形加工物200を得ることができる。
また、上記の方法で得られるプレス成形加工物200は、表皮30を熱により変性させないよう配慮されているため、成形加工後においても表皮30の艶や意匠が維持され美観に優れる。
以上に、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記説明に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜構成の一部を変更することができる。たとえば、本発明のプレス成形加工物としては、ポリウレタンフォーム230を備える態様を例に説明したが、本発明のプレス成形加工物は、ポリウレタンフォーム230を有さない接着層(例えば接着層20)を備える態様を包含する。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)接着層を介して積層された表皮と、目付が450g/m以上900g/m以下である不織布とを有し、
前記不織布は、不織布本体と低融点材とを含み、
前記低融点材の融点が、前記表皮および前記不織布本体の融点よりも低いことを特徴とする積層体。
(2)前記不織布が、前記低融点材を10質量%以上60質量%以下の範囲で含む上記(1)に記載の積層体。
(3)前記低融点材の融点は、100℃以上120℃以下である上記(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記接着層が、ポリウレタンフォームを備える上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の積層体。
(5)前記表皮が、合成皮革である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載の積層体。
(6)上記(1)から(5)のいずれ一項に記載の積層体を用いてなり、
前記接着層を介して積層された前記表皮と前記不織布とを有し、
前記不織布のショアA硬度が40以上70以下であることを特徴とするプレス成形加工物。
(7)単位面積当たりの質量が750g/m以上2000g/m以下である上記(6)に記載のプレス成形物。
10・・・不織布
20、22・・・接着層
30・・・表皮
100、150・・・積層体
110・・・不織布構成繊維
120・・・不織布本体
130・・・低融点材
200・・・プレス成形加工物
210・・・表皮側接着面
220・・・不織布側接着面
230・・・ポリウレタンフォーム
300・・・下側加熱部
310・・・上側加熱部
320・・・雄型
330・・・雌型
h・・・距離

Claims (3)

  1. 接着層を介して積層された表皮と、目付が450g/m2以上900g/m2以下である不織布とを有し、
    前記表皮は、厚みが0.5mm以上1.5mm以下の合成皮革であり、
    前記接着層は、厚みが1.0mm以上10mm以下の軟質ポリウレタンフォームであり、
    前記不織布は、不織布本体と低融点材とを含み、
    前記不織布の質量における低融点材の質量の比率は10質量%以上40質量%以下であり、
    前記低融点材の融点が、前記表皮および前記不織布本体の融点よりも低く
    記軟質ポリウレタンフォームの中間部に発泡状態を残し前記表皮と前記不織布とが、前記接着層である前記軟質ポリウレタンフォームを介して貼り合わされてなることを特徴とする積層体。
  2. 前記低融点材の融点は、100℃以上120℃以下である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記不織布本体が、アラミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維から選択される1種または2種以上の繊維から構成されている請求項1または2に記載の積層体。
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