JP3223851U - 積層熱成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】合成樹脂製熱成形品と同等程度の機械的物性を有し、種々の付加価値を付与しうることが可能な積層熱成形品を提供する。【解決手段】芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡されると共に融着されてなる不織布と、布帛、フィルム、樹脂シートのいずれかとが、積層一体化してなる熱成形品であり、 不織布を構成する芯鞘型複合繊維は、芯成分がエチレングリコールとテレフタル酸からなる共重合体よりなり、鞘成分がエチレングリコールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸及び/又はジエチレングリコールからなる共重合体よりなり、芯鞘型複合繊維相互間の融着は、鞘成分によってなされている。【選択図】図1

Description

本考案は、少なくとも不織布を構成素材とする積層熱成形品に関するものである。
従来より、不織布を熱成形してなる不織布製熱成形品は知られている。たとえば、特許文献1には、スパイラル捲縮を有する短繊維と、バインダー繊維となる芯鞘型複合短繊維とを混合した繊維ウェブにニードルパンチを施して、熱成形用不織布を得た後、この熱成形用不織布中のバインダー繊維の鞘成分が溶融する温度にて成形し、不織布製熱成形品を得ることが記載されている。この不織布製熱成形品は、合成樹脂製熱成形品に比べて、柔らかいことが利点とされている(特許文献1、段落0002)。
特開2013−79473号公報
しかしながら、不織布製熱成形品であっても、合成樹脂製熱成形品と同等程度の機械的物性を要求されることがある。本考案の課題は、かかる要求に応じることにある。またさらに、不織布に他の素材を積層することにより、得られる不織布製熱成形品に、種々の付加価値を付与しうるものを提供することを課題とするものである。
本考案は、不織布の構成繊維として特定の芯鞘型複合繊維を採用すると共に、特定の鞘成分によって芯鞘型複合繊維相互間を融着することによって、上記した課題を解決し、また、この不織布に、他の素材を積層して一体化させることにより、他の素材が有する特性も付加され、種々の付加価値を付与しうることを見出したものである。
すなわち、本考案は、芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡されると共に融着されてなる不織布(A)と、布帛、フィルム、樹脂シートのいずれかとが、積層一体化してなる熱成形品であり、不織布(A)を構成する芯鞘型複合繊維は、芯成分がエチレングリコールとテレフタル酸からなる共重合体よりなり、鞘成分がエチレングリコールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸及び/又はジエチレングリコールからなる共重合体よりなり、前記芯鞘型複合繊維相互間の融着は、前記鞘成分によってなされていることを特徴とする積層熱成形品に関するものである。
本考案における不織布(A)を構成する特定の芯鞘型複合繊維とは、芯成分がエチレングリコールとテレフタル酸の共重合体よりなり、鞘成分がエチレングリコールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸及び/又はジエチレングリコールからなる共重合体よりなるものである。芯成分を構成する共重合体は、エチレングリコールをジオール成分とし、テレフタル酸をジカルボン酸成分として脱水縮合して得られるポリエステルである。なお、ジカルボン酸成分として、ごく少量のイソフタル酸等の他のジカルボン酸成分が混合されていてもよい。芯成分を構成する共重合体の融点は約260℃であり、ガラス転移点は約70〜80℃である。鞘成分を構成する共重合体は、エチレングリコールと必要によりジエチレングリコールをジオール成分とし、アジピン酸とテレフタル酸と必要によりイソフタル酸をジカルボン酸成分として脱水縮合して得られる共重合ポリエステルである。なお、ジエチレングリコールとイソフタル酸は、少なくともいずれか一方を用いる必要があり、好ましくは両者を用いる。ジエチレングリコール及び/又はイソフタル酸を混合するのは、鞘成分による融着を強固にするためである。ジオール成分中にジエチレングリコールを混合する場合、一般にエチレングリコール:ジエチレングリコール=10:0.05〜0.5(モル比)程度である。ジカルボン酸成分であるアジピン酸とテレフタル酸の混合割合は任意であるが、アジピン酸:テレフタル酸=1:1〜10(モル比)程度である。また、ジカルボン酸成分中にイソフタル酸を混合する場合、一般にイソフタル酸:アジピン酸:テレフタル酸=0.04〜0.6:1:1〜10(モル比)程度である。鞘成分を構成する共重合体の融点及びガラス転移点は任意であるが、鞘成分同士の強固な融着を実現するために、融点は約200℃が好適であり、ガラス転移点は約40〜50℃が好適である。
芯成分と鞘成分の質量割合は、芯成分:鞘成分=0.3〜5:1(質量比)程度である。芯成分の質量割合が低すぎると、熱成形品の引張強度が低下する傾向となる。また、芯成分の質量割合が高すぎると、鞘成分による融着が不十分となり、アイゾット衝撃強さ等の物性が低下する傾向となる。芯成分と鞘成分は、同心に配置されていてもよいし、偏心して配置されていてもよい。しかしながら、偏心に配置されていると、熱成形時に、収縮が生じやすくなるため、同心に配置されている方が好ましい。芯鞘型複合繊維は、芯成分となる高融点ポリエステルと、鞘成分となる低融点共重合ポリエステルとを、複合紡糸孔を持つ紡糸装置に供給して、溶融紡糸するという公知の方法で得ることができる。芯鞘型複合繊維は、芯鞘型複合長繊維であっても芯鞘型複合短繊維であってもよいが、芯鞘型複合長繊維を用いた方が、得られる積層熱成形品の物性(衝撃強さ等の強度)が向上するため好ましい。
不織布(A)は、上記した芯鞘型複合繊維を多数集積されてなる繊維ウェブを得た後、この繊維ウェブにニードルパンチを施して芯鞘型複合繊維相互間を三次元的に交絡させ、さらに、熱成形時に鞘成分を溶融させて芯鞘型複合繊維相互間を融着させたものである。
芯鞘型複合長繊維を用いて繊維ウェブを得るには、いわゆるスパンボンド法を用いるのが一般的である。すなわち、溶融紡糸して得られた芯鞘型複合長繊維を、直ちにシート状に集積して、繊維ウェブを得ることができる。また、芯鞘型複合短繊維を用いて繊維ウェブを得るには、芯鞘型複合短繊維をカード機に通して開繊し、シート状に集積すればよい。繊維ウェブ中には、芯鞘型複合繊維の他に他種繊維を混合してもよいが、混合せずに芯鞘型複合繊維のみとするのが好ましい。他種繊維を混合すると、得られる積層熱成形品の物性(衝撃強さ等の強度)が低下する傾向が生じる。繊維ウェブの質量は、300〜6000g/m程度がよい。繊維ウェブの質量が低すぎると、厚みが薄くなり、衝撃強さ等の物性が向上しにくくなる。また、繊維ウェブの質量が高すぎると、熱成形品を合理的に製造しにくくなる傾向が生じる。
繊維ウェブは、芯鞘型複合繊維相互間が接着されていない状態でニードルパンチを施してもよいし、芯鞘型複合繊維相互間が接着された状態でニードルパンチを施してもよい。前者の方法であれば、繊維相互間が接着されていないため、ニードルパンチを施した際の繊維へのダメージが少なく、糸切れ等による強度低下が起こりにくいため好ましい。また、後者の方法であれば、繊維相互間が接着された状態の繊維ウェブであるため、取扱いしやすく、搬送しやすい。ニードルパンチは周知の方法で行われ、これによって、芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡され、芯鞘型複合繊維が厚み方向に配列した緻密な不織布が得られる。なお、芯鞘型複合繊維相互間が接着されていた場合であっても、ニードルパンチによってこの接着は破壊され、芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡される。パンチ密度は、10本〜200本/cm程度である。
本考案の積層熱成形品は、不織布(A)と他の素材とが積層されてなるものであり、他の素材は、布帛、フィルム、樹脂シートのいずれかである。布帛としては、織物、編物、不織布、抄造シートが挙げられる。
本考案の積層熱成形品は、上記した芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡されてなるニードルパンチ不織布と、布帛、フィルム、樹脂シートのいずれかと積層し、所定の形状となるように、加熱及び加圧して熱成形することによって得られる。この加熱及び加圧時に、芯鞘型複合繊維の鞘成分が溶融し、その後冷却することにより、芯鞘型複合繊維相互間が鞘成分によって融着されるのである。布帛を構成する繊維は、熱成形により所望の形状が賦形されるために、熱成形時に付与される熱によって軟化することを要するため、熱可塑性樹脂によって構成されるとよい。フィルムもまた、熱可塑性樹脂により構成されるものがよい。樹脂シートも同様に熱可塑性樹脂により構成されるものがよい。また、熱成形の形状として、立体成形であって、中でも深絞り成形の場合は、成形型枠に追随するための大きく伸びることを要することから、伸度が大きいものを用いるとよく、布帛であれば、編物や、繊維同士が交絡してなる短繊維不織布を好ましく用いる。また、布帛中に低融点バインダー繊維を混合してなるものも、熱が付与されることにより容易に軟化して伸びやすくなるため好ましい。
積層熱成形品を得るにあたっては、事前に、芯鞘型複合繊維が交絡してなるニードルパンチ不織布と、他の素材(布帛・フィルム・樹脂シートのいずれか)を事前に積層一体化させたものを用いて、熱成形加工を施してもよく、また、事前に積層一体化せずに、単に重ねた状態で熱成形加工を施してもよい。熱成形加工前に事前に積層一体化する方法としては、粉末状やクモの巣状のホットメルト熱接着材を介して熱接着により一体化する方法、ニードルパンチ処理により構成繊維同士を交絡させて一体化する方法、芯鞘型複合繊維が交絡してなるニードルパンチ不織布に溶融した樹脂を押出等によりラミネートすることによりニードルパンチ不織布に樹脂シートを積層一体化する方法等が挙げられる。不織布と布帛を積層する場合は、熱接着により一体化する方法が好ましい。また、他の素材が不織布の場合は、熱接着による積層一体化方法やニードルパンチにより交絡させて積層一体化する方法が好ましい。他の素材がフィルムの場合は、熱接着により一体化する方法が好ましく、樹脂シートの場合は、押出ラミネートにより一体化する方法が好ましい。なお、単に重ねた状態で熱成形加工を施した場合、熱成形加工による加熱と加圧により、芯鞘型複合繊維の鞘成分が融着し、少なくとも、鞘成分が接着成分となって融着固化することにより、ニードルパンチ不織布と他の素材とが積層一体化した積層熱成形品が得られる。
上記した積層一体化した積層体あるいは単に重ねた状態の積層体は、所望の形状となるように、加熱および加圧して熱成形するが、熱成形の代表例としては、熱エンボス加工が挙げられる。熱エンボス加工とは、加熱された一対のエンボスロール(表面に所定の模様が彫刻されてなるロールのことである。)間又は加熱されたエンボスロールと平滑ロール間に、積層体を通し、熱成形品の表面に模様を設ける方法のことである。エンボスロールの彫刻模様としては、凹凸柄、文字、商標又は図柄等の任意の模様が挙げられる。不織布(A)は、ニードルパンチ不織布によって構成されるため、芯鞘型複合繊維相互間が交絡されているだけで未接合となっているため、これに熱エンボス加工を施し、模様部位において芯鞘型複合繊維相互間を強固に融着すると、模様が鮮明になる。加熱温度は、鞘成分が溶融して芯鞘型複合繊維相互間が融着する程度でよい。鞘成分の溶融は、加圧によって促進されるので、加熱温度は鞘成分の融点未満であってもよい。具体的には、加熱温度は100℃から〜220℃程度であり、加圧条件はロール間の線圧で10〜150kg/cm程度である。
また、熱成形の他の例としては、トレイ形状、半割筒形状、帽子形状又は椀形状等の三次元的立体形状に成形する方法も挙げられる。具体的には、プレス金型を用いて三次元的立体形状に成形する。この場合、積層体を加熱した後に、プレス金型で加圧するのが好ましい。もちろん、プレス金型を加熱しておき、積層体に加熱と加圧を同時に施してもよい。プレス金型による熱成形であっても、ニードルパンチ不織布における鞘成分の溶融により芯鞘型複合繊維相互間が融着する。加熱温度は180℃〜220℃程度であり、加圧条件はプレス時の面圧で10〜500kg/cm2程度である。
熱成形して得られた積層熱成形品において、不織布(A)は、三次元的交絡及び構成繊維相互間の融着によって、緻密化されており、繊維密度は0.3〜0.9g/cm3程度となっている。そして、得られる積層熱成形品のアイゾット衝撃強さ(ASTM D256)が3.0〜60.0kg・cm/cmとなっており、不織布(A)において構成繊維相互間が融着によってプラスチックのごとく剛性が向上しているため、合成樹脂製熱成形品と同等の衝撃強さを有するものである。また、曲げ強さ(ASTM D790)は20〜800kg/cm2程度であり、引張強度(ASTM D638)は60〜700kg/cm程度である。そして、合成樹脂製熱成形品は基本的に通気性がないが、本考案に係る積層熱成形品は、少なくとも不織布(A)の層は通気性を有し、また、他の素材が布帛の場合は、積層熱成形品においても通気性を有し、軽量である。
本考案に係る積層熱成形品は種々の用途に用いられる。表面に模様が熱成形により設けられている積層熱成形品は、フィルター基材、加湿器用蒸散板、吸音材(異音防止材)、インテリア部材、カーペット用基布、靴又は鞄等の基布、椅子の表皮材、衣服等の生地、衣服等の芯材又は防塵用或いは衛生用マスク等として用いることができる。また、三次元的形状に成形した積層熱成形品は、トリムや天井材等の自動車の内装材、アンダーカバーやフード等の自動車の外装材、チャイルドシートの本体、各種トレイ、スーツケース等のバッグ本体及び内張り材、靴の中底、射出成型品等のプラスチック成型品の代替品、掃除機,空調機器,パソコン又はプリンター等の一般家電製品又は一般事務製品の筐体等として用いることもできる。
本考案に係る積層製熱成形品は、不織布(A)が、特定の鞘成分を持つ芯鞘型複合繊維で構成され、芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡されていると共に、鞘成分によって融着されてなるものである。このため、本考案に係る積層熱成形品は、不織布が構成素材であるにも関わらず強固な融着が可能となり、合成樹脂製熱成形品と同等程度のアイゾット衝撃強さを持つという効果を奏する。また、不織布(A)に積層する他の素材に応じて、種々の機能性を付加することができる。
実施例1(積層体の製造)
芯成分として、エチレングリコールとテレフタル酸の共重合体(融点260℃)を準備した。鞘成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アジピン酸、テレフタル酸及びイソフタル酸の共重合体(融点200℃)を準備した。なお、ジオール成分としてのエチレングリコールは99モル%でジエチレングリコールは1モル%であり、ジカルボン酸成分としてのアジピン酸は19モル%でテレフタル酸は78モル%でイソフタル酸は3モル%である。上記した芯成分と鞘成分の両者を、複合紡糸孔を持つ紡糸装置に供給して、溶融紡糸を行い、芯鞘型複合長繊維を得た。芯成分と鞘成分の質量割合は、芯成分:鞘成分=7:3であった。これを紡糸装置の下方に設けたエアーサッカーに導入し、高速で牽引細化した後、公知の開繊装置で開繊させ、移動するスクリーンコンベア上に捕集及び集積させて繊維ウェブを得た。この繊維ウェブをニードルパンチ装置に搬送し、パンチ密度90本/cm及び針伸度10mmでニードルパンチを施し、目付300g/mのニードルパンチ不織布を得た。
一方、上記ニードルパンチ不織布に積層する他の素材として、短繊維不織布を準備した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート短繊維(ユニチカ株式会社製、品番「100」、繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)と、芯鞘複合熱バインダー短繊維(ユニチカ株式会社製、品番「4080」、繊度6.6デシテックス、繊維長51mm、芯成分:ポリエチレンテレフタレート、鞘成分(熱バインダー成分):共重合ポリエステル(融点110℃))を準備した。このポリエチレンテレフタレート短繊維と、芯鞘複合熱バインダー短繊維とを80:20(質量比)の割合で混合し、一般的なカード機にて、開繊、集積し、得られたカードウェブをニードルパンチ装置に搬送し、パンチ密度150本/cm、針深度10mmでニードルパンチを施して、表皮用の短繊維不織布を得た。
芯鞘型複合長繊維からなるニードルパンチ不織布の片面に、熱接着材として、パウダー状のポリエチレン製ホットメルト接着材をパウダー加工機にて15g/m塗布し、その上に表皮用の短繊維不織布を重ね合わせた状態で180℃のオーブンで加熱した後、常温雰囲気下で加圧し、芯鞘型複合長繊維からなるニードルパンチ不織布と短繊維不織布とを熱接着により一体化させ、積層体を得た。

実施例2(積層体の製造)
実施例1で得た芯鞘型複合長繊維からなるニードルパンチ不織布を準備した。
一方、上記ニードルパンチ不織布に積層する他の素材として、実施例1で用いた短繊維からなるカードウェブを準備した。
芯鞘型複合長繊維からなるニードルパンチ不織布に、短繊維からなるカードウェブを積層し、ニードルパンチ装置に搬送し、パンチ密度90本/cm、針深度10mmでニードルパンチを施して、カードウェブの構成繊維同士は三次元交絡させて短繊維不織布とするとともに、短繊維不織布と芯鞘型複合長繊維からなるニードルパンチ不織布とは、それぞれの構成繊維同士が交絡し合って、積層一体化してなる積層体を得た。
積層熱成形体の製造例1
得られた実施例1、2の積層体を用いて、それぞれの積層熱成形品を製造した。すなわち、得られた実施例1、2の積層体を、彫刻深さが0.4mmの皮絞柄に彫刻されたエンボスロールとフラットロールからなるエンボス装置を用いて、エンボスロール側が短繊維不織布側、平滑ロール側が長繊維不織布側となるようにし、両ロールの表面温度を130℃、線圧50kg/cm、加工速度5m/分の条件で熱エンボス加工を施した。
得られた実施例1、2の積層熱成形品は、短繊維不織布側から観察すると、エンボスの模様が明瞭に設けられたものであった。これは、下側に位置する不織布(A)へもエンボス加工による明瞭な凹凸模様が賦形されたためである。
積層熱成形体の製造例2
得られた実施例1、2の積層体を用いて、それぞれの積層熱成形品を製造した。すなわち、得られた実施例1、2の積層体を、200℃のオーブンに入れて、5分間加熱した。加熱された積層体を、常温雰囲気下にある雄雌からなる立体成形金型に直ちにセットし、60秒間プレスを行い、図1に示す立体形状に成形された積層熱成形品を得た。なお、立体成形金型にセットする際、雄側が短繊維不織布側、雌側が長繊維不織布側となるようにセットした。
得られた実施例1、2の積層熱成形品は、不織布製でありながら、プラスチック製のごとき硬さと剛性を有し、またプラスチックよりも軽量なものであった。また、表側となる短繊維不織布側は、繊維の風合いを維持しており、硬さを有する成形品でありながら、片側表面はテキスタイル調の質感を有するものであった。
本考案の一例に係る積層熱成形品の写真であって、積層熱成形体の製造例2で得られた三次元的立体形状であるトレイ状に熱成形されてなる積層熱成形品の写真であり、短繊維不織布側(凹側)を写したものである。 本考案の一例に係る積層熱成形品の写真であって、積層熱成形体の製造例2で得られた三次元的立体形状であるトレイ状に熱成形されてなる積層熱成形品の写真であり、長繊維不織布側(凸側)を写したものである。

Claims (7)

  1. 芯鞘型複合繊維相互間が三次元的に交絡されると共に融着されてなる不織布(A)と、布帛、フィルム、樹脂シートのいずれかとが、積層一体化してなる熱成形品であり、
    不織布(A)を構成する芯鞘型複合繊維は、芯成分がエチレングリコールとテレフタル酸からなる共重合体よりなり、鞘成分がエチレングリコールとアジピン酸とテレフタル酸とイソフタル酸及び/又はジエチレングリコールからなる共重合体よりなり、
    前記芯鞘型複合繊維相互間の融着は、前記鞘成分によってなされていることを特徴とする積層熱成形品。
  2. 芯鞘型複合繊維が芯鞘型複合長繊維であることを特徴とする請求項1記載の積層熱成形品。
  3. 不織布(A)に積層される布帛が、編物または不織布であることを特徴とする請求項1または2記載の積層熱成形品。
  4. 積層一体化は、ホットメルト接着剤を介してなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の積層熱成形品。
  5. 積層一体化は、不織布(A)を構成する繊維と、布帛を構成する繊維とが、相互に交絡しあってなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の積層熱成形品。
  6. 積層熱成形品の表面に凹凸柄、文字又は図柄等の模様が熱成形により形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の積層熱成形品。
  7. トレイ形状、半割筒形状又は帽子形状等の三次元的形状に熱成形されている請求項1〜6のいずれか1項記載の積層熱成形品。
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