JP7119934B2 - 表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、表皮材に関し、更に詳しくは、交差する凹溝が立体的に交差するように見える交差模様を表現し、線状立体模様に新たな美観を添え、意匠性を高めた表皮材に関する。
従来、車両等の内装材には、意匠性を向上させるために表皮材が配設されている。
このような内装材の意匠性を向上させる手段の一つとして、表皮材にクッション性を付与する方法が知られている。意匠性の更なる向上のために種々の改良が試みられるが、表皮材がこのようにクッション性を有する場合には、そのクッション性を生かした意匠性の向上が図られる。表皮材の意匠面に立体模様を形成することで、デザインの自由度を高める試みが行われており、例えば特許文献1に記載の表皮材が知られている。
このような表皮材は、一般的には、クッション性に優れる樹脂層上に、合成皮革等の表皮層を接合して形成される。このような表皮材の製造方法に関して、クッション性を有する素材に意匠性を高める立体模様を賦形するために、種々の改良が行われている。例えば、エンボス成形用の凸型を用いて熱可塑性樹脂素材を加熱プレスし、意匠面に凹部を形成する表皮材の製造方法が知られている。
本出願人等は、特許文献1で、立体編み物をクッション層に使用する場合の表皮材の製造方法を開示している。即ち、加熱プレスする際の凸型の押し込み深さを変えることによって、押し込み深さに応じた凹変形をクッション層に付与している。凹変形の凹深さに変化を与えることで、より意匠性を高めた立体模様を備える表皮材の製造を可能にしている。更に、本出願人等は、特願2018-145425において、一層優れた美観を表わす立体模様を備えるとともに、デザイン自由度が非常に高い表皮材の製造方法を開示している。
特開2017-213865号公報
上記特願2018-145425に記載の製造方法の発明では、凸型と弾性マットとの間で表皮材素材を加熱プレスすることにより、凸型の押圧深さに応じた弾性マットによる反発力の差を利用する。これにより、凹形状の凹深さに強弱(即ち、深浅)を付する加工が、一回の加熱プレスで成形でき、美観に優れた立体模様を容易に表現できるようになる。デザインの自由度が大きく高められるので、立体模様が、線状の凹溝に由来する単純な形態であっても、意匠性を向上させることができる。
しかしながら、特願2018-145425の実施例では、凹深さの強弱(即ち、深浅)によって美観に優れた意匠を表わす立体模様として、凹深さが相違する複数本の凹溝を並列して意匠面に設ける立体模様のデザインや(図3参照)、底面の凹深さが長手方向に沿って徐変する凹溝を有する立体模様のデザイン(図6参照)を開示するに止まっている。このような凹深さの繊細な強弱を実現する表現手法を用いて、従来にない新たな美観を備える形状を表わし、意匠性を一層高めることへの期待が高まっている。凹溝に由来する単純な線状立体模様の形態に対しても、同様の期待がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、熱可塑性樹脂の凹変形よりなる凹状の線状立体模様を意匠面に表わす表皮材において、交差する凹溝が立体的に交差するように見える交差模様を表現し、線状立体模様に新たな美観を添え、意匠性を高めた表皮材を提供することを目的とする。
本発明は以下に示すとおりである。
1. 熱可塑性樹脂の凹変形よりなる凹状の線状立体模様を意匠面に表わす表皮材であって、前記線状立体模様は、互いに交差する凹溝を有しており、更に、前記凹溝の交差によって前記凹溝が重なり合う交差凹部、前記交差凹部に接続する一方の前記凹溝の一対の接続凹部及び前記交差凹部に接続する他方の前記凹溝の一対の接続凹部の各凹部を含む交差模様を形成してなり、前記交差模様を形成する少なくとも1つの凹部には、前記交差模様の内部から前記意匠面の側に向けて膨らむ膨出部が形成されてなる表皮材。
2. 一方の前記凹溝は、第1凹溝であり、他方の前記凹溝は、第2凹溝であり、前記膨出部は、前記第1凹溝の流れを遮る方向であって、前記第2凹溝の流れの方向に沿って細長状に設けられており、且つ、前記第1凹溝又は前記第2凹溝の縁部の輪郭を、前記膨出部の頂部、又は、前記縁部に連続する前記膨出部の裾野部、を介して浮き出させる短手方向幅を有する上記1.に記載の表皮材。
3. 前記膨出部は、前記意匠面に連続する前記膨出部の頂部を介して前記第1凹溝又は前記第2凹溝の前記縁部の輪郭を浮き出させるものであって、前記第1凹溝の一対の第1接続凹部に一対形成されており、前記交差凹部及び前記交差凹部を介して相対向する前記第2凹溝の一対の第2接続凹部は、それぞれ前記第2凹溝の流れに沿って円滑に連続する凹深さを有しており、一対の前記第1接続凹部は、一対の前記第2接続凹部の前記凹深さと相違する凹深さを有する上記2.に記載の表皮材。
4. 前記交差模様は、一本状の前記第1凹溝及び/又は前記第2凹溝に対して、複数形成されてなり、前記第1凹溝及び/又は前記第2凹溝は、複数の前記交差模様のうち相隣接する一方側交差模様と他方側交差模様との間において、前記凹深さを徐変してなり、更に、一方側交差模様における前記第1接続凹部が、最深であり、且つ、他方側交差模様における前記第1接続凹部が、最浅であり、しかも、一方側交差模様における前記第2接続凹部が、最浅であり、且つ、他方側交差模様における前記第2接続凹部が、最深である、それぞれの前記凹深さを有する上記3.に記載の表皮材。
5. 前記膨出部は、前記第1凹溝又は前記第2凹溝の何れか一方の凹溝の全長に沿って、一方の前記凹溝の底部に形成されてなる上記2.に記載の表皮材。
6. 前記表皮材は、前記熱可塑性樹脂よりなる線状溝を意匠面側の表面に有するクッション層と、前記クッション層の前記意匠面側に接合され、前記線状溝の凹状に追従する前記線状立体模様を前記意匠面に表わす表皮層と、を備える上記1.乃至上記5.の何れかに記載の表皮材。
7. 前記クッション層は、立体編物よりなる上記6.に記載の表皮材。
1. 本発明の表皮材は、交差模様の内部から意匠面の側に向けて膨らむ膨出部が形成されているので、交差模様のうち、交差模様を部分的に占める膨出部が手前にあるように見え、一方の凹溝(又は他方の凹溝)の途中に高低差が生じているように見える。即ち、凹溝が交差模様の部位で立体的に交差するように見え、線状立体模様は立体交差するような模様を形成する。膨出部が介在することによって交差模様の部位で何れか一方の凹溝(又は他方の凹溝)の流れに途切れが生じても、線状立体模様は、本来的に、連続する線模様(溝)として認識されやすい性質がある。このように、交差模様の一部分が前面に配置するように見えることや、凹溝が表わす線状模様の性質を利用して、交差する凹溝が立体交差するように見える交差模様を表現し、線状立体模様に新たな美観を添えることができ、表皮材の意匠性が高められる。
2. また、細長状の膨出部の短手方向幅が、膨出部の頂部、又は、縁部に連続する前記膨出部の裾野部、を介して第1凹溝又は第2凹溝の縁部の輪郭を浮き出させるのに適した幅に形成されると、交差凹部に接続する第1凹溝(接続凹部)の端縁が、又は、交差凹部に接続する第2凹溝(接続凹部)の縁部が、手前に配置するように、視認されやすくなる。線状立体模様の交差模様が、一層効果的に立体交差するように見せることができる。
3. また、膨出部が、第1凹溝の一対の第1接続凹部に形成されるので、より確実に、第1凹溝の端縁又は第2凹溝の縁部の輪郭を浮き出させるのに適した膨らみを形成する。更に、一対の第1接続凹部と一対の第2接続凹部とが相違する凹深さを有するので、交差模様の内部で段差を生じる。第1凹溝と第2凹溝の高低差が明らかになり、立体交差する線状立体模様の立体性が一層引き立つ。
4. 一方側交差模様において、第1接続凹部が最深でありしかも第2接続凹部が最浅である場合、一方側交差模様は、より明確に、第1凹溝が第2凹溝の下を潜るように表わされる。また、他方側交差模様において、第1接続凹部が最浅でありしかも第2接続凹部が最深である場合、他方側交差模様は、より明確に、第1凹溝が第2凹溝の上に乗り上げるように表わされる。このように、隣り合う交差模様間で第1凹溝のダウン及びアップ現象を表わすことができる。従って、線状立体模様に、新たに高低差の変化を与えることができ、表皮材の意匠性が一層高められる。
5. また、膨出部が、第1凹溝又は第2凹溝の何れか一方の凹溝の底部に形成される凸条よりなる場合、膨出部の裾野部を介して一方の凹溝の縁部の輪郭を浮き出させるのに適した交差模様が形成される。膨出部が交差模様の領域を超えて延設されるので、一方の凹溝の縁部の輪郭が凹溝の全長に亘って強調される。従って、立体交差模様の意匠性が一層高められる。
6. 表皮材がクッション層を有するために、深浅変化に富んだ凹深さを有する立体性を線状立体模様に容易に付与することができる。
7. 立体編み物はクッション性に富むため、熱可塑性樹脂繊維の熱変形によって結接糸の押し込み深さを変えることで、凹深さ方向に大きな深浅変化を有する線状溝を容易に賦形できる。従って、表皮材の表面に表れる線状立体模様の意匠性が高められる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本実施形態の表皮材及を説明する図である。 図1の交差模様の拡大図であって膨出部(形態例1)を説明する図である。 図2のIII-III断面図である。 膨出部(形態例2)を有する交差模様を説明する図である。 図4のV-V断面図である。 膨出部(形態例3)を有する交差模様を説明する図である。 本実施形態の表皮材に係る製造方法を説明するための図である。 同じく、表皮材に係る製造方法を説明するための図である。 実施例1の表皮材を説明する図である。 実施例1の膨出部を有する交差模様を説明する図である。 図10のXI-XI断面を示す図である。 実施例2の表皮材を説明する図である。 実施例2の変形例の表皮材を説明する図である。 実施例3の表皮材を説明する図である。 図14のXV-XV断面を示す図である。 他の実施形態の表皮材の縦断面図である。 他の実施形態の表皮材の縦断面図である。 他の実施形態の表皮材の縦断面図である。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本実施形態の表皮材は、熱可塑性樹脂よりなる凹状の線状立体模様(11)を意匠面(12)に表わす表皮材(1)であって、線状立体模様(11)は、互いに交差する凹溝(21,22)を有しており、更に、凹溝(21,22)の交差によって凹溝(21,22)が重なり合う交差凹部(23)、交差凹部(23)に接続する一方の凹溝(21)の一対の接続凹部(211,212)及び交差凹部(23)に接続する他方の凹溝(22)の一対の接続凹部(221,222)の各凹部(23,211,212,221,222)を含む交差模様(111)を形成してなり、交差模様(111)を形成する少なくとも1つの凹部には、交差模様(111)の内部から意匠面(12)の側に向けて膨らむ膨出部(24)が形成されてなる(図1~3参照)。
(1.表皮材)
本実施形態の表皮材は、例えば、合成樹脂製、金属製、木製等の基材上に接着、熱融着等により接合された構造体として用いるためのものであり、自動車及び鉄道車両等の車両、航空機、船舶、建築、アパレル等の各種産業における表皮材が関わる分野に利用される。表皮材は、車両用内装材に用いるのであれば、ドアトリム、ルーフトリム、座席シート等の表面を装飾するために利用され、特に用途について限定されるものでない。
本実施形態の表皮材は、意匠面に凹状の線状立体模様を備える。
表皮材は、基材を被覆するための柔軟性を備え、且つ、凹状の線状立体模様を形成するために適した厚みを有する材料であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、凹形状の成形性の観点から、加熱による賦形が容易であれば、プラスチック、繊維等の形態や、ゴム弾性を備える性質の有無に関して特に限定されない。熱可塑性樹脂の好適例の一つとして、厚みを有し且つ柔軟性を備える発泡成形体を挙げることができる。また、発泡成形体がクッション性を有する場合は、深浅変化に富んだ凹深さを線状立体模様に容易に付与することができ、デザイン性の自由度が高まる点で好ましい。
また、表皮材は、熱可塑性樹脂を含みクッション性を有するクッション層と、クッション層の意匠面側に接合され、線状立体模様を意匠面に表わす表皮層と、を備える多層構造であってもよい。この場合、クッション層を形成する材料は、特に限定されず、表皮材に適した柔軟性を表わす公知材料を用いることができ、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン等の代表的な熱可塑性樹脂で成形される発泡成形体を挙げることができる。また、表皮層を形成する材料は、ポリ塩化ビニル、熱可塑性ポリオレフィン等のプラスチック、PVCレザー、天然皮革等の皮革、モケット、ジャージー、トリコット、織布、不織布等の繊維材料からなるシート状の部材である。
多層構造の表皮材は、熱可塑性樹脂よりなる線状溝を意匠面側の表面に有するクッション層と、クッション層の意匠面側に接合され、線状溝の凹状に追従する線状立体模様を意匠面に表わす表皮層と、を備える構成を有すれば好ましい。この場合、表皮材がクッション層を有するために、深浅変化に富んだ凹深さを表わす立体性を線状立体模様に容易に付与することができる。更に、線状溝を形成する層は、本来的にクッション層であり、表皮層はクッション層の線状溝に追従する形状を表わす結果、線状立体模様を形成する。つまり、クッション層の熱凹変形の痕跡が表皮材の表面に現れにくいので、線状立体模様の意匠性が高められる。
更に、クッション層は立体編み物であれば一層好ましく、このようなクッション層を有する表皮材は、冒頭に挙げた特許文献1(特開2017-213865号)に開示される。
具体的には、立体編み物は、表側編み地及び裏側編み地が結接糸で連結された構造であることができる。この場合、例えば、上記結接糸に熱可塑性樹脂繊維が少なくとも用いられ、凹状の熱変形部を形成する際に、結接糸が基布層の厚みが小さくなるように倒れ込んでいることができる。これにより、表皮材は、線状立体模様が一層深浅変化に富んだ凹深さを表わす立体性を有するようになり意匠性を向上できるとともに、更に十分なクッション性を得ることができる付加価値を生じる。なお、この立体編み物は、例えば、ダブルラッセル編み機又は丸編み機等の編機により編成されていることができる。
表皮材が多層構造の場合、表皮材の厚さは、1~8mm程度、表皮層の厚さは、0.1~1.5mm程度、クッション層の厚さは、1~8mm程度のものが一般的に用いられている。また、表皮材の用途等は特に限定されずに、所定の基材上に接着、熱融着等により接合された構造体として用いることができるが、この際、この表皮材と基材との間には、吸音層、弾性層等の他の機能層が介在していてもよい。
(2.線状立体模様)
本実施形態に係る線状立体模様は、反意匠面側に向けて凹む凹形状によって、立体的な筋状模様を意匠面に表わすものであり、細長い凹溝として表わされる。例えば図1~3に示すように、線状立体模様11は、複数本の凹溝によって形成され、これら複数本の凹溝21,22、201~204は、少なくとも1箇所で交差している。即ち、線状立体模様11は、一方の第1凹溝21と他方の第2凹溝22との交差によって両凹溝が重なり合う交差凹部23と、交差凹部23に接続する第1凹溝21の一対の第1接続凹部211,212と、交差凹部23に接続する第2凹溝22の一対の第2接続凹部221,222との各凹部23,211,212,221,222を含む交差模様111を形成する。
凹溝は、線状立体模様を形成する溝状の模様である。凹溝単独の実際的な例としては、例えば、特願2018-145425の図8の写真や図9に示した溝を挙げることができる。本実施形態の線状立体模様に係る凹溝単独での形態は、特願2018-145425の図8に示される1本直線状、ジグザグ直線状、又は図9に示されるU字状等のように、少なくとも一部分に直線状を含むような直線状の形態に限定されるものでない。例えば、凹溝単独での形態は、全体的に曲線状であってもよいし、また、蛇行する河流のような両端が開放された曲線状に限らず、流線形又は円~楕円形等のような閉じた曲線状の溝であってもよい。
一例として、本実施形態に係る凹溝は、特願2018-145425の図8に開示する凹溝であれば、溝幅が5~20mm程度、凹深さが1~3.5mm程度を有する。また、複数本の凹溝単独の形態は、それぞれ異なっていてもよい。また、凹溝の長さは交差模様を認識できる程度の長さを有すれば、特に限定されない。
交差模様は、線状立体模様のうち、凹溝が交差する部分の模様である。交差模様は、上記凹溝が交差し、各凹溝が重なり合う交差凹部と、交差凹部を介して何れか一方の凹溝の流れに沿って相対向する一対の接続凹部と、同様に他方の凹溝の流れに沿って相対向する一対の接続凹部との各凹部により形成される。接続凹部は、各凹溝の全長のうち、交差凹部に近接し交差凹部に接続するように配置する各凹溝の一部分である。接続凹部は、交差模様において、線状立体模様が立体交差するように見せるために役立ち得る凹部である。交差模様は、例えば図2に符号111を付して二点鎖線で囲った領域として示すように、中央の交差凹部(符号23)と、交差凹部の上下左右に接続する凹溝の接続凹部よりなる略十字状の模様を形成する。
本実施形態の線状立体模様は、単独で上記のような形態を有する凹溝が、少なくとも1箇所で他の凹溝と交差して上記の交差模様を表わす形態を備えれば、特に限定されない。
(3.膨出部)
膨出部は、交差模様の内部から意匠面の側に向けて膨らむ部分である。即ち、膨出部は、上記交差凹部、一方の一対の接続凹部及び他方の一対の接続凹部の各凹部のうち、少なくとも1つの凹部に形成されてなる。膨出部は、交差模様を形成する各凹部のうち、例えば2つ以上の凹部に跨がって膨出する形態であってもよいし、交差凹部を介して隔てた各凹部から膨出する形態であってもよい。即ち、各凹部のうち少なくとも一つ凹部の内部から意匠面の側に向けて膨らむ形態を備えれば、設けられる位置には特に限定されない。
(3-1.膨出部:形態例1)
膨出部としては、例えば図1に示すように、平面視で略円形であって断面視で山形(図3参照)に膨出し、交差凹部に形成されてなる形態例1が挙げられる。
この場合、膨出部24は、第1凹溝21と第2凹溝22とが交差する交差模様111のうち交差凹部23の内部に、意匠面12の側に向けて膨らむように形成される。交差模様111の領域のうち、交差凹部23を部分的に占める膨出部24が手前にあるように見え、線状立体模様11を視認する角度によって、第1凹溝21(又は第2凹溝22)が途中で高低差を生じているように見える。また、膨出部24が介在することによって、交差模様111の部位で第1凹溝(又は第2凹溝)の流れに途切れが生じても、線状立体模様11は、本来的に、連続する線模様(溝)として認識されやすい性質がある。このように、交差模様111の一部分が前面に配置するように見えることや、第1凹溝21(又は第2凹溝22)が表わす連続する線模様の性質を利用して、交差模様111の交差凹部23の部位で、一方の第1凹溝21(又は第2凹溝22)が他方の第2凹溝22(又は第1凹溝21)を乗り超えるように見える立体交差模様を表わすことができる。
(3-2.膨出部:形態例2)
また、膨出部の形態例2としては、例えば図4,5に示すように、膨出部24が、各凹溝21,22のうち一方の凹溝21の一対の接続凹部211,212、及び、一対の接続凹部211,212をそれぞれ交差凹部23の中心部に向けて張り出させるように延設して形成される例を挙げることができる。図4の例では、交差凹部23、及び、交差凹部23を介して相対向する他方の凹溝22の一対の接続凹部221,222は、それぞれ他方の凹溝22の流れF2に沿って円滑に連続する凹深さD2を有している。また、一方の凹溝21は、その流れF1に沿って、他方の凹溝22の凹深さD2よりも浅い凹深さD1を有しており、一対の接続凹部211,212も同様に凹深さD1に形成されている。
具体的には、交差凹部23を介して対向する一方の接続凹部211,212の端部は、一方の凹溝21の流れF1に沿って、接続凹部211,212の溝幅方向の略中央部を互いに突き合わせ、交差凹部23の領域に一対の山形の頂部を突き出すように張出し形成される張出部211s、212sを有する。また、交差凹部23は、張出部211s、212sの残余のくびれ部23sを形成する。
一方の一対の接続凹部211,212、及び、一対の接続凹部211,212と同じ凹深さD1で交差凹部23に張り出す張出部211s、212sの各凹部が、交差凹部23の底面より段差d12だけ相対的に高く形成されおり、膨出部24は、これら相対的に高い側の凹部自体であり、意匠面12の側に向けて、交差凹部(くびれ部23s)の底面から段差d12だけ膨らむように形成される。交差模様111のうち、交差模様111を部分的に占める上記各凹部よりなる膨出部24が、手前にあるように見え、一方の凹溝21が途中で(他方の凹溝22よりも)高くなっているように見える。また、膨出部24が介在することによって、交差模様111の部位で一方の凹溝21の流れF1に途切れが生じても、線状立体模様11を形成する一方の凹溝21は、本来的に、連続する線模様(溝)として認識されやすい性質がある。このように、交差模様111の一部分が手前に配置するように見えることや、一方の凹溝21が表わす連続する線模様の性質を利用して、交差模様111において、浅い方の凹溝21が深い方の凹溝22を乗り超えるように見える立体交差模様を効果的に表わすことができる。
なお、一方の一対の接続凹部211,212の凹深さD1が他方の一対の接続凹部221,222の凹深さD2より深く形成される場合も、同様に立体交差模様を表わすことができる。この場合、他方の一対の接続凹部221,222、及び、一対の接続凹部221,222と同じ凹深さD2である交差凹部23のくびれ部23s、の各凹部が、一方の一対の接続凹部211,212の底面から意匠面12の側に向けて段差分だけ膨らむ膨出部24が形成される。他方の一対の接続凹部221,222及びくびれ部23sの各凹部を占める膨出部24が、一方の一対の接続凹部211,212及び張出し部211s、212sよりも意匠面側にあり、且つ、他方の凹溝22が連続するように見える。従って、浅い方の他方の凹溝22が一方の凹溝21を乗り超えるように見える立体交差模様を表わすことができる。
(3-3.膨出部:形態例3)
また、形態例3の膨出部としては、例えば図6に示すように、膨出部24a,24a,24bは、第1凹溝21の流れF1を遮る方向であって、第2凹溝22の流れF2方向に沿って細長状に設けられ、且つ、膨出部24a,24a,24bの短手方向幅W1,W2,W3は、第1凹溝21又は第2凹溝22の縁部214,224の輪郭を、膨出部24a,24a,24bの頂部246、又は、各縁部214,224に連続する膨出部の裾野部247、を介して浮き出させる幅である例を挙げることができる。
具体的な第1例として、図6に示した膨出部24a,24aは、一対の第1接続凹部211,212及び交差凹部23の領域内部に設けられる。膨出部の細長状は、図示左の略長円形(短手方向幅W1)であっても、図示右の略長方形(短手方向幅W2)であっても構わない。また、膨出部24a,24aは、各第1接続凹部211,212の端縁211e,212e(図6に点線で示す)をなぞる位置に、一対設けられており、各端縁211e,212eと同程度の長さに形成されている。
この場合、膨出部24a,24aは、その頂部246、及び、第1接続凹部211,212の縁部を介して、第1凹溝21の縁部214の輪郭を浮き出させることができる。又は、膨出部24a,24aは、頂部246及び第2接続凹部221,222の縁部を介して、第2凹溝22の縁部224の輪郭を浮き出させるように形成され得る。
具体的な第2の例として、図6に示した膨出部24bは、一対の第2接続凹部221,222及び交差凹部23よりなる各凹部の領域内部であって、溝幅方向略中央部の位置にアスペクト比が大きい長方形状に設けられており、膨出部24bの長手方向の長さは、第2接続凹部221,222及び交差凹部23の各凹部に跨がる長さに形成されている。
この場合、膨出部24bは、その裾野部247、及び、第2接続凹部221,222の縁部を介して、第2凹溝22の縁部224の輪郭を浮き出させるように形成され得る。
このように、第1凹溝21の縁部214又は第2凹溝22の縁部224の輪郭が浮き出すように形成されることにより、浮き出す方の一方の凹溝が手前に配置するように、視認されやすくなる。従って、浮き出す方の一方の凹溝が他方の凹溝を乗り超えるように見える立体交差模様を表わすことができる。
(4.表皮材の製造方法)
上記表皮材に対して上記交差模様を表わす線状立体模様を賦形する製造方法は、特に限定されず、エンボス型を備えるエンボスロール機を用いながら加熱加圧する等の代表的な製法を採用できる。
ここで、特に、表皮材が弾性を有するクッション層を備える場合、上述したような交差模様を賦形することが難しくなる。表皮材材料をエンボス型で押さえても、クッション層の弾性に起因する圧縮回復力により、エンボス型面に沿った微細な凹凸形状をそのまま十分に転写するようなエンボス加工を行うことが難しい。そこで、冒頭に説明した、特願2018-145425に開示した製法により製造することで、凹深さが異なる凹溝を1度の加圧で設けたり、凹溝が交差する交差模様の凹部の更にその内部に膨出部を設けたりする微細な凹凸模様の賦形を可能にできる。具体的な製法は、当該特許文献に開示されるが、クッション層として立体編み物を用いた表皮材の製造方法を、以下、簡単に説明する。
例えば、図7に示すように、型開き状態のエンボス加工機5の弾性マット50上に素材6を基布層63が弾性マット50側となるように載置し、受け台7の方向にエンボス型8を下降させる。エンボス型8の各押圧リブ9a~9cは、図示の深さ方向に沿う縦断面を有するとともに、押圧リブ9bは、図11に示した線状立体模様11の凹溝22の流れF2に沿って紙面奥方向に延設されている(図示せず)。各押圧リブ9a~9cを押し圧すると、図8に示すように、エンボス型8と弾性マット50との間で素材6が加熱プレスされて、エンボス型8の各押圧リブ9a~9cが素材6の表皮層64を押圧することで、第1凹溝21と同じ凹深さD1の第1凹溝21(第1接続凹部211)、第2凹溝22と同じ凹深さD2の交差凹部23、第1凹溝21(第1接続凹部212)(以下、製造方法の説明において、これら各凹部を総じて、単に「各深浅凹部」とも記す)が形成される(図11参照)。
上記加熱プレスの際には、エンボス型8の表面8aが素材6の表面から離間した状態で、押圧リブ9a~9cは、その突出端が自然状態(即ち、無負荷状態)の弾性マット50の表面高さHよりも裏面寄り側に位置して素材6の表面側を押圧する。このとき、エンボス型8の押圧リブ9a~9cの異なる押圧高さ(即ち、押込量)に応じて弾性マット50による反発力に差が生じて素材6に適当な押圧力が付与される。そして、結接糸131cが倒れ込み、素材6の基布層63がクッション層13として成形されるとともに、凹状の熱変形部よりなる線状溝131dが形成され、素材6の表皮層64が線状溝131dの凹状に追従することで、表皮材1の表皮層14に複数の上記各深浅凹部が形成される。
上記各深浅凹部は、表皮材1の深さ方向に沿う縦断面において、底面14aと、底面14aの両側縁から立ち上がる側面14bと、を備えている(図11参照)。これら両側面14bは、各深浅凹部の開口側に向かって少しずつ互いに離れるような湾曲状に形成されている。なお、一例として、表皮材の縦断面において、隣り合う凹溝の凹深さの差は、約0.5~3mmである。
以下、更に図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
(a1)実施例1
実施例1の表皮材1は、図9に示す線状立体模様11を有しており、線状立体模様11は、図示において、表皮材1の意匠面12を、左上から右下の対角方向に走る第1凹溝21が3本と、左側開口の湾曲状に略上下方向に走る第2凹溝22が3本と、を有する。第2凹溝22は、第1凹溝21と同程度の溝幅を有している。線状立体模様11は、下側2本の第1凹溝21と、右側2本の第2凹溝22とが、2箇所において互いに交差する模様を形成する。更に、線状立体模様11は、残りの第1凹溝21が1箇所において第2凹溝22と互いに交差しており、合計5つの交差模様を表わしている。
図10,11は、上記5つの交差模様のうち図9で2点鎖線で囲んだ交差模様111を説明する図であり、図示のとおり、交差模様111は、第1及び第2の各凹溝21,22の交差によって、両凹溝21,22が重なり合う交差凹部23、交差凹部23に接続する第1凹溝21の一対の第1接続凹部211,212及び交差凹部23に接続する第2凹溝22の一対の第2接続凹部221,222の各凹部を含んでいる。
また、図9及び図11に示すように、実施例1の表皮材1に係る線状立体模様11のうち各第2凹溝22は、全長に亘って同じ凹深さD2を有しており、第1凹溝21は、全長に亘って同じ凹深さD1を有している。即ち、交差模様111において、交差凹部23及び交差凹部23を介して相対向する第2凹溝22の一対の第2接続凹部221,222は、それぞれ第2凹溝22の流れF2に沿って円滑に連続する凹深さD2を有している。一方、一対の第1接続凹部211,212は、一対の第2接続凹部221,222の凹深さD2と相違する凹深さD1を有している。従って、浅い方の一対の第1接続凹部211,212に連続する第1凹溝21が、深い方の一対の第2接続凹部221,222に連続する第2凹溝22よりも手前に配置するように見えやすくなっている。
ここで、実施例1の表皮材1の膨出部241,241は、第1凹溝21の流れF1を遮る方向であって、第2凹溝22の流れF2に沿って細長状に設けられている。即ち、膨出部241,241は、交差模様111を形成する各凹部のうち一対の第1接続凹部211,212においてその端縁211e,212e側に寄せた位置に、それぞれ一対形成されており、各第1接続凹部211,212の内部から意匠面12の側に向けて、平面視で角が丸い略長方体状に設けられている。膨出部241,241の長辺の長さは、各第1接続凹部211,212の端縁211e,212e長さに応じる長さに、その短辺の長さ(短手方向幅W)は、第1凹溝21と同幅の第2凹溝22幅の1/3程度の幅に、その頂部246のうち天頂面は、意匠面12と連続するに面一面になるように、形成されている。このように、膨出部241,241は、その頂部246を介して、第1凹溝21の縁部214の輪郭を浮き出させるために適した膨らみを形成している。
また、表皮材1は、熱可塑性樹脂よりなる線状溝131dを意匠面側12Sの表面に有するクッション層13と、クッション層13の意匠面側12Sに接着剤で接着され、線状溝131dの凹状に追従する線状立体模様11を意匠面12に表わす表皮層14と、を備える。クッション層13は、立体編み物よりなる。
このクッション層13は、その厚みが約4mmである。また、表皮層14は、その厚みが約0.4mmである。また、立体編み物(クッション層13)は、ダブルラッセル編み機(又は丸編み機)を用いて編成されている。この立体編み物は、表側編み地及び裏側編み地が結接糸131cで連結された構造である。この表側編み地は、その構成糸がポリエステル系樹脂繊維であり、その厚みが約0.4mmである。また、裏側編み地は、その構成糸がポリエステル系樹脂繊維であり、その厚みが約0.4mmである。更に、結接糸131cは、ポリエステル系樹脂繊維である。実施例1の表皮材1では、各凹溝の幅(膨出部の長手方向長さ)は、約2~20mm、好ましくは3~10mm程度である。膨出部の短手方向幅Wは、約1~8mm好ましくは2~5mm程度である。
(a2)実施例1の効果
実施例1の表皮材1では、一対の膨出部241,241が、交差模様111の各第1接続凹部211,212の端縁211e,212eに、細長い直方体状に形成され、且つ、その短手方向幅Wが、膨出部24の頂部246を介して、第1凹溝21の縁部214の輪郭を浮き出させるのに適した幅に形成される(図6参照)。換言すると、一対の膨出部241,241は、第1接続凹部211,212の端縁211e,212eを介して縁部214の輪郭を浮き出させるのに適した膨らみを形成し、第1凹溝21が手前に配置するように視認されやすくなる。更に、一対の第1接続凹部211,212の凹深さD1と、交差凹部23及び一対の第2接続凹部221,222の凹深さD2とが相違するので、交差凹部23において段差d12を生じ、浅い第1凹溝21と深い第2凹溝22の高低差がより明らかに見える。従って、浅い第1凹溝21が深い第2凹溝22の上を乗り越えて交差するような立体交差を交差模様111において一層効果的に見せることができる。
なお、実施例1では、第2凹溝22の流れに沿って円滑に連続する交差凹部23及び一対の第2接続凹部221,222が凹深さD2を有しており、凹深さD2が、一対の第1接続凹部211,212の凹深さD1よりも、深い場合について説明したが、深浅が逆でも構わない。この場合、浅い方(D2)の一対の第2接続凹部221,222が、深い方(D1)の一対の第1接続凹部211,212よりも手前に配置するように見えやすくなる。一対の膨出部241,241は、第2接続凹部221,222の縁部の輪郭を浮き出させるのに適した膨らみを形成し、第2凹溝22の縁部224の輪郭が強調されるため、第2凹溝22が、第1凹溝21よりも手前に配置するように、一層視認されやすくなる。
また、なお、ヒトの目を介した認識や思い込みに関する理論として、重なる2つの図形では面積の小さい方が手前に見える性質や、線状図形は一本線状に連続して認識され易い性質を有することが知られている。実施例1では、交差模様111(面積大)の一部分である第1接続凹部211,212に形成された一対の膨出部241,241(面積小)が前面に配置するように見える。また、第1凹溝21(又は他方の凹溝22)が表わす連続する線模様の性質を利用して、第1接続凹部211,212の端縁211e,212e(第2接続凹部221,222の縁部の延長)の部位で、第1凹溝21(又は第2凹溝22)が第2凹溝22(又は第1凹溝21)を乗り超えるように見える立体交差模様を効果的に表わすことができる。
また、本実施例1では、表皮材1がクッション層13を有するので、線状立体模様11は、深浅変化に富んだ立体的な凹状を容易に表現できる。また、線状溝131dを形成する層は、本来的にクッション層13であり、表皮層14はクッション層13の線状溝131dに追従する形状を表わす結果、線状立体模様11を形成する。熱可塑性樹脂が熱変形した結果形成されるテカリ等の加熱加圧の痕跡が意匠面12に現れることが抑制されるので、線状立体模様11の意匠性が高められる。
(b1)実施例2
実施例2の表皮材1は、図12に示す線状立体模様11を有しており、5箇所の各交差模様111に白丸又は黒丸を補助的に付して図示したとおり、各第1凹溝21は、第1凹溝21の流れF1に沿って隣接する交差模様111毎に、異なる凹深さD1s,D1dを有する点で異なる。また、第2凹溝22は、第2凹溝22の流れF2に沿って隣接する交差模様111毎に、異なる凹深さD2s,D2dを有する点で異なる。なお、白丸は最浅の凹深さを、黒丸は最深の凹深さを示す。
具体的には、交差模様111a,111bは、一本状の第1凹溝21に対して、2箇所に形成されており、第1凹溝21は、第1凹溝21の流れF1に沿って相隣接する一方側交差模様111aと他方側交差模様111bとの間において、凹深さを徐変して形成されている。第1凹溝21は、一方側交差模様111aにおける一対の第1接続凹部211a,212aが、最浅D1sであり、且つ、他方側交差模様111bにおける一対の第1接続凹部211b,212bが、最深D1dの凹深さになるように徐変されている。しかも、第2凹溝22は、一方側交差模様111aにおける一対の第2接続凹部221a,222aが、最深D2dであり、且つ、他方側交差模様111bにおける一対の第2接続凹部221b,222bが、最浅D2sである、それぞれの凹深さを有している。
また、交差模様111a,111cは、一本状の第2凹溝22に対しても、第1凹溝21同様に、少なくとも2箇所に形成されており、第2凹溝22は、第2凹溝22の流れF2に沿って相隣接する一方側交差模様111aと他方側交差模様111cとの間において、凹深さを徐変して形成されている。第2凹溝22は、一方側交差模様111aにおける一対の第2接続凹部221a,222aが、最深D2dであり、且つ、他方側交差模様111cにおける第2接続凹部221c,222cが、最浅D2sの凹深さになるように徐変されている。しかも、第1凹溝21は、一方側交差模様111aにおける一対の第1接続凹部211a,212aが、最浅D1sであり、且つ、他方側交差模様111cにおける一対の第1接続凹部211c,212cが、最深D1dである、それぞれの凹深さを有している。
なお、このように凹深さが徐変する凹溝の成形方法に関しては、特願2018-145425の[0043]に記載されており、凹深さが徐変する凹溝は、(D1d~D1s、或いはD2d~D2sに対応する)斜面を有するエンボス形(38)を用いて形成可能であり、具体的に、当該出願の図5又は図6に開示されている。
また、実施例2の表皮材1の膨出部は、交差模様111を形成する各凹部のうち一方の一対の接続凹部に一対形成される点で、実施例1と同様であるが、凹溝の流れに沿って隣接する交差模様毎に交互に、一方の凹溝の一対の接続凹部か又は他方の凹溝の一対の接続凹部のどちらかに形成される点で異なっている。
具体的には、第1凹溝21の流れに沿って相隣接する一方側及び他方側の各交差模様111a,111bのうち、一方側交差模様111aでは、膨出部242a,242aが、一対の第1接続凹部211a,212aに形成され、他方側交差模様111bでは、膨出部242b,242bが、一対の第2接続凹部221b,222bに形成されている。即ち、一方側交差模様と他方側交差模様とで、膨出部の形成位置が、第1接続凹部又は第2接続凹部22に、交互に形成されている。
(b2)実施例2の効果
実施例2の表皮材では、一方側交差模様111aにおいて、第1接続凹部211a,212aが最浅D1sであり、第2接続凹部221a,222aが最深D2dである場合、一方側交差模様111aは、より明確に、第2凹溝22が第1凹溝21の下を潜るように表わされる。しかも、膨出部242a,242aが、第1接続凹部211a,212aに形成されているので、第1接続凹部211a,212aの端縁の輪郭が浮き上がり膨らむように設けられ、第1凹溝と第2凹溝の高低差が明確に表れている。
また、他方側交差模様111bにおいて、第1接続凹部211b、212bが最深D1dであり、第2接続凹部221b,222bが最浅D2sである場合、他方側交差模様111bは、より明確に、第1凹溝21が第2凹溝22の下を潜るように表わされる。しかも、膨出部242b,242bが、第2接続凹部221b,222bに形成されているので、第2接続凹部221b,222bの端縁の輪郭が浮き上がり膨らむように設けられ、第1凹溝と第2凹溝の高低差が明確に表れている。
このように、隣り合う交差模様111a,111b間で、或いは隣り合う交差模様111a,111c間でも同様に、第1及び第2の両凹溝21,22の流れに沿って、第1凹溝21のアップ及びダウン現象を表わすことができる。これにより、線状立体模様11に、新たに高低差の変化を与えることができ、表皮材1の意匠性が一層高められる。
(b3)実施例2実施例の変形例
また、実施例2の変形例として、表皮材1は、図13に示す線状立体模様11を有していてもよい。第1凹溝21及び第2凹溝22はそれぞれS字状に蛇行しながら、鎖状に交差するように形成され、交差模様111は、鎖の繋ぎ部の箇所に沿って、複数形成されている。
変形例の表皮材では、鎖状の線状立体模様11の一方側交差模様111aにおいて、上記実施例2と同様に、第1接続凹部211a,212aが最深D1dであり、第2接続凹部221a,222aが最浅D2sであり、しかも、膨出部242a,242aが、第1接続凹部211a,212aに形成されている。また、他方側交差模様111bにおいて、第1接続凹部211b,212bが最浅D1sであり、第2接続凹部221b,222bが最深D2dであり、しかも、膨出部242b,242bが、第2接続凹部221b,222bに形成されている。
このように、隣り合う交差模様111a,111b間で、第1及び第2の両凹溝21,22の流れF1,F2に沿って、第1凹溝21及び第2凹溝のアップ及びダウン現象を表わすことができるとともに、線状立体模様11の線模様に、新たに、鎖形の変化を与えることができ、表皮材1の意匠性が一層高められる。
(c1)実施例3
実施例3の表皮材1は、図14,15に示す線状立体模様11を有しており、第1凹溝21及び第2凹溝22が、同じ凹深さDを有する点で、実施例1,2と異なる。また、膨出部243の形態が、第1凹溝又は第2の各凹溝のうち、一方の第2凹溝22の全長に沿って、第2凹溝22の底部に形成される点で、実施例1,2と異なっている。
膨出部は224は、第2凹溝22の縁部224の輪郭を、その縁部224に連続する膨出部243の裾野部247を介して浮き出させるものであって、一対の第2接続凹部221,222を含む第2凹溝22の底部223に形成されている点で異なる。即ち、膨出部243は、交差模様111を超えて第2凹溝22の全長に沿って延設されている点で異なっている。
膨出部243の形態は、第2凹溝22の底部223から意匠面12の側に向けて盛り上がる凸条であり、交差模様111に含まれる交差凹部23及び第2接続凹部221,222の各凹部の底部においても、膨らみを形成する。膨出部243は、凸条の長さが、第2凹溝22の全長に、その頂部246の高さが、第2凹溝の凹深さDの1/2程度の高さに、形成されている。膨出部243は、第2凹溝22の溝幅方向中央部の位置で、底部223から意匠面12の側に向けて盛り上がり、その短手方向幅Wは、第2凹溝22幅の1/2程度の幅に形成されている。短手方向幅Wは、膨出部243が頂部246から裾野部247を介して第2凹溝22の両縁部224,224になだらかに連続する凸形状をなすために適した幅に形成されている。つまり、膨出部243は、第2凹溝22の縁部224の輪郭を浮き出させるために適した膨らみを形成している。
(c2)実施例3の効果
膨出部243が、交差凹部23及び第2接続凹部221,222の底部223に形成される凸条であって、溝幅方向略中央部に形成されているので、膨出部243の裾野部247を介して、第2凹溝22の縁部224の輪郭を浮き出させるのに適した膨らみを交差模様111に形成できる。しかも、膨出部243が、交差模様111を超えて第2凹溝22に沿って延設されるので、第2凹溝22の両縁部224,224の輪郭を、交差模様111の領域に止まらず全長に亘って強調できる。これにより、立体交差模様の意匠性が一層高められる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例及び実施例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態及び例において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。クッション層の参考例として、例えば、織物、不織布等の布帛や、発泡シート等を挙げることができる。この場合の模式図を図16(発泡シート131eの場合)及び図17(不織布131fの場合)に示す。図16,17は、何れも本実施例の図11の形状に対応する断面図である。これらにおいても、立体編み物の代わりに、発泡シート又は不織布を適用すること以外の全ての前記説明(図を含む)は、これらの発泡シート又は不織布、更には織物等に適用するものとする。例えば、同様に図18に示すように、表皮材はクッション層を備える多層構造だけでなく、樹脂層単層131Rで成形される場合を挙げることができる。これらにおいても、クッション層を有する場合と同様に、優れた美観をもつ、凹部から構成される立体模様からなる立体意匠を備えるとともにデザイン自由度が非常に高い表皮材を提供することができるし、立体編み物と同様の作用効果を得ることができる。
1:表皮材
11:線状立体模様
12:意匠面
13:クッション層
14:表皮層
21,22:凹溝(第1凹溝,第2凹溝)
23:交差凹部
24,24a,24b,241,242,242a,242b,243:膨出部
111,111a,111b,111c:交差模様(一方側交差模様,他方側交差模様)
211,211a,211b,211c,212,212a,212b,212c:接続凹部(第1接続凹部)
221,221a,221b,221c,222,222a,222b,222c:接続凹部(第2接続凹部)

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂の凹変形よりなる凹状の線状立体模様を意匠面に表わす表皮材であって、
    前記線状立体模様は、互いに交差する凹溝を有しており、更に、
    前記凹溝の交差によって前記凹溝が重なり合う交差凹部、前記交差凹部に接続する一方の前記凹溝の一対の接続凹部及び前記交差凹部に接続する他方の前記凹溝の一対の接続凹部の各凹部を含む交差模様を形成してなり、
    前記交差模様を形成する少なくとも1つの凹部には、前記交差模様の内部から前記意匠面の側に向けて膨らむ膨出部が形成されてなり、
    一方の前記凹溝は、第1凹溝であり、
    他方の前記凹溝は、第2凹溝であり、
    前記膨出部は、前記第1凹溝の流れを遮る方向であって、前記第2凹溝の流れの方向に沿って細長状に設けられており、且つ、
    前記第1凹溝又は前記第2凹溝の縁部の輪郭を、前記膨出部の頂部、又は、前記縁部に連続する前記膨出部の裾野部、を介して浮き出させる短手方向幅を有する表皮材。
  2. 前記膨出部は、前記意匠面に連続する前記膨出部の頂部を介して前記第1凹溝又は前記第2凹溝の前記縁部の輪郭を浮き出させるものであって、前記第1凹溝の一対の第1接続凹部に一対形成されており、
    前記交差凹部及び前記交差凹部を介して相対向する前記第2凹溝の一対の第2接続凹部は、それぞれ前記第2凹溝の流れに沿って円滑に連続する凹深さを有しており、
    一対の前記第1接続凹部は、一対の前記第2接続凹部の前記凹深さと相違する凹深さを有する請求項に記載の表皮材。
  3. 前記交差模様は、一本状の前記第1凹溝及び/又は前記第2凹溝に対して、複数形成されてなり、
    前記第1凹溝及び/又は前記第2凹溝は、
    複数の前記交差模様のうち相隣接する一方側交差模様と他方側交差模様との間において、前記凹深さを徐変してなり、更に、
    一方側交差模様における前記第1接続凹部が、最深であり、且つ、他方側交差模様における前記第1接続凹部が、最浅であり、しかも、
    一方側交差模様における前記第2接続凹部が、最浅であり、且つ、他方側交差模様における前記第2接続凹部が、最深である、それぞれの前記凹深さを有する請求項に記載の表皮材。
  4. 前記膨出部は、前記第1凹溝又は前記第2凹溝の何れか一方の凹溝の全長に亘って、一方の前記凹溝の底部に形成される凸条よりなる請求項に記載の表皮材。
  5. 前記表皮材は、前記熱可塑性樹脂よりなる線状溝を意匠面側の表面に有するクッション層と、前記クッション層の前記意匠面側に接合され、前記線状溝の凹状に追従する前記線状立体模様を前記意匠面に表わす表皮層と、を備える請求項1乃至の何れか一項に記載の表皮材。
  6. 前記クッション層は、立体編み物よりなる請求項に記載の表皮材。
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