JP6452166B2 - 回転電機およびその製造方法 - Google Patents
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Description
回転電機には、熱媒体を用いてステータ等を冷却する機構を採用することができる(例えば特許文献1,2を参照)。
特許文献1には、ステータコアに冷却油が流れる油路をなす貫通孔が形成された回転電機が開示されている。特許文献2には、ステータの外周面とモータケースの内周面との間に冷却液が循環可能な液冷モータが開示されている。
また、積層鋼板に熱媒体流通孔が形成されているため、積層鋼板を内部から効率よく冷却することができる。
[回転電機]
図1は、実施形態の回転電機1の分解斜視図である。図2は、回転電機1の一部の構造を示す断面図である。図3は、ステータコア4の構造を示す断面図であり、図2に示すI部分の拡大図である。図4は、環状板11の平面図である。図5は、環状板11および接着剤層9の平面図である。図6は、第1流路形成部材6Aの平面図である。図7は、第2流路形成部材6Bの平面図である。図8(A)は、回転電機1のサイドカバー32を外した状態の平面図である。図8(B)は、回転電機1のサイドカバー32および流路形成部材6を外した状態の平面図である。図8(C)は、回転電機1のサイドカバー32およびコイル5を外した状態の平面図である。
平面視とは、例えば環状板11の厚さ方向に見ることをいう。中心軸C1は環状板11およびステータコア4の中心軸であり、環状板11の厚さ方向に沿う。
ステータ2は、ステータコア4と、コイル5と、流路形成部材6と、シール部材7とを有する。
なお、図1等には示されていないが、回転電機1は、ステータ2の内部にロータを有する。
図4および図5に示すように、環状板11は、中央に開口部10を有する鋼板(例えば電磁鋼板)からなる。環状板11は、環状のバックヨーク13と、バックヨーク13の内周縁13aから突出するティース14と、を有する。
バックヨーク13には、複数の孔部16が形成されている。孔部16は、例えば平面視において円形状とされている(図5参照)。複数の孔部16は、バックヨーク13の周方向に間隔をおいて形成され、例えばバックヨーク13の周方向に等間隔に形成されている。複数の孔部16は、例えば環状板11の中心軸C1に対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称位置に形成されている。
これによって、孔部16がスロット15から離れて形成されるため、孔部16および熱媒体23を原因とする磁束の流れの遮断が起こりにくくなる。よって、回転電機1の性能低下を回避できる。
これによって、孔部16および熱媒体23を原因とする磁束の流れの遮断が起こりにくくなる。よって、回転電機1の性能低下を回避できる。
図2、図3および図5に示すように、熱媒体流通孔18は、隣り合う環状板11の孔部16どうしが環状板11の積層方向に連通することによって形成されている。熱媒体流通孔18は、ステータコア4を環状板11の厚さ方向に貫通している。
ステータコア4では、環状板11に孔部16が複数形成されているため、環状板11の周方向の広範囲にわたってステータコア4を冷却できる。そのため、ステータコア4の冷却効率を高めることができる。
隣り合うティース14,14間には、コイル5を保持する複数のスロット15(コイル保持部)が確保されている。スロット15は、バックヨーク13の径方向内方に位置する。
接着剤層9は接着剤8からなる。接着剤8としては、嫌気性接着剤、加熱硬化型接着剤、二液反応硬化型接着剤などが使用できる。特に、嫌気性接着剤は、高い接着強度が得られるため好ましい。嫌気性接着剤としては、常温硬化性のものが使用できる。接着剤8は絶縁性材料であることが好ましい。嫌気性接着剤は、金属イオンの存在下で空気が遮断されると重合が進行し硬化する接着剤であって、例えばアクリル系の接着剤(例えばヒドロキシアルキルメタクリレート、ウレタンメタクリレート等のジメタクリレート類、エポキシアクリレートなどを含むもの)が使用できる。
接着剤層9が孔部16の内周縁16a(熱媒体流通孔18の内周縁18a)の少なくとも一部を含むように形成されていると、接着剤層9が内周縁16aよりも外周側に位置する場合に比べて、環状板11,11間に流れ込む熱媒体23の量を少なくすることができる。
「孔部16の周りに連続する」とは、例えば、平面視において、接着剤層が孔部16の半周以上を囲むような長さを有することである。例えば、平面視において、接着剤層が、中心C2(図5参照)と接着剤層によって形成される扇形の中心角が180°以上となるような長さを有する場合には、その接着剤層は、孔部16の周りに連続する形状であるといえる。なお、中心C2は平面視における孔部16の中心である。
図2に示すように、流路形成部材6,6は、ステータコア4の一方および他方の端部4a,4a(環状板11の積層方向の端部)にそれぞれ設けられている。流路形成部材6,6は、それぞれ基部21の内面21bをステータコア4に向けて配置されている。
図2に示すように、基部21の内面21bには、シール部材7(第1シール部材7A)の一部を収容する第1環状凹部26が形成されている。図6および図7に示すように、第1環状凹部26は、例えば中心軸C1を中心とする円形状とされている。
流路形成部材6の環状凸部22の外周面22aには、シール部材7(第2シール部材7B)の一部を収容する第2環状凹部27が形成されている。第2環状凹部27は、例えば中心軸C1を中心とする円形状とされている。
流路形成部材6は、ステータコア4とコイル5との間に介在してステータコア4とコイル5とを絶縁させる。そのため、流路形成部材6は、導入流路24および導出流路25を形成する機能と、ステータコア4とコイル5とを絶縁させる機能を併せ持つ。
第1シール部材7Aは、流路形成部材6の基部21の内面21b(詳しくは第1環状凹部26の内面)と、ステータコア4の端面4bとに当接して、内面21bと端面4bとの隙間を液密に閉止する。
第2シール部材7Bは、流路形成部材6の環状凸部22の外周面22a(詳しくは第2環状凹部27の内面)と、ケース3のハウジング31の内周面31aとに当接して、外周面22aと内周面31aとの隙間を液密に閉止する。
図2に示すように、ハウジング31には、流路形成部材6の導入流路24に連通する導入流路33と、導出流路25に連通する導出流路34とが形成されている。導入流路33および導出流路34は、ハウジング31を厚さ方向に貫通する貫通孔である。
次に、回転電機1を製造する場合を例として、第1実施形態の回転電機の製造方法を説明する。
本実施形態の製造方法では、次に示す工程P1〜P3によってステータコア4を作製する。
図9(A)に示すように、電磁鋼板などからなる鋼板41(鋼板材)を用意する。例えば打ち抜き用金型42を用いて鋼板41を打ち抜き加工することによって、図9(B)に示すように、鋼板41に孔部16を形成する。これによって、孔部16を有する環状板11(図4参照)を得る。
図10(A)に示すように、接着剤8を供給するノズル等の供給部43(塗布手段)を備えた製造装置を使用する。
図10(A)および図10(B)に示すように、供給部43を用いて環状板11(11A)の表面11aに接着剤8を塗布する。
接着剤8の塗布形状は、例えば、積層工程P3において環状板11(11B)と環状板11(11A)とを接着させたときに、接着剤8(接着剤層9)が孔部16を囲む環状となるような形状とされる。
接着剤8は、孔部16の内面にも付着し、接着剤層(図示略)を形成するため、熱媒体23の漏出防止効果を高めることができる。
図11(A)および図11(B)に示すように、接着剤8を塗布した環状板11(11A)(他の鋼板)の表面11aに環状板11(11B)を積層する。この際、環状板11,11(11A,11B)の孔部16,16の周方向位置(中心軸C1周りの位置)を一致させる。
環状板11(11B)には、環状板11(11A)に向かってプレス圧を加えてもよい。これによって、接着剤8(接着剤層9)は環状板11(11B)に隙間なく密着する。
図3に示すように、接着剤層9は、隣り合う環状板11,11の隙間に接着剤8が充てんされて形成される。そのため、接着剤層9は孔部16の周りに連続して、環状板11,11の隙間を液密に閉止する。
これによって、複数の環状板11からなる積層鋼板12であるステータコア4(図1等を参照)を得る。
回転電機1は、ステータコア4に熱媒体流通孔18が形成されているため、ステータコア4を内部から効率よく冷却することができる。
また、回転電機1は、接着剤層9が環状に形成されているため、接着剤層を熱媒体流通孔以外の全域に形成する場合に比べ、接着剤8の塗布量を少なくし、製造コストを抑制することができる。
また、第2シール部材7Bによって、熱媒体流通孔18内の熱媒体23が、流路形成部材6の外面側に漏出するのを防ぎ、熱媒体23の漏出を原因とする損失を抑制できる。
第1実施形態の製造方法では、孔部16を形成した環状板11を積層することによってステータコア4を作製するが、鋼板を積層した後に、鋼板に孔部16を形成してもよい。以下、第2実施形態の回転電機の製造方法を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
図12(A)および図12(B)に示すように、供給部43を用いて接着剤8を滴下することによって、鋼板41の表面41aに接着剤8を供給する。
図13(A)および図13(B)に示すように、接着剤8を供給した鋼板41(41A)(他の鋼板)の表面41aに、鋼板41(41B)を積層する。これによって、表面41aの接着剤8は鋼板41(41A)と鋼板41(41B)との間で押圧されて展開し、接着剤層49となる。
図14(A)および図14(B)に示すように、例えば穿孔工具44(例えばドリル等)を用いて、複数の鋼板41に孔部16(熱媒体流通孔18)を形成する。
孔部16は、接着剤層9が孔部16を囲む環状となるように形成される。接着剤層9は、孔部16の周囲の少なくとも一部に形成される形状(例えば、接着剤層が孔部16を囲む環の少なくとも一部であって孔部16の周りに連続する形状)であってもよい。
図15は、環状板11の第1変形例である環状板51を示す平面図である。環状板51は、孔部16に代えて孔部56を有すること以外は、図4に示す環状板11と同じ構成である。
図16は、環状板11の第2変形例である環状板61を示す平面図である。環状板61は、孔部16に代えて孔部66を有すること以外は、図4に示す環状板11と同じ構成である。
複数の孔部56は、中心軸C1に対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称となる位置にあることが好ましい。複数の孔部56の周方向の長さは互いに同じであることが好ましい。同様に、複数の孔部66は、中心軸C1に対してn回対称(nは2以上の整数)の回転対称となる位置にあることが好ましい。複数の孔部66の周方向の長さは互いに同じであることが好ましい。
図5に示す接着剤層9は、平面視において孔部16の内周縁16aを含むように形成されているが、接着剤層は、平面視において孔部16の内周縁16aを含まない形状であってもよい。
図17は、接着剤層9の第1変形例である接着剤層79および環状板11を示す平面図である。
接着剤層79は、孔部16の内周縁16aから外周側に離れた位置において孔部16を囲む円環状に形成されている。
接着剤層79は、図5に示す接着剤層9と同様に、熱媒体流通孔18内の熱媒体23の漏出を防ぐことができる。
図5に示す接着剤層9は、平面視において孔部16の内周縁16aを囲む環状に形成されているが、接着剤層は環状でなくてもよい。
図18は、接着剤層9の第2変形例である接着剤層89および環状板11を示す平面図である。
接着剤層89は、平面視において孔部16の周りに連続する円弧状とされている。接着剤層89は、孔部16を囲む環の一部に相当する形状であり、孔部16の半周以上(例えば半周を越える周方向範囲)を囲む。
接着剤層89は、孔部16の周囲において環状板11,11の隙間を液密に閉止し、熱媒体流通孔18内の熱媒体23の漏出を抑制することができる。
例えば回転電機1が中心軸C1を水平にして設置される場合には、接着剤層89は、少なくとも一部(例えば長さ方向の中央)が孔部16に対して下方に位置するように形成してもよい。これによって、重力に従う熱媒体23の流れを阻止しやすくなる。
例えば、図5等に示すように、実施形態の回転電機1では、積層鋼板12からなるステータコア4に接着剤層9が適用されているが、図1等には示されていないロータを積層鋼板で構成し、このロータに、図5に示す接着剤層9と同様の構造の接着剤層を適用してもよい。また、ロータに図17、図18に示す接着剤層79,89を採用してもよい。
Claims (7)
- 孔部を有する複数の鋼板が積層された積層鋼板と、
前記積層鋼板の積層方向の一方および他方の端部にそれぞれ設けられた流路形成部材と、
前記流路形成部材と前記積層鋼板との隙間を液密に閉止するシール部材と、
前記積層鋼板および前記流路形成部材に巻き付けられるコイルと、を有し、
前記積層鋼板には、熱媒体が流通可能な熱媒体流通孔が前記鋼板の厚さ方向に貫通して形成され、
前記熱媒体流通孔は、隣り合う前記複数の鋼板の前記孔部どうしが前記鋼板の積層方向に連通して形成され、
隣り合う前記鋼板は、接着剤層によって固定され、
前記接着剤層は、前記鋼板の厚さ方向から見て、前記孔部を半周以上囲む形状とされ、
前記積層鋼板は、ステータコアであり、
前記一方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔に導く導入流路が形成され、
前記他方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔から導出する導出流路が形成され、
前記流路形成部材は、絶縁性材料からなることを特徴とする回転電機。 - 前記接着剤層は、前記鋼板の厚さ方向から見て、前記孔部の内周縁の少なくとも一部を含むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
- 前記孔部は、複数形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機。
- 前記鋼板は、環状のバックヨークと、前記バックヨークの径方向の内方にコイルを保持するコイル保持部と、を有し、
前記孔部は、前記バックヨークの外周縁に近接して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の回転電機。 - 前記バックヨークの内周縁から径方向内方に突出し、前記バックヨークの周方向に間隔をおいて形成された複数のティースをさらに備え、
前記コイル保持部は、隣り合う前記ティースの間に確保され、
前記孔部の少なくとも一部は、前記バックヨークの周方向の位置が前記ティースと一致することを特徴とする請求項4に記載の回転電機。 - 孔部を有する鋼板の表面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記接着剤が塗布された鋼板と他の鋼板とを積層し、前記接着剤からなる接着剤層により固定することによって積層鋼板を得る積層工程と、
前記積層鋼板の積層方向の一方および他方の端部にそれぞれ流路形成部材を設けるとともに、前記流路形成部材と前記積層鋼板との間に、前記流路形成部材と前記積層鋼板との隙間を液密に閉止するシール部材を設ける工程と、
前記積層鋼板および前記流路形成部材に巻き付けられるコイルを設ける工程と、を有し、
前記塗布工程では、前記積層工程において前記接着剤層が前記鋼板の厚さ方向から見て前記孔部を半周以上囲む形状となるように前記接着剤を塗布し、
前記積層工程では、前記積層鋼板に、熱媒体が流通可能な熱媒体流通孔が、前記鋼板の厚さ方向に貫通して形成されるように前記鋼板を積層し、
前記熱媒体流通孔は、隣り合う前記複数の鋼板の前記孔部どうしが前記鋼板の積層方向に連通して形成され、
前記積層鋼板は、ステータコアであり、
前記一方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔に導く導入流路が形成され、
前記他方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔から導出する導出流路が形成され、
前記流路形成部材は、絶縁性材料からなることを特徴とする回転電機の製造方法。 - 鋼板の表面に接着剤を塗布する塗布工程と、
前記接着剤が塗布された鋼板と他の鋼板とを積層し、前記接着剤からなる接着剤層により固定することによって積層鋼板を得る積層工程と、
前記積層鋼板に、熱媒体が流通可能な熱媒体流通孔を、前記鋼板の厚さ方向に貫通して形成する孔開け工程と、
前記積層鋼板の積層方向の一方および他方の端部にそれぞれ流路形成部材を設けるとともに、前記流路形成部材と前記積層鋼板との間に、前記流路形成部材と前記積層鋼板との隙間を液密に閉止するシール部材を設ける工程と、
前記積層鋼板および前記流路形成部材に巻き付けられるコイルを設ける工程と、を有し、
前記熱媒体流通孔は、隣り合う前記複数の鋼板に形成された孔部どうしが前記鋼板の積層方向に連通して形成され、
前記孔開け工程では、前記接着剤層が前記鋼板の厚さ方向から見て前記孔部を半周以上囲む形状となるように前記熱媒体流通孔を形成し、
前記積層鋼板は、ステータコアであり、
前記一方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔に導く導入流路が形成され、
前記他方の端部に設けられた前記流路形成部材に、前記熱媒体を前記熱媒体流通孔から導出する導出流路が形成され、
前記流路形成部材は、絶縁性材料からなることを特徴とする回転電機の製造方法。
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JP2015033299A (ja) | ステータコイルの冷却構造及びステータコイルの冷却構造の製造方法 |
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