JP6681927B2 - 回転電機のステータコア - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機のステータコアに関し、特に、積層された複数の電磁鋼板から構成される回転電機のステータコアに関する。
従来から、複数の電磁鋼板が積層されることにより構成された回転電機のステータコアが知られている。このようなステータコアにおいて、積層された複数の電磁鋼板を固定するための手段として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された技術が知られている。
特許文献1には、電磁鋼板を順次積層してカシメ部をプレス機でカシメ固定することにより、積層された複数の電磁鋼板を固定する回転電機のステータコアが開示されている。
特許文献2には、複数の環状板を積層させた積層鋼板であって、環状板(例えば電磁鋼板)のバックヨーク部及びティース部に形成された接着剤からなる接着剤層によって、隣り合う環状板が互いに接着され、固定されている回転電機のステータコアが開示されている。
特開2007−159300号公報 特開2017−204980号公報
しかしながら、特許文献1のような、カシメ固定することにより複数の電磁鋼板を固定する回転電機のステータコアでは、カシメ部における電磁鋼板間の導通によって、損失が生じる場合があった。
また、特許文献2のような、バックヨーク部及びティース部に形成された接着剤からなる接着剤層により複数の電磁鋼板を固定する回転電機のステータコアでは、電磁鋼板間の導通による損失は生じないが、カシメ固定よりも電磁鋼板間の保持力が大きくなり、ステータコアの剛性が高くなる。これにより、回転電機のロータが回転する際に、ステータとロータとの間に発生する反力(磁気吸引力やトルクリプル等)に起因する起振力が、ステータコアを介して回転電機の筐体に伝達しやすくなり、回転電機の騒音・振動特性(以下、NV特性と称する)が悪化するという問題があった。
本発明は、接着剤層を介して積層された複数の電磁鋼板から構成される回転電機のステータコアにおいて、NV特性が悪化することを防止可能な技術を提供する。
本発明は、
円環形状のヨーク部と、前記ヨーク部の内周縁から径方向に中心へ向かって突出し、前記ヨーク部の周方向に等間隔で形成された複数のティース部と、前記ヨーク部の外周縁から径方向外側に突出し、締結部材が挿通する締結部材挿通孔が形成された複数の締結部と、を有する回転電機のステータコアであって、
前記ステータコアは、接着剤層を介して積層された複数の電磁鋼板から構成され、
前記ヨーク部は、
前記締結部の周方向両端部と前記中心とを結ぶ直線で挟まれた領域である複数の締結部内側領域と、
前記複数の締結部内側領域に挟まれた領域である複数の非締結部内側領域と、を有し、
前記接着剤層は、前記ヨーク部に配置され、
前記接着剤層は、各々の前記締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第1接着部と、各々の前記非締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第2接着部と、を有し、
前記第2接着部の面積は、前記第1接着部の面積よりも大きい
本発明によれば、接着剤層は、ヨーク部に配置されるととともに、各々の締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第1接着部と、各々の非締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第2接着部と、を有するので、ヨーク部の締結部内側領域及び非締結部内側領域で隣接する電磁鋼板同士を確実に固定することができる。また、回転電機のロータが回転する際に、ステータとロータとの間に発生する反力(磁気吸引力やトルクリプル等)に起因する起振力がティース部に発生しても、主として起振力の締結部への伝達経路に位置する第1接着部で、起振力を受けることができる。これにより、起振力が締結部に伝達することを抑制することができ、起振力が締結部から締結部材を介して回転電機の筐体に伝達することが抑制される。したがって、回転電機のNV特性が悪化することを防止できる。
本発明の一実施形態における回転電機のステータコアの分解斜視図である。 図1の回転電機のステータコアの電磁鋼板及び接着剤層の平面図である。 図2の部分拡大図である。 図3のA−A断面図である。 本発明の一実施形態におけるステータコアの伝達関数と接着部の総面積との関係を表すグラフである。
以下、本発明の回転電機のステータコアの一実施形態を、図1〜図5を参照しながら説明する。
<ステータコア>
図1及び図2に示すように、回転電機のステータコア10は、円環形状のヨーク部101と、ヨーク部101の内周縁101bから径方向に円環中心Oへ向かって突出し、ヨーク部101の周方向に等間隔で形成された複数のティース部102と、ヨーク部101の外周縁101aから径方向外側に突出した複数(図に示す実施例では6個)の締結部103と、を有し、同じ形状の複数の電磁鋼板100(図4参照)が積層されることにより構成されている。
積層された複数の電磁鋼板100では、隣接する電磁鋼板100同士が接着剤層20によって接合されることで一体となっている。
ステータコア10の各締結部103には、ステータコア10の厚さ方向に貫通するように、ボルト30が挿通するボルト挿通孔103aが形成されている。ボルト30は、ボルト挿通孔103aに挿通されて筺体(図示せず)に螺合され、軸力によりステータコア10をボルトヘッド30aと筺体との間で挟持することで、ステータコア10を筐体に固定する。
<電磁鋼板及び接着層>
図2及び図3に示すように、電磁鋼板100のヨーク部101は、外周縁101a及び内周縁101bが円環中心Oを中心とする同心円である円環形状を有する。
ヨーク部101は、平面視において、締結部103の周方向両端部103b、103cと円環中心Oとを結ぶ直線で挟まれた領域である締結部内側領域1011と、締結部内側領域1011に挟まれた領域である非締結部内側領域1012とを、それぞれ締結部103と同数(図に示す実施例ではそれぞれ6個)有する。ここで、締結部103の周方向両端部103b、103cは、円形の外周縁101aと、締結部103の外端面103dとの接点である。
積層された複数の電磁鋼板100の間に設けられた接着剤層20は、ヨーク部101の表面に配置されており、ティース部102及び締結部103の表面には配置されていない。さらに、接着剤層20は、各々の締結部内側領域1011に設けられた第1接着部201と、各々の非締結部内側領域1012に設けられた第2接着部202と、を有する。
第1接着部201及び第2接着部202は、いずれも略円形状である。また、第1接着部201は各々の締結部内側領域1011に2つ、第2接着部202は各々の非締結部内側領域1012に3つ、設けられている。さらに、第2接着部202の面積は、第1接着部201の面積よりも大きくなっている。
電磁鋼板100のヨーク部101に配置された第1接着部201及び第2接着部202の総面積は、ヨーク部101の総面積の半分以下となっている。具体的には、第1接着部201及び第2接着部202の総面積は、ヨーク部101の総面積の10%〜25%となっている。
ここで、ステータコア10の内径側に配置される回転電機のロータが回転する際には、ステータとロータとの間に発生する反力(磁気吸引力やトルクリプル等)に起因する起振力が、ステータコア10のティース部102に発生する。起振力によって、ステータコア10のティース部102が振動し、該振動は、ヨーク部101の締結部内側領域1011を伝達経路として締結部103に伝達し、ボルト30を介して筐体に伝達するので、回転電機が振動する。
本実施形態によれば、接着剤層20は、ヨーク部101に配置されるととともに、各々の締結部内側領域1011に設けられた第1接着部201と、各々の非締結部内側領域1012に設けられた第2接着部202と、を有する。これにより、回転電機のロータが回転する際に、ステータとロータとの間に発生する反力に起因する起振力によってティース部102が振動しても、主として、該振動の締結部103への伝達経路となる締結部内側領域1011に位置する第1接着部201で、該振動を受けることができる。したがって、起振力が締結部103に伝達することを抑制することができ、起振力が締結部103からボルト30を介して回転電機の筐体に伝達することが抑制される。よって、回転電機の振動が抑制されるので、回転電機のNV特性が悪化することを防止できる。
また、積層された複数の電磁鋼板100がボルト30にて回転電機の筐体に挟持される際には、ボルト30の軸力により電磁鋼板100に歪みが生じ、ボルト30の軸力が不安定となる場合があった。これは、締結部103の近傍で、隣接する電磁鋼板100との間の空隙が大きくなるほど顕著となる。
本実施形態によれば、締結部103の近傍に位置する締結部内側領域1011に第1接着部201が設けられているため、締結部103の近傍で、隣接する電磁鋼板100との間の空隙の一部に接着剤層20が介在することとなり、ボルト30の軸力による電磁鋼板100の歪みが抑制される。これにより、ボルト30の軸力が安定するので、ステータコア10と筐体、及び、積層された複数の電磁鋼板100は、より強固に固定される。
一方で、締結部103から離れた位置である非締結部内側領域1012は、ボルト30の軸力の影響が小さい。即ち、締結部103から離れた位置である非締結部内側領域1012においては、ほぼ第2接着部202の接合力のみで保持されている。
本実施形態によれば、非締結部内側領域1012に設けられた第2接着部202の面積は、締結部内側領域1011に設けられた第1接着部201の面積よりも大きくなっているので、ボルト30の軸力の影響が小さい非締結部内側領域1012において大きな面積を有する第2接着部202により大きな接合力を得ることができ、より効果的に積層された複数の電磁鋼板100を固定することができる。また、第2接着部202は、起振力の締結部103への伝達経路ではない領域である非締結部内側領域1012に設けられているので、起振力が締結部103に伝達することを抑制しつつ、積層された複数の電磁鋼板100をより強固に接合することができる。
なお、図2及び図3においては、各々の締結部内側領域1011に設けられた第1接着部201は2つ、各々の非締結部内側領域1012に設けられた第2接着部202は3つ、としたが、各々の締結部内側領域1011に設けられた第1接着部201は少なくとも1つあればよく、各々の非締結部内側領域1012に設けられた第2接着部202は少なくとも1つあればよい。また、第1接着部201と第2接着部202の数は、同数であってもよく、異なる数であってもよい。また、第1接着部201及び第2接着部202の形状は略円形状としたが、第1接着部201及び第2接着部202の形状は、長円形状や多角形状等の任意の形状とすることができる。
図4に示すように、積層された複数の電磁鋼板100は、積層方向からみて同じ位置に、同じ面積及び同じ形状で第1接着部201及び第2接着部202が設けられている。これにより、ステータコア10の製造の際、第1接着部201及び第2接着部202の位置を変える必要がなく、同じ位置に接着剤を塗布、添付等し、電磁鋼板100を接合して積層すればよいので、ステータコア10を容易に製造できる。
図5に示すように、電磁鋼板100のヨーク部101に配置された接着剤層20の接着部総面積は、ヨーク部101の総面積の半分以下になると、接着部総面積が小さくなるほど、ステータコア10の伝達関数が低下する。すなわち、電磁鋼板100のヨーク部101に配置された接着剤層20の接着部総面積は、ヨーク部101の総面積の半分以下になると、接着部総面積が小さくなるほど、隣接する電磁鋼板100との間の保持力が小さくなる。それに伴って、ステータコア10の剛性が低くなり、起振力が接着剤層20を介して隣接する電磁鋼板100に伝達することが抑制される。
本実施形態によれば、第1接着部201及び第2接着部202の総面積は、ヨーク部101の総面積の半分以下となっているので、ステータコア10の剛性が高くならず、起振力が接着剤層20を介して隣接する電磁鋼板100に伝達することが抑制される。これにより、ステータコア10起因のNV特性が向上するので、回転電機のNV特性が悪化することを防止できる。
さらに、第1接着部201及び第2接着部202の総面積は、ヨーク部101の総面積の10%〜25%となっているので、ボルト30の軸力による電磁鋼板100の歪みが生じることを抑制しつつ、カシメ固定することにより複数の電磁鋼板を固定する回転電機のステータコアと同等以上の優れたNV特性を得ることができる。
なお、前述した実施形態は、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、第1接着部201及び第2接着部202の部分を凹凸形状とすることができる。このようにすると、接着剤層20の電磁鋼板100との接触面積を増加することができ、第1接着部201の平面視における面積を大きくすることなく、積層された複数の電磁鋼板100をより強固に保持することができる。
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
(1) 円環形状のヨーク部(ヨーク部101)と、前記ヨーク部の内周縁(内周縁101b)から径方向に中心(円環中心O)へ向かって突出し、前記ヨーク部の周方向に等間隔で形成された複数のティース部(ティース部102)と、前記ヨーク部の外周縁(101a)から径方向外側に突出し、締結部材(ボルト30)が挿通する締結部材挿通孔(ボルト挿通孔103a)が形成された複数の締結部(締結部103)と、を有する回転電機のステータコア(ステータコア10)であって、
前記ステータコアは、接着剤層(接着剤層20)を介して積層された複数の電磁鋼板(電磁鋼板100)から構成され、
前記ヨーク部は、
前記締結部の周方向両端部(周方向両端部103b、103c)と前記中心とを結ぶ直線で挟まれた領域である複数の締結部内側領域(締結部内側領域1011)と、
前記複数の締結部内側領域に挟まれた領域である複数の非締結部内側領域(非締結部内側領域1012)と、を有し、
前記接着剤層は、前記ヨーク部に配置され、
前記接着剤層は、各々の前記締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第1接着部(第1接着部201)と、各々の前記非締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第2接着部(第2接着部202)と、を有する、回転電機のステータコア。
(1)によれば、接着剤層は、ヨーク部に配置されるととともに、各々の締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第1接着部と、各々の非締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第2接着部と、を有するので、ヨーク部の締結部内側領域及び非締結部内側領域で隣接する電磁鋼板同士を確実に固定することができる。また、回転電機のロータが回転する際に、ステータとロータとの間に発生する反力(磁気吸引力やトルクリプル等)に起因する起振力がティース部に発生しても、主として起振力の締結部への伝達経路に位置する第1接着部で、起振力を受けることができる。したがって、起振力が締結部に伝達することを抑制することができ、起振力が締結部から締結部材を介して回転電機のケースに伝達することが抑制される。これにより、回転電機のNV特性が悪化することを防止できる。また、締結部の近傍に位置する第1接着部により、積層された複数の電磁鋼板が締結部材にて締結される際に、締結部材の軸力により生じる電磁鋼板の歪みが抑制される。これにより、締結部材の軸力が安定し、積層された複数の電磁鋼板がより強固に締結される。
(2) (1)に記載の回転電機のステータコアであって、
前記第2接着部の面積は、前記第1接着部の面積よりも大きい、回転電機のステータコア。
(2)によれば、第2接着部の面積は、第1接着部の面積よりも大きいので、隣接する電磁鋼板を、締結部材の軸力の影響が小さく、かつ、起振力の締結部への伝達経路ではない領域である非締結部内側領域で、より強固に接合することができる。
(3) (1)または(2)に記載の回転電機のステータコアであって、
積層された複数の前記電磁鋼板は、積層方向からみて同じ位置に、前記第1接着部及び前記第2接着部が設けられた、回転電機のステータコア。
(3)によれば、積層された複数の電磁鋼板は、積層方向からみて同じ位置に、第1接着部及び第2接着部が設けられているので、ステータコアの製造の際、第1接着部及び第2接着部の位置を変える必要がなく、同じ位置に接着剤を塗布、添付等し、電磁鋼板を接合して積層すればよいので、ステータコアを容易に製造できる。
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の回転電機のステータコアであって、
前記電磁鋼板の表面における前記第1接着部及び前記第2接着部の総面積は、前記ヨーク部の総面積の半分以下である、回転電機のステータコア。
(4)によれば、電磁鋼板の表面における第1接着部及び第2接着部の総面積は、ヨーク部の総面積の半分以下であるので、ステータコアの剛性が高くならず、起振力が接着剤層を介して隣接する電磁鋼板に伝達することが抑制される。
10 ステータコア
100 電磁鋼板
101 ヨーク部
101a 外周縁
101b 内周縁
1011 締結部内側領域
1012 非締結部内側領域
102 ティース部
103 締結部
103a ボルト挿通孔(締結部材挿通孔)
103b、103c 周方向両端部
20 接着剤層
201 第1接着部
202 第2接着部
30 ボルト(締結部材)
O 円環中心(中心)

Claims (3)

  1. 円環形状のヨーク部と、前記ヨーク部の内周縁から径方向に中心へ向かって突出し、前記ヨーク部の周方向に等間隔で形成された複数のティース部と、前記ヨーク部の外周縁から径方向外側に突出し、締結部材が挿通する締結部材挿通孔が形成された複数の締結部と、を有する回転電機のステータコアであって、
    前記ステータコアは、接着剤層を介して積層された複数の電磁鋼板から構成され、
    前記ヨーク部は、
    前記締結部の周方向両端部と前記中心とを結ぶ直線で挟まれた領域である複数の締結部内側領域と、
    前記複数の締結部内側領域に挟まれた領域である複数の非締結部内側領域と、を有し、
    前記接着剤層は、前記ヨーク部に配置され、
    前記接着剤層は、各々の前記締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第1接着部と、各々の前記非締結部内側領域に少なくとも1つ設けられた第2接着部と、を有し、
    前記第2接着部の面積は、前記第1接着部の面積よりも大きい、回転電機のステータコア。
  2. 請求項1に記載の回転電機のステータコアであって、
    積層された複数の前記電磁鋼板は、積層方向からみて同じ位置に、前記第1接着部及び前記第2接着部が設けられた、回転電機のステータコア。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機のステータコアであって、
    前記電磁鋼板の表面における前記第1接着部及び前記第2接着部の総面積は、前記ヨーク部の総面積の半分以下である、回転電機のステータコア。
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