JP6450670B2 - ホウ化チタン含有粉末及びその製造方法並びに焼結金属の製造方法 - Google Patents

ホウ化チタン含有粉末及びその製造方法並びに焼結金属の製造方法 Download PDF

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本発明は、鉄や鉄合金にTiBを微細分散させた分散合金や耐摩耗性合金等の焼結金属を製造するためのホウ化チタン含有粉末及びその製造方法並びに焼結金属の製造方法に関するものである。
ホウ化チタン(二ホウ化チタン)TiBは、耐摩耗材料または電気接点材料などに利用されており、超硬質材としての需要が増大している。また、ホウ化チタンは硬くてヤング率が高いので、各種合金や焼結金属に分散して高剛性化を図るという用途もある。例えば、ホウ化チタンを分散させた鉄合金の高剛性化(高ヤング率化)したという例がある(非特許文献1、特許文献1参照)。
一般的なホウ化チタン粉末の製造方法は、チタンとホウ素の混合粉末を加熱反応させる方法、酸化チタンとホウ酸と炭素との混合物を加熱して還元反応させる方法、金属チタンと炭化ホウ素を高温で反応させる方法などが知られている。その他の製造方法としては、アルミニウムにチタンおよびホウ素を不活性雰囲気下で加熱して反応させ、得られたアルミニウム合金を常温まで冷却後、該アルミニウム合金からアルミニウムを溶解、除去することによって1μm以下のホウ化チタン微粉末を作製する方法が開示されている(特許文献2、3参照)。
また、鉄や鉄合金にホウ化チタンを分散させて鉄基合金を作製する方法として、母合金となる原料金属粉末にフェロボロン粉とフェロチタン粉を混合して焼結体を作製する過程でフェロボロンとフェロチタンが反応してホウ化チタンが形成させる方法が開示されている(特許文献4、5、6、7参照)。
特開2002−309354号公報 特開平5−85720号公報 特開平6−279021号公報 特開平7−188874号公報 特開平7−252609号公報 特開2002−285303号公報 特開2002−47527号公報
「豊田中央研究所R&Dレビュー」 Vo.35 No.4 (2000年12月発行)、PP21−26
前述のようにホウ化チタン含有粉末は、各種用途に使用されるが中でも合金等に分散して高剛性化等の特性改善に使用される場合には母合金等の分散媒にホウ化チタン粒が微細分散される方が好ましい。しかしながら、従来のホウ化チタン含有粉末は、微細分散させるためには更に細かく粉砕する必要があるが、細かく粉砕すればするほど凝集粒子が形成されて結局分散し難くなるという問題がある。
特許文献2,3に記載のように、微粒のホウ化チタン含有粉末も製造することができるが、合金等の分散媒に偏りなく分散させるのは困難である。
一方、上述のように、焼結金属を作製する際にフェロボロン粉とフェロチタン粉を予め混合しておき、フェロボロンとフェロチタンの反応でホウ化チタンをその場で形成・分散させることが開示されているが(特許文献4、5、6、7参照)、焼結金属を粉砕してホウ化チタン含有粉末を作製させるということについては記載も示唆もされていない。また、焼結金属を作製すると同時にホウ化チタンをその場形成・分散させる方法においては、形成されるホウ化チタン粒が焼結金属全体に分散せず、局所に偏った組織になるという問題がある。具体的には、フェロボロン中のホウ素がフェロチタン中へ拡散して反応してホウ化チタンを形成する、あるいはフェロチタン中のチタンがフェロボロン中へ拡散して反応してホウ化チタンを形成するので出来上がった焼結金属の組織が不均一になる。よって、偏りが少なくより均一に分散できるホウ化チタン含有粉末が望まれる。
本発明では、上記問題点に鑑みてなしたものであり、合金等に分散して使用される場合、母合金等の分散媒にホウ化チタン粒が凝集することなく微細分散しやすいホウ化チタン含有粉末を提供することを目的とする。また、本発明では、低コストで量産性に優れたホウ化チタン含有粉末の製造方法を提供することをも目的とする。さらに、本発明では前記ホウ化チタン含有粉末を用いる焼結金属の製造方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ホウ化チタンTiB粒が分散媒に微細分散しやすいホウ化チタン含有粉末を検討した結果、特定の粒径を有するホウ化チタンTiBがFe中に分散した組織を有するホウ化チタン含有粉末を用いるとホウ化チタンがほぼ均一に微細分散したFeまたはFe合金が得られることを見出し、本発明に至った。
また、本発明者らは、前記ホウ化チタン含有粉末の製造方法に関し、低コストで量産性に優れた製造方法を検討した結果、フェロボロン粉末とフェロチタン粉末を混合して加熱した後、粉砕することによって前記組織を有するホウ化チタン含有粉末を作製できることを見出し、本発明を完成した。ここで言うホウ化チタン含有粉末とは、FeをマトリックスとするFeとTiBの複合粉末のことである。
なお、ホウ化チタンは、一般にTiB(二ホウ化チタン)と表記されるが、実際にはBとTiのモル比は、1.7〜2.0であることが状態図から知られている。したがって正確にはTiB1.7〜2.0と表記するべきであるが、それでは表記が煩雑になるので、本発明では、従来通りTiBと表記する
すなわち、本発明は、以下の要旨とするものである。
(1)粒内にFe及びTiBを含むホウ化チタン含有粉末であって、前記TiBがFeに分散した組織を有し、分散している前記TiBの粒径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とするホウ化チタン含有粉末。
(2)前記TiBの含有量が体積%で1%以上50%以下であることを特徴とする前記(1)記載のホウ化チタン含有粉末。
(3)前記ホウ化チタン含有粉末の粒径が15μm以下であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のホウ化チタン含有粉末。
(4)フェロチタン粉末とフェロボロン粉末とを混合する工程(a)、前記混合した混合物を真空加熱する工程(b)、及び前記真空加熱後の塊を粉砕する工程(c)を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
(5)前記混合する工程(a)または真空加熱後の塊を粉砕する工程(c)において、更に鉄基粉末を加えて混合する工程を含むことを特徴とする前記(4)に記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
(6)前記真空加熱する工程(b)において、加熱温度が1100℃以上1300℃以下であることを特徴とする前記(4)に記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
(7)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のホウ化チタン含有粉末を含む粉末を圧縮成形し焼結することを特徴とする焼結金属の製造方法。
以上のように、本発明のホウ化チタン含有粉末によれば、ホウ化チタンTiB粒が合金等の分散媒に凝集することなく微細分散しやすいという顕著な作用効果を奏する。また、TiBを微細分散しやすいホウ化チタン含有粉末を低コストで量産容易に製造することができ、さらに、本発明のホウ化チタン含有粉末を用いることによって、TiBを微細分散させた焼結金属を効果的に製造できるという顕著な作用効果を奏する。
フェロチタンFeTi粉末とフェロボロンFeB粉末を混合して真空加熱した後の塊の組織の電子顕微鏡写真である。(a)は真空加熱後の塊の電子顕微鏡写真で、(b)は真空加熱後の塊を粉砕した粉末の電子顕微鏡写真であり、写真中黒色の点および点が連なった帯状の部分がTiB、白色がFeを表している。 原料を混合して真空加熱した塊のTiB分布模式図とその塊を粉砕した粉末のTiB分布模式図で、(a)は真空加熱後、(b)は塊を粉砕した粉末のTiB分布模式図である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、FeまたはFe合金にTiBを微細分散させた分散合金や耐摩耗性合金等の焼結金属を製造するためのホウ化チタン含有粉末に関する。
すなわち、本発明は、粒内にFe及びTiBを含むホウ化チタン含有粉末に係るものであって、ホウ化チタン含有粉末はTiBがFeに分散した組織を有し、分散している前記TiBの粒径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴としている。粒内にFe及びTiBを含むホウ化チタン含有粉末にすることによって、特にTiB分散の合金を製造する際にTiB粒を母材合金中に微細分散し易くなる。これは、母材合金成分の1つとしてFeを含むホウ化チタン含有粉末にすることで、母材合金原料とTiBとの混合がより均一になるためである。また、TiB粒子を母材合金原料に混合する場合にはTiB粒子の粒径(サイズ)で分散TiB粒径が決定され、TiB粒子の微細化には限界があるが、本発明のホウ化チタン粉末では、Feに微細なTiB粒が分散している複合組織ホウ化チタン含有粉末であるのでより微細化したTiB粒子を母材合金中に容易に均一化して分散できる。
本発明のホウ化チタン含有粉末におけるFeに分散したTiBの粒径は、0.1μm以上10μm未満である。TiBの粒径は小さいほど好ましいが、0.1μm未満とするのは難しく、コスト等を考えると現実的ではない。TiBの粒径が10μm以上であると、各種合金や焼結金属に分散して高剛性化を図るという効果を十分発揮できない。より好ましくは、8μm以下であり、更に好ましくは4μm以下である。
ここで、TiBの粒径は、電子顕微鏡像とエネルギー分散型X線分光法で観察される円の面積として置き換えた場合の直径である等価円直径であり、TiBの粒径とは、30個以上、好ましくは30〜50個のTiB粒径の数平均値である。
本発明のホウ化チタン含有粉末はTiBがFeに分散した組織を有する粒子を含むものであり、該ホウ化チタン含有粉末の粒径は15μm以下であるのが好ましく、より好ましくは10μm以下である。前記ホウ化チタン粉末の粒径が15μmを超えると、母材合金中にTiB粒を分散し難くなる場合がある。また、TiB粒を母材合金中に微細分散するという観点では、前記ホウ化チタン含有粉末の粒径は小さいほど好ましいが、余り小さくなると粉塵爆発等を起こし易くなるので空気中での取り扱いが難しくなる。よって、空気中での取り扱いが容易であるという点では、前記ホウ化チタン含有粉末の粒径は0.5μm以上が好ましく、更に好ましくは1.0μm以上である。ここで、ホウ化チタン含有粉末の粒径は、粒度分布測定装置によって測定されるメジアン径(D50)である。
本発明のホウ化チタン含有粉末では、TiBの含有量が体積%で1%以上50%以下であるのが好ましい。TiBの含有量が1%未満であると、母材合金中に微細分散するTiB粒が少なくて母材合金の特性改善効果が少なすぎたり、TiB粒の分散が偏ったりする場合がある。一方、TiBの含有量が50%を超えると、母材合金中に占めるTiBの割合が多くなりすぎて、母材合金の特性改善効果が十分でなくなる場合があるので、体積%で1%以上50%以下としたが、好ましくは、3%以上40%以下である。
本発明のホウ化チタン含有粉末は、TiBとFeを含むものであるが、Fe基材を含んでもよく、Fe基材には適宜焼結金属に必要な添加成分及び不可避不純物を含んでいてもよい。前記添加成分としては、例えば、Mn、Ni、Cu、Cr、V、Nb、Ti、Al、Si、C、S、P、N、B等が挙げられる。
本発明のホウ化チタン含有粉末は、TiBがFeに分散した組織を有し、分散している前記TiBの粒径が0.1μm以上10μm以下であること等から、これを用いてTiBを微細分散させた分散合金や耐摩耗性合金等の焼結金属を効果的に製造することができる。
次いで、本発明のホウ化チタン含有粉末の製造方法について説明する。
本発明者らは、次のような方法でホウ化チタン含有粉末を製造できることを見出した。
即ち、フェロチタン粉末とフェロボロン粉末とを混合する工程(a)、前記混合物を真空加熱する工程(b)、及び前加熱後の塊を粉砕する工程(c)を含むホウ化チタン含有粉末の製造方法である。本製造方法によれば、TiBを微細分散しやすいホウ化チタン含有粉末を低コストで容易に量産製造することができる。
フェロチタンFeTi粉末とフェロボロンFeB粉末を混合して加熱すれば、(FeTi+FeB→TiB/Fe)の化学反応によりTiBが形成されることは知られているが、そのままでは図1(a)に示すように、帯状TiB組織が観察されTiBが局在していることが分かる。しかしながら、本発明者らは、図1(b)に示すように、加熱後の塊を粉砕することで単に微粉になるだけではなく、帯状TiB組織が壊れるとともにFeにTiBが微細分散した組織が形成されることを見出した。これをさらに図2のTiB分布模式図により説明すると、図2(a)に示すように、加熱後の塊では長さ10〜50μm程度の帯状TiB組織が観察されTiBが局在しているが、粉砕することにより図2(b)に示すように、帯状TiB組織が壊れて10μm以下、ほとんどは数μm程度の粒径の粒子となってマトリックスのFe中にほぼ均一に分散している。
本発明におけるフェロチタン粉末とは、鉄FeとチタンTiを含む合金粉末である。フェロチタン粉末のチタン含有率は特に指定しないが、通常、最小チタン含有率が20質量%、最大チタン含有率が75質量%の還元によって得られる鉄とチタンの合金である。また、フェロチタン0号(チタン含有量70−75質量%)、1号(チタン含有量40−45質量%)、3号(チタン含有量24−28質量%)等のフェロチタンがある。本発明のフェロチタン粉末では、チタン含有量が40質量%以上75質量%以下であるのがより好ましい。チタン含有量が40質量%未満であると、チタン含有量が少なくて効率よくTiBを形成できない場合がある。一方、チタン含有量が75質量%を超えるとフェロチタン粉末が粉塵爆発しやすくなるのでフェロボロン粉末との混合等での扱いが難しくなる場合がある。また、本発明でのフェロチタン粉末は、500μm篩通過粉末が好ましく、より好ましくは150μm篩通過粉末、更に好ましくは75μm篩通過粉末である。
本発明におけるフェロボロンとは、鉄Feとホウ素Bを含む合金粉末である。フェロボロン粉末のホウ素含有率は特に指定しないが、通常、最小ホウ素含有率9質量%、最大ホウ素含有率23質量%の還元によって得られる鉄とホウ素の合金である。また、高炭素フェロボロン1号FBH1(ホウ素含有量19−23質量%、炭素含有量2質量%以下)、2号FBH2(ホウ素含有量14−18質量%、炭素含有量2質量%以下)、低炭素フェロボロン1号FBL1(ホウ素含有量19−23質量%、炭素含有量0.1質量%以下)、2号FBL2(ホウ素含有量14−18質量%、炭素含有量0.1質量%以下)等のフェロボロンがある。本発明のフェロボロンでは、ホウ素含有量10質量%以上23質量%以下がより好ましい。ホウ素含有量が10質量%未満では、ホウ素含有量が少なくて効率よくTiBを形成できない場合がある。ホウ素含有量が23質量%を超えると微細なTiBにし難い場合がある。また、本発明のフェロボロン粉末は、500μm篩通過粉末が好ましく、より好ましくは150μm篩通過粉末、更に好ましくは75μm篩通過粉末である。
フェロチタン粉末とフェロボロン粉末の混合は、通常の粉末混合方法でよく、特にその混合方法は規定しないが、例えば、ロッキングミキサー、ミキシングシェーカー、タンブラーミキサー、V型混合機、ボールミル混合、高速流動混合機、等が挙げられる。
前記混合物を真空加熱する工程(b)における真空加熱とは、前記混合物が加熱中に酸化の進行を抑制できればよく、通常の真空ポンプ等で減圧しながら加熱するものである。よって、前記真空度(減圧)は10−4MPa以下であり、より好ましくは10−5MPa以下、更に好ましくは10−6MPa以下である。また、前記真空加熱は、前記混合物の酸化進行の抑制できる加熱であるので不活性ガス雰囲気で加熱してもよい。但し、不活性ガスが前記混合物に固溶すると不都合な場合や前記混合物から脱ガスしたい場合には真空加熱するのがより好ましい。また、真空(減圧)と不活性ガス雰囲気の組み合わせで加熱処理してもよい。
前記真空加熱の加熱温度は、TiBが形成する温度であればどのような温度でもよいが、通常1000℃以上である。加熱温度が鉄の融点(1540℃)以上では固体のTiBと融けた鉄との混合状態になり、鉄とTiBが均質に混合された塊を作製し難くなる場合があるので鉄の融点未満が好ましい。
特に好ましい加熱温度は、1100℃以上1300℃以下である。加熱温度が1100℃未満であると反応速度が遅く終了に長時間を要するか、あるいは反応が進まず原料が未反応で残る場合があるので、加熱温度の下限を1100℃とした。一方、加熱温度の上限が1300℃以下であると熱処理後の塊の粉砕が容易であることが多いので好ましい。即ち、1300℃を超えると熱処理後の塊の粉砕が困難である場合があるので、加熱温度の上限を1300℃とした。
前記真空加熱時間は設定温度に到達すればよいが、保持時間が30分以上であるのがより好ましい。30分未満では反応が十分起こらない場合がある。一方、保持時間は長くても構わないが経済性や生産性を考えると10時間以下がより好ましい。更に好ましい保持時間は、30分以上3時間以下である。
前記加熱後に塊を粉砕する工程(c)における粉砕とは、加熱後塊を粉砕できればどのような粉砕方法でもよい。例えば、ジョークラッシャー、ジャイレトリクラッシャー、コーンクラッシャー、ローラーミル、ボールミル、ハンマミル、ピンミル、インパクトクラッシャー、ロッドミル、ジェットミル、アトライタ、ビーズミル、等の粉砕機が使用できる。粉砕は最初に数cmの塊に粗粉砕(破砕)後、微粉砕を行う2段階として2種類の粉砕機を使用しても良いし、あるいは粗粉砕(破砕)後に中粉砕、微粉砕を行う3段階として3種類の粉砕機を使用してもよい。粉砕粒径は用途に応じて決めれば良いが、粉砕又は粉砕と分級の組み合わせで15μm以下するのが好ましい。
前記フェロチタン粉末とフェロボロン粉末とを混合する工程(a)において、更に鉄基粉末を加えて混合してもよい。鉄基粉末を予め加えて混合して製造しておくことで得られるホウ化チタン含有粉末はそのまま成形、熱処理(焼結)等施すことで鉄基焼結金属を直接製造できる。また、真空加熱後の塊を粉砕する工程(c)において、更に鉄基粉末を加えて混合して成形、熱処理(焼結)等施すことでも同様の効果が得られる。前記鉄基粉末(鉄粉を含む)とは、Fe含有量が50質量%以上であることを意味し、残りは焼結金属の目的に応じた成分及び不可避不純物で、例えば、Mn、Ni、Cu、Cr、V、Nb、Ti、Al、Si、C、S、P、N、B等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
粒度150μm以下、Ti含有量70%のフェロチタン粉末1.00kgと粒度63μm以下、B含有量17.6%のフェロボロン粉末1.80kgをV型混合機で30分混合後、マグネシアルツボに充填して真空炉に装入した。10−5MPa以下まで真空引き後昇温を開始し、1200℃で2hr保持加熱した。冷却後取り出し、ジョークラッシャーにかけて数cmの塊に粗割後、2段目粉砕としてボールミル粉砕を5hr、3段目粉砕として振動ミル粉砕を10hr行った。
このようにして得られたホウ化チタン含有粉末(製品)の粒度は次のようにして測定した。TiBの粒度は、エネルギー分散型X線分光器を併設した電子顕微鏡像において、面積を求めるソフトを使用してTiBの面積を求めた後、円の面積として置き換えた等価円直径を求めた。30個の粒子の等価円直径を求めた後、これを平均してTiBの粒度とした。ホウ化チタン含有粉末の粒度、すなわち粉末そのものの粒度は、試料を水に添加して超音波分散後、レーザー回折式粒度測定装置を用いて測定し、メジアン径(D50)を求めた。
ホウ化チタン含有粉末の評価は、4ton/cmで金型成型してテストピースを作製し、これを真空炉で1200℃、1hr加熱して焼結体を得た後、その断面を電子顕微鏡で見てTiBの分布状態を観察・評価した。Feマトリックス中におけるTiBの粒度分布は、微細でほぼ均一であった。
(実施例2)
実施例1の原料に更に粒度150μm以下のFe粉を加えたこと以外は、実施例1と同様の操作によりホウ化チタン含有粉末を製造、評価した。実施例1と同様にFeマトリックス中におけるTiBの粒度分布は、微細でほぼ均一であった。
(実施例3)
粒度75μm以下、Ti含有量40%のフェロチタン粉末、粒度75μm以下の鉄粉を使用し、真空炉加熱条件を1250℃、1hrとしたこと以外は、実施例1と同様の操作によりホウ化チタン含有粉末を製造、評価した。実施例1と同様にFeマトリックス中におけるTiBの粒度分布は、微細でほぼ均一であった。
(実施例4)
原料配合を製品中TiB含有量5体積%、真空炉加熱条件を1150℃、8hrとしたこと以外は、実施例2と同様の操作によりホウ化チタン含有粉末を製造、評価した。実施例1と同様にFeマトリックス中におけるTiBの粒度分布は、微細でほぼ均一であった。
(実施例5)
フェロチタン粉末とフェロボロン粉末を混合する工程において鉄粉は添加せず、真空加熱後の塊を粉砕する工程において鉄粉を加えて混合したこと以外は、実施例3と同様の操作によりホウ化チタン含有粉末を製造、評価した。実施例3と同様にFeマトリックス中におけるTiBの粒度分布は、微細でほぼ均一であった。
(比較例1)
粒度75μm以下、Ti含有量70%のフェロチタン粉末1.00kgと粒度63μm以下、B含有量17.6%のフェロボロン粉末1.80kg、粒度75μm以下の鉄粉2.33kgをビーズミルを用いて粉砕後、4ton/cmで金型成型してテストピースを作製し、これを真空炉で1200℃、1hr加熱して焼結体を得た。得られた焼結体では、Feマトリックス中にTiBは帯状に分布しており局在化していた。
Figure 0006450670
※ 表1において実施例5は、真空炉加熱後塊を粉砕する時に鉄粉を添加したものであり、真空加熱する原料には添加していなかったので、括弧付で記入した。
Figure 0006450670
※ 表2において、実施例1〜実施例4は、真空炉加熱後塊を粉砕した粉末粒度。
実施例5は、真空炉加熱後塊を粉砕する時に鉄粉を添加して粉砕した粉末粒度。
比較例は、原料をビーズミルで粉砕した粉末粒度であるが、真空炉加熱していないので、この段階ではTiBは生成していない。表中に括弧付で記入したのは、焼結テストピース中のTiB含有量とTiB平均粒径である。
(実施例6)
実施例1で得られたホウ化チタン含有粉末1kgと鉄粉1kgとを混合し、4ton/cmで金型成型して圧粉体とし、これを真空炉で1200℃、1hr加熱して焼結金属を得た。得られた焼結金属は、鉄母相中にホウ化チタンTiBが微細分散しているFe基焼結金属となっていた。
以上の通り、本発明によれば、FeまたはFe合金(Fe基合金)にTiBを微細分散させた分散合金や耐摩耗性合金等の焼結金属を製造するためのホウ化チタン含有粉末とすることができ、そして、その製造方法も低コストで量産性に優れた製造方法であることが確認できた。また、本発明のホウ化チタン含有粉末を用いることによって、TiBを微細分散させた焼結金属を効果的に製造できることが確認できた。
本発明のホウ化チタン含有粉末は、原料に安価なFeB、FeTiを用い、製造工程も通常の真空炉、粉砕機等で良いため、既存の製造法によるTiB製品と比べて安価なコストで製造することができる。このため耐摩耗材料、電気接点材料、超硬質材、各種合金や焼結金属の分散用途において好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 粒内にFe及びTiBを含むホウ化チタン含有粉末であって、前記TiBがFeに分散した組織を有し、分散している前記TiBの粒径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とするホウ化チタン含有粉末。
  2. 前記TiBの含有量が体積%で1%以上50%以下であることを特徴とする請求項1記載のホウ化チタン含有粉末。
  3. 前記ホウ化チタン含有粉末の粒径が15μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のホウ化チタン含有粉末。
  4. フェロチタン粉末とフェロボロン粉末とを混合する工程(a)、
    前記混合した混合物を真空加熱する工程(b)、及び
    前記真空加熱後の塊を粉砕する工程(c)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
  5. 前記混合する工程(a)または真空加熱後の塊を粉砕する工程(c)において、更に鉄基粉末を加えて混合する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
  6. 前記真空加熱する工程(b)において、加熱温度が1100℃以上1300℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のホウ化チタン含有粉末の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載のホウ化チタン含有粉末を含む粉末を圧縮成形し焼結することを特徴とする焼結金属の製造方法。
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