JP6448216B2 - ペプチド組成物の調製方法、細胞培養方法、およびペプチド組成物 - Google Patents

ペプチド組成物の調製方法、細胞培養方法、およびペプチド組成物 Download PDF

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本発明は、コラーゲンにグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加してGly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物の調製方法、Gly−Glu−Hyp、Gly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypの製造方法、前記コラゲナーゼを使用した細胞培養方法、およびペプチド組成物に関する。
コラーゲンやゼラチンをコラゲナーゼで加水分解して得られる(Gly−X−Y)(式中、XおよびYは同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドは、コラーゲン産生促進作用、ヒアルロン酸産生促進作用、皮膚コラーゲン合成促進作用、骨折治癒促進作用、腱損傷治癒促進作用等の効果を有する。例えば特許文献1では、コラーゲンペプチドを含む皮膚美容改善用組成物が開示され、Gly−Glu−ArgやGly−Phe−Hyp、Gly−Glu−Hypを含むコラーゲンペプチドを使用し得る旨が開示されている。
コラーゲンペプチドを利用する技術として、例えば、アミノ酸配列がGly−X−Y(式中、X,Yはアミノ酸残基を表す。)のトリペプチドを有効成分とするコラーゲン産生促進剤やこれを調製する方法がある(特許文献2)。コラーゲンにクロストリジウム・ヒストリチカムやストレプトマイセス・パルブラス由来のコラゲナーゼを作用させると、−(Gly−X−Y)n−(式中、X,Yはアミノ酸残基を表し、nは正の整数を表す。)で表されるポリペプチド配列における、グリシン残基のアミノ基末端側を特異的に切断でき、Gly−X−Yで示されるトリペプチドを得ることができるという。実施例では、高純度ゼラチン50gに100mgのコラゲナーゼを用い、トリペプチド含量が30%のコラーゲンペプチド粉末を得ている。
一方、トリペプチド高含有品を製造する方法も開発されているが、例えば、特許文献3は、トリペプチド含有水溶液を非極性吸着剤と接触させて一部の疎水性ペプチドを非極性吸着剤に吸着させ、前記非極性吸着剤に吸着しなかった親水性トリペプチドを回収して濃縮する方法である。2〜20%のトリペプチド含有水溶液を25%以上に濃縮するというものである。特許文献4も同様で、トリペプチド含有水溶液をpH8以上10以下、または4.5以上6.5以下に調整し、強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させてトリペプチドを前記イオン交換樹脂に吸着させ、トリペプチドを吸着した前記イオン交換樹脂からトリペプチドを溶出して濃縮する方法である。トリペプチドの含有量が2〜35%の溶液を40%以上に高めるというものである。
コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつで、一般に3本のポリペプチド鎖が螺旋状に結合した三重螺旋構造を有し、各ポリペプチド鎖は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示される繰返し配列を含み、かつコラーゲン特有のアミノ酸としてヒドロキシプロリンを含む。例えば、ウシI型コラーゲンは145種類のトリペプチド配列を含み、三本鎖中に1〜2箇所しか存在しないトリペプチド配列がある一方、Gly−Pro−Hypのように100箇所を超えるものもある。ウシI型コラーゲンの三本鎖中に存在するGly−X−Y配列を含有率が高い順にアミノ酸の3文字表記を添えて上位14番まで並べると、Gly−Pro−Hyp(GPO)、Gly−Pro−Ala(GPA)、Gly−Ala−Hyp(GAO)、Gly−leu−Hyp(GLO)、Gly−Glu−Hyp(GEO)、Gly−Glu−Arg(GER)、Gly−Ala−Arg(GAR)、Gly−Pro−Ser(GPS)、Gly−Pro−Arg(GPR)、Gly−Ser−Hyp(GSO)、Gly−Ala−Lys(GAK),Gly−Pro−Lys(GPK)、Gly−Pro−Gln(GPQ)、Gly−Phe−Hyp(GFO)となる。なお、ヒドロキシプロリンは、各ポリペプチド鎖に含まれて三重螺旋構造を安定させることが知られており、前記した−(Gly−X−Y)n−で示される繰返し配列と相俟って、各ポリペプチド鎖のアミノ酸配列の自由度は極めて低い。ゆえに、動物種が異なってもI型コラーゲンの三重螺旋領域のアミノ酸配列は約95%の同一性を有することが知られ、コラーゲン由来のペプチド組成物には、少なくとも前記した14種のトリペプチドが含まれる事が期待されている。
前記した三重螺旋構造のために、コラーゲンはセリンプロテアーゼなどの内在性酵素で分解されにくく、トリペプチドを調製するにはコラゲナーゼが使用されている。コラゲナーゼとして、クロストリジウム属由来コラゲナーゼが多用されているが、ビブリオ属由来のコラーゲン分解酵素(特許文献5)や、グリモンティア・ホリセー由来のコラーゲン分解酵素(特許文献6)も公知である。なお、特許文献6には、グリモンティア・ホリセー由来の1番目のATGから始まり2304番目のTAAで終わる2304塩基対からなるコラーゲン分解酵素の遺伝子、当該コラーゲン分解酵素遺伝子を含むバクミドとしてpCC1BAC−2を作成する方法、前記コラーゲン分解酵素遺伝子から当該コラゲナーゼを生産するB.brevis組み換え体を作成する方法が記載されている。前記バクミドpCC1BAC−2は、グリモンティア・ホリセーのゲノムで作成されたBACクローンライブラリーから、コラゲナーゼ遺伝子を含むバクミドとして選択されたものであり、平成21年4月28日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターに受託番号:NITE P−739として寄託されている。
特表2012−501320号公報 特開2002−255847号公報 特許4099541号公報 特許5016830号公報 特開平08−70853号公報 特開2010−263880号公報
前記特許文献1に記載されるように、Gly−Glu−ArgやGly−Phe−Hypは、皮膚美容改善用組成物として有効であるという。しかしながら、特許文献1では、コラーゲンにシステインプロテアーゼ、ペプシン、トリプシンまたはコラゲナーゼなどの酵素を使用すれば目的のペプチドが得られると記載するが、実施例ではGly−Glu−Arg、Gly−Phe−Hypを製造していない。また、これら複数の酵素を併用すると、アミノ酸やジペプチドの生成率が増加するため、たとえGly−Glu−Arg、Gly−Phe−Hypが生成された場合でも、コラーゲン当りの生成率は低下する。従って、生成率に優れる、Gly−Glu−Arg、Gly−Phe−Hypを含むペプチド組成物やこれらの調製方法が望まれる。
前記特許文献3では、濃縮トリペプチド組成物に含まれる親水性トリペプチドとして、Gly−Ser−Hyp、Gly−Lys−Asp、Gly−Ala−Ala、Gly−Pro−Hyl、Gly−Leu−Hyp、Gly−Ala−Arg、Gly−Ala−Ser、Gly−Ala−Hyp、Gly−Gln−Glu、Gly−Glu−Gln、Gly−Pro−Ser、Gly−Pro−Lys、Gly−Pro−Ala、Gly−Pro−Pro、Gly−Pro−ArgおよびGly−Pro−Hypを特定し、疎水性トリペプチドとして、Gly−Phe−SerおよびGly−Phe−Alaを特定している。しかしながら、例えばGly−Glu−Argは、コラーゲンのアミノ酸配列中に6番目に高い含有量で存在するが、前記濃縮トリペプチド組成物には含まれていない。Gly−Glu−Hyp、Gly−Phe−Hypも同様である。このため、ペプチド組成物からこれらトリペプチドを単離することもできず、これらのトリペプチドの研究開発を行うにはペプチド合成が一般的となっている。従って、Gly−Glu−Arg、Gly−Phe−Hypに加え、コラーゲンに含まれる主要トリペプチドを含むペプチド組成物の調製方法の開発が望まれる。なお、特許文献5では、ビブリオ属由来のコラーゲン分解酵素を用いてミオシン軽鎖(実施例3)や牛のスネ硬肉(実施例4)、牛上肉(実施例5)に投与して肉のほぐれを観察するに過ぎない。また、特許文献6は、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ遺伝子、該遺伝子が組み込まれた組換えベクター、該ベクターにより形質転換された宿主細胞およびその利用に関し、遺伝子配列を開示するに過ぎない。
コラーゲンは、生体内で基底膜に含まれること、および抽出したコラーゲンの溶液は、特定条件下でゲル化する特性を有することから、細胞培養プレートにコラーゲンゲルのコートが行われている。近年は、生体環境に近似した培養を可能とすべく、コラーゲンゲル内に細胞を包埋して培養する三次元培養も多用されている。しかしながら、培養後は、コラーゲンゲルから細胞を回収する必要がある。三次元培養する際には、コラーゲン溶液を37℃に加温してゲル状に固化させればよい。形成されたコラーゲンゲルは45〜60℃程度に加熱変性することで可溶化できるが、細胞を含むコラーゲンゲルを加熱することはできない。よって、コラーゲン培地から細胞を傷つけずに回収しうる細胞培養方法の開発が望まれる。
そこで本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドから、Gly−Glu−ArgおよびGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物、およびその調製方法を提供することを目的とする。
また、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドから、Gly−Glu−Hyp、Gly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypを製造する方法を提供することを目的とする。
更に、コラーゲンゲルから細胞を傷つけずに回収して細胞を培養しうる細胞培養方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、コラーゲン由来トリペプチドについて詳細に検討したところ、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼはコラーゲンを分解してGly−Glu−Arg、Gly−Glu−Hyp、Gly−Phe−Hypを含むペプチド組成物を高収率で生産することができ、かつ細胞毒性が低いためコラーゲン中で培養された細胞を回収し細胞培養する際にも好適に使用し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質を分解してペプチド組成物を調製する方法であって、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質からGly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを切り出し前記Gly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物を調製する方法を提供するものである。
また本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質を分解して、Gly−Glu−Hypを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−Hypの製造方法を提供するものである。
また本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質を分解して、Gly−Glu−Argを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−Argの製造方法を提供するものである。
また本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加し、前記基質に含まれる−Y−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Hyp−Gly−(式中、Yはアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチド部分から、Gly−Glu−ArgとGly−Phe−Hypとを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypの製造方法を提供するものである。
また本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンをゲル状にした細胞培養用コラーゲンゲルで細胞を培養し、細胞培養後の前記細胞培養用コラーゲンゲルにグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記ポリペプチドを分解し、分解後の細胞培養用コラーゲンゲルから細胞を回収することを特徴とする、細胞培養方法を提供するものである。
更に本発明は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ分解されたペプチド組成物であって、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−Hypとの質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.3以上であることを特徴とする、ペプチド組成物を提供するものである。
また、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ分解されたペプチド組成物であって、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−HypとGly−Phe−Hypとの質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)+(Gly−Phe−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.6以上であることを特徴とするペプチド組成物を提供するものである。
本発明によれば、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを使用してコラーゲンからGly−Glu−Arg、Gly−Glu−HypおよびGly−Phe−Hypを含むペプチド組成物を生成することができる。また、コラーゲンゲルにグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して、コラーゲンゲル中で増殖した細胞を浮遊させ、細胞に与える負荷を少なくして細胞を回収しおよび培養することができる。
実施例1と比較例1の結果を示す図である。本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来コラゲナーゼは、ウシ由来ペプチド基質Gly−Glu−Arg−Gly−Pro−Hypに20ngを添加した後60分の間、直線的上昇でGly−Glu−Argを生成している。一方、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼは320ngの添加でもGly−Glu−Argを生成していない。 実施例2と比較例2の結果を示す図である。実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、ウシ由来ペプチド基質Gly−Pro−Hyp−Gly−Pro−Hypに20ngを添加した後30分の間、Gly−Pro−Hypを生成した。この生成量は、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼを80ng添加した場合と略同等であった。 実施例6と比較例6の結果を示す図である。ウシ腱由来酸抽出I型コラーゲンに実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを作用させると、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼを作用させた場合と比較して、(Gly−X−Y)の生成比率が高いことが示されている。 実施例7と比較例7の結果を示す図である。図3で示したI型コラーゲンに対する傾向は、II型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲンでも同様に観察されることを示す。 実施例10と比較例10の結果を示す図である。コラーゲン包埋細胞では、グリモンティア・ホリセー由来コラゲナーゼの作用により迅速にコラーゲンが分解され、多数の細胞が遊離した。一方、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼを作用させた場合は、グリモンティア・ホリセー由来コラゲナーゼよりも細胞遊離の程度が緩慢であった。
本発明の第一は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質を分解してペプチド組成物を調製する方法であって、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質を分解して、Gly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物を調製する方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
(1)グリモンティア・ホリセー(Grimontia hollisae)
コラゲナーゼを産生する微生物としてクロストリジウム属(Chrostridium sp.)、ビブリオ属(Vibrio sp.)、バチルス属(Bacillus sp.)、ストレプトマイセス属(Streptomyces sp.)などが知られているが、本発明で使用するコラゲナーゼは、グリモンティア・ホリセーに由来する。グリモンティア・ホリセーは、例えばATCC No.33564やATCC No.33565として入手できる。
(2)グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ
本発明では、グリモンティア・ホリセーが産生するコラゲナーゼの他、当該コラゲナーゼ遺伝子で形質転換された組み換え体から得たコラゲナーゼを使用することもできる。例えば、グリモンティア・ホリセーのゲノムを用いてBACクローンライブラリーを形成し、コラゲナーゼ遺伝子を含むものとして特定のバクミドを選択することができる。なお、グリモンティア・ホリセーを使用してBACクローンライブラリーを調製する方法や、このライブラリーを使用してコラゲナーゼを生産するB.brevis組み換え体を作成する方法は特許文献6に記載されている。
前記グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ遺伝子を用いて形質転換された組み換え体からコラゲナーゼを得るには、定法によりこれらを培養し、培養液から単離すればよい。ここで使用される培地は、通常の微生物の培地に用いられ、当該菌体が生育可能なものであれば、特に限定されないが、該培地中には、資化し得る窒素源、炭素源、無機塩類を適当量含有せしめておくことが好ましい。なお、窒素源、炭素源、無機塩類は特に制限されないが、例えば窒素源としては、肉エキス、酵母エキス、ペプトン、炭素源としては、グルコース、フルクトース、ショ糖、グリセリン、無機塩類としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸鉄、硫酸亜鉛等が挙げられる。培地のpHは6〜7程度が好ましく、培養温度は28〜30℃で、20〜72時間振とう培養することが好ましい。
培養物中からの目的物質であるコラゲナーゼの採取及び精製は、一般の酵素の採取及び精製手段に準じて行うことができる。すなわち、培養物を遠心、又は濾過などによって菌体を分離し、その培養濾液から通常の分離手段、例えば、有機溶媒沈澱法、塩析、限外濾過膜による濃縮等を用い、カラムクロマトグラフィー等により精製する方法が挙げられる。
(3)基質
本発明のペプチド組成物の調製方法で使用する基質は、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンやゼラチンである。このようなコラーゲンとしては、サカナ、ウシ、ブタ、ニワトリ、その他の動物のいずれに由来するコラーゲンであってもよい。コラーゲン型は、現在I型からXXIX型までが知られているが、そのいずれであってもよく、将来発見されるコラーゲンであってもよい。コラーゲンは動物種や型に限定されず、アミノ酸配列が近似するからである。
(4)ペプチド組成物の調製方法
コラゲナーゼの使用量は、基質に含まれるコラーゲンやゼラチンに対する比活性を予め測定し、当該比活性に基づいて適量を使用すればよい。なお、至適pHは7〜9であり、至適温度は30℃〜40℃である。他は、従来公知のコラゲナーゼの使用条件と同様に選択することができる。反応液には、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化マグネシウムなどを添加してもよい。
本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、−(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを分解してGly−X−Y(式中、XおよびYは同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドを切り出し、トリペプチド含有量の高いペプチド組成物を調製することができる。従来からコラゲナーゼによってトリペプチドを生成してもトリペプチド生成率は低く、例えば、前記特許文献1では高純度ゼラチンにコラゲナーゼを作用して30%のトリペプチドを得るに過ぎず、トリペプチド高含有品を得るために、例えば特許文献3や特許文献4では、希釈ペプチド溶液を精製して濃縮していた。I型コラーゲンを構成する3本のポリペプチド鎖には、約145種のトリペプチド配列が含まれる。しかしながらその全てをGly−X−Y(式中、XおよびYは同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチドに切り出すことはできない。このため、トリペプチドの2〜4量体((Gly−X−Y)n(式中、nは2〜4の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)が残存し、これによってペプチド組成物中のトリペプチド含有量が低くなっていた。また、特定のトリペプチドを生成するために複数の酵素を併用すれば、トリペプチドが更に分解したアミノ酸やジペプチドが副生するため、やはりトリペプチド生成量が低減した。本発明のペプチド組成物の調製方法によれば、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼのみを使用し、すなわち、酵素一段反応によってトリペプチド含有量の高いペプチド組成物を調製することができる。より具体的には、前記基質に含まれる(Gly−X−Y)(式中、XおよびYは同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるトリペプチド配列の70%以上、好ましくは70〜95%、より好ましくは75〜90%をトリペプチドに切り出し、トリペプチド含有率に優れるペプチド組成物を調製することができる。
この点を詳記する。本発明で調製されたペプチド組成物は、トリペプチドの含有量が高く、トリペプチドの2量体((Gly−X−Y))や3量体((Gly−X−Y))の含有率が低い。後記する実施例に示すように、ウシI型コラーゲンに対しグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを1質量%添加したところ、1時間の反応で約72%、4時間後に約83%、20時間後に約90%、48時間後に約93%をトリペプチドに切り出すことができた。なお、当該含有率は、GPCの面積比に基づく測定結果である。これに対し、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼによる場合には、約20時間で略平衡に達し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼの2.5倍量を使用しても、20時間後に約62%、48時間後に約68%の分解をするに過ぎなかった。クロストリジウム属とグリモンティア・ホリセー属との基質特異性の相違により、分解効率および分解総量が相違したものと推定される。
本発明のペプチド組成物の調製方法によれば、少なくともポリペプチドに含まれる主要14種のトリペプチドを生成することができる。特に、本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、ポリペプチドに含まれるトリペプチド配列のXやYの種類や配置に関わらず、多種のY−Gly間を切断できる。これにより従来のコラゲナーゼでは切り出すことができなかったGly−Glu−ArgやGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物を調製することができることが判明した。例えば、前記した特許文献3や4では、Gly−Glu−ArgやGly−Glu−Hypは含まれておらず、しかもトリペプチド高含有品を得るためにトリペプチド含有水溶液を濃縮している。しかしながら、本発明のペプチド組成物の調製方法によれば、Gly−Glu−ArgやGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物を調製することができ、かつ濃縮することなくトリペプチド含有量の高いペプチド組成物を得ることができるため、精製ロスを回避し、歩留まりを向上させることもできる。
前記したように、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼは反応約20時間で分解率が平衡に達した。そこで、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼとグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼとを用いて、コラーゲンに20時間作用させペプチド組成を評価した。コラーゲンのポリペプチド鎖3本当りに含まれるトリペプチド配列の個数は、Gly-Pro-Hypがもっとも多い。グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼで分解した場合のGly-Pro-Hypの生成量63.30g/kgは、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼによる場合35.11g/kgの約2倍であった。そこで得られるペプチド組成物のトリペプチド配合比を特定するため、Gly-Pro-Hypの生成量を基準として他のトリペプチドの割合を評価した。するとクロストリジウム属由来のコラゲナーゼで分解した場合には、Gly−Glu−ArgやGly−Glu−Hypは検出限界以下であり、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−Hypとを合計した質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)も0であった。これに対し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを使用した場合は、Gly−Glu−ArgとGly−Glu−Hypとを、それぞれ13g/kg以上の濃度で生成することができ、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−Hypとを合計した質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が、0.3以上、好ましくは0.3〜0.6、より好ましくは0.4〜0.5のペプチド組成物を得ることができた。
なお、I型コラーゲンのポリペプチド3本鎖の31箇所に、Gly−Glu−Argで示されるトリペプチドが含まれるが、Gly−Glu−Argの前後の配列は、各Gly−Glu−Argによって相違する。Gly−Glu−Hypも同様であり、同36箇所に存在するが、各Gly−Glu−Hyp毎に前後の配列が相違する。このことは、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼが、XやYの種類に関わらず広範囲にトリペプチドを生成しうる優れた分解活性を有することを意味する。このような分解特性は全く知られていなかった。この点、本発明のペプチド組成物の調製方法は、前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを作用させてトリペプチドを切り出し、Gly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを製造する方法といえる。
コラーゲンを基質とするペプチド組成物は、アミノ酸、ジペプチド、未分解のポリマーを含むペプチド組成物として食品その他に使用され、またはペプチド組成物に含まれる特定のジペプチドやトリペプチドの薬効などを期待して使用されることが通常であり、ペプチド組成物に含まれるトリペプチドの組成比を問題とすることが無かった。従来法によれば、コラーゲンに含まれるトリペプチド配列の約半分が未分解であり、複数の酵素を併用すればGly−X−Y(式中、XおよびYは同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示される以外のトリペプチドやアミノ酸、ジペプチドの含有量が増加するため、トリペプチドの組成比を評価する意義が少ないためである。しかしながら、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼはXやYの種類に関わらず広範囲にトリペプチドを生成しうるため、従来法による未分解配列部分も分解することができる。具体的には、コラーゲンに含まれる−Y−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Hyp−Gly−(式中、Yはアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチド部分の残存率が低い。従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼはこの配列を分解できなかったが、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、YとGlyとの間、ArgとGlyとの間、およびHypとGlyとの間を切断しうることが判明した。これにより、上記ペプチド部分から、Gly−Glu−ArgとGly−Phe−Hypとを生成することができる。なお、Gly−Glu−Argは抗炎症ペプチドなどとして有用であり、Gly−Phe−Hypは生体コラーゲン合成促進剤として機能しうる。従って、本発明のペプチド組成物の調製方法は、コラーゲン基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを作用させて、前記基質に含まれる−Y−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Hyp−Gly−(式中、Yはアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチド部分から、Gly−Glu−ArgとGly−Phe−Hypとを切り出す方法、およびGly−Glu−ArgとGly−Phe−Hypとを製造する方法といえる。
なお、Gly−Phe−Hypはポリペプチドに含まれる配列比が第12番目であるにも関わらず、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼによる場合は極めて微量に生成されるのみであった。グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼによれば、Gly−Phe−Hypを効率的に生産でき、Gly−Phe−Hypの含有量の高いペプチド組成物を製造することができる。Gly−Phe−Hypを、もっとも配列比の高いGly−Pro−Hypに対する質量比(Gly−Phe−Hyp/Gly−Pro−Hyp)で示すと、0.2以上、好ましくは0.2〜0.4、より好ましくは0.25〜0.35となるように切り出すことができる。すなわち、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼによれば、Gly−Pro−Hypに対する質量比(Gly−Phe−Hyp/Gly−Pro−Hyp)0.2以上のペプチド組成物を製造することができる。
上記の結果、本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、Gly−Glu−Arg、Gly−Glu−HypおよびGly−Phe−Hypを、もっとも配列比の高いGly−Pro−Hypに対する質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)+(Gly−Phe−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.6以上、好ましくは0.6〜0.8、より好ましくは0.65〜0.75となるように切り出すことができる。すなわち、前記Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−HypとGly−Phe−Hypとの質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)+(Gly−Phe−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.6以上のペプチド組成物を製造できる。従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼによる場合は、同質量比は0.01以下である。
なお、本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、後記する参考例に示すように比活性が高い。しかも、アミノ酸数5〜8の異なる合成ペプチドに対するいずれの比活性、およびコラーゲンに対する比活性のいずれもがクロストリジウム属由来のコラゲナーゼよりも高い。クロストリジウム属由来のコラゲナーゼでは切断しえなかった部位を切断しうることが、高い比活性の一因と推定される。
本発明で得られるペプチド組成物からGly−Glu−Arg、Gly−Glu−Hyp、Gly-Phe-Hyp、その他のトリペプチドを単離するには、公知の方法で精製すればよい。
(5)応用
本発明のペプチド組成物の調製方法を応用し、コラーゲンを含む細胞培地をトリペプチドに分解して細胞を回収し、細胞を培養することができる。
細胞の多くは接着依存性増殖を行い、分化機能や細胞増殖機能を適切に発現させるために、コラーゲンで被覆した培養容器が使用される。コラーゲンは生体内で基底膜として作用するため、細胞の増殖にはこのような基底膜に類似する環境の存在が好ましく、これにより継代培養を含む長期培養が可能となっている。このような培養に使用されるコラーゲンとしては、I型コラーゲンやIV型コラーゲンが使用され、浮遊培養や包埋培養が行われている。培養後に培地から細胞を回収するには、細胞への負荷なくコラーゲンを分解する必要がある。本発明で使用するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、コラーゲンやゼラチンなどの基質に対して比活性が高く、コラーゲンを分解して迅速にトリペプチドを生成することができる。このため、コラーゲン上で増殖し、またはコラーゲンゲル中に包埋されて増殖する細胞の回収に好適に使用することができる。しかも、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、細胞毒性が低い。培地から短時間で細胞を回収しうるため、回収後の細胞の生育状態に与える影響も少なく、回収後の細胞の成育率に優れる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを調製するため、そのコラゲナーゼ遺伝子を含むバクミドpCC1BAC−2(NITE P−739)を使用した。当該バクミドには、配列番号4に示す1番目のATGから始まり2304番目のTAAで終わる2304塩基対からなるコラーゲン分解酵素の遺伝子の全領域が含まれている。番号前記バクミドpCC1BAC−2を鋳型として、挿入されているコラゲナーゼ遺伝子の成熟体領域2040bpのDNA断片の5’側にNco Iサイトを、3’側にHind IIIサイトを付加し、Expand High Fidelity PCR System(Roche)により増幅した。増幅された断片をNco I−Hind IIIで処理して回収した当該DNA断片を、プラスミドベクターpNY326のサイトに挿入して、pNY326−Col2を作製した。さらに組換プラスミドpNY326−Col2をB.brevisS5株に形質転換して、コラゲナーゼを大量に生産するB.brevis組換え体を作製した。
当該B.brevis組換え体を2SYN培地(4%ポリペプトンS、0.5%酵母エキス、2%グルコース、0.001%FeSO・7HO、0.001%MnSO・7HO、0.0001%ZnSO・7HO、50μg/mlネオマイシン)中で、30℃、48時間培養した。
前記培養上澄みの硫安分画を分取し、これをQセファロースカラムクロマトグラフィー、次いでゲル濾過法により精製してコラゲナーゼを得た。これをグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼとした。得られたコラゲナーゼについてSDSポリアクリルアミドによる電気泳動(以下、SDS−PAGEと称する)を行い、特許文献6記載のコラゲナーゼと同様のコラゲナーゼ分子を含むものであることを確認した。
50mMのTris−HCl(pH7.5)緩衝液にウシI型コラーゲン由来ペプチド基質Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Hyp(以下、GERGFOと称す。)を溶解させて2mM GERGFO液を調製した。10mMのCaClを含む50mMのトリスHCl(pH7.5)緩衝液0.23mlに前記GERGFO液0.25mlを混合し、予め37℃で加温した後、0.01%のTween20を含む10mMのCaClで1μg/mlに稀釈した前記コラゲナーゼ20μl(反応系中に20ng添加)を加えて反応液とした。この反応液を37℃に保温し、経時的に0.05mlをサンプリングした。得られたサンプル液は0.05mlの1%ギ酸と混合して反応停止した後、LC−MSにてGly−Glu−Arg(GER)を検出および定量し、GERGFO分解活性を評価した。反応系1mlにおいて、1mgの酵素が1分あたり1μmoleの前記ペプチドを分解する活性を比活性1U/mgとし算出し、得られた比活性を表1に示し、Gly−Glu−Arg生成の経時変化を図1に示す。
(比較例1)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した。このコラゲナーゼを0.01%のTween20を含む10mMのCaClで稀釈し、酵素溶液20μl中に各々酵素量80ng、160ng、320ngとなるよう調製した。実施例1と同様、10mMのCaClを含む50mMのトリスHCl(pH7.5)緩衝液0.23mlとGERGFO液0.25mlを混合し、予め37℃で加温した後、この酵素液20μlを混合し、反応液とした。この反応液を37℃に保温し、経時的に0.05mlをサンプリングした。得られたサンプル液は0.05mlの1%ギ酸と混合して反応停止した後、LC−MSにてGly−Glu−Argを経時的に検出および定量し、分解活性を評価した。実施例1と同様にして比活性を算出し、得られた比活性を表1に、Gly−Glu−Arg生成の経時変化を図1に示す。なお、図1において「GH20」は実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを20ng、「Cl 80」は前記クロストリジウム属由来のコラゲナーゼを80ng、「Cl 160」は同コラゲナーゼを160ng、「Cl 320」は同コラゲナーゼを320ng添加した際の結果である。
図1に示すように、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、ウシI型コラーゲン由来ペプチド基質GERGFOに作用してArgとGlyとの間を切断し、Gly−Glu−Argを産生することができた。これに対し、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼは反応60分でもArgとGlyとの間を切断することができず、よってGly−Glu−Argは生成されなかった。
(実施例2)
ペプチドとして、実施例1で使用したウシI型コラーゲン由来ペプチド基質GERGFOに代えてウシI型コラーゲン由来ペプチド基質Gly−Pro−Hyp−Gly−Pro−Hyp(以下、GPOGPOと称す。)を使用し、Gly−Glu−Argに代えてGly−Pro−Hypを検出した以外は実施例1と同様に操作して分解活性を評価した。結果を表1、図2に示す。
(比較例2)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した以外は、実施例2と同様に操作して分解活性を評価した。結果を表1、図2に示す。なお、図2において「GH20」は実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを20ng、「Cl 80」は前記クロストリジウム属由来のコラゲナーゼを80ng、「Cl 160」は同コラゲナーゼを160ng、「Cl 320」は同コラゲナーゼを320ng添加した際の結果である。
図2に示すように、GPOGPOに対する分解活性は、実施例1のグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ20μg/mlとクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ80μg/mlとが、略同等の活性であった。
(実施例3)
ペプチドとして、実施例1で使用したウシI型コラーゲン由来ペプチド基質GERGFOに代えてN−(3[2−furyl]acryloyl)−Leu−Gly−Pro−Ala(以下、FALGPAと称す。)を使用し、Van Wart,H.E.らの方法(Analytical Biochemistry,113,356−365,(1981))により比活性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した以外は、実施例3と同様に比活性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ペプチドとして、実施例1で使用したウシI型コラーゲン由来ペプチド基質GERGFOに代えて合成基質4−Phenylazobenzyloxycarbonyl−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg(以下、Pz−PLGP−D−Argと称す。)を使用し、Wunsch法(Zeitschrift fur Physiologishe Chemie,333,149−151(1963))により比活性を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した以外は、実施例4と同様に操作して比活性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、4種の基質に対するグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼの比活性は、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼの比活性よりも高値であった。
(実施例5)
コラーゲン分解活性は、細胞外マトリックス研究法(1) 第II部 免疫学的・酵素学的研究法(p77−82,1998,コラーゲン技術研修会発行)に記載の方法に準じて測定した。すなわち、蛍光標識したI型コラーゲン(以下、FITC−Collagenと称す。)0.05%、5mMのCaCl、200mMのNaClを含む50mMのトリスHCl(pH7.5)に、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ0.5μgを混合して30℃に加温した。30分後、EDTAを添加して酵素反応を停止した。反応液を70%のエタノールを含有する50mMのトリスHCl(pH9.5)で抽出し、蛍光分光光度計で定量した。比活性を表2に示す。
(比較例5)
実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼに代えて、クロストリジウム・ヒストリティカム由来のコラゲナーゼ(天野酵素社製)を使用して、実施例5と同様にして比活性を算出した。結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、I型コラーゲンを分解し、その際の比活性は、クロストリジウム・ヒストリティカム由来の比活性の約4.1倍と高値であった。
(実施例6)
予め5mM酢酸に1mg/mlで溶解したウシ腱由来酸抽出I型コラーゲン0.5mlを、0.4MのNaCl、10mMのCaClを含む0.1MのトリスHCl(pH7.5)からなる基質中和液0.5mlに混和して0.5mg/mlのコラーゲン溶液を調製した。また、前記基質中和液の2倍希釈液1mlに実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを5μg溶解し、0.2μmのフィルターでろ過し、酵素液を調製した。前記コラーゲン溶液0.1mlに酵素液0.1mlを混合し温度30℃で20時間反応させた。反応終了後に、millex LH0.45μmでろ過し、GPC分析を行った。結果を図3に示す。
また、反応液の一部を取り、Gly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypの含有量をLC−MSで定量したところ、それぞれ3.28μg/ml、4.30μg/mlであった。
(比較例6)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を12.5μg/mlの濃度で使用した以外は、実施例6と同様に操作してGPC分析を行った。結果を、図3に示す。
また、実施例6と同様にして反応液に含まれるGly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypの含有量を定量したところ、前者は検出されず、後者は0.068μg/mlであった。
図3に示すように、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼにより、I型コラーゲンに作用して生成する(Gly−X−Y)で示すトリペプチドの含有比率は、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼによる場合よりも高値であり、(Gly−X−Y)や(Gly−X−Y)を分解して、高濃度のトリペプチドが生成されることが判明した。
(実施例7)
ウシ腱由来酸抽出I型コラーゲンに代えて、ペプシン抽出で調製したII型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲンを使用し、実施例6と同様にGPC分析を行った。結果を図4に示す。
(比較例7)
コラゲナーゼとしてクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した以外は、実施例7と同様に操作してGPC分析を行った。結果を図4に示す。
図4に示すように、コラゲナーゼを分解して(Gly−X−Y)や(Gly−X−Y)よりトリペプチド(Gly−X−Y)を効率的に生成する実施例1のコラゲナーゼによる活性は、I型コラーゲンに限定されず、II型、III型、V型コラーゲンに対しても同様に観察された。
(実施例8)
予め5mM酢酸に溶解したウシ腱由来酸抽出I型コラーゲン液に、0.4MのNaClと10mMのCaClとを含む0.1M Tris−HCl(pH7.5)基質中和液を同量添加し、前記基質中和液の2倍希釈液を添加してコラーゲン濃度を1mg/mlに調整し、コラーゲン溶液とした。また、前記2倍希釈液1mlに実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを5μg溶解し、0.2μmのフィルターでろ過し、濃度5μg/mlの酵素液を調製した。前記コラーゲン溶液0.1mlに酵素液0.1mlを混合し温度30℃で20時間反応させた。反応終了後に、−20℃で凍結保存した。凍結保存したサンプルは、溶解後0.1%ギ酸で希釈した後、LC−MSにてトリペプチド生成量を測定した。表3に、ウシ腱由来酸抽出I型コラーゲンを構成するI型コラーゲンのポリペプチド鎖3本当りのトリペプチド配列の個数を数の多い順に記載し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼによって生成した各トリペプチドの生成量を示した。なお、表3においてNDは検出限界以下を示す。
(比較例8)
また、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼに代えて、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用した。実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼのkcatは、前記グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼの1.29倍である。両酵素液のkcatを等しくするには、質量換算で実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼの2.5倍量の前記クロストリジウム属由来のコラゲナーゼが必要となる。よって、コラゲナーゼのkcatを等しくするために12.5μg/mlのクロストリジウム属由来のコラゲナーゼの酵素液を調製した。この酵素液を使用し、上記と同様に反応させてトリペプチド生成量を測定した。結果を表3に示す。
更に、コラゲナーゼ液に代えて実施例8で使用した2倍希釈液を使用し、上記と同様に操作し、コラゲナーゼ無添加の系としてトリペプチド量を測定した。結果を表3に示す。
表3に示すように、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、コラーゲンを分解し、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼでは生成し得なかったGly−Glu−ArgおよびGly−Glu−Hypを生成することができた。また、もっとも存在比の高いGly−Pro−Hypの生成量は、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼが35.11g/kgであるのに対し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは63.30g/kgと約2倍も高い結果となった。Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgおよびGly−Glu−Hypの比は、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼが0であるのに対し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは0.41と極めて生成率に優れた。このコラーゲンに由来するGly−X−Yトリペプチド存在比第12番目の1つはGly−Phe−Hypであり、従来のクロストリジウム属由来のコラゲナーゼでは0.27g/kgの生成量であるが、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは17.22g/kgと極めて高収率に当該トリペプチドを生成することができた。この結果、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−Arg、Gly−Glu−HypおよびGly−Phe−Hyp合計の比は、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼが0.01であるのに対し、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは0.69と極めて生成率に優れた。グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼは、従来切断しえなかったアミノ酸配列を切断してトリペプチドを生成できるため、トリペプチド生成率にも優れた。
(実施例9、比較例9)
予め5mM酢酸に溶解した3mg/ml濃度のウシ皮由来酸抽出I型コラーゲン液に、0.4MのNaClと10mMのCaClとを含む0.1M Tris−HCl(pH7.5)基質中和液を1:1の割合で添加してコラーゲン濃度を1.5mg/mlに調整し、コラーゲン溶液とした。
また、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼに、前記基質中和液を2倍希釈して調製した基質希釈液を添加して溶解し、0.2μmのフィルターでろ過し、濃度0.1mg/mlの酵素液を調製した。前記コラーゲン溶液0.1mlに酵素液0.15mlを混合し、温度30℃で反応させた。反応後1、2、4、20、28および48時間の反応液をサンプリングし、5分のヒートショック処理を行った後に−20℃にて凍結保存し、分析用試料とした。これを実施例9とする。)
同様に、前記基質希釈液を使用してクロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)の0.25mg/mlを調製し、前記コラーゲン溶液0.1mlに酵素液0.15mlを混合し、温度30℃で反応させ、分析用試料を調製した。これを比較例9とする。なお、コラゲナーゼの添加量は、反応系中で同等の活性となるようそれぞれの分子量およびkcat値から算出したものであり、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼはコラーゲンに対し1%濃度に、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼは2.5%濃度となっている。
各分析試料について、GPCを用い、定法に従って、生じたトリペプチドの生成面積比(%)の経時変化を測定した。結果を表4に示す。
コラーゲン1kgにグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを1時間反応させると717gのトリペプチドを生成することができ、48時間の反応で935gのトリペプチドを生成することができるが、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼを使用した場合には48時間反応させた場合でも687gのトリペプチドを生成しうるに過ぎない。しかも、グリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼによれば、例えば表3に示すように、Gly−Glu−Hyp、Gly−Glu−Argなどのクロストリジウム属由来のコラゲナーゼで生成することができないトリペプチドを得ることができ、更に、生成率が5%を下回るGly−Ala−Hyp、Gly−Leu−Hyp、Gly−Ala−Arg、Gly−Pro−Ser、Gly−Pro−Gln、Gly−Phe−Hyp、Gly−Pro−Valなどのトリペプチドも効率的に得ることができる。
(実施例10)
(1)24ウェルプレートの各ウェルに対し、氷冷下、ニッピゲルカルチャーキット(株式会社ニッピ社製、商品名「Tri・D」)のコラーゲン試薬(3mg/ml)0.1ml、コラーゲン稀釈用水0.1mlを添加し、これに3倍濃縮培地0.1mlを加えた。これを37℃のCOインキュベーターで1時間静置し、ゲル化した。
(2)デッシュに通常培養した線維芽細胞をトリプシン処理して剥離し、細胞を遠心分離で回収し、細胞培養培地による懸濁液を調製した。
(3)前記(1)で調製したゲルを形成したウェルに、5×10細胞/ウェルとなるように上記(2)の細胞懸濁液を注ぎ、37℃のインキュベーターで1時間インキュベートした。
(4)上記(2)で使用した細胞培養培地を各ウェルに1.2ml加え、1時間培養を行った。
(5)培地を取り除き、再度、前記細胞培養培地を1.2ml添加し、24時間培養を行った。
(6)24時間後、ウェルに滅菌ろ過水4mlに実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ20mgを溶解した酵素液を200μlずつ添加した。コラゲナーゼ終濃度は0.71mg/mlである。
(7)37℃で30分、40分、50分、または60分間インキュベートした後、ウェル内の溶液を遠心分離して細胞を回収した。
(8)細胞を培地ですすぎ、2mlの培地に再分散し、12ウェルプレートに全量播種した。
(9)24時間後、細胞形態を観察した。結果を表5および図5に示す。
(比較例10)
実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼに代えて、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼ(ロシュアプライドサイエンス社製、商品名「リベラーゼC/T」)を使用して、実施例10と同様にして細胞形態を観察した。結果を表5および図5に示す。
表5に示すように、細胞を包埋するコラーゲンに実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを作用させると、クロストリジウム属由来のコラゲナーゼよりも迅速にコラーゲンを分解した。コラーゲン投与30〜60分で回収された細胞を観察すると、実施例1で得たグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを使用した場合は、30〜60分のいずれにおいてもクロストリジウム属由来のコラゲナーゼを使用した場合よりも細胞数が多い結果となった。

Claims (7)

  1. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、前記基質を分解してペプチド組成物を調製する方法であって、
    前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質からGly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを切り出し前記Gly−Glu−Argおよび/またはGly−Glu−Hypを含むペプチド組成物を調製する方法。
  2. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、
    前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質を分解して、Gly−Glu−Hypを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−Hypの製造方法。
  3. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、
    前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記基質を分解して、Gly−Glu−Argを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−Argの製造方法。
  4. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンを基質とし、
    前記基質にグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加し、
    前記基質に含まれる−Y−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Hyp−Gly−(式中、Yはアミノ酸残基を示す。)で示されるペプチド部分から、Gly−Glu−ArgとGly−Phe−Hypとを切り出すことを特徴とする、Gly−Glu−ArgおよびGly−Phe−Hypの製造方法。
  5. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドを含むコラーゲンまたはゼラチンをゲル状にした細胞培養用コラーゲンゲルで細胞を培養し、
    細胞培養後の前記細胞培養用コラーゲンゲルにグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼを添加して前記ポリペプチドを分解し、
    分解後の細胞培養用コラーゲンゲルから細胞を回収することを特徴とする、細胞培養方法。
  6. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ分解されたペプチド組成物であって、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−Hypとの質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.3以上であることを特徴とする、ペプチド組成物。
  7. −(Gly−X−Y)n−(式中、nは2以上の整数を示し、XおよびYは各nにおいてそれぞれ同一でも異なってもよいアミノ酸残基を示す。)で示されるポリペプチドグリモンティア・ホリセー由来のコラゲナーゼ分解されたペプチド組成物であって、Gly−Pro−Hypに対するGly−Glu−ArgとGly−Glu−HypとGly−Phe−Hypとの質量比((Gly−Glu−Arg)+(Gly−Glu−Hyp)+(Gly−Phe−Hyp)/Gly−Pro−Hyp)が0.6以上であることを特徴とするペプチド組成物。
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