JP6444247B2 - 切削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、切削ブレードで被加工物を切削する切削装置に関し、特に、切削ブレードを覆う切削ブレードカバーを備えた切削装置に関する。
従来、切削ブレードで板状ワークを切削する切削装置では、切削ブレードが切削ブレードカバーによって覆われている。このような切削装置においては、切削ブレードのうち板状ワークを切削する切削部分のみを露出させ、切削部分に切削水を供給しながら切削加工が実施される。また、切削加工時に切削水及び切削屑が飛散するのを防止するため、切削ブレードカバーに吸引源を接続し、切削水及び切削屑を切削ブレードカバー内で吸引する切削装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の切削装置では、切削ブレードカバー内の空間が吸引されながら切削加工が実施されるため、切削水及び切削屑が切削ブレードカバーの外側に飛散することがない。この結果、板状ワークに切削屑が付着したり、板状ワークの表面に形成されるデバイスが傷つけられる等の不具合を防止することができる。
特開2014−210303号公報
しかしながら、特許文献1に記載の切削装置では、吸引源の吸引力が非常に高められた状態で切削加工が実施されるため、切削水及び切削屑の吸引先では、切削水や切削ブレードカバー内の空気が混ざった状態で気液分離が上手くなされず、液体を適切に排出することができないという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、切削ブレードカバー内で吸引した空気と切削水とを分離し、切削水を適切に外部へ排出することができる切削装置を提供することを目的とする。
本発明の切削装置は、板状ワークを保持する保持手段と、保持手段が保持する板状ワークを切削ブレードで切削する切削手段と、切削ブレードと板状ワークとに切削水を供給する切削水供給手段と、切削水供給手段で供給された切削水を吸引して排水する吸引排水手段と、を備える切削装置であって、吸引排水手段は、板状ワークに切込ませる切削ブレードの切削領域を露出させ切削ブレードを収容する収容室を有する切削ブレードカバーと、切削ブレードで切削中に収容室を負圧にする負圧生成手段と、を備え、負圧生成手段は、収容室と吸引源とを連通する吸引配管と、吸引配管に配設され収容室から吸引した気体と切削水とを分離して切削水を排水させる分離排水手段と、分離排水手段で分離された切削水を排水する排水配管と、を備え、分離排水手段は、上部に吸引配管を接続し下部に排水配管を接続するシリンダと、シリンダの断面に相当する面積のピストンを吸引配管の接続口と排水配管の接続口との間でシリンダの内部を進退させる進退機構と、シリンダ内を負圧状態に維持してピストンを進退させることによりシリンダ内の切削水を排出するためにピストンに配設する第1の弁と、シリンダに配設する第2の弁と、を備え、第1の弁と第2の弁とは、進退機構を用いてピストンが切削水を排出する方向に移動することによって第1の弁が閉じられ第2の弁が開かれ、ピストンが切削水を排出する方向とは反対の方向に移動することによって少なくとも第1の弁が開かれる構成で、吸引源によるシリンダ内の負圧を維持しつつ切削水を排出することを特徴とする。
この構成によれば、切削加工中に収容室が負圧になることで、切削ブレードカバー内の切削水及び切削屑は、吸引配管を通じて吸引される。このとき、吸引された気体や切削水は、吸引配管からシリンダ内に流れ込むときに流速が急激に落とされる。このとき、空気に対して比較的重量が大きい切削水は、空気から分離される。分離された切削水は、ピストンによって仕切られるシリンダ内の一方の空間に溜められる。シリンダ内の負圧状態を維持するように、ピストンが進退機構によって切削水を排出する方向とは反対の方向に移動されると、第1の弁が開かれる。切削水は第1の弁を通じ、ピストンによって仕切られるシリンダ内の他方の空間に向かって流れ込む。そして、シリンダ内の負圧状態を維持するように、ピストンが進退機構によって切削水を排出する方向に移動されると、第2の弁が開かれる。これにより、他方の空間内の切削水は、排水配管を通じて外に排出される。このように、切削ブレードカバー内の切削水及び切削屑を吸引する切削装置において、シリンダ内の負圧を維持しながら気体と切削水を適切に分離しつつ、切削水等の液体を適切に外部に排出することができる。
本発明によれば、切削ブレードカバー内で吸引した空気と切削水とを分離し、切削水を適切に外部へ排出することができる。
本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。 本実施の形態に係る吸引排水手段の模式図である。 本実施の形態に係る切削水の排水動作の一例を示す図である。 変形例に係る切削水の排水動作の説明図である。
以下、添付図面を参照して、本実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る切削装置の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る吸引排水手段の模式図である。なお、以下では、切削装置の一例を説明するが、本実施の形態に係る切削装置の構成はこれに限定されない。被加工物を切削可能であれば、切削装置をどのような構成としてもよい。
図1に示すように、切削装置1は、切削ブレード40を覆う切削ブレードカバー41を吸引し、切削ブレードカバー41内を負圧にした状態で板状ワークWを切削加工するように構成されている。板状ワークWは、円板状の半導体ウエーハであり、表面が分割予定ライン(不図示)によって複数の領域に区画されている。分割予定ラインで区画された各領域には、IC、LSI等の各種デバイスDが形成されている。板状ワークWの裏面には保護テープTが貼着され、板状ワークWは保護テープTを介して環状の支持フレームFに支持される。なお、板状ワークWは、半導体ウエーハだけでなく、セラミック、ガラス、サファイヤ系の光デバイスウエーハでもよい。
ハウジング2の上面には、X軸方向(切削方向)に延びる長方形状の開口部(不図示)が形成されている。この開口部は、チャックテーブル3(保持手段)と共に移動可能な移動板31及び蛇腹状の防水カバー32により被覆されている。防水カバー32の下方には、チャックテーブル3をX軸方向に移動させる不図示のボールねじ式の移動機構が設けられている。チャックテーブル3の表面には、ポーラスセラミック材により板状ワークWを吸着する吸着面33が形成されている。吸着面33は、チャックテーブル3内の流路を通じて吸引源に接続されている。
チャックテーブル3は、装置中央の受け渡し位置と切削手段4に臨む加工位置との間で往復移動される。なお、図1は、チャックテーブル3が受け渡し位置に待機した状態を示している。ハウジング2では、この受け渡し位置に隣接した一の角部が一段下がっており、下がった箇所に載置テーブル6が昇降可能に設けられている。載置テーブル6には、板状ワークWを収容したカセット7が載置される。カセット7が載置された状態で載置テーブル6が昇降することによって、高さ方向で板状ワークWの引出位置及び押込位置が調整される。
載置テーブル6の後方には、Y軸方向に平行な一対のガイドレール8と、一対のガイドレール8とカセット7との間で板状ワークWを搬送するプッシュプル機構9と、が設けられている。一対のガイドレール8は、プッシュプル機構9による板状ワークWの搬送をガイドすると共に、板状ワークWのX軸方向の位置決めをする。プッシュプル機構9は、カセット7から一対のガイドレール8に加工前の板状ワークWを引き出す他、一対のガイドレール8からカセット7に加工済みの板状ワークWを押し込むように構成されている。プッシュプル機構9により板状ワークWのY軸方向が位置決めされる。
一対のガイドレール8の近傍には、ガイドレール8とチャックテーブル3との間で板状ワークWを搬送する第1の搬送アーム10が設けられている。第1の搬送アーム10の上面視L字状のアーム部10aが旋回することで板状ワークWが搬送される。また、受け渡し位置のチャックテーブル3の後方には、スピンナ式の洗浄機構11が設けられている。洗浄機構11では、回転中のスピンナテーブル11aに向けて洗浄水が噴射されて板状ワークWが洗浄された後、乾燥エアーが吹き付けられて板状ワークWが乾燥される。
ハウジング2上には、切削手段4を支持する支持台20が設けられている。切削手段4は、加工位置のチャックテーブル3の上方に位置付けられており、板状ワークWの表面から切削ブレード40を切り込ませて板状ワークWを切削するように構成される。切削手段4は、板状ワークWを切削する切削ブレード40を回転可能に装着する。切削手段4は、ボールネジ式の移動機構(不図示)によって、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に構成される。
切削手段4は、切削ブレード40をスピンドル(不図示)の先端に回転可能に装着して構成されている。切削ブレード40は後述する吸引排水手段5(図2参照)の一部を構成する切削ブレードカバー41によって周囲が覆われている。切削ブレード40は、板状ワークWを切削する切削領域(切削ブレードカバー41の下側)のみ外部に露出された状態で、切削ブレードカバー41によって形成される収容室42(図2参照)内に収容される。
切削ブレードカバー41には、切削ブレード40及び板状ワークWに切削水を供給する切削水供給源43(切削水供給手段)と、後述する負圧生成手段50とが接続されている。切削加工中は、切削水供給源43から切削水が切削ブレードカバー41内に供給されると共に、負圧生成手段50によって収容室42内が負圧状態に維持される。本実施の形態では、切削水供給源43から切削液が供給されながら、高速回転された切削ブレード40によって板状ワークWが切り込まれることで、板状ワークWが分割予定ラインに沿って切削される。このとき、収容室42が負圧状態に維持されるため、切削水及び切削屑が吸引されながら、切削加工が実施される。
支持台20の側面20aには、チャックテーブル3と洗浄機構11との間で板状ワークWを搬送する第2の搬送アーム21が設けられている。第2の搬送アーム21のアーム部21aは斜めに延びており、このアーム部21aがY軸方向に移動することで板状ワークWが搬送される。また、支持台20には、チャックテーブル3の移動経路(X軸方向)の上方を横切るようにして、撮像部22を支持する片持支持部23が設けられている。撮像部22は片持支持部23の下方から突出し、撮像部22によって板状ワークWが撮像される。撮像部22による撮像画像は、切削手段4とチャックテーブル3とのアライメントに利用される。
支持台20の上面には、モニタ24が配置されている。モニタ24には、撮像部22で撮像された画像、切削ブレード検出手段5で検出された切削ブレード40の状態、板状ワークWの加工条件等が表示される。また、切削装置1には、装置各部を統括制御する制御手段25が設けられている。制御手段25は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成される。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。
上記したように、本実施の形態に係る切削装置1は、切削水及び切削屑を吸引しながら切削加工を実施するように構成されている。このような切削加工を実現するため、切削装置1は、切削水や切削水に含まれる切削屑を吸引して排出(排水)する吸引排出手段5を備えている。図2に示すように、吸引排出手段5は、切削ブレード40を収容する収容室42を有する切削ブレードカバー41と、収容室42を負圧にする負圧生成手段50とを備えている。
負圧生成手段50は、吸引源51と、吸引源51と切削ブレードカバー41(収容室42)とを接続(連通)する吸引配管52、53と、収容室42から吸引した気体(収容室42内の空気)と液体(切削屑を含んだ切削水)とを分離して液体を排出(排水)する分離排水手段6と、分離排水手段6によって分離された液体を外部に排出(排水)する排水配管54とを有している。吸引源51は、例えば、エジェクタによって構成され、エジェクタに圧縮エアーが供給されることで負圧が生成される。吸引配管52の途中には、吸引配管52内の圧力を測定する圧力計55が設けられている。
分離排水手段6は、切削水を溜める貯水タンク60と、貯水タンク60の内面に沿って上下に摺動可能なピストン61と、ピストン61を上下に進退させる進退機構7とによって構成される。貯水タンク60は、円形状の底壁部60a及び上壁部60bを上下に対向させ、底壁部60a及び上壁部60bを筒状の側壁部60cで接続することにより、鉛直方向に立ち上がる円柱状に形成される。貯水タンク60は、例えば、透光性部材で形成される。側壁部60cは、貯水タンク60内に溜められる切削水を外部に排出するシリンダの一部を構成する。
側壁部60cの上端側(上部)には吸引配管52が接続され、上壁部60bには吸引配管53を介して吸引源51が接続されている。また、側壁部60cの下端側には、排水配管54が接続されている。ピストン61は、貯水タンク60の内径と略同径の円板状に形成されており、貯水タンク60(側壁部60c)の断面に相当する面積を有している。ピストン61の外周には、側壁部60cの内面に当接する環状のピストンパッキン61aが設けられている。ピストンパッキン61aは、ゴムなどの弾性体で形成され、ピストン61を側壁部60cの内面に沿って摺動させる摺動部として機能する。
ピストン61により貯水タンク60内の空間が上下2つに仕切られる。上側の空間は切削水を溜めるための貯水空間62(一方の空間)を構成し、下側の空間は切削水を排出するための排水空間63(他方の空間)を構成する。また、側壁部60cの内面には、排水配管54との接続部分近傍に内向きに突出する環状の突起部64が設けられている。この突起部64は、ピストン61の移動を規制するストッパの役割を果たす。
また、ピストン61には、中央からずれた位置に開口61bが形成されている。この開口61bを塞ぐように、ピストン61の下面には、板状のプレート65が配設される。プレート65は、ピン66を介してピストン61に連結される。プレート65は、ピン66を支点に上下方向に揺動可能に構成される。これにより、ピストン61の開口61bの開閉を切換える第1の弁67が形成される。なお、図2においては、プレート65がピストン61の下面に当接しており、第1の弁67が閉じられた状態になっている。
排水配管54には、貯水タンク60との接続部分近傍に排水配管54の断面と相補形状のプレート56が配設されている。プレート56の一端(上端)はピン57を介して排水配管54に連結される。プレート56は、ピン57を支点に左右方向に揺動可能に構成される。プレート56は、エジェクタ51により貯水タンク60内が負圧になることで排水配管54を閉じる方向に動作する、また、プレート56は、ピストン61が上昇される際にも、排水配管54を閉じる方向に動作する。これにより、排水配管54の開閉を切換える第2の弁58が形成される。なお、本実施の形態では、第2の弁58が排水配管54内に設けられる構成としたが、この構成に限定されない。第2の弁58は、貯水タンク60に設けられる構成としてもよい。
一方、プレート56の他端(下端)側の排水配管54の内面には、上方に突出する突起部59が設けられている。突起部59は、プレート56に対して貯水タンク60(貯水空間62)側に設けられている。この突起部64は、プレート56の揺動を規制するストッパとして機能する。なお、図2においては、プレート56がトーションバネによって付勢される結果、プレート65の下端が突起部59に当接しており、第2の弁58が閉じられた状態になっている。
進退機構7は、例えば、エアシリンダで構成され、上壁部60bの上に設けられている。進退機構7は、円筒状のシリンダ本体70内でピストン71を上下に移動可能に構成される。ピストン71は円板状に形成され、ピストン71の下面中央には、下方に延びるロッド72が設けられている。ロッド72は貯水タンク60の上壁部60bを貫通し、ロッド72の先端(下端)がピストン61の上面中央に連結されている。ピストン61は、吸引配管52の接続口と排水配管54の接続口との間で移動可能に構成される。
シリンダ本体70の側面の上下端には、配管73、74の接続口75、76が設けられている。各接続口75、76には、配管73、74を介して共に電磁弁77に接続される。電磁弁77の先には図示しないエアー供給源が接続される。進退機構7では、電磁弁77によってエアーの供給先を切換えることにより、ピストン71及びロッド72の上下動が制御される。
また、貯水タンク60の側壁部60cの外面には、貯水タンク60内に溜められる液体の水位を検出する水位計8が設けられる。水位計8は、水位の上限を検出する上限センサ80と、水位の下限を検出する下限センサ81とによって構成される。下限センサ81は、排水配管54よりも僅かに高い位置で、例えば、ピストン61の下降端よりも高い位置に設けられる。一方、上限センサ80は、下限センサ81より高い位置であって吸引配管52より低い位置、例えば、ピストン61の上昇端よりも低い位置に設けられる。
上限センサ80及び下限センサ81は、例えば、投光式の光センサで構成される。上限センサ80(下限センサ81)は、投光部80a(投光部81a)と受光部80b(受光部81b)とを水平方向で対向させ、受光部80b(受光部81b)は、投光部80a(投光部81a)から発光される光を受光する。上限センサ80(下限センサ81)は、受光部80b(受光部81b)の受光量の変化によって水位を検出する。なお、水位計8は、上記した構成に限定されず、例えば、フロート式の水位計で構成されてもよい。
このように構成される切削装置1は、切削水を供給しながら切削ブレード40を回転させて板状ワークWの分割予定ラインに切り込ませることにより、板状ワークWを切削加工する。切削加工中は切削ブレードカバー41内(収容室42内)に負圧が生成されているため、切削水及び切削屑は、吸引排水手段5によって吸引される結果、貯水タンク60に溜められる。所定量の切削水が貯水タンク60に溜められると、貯水タンク60内のピストン61が上下動され、貯水タンク60の切削水が排水配管54を通じて外部に排出される。
ところで、切削ブレードカバーに吸引源を接続し、切削水及び切削屑を切削ブレードカバー内で吸引しながら切削加工を実施する切削装置においては、強力な吸引力を維持するために、空気の吸引量が非常に多くなる。このため、切削加工によって生じた切削屑を含む切削水を吸引した場合、吸引先においては、切削ブレードカバー内の空気と切削水とが混在した状態となっている。この切削水を適切に排出するためには、空気と切削水とを分離する必要がある。
例えば、切削ブレードカバーに接続される吸引配管の先に、当該吸引配管の容積より十分に大きい容積のタンクを設けることが考えられる。この場合、吸引配管の出口において、吸引された切削水等の流速が急激に遅くなるため、空気と切削水とを分離して、切削水をタンク内に溜めることができる。しかしながら、このような構成であっても、タンク内に生じる負圧が非常に高い結果、タンク内に溜められた切削水を外に排出することができない。このため、タンク内の切削水を排出するために吸引力を低下させることも考えられるが、この場合、切削水及び切削屑を適切に吸引することができなくなってしまう。また、切削水を強制排出するために、排水専用のポンプを設けることも考えられるが、コストやスペースの関係上、あまり好ましくはない。
そこで、本実施の形態では、切削水を溜める貯水タンク60内にピストン61を設け、貯水タンク60内の負圧(吸引力)を維持しながらピストン61を駆動させるように構成している。これにより、貯水タンク60内で空気と液体とを適切に分離し、貯水タンク60内の負圧状態を維持しつつ、貯水タンク60内に溜められた切削水を強制的に外に排出することができる。さらには、排水専用のポンプを用いず、簡易な構成で、切削水の排出を実現することができる。
次に、図2及び図3を参照して、切削加工時の切削水及び切削屑の吸引及び排出動作について説明する。図3は、本実施の形態に係る切削水の排水動作の一例を示す図である。図3A及び図3Bは、吸引排水手段の動作遷移図である。
図2に示すように、吸引排水手段5では、進退機構7のピストン71及びロッド72が下降しており、ピストン61の下面が突起部64に当接した状態になっている。このとき、排水空間63の容積に対して貯水空間62の容積の方が大きくなっており、貯水空間62に切削水を溜めこむことが可能になっている。
切削加工中においては、吸引源51に高圧エアーが供給され、収容室42、吸引配管52、53及び貯水空間62では、負圧状態(例えば、吸引圧力が−51kPa)が保たれている。また、第1の弁67は閉じられた状態になっている。切削加工によって生じる切削屑を含んだ切削水は、収容室42内の空気と共に吸引配管52に流れ込む。切削水は空気に混合された状態で、吸引配管52を通じて貯水タンク60(貯水空間62)に向かって吸引される。
吸引配管52内の流路に比べて貯水タンク60(貯水空間62)の容積が十分に大きいため、吸引配管52の出口においては、貯水空間62内に流れ込む切削水及び空気の流速が急激に落とされる。これにより、空気に対して比較的重量が大きい切削水は、空気から分離される。空気は吸引源51を通じて外に排出される一方、切削水は貯水空間62内に溜めこまれる。このように、切削水と空気を適切に分離することで、切削屑を含んだ切削水のみを貯水空間62内に溜めることができる。
図3Aに示すように、貯水空間62内に切削水が徐々に溜め込まれ、切削水の水位が上限センサ80によって検出されると、進退機構7が駆動される。進退機構7では、電磁弁77が切換えられ、ピストン71及びロッド72が上昇される。これにより、貯水タンク60内のピストン61も一緒に上昇される。このとき、ピストン61は、吸引源51が貯水空間62内の切削水の液面を上昇させようとする速さよりも速く上昇される。
ピストン61が上昇されることにより、プレート65には、ピストン61の開口を開く方向に慣性力が作用する。プレート65は、ピン66を支点に下方に回動し、第1の弁67が開かれる結果、貯水空間62と排水空間63とが連通される。また、上記したように、ピストン61は、吸引源51が貯水空間62内の切削水の液面を上昇させようとする速さよりも速く上昇されるため、貯水空間62内に溜められた切削水は、水位を変えることなく、ピストン61が上昇された分だけ開口61bを通じて排水空間63内に流れ込む。
また、ピストン61が上昇している間は第1の弁67が開かれ貯水空間62と排水空間63とが連通され、切削水の液面を上昇させることなく切削水が貯水空間62から排水空間63に流れ込むため、貯水空間62の容積は維持される。このため、貯水空間62の圧力が上昇することはなく、ピストン61が上昇している間であっても貯水空間62及び収容室42の負圧が維持される。よって、ピストン61の上昇時に切削加工中の切削水及び切削屑の吸引が妨げられることがない。
ピストン61が上昇端まで移動されると、進退機構7の電磁弁77が切換えられ、進退機構7のピストン71及びロッド72の下降が開始される。このとき、貯水空間62の容積が縮められ、貯水空間62内には、所定の水位(上限センサ80が検出した水位)を維持したまま切削水が僅かに残っている。
ピストン71及びロッド72が下降されると、図3Bに示すように、貯水タンク60内のピストン61及び貯水空間62内の切削水も一緒に下降される。ピストン61が下降されることにより、プレート65には、ピストン61の開口を閉じる方向に慣性力が作用する。プレート65は、ピン66を支点に上方に回動し、この結果、第1の弁67が閉じられる。
第1の弁67が閉じられた状態で、ピストン61がさらに下降されると、排水空間63内の切削水がピストン61によって下方に押し込まれる。これにより、プレート56は、切削水から力を受けてトーションバネの付勢力に抗してピン57を支点に回動する。この結果、第2の弁58が開かれ、排水空間63と排水配管54とが連通される。切削水は、排水空間63(貯水タンク60)から排水配管54を通じて外に排出される。なお、ピストン61が下降している間、貯水空間62の容積が大きくなることで、貯水空間62内の負圧が僅かに下がるが(例えば、吸引圧力が−55kPa)、貯水空間62内の負圧状態は維持されているため、切削加工中の切削水及び切削屑の吸引が妨げられることがない。
そして、貯水空間62内の切削水の水位が下限センサ81によって検出されたところで、進退機構7の駆動が停止され、ピストン61の下降が停止する。ピストン61が停止した後、再び貯水空間62内に切削水が貯め込まれ、上記した一連の動作が繰り返される。この結果、貯水タンク60内の切削水が外に排出される。このように、貯水空間62内の負圧を維持した状態で、ピストン61を昇降させることにより、切削水及び切削屑の吸引を継続しながら切削加工及び切削水の排出を実施することができる。また、下限センサ81が貯水空間60に貯水される切削水を検知しなくなるまでピストン61を連続で往復昇降させ、連続的に排水動作を実施してもよい。この場合、貯水空間62に貯水された切削水の排水をより効果的に実施することができる。
以上のように、本実施の形態に係る切削装置1によれば、切削加工中に収容室42が負圧になることで、切削ブレードカバー41内の切削水及び切削屑は、吸引配管52を通じて吸引される。このとき、吸引された気体や切削水は、吸引配管52から貯水タンク60内に流れ込むときに流速が急激に落とされる。このとき、空気に対して比較的重量が大きい切削水は、空気から分離される。分離された切削水は、ピストン61によって仕切られる貯水タンク60内の一方の空間(貯水空間62)に溜められる。貯水空間62内に所定量の切削水が溜められると、貯水タンク60内の負圧状態を維持するようにピストン61が進退機構7によって切削水を排出する方向とは反対の方向に移動される。これにより、第1の弁67が開かれ、切削水は第1の弁67を通じ、ピストン61によって仕切られる貯水タンク60内の他方の空間(排水空間63)に向かって流れ込む。そして、貯水タンク60内の負圧状態を維持するようにピストン61が進退機構7によって切削水を排出する方向に移動されると、第2の弁58が開かれる。これにより、排水空間63内の切削水は、排水配管54を通じて外に排出される。このように、切削ブレードカバー41内の切削水及び切削屑を吸引する切削装置1において、貯水タンク60内の負圧を維持しながら気体と切削水を分離しつつ、切削水等の切削水を適切に外部に排出することができる。
次に、図4を参照して、変形例に係る吸引排水手段について説明する。図4は、変形例に係る切削水の排水動作の説明図である。図4においては、貯水タンク内のピストン及び第1の弁の構成のみ本実施の形態と相違する。以下、相違点を重点的に説明し、本実施の形態と同一の構成については一部説明を省略する。
図4に示すように、変形例に係る吸引排水手段150では、ピストン151によって、貯水タンク60内の空間が貯水空間62と排水空間63に仕切られている。ピストン151は、貯水タンク60の内径と略同径の円板部152と、円板部152の中央から上方に立ち上がる箱状部153とによって構成される。円板部152の中央には矩形状の開口154が形成されており、この開口154に沿って、下方に開口された直方体の箱状部153が円板部152に連結される。箱状部153は、対向する一対の側面に開口155が形成されている。この開口155を塞ぐように、開口155の上端側にはピン156を介して矩形状のプレート157が連結されている。これにより、プレート157は、ピン156を支点に揺動可能に構成される。また、箱状部153の上面中央には、進退機構7のロッド72の下端が接続されている。
初期状態においては、自重によりプレート157の先端部分が円板部152の開口端に当接し、プレート157が鉛直方向に沿っている。これにより、開口155が塞がれて収容室42の負圧が維持され、貯水空間62内に切削水を溜められる。このように、プレート157とピン156とで第1の弁158が形成され、初期状態においては一対の第1の弁158が塞がれた状態になっている。
このように構成される吸引排水手段150では、第1の実施の形態と同様に、切削加工中は、収容室42、吸引配管52、53及び貯水空間62が、負圧状態に保たれている。切削加工によって生じる切削屑を含んだ切削水は、収容室42内の空気と共に吸引配管52に流れ込む。貯水空間62内に流れ込んだ切削水及び空気は気液分離され、切削水が貯水空間62内に溜めこまれる。
図4Aに示すように、貯水空間62内に切削水が徐々に溜め込まれ、切削水の水位が上限センサ80によって検出されると、進退機構7が駆動される。進退機構7は、ピストン71及びロッド72が上昇させると共に、貯水タンク60内のピストン151も一緒に上昇させる。このとき、ピストン151は、吸引源51が貯水空間62内の切削水の液面を上昇させようとする速さよりも速く上昇される。
ピストン151が上昇されることにより、プレート157には、箱状部153の開口155を開く方向に慣性力が作用する。これにより、第1の弁158が開かれる。また、上記したように、ピストン151は、吸引源51が貯水空間62内の切削水の液面を上昇させようとする速さよりも速く上昇されるため、貯水空間62内に溜められた切削水は、水位を変えることなく、ピストン151が上昇された分だけ開口155を通じて排水空間63内に流れ込む。また、ピストン151が上昇している間、貯水空間62内の負圧が維持されているため、切削加工中の切削水及び切削屑の吸引が妨げられることがない。
ピストン151が上昇端まで移動されると、ピストン71及びロッド72が下降されることで、貯水タンク60内のピストン151も一緒に下降される。上記したように、ピストン151の上昇中は、プレート157には開口155を開く方向に慣性力が作用していたが、ピストン151が下降されることにより、プレート157には開口155を開く方向に慣性力は作用しない。この場合、プレート157の自重によってプレート157には開口155を塞ぐ方向に力が作用する。この結果、第1の弁158が閉じられる。
第1の弁158が閉じられた状態で、ピストン151がさらに下降されると、排水空間63内の切削水がピストン151によって下方に押し込まれる。これにより、プレート56は切削水から力を受けて回動し、第2の弁58が開かれる。この結果、排水空間63と排水配管54とが連通され、切削水は排水配管54を通じて外に排出される(図4B参照)。
なお、図3に示す本実施の形態では、プレート65が自重で開く方向に動作するのに対し、図4に示す変形例では、プレート157が自重を利用して第1の弁158を閉じるようにしている。これにより、ピストン151を下降させて排水空間63内の切削水を押し出すときの応答性を高めることができる。
そして、図4Bに示すように、貯水空間62内の切削水の水位が下限センサ81によって検出されたところで、進退機構7の駆動が停止され、ピストン151の下降が停止する。このように、貯水空間62内の負圧を維持した状態で、ピストン151を昇降させることにより、切削水及び切削屑の吸引を継続しながら切削加工及び切削水の排出を実施することができる。
以上のように、図4に示す変形例においても、図3に示す本実施の形態と同様に、貯水タンク60内の負圧を維持しながら気体と液体を分離しつつ、切削水等の液体を適切に外部に排出することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
例えば、上記した各実施の形態では、進退機構7をエアシリンダで構成としたが、この構成に限定されない。進退機構7は、例えば、電動式のアクチュエータで構成されてもよい。
また、上記した各実施の形態では、吸引源51をエジェクタで構成としたが、この構成に限定されない。吸引源51は、切削ブレードカバー41を吸引するものであれば、どのように構成されてもよい。
また、上記した各実施の形態では、ピストン61、151が円形状に形成される構成としたが、この構成に限定されない。ピストン61、151は、第1の弁67、158を備える構成であれば、どのように構成されてもよく、例えば、立方体で形成されてもよい。
また、上記した各実施の形態では、水位計8(上限センサ80及び下限センサ81)によって、貯水タンク60に溜められる切削水の水位に応じて進退機構7を駆動させる構成としたが、この構成に限定されない。進退機構7は、例えば、所定周期でピストン61、151を進退させるように制御されてもよい。また、下限センサ81を設けないで、上限センサ80が検知したときにピストン61、151を一往復昇降させる等、設定回数にてピストン61、151を進退させて排水動作を実施してもよい。この場合、下限センサ81に用いることなくピストン61、151を進退させて、切削水の排水が可能になる。
また、上記した各実施の形態においては、ピストン61、151が下降するときに第1の弁67、158が閉じられればよく、第1の弁67、158はどのように閉じられてもよい。第1の弁67、158は、例えば、貯水タンク60の負圧によって吸引されることで閉じられてもよい。また、第1の弁67、158は、プレート65、157にトーションバネを設け、トーションバネの付勢力で閉じられてもよい。また、第2の弁58も同様に、プレート56にトーションバネを設け、トーションバネの付勢力で排水配管54を閉じるように構成してもよい。
以上説明したように、本発明は、切削ブレードカバー内で吸引した空気と切削水とを分離し、切削水を適切に外部へ排出することができるという効果を有し、特に、切削ブレードを覆う切削ブレードカバーを備えた切削装置に有用である。
W 板状ワーク
1 切削装置
3 チャックテーブル(保持手段)
4 切削手段
40 切削ブレード
41 切削ブレードカバー
42 収容室
43 切削水供給手段
5、150 吸引排水手段
50 負圧生成手段
51 吸引源
52、53 吸引配管
54 排水配管
58 第2の弁
6 分離排水手段
60 貯水タンク(シリンダ)
61、151 ピストン
67、158 第1の弁
7 進退機構

Claims (1)

  1. 板状ワークを保持する保持手段と、該保持手段が保持する板状ワークを切削ブレードで切削する切削手段と、該切削ブレードと板状ワークとに切削水を供給する切削水供給手段と、該切削水供給手段で供給された切削水を吸引して排水する吸引排水手段と、を備える切削装置であって、
    該吸引排水手段は、板状ワークに切込ませる該切削ブレードの切削領域を露出させ該切削ブレードを収容する収容室を有する切削ブレードカバーと、該切削ブレードで切削中に該収容室を負圧にする負圧生成手段と、を備え、
    該負圧生成手段は、該収容室と吸引源とを連通する吸引配管と、該吸引配管に配設され該収容室から吸引した気体と切削水とを分離して切削水を排水させる分離排水手段と、該分離排水手段で分離された切削水を排水する排水配管と、を備え、
    該分離排水手段は、上部に該吸引配管を接続し下部に該排水配管を接続するシリンダと、該シリンダの断面に相当する面積のピストンを該吸引配管の接続口と該排水配管の接続口との間で該シリンダの内部を進退させる進退機構と、該シリンダ内を負圧状態に維持して該ピストンを進退させることにより該シリンダ内の切削水を排出するために該ピストンに配設する第1の弁と、該シリンダに配設する第2の弁と、を備え、
    該第1の弁と該第2の弁とは、該進退機構を用いて該ピストンが切削水を排出する方向に移動することによって該第1の弁が閉じられ該第2の弁が開かれ、該ピストンが該切削水を排出する方向とは反対の方向に移動することによって少なくとも第1の弁が開かれる構成で、該吸引源による該シリンダ内の負圧を維持しつつ切削水を排出することを特徴とする切削装置。
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