JP6441656B2 - フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に建築用断熱材として用いられるフェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関する。
従来から、合成樹脂系の建築用断熱材として、一般的にポリスチレン樹脂発泡体、ポリウレタン樹脂発泡体、及びフェノール樹脂発泡体等が用いられている。これらのうちフェノール樹脂発泡体は、一般的に当該発泡体の面上に紙、金属箔、ガラス繊維、合成織布、合成不織布等の面材が積層されたフェノール樹脂発泡体積層板として提供される。
ここで、これら面材のコストは原材料全体のコストの中でも大きな部分を占めている。従って、なるべく低い目付量を有する安価な面材を用いた、低コストで製造可能なフェノール樹脂発泡体積層板が望まれている。しかし、低い目付量を有する面材を用いた場合、フェノール樹脂発泡体積層板の製造過程において、未硬化のフェノール樹脂が面材を通過して製造設備側に移行することで製造設備を汚してしまうという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1には、フェノール樹脂を含む樹脂組成物を、混合し、走行する下面材上に連続的に吐出し、その上面を上面材で被覆した後、樹脂組成物を発泡硬化せしめるフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法であって、少なくとも下面材として織布又は不織布を用い、更に、樹脂組成物を下面材上に吐出する位置における該下面材の平均表面温度を35℃以上100℃以下の範囲に調整する方法が開示されている。そして当該方法によれば、製造設備を汚すことなく、面材からの樹脂組成物の浸み出しのない、外観良好なフェノール樹脂発泡体積層板を、目付量の低い面材を用いて提供することが可能であるとの報告がされている。
また、面材を用いずにフェノール樹脂発泡体を製造する方法も従来から検討されている。例えば特許文献2には、レゾール型フェノール樹脂の発泡硬化中、その表面をプラスチックフィルム又はシート面に接触させて、面材を有しないスキン付きフェノール樹脂発泡体を製造する方法が開示され、そして当該方法によれば、製造コストを低減し得るとの報告がされている。
特開2009−262475号公報 特開平4−67914号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、フェノール樹脂の硬化を促進させつつ樹脂の浸み出しを抑制するために、下面材の平均表面温度を予め特定の範囲に制御することを要する。よって、下面材の温度を制御するための設備が必要となり、製造設備及びその運転条件の調整が複雑になるという課題があった。
さらに、例えば特許文献1に記載の方法に用いられるような面材の多くは難燃性に劣り、故に得られるフェノール樹脂発泡体積層板の難燃性を十分に確保することが困難である場合があった。
また、特許文献2に記載の方法では、表面が平坦なプラスチックフィルムやシートを用いる上、面材を使用していないため、得られたフェノール樹脂発泡体の表面に表面膜(スキン)が均一に生成する。このため、フェノール樹脂発泡体の乾燥が遅く、成形直後の表面硬度が低くなり、結果としてその後の工程において搬送される際に傷が付きやすく、量産時の取り扱いが困難となる虞があった。加えて、大気中においても経時的に乾燥が進行するために、得られるフェノール樹脂発泡体の寸法変化が起きやすい。そのため、寸法精度の高い発泡体を製造するには製造条件を厳密に調整する必要があり、故に生産性に劣るという課題があった。また特許文献2に記載の方法で使用するプラスチックフィルムやシートは、特に応力を受けた状態において加熱および冷却を繰り返した場合に伸びやヨレなどが発生しやすく、そのため長時間に亘る安定した製造が困難であった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な設備を用いて低コストで製造が可能であり、かつ難燃性に優れたフェノール樹脂発泡体積層板、及びその製造方法を提供することを目的とする。
このような課題に対して本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、フェノール樹脂発泡体積層板を製造する際に、特定の値以下の目付量を有する面材を使用し、併せて特定の性状を有する布材を用いることによって、フェノール樹脂発泡体積層板の表面が特定の性状となり、製造設備を汚すことなく低コストで、難燃性に優れるフェノール樹脂発泡体積層板を製造できることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[7]を提供する。
[1]フェノール樹脂発泡体と、前記フェノール樹脂発泡体の少なくとも1つの面に目付量が30g/m以下である面材とを備え、前記面材の浸み出し部分の面積割合が50%以上80%以下であり、かつ、前記浸み出し部分の表面閉塞部面積割合が20%以上75%以下である、フェノール樹脂発泡体積層板。
[2]前記フェノール樹脂発泡体の独立気泡率が80%以上である、[1]のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]下記(a)〜(c)の工程を備える、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法:
(a)フッ素樹脂繊維からなる織布若しくは不織布、又は、フッ素樹脂で被覆されたクロスからなる布材と発泡性フェノール樹脂組成物との間に目付量が30g/m以下である面材を配置する工程;
(b)前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させてフェノール樹脂発泡体とする工程;並びに
(c)前記面材から前記布材を剥離し、フェノール樹脂発泡体積層板を得る工程。
[4]記クロス、ガラスクロス、アラミドクロス、カーボンクロス、金属繊維クロス、ポリアリレートクロス、ポリベンゾオキサゾールクロス、ポリエチレンクロス、ポリプロピレンクロス、ナイロンクロス、ポリエステルクロス、アルミナクロス及びシリカクロスからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[3]のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[5]前記布材が、無端状のベルトコンベアとして使用される、[3]又は[4]のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[6]前記布材が、ダブルスラットコンベアの成形面上に配置して使用される、[3]又は[4]のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[7]前記布材が無端状であり、当該無端状の布材がダブルスラットコンベアの成形面上外周に被覆して使用される、[3]又は[4]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
本発明によれば、簡便な設備を用いて低コストで製造が可能であり、かつ難燃性に優れたフェノール樹脂発泡体積層板、及びその製造方法を提供することができる。
実施例1で得られたフェノール樹脂発泡体積層板を210mm×297mm(A4判)の大きさに切り出し、イメージスキャナを用いて読み込んだ画像である。 図1の画像のヒストグラムである。 図1を画像処理によって二値化し、浸み出し部分を白色、それ以外を黒色で表した図である。 実施例1で得られたフェノール樹脂発泡体積層板表面における浸み出し部分を、200倍に拡大し観察したSEM画像である。 図4を画像処理によって二値化し、表面閉塞部を白色、それ以外を黒色で表した図である。 布材を無端状のベルトコンベアとして使用した、本発明のフェノール樹脂発泡体積層板の製造設備の例である。 布材をダブルスラットコンベアの成形面上に配置して使用した、本発明のフェノール樹脂発泡体積層板の製造設備の例である。 無端状の布材をダブルスラットコンベアの成形面上外周に被覆して使用した、本発明のフェノール樹脂発泡体積層板の製造設備の例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、具体的に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(フェノール樹脂発泡体積層板)
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」と略記する場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも1つの面(好ましくは上下面の少なくとも何れか)に目付量が特定の値以下である面材とを有する積層体である。
<フェノール樹脂発泡体>
フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。独立気泡率を80%以上とすることで、フェノール樹脂発泡体積層板中の発泡剤が空気と置換して断熱性能が低下することを防ぐことができる。
なお、フェノール樹脂発泡体の「独立気泡率」は、本願明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体は、少なくとも、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び硬化触媒を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させて製造される。なお、発泡性フェノール樹脂組成物は、任意に、上記以外の成分を含有していてもよい。
フェノール樹脂発泡体の製造に用いうるフェノール樹脂としては、アルカリ触媒によって合成するレゾール型フェノール樹脂、酸触媒によって合成するノボラック型フェノール樹脂、アンモニアによって合成するアンモニアレゾール型フェノール樹脂、又はナフテン酸鉛等により合成したベンジルエーテル型フェノール樹脂等が挙げられ、中でも発泡成形が比較的容易であり、炭化水素を含む発泡剤を使用できるという観点から、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40℃以上100℃以下の温度範囲で加熱して重合させることによって、得ることができる。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整することが好ましい。また、フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体や添加剤を添加することもできる。
フェノール類としては、無置換フェノールの他にレゾルシノール、ヒドロキノン、カテコール、クレゾール類、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール、サリゲニン等が挙げられる。また、2核フェノール類を使用してもよい。これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂製造時におけるフェノール類:アルデヒド類の出発モル比は1:1〜1:4.5が好ましく、より好ましくは1:1.5〜1:2.5の範囲内である。
フェノール樹脂発泡体の製造に用いうる界面活性剤としては、一般にフェノール樹脂発泡体の製造に使用される公知のものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイド、アルキレンオキサイドとヒマシ油の縮合物、アルキレンオキサイドとノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、さらにはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。界面活性剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、界面活性剤の使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部当たり0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
フェノール樹脂発泡体の製造に用いうる発泡剤としては、特に限定されないが、炭化水素、ハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。これらの中でも、地球温暖化係数の観点からは、発泡剤は炭化水素を含有していることが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3以上7以下の環状又は鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、発泡性能、化学的安定性及び化合物自体の熱伝導率の観点から、炭素数4以上6以下のアルカンもしくはシクロアルカンがより好ましい。炭素数4以上6以下のアルカンもしくはシクロアルカンとしては、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン等を挙げることができる。これらの中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類は、フェノール樹脂発泡体積層板の製造においてその発泡特性が好適である上に、熱伝導率が比較的小さいことから特に好ましい。
ここで炭化水素は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。具体的にはペンタン類5質量%以上95質量%以下とブタン類95質量%以上5質量%以下とからなる混合物は、広い温度範囲で良好な断熱特性を示すので好ましい。その中でも、ノルマルペンタン又はイソペンタンと、イソブタンとの組み合わせは、低温域から高温域までの広い範囲で発泡体に高断熱性能を発揮させ、かつこれらの化合物が安価であることからも好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、塩素化脂肪族炭化水素が挙げられる。そして、塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2以上5以下の直鎖状又は分岐状のものが好ましく用いられる。炭素原子に結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、好適には1以上4以下の範囲内である。好ましい塩素化脂肪族炭化水素としては、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。これらのうち、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド等のクロロプロパンがより好ましく用いられる。
塩素化脂肪族炭化水素以外のハロゲン化炭化水素として、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン等のハイドロフルオロカーボン(HFC)類を用いることもできる。ただし、これらのハロゲン化炭化水素は、炭化水素に比べて地球温暖化係数が大きいことに考慮する必要がある。またこれらの他にハロゲン化炭化水素として地球温暖化係数が小さなハロゲン化オレフィン類、例えば1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ye)、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)、3,3,3−トリフルオロプロペン(FC−1243zf)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)等のフルオロオレフィン類(非塩素化ハイドロフルオロオレフィン);1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)等のクロロフルオロオレフィン類(塩素化ハイドロフルオロオレフィン)を使用することも可能である。
塩素化ハイドロフルオロオレフィン、非塩素化ハイドロフルオロオレフィンは、発泡剤自体の熱伝導性が低く、断熱性向上及び難燃性向上のために好ましく使用しうる。
これらのハロゲン化炭化水素は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、発泡剤としては、炭化水素とハロゲン化炭化水素とを混合して使用することもできる。この場合の炭化水素含有量は、発泡剤全質量を基準として50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、発泡剤の使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部当たり、好ましくは1質量部以上20質量部以下、より好ましくは3質量部以上10質量部以下で使用される。
フェノール樹脂発泡体の製造に用いうる硬化触媒としては、特に限定されず種々の有機酸や無機酸、或いはこれらの無水物を用いることができるが、発泡時の気泡破裂を抑制するという観点から、特にアリールスルホン酸等の有機酸又はその無水物が好ましい。アリールスルホン酸及びその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びそれらの無水物等が挙げられる。これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、硬化触媒は、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
硬化触媒の使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部当たり、好ましくは5質量部以上30重量部以下、より好ましくは8質量部以上25重量部以下で使用される。
上述したフェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤及び硬化触媒以外に、発泡性フェノール樹脂組成物には、発泡核剤が含まれていてもよい。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い、低沸点物質が挙げられる。また固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、及びフェノール樹脂発泡体粉のような有機粉を添加することもできる。これらは一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡核剤の発泡剤に対する添加量については特に制限はないが、発泡剤の量を100質量%として、0.1質量%以上0.6質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上0.4質量%以下であることがより好ましい。
<面材>
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は少なくとも1つの面に目付量が30g/m2以下である面材を使用する。目付量が30g/m2を超える面材を用いると、低コスト化という本発明の効果を十分に享受することができない。また、当該面材の目付量の下限は特に限定されないが、強度確保等の観点から、通常5g/m2以上である。なお、面材の「目付量」とは、面材の単位面積当たりの質量を指す。
そして、目付量が30g/m2以下である面材を構成する素材は特に限定されず、紙、ガラス繊維、合成織布、合成不織布等が挙げられ、これらのうち複数の素材を混抄、混織又は混紡したものを用いてもよい。そして、目付量が30g/m2以下である面材としては、紙、ガラス混抄紙、ガラス繊維、ポリエステル織布、およびポリエステル不織布からなる群から選択される少なくとも1つの素材で構成される面材が好ましい。
[面材の浸み出し部分の面積割合]
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板では、上述のように目付量の低い面材を用いるため、通常、当該面材の表面側へフェノール樹脂が部分的に浸み出している。本願において、このような面材表面の箇所を「浸み出し部分」といい、当該面材表面において、「浸み出し部分」が占める割合を「面材の浸み出し部分の面積割合」という。
本実施形態においては、面材の浸み出し部分の面積割合は50%以上80%以下であることが必要であり、55%以上75%以下であることが好ましい。80%以下とすることで、製造設備側へのフェノール樹脂の付着を防止し、発泡体積層板の生産安定性が向上する。また50%以上であると、発泡体積層板の難燃性が向上する。
ここで、面材の浸み出し部分の面積割合を算出する方法としては、以下の方法を用いる。
まず、フェノール樹脂発泡体積層板を210mm×297mm(A4判)の大きさに切り出す。切り出したフェノール樹脂発泡体積層板の、対象となる面材が存在する側の面を、イメージスキャナを用いて画像として読み込む。例として実施例1における当該画像を図1に示す。
この画像に対して、公知の画像処理ソフトウェアを用い、浸み出し部分とそれ以外の部分とで二値化する。ここで図2は、図1の画像を画像処理ソフトウェア(アドビシステムズインコーポレーテッド製、製品名「Photoshop(登録商標)」)で読み込んだ際のヒストグラムである。このように面材表面の浸み出しの有無をヒストグラム上で明確に判別することができるので、当該ヒストグラムに基づいて図1の画像を公知の方法で処理し、浸み出し部分(白色、図2のヒストグラム上で右側の山)及びそれ以外の部分(黒色、図2のヒストグラム上で左側の山)に二値化することができる(図3参照)。なお、フェノール樹脂の色と面材の色との関係によっては、浸み出し部分であるか否かとヒストグラム上の明度との関係が、上記の例とは逆転することもある。
このように処理された図3の画像の、全画素数に対する白色部分の画素数の割合を算出することで、面材の浸み出し部分の面積割合を算出することが可能である(例えば図3においては59.5%である)。
なお、面材の浸み出し部分の面積割合は、面材の目付量や、フェノール樹脂発泡体積層板を製造する際の発泡硬化の条件を変更することにより調整することができる。
[浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合]
ここで、上述した手法において面材における浸み出し部分として取り扱われる箇所の微視的構造を、走査型電子顕微鏡(SEM)等で更に詳細に観察すると、面材表面が樹脂で閉塞している箇所(表面閉塞部)が存在している一方で、面材表面が樹脂で閉塞されていない箇所も同時に存在していることがわかる(図4参照)。本実施形態においては、浸み出し部分の面積を100%とした場合に、浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合(浸み出し部分の表面閉塞部面積割合)が20%以上75%以下であることが必要であり、30%以上60%以下であることが好ましい。このように、所定割合の表面閉塞部が浸み出し部分に形成されることにより、フェノール樹脂発泡体積層板の難燃性を向上させることが可能となる。そして、浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合が20%以上の場合、上述の難燃性が向上し、加えてフェノール樹脂の製造設備側への移行を抑制し、製造設備の汚れによる生産安定性の低下を防ぐことができる。一方、当該面積割合が75%以下の場合、製造時における乾燥速度が向上し、フェノール樹脂発泡体積層板の寸法安定性が向上する傾向にある。なお、この表面閉塞部は、フェノール樹脂発泡体積層板の主面に対して略平行であってもよいし、湾曲していてもよい。
ここで、浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合を算出する方法としては、以下の方法を用いることができる。
まずSEM等を用いて、フェノール樹脂発泡体積層板の面材表面の浸み出し部分を200倍に拡大した画像を得る(図4参照)。ここで、当該画像上において、表面閉塞部は目視により容易に判別可能であり、画像全体の面積に対する表面閉塞部の部分の面積の比率は、公知の画像処理ソフトウェアを用いて算出する方法を用いて得られる。図5は、図4の画像を画像処理ソフトウェア(アドビシステムズインコーポレーテッド製、製品名「Photoshop(登録商標)」)で読み込み、自動選択機能及び色域指定選択機能を用いて、表面閉塞部(白色)及びそれ以外の部分(黒色)に二値化した画像である。
このように処理された画像の全画素数に対する白色部分の画素数の割合を算出する(例えば図5においては91.7%である)。以上の操作を、無作為に選んだ合計10箇所について行い、その平均値を浸み出し部分の表面閉塞部面積割合(%)とする。なお、フェノール樹脂発泡体積層板の表面近傍が破壊されて表面閉塞部の存在が確認できない場合には、表面閉塞部の面積割合を0%とする。
なお、浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合は、後述の布材の種類や、フェノール樹脂発泡体積層板を製造する際の発泡硬化の条件を変更することにより調整することができる。
<表層部燃焼性評価レベル>
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板においては、上述の表面閉塞部等の寄与により、表層部の難燃性に優れる。具体的には、本実施形態においては、フェノール樹脂発泡体積層板の表層部燃焼性評価レベルが21%以上であることが好ましく、22%以上であることがより好ましく、23%以上であることが更に好ましい。表層部燃焼性評価レベルが21%以上であることにより、空気中で継続的に燃焼する虞がなくなる。
ここで、フェノール樹脂発泡体積層板の「表層部燃焼性評価レベル」は、本願明細書の実施例に記載の方法を用いて導出することができる。
また、フェノール樹脂発泡体積層板の密度は、発泡剤の使用量や硬化時の温度等の条件により所望の値を選択できるが、好ましくは10kg/m3以上100kg/m3以下であり、より好ましくは15kg/m3以上60kg/m3以下であり、更に好ましくは20kg/m3以上50kg/m3以下である。密度を10kg/m3以上とすることによって、圧縮強度等の機械的強度を確保し、取り扱い時の破損を防止し、また表面脆性も抑制できる傾向にある。一方、密度を100kg/m3以下とすることによって、フェノール樹脂発泡体積層板の樹脂部分の伝熱を抑え、断熱性能の低下を抑制するとともに、コスト低下にも寄与できる傾向がある。
なお、フェノール樹脂発泡体積層板の「密度」は、面材を備えたままの20cm角のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、当該資料の質量と見かけ容積を測定して求められる値であり、JIS−K−7222に従い測定することができる。
<熱伝導率>
加えて、フェノール樹脂発泡体積層板の23℃における熱伝導率は、0.023W/m・K以下が好ましく、0.015W/m・K以上0.023W/m・K以下がより好ましく、0.015W/m・K以上0.021W/m・K以下が更に好ましく、0.015W/m・K以上0.019W/m・K以下が特に好ましい。
なお、フェノール樹脂発泡体積層板の「23℃における熱伝導率」は、JIS−A−1412−2:1999に準拠し、以下の方法で測定することができる。
フェノール樹脂発泡体積層板サンプルを約300mm角に切断し、試片を23±1℃、湿度50±2%の雰囲気に入れ、24時間ごとに質量の経時変化を測定し、24時間経過の質量変化が0.2質量%以下になるまで、状態調節をする。状態調節された試験片を、同環境下に置かれた熱伝導率測定装置に導入する。熱伝導率測定装置が、試験片が置かれていた23±1℃、湿度50±2%にコントロールされた室内に置かれていない場合は、速やかにポリエチレン製の袋に入れ袋を閉じ、1時間以内に袋から出し、速やかに熱伝導率の測定に供する。
熱伝導率測定は、低温板13℃高温板33℃の条件で、それぞれ試験体1枚・対称構成方式の測定装置(英弘精機(株)製、商品名「HC−074/600」)を用い行う。
(フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法)
上述したフェノール樹脂発泡体積層板を製造する方法は、特に限定されないが、以下に詳述する本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法を用いることが好ましい。
具体的には、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、下記(a)〜(c)の工程をこの順序で備える。なお、各工程の間に別の任意の工程を備えてもよい。
(a)織布又は不織布からなる離型性を有する布材と発泡性フェノール樹脂組成物との間に目付量が30g/m2以下である面材を配置する工程。
(b)前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させてフェノール樹脂発泡体とする工程。
(c)前記面材から前記布材を剥離し、フェノール樹脂発泡体積層板を得る工程。
本実施形態の製造方法によってフェノール樹脂発泡体積層板を製造することにより、製造設備側へのフェノール樹脂の移行が抑制され、製造設備の汚れを防ぐことができ、低コスト化と生産安定性の向上とを両立することが可能となる。
<布材>
まず、本実施形態の製造方法に使用する、織布又は不織布からなる離型性を有する布材について説明する。ここで、布材が「離型性を有する」とは、フェノール樹脂発泡体積層板(フェノール樹脂発泡体および面材)から布材を剥離したときの該布材の質量増加率が5%以下であることを指す。このような離型性を有する布材を用いることで、布材を繰り返し使用することが可能となり、フェノール樹脂発泡体積層板の製造に要するコストを低減できる。
なお、離型性に乏しい布材(即ち、上記質量増加率が5%超)を使用した場合、布材とともに発泡体積層板の表面閉塞部も剥がれてしまい、浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合が20%を下回ることがある。当該表面閉塞部とともに剥離された布材は再利用が困難であり、再利用が可能である場合と比較して製造コストが高くなるため好ましくない。
ここで、織布又は不織布からなる離型性を有する布材としては、離型性を有する樹脂繊維からなる織布又は不織布、離型性を有する樹脂で被覆されたクロス等が挙げられる。
離型性を有する樹脂繊維としては、離型性及び耐熱性という観点からフッ素樹脂繊維又はシリコーン樹脂繊維が好ましく、中でもフッ素樹脂繊維がより好ましい。すなわち、布材としては、フッ素樹脂繊維からなる織布又は不織布を好適に挙げることができる。フッ素樹脂繊維を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロピレン)(PFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−パーフルオロアルキルビニルエーテル)(PFA)、ポリ(エチレン−co−テトラフルオロエチレン)(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等が挙げられる。これらの中でもPTFE、PFE、PFAがより好ましい。そして離型性とコストの観点から特に好ましいのはPTFEであり、耐摩耗性の観点から特に好ましいのはPFAである。
なお、織布又は不織布は、単一の繊維を原料としたものを用いてもよいし、複数の繊維を混抄、混織又は混紡したものを用いてもよい。
また、強度及び寸法安定性の観点からは、布材としては、離型性を有する樹脂で被覆されたクロスが好ましい。クロスとしては、ガラスクロス、アラミドクロス、カーボンクロス、金属繊維クロス、ポリアリレートクロス、ポリベンゾオキサゾールクロス、ポリエチレンクロス、ポリプロピレンクロス、ナイロンクロス、ポリエステルクロス、アルミナクロス、及びシリカクロス等が挙げられる。これらの中でも、ガラスクロス、アラミドクロス、カーボンクロス、金属繊維クロスが好ましく、耐久性とコストの観点からガラスクロスがより好ましい。
なお、クロスは、単一の繊維を原料としたものを用いてもよいし、複数の繊維を混抄、混織又は混紡したものを用いてもよい。
そして、これらのクロスを被覆する離型性を有する樹脂としては、フッ素樹脂繊維を構成するフッ素樹脂として上述したものを使用することが好ましい。すなわち、布材としては、フッ素樹脂で被覆されたクロスを好適に挙げることができる。なお、離型性を有する樹脂を用いてクロスを被覆する方法は、公知の方法を用いることができる。
離型性を有する樹脂で被覆されたクロスは、寸法安定性及び強度に特に優れているため、繰り返し使用時における伸びやヨレといった劣化が非常に少なく、長期にわたって使用することができる。このような布材を使用することで、低コスト化という本発明の効果の一つを更に享受することが可能となる。
なお、「クロス」という用語は、織布及び不織布の分野で用いられており、本実施形態では、「クロス」は織布及び不織布全般を指す。
本実施形態の製造方法に使用し得る上記布材は、帯電防止加工が施されていてもよい。また、離型性をさらに向上させるために、シリコーン系、フッ素系、オイル系等の公知の離型剤が塗布されていてもよい。
<工程(a)>
工程(a)では、上述した織布又は不織布からなる離型性を有する布材と発泡性フェノール樹脂組成物との間に目付量が30g/m2以下である面材が位置するように、布材、発泡性フェノール樹脂組成物、および面材を配置する。具体的な実施方法としては、主に、積層して走行する布材と面材の上に発泡性フェノール樹脂組成物を連続的に吐出する方法が挙げられるが、発泡性フェノール樹脂組成物と布材の間に、面材がそれら双方と接して配置されていれば特に限定されない。このような実施方法として、特に好ましくは、布材を無端状のベルトコンベアとして使用する方法(図6参照)、布材をダブルスラットコンベアの成形面上に配置して使用する方法(図7参照)、無端状の布材をダブルスラットコンベアの成形面上外周に被覆して使用する方法(図8参照)が挙げられる。これらの方法は、用いる布材の種類や、製造設備のメンテナンス性等種々の事項を総合的に考慮して選択される。
<工程(b)>
次に、工程(b)で、発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させてフェノール樹脂発泡体とする。発泡硬化の方法としては、特に限定されず、熱風、赤外線、誘導加熱、マイクロ波等の公知の方法が挙げられる。当該工程を経ることで、布材と、面材と、フェノール樹脂発泡体(例えば、厚さ5〜300mm)とをこの順に備える積層体が得られる。
<工程(c)>
そして、工程(c)で、面材から布材を剥離してフェノール樹脂発泡体積層板を得る。ここで剥離した布材を再利用することで、製造コストの低減化を図ることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例における物性評価は、次のようにして行った。
<水分量>
フェノール樹脂中の水分量は、カールフィッシャー水分計MKA−510(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
<独立気泡率>
ASTM−D−2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。
<浸み出し部分の面積割合>
まず、フェノール樹脂発泡体積層板を210mm×297mm(A4判)の大きさに切り出した。切り出したフェノール樹脂発泡体積層板の、製造時における下面材側に相当する面を、イメージスキャナ(キヤノン株式会社製、製品名「iR−ADV C5250F」)を用いて画像として読み込んだ。
この画像に対して、画像処理ソフトウェア(アドビシステムズインコーポレーテッド製、製品名「Photoshop(登録商標)」)を用い、浸み出し部分(白色)とそれ以外の部分(黒色)とで二値化した。このように処理された画像の、全画素数に対する白色部分の画素数の割合を算出することで、面材の浸み出し部分の面積割合を算出した。
<浸み出し部分に占める表面閉塞部の面積割合>
まず、SEMを用いて、フェノール樹脂発泡体積層板の製造時における下面材側に相当する面に存在する浸み出し部分を200倍に拡大した画像を得た。当該画像を画像処理ソフトウェア(アドビシステムズインコーポレーテッド製、製品名「Photoshop(登録商標)」)で読み込み、自動選択機能及び色域指定選択機能を用いて、表面閉塞部(白色)及びそれ以外の部分(黒色)に二値化した。
このように処理された画像の全画素数に対する白色部分の画素数の割合を算出した。以上の操作を、無作為に選んだ合計10箇所について行い、その平均値を浸み出し部分の表面閉塞部面積割合(%)とした。なお、フェノール樹脂発泡体積層板の表面近傍が破壊されて表面閉塞部の存在が確認できない場合には、表面閉塞部の面積割合を0%とした。
<表層部燃焼性評価レベル>
試験片として、全て面材を含む発泡体積層板の表層部の試料(試料サイズ;厚さ10mm、幅10mm、長さ150mm)を30本準備した。次に当該試験片を燃焼用円筒(ガラス製;高さ500mm、内径100mmで上部に直径40mm穴が開いた上蓋設置)内に鉛直方向に設置し、試料雰囲気を所定酸素濃度(23℃、1atmにおける体積%)に設定し、当該酸素濃度で安定化させた(なお、酸素濃度は21体積%を初期値とした)。次いで燃焼円筒上部の上蓋穴よりガスバ−ナ−を垂直方向に下降させ、試料表面(面材表面)にガスバーナーを3秒間当てた後、バーナー炎を離して燃焼の有無を確認した(燃焼用円筒上部から、試料表面までの距離は100mm)。燃焼の有無の判定は、以下の様に行った。燃焼距離(燃焼部の最大長さ)が75mm未満の場合、「燃焼なし」と判断し、酸素濃度を0.1%単位で順次増加させ試験を繰り返した。燃焼距離が75mm以上の場合、「燃焼あり」と判断し、酸素濃度を0.1%単位で順次低減し試験を繰り返した。燃焼状況により、酸素濃度を変更して、上記操作を繰り返し、「燃焼あり」と判断される酸素濃度の最小値を、そのフェノール樹脂発泡体積層板の表層部燃焼性評価レベルとした。
<連続運転時間>
フェノール樹脂発泡体積層板の製造時において、製造設備へのフェノール樹脂の付着度合いや布材の破損度合いを目視で確認し、製造継続が困難と判断される、製造開始からの経過時間を決定した。なお、製造開始から4時間を超えても製造設備へのフェノール樹脂の付着度合いや布材の破損度合いが十分に小さい場合は、長時間の連続運転が可能と判断した。
<収縮性評価>
本技術においては、下面材上に供給された発泡性フェノール樹脂組成物は上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、スラット型ダブルコンベアへ送り、面材から前記布材を剥離し、所定の滞留時間で硬化させた後、最終硬化のオーブンでキュアしてフェノール樹脂発泡体を得る。この面材から前記布材を剥離する工程後、最終硬化工程までの間で、以下のように長手方向の寸法を測定した。
1000mmの長尺を発泡体表面におき、1000mmに相当する長尺末端部に相当する各々1本ずつの発泡体積層板長手方向に垂直な線(合計2本の線)を記す。
次に、最終硬化工程後の発泡体表面の上記2本の線の間隔(Amm)を測定する。
収縮率(%)は、以下の式1により求められる。
収縮率(%)=A/1000×100 (式1)
(実施例1)
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液3500kgと99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を進行させた。オストワルド粘度が60センチストークス(25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50重量%水溶液でpHを6.4に中和した。この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を測定したところ、40℃における粘度は5,800mPa・s、水分量は5重量%であった。これをフェノール樹脂Aとした。
<発泡性フェノール樹脂組成物の調製>
フェノール樹脂A:96.5質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、製品名「プルロニック(登録商標)F−127」)を3.5質量部の割合で混合した。
得られた界面活性剤含有フェノール樹脂100質量部、発泡剤としてイソペンタン50質量%とイソブタン50質量%の混合物7質量部、並びに硬化触媒としてのキシレンスルホン酸80質量%およびジエチレングリコール20質量%の混合物11質量部からなる組成物を25℃に温調したミキシングヘッドに供給し、発泡性フェノール樹脂組成物を得た。ここで、使用する混合機(ミキサー)は、特開平10−225993号に開示したものを使用した。即ち、上部側面に界面活性剤含有フェノール樹脂、及び発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に硬化触媒の導入口を備えている。攪拌部以降はフォームを吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、混合機は、触媒導入口までを混合部(A)、触媒導入口〜攪拌終了部を混合部(B)、攪拌終了部〜ノズルを分配部(C)とし、これらにより構成されている。分配部(C)は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。また混合部(A)の中央側面と混合部(B)の最下部には系内の温度が測定できるように、温度センサー(D)がセットされている。さらに、各混合部及び分配部はそれぞれ温度調整を可能にするための温調用ジャケットを備えている。この温度センサー(D)で計測された温度は、36.4℃であった。
<フェノール樹脂発泡体積層板の製造>
上下面材としては、何れもポリエステル製不織布(旭化成せんい(株)製「エルタス(登録商標)E5012」、目付量12g/m2)を使用した。
マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に上述した発泡性フェノール樹脂組成物を供給した。下面材上に供給された発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、85℃のスラット型ダブルコンベアへ送り、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体を得た。この際に利用したスラット型ダブルコンベアは、硬化中に発生する水分を外部に放出できるように設計したものである。さらにスラット型ダブルコンベアの成形面上には、離型性を有する布材としてPTFE含浸ガラスクロス1(本多産業株式会社製、製品名「HGS−P210」、厚み0.21μm)が配置してある(図7相当)。上下面材で被覆された該発泡性フェノール樹脂組成物は、スラット型ダブルコンベアの成型面上に配置した離型性を有する布材により、上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。
(実施例2〜5)
織布又は不織布からなる離型性を有する布材として、それぞれPTFE含浸ガラスクロス2(淀川ヒューテック株式会社製、製品名「128D」)、PTFE含浸ガラスクロス3(中興化成工業株式会社製、製品名「FGB−207−6−1」、帯電防止加工品)、PTFE含浸アラミドクロス(本多産業株式会社製、製品名「HAS−M575」)、PTFE織布(東レ株式会社製、製品名「トヨフロン(登録商標)#406」)を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板を製造した。
(比較例1)
布材としてのPTFE含浸ガラスクロス1を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板を製造した。
(比較例2)
布材として、シリコーン系剥離紙(リンテック株式会社製、製品名「K8P」)を使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板を製造した。
(比較例3)
布材として、厚さ0.15μmのポリエチレンシートを使用した以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板を製造した。
以下の表1に、実施例及び比較例の条件並びに得られたフェノール樹脂発泡体積層板の評価結果を示す。
実施例1〜5では、製造設備の汚れが問題となることなく4時間を超える連続運転が可能であった。また得られたフェノール樹脂発泡体積層板における、面材の浸み出し部分の面積割合が50以上80%以下、浸み出し部分の表面閉塞部面積割合が20%以上75%以下の範囲内にあった。さらに、発泡体積層板の表層部燃焼性評価レベルが21%以上となり、難燃性が向上したことが確認できた。
これに対し、比較例1では、面材の浸み出し部分の面積割合は50%を下回り、かつ浸み出し部分の表面閉塞部面積割合が20%を下回った。更に、発泡体積層板の表層部燃焼性評価レベルは21%を下回った。また更に、製造開始から1時間経過時に製造設備へのフェノール樹脂の付着が顕著となり、それ以降の連続運転を行うことができなかった。比較例2では、面材の浸み出し部分の面積割合は80%を上回り、浸み出し部分の表面閉塞部面積割合は75%を上回った。ちなみに、製造開始直後から布材としての剥離紙の端部に破れが発生し、その後も徐々に破れが進行したため、1時間を超える運転を行うこともできなかった。比較例3では、布材の破れは起きなかったものの、面材の浸み出し部分の面積割合は80%を上回り、浸み出し部分の表面閉塞部面積割合は75%を上回った。
本発明のフェノール樹脂発泡体積層板は、建築用断熱材として好適に利用することができる。
1 吐出部
2 面材
3 発泡性フェノール樹脂組成物
4 布材
5 フェノール樹脂発泡体積層板
6 オーブン
7 スラットコンベア搬送部

Claims (7)

  1. フェノール樹脂発泡体と、前記フェノール樹脂発泡体の少なくとも1つの面に目付量が30g/m以下である面材とを備え、
    前記面材の浸み出し部分の面積割合が50%以上80%以下であり、かつ、
    前記浸み出し部分の表面閉塞部面積割合が20%以上75%以下である、フェノール樹脂発泡体積層板。
  2. 前記フェノール樹脂発泡体の独立気泡率が80%以上である、
    請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  3. 下記(a)〜(c)の工程を備える、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法:
    (a)フッ素樹脂繊維からなる織布若しくは不織布、又は、フッ素樹脂で被覆されたクロスからなる布材と発泡性フェノール樹脂組成物との間に目付量が30g/m以下である面材を配置する工程;
    (b)前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させてフェノール樹脂発泡体とする工程;並びに
    (c)前記面材から前記布材を剥離し、フェノール樹脂発泡体積層板を得る工程。
  4. 記クロス、ガラスクロス、アラミドクロス、カーボンクロス、金属繊維クロス、ポリアリレートクロス、ポリベンゾオキサゾールクロス、ポリエチレンクロス、ポリプロピレンクロス、ナイロンクロス、ポリエステルクロス、アルミナクロス、及びシリカクロスからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項3に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  5. 前記布材が、無端状のベルトコンベアとして使用される、請求項3又は4に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  6. 前記布材が、ダブルスラットコンベアの成形面上に配置して使用される、請求項3又は4に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  7. 前記布材が無端状であり、当該無端状の布材がダブルスラットコンベアの成形面上外周に被覆して使用される、請求項3又は4に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
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