JP6441083B2 - 分散安定性または再分散性が向上した粉末状の可食性植物加工物を含む飲料の製造方法 - Google Patents
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Description
(I-1)(a)粉末状の可食性植物加工物を油脂に混合して分散させる工程、および
(b)粉末状の可食性植物加工物と油脂との分散物を水と混合して均質化処理する工程
を含む、粉末状の可食性植物加工物を含有する飲料の製造方法。
(I-2)(a)工程と(b)工程の間に、さらに均質化処理する工程を有する、(I-1)に記載する製造方法。
(I-3)上記(b)工程で用いる水が乳または乳成分を含むものである、(I-1)または(I-2)に記載する製造方法。
(I-4)安定剤および/または乳化剤を配合しないことを特徴とする、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する製造方法。
(I-5)粉末状の可食性植物加工物が、茶、野菜、果実、穀物および豆類からなる群から選択される少なくとも1種の植物の乾燥粉末である、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する製造方法。
(I-6)(a)工程で得られる分散物が、原料として使用する油脂および可食性植物加工物に由来する水以外の水を含まないことを特徴とする(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する製造方法。
(II-1)(I-1)乃至(I-6)のいずれかに記載する製造方法で得られる少なくとも粉末状の可食性植物加工物、油脂および水を含有する飲料であって、(a)の粉末状の可食性植物加工物を油脂と混合して分散させる工程を経ないで調製される飲料と比べて、少なくとも、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性が向上しているか、または飲料中の粉末状の可食性植物加工物の再分散性が向上してなることを特徴とする、飲料。
(II-2)さらに飲料中の粉末状の可食性植物加工物の退色または変色が抑制されてなる、(II-1)に記載する飲料。
(III-1)粉末状の可食性植物加工物を含む飲料の製造工程において、粉末状の可食性植物加工物を予め油脂に分散させたものを水と混合して均質化処理する工程を有することを特徴とする、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させる方法。
(III-2)粉末状の可食性植物加工物を含む飲料の製造工程において、(a)粉末状の可食性植物加工物を油脂に分散させる工程、および(b)粉末状の可食性植物加工物と油脂との分散物を水と混合して均質化処理する工程を有することを特徴とする、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させる方法。
(III-3)(a)工程と(b)工程の間に、さらに均質化処理する工程を有する、(III-2)に記載する方法。
(III-4)上記水が乳または乳成分を含むものである、(III-1)乃至(III-3)のいずれかに記載する方法。
(III-5)安定剤および/または乳化剤を配合しないことを特徴とする、(III-1)乃至(III-4)のいずれかに記載する方法。
(III-6)粉末状の可食性植物加工物が、茶、野菜、果実、穀物および豆類からなる群から選択される少なくとも1種の植物の乾燥粉末である、(III-1)乃至(III-5)のいずれかに記載する方法。
(III-7)粉末状の可食性植物加工物を油脂に分散させることで得られる分散物が、原料として使用する油脂および可食性植物加工物に由来する水以外の水を含まないことを特徴とする(III-1)乃至(III-6)のいずれかに記載する方法。
(III-8)飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させるとともに、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の退色を抑制する方法である、(III-1)乃至(III-7)のいずれかに記載する方法。
本発明は、粉末状の可食性植物加工物を含有する飲料であって、少なくとも、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性が向上しているか、または飲料中の粉末状の可食性植物加工物の再分散性が向上してなることを特徴とする飲料の製造方法である。
(a)粉末状の可食性植物加工物を油脂に混合し分散させる工程、および
(b)粉末状の可食性植物加工物と油脂との分散物を水と混合して均質化処理する工程。
(a)工程(分散処理工程)
(a)工程で用いる「粉末状の可食性植物加工物」とは、粉末状に調製された水不溶性の可食性植物加工物である。具体的には、果実、野菜(根菜類、茎菜類、葉菜類、花菜類、果菜類)または茶葉等の植物の可食性部位を粉砕して調製されたものであり、好ましくは、これらの乾燥粉末である。なお、本発明の「粉末状の可食性植物加工物」は、1種類の可食性植物から調製されるものであっても、また、2種類以上の可食性植物を任意に組み合わせてなる混合物であってもよい。そして、本発明の「粉末状」は、粉末状そのものの形状を有するものだけでなく、粉末を顆粒状や固形状(タブレット状等)に加工したものであってもよい。
上記(a)工程により調製された粉末状の可食性植物加工物と油脂との分散物(油脂分散物)は、その後に、飲料を調製するための水(以下、「飲料調製用水」という)と混合し、当該混合物を均質化処理する工程((b)工程)に供される。
本発明が対象とする飲料は、少なくとも粉末状の可食性植物加工物、油脂および水を含有する飲料であって、粉末状の可食性植物加工物を油脂と混合して分散させる工程を経ないで調製される飲料(コントロール飲料)と比べて、(i)飲料中に含まれる粉末状の可食性植物加工物の分散安定性が向上しているか、または(ii)飲料中の粉末状の可食性植物加工物の再分散性が向上してなることを特徴とするものである。
また、本発明は、飲料中の粉末状の可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させる方法である。
(I)乳入り飲料の調製
(1)表1に記載する成分を表記載の割合で、下記の方法に従って混合し、油脂分散物1-1〜1-3を調製した。このとき、抹茶粉末(乾燥物)として、辻利抹茶(辻利一本店製、粒数メディアン直径:24.69μm)を用いた。
油脂分散物1-2:薬サジを用いて、(c)抹茶粉末を(b)精製ヤシ油に混合・分散させ、次いで、これに(a)脱脂粉乳、および(d)イオン交換水を混合して、油脂分散物1-2を調製した。
油脂分散物1-3:薬サジを用いて、(c)抹茶粉末を(b)精製ヤシ油に混合・分散させ、さらにホモゲナイザー(Niro Soavi社製)を用いて、50℃、35MPaの条件下で均質化処理し、次いで、これに(a)脱脂粉乳、および(d)イオン交換水を混合して、油脂分散物1-3を調製した。
上記で調製した抹茶入り乳飲料1-1〜1-3を、色調を評価した後に、常温に3日間で静置保存し、次いで、各飲料の色調と、各飲料のビンの底面に沈降した沈降物の有無を目視で評価した。次いで、抹茶入り乳飲料の入った耐熱ビンを一回転倒させて(一回転倒させた後に、元に戻して)、沈降物の再分散性を評価した。なお、これらの評価は、下記に記載する判断基準に従って実施した(以下、実験例2〜4においても同じ。)。
*1:沈降物の有無
「−」:なし、「±」:ややあり、「+」:あり、「++」:著しくあり
*2:色調
「◎」:褐変なし、「○」:やや褐変、「△」:褐変、「×」:顕著に褐変
*3:再分散性
「A」:良好(ほぼ元の分散状態に戻る)、「B」:やや不良(ビン底面に沈殿物が残留している)、「C」:不良(ほとんど分散しない)。
抹茶粉末として、「辻利抹茶」(辻利一本店製)に代えて、「神苑の白」(あいや製、粒数メディアン直径:12.23μm)を用いる以外は、実験例1の抹茶入り乳飲料1-1および1-2と同様にして、それぞれ抹茶入り乳飲料2-1および2-2を調製した。また、これらの抹茶入り乳飲料2-1および2-2について、実験例1の(II)に記載する方法と同様の方法および基準に従って、分散安定性(沈降物の有無)、色調の劣化(退色)、および再分散性を評価した。
(I)抹茶入り飲料の調製
(1)表4に記載する成分を表記載の割合で、下記の方法に従って混合し、油脂分散物3-1〜3-2を調製した。このとき、抹茶粉末として、神苑の白(あいや製、粒数メディアン直径:12.23μm)を用いた。
油脂分散物3-2:薬サジを用いて、抹茶粉末を精製ヤシ油に混合・分散させ、次いで、これに乳化剤P−1670および681SPV、並びにイオン交換水を混合して、油脂分散物3-2を調製した。
上記で調製した抹茶入り飲料3-1および3-2を、常温に3日間で静置保存し、次いで、各飲料のビンの底面に沈降した沈降物の有無を目視で評価した。次いで、抹茶入り飲料の入った耐熱ビンを一回転倒させ(一回転倒させた後に、元に戻して)、沈降物の再分散性を評価した。なお、これらの評価は、実験例1に記載する判断基準に従って実施した。
抹茶の「辻利抹茶」(辻利一本店製)に代えて、ケールの粉末(こだま食品社製、粒数メディアン直径:124μm)、または大麦(若葉)のマイクロパウダー(こだま食品社製、粒数メディアン直径:40μm)を用いる以外は、実験例1の抹茶入り乳飲料1-1および1-2と同様にして、それぞれケールの粉末入り飲料4-1および4-2、ならびに大麦(若葉)の粉末入り飲料5-1および5-2を調製した。また、これらの抹茶入り飲料4-1、4-2、5-1および5-2について、実験例1の(II)に記載する方法と類似する方法(保存条件を「常温、3日間」を「冷蔵、4日間」に変更)、および実験例1の(II)に記載する基準に従って、分散安定性(沈降物の有無)、色調の劣化(退色)、および再分散性を評価した。
表7に記載する成分を、下記(1)の順番で混合した場合と、(2) の順番で混合した場合とで、それぞれ得られた試料の性状を評価した。抹茶として、「辻利抹茶」(辻利一本店製、粒数メディアン直径:24.69μm)を用いた。
Claims (15)
- (a)粉末状の水不溶性可食性植物加工物を油脂に混合して分散させる工程、および
(b)粉末状の水不溶性可食性植物加工物と油脂との分散物を水と混合して均質化処理する工程
を含む(但し、脂溶性素材を油脂及び親油性乳化剤に分散した脂溶性素材分散油と、糖質を水及び親水性乳化剤に分散した糖質水分散液とを混合して油脂−糖質被覆分散液を作製する工程を除く)、粉末状の水不溶性可食性植物加工物を含有する飲料の製造方法。 - (a)工程と(b)工程の間に、さらに均質化処理する工程を有する、請求項1に記載する製造方法。
- 上記(b)工程で用いる水が乳または乳成分を含むものである、請求項1または2に記載する製造方法。
- 安定剤および/または乳化剤を配合しないことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載する製造方法。
- 粉末状の水不溶性可食性植物加工物が、茶、野菜、果実、穀物および豆類からなる群から選択される少なくとも1種の植物の乾燥粉末である、請求項1乃至4のいずれかに記載する製造方法。
- (a)工程で得られる分散物が、原料として使用する油脂および水不溶性可食性植物加工物に由来する水以外の水を含まないことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載する製造方法。
- 前記(b)工程後、調製された飲料をさらに容器に充填密封して容器詰め飲料を製造する工程を有する、請求項1乃至6のいずれかに記載する製造方法。
- 粉末状の水不溶性可食性植物加工物を油脂と混合して分散させる工程を経ないで調製される飲料と比べて、少なくとも、飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の分散安定性が向上しているか、または飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の再分散性が向上してなる飲料を製造する方法である、請求項1乃至7のいずれかに記載する製造方法。
- 飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の退色が抑制されてなる飲料を製造する方法である、請求項8に記載する製造方法。
- 粉末状の水不溶性可食性植物加工物を含む飲料の製造工程において、粉末状の水不溶性可食性植物加工物を予め油脂に分散させたものを水と混合して均質化処理する工程(但し、脂溶性素材を油脂及び親油性乳化剤に分散した脂溶性素材分散油と、糖質を水及び親水性乳化剤に分散した糖質水分散液とを混合して油脂−糖質被覆分散液を作製する工程を除く)を有することを特徴とする、飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させる方法。
- 上記水が乳または乳成分を含むものである、請求項10に記載する方法。
- 安定剤および/または乳化剤を配合しないことを特徴とする、請求項10または11に記載する方法。
- 粉末状の水不溶性可食性植物加工物が、茶、野菜、果実、穀物および豆類からなる群から選択される少なくとも1種の植物の乾燥粉末である、請求項10乃至12のいずれかに記載する方法。
- 粉末状の水不溶性可食性植物加工物を油脂に分散させたものが、当該油脂および水不溶性可食性植物加工物に由来する水以外の水を含まないことを特徴とする、請求項10乃至13のいずれかに記載する方法。
- 飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の分散安定性または再分散性を向上させるとともに、飲料中の粉末状の水不溶性可食性植物加工物の退色を抑制する方法である、請求項10乃至14のいずれかに記載する方法。
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