JP6441053B2 - 密閉型電動圧縮機及び空気調和機 - Google Patents
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Description
このようなスクロール圧縮機によれば、2部材に分けた一方の嵌合部品のみを圧入するので、固定スクロールに生じる歪みは減少する。
したがって、背圧制御弁等の背圧制御機構の取付工程で固定スクロールといった圧縮機構における歪みの発生を抑制しつつ、部品点数及び組付工数を少なく維持することができる密閉型電動圧縮機が望まれている。
本実施形態では、スクロール圧縮機を例にとって密閉型電動圧縮機について説明する。
このスクロール圧縮機は、後に詳しく説明するように、固定スクロールの圧入歪みを低減した構成となっており、固定スクロールに穿設した背圧弁穴(取付穴)に対して圧入する所定の圧入部材の圧入構造に主な特徴点を有している。
以下では、このスクロール圧縮機を備える空気調和機の全体構成について説明した後にスクロール圧縮機について説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機101の構成説明図である。
図1に示すように、空気調和機101は、スクロール圧縮機S、四方弁102、膨張器等の冷暖房絞り装置103、室内熱交換器104、及び室外熱交換器105が所定の配管106で環状に接続されている。
図2は、本実施形態に係るスクロール圧縮機Sの断面図である。
図2に示すように、スクロール圧縮機Sは、縦型スクロール圧縮機であり、冷媒(作動流体)として例えばR32冷媒を使用するものである。
図3は、図2の背圧制御機構40周りの部分拡大断面図である。
図3に示すように、背圧制御機構40は、圧縮室51と背圧室53とを連通する背圧弁連通路41と、この背圧弁連通路41の延在途中に配置された背圧制御弁45と、を主に備えて構成されている。なお、背圧制御弁45は、特許請求の範囲にいう「背圧制御機構の構成部品」に相当する。
弁体45aは、板体で形成され、背圧弁流入穴42の上端開口、つまり開口部42aの反対側の開口を塞ぐように配置されている。
このような背圧制御弁45が所定の位置に配置された後の背圧弁穴43は、その開口を介して圧入部材20が圧入されることによって塞がれる。
次に、背圧弁穴43に対する圧入部材20の圧入構造について説明する。
図3に示すように、本実施形態での背圧弁穴43は、背圧弁流入穴42と背圧弁流出流路44との接続部に臨むように固定スクロール12の鏡板が上面側から穿たれて形成されたものである。この背圧弁穴43は、円柱状の空間で形成されている。
図4は、背圧制御機構40(図3参照)の構成部品としての背圧制御弁45(図3参照)が取り付けられる背圧弁穴43の開口を塞ぐように圧入される圧入部材20の断面図である。図4中、固定スクロール12及びこれに形成される背圧弁穴43を仮想線(二点鎖線)で示している。
圧入部21は、背圧弁穴43の内径よりも大きい外径を有している。
縮径部22は、背圧弁穴43の内径よりも小さい外径を有している。
また、圧入部21と縮径部22との間には、外径が徐々に縮径していくテーパ部23が形成されている。
ばね座24bは、ばね支持部24の縮径部22側の基端部に形成され、コイル状ばね45b(図3参照)の一端側を支持するようになっている。
この座繰り穴25は、圧入部21及び縮径部22と同軸に形成される円柱形状の第1空間25aを有して構成されている。
この第2空間25bは、特許請求の範囲にいう「膨出空間」に相当する。ちなみに、本実施形態での第2空間25bは、円柱形状の第1空間25aにおける端面を底面とする円錐形状を呈している。
電動機2が駆動してクランクシャフト6が回転すると、クランクシャフト6のピン部6cが偏心回転する。旋回軸受部11cにピン部6cが挿入された旋回スクロール11は、オルダムリング14に規制されながら旋回駆動する。この一連の動作により、吸込パイプ7(吸込口4)から吸い込まれた冷媒ガスは、旋回スクロール11と固定スクロール12との圧縮室51で圧縮されて、吐出口5から吐出圧力空間であるチャンバ内空間54に吐出される。チャンバ内空間54の冷媒は、吐出パイプ8から空気調和機101(図1参照)の前記冷凍サイクル内を循環して、吸込パイプ7から再びスクロール圧縮機Sへ戻される。
背圧室53の圧力は、背圧制御弁45により、吐出圧力と吸込圧力の中間の圧力である背圧に保持されている。このため、貯油部9と背圧室53との間に差圧が発生する。この差圧で貯油部9の油が、クランクシャフト6の下端部に固定配置された給油ピースから給油縦穴6aを通り、クランクシャフト6に設けられた給油横穴6b及びスリット部(図示せず)を経て、旋回軸受部11c及び主軸受13aを潤滑しながら、背圧室53へ流入する。
スクロール圧縮機Sの圧入部材20は、図4に示すように、背圧弁穴43(取付穴)の内径よりも大きい外径を有する圧入部21と、背圧弁穴43の内径よりも小さい縮径部22と、が圧入方向Pに向かってこの順番で一体になるように形成されている。
したがって、圧入部材20は、背圧弁穴43に対して、小径の縮径部22から大径の圧入部21へと順番に挿入されていく。よって、このスクロール圧縮機Sによれば、背圧弁穴43に対する圧入部材20の圧入工程を容易に行うことができる。
したがって、スクロール圧縮機Sによれば、従来のスクロール圧縮機(例えば、特許文献1参照)と異なって、部品点数及び組付工数を少なく維持することができる。
これに対して本実施形態に係るスクロール圧縮機Sでは、圧入部21と縮径部22とばね支持部24とが一体となっているので、このばね支持部24にコイル状ばね45b(図3参照)を介して支持される背圧制御弁45の動作安定性が一段と向上する。
したがって、このスクロール圧縮機Sでは、圧入部材20が背圧弁穴43に圧入される際に座繰り穴25の中央に向かって変位し易くなる。これによりスクロール圧縮機Sでは、圧入部材20が背圧弁穴43に圧入される際に、背圧弁穴43が形成される固定スクロール12での歪みの発生を抑制することができる。
また、圧入部材20の材料として、固定スクロール12の材料のヤング率よりも小さいものを使用することによって、固定スクロール12での歪みの発生をより一層確実に抑制することができる。
図5は、図4の圧入部材の第1変形例に係る圧入部材の断面図である。図6は、図4の圧入部材の第2変形例に係る圧入部材の断面図である。図7は、図4の圧入部材の第3変形例に係る圧入部材の断面図である。なお、図5から図7に示す第1変形例から第3変形例において前記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
この第1変形例に係る圧入部材20を有するスクロール圧縮機S(図2参照)によれば、圧入部材20の構造を簡素化することができる。
この第2変形例に係る圧入部材20を有するスクロール圧縮機S(図2参照)によれば、圧入部材20は背圧弁穴43に圧入される際に座繰り穴25の中央に向かって、更に変位し易くなる。これによりスクロール圧縮機Sは、圧入部材20が背圧弁穴43に圧入される際に、固定スクロール12での歪みの発生を更に確実に抑制することができる。
この第3変形例に係る圧入部材20を有するスクロール圧縮機S(図2参照)によれば、圧入部材20が背圧弁穴43に圧入される際に、この圧入部材20のうち特に圧入部21の座繰り穴25中央への変位がし易くなる。これによりスクロール圧縮機Sは、圧入部材20が背圧弁穴43に圧入される際に、固定スクロール12での歪みの発生を更に確実に抑制することができる。
(実施例1)
実施例1では、図4に示した固定スクロール12の背圧弁穴43に圧入部材20を圧入した際に、固定スクロール12に発生する歪みの大きさを評価した。
座繰り深さB(図4参照)と圧入部21の長さA(図4参照)との差(B−A)は、1mmであった。
この平面度(μm)は、テーブル回転型真円度測定機を用いて固定スクロール12の鏡板の下面(旋回スクロール11との摺動面)における円周(外周)の真円度を測定した値である。本実施例での平面度は、1.93μmであった。その結果を図8に示す。
比較例1では、座繰り深さB(図4参照)と圧入部21の長さA(図4参照)との差(B−A)を、−1mmとした以外は、実施例1と同様にして固定スクロール12の背圧弁穴43に圧入部材20を圧入し、固定スクロール12に発生する歪みの大きさを評価した。
比較例1での平面度は、2.35μmであった。その結果を図8に示す。
比較例2では、座繰り深さB(図4参照)と圧入部21の長さA(図4参照)との差(B−A)を、0mmとした以外は、実施例1と同様にして固定スクロール12の背圧弁穴43に圧入部材20を圧入し、固定スクロール12に発生する歪みの大きさを評価した。
比較例1での平面度は、2.03μmであった。その結果を図8に示す。
図8に示すように、圧入部材20の座繰り深さB(図4参照)よりも圧入部21の長さA(図4参照)の方が長い比較例1、及び座繰り深さBと圧入部21の長さAとが等しい比較例2では、鏡板面平面度(μm)が2.0μmを超えていた。
つまり、圧入部21の長さAよりも座繰り深さBの方が長い本発明のスクロール圧縮機Sは、座繰り深さBが圧入部21の長さA以上となるスクロール圧縮機と比較して、固定スクロール12に発生する歪みが小さいことが検証された。
2 電動機
2a 固定子
2b 回転子
3 スクロール圧縮機構
4 吸込口
5 吐出口
6 クランクシャフト
7 吸込パイプ
8 吐出パイプ
9 貯油部
10 下軸受
11 旋回スクロール
11a 旋回スクロールラップ
12 固定スクロール(圧縮機構)
12a 固定スクロールラップ
12c 固定鏡板
13 フレーム
13a 主軸受
14 オルダムリング
15 リリース弁装置
20 圧入部材
21 圧入部
22 縮径部
23 テーパ部
24 ばね支持部
24a 挿通部
25 座繰り穴(穴)
25a 第1空間
25b 第2空間
26 溝部
40 背圧制御機構
41 背圧弁連通路
42 背圧弁流入穴
43 背圧弁穴(取付穴)
44 背圧弁流出流路
45 背圧制御弁
45a 弁体
51 圧縮室
53 背圧室
101 空気調和機
102 四方弁
103 冷暖房絞り装置
104 室内熱交換器
105 室外熱交換器
106 配管
C 座繰り穴の内径
D 圧入部の外径
P 圧入方向
S スクロール圧縮機(密閉型電動圧縮機)
Claims (7)
- 吸入した冷媒を圧縮して冷凍サイクルに吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する電動機とを密閉容器内に収容するとともに、潤滑油を前記密閉容器内に貯留する密閉型電動圧縮機であって、
前記圧縮機構に設けられる取付穴と、
前記取付穴に圧入される圧入部材と、
を備え、
前記圧入部材は、圧入部と、外径が小さくなるように形成される縮径部と、が前記取付穴への圧入方向に向かって形成されているとともに、
前記圧入部材には、前記圧入部の前記圧入方向の長さよりも長く、前記圧入部から前記縮径部にわたって穴が形成され、
前記穴は、前記圧入部及び前記縮径部と同軸に形成される円柱形状の空間と、前記円柱形状の空間から前記圧入方向に更に膨出する膨出空間とを有しており、
前記縮径部における前記穴の内周面に沿って周回する溝部が形成されていることを特徴とする密閉型電動圧縮機。 - 前記圧入部と前記縮径部とは同軸に並ぶ円筒形状を有し、前記縮径部の半径方向の肉厚は、前記圧入部の半径方向の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記圧入部と前記縮径部との間には、外径が徐々に縮径していくテーパ部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の密閉型電動圧縮機。
- 前記圧入部材のヤング率は、前記取付穴が設けられる部分のヤング率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- スクロール圧縮機であることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- ロータリ圧縮機であることを特徴とする請求項1に記載の密閉型電動圧縮機。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の密閉型電動圧縮機と、四方弁と、冷暖房絞り装置と、室内熱交換器と、室外熱交換器と、が所定の配管で環状に接続され、冷媒が流れる冷媒回路を備えることを特徴とする空気調和機。
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