JP3806265B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
スクロール圧縮機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3806265B2 JP3806265B2 JP09803099A JP9803099A JP3806265B2 JP 3806265 B2 JP3806265 B2 JP 3806265B2 JP 09803099 A JP09803099 A JP 09803099A JP 9803099 A JP9803099 A JP 9803099A JP 3806265 B2 JP3806265 B2 JP 3806265B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- chamber
- valve
- back pressure
- scroll
- scroll compressor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C28/00—Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids
- F04C28/24—Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids characterised by using valves controlling pressure or flow rate, e.g. discharge valves or unloading valves
- F04C28/26—Control of, monitoring of, or safety arrangements for, pumps or pumping installations specially adapted for elastic fluids characterised by using valves controlling pressure or flow rate, e.g. discharge valves or unloading valves using bypass channels
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Fluid Mechanics (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Rotary Pumps (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの円軌道運動により圧縮室が外周部から中心部に容積を小さくしながら移動するのを利用して流体の吸入、圧縮、吐出を繰り返し行うスクロール圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のスクロール圧縮機では、旋回スクロールおよび固定スクロール間の圧縮室で流体を吸入し、圧縮し、吐出するのに、旋回スクロールの背部に背圧室を設け、ここに導いた背圧によって旋回スクロールを固定スクロールの側に押圧し、圧縮室での流体圧により旋回スクロールが固定スクロールから押し離されないようにすることが従来から行われている。
【0003】
この背圧は圧縮機構の吐出流体圧、圧縮途中の流体圧、旋回スクロールに連動するポンプ機構や圧縮機構の吐出側と吸入側の差圧を利用して圧縮機構各部に潤滑剤を供給するときの供給圧など、種々の方法で得られる。どのような方式で得られる背圧でも変動は抑え切れないため、どんな条件のときでも旋回スクロールが固定スクロールから押し離されない背圧設定が必要である。これにより背圧の変動はときとして過剰になり旋回スクロールが固定スクロールに強く押し付けられて、スラスト摺動部の異常摩耗や入力増加を招く。
【0004】
特許第2574599号公報、特公平5−84394号公報、特開平10−110688号公報、特開平10−110689号公報などは、そのような問題を解消する技術を開示している。その多くは差圧弁方式によって、背圧が一定値以上であるときに弁が開いてその過剰圧力を吸入側に逃がすようにしている。
【0005】
上記差圧弁として、特許第2574599号公報、特開平10−110688号公報、特開平10−110689号公報などに開示されている図5に示すような、固定スクロールaの背面に開口した弁室bを設けて蓋cを施し、弁室bから背圧室dに通じる背圧室側連絡路eと、吸入室fに通じる吸入室側連絡路gとを設け、弁室b内に背圧側連絡路eをそれとの間の弁座hに当接して閉じる弁体iと、この弁体iを前記蓋cとの間で閉じ位置に保つばねjとを収容した構造のものを採用すると、固定スクロールaだけの加工、組立によって背圧制御弁機構qが実現する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、弁体iは固定スクロールaと旋回スクロールmとを組み合わせた圧縮機構nから吐出する流体圧の脈動によって旋回スクロールaの1回の旋回で1回開閉し、例えば1秒間に60回程度開閉する。このため、特開平10−110689号公報に開示している板弁を採用したものでは、板弁の挙動が不安定で、しかも弁座hとは平面どうしの面接触であるため、振動や騒音の原因になる。そこで、図5に示すような特許第2574599号公報、特開平10−110688号公報が開示しているボール弁iを用いたものにするのが好適である。
【0007】
この場合、図5に示すように弁室bと背圧室側連絡路eとを固定スクロールaの旋回スクロールmとの外周部におけるスラスト摺動面pに直角な同一軸線上に位置する構造にすると、同一の位置基準によって弁室b、背圧室側連絡路eおよびそれらの間の弁座hを必要な寸法条件、形状条件を持って容易に精度よく加工でき、吸入室側連絡路gは単に弁室bと吸入室fとが通じるように設ければよいので加工精度は特に要求されない利点がある。
【0008】
しかし、本発明者等の実験によれば、図5に示す背圧制御弁機構qを採用しても背圧はまだ満足に安定しない。これは、ボール弁iが自身の球面と弁座のテーパ面との線接触ではあっても面と面とが対面するものであるため、双方間に異物を噛み込みやすくシール漏れが発生したり、ボール弁iがばねjで閉じられるときなどに滑って横揺れしたり、踊ったりする動作の不安定によってシール漏れが発生したりすることが原因と思われる。また、ボール弁iの不安定な動きによって弁室bの壁面に触れて騒音を発するし、摩耗により寿命が早期に低下する。
【0009】
さらに、ボール弁iは図6の(a)に示すように過剰な背圧によってばねjに抗し押し開かれるときに、背圧の流れが弁室b内の吸入室側連絡路gの開口側に偏ってボール弁iを反対の側に押し退けたり、図6の(b)に示すようにボール弁iが弁室b内の吸入室側連絡路gの開口位置まで上がると、ボール弁iがその開口に吸いつけられて背圧の逃げを阻害したりして、その挙動はやはり安定しにくく、音を発したり、摩耗により寿命が早期に低下したりするし、背圧の逃げを制御し切れない問題がある。
【0010】
従って、背圧制御弁機構qおよび圧縮機構nともに寿命を安定して長くするのが困難であり、メンテナンスフリーな密閉型のスクロール圧縮機では特に問題となっている。
【0011】
本発明の主たる目的は、安定した弁動作で安定した背圧を得て、効率がよく信頼性の高いスクロール圧縮機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のスクロール圧縮機は、鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する円軌道運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を密閉容器に収納したスクロール圧縮機を前提にしており、
大きな点では、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、この弁室の弁座に背圧が一定値以上になるまで各種の形態の弁を押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室に弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設け、前記密閉容器の下部を圧縮機構各部に供給する潤滑剤を貯留する潤滑剤溜とし、前記圧縮機構の回転軸線が横向きになるように設置した横型のスクロール圧縮機であって、前記弁室を固定スクロールの下部に設けたことを第1の特徴としている。
【0013】
また、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、この弁室の弁座にボール弁を背圧が一定値以上になるまで押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室にボール弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設け、前記密閉容器の下部を圧縮機構各部に供給する潤滑剤を貯留する潤滑剤溜とし、前記圧縮機構の回転軸線が横向きになるように設置した横型のスクロール圧縮機であって、前記弁室を固定スクロールの下部に設けたことを第2の特徴としている。
【0014】
さらに、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを固定スクロール内を通じて連絡する連絡路と、この連絡路の途中にボール弁を収容した弁室と、この弁室よりも小径の背圧室側連絡路と弁室との間に形成した弁座にボール弁を背圧が一定値以上になるまで押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室にボール弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設けるとともに、弁室から側方に延びる吸入室側連絡路の弁室への開口をボール弁の最大押し戻し位置での中心位置以上に弁座側から離して設けたことを第3の特徴としている。
【0015】
これらの構成では、旋回スクロールが背圧室での背圧のもとに固定スクロールに押圧されながら旋回駆動され、相互間の圧縮室にて流体の漏れなく吸入、圧縮、吐出を続けることができ、背圧が所定値以上となったとき、弁またはボール弁がばねに抗し押し戻されて背圧室側連絡路が弁室に通じ、この弁室、吸入側連絡路を介して吸入室に逃がし、背圧が所定値を下回ったときにばねによって弁、またはボール弁を閉じるので、背圧を所定値に保つ働きをする。
【0016】
特に、第1の特徴の各種の形態の弁または第2、第3の特徴のボール弁は、共に最大押し戻し位置がストッパによって規制されることにより、開閉のストロークを過剰な背圧を吸入室に逃がすための必要最小限に抑えて開閉時の弁座とストッパとの間の挙動を安定させるので、例え板弁であっても挙動が安定し、ボール弁では特に安定し、背圧の安定により効率が向上しスクロール圧縮機の信頼性が向上する。
【0017】
また弁またはボール弁は前記安定によって横揺れしにくく弁室の壁面に触れて音を発したり摩耗したりすることが低減するので、背圧を安定させやすいし、音を発しにくい。従って、これらによるだけでも、弁機構は静かで摩耗が少なく長寿命になるし、圧縮機構も弁機構による背圧の安定によって過剰な摩耗なく静かに軽負荷で経済的に運転されるとともに長寿命になる。従ってメンテナンスフリーな使用に有効であるし、運転が静かになるので環境によくなる。
【0018】
第1の特徴、第2の特徴ではさらに、前記密閉容器の下部を圧縮機構各部に供給する潤滑剤を貯留する潤滑剤溜とし、前記圧縮機構の回転軸線が横向きになるように設置した横型のスクロール圧縮機であって、前記弁室を固定スクロールの下部に設けてあることにより、背圧室から弁室部までの部分にはオイルが充満しやすくオイルの流量が安定し、背圧の安定に貢献する。また、第3の特徴ではさらに、弁室から側方に延びる吸入室側連絡路の弁室への開口がボール弁の最大押し戻し位置での中心位置以上に弁座側から離れているので、ボール弁が前記開口に対向して吸いつけられて音を発したり背圧が吸入室へ逃げるのを妨げたりするようなことを防止することができる。これにより、弁機構はより静かでより摩耗が少なくさらに長寿命になるし、圧縮機構も弁機構による背圧がより安定することによって過剰な摩耗なくより静かにより軽負荷で経済的に運転されるとともにさらに長寿命になる。従ってメンテナンスフリーな使用に特に有効であるし、運転が静かになるので環境によくなる。
【0019】
しかも、第3の特徴では、ストッパによって規制されるボール弁の必要最小限の最大押し戻し位置まで、吸入室側連絡路の弁室への開口を近づけられるので、この開口が固定スクロールの外周部の旋回スクロールとのスラスト摺動面に近くなり、このスラスト摺動面側の吸入室や羽根が形成している凹部を利用した斜め方向からのドリル加工などによる吸入室側連絡路の孔明け作業がしやすくなる。
【0020】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りにおいてそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的な一実施の形態に係るスクロール圧縮機につきその実施例とともに図を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。
【0022】
本実施の形態は空調、冷凍機器に用いられる密閉型のスクロール圧縮機に本発明を適用した場合の一例である。従って取り扱う流体は冷媒であり、以下冷媒として説明する。しかし、本発明はこれに限られることはない。図1、図2に示すように、鏡板1、2からほぼ同じ形状をした羽根3、4が立ち上がった固定スクロール5と旋回スクロール6とを噛み合わせて双方間に圧縮室7を形成し、旋回スクロール6の固定スクロール5に対する円軌道運動により圧縮室7が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、吸入口43、吸入室11を通じた冷媒の吸入、圧縮、吐出口42を通じた冷媒の吐出を行う圧縮機構8を持ち、旋回スクロール6の背部に位置して、旋回スクロール6を固定スクロール5側に押圧する背圧を働かせる背圧室9と、前記圧縮室7に冷媒の吸入を図る吸入室11と前記背圧室9とに通じ、各種形態の弁またはボール弁13を収容した弁室15と、この弁室15よりも小径の背圧室側連絡路12aと弁室15との間に形成した弁座16に、背圧が一定値以上になるまで各種形態の弁またはボール弁13を図2に実線で示すように押し付けて常閉にするばね17とを備えたスクロール圧縮機であれば、他の具体的な構造の違いや、用途の違いに関係なく本発明を適用して有効である。具体的には弁室15は固定スクロール5内を通じて吸入室11と前記背圧室9とを連絡する連絡路12の途中に設けてある。
【0023】
また、本実施の形態で背圧室9に働かせる背圧は、基本的に、圧縮機構8の吐出冷媒圧、圧縮途中の冷媒圧、圧縮機構8各部に旋回スクロール6に連動するポンプ機構や圧縮機構8の吐出側と吸入側の差圧を利用して潤滑剤を供給するときの供給圧など、種々の方法で得られるどの方式を採用したものでもよい。
【0024】
本実施の形態は特に、図1、図2に示すように、弁室15に各種の形態の弁またはボール弁13の背圧による最大押し戻し位置を図2に仮想線で示す位置などに規制するストッパ21を設けることを基本的な特徴としている。より好適には、これに併せ、弁室15から側方に延びる吸入室側連絡路12bの弁室15への開口22をボール弁13の最大押し戻し位置での中心位置以上に弁座16側から離れた位置に設けてある。
【0025】
このようにすると、まず、旋回スクロール6が背圧室9での背圧のもとに固定スクロール5に押圧されながら旋回駆動され、相互間の圧縮室7にて冷媒の漏れなく吸入、圧縮、吐出を続けることができ、背圧が所定値以上となったとき、板弁を含む各種形態の弁またはボール弁13がばね17に抗し押し戻されて背圧室側連絡路12aが弁室15に通じ、この弁室15、吸入室側連絡路12bを介して吸入室11に逃がし、背圧が所定値を下回ったときにばね17によって各種形態の弁またはボール弁13を閉じるので、背圧を所定値に保つ働きをする。
【0026】
特に、各種形態の弁またはボール弁13は最大押し戻し位置がストッパ21によって規制されることにより、開閉のストロークを過剰な背圧を吸入室11に逃がすための必要最小限に抑えて開閉時の弁座16とストッパ21との間の弁の挙動を板弁などでも安定させられ、ボール弁13は特に安定させられるので、横揺れしにくく弁室15の壁面15aに振れて音を発したり摩耗したりすることが低減し、背圧を安定させやすいし、音を発しにくい。従って、これらによるだけでも、弁機構は静かで摩耗が少なく長寿命になるし、圧縮機構も弁機構による背圧の安定によって過剰な摩耗なく静かに軽負荷で経済的に運転されるとともに長寿命になる。従ってメンテナンスフリーな使用に有効であるし、運転が静かになるので環境によくなる。
【0027】
これに加え、弁室15から側方に延びる吸入室側連絡路12bの弁室15への開口22がボール弁13の最大押し戻し位置での中心位置O以上に弁座16側から離れた位置にあるので、ボール弁13が前記開口22に対向して吸いつけられて音を発したり背圧が吸入室11へ逃げるのを妨げたりするようなことを防止することができる。
【0028】
これらにより、ボール弁13を持った背圧制御弁機構31はより静かでより摩耗が少なくさらに長寿命になるし、圧縮機構8も背圧制御弁機構31による背圧のさらなる安定によって過剰な摩耗なくより静かにより軽負荷でさらに経済的に運転されるとともにさらに長寿命になる。従ってメンテナンスフリーな使用に特に有効であるし、運転が静かになるので環境によくなる。
【0029】
しかも、ストッパ21によって規制されるボール弁13の必要最小限の最大押し戻し位置まで、吸入室側連絡路12bの弁室15への開口22を近づけられるので、この開口22が固定スクロール5の外周部の旋回スクロール6とのスラスト摺動面20の側に近くなり、スラスト摺動面20に吸入室11や羽根3が形成している凹部を利用した斜め方向からのドリル加工などによる吸入室側連絡路12bの孔明け作業がしやすくなる。
【0030】
さらに具体的には、吸入室側連絡路12bの吸入室11への開口23は、図2に示すように前記弁室15への開口22よりも弁座16側の位置に設け、前記開口23を座グリ加工部23aとし、吸入室側連絡路12bはこの座グリ加工部23a内から弁室15に通じるように設けてある。このように開口23が開口22よりも弁座16側の位置する構造では、前記ストッパ21の先端21hによるボール弁13の位置規制によってスラスト摺動面20の側に近くなった開口22に対し、さらにスラスト摺動面20に近い開口23との間で吸入室側連絡路12bが通じ、吸入室側連絡路12bは固定スクロール5のスラスト摺動面20の側に凹部を形成する羽根3や吸入室11の周壁11aに対して斜めに位置することになるので、前記凹部を利用して斜め方向から挿入したドリルなどにより容易に孔明け作業して形成できる。
【0031】
また、開口23の座グリ加工部23aはドリルなどで比較的ラフに浅く加工しておけばよいので吸入室11の周壁11aなどに対し斜めになっても加工しやすく、それに次ぐ前記吸入室側連絡路12aをドリル加工して孔明け作業をするときのドリルの案内になるので、周壁11aに斜めな吸入室側連絡路12bの孔明け作業がさらに容易になる。
【0032】
また、吸入室側連絡路12bの吸入室11への開口23を、図2に示すように固定スクロール5のスラスト摺動面20の側に寄って位置するように設けてあるので、前記座グリ部23aや吸入室側連絡路12bの孔明け作業をするのに、羽根3などがより邪魔になりにくくさらに作業しやすくなる。
【0033】
ところで、図1に示す実施例は圧縮機構8をそれを駆動する電動機131とともに密閉容器32に収容したメンテナンスフリーなスクロール圧縮機の場合の一例であって、下部を潤滑剤としてのオイル33を貯留するオイル溜34とし、このオイル溜34のオイル33を圧縮機構8の各摺動部に供給する供給圧を利用して前記背圧を得ている。吐出口42は密閉容器32の一端部内に開口し、吐出した冷媒を電動機131の部分に通してこれを冷却した後、密閉容器32外への吐出管44に達して外部の冷凍サイクルに供給される。吸入口43は密閉容器32の外部からの吸入管45に通じて、そこに戻ってくる冷凍サイクルでの使用後の冷媒を吸入し前記圧縮に供する。
【0034】
このため、この実施例では電動機131の回転子131aに結合されて旋回スクロール6を円軌道運動するように自転防止用の例えばオルダムリング35を介して駆動するクランク軸36に縦通したオイル供給路37を通じて、圧縮機構8の各部摺動部に供給してあり。オイル供給圧はクランク軸36に連動するトココイドポンプ38を利用して得た例を示してあり、トココイドポンプ38は吸込みパイプ39を通じオイル33を吸入して高圧にしオイル供給路37に供給する。オイル供給路37は圧縮機構8の各摺動部に分岐して至り、必要な潤滑を行う。
【0035】
電動機131の固定子131bは密閉容器32の内周に焼き嵌めなどして固定され、必要に応じて密閉容器32との間に冷却用の冷媒を通す通路を形成する切り欠きが外周に設けられる。クランク軸36の旋回スクロール6を旋回駆動する偏心孔36aなどを持った主軸36bと、これと反対のトココイドポンプ38が連結されつ副軸36cとが、密閉容器32内に溶接などして固定された主、副各軸受部材51、52によって軸受53、54を介し軸受され、主軸受部材51には固定スクロール55をボルト止めしてあり、主軸受部材51と固定スクロール5との間に旋回スクロール6およびオルダムリング35を挟み込み、固定スクロール5と主軸受部材51との間に前記背圧室9を形成している。
【0036】
オイル供給路37の一部は絞り41を介して背圧室9に通じ、トココイドポンプ38によって供給される高圧のオイル33が絞り41の絞り作用で背圧室9に徐々に達し、背圧室9内でオイル33の供給圧の変動が絞り41により低減される状態で旋回スクロール6をバックアップし、固定スクロール5から押し離されないようにする。
【0037】
ここで、弁室15は図3に示すように、固定スクロール5の羽根3の巻き終わり部の近傍に設けてある。これによって、背圧が過剰で弁室15に入ったオイル33は吸入室11の羽根3の巻き終わり端直ぐの位置に戻されるので、吸入側連絡路12bから供給されたオイル33が圧縮室7にスムーズに供給され、羽根3、4部の摺動を良化させるとともに、圧縮室7のシールもよくなり、圧縮機構8の効率が向上する。
【0038】
これに関連して、吸入室側連絡路12bは図3に破線で示すように、吸入室11の羽根3の巻き終わり部に位置する部分から、羽根3の巻き終わり方向にほぼ向いて弁室15まで設けてある。これによって、羽根3が形成する固定スクロール5のスラスト摺動面20の側の羽根3に沿った通路状凹部の長手方向が、前記吸入室側連絡路12bの長手方向に一致するので、吸入室側連絡路12bをドリルによる孔加工で形成するのに、スラスト摺動面20に対するドリルの角度を小さくしても羽根3などが邪魔にならない利点がある。これによって、吸入室側連絡路12bのスラスト摺動面20に対する傾き角度を小さくして加工しやすくすることができる。
【0039】
図2に示すボール弁13の外周と弁室15の内周との間の隙間S1の通路断面積は、背圧室側連絡路12aのそれよりも大きく設定する。これにより、背圧室側連絡路12aから弁室15内に入ったオイル33などの流体は弁室15の内周とボール弁13との間の隙間S1を背圧室側連絡路12aとほぼ等しいか、それよりも小さい通路抵抗で難なく通り抜けるので、通路抵抗のためにボール弁13を不安定にして横揺れなどを生じさせることはなく、より静かで、しかも開閉動作も安定し背圧を所定の範囲に安定させることができる。
【0040】
この場合、背圧室側連絡路12aの径がボール弁13の径の50〜86%の範囲に設定すると上記の条件を得やすい。また、ボール弁13と弁室15の半径差が、ボール弁13の半径の1/3よりも小さく設定するのが、オイル33の流れが吸入室側連絡路12bの開口22側に偏って生じるボール弁13の弁室15内での不要な動きを制動するのに好適である。
【0041】
また、図に示す実施例の弁座16は図2に示すように、背圧室側連絡路12aから弁室15の側に広がる鈍角なテーパ面で、このテーパ面と背圧室側連絡路12aとがなす陵部46でボール弁16を受け止めシールするようにしてある。
【0042】
これにより、ボール弁16は球面にて線状の陵部46と接触するので、面と面との接触の場合よりも異物が噛み込みにくいし、ボール弁16が開閉に際して弁座16に対し滑りにくく、横揺れなどしにくくなるので、ボール弁13の背圧の変動に対する開閉機能および開閉に際する挙動が安定し、背圧を適正範囲によく保ち圧縮機構8に過剰摩耗や過剰負荷が生じないようにすることができる。また、背圧制御弁機構31および圧縮機構8がより静かになる。しかも陵部46は少しの間の使用中にボール弁13との擦り合わでその曲面によく馴染むのでシール性が向上する。
【0043】
また、陵部46がボール弁13に接する両側部分とボール弁13の中心Oがなす角度θ2を30〜60度に範囲にすると、ボール弁13を所定位置、つまり中心位置に保持して不安定な挙動を防止しやすく、かつシールが十分でしかもボール弁13が背圧室側連絡路12aに落ち込んだり、嵌まり合いによって開きにくくなるようなことを防止することができる。
【0044】
ばね17は図1、図2に示すようにコイルばねであるのがボール弁13の横の動きを規制するのに好適であり、ボール弁13と接触する先端部17aの径が、ボール弁13への両側接触位置とボール弁13の中心Oとなす角度θ1が30〜60度となる範囲にすると、ばね17がボール弁13を押圧するのに逃げがないし、ボール弁13の横揺れを防止しやすい。
【0045】
なお図示しないが、ばね17は、ボール弁13側の先端部17aからこれと反対側の基端部17bに向け径が増大する円錐状のコイルばねにすると、ばね17の先端部17aの求心性が向上し、ボール弁13を所定の中心位置に保持しやすく横揺れ防止性能が向上する。
【0046】
ストッパ21は図2に示すように、ばね17の基端部17bを受け止めるばね座21aに、ばね17の基端部17b内に嵌まり合うテーパ部21bを有しているので、テーパ部21bのテーパ面をガイドにしてばね17の基端部17bに容易に挿入してしかもテーパ部21bの基部でばね17の基端部17bを中心位置など所定位置に位置決めすることができる。
【0047】
なお、ばね17は、ボール弁13が最大押し戻し位置にあるときコイル間に隙間を残す線密度に巻かれているようにすると、ボール弁13が最大押し戻し位置まで開かれても、ばね17は密着し合わずオイルや冷媒の流通を阻害しないので背圧制御弁機構31の背圧調整機能を損なわない。
【0048】
図に示す実施例での弁室15は、固定スクロール5の鏡板1の背面に弁室15よりも大きな径のシール孔61を持って開口するとともに、弁室15とシール孔61との間に前記開口に向いたストッパ21の位置決め段差面62を形成している。これに対応してストッパ21は図2、図4に示すように、ばね17を受け止めるばね座21aを先端に持ち弁室15内に遊びのある隙間S2を有して嵌まり合うストッパ部21cと、このストッパ部21cの後部にそれよりも大径で続いて前記位置決め段差面62に当接して位置決めされる被位置決め段差面21dを形成するとともに、前記シール孔61にほぼ遊びのないガイド隙間S3を有してJIS規格のトマリバメからスキマバメ程度で嵌まり合うガイド部21eと、このガイド部21eの後部に続いてシール孔61にそれより大径でJIS規格のシマリバメ程度で圧入されて双方間をシールするシール部21fとが設けられている。
【0049】
これにより、ストッパ21のガイド部21eは、シール孔61との間にJIS規格のトマリバメからスキマバメ程度のほぼ遊びのないガイド隙間S3を有して、抵抗や過度な遊びによるガタツキや心の触れや傾きなくシール孔61に簡単に嵌め合わせて行くことができる。このようにして、シール部21fがシール孔61に達したとき、ガイド部21eのシール孔61への嵌まり合いがガイドとなってシール部21fがシール孔61に位置ずれや傾きなく対向させられそのまま押圧することでシール孔61にスムーズにJIS規格のシマリバメ程度に圧入することができ、ストッパ21を弁室15の所定位置に配置するのと同時に弁室15の機械的なシールが簡単に完了する。圧縮機構8の吐出圧と背圧との差は通常10〜20Kb/cm2 程度であり、シール部21fのシール孔61への嵌め合い長さL2は3mm以上あれば十分なシール効果が得られる。1つの実施例としては5mmに設定してある。
【0050】
このシール部21fのシール孔61への圧入の際、ストッパ21のばね座21aの面を高精度に位置させ、ばね17のボール弁13への押付力を精度よく設定でき、適せるな背圧が得られる。また、シール孔61およびシール部21fはシール性能確保から高精度に加工され、シール孔61へのシール部21fの圧入作業はストッパ21の上記先端21hを弁室15内の径方向の所定位置、例えば中心位置に高精度に位置させる位置決め作業にもなる。
【0051】
なお、被位置決め段差面21dとガイド部21eとの間にはシール孔61と隙間S3よりも大きな遊びS4を形成する逃げ部21gが形成されている。この逃げ部21gは位置決め段差面62とシール孔61との相関部の加工で角がでにくくアール面になっても、上記被位置決め段差面21dの当接位置に影響しないようにする隙間S4を形成する。
【0052】
なお、ガイド部21eの先端位置21e1からストッパ21のばね座21aまでの長さL1を、シール孔61の長さL2よりも大きく設定すると、ガイド部21eがシール孔61に進入した後、ストッパ部21cが弁室15に進入し始めるので、ガイド部21eのシール孔61への嵌め合いはストッパ部21cを弁室15に嵌め合わせるときのガイドにもなり、ストッパ部21cが位置決め段差面62に当たって傷を付けるような不都合を回避することができる。
【0053】
また、図2に示すように、固定スクロール5の前記背圧室側連絡路12aが背圧室9に開口するスラスト摺動面20に、この開口12a1よりも大きな堀込み部65を設けてそのまわりに張り出すようにしてある。これにより、旋回スクロール6が旋回駆動されるときの円軌道運動により鏡板2が図2の矢印Aの方向に移動しても、その最大旋回径Dよりも外側に位置して、背圧室9と背圧室側連絡路12aとの連絡が旋回スクロール6の鏡板2によって遮断されるようなことを防止することができ、そのような遮断によって背圧制御弁機構31の機能が一時でも損なわれることはない。従って、堀込み部65は背圧室側連絡路12aの前記開口12a1に対して固定スクロール5の外周側に偏心し、旋回スクロール6の鏡板2の図2、図3に示す最大旋回径Dよりも外側に位置するようにしている。
【0054】
この場合、堀込み部65の図2に示す深さHは、旋回スクロール6の鏡板2が最大に覆った前記最大旋回径Dの位置での、背圧室側連絡路12aの前記開口12a1へ矢印Bの方向に向かう通路断面積が背圧室側連絡路12aの通路断面積よりも大きくなるように設定する。これにより、旋回スクロール6がどの旋回位置にあるときでも、オイル33などによる背圧は堀込み部65の部分で絞られるようなことなく通常圧でボール弁13に働く。従って、背圧制御弁機構31は旋回スクロール6の旋回の影響を受けることなく安定に機能し、背圧を安定させる。
【0055】
図1に示すように、圧縮機構8を密閉容器32に収容してその密閉容器32の下部を圧縮機構8の各部に供給するオイル33を貯留するオイル溜34とし、圧縮機構8の回転軸線66が横向きになるように設置される横型のスクロール圧縮機において、弁室15は固定スクロール5の下部に設けてある。
【0056】
これにより背圧室9から背圧室側連絡路12aを介した弁室15部までの部分にはオイル33が充満しやすくなるので、背圧制御弁機構31内をオイル33が主体で流れ、背圧制御弁機構31を流れるオイル33の流量が安定し、背圧の安定に貢献する。
【0057】
固定スクロール5と旋回スクロール6との外周部にある双方間のスラスト摺動面20には、図3に示すようなほぼ環状の潤滑剤供給溝としてのオイル供給溝71を設け、これの一端部71aを前記堀込み部65の吸入室11から遠い側に接続してある。これにより、背圧室9に到達したオイル33は堀込み部65を通じてオイル供給溝71に進入して毛細管減少によってその全長に行き渡り、羽根3と旋回スクロール6との間の摺動部を潤滑しやすくなる。
【0058】
しかも、オイル供給溝71は吸入口43および吸入室11の近傍を除く範囲に設けてある。具体的にはこの範囲は全周のほぼ3/4であり、圧縮室7が冷媒の吸入後圧縮を開始して冷媒が昇圧する範囲での前記潤滑を旺盛にしてシール効果を高められるようにしている。また、吸入口付近のシール長さを十分にとることができる。これによって、圧縮機構8の圧縮効率が向上する。また、オイル供給溝71の他端部71bに、旋回スクロール6の鏡板2の最大旋回径Dの外に延びる延長部71cを設けてあるので、この延長部71cを通じても背圧室9内のオイル33が供給されるので、他端部71bの側での潤滑性能が低下するようなことを防止することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、上記の説明で明らかなように、旋回スクロールを固定スクロールに押圧する背圧を、固定スクロールにある背圧室と吸入室とを連絡する背圧制御弁機構によって調整し安定させるのに、背圧の変動により開閉する各種形態の弁またはボール弁の最大押し戻し位置を規制して過剰な背圧を吸入室に逃がすための必要最小限の開閉ストロークに抑えて弁またはボール弁の開閉時の挙動を安定させるので、安定した背圧が得られ、効率が高く、信頼性の高い圧縮機が実現できる。
【0060】
しかも、弁またはボール弁は横揺れしにくく弁室の壁面に触れて音を発したり摩耗したりすることを低減し、かつ弁室から側方に延びる吸入室側連絡路の弁室への開口にボール弁が対向して吸いつけられて音を発したり背圧が吸入室へ逃げるのを妨げたりするようなことも防止するので、弁機構は静かで摩耗が少なく長寿命になるし、圧縮機構も弁機構による背圧の安定によって過剰な摩耗なく静かに軽負荷で経済的に運転されるとともに長寿命になる。従ってメンテナンスフリーな使用に有効であるし、運転が静かになるので環境によくなる。
【0061】
しかも、吸入室側連絡路の弁室への開口は、ストッパによって規制される弁またはボール弁の必要最小限の最大押し戻し位置まで近づけられ、この開口が固定スクロールの外周部の旋回スクロールとのスラスト摺動面に近くなり、このスラスト摺動面側の吸入室や羽根が形成している凹部を利用した斜め方向からのドリル加工などによる吸入室側連絡路の孔明け作業がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の代表的な一実施の形態に係る1つの実施例を示すスクロール圧縮機の断面図である。
【図2】図1の圧縮機の背圧制御弁機構の断面図である。
【図3】図1の圧縮機の固定スクロールの旋回スクロールとのスラスト摺動面側の正面図である。
【図4】図2の背圧制御弁機構のストッパを示す側面図である。
【図5】従来の圧縮機の背圧制御弁機構の一例を示す断面図である。
【図6】図5の背圧制御弁機構におけるボール弁の挙動を示し、その(a)はボール弁が冷媒の偏りによってそれと反対の側に押し退けられた例を示す断面図、その(b)はボール弁が吸入室側連絡路の弁室への開口に吸いつけられた例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2 鏡板
3、4 羽根
5 固定スクロール
6 旋回スクロール
7 圧縮室
8 圧縮機構
9 背圧室
11 吸入室
12 連絡路
12a 背圧室側連絡路
12b 吸入室側連絡路
13 ボール弁
15 弁室
16 弁座
17 ばね
21 ストッパ
21a ばね座
21b テーパ部
21c ストッパ部
21d 被位置決め段差面
21e ガイド部
21f シール部
21h 先端
22、23 開口
23a 座グリ加工部
31 背圧制御弁機構
32 密閉容器
33 オイル
34 オイル溜
36 クランク軸
37 オイル供給路
38 トココイドポンプ
41 絞り
42 吐出口
43 吸入口
46 陵部
61 シール孔
62 位置決め段差面
65 堀込み部
71 オイル供給溝
71a 一端部
71b 他端部
71c 延長部
131 電動機
S2 遊び隙間
S3 ガイド隙間
D 旋回スクロールの最大旋回径
H 深さ
L1、L2 長さ
Claims (26)
- 鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する円軌道運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を密閉容器に収納したスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、この弁室の弁座に背圧が一定値以上になるまで前記弁を押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室に弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設け、前記密閉容器の下部を圧縮機構各部に供給する潤滑剤を貯留する潤滑剤溜とし、前記圧縮機構の回転軸線が横向きになるように設置した横型のスクロール圧縮機であって、前記弁室を固定スクロールの下部に設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する円軌道運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を密閉容器に収納したスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、この弁室の弁座にボール弁を背圧が一定値以上になるまで押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室にボール弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設け、前記密閉容器の下部を圧縮機構各部に供給する潤滑剤を貯留する潤滑剤溜とし、前記圧縮機構の回転軸線が横向きになるように設置した横型のスクロール圧縮機であって、前記弁室を固定スクロールの下部に設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する円軌道運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を持ったスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを固定スクロール内を通じて連絡する連絡路と、この連絡路の途中にボール弁を収容した弁室と、この弁室と背圧室側連絡路との間に形成した弁座に背圧が一定値以上になるまでボール弁を押し付けて常閉にするばねとを備え、弁室にボール弁の背圧による最大押し戻し位置を規制するストッパを設けるとともに、弁室から側方に延びる吸入室側連絡路の弁室への開口をボール弁の最大押し戻し位置での中心位置以上に弁座側から離して設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 背圧は圧縮機構への潤滑剤の供給圧であって、弁室は固定スクロールの羽根の巻き終わり部の近傍に設けた請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 吸入室側連絡路は羽根の巻き終わり部に位置する吸入室部分から、羽根の巻き終わり方向にほぼ向いて弁室まで設けられている請求項4に記載のスクロール圧縮機。
- ストッパは、ばねの基端部を受け止めるばね座に、ばねの基端部内に嵌まり合うテーパ部を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- ばねは、弁が最大押し戻し位置にあるときコイル間に隙間を残す巻線密度を有している請求項1〜6のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 弁室は固定スクロールの背面に弁室よりも大きな径のシール孔を持って開口するとともに、弁室とシール孔との間に前記開口に向いたストッパの位置決め段差面を形成し、ストッパはばねを受け止めるばね座を先端に持ち弁室内に遊びのある隙間を有して嵌まり合うストッパ部と、このストッパ部の後部にそれよりも大径で続いて前記位置決め段差面に当接して位置決めされる被位置決め段差面を形成するとともに、前記シール孔にほぼ遊びのないガイド隙間を有して嵌まり合うガイド部と、このガイド部の後部に続いてシール孔に圧入されて双方間をシールするシール部とが設けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 固定スクロールの前記弁室からの背圧室側連絡路が背圧室に開口する面に、この開口よりも大きな堀込み部を設けた請求項1〜8のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 堀込み部は背圧室側連絡路の前記開口に対して固定スクロールの外周側に偏心し、旋回スクロールの鏡板の最大旋回径よりも外側に張出している請求項9に記載のスクロール圧縮機。
- 堀込み部の深さは、旋回スクロールの鏡板が最大に覆った位置での背圧室側連絡路の前記開口に向かう通路断面積が背圧室側連絡路の通路断面積よりも大きくなるように設定した請求項9、10のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 固定スクロールと旋回スクロールとの外周部にある双方間のスラスト摺動面にほぼ環状の潤滑剤供給溝を設け、これの一端を前記堀込み部の吸入室から遠い側に接続した請求項11に記載のスクロール圧縮機。
- 潤滑剤供給溝は吸入室近傍を除く範囲に設けた請求項12に記載のスクロール圧縮機。
- 前記範囲は全周のほぼ3/4である請求項13に記載のスクロール圧縮機。
- 潤滑剤供給溝の他端部に、旋回スクロールの鏡板の最大旋回径の外に延びる延長部を設けた請求項12〜14のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 弁座は背圧室側連絡路から弁室側に広がる鈍角なテーパ面であり、このテーパ面と背圧室側連絡路とがなす陵部でボール弁を受け止めシールするようにした請求項2に記載のスクロール圧縮機。
- 陵部がボール弁に接する両側部分とボール弁の中心がなす角度が30〜60度である請求項16に記載のスクロール圧縮機。
- 背圧室側連絡路の径はボール弁の径の50〜86%の範囲である請求項17に記載のスクロール圧縮機。
- ばねはコイルばねであって、ボール弁と接触する先端部の径が、ボール弁への両側接触位置とボール弁の中心とがなす角度が30〜60度となる範囲である請求項2、16〜18のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- ばねは、ボール弁側の先端部からこれと反対側の基端部に向け径が増大する円錐型のコイルばねである請求項2、16〜19のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 吸入室側連絡路の吸入室への開口は、前記弁室への開口よりも弁座側の位置に設け、前記開口を座グリ加工部とし、吸入室側連絡路はこの座グリ加工部内から弁室に通じている請求項3に記載のスクロール圧縮機。
- 吸入室側連絡路の吸入室への開口は、固定スクロールの外周部の旋回スクロールとのスラスト摺動面寄りの位置に設けられている請求項21に記載のスクロール圧縮機。
- ボール弁外周と弁室内周との間の隙間の通路断面積は、背圧室側連絡路のそれよりも大きい請求項3、21、22のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- ボール弁と弁室の半径差が、ボール弁の半径の1/3よりも小さい請求項23に記載のスクロール圧縮機。
- 背圧は、圧縮機構各部への潤滑剤の供給圧を利用したものである請求項3、23〜24のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
- 背圧室は潤滑剤供給路と絞りを介して通じている請求項25に記載のスクロール圧縮機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09803099A JP3806265B2 (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | スクロール圧縮機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09803099A JP3806265B2 (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | スクロール圧縮機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000291571A JP2000291571A (ja) | 2000-10-17 |
JP3806265B2 true JP3806265B2 (ja) | 2006-08-09 |
Family
ID=14208603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09803099A Expired - Lifetime JP3806265B2 (ja) | 1999-04-05 | 1999-04-05 | スクロール圧縮機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3806265B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103384769A (zh) * | 2011-03-29 | 2013-11-06 | 日立空调·家用电器株式会社 | 涡旋压缩机 |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008202412A (ja) * | 2007-02-16 | 2008-09-04 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | スクロール圧縮機 |
JP5551644B2 (ja) * | 2011-03-30 | 2014-07-16 | 日立アプライアンス株式会社 | スクロール圧縮機 |
JP6441053B2 (ja) * | 2014-12-08 | 2018-12-19 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 | 密閉型電動圧縮機及び空気調和機 |
CN112032048B (zh) * | 2020-09-09 | 2022-05-24 | 上海海立新能源技术有限公司 | 一种涡旋机械的引压方法 |
-
1999
- 1999-04-05 JP JP09803099A patent/JP3806265B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103384769A (zh) * | 2011-03-29 | 2013-11-06 | 日立空调·家用电器株式会社 | 涡旋压缩机 |
CN103384769B (zh) * | 2011-03-29 | 2015-10-07 | 日立空调·家用电器株式会社 | 涡旋压缩机 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000291571A (ja) | 2000-10-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6227831B1 (en) | Compressor having an inclined surface to guide lubricant oil | |
JP5765379B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
JP5516651B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
JP4266104B2 (ja) | 横形ロータリ式圧縮機 | |
US4875840A (en) | Compressor lubrication system with vent | |
US4997349A (en) | Lubrication system for the crank mechanism of a scroll compressor | |
JP2513444B2 (ja) | 高圧ロ―タリコンプレッサ | |
JP4454818B2 (ja) | 容積形流体機械 | |
JP2010525240A (ja) | 圧縮機及びそのオイル供給構造 | |
JP5652497B2 (ja) | 圧縮機 | |
JP3806265B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
US6616431B2 (en) | Scroll-type compressors | |
JP4385722B2 (ja) | スクロ−ル圧縮機 | |
CN219159187U (zh) | 压缩机 | |
JP2010043608A (ja) | スクロール式流体機械 | |
JP4184673B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
JP2009127517A (ja) | 密閉型圧縮機 | |
JP4024521B2 (ja) | スクロール圧縮機 | |
JP2526682Y2 (ja) | オイルポンプ装置 | |
JP2001304155A (ja) | スクロール型圧縮機 | |
KR20010055150A (ko) | 밀폐형 압축기의 커넥팅로드와 피스톤핀 간의 마모방지 장치 | |
JP3669025B2 (ja) | 密閉型電動圧縮機 | |
JP2012036833A (ja) | スクロール型流体機械 | |
JP2001003867A (ja) | 横型圧縮機 | |
JP2019056336A (ja) | スクロール型流体機械 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051206 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060502 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060512 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100519 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110519 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120519 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130519 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130519 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140519 Year of fee payment: 8 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |