以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX軸方向(図1において、オペレータOPから見た左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸方向(図1において、オペレータOPから見た前後方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸方向が示される。Z軸方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
図1に示す液晶パネル基板製造用の部品実装装置1は、図2(a)に示す長方形のパネル状の基板2にACFテープ3を介して部品4を実装する部品実装作業を実行する。部品実装作業では、基板2の一端部に設けられた電極部2aへの接着部材としてのACFテープ3の貼着、部品4の搭載(仮圧着)、部品4の圧着(本圧着)が順次実行される。また、搭載される部品4は、フィルム状部分4aを有している。
図2(b)において、基板2には電極部2aを両側から挟むように一対の基板マークMA(基板2の認識マーク)がピッチPTで形成されている。また、部品4の端部には、一対の基板マークMAと同じピッチPTで一対の部品マークMB(部品4の認識マーク)が形成されている。これらは、基板2と部品4を位置合わせする際の位置認識用のマークである。部品4は、基板マークMAの中心Aと、部品マークMBの中心Bを上下方向に一致させた状態で基板2に実装される。
図1において、部品実装装置1の基台11は、X軸方向の左方から左方基台11a、中央基台11b及び右方基台11cがこの順で配置されている。左方基台11aには搬入基板載置部21、中央基台11bには部品実装実行部22、右方基台11cには搬出基板載置部23がそれぞれ備えられている。基板2は、X軸方向を左側から右側に、すなわち搬入基板載置部21、部品実装実行部22、搬出基板載置部23の順に搬送されて順次作業が施される。
図1において、搬入基板載置部21は、左方基台11aの左側と右側に2つの基板載置ステージ21sを有している。2つの基板載置ステージ21sは、左方基台11aに対して昇降自在に設けられている。2つの基板載置ステージ21sには、部品実装装置1の上流工程側から送られてきた基板2が載置される。
部品実装実行部22は、ACF貼着作業部22a、部品搭載作業部22b、第1の部品圧着作業部22c及び第2の部品圧着作業部22dを有する。部品実装実行部22の各作業部は、ACF貼着作業部22a、第1の部品圧着作業部22c、部品搭載作業部22b、第2の部品圧着作業部22dの順に、中央基台11b上にX軸方向に左側より並んで設けられている。
ACF貼着作業部22aは、基板2に接着部材であるACFテープ3を貼着するACF貼着作業を行う。部品搭載作業部22bは、基板2に部品4を搭載する部品搭載作業を行う。第1の部品圧着作業部22c及び第2の部品圧着作業部22dは、基板2に部品4を圧着する部品圧着作業を行う。
中央基台11b上のACF貼着作業部22aのY軸方向の前方領域には、第1のベース部31が設けられている。第1のベース部31には、左方基板移送部33Lが設けられている。中央基台11b上の部品搭載作業部22b、第1の部品圧着作業部22c及び第2の部品圧着作業部22dの前方領域には、X軸方向に延びる第2のベース部32が設けられている。第2のベース部32には、中央基板移送部33Cと右方基板移送部33Rが設けられている。中央基板移送部33Cと右方基板移送部33Rは同型であり、中央基板移送部33Cは右方基板移送部33Rの左方に位置している。
図1において、左方基板移送部33Lは、Y軸テーブル41、移動ステージ42及び2つの基板載置ステージ43を有する。Y軸テーブル41は、Y軸方向に延びて設けられ、第1のベース部31上をX軸方向に自在に移動する。移動ステージ42は、Y軸テーブル41上をY軸方向に移動自在に設けられている。2つの基板載置ステージ43は、移動ステージ42の上面にX軸方向に並んで設けられ、それぞれ移動ステージ42に対して自在に昇降する。2つの基板載置ステージ43上には、それぞれ基板2が保持される。
左方基板移送部33Lは、ACF貼着作業部22aに設定された「貼着作業位置」とY軸テーブル41上の前方に設定された「基板受け渡し位置」との間で、基板載置ステージ43に保持された基板2を移動させる。「基板受け渡し位置」では、2つの基板載置ステージ43に対して後述する基板2の受け渡しが行われる。なお、基板載置ステージ43には少なくとも1枚の基板2が保持されればよく、後述では2枚の基板が保持される基板載置ステージ43として説明をする。
図1において、ACF貼着作業部22aは、中央基台11bの上方をX軸方向に並んで設けられた2つの貼着機構44を有する。各貼着機構44は、「貼着作業位置」において、各基板載置ステージ43上に保持された基板2の電極部2a上に所定長さに切断したACFテープ3を貼着するACF貼着作業を行う。
図1及び図3において、中央基板移送部33Cは(右方基板移送部33Rも同様)、Y軸テーブル51、移動ステージ52及び2つの基板載置ステージ53を有する。Y軸テーブル51は、Y軸方向に延びて設けられ、第2のベース部32上をX軸方向に自在に移動する。移動ステージ52は、Y軸テーブル51上をY軸方向に移動自在に設けられている。2つの基板載置ステージ53は、移動ステージ52の上面にX軸方向に並んで設けられ、それぞれ移動ステージ52に対して自在に昇降する。2つの基板載置ステージ53上には、それぞれ基板2が保持される。
中央基板移送部33Cは、部品搭載作業部22bに設定された「仮圧着作業位置」(図3(b))、第1の部品圧着作業部22cに設けられた「圧着作業位置」及びY軸テーブル51上の前方に設定された「基板受け渡し位置」(図3(a))との間で、基板載置ステージ53に保持された基板2を移動させる。同様に右方基板移送部33Rは、部品搭載作業部22bに設定された「仮圧着作業位置」、第2の部品圧着作業部22dに設けられた「圧着作業位置」及びY軸テーブル51上の前方に設定された「基板受け渡し位置」との間で、基板載置ステージ53に保持された基板2を移動させる。「基板受け渡し位置」では、2つの基板載置ステージ53に対して後述する基板2の受け渡しが行われる。
図1及び図3において、部品搭載作業部22bは、部品供給部61、搭載ヘッド移動機構62、搭載ヘッド63及び部品搭載作業用のバックアップステージ64を備える。部品供給部61は、中央基台11bの後部から後方に張り出して設けられており、部品4の供給を行う。搭載ヘッド移動機構62は、中央基台11bの中央後部に設けられている。搭載ヘッド63は、搭載ヘッド移動機構62によって水平面内で自在に移動し、昇降して部品供給部61が供給する部品4を上方から吸着(ピックアップ)する。部品搭載作業用のバックアップステージ64は、第2のベース部32の中央部後方領域にX軸方向に延びて設けられている。
図3(a)において、部品搭載作業用のバックアップステージ64内には、撮像視野を上方に向けた2つの位置認識カメラ65がX軸方向に並んで設けられている。2つの位置認識カメラ65は、部品搭載用のバックアップステージ64の上部に設けられた石英ガラス等の透明材料部64aを通して部品搭載用のバックアップステージ64の上方に位置する物体を撮像する。なお、位置認識カメラ65は撮像視野を水平方向に向けて設置し、撮像経路中に設けた鏡により撮像視野を上方に向け、部品搭載用のバックアップステージ64の上方に位置する物体を撮像してもよい。
図3(b)において、部品搭載作業部22bは、「仮圧着作業位置」において、基板載置ステージ53上に保持された基板2に対して、部品4を保持する搭載ヘッド63が昇降することによってACFテープ3が貼着された電極部2a上に部品4を搭載する仮圧着作業を行う。すなわち、基板載置ステージ53は、部品4が搭載される基板2を保持する基板保持部となる。
図3〜図7に示すように、移動ステージ52には、フィルム状部分支持部54が取り付けられている。フィルム状部分支持部54は、水平部54a、一対の側方部材54b及び一対の保持機構54cを有している。水平部54aは、基板載置ステージ53の後方にX軸方向に延びて設けられている。一対の側方部材54bは移動ステージ52の左右側方に設けられており、水平部54aの両端部(左右端部)を支持している。
一対の保持機構54cは、移動ステージ52の左右側面に設けられている。各保持機構54cは、それぞれ側方部材54bを保持する。側方部材54bは、保持機構54cによりY軸方向に保持される長さが調整される。すなわちフィルム状部分支持部54は、保持機構54cによって保持される側方部材54bの保持位置を変更することで、水平部54aの移動ステージ52からの距離(基板載置ステージ53が保持する基板2からの距離)を変更することができる。
図2及び図5〜図7に示すように、部品搭載作業部22bによって基板2に搭載された部品4は、基板2に搭載された状態でフィルム状部分4aが基板2の外縁からはみ出している。このはみ出したフィルム状部分4aをフィルム状部分支持部54の水平部54aが下方から支持することにより、フィルム状部分4aが下方に垂れ下がることを防止する。
図6及び図7に示すように、基板載置ステージ53が保持する基板2からフィルム状部分支持部54の水平部54aまでの距離は、保持する基板2に搭載される部品4のフィルム状部分4aの形状(Y軸方向の長さ)に応じて適宜調整される。また図6に示すように、フィルム状部分4aが長い場合、基板2と水平部54aの間のすき間を補いフィルム状部分4aを下方から支持する補助部材55(ここでは2本)が使用される。補助部材55は耐熱性のフィルム状の材料で形成されており、一対の側方部材54bの間に張力を掛けて水平に張った状態で取り付けられている。なお補助部材55は、金属などの材料で形成してもよいが、軽いことが望ましい。
このように、フィルム状部分支持部54の水平部54a及び補助部材55は、基板2に搭載された部品4の基板2の外縁からはみ出た部分を支持する部品支持手段となる。また、基板載置ステージ53(基板保持部)と水平部54a及び補助部材55(部品支持手段)は、移動ステージ52(移動部)と伴に移動する。
図1において、第1の部品圧着作業部22cは(第2の部品圧着作業部22dも同様)、中央基台11bの上方をX軸方向に並んで設けられた2つの圧着機構71を有する。圧着機構71は、「圧着作業位置」において、基板載置ステージ53上に保持された基板2に搭載(仮圧着)された部品4を圧着(本圧着)する部品圧着作業を行う。
図1において、搬出基板載置部23は、右方基台11cの左側と右側に2つの基板載置ステージ23sを有している。2つの基板載置ステージ23sは、右方基台11cに対して昇降自在に設けられている。2つの基板載置ステージ23sには、後述するように、第1の部品圧着作業部22c又は第2の部品圧着作業部22dにおいて部品圧着作業が終了した2枚の基板2が移載される。2つの基板載置ステージ23sに移載された2枚の基板2は、図示しない基板搬出手段によって、部品実装装置1の下流工程下側に設けられた他の装置に送られる。
図1において、基台11の前方領域には左方基台11a、中央基台11b及び右方基台11cにわたってX軸方向に延びた移動ベース81が設けられている。移動ベース81上には、左方から順に左方基板移載部82L、中央基板移載部82C及び右方基板移載部82Rの3つの基板移載部82が設けられている。基板移載部82は、各作業部間で基板2を受け渡す基板移載作業を行う。
図1において、各基板移載部82は、基部91及び2基のアームユニット92を有す。基部91は、移動ベース81に対してX軸方向に移動自在に設けられている。2基のアームユニット92は、基部91上にX軸方向に並んで設けられている。各アームユニット92には、水平後方に延びた2本のアーム93がX軸方向に並んで設けられている。各アーム93には、吸着面を下方に向けた複数(ここでは2個)の吸着パッド94が設けられている。各アームユニット92は、2本のアーム93に設けられた計4個の吸着パッド94を介して1枚の基板2を真空吸着する。
左方基板移載部82Lは、吸着パッド94を搬入基板載置部21の基板載置ステージ21s上に載置された基板2の上方に位置させ、この状態で基板載置ステージ21sが昇降することで、基板2をアームユニット92に受け取る。また左方基板移載部82Lは、基板2を吸着した吸着パッド94を左方基板移送部33Lの「基板受け渡し位置」の上方に位置させ、この状態で基板載置ステージ43が昇降することで、基板載置ステージ43に基板2を受け渡す(移載する)。
中央基板移載部82Cは、吸着パッド94を左方基板移送部33Lの「基板受け渡し位置」の上方に位置させ、この状態で基板2を載置する基板載置ステージ43が昇降することで、基板2をアームユニット92に受け取る。また中央基板移載部82Cは、基板2を吸着した吸着パッド94を中央基板移送部33C又は右方基板移送部33Rの「基板受け渡し位置」の上方に位置させ、この状態で基板載置ステージ53が昇降することで、中央基板移送部33C又は右方基板移送部33Rの基板載置ステージ53に基板2を受け渡す(移載する)。
右方基板移載部82Rは、吸着パッド94を中央基板移送部33C又は右方基板移送部33Rの「基板受け渡し位置」の上方に位置させ、この状態で基板2を載置する基板載置ステージ53が昇降することで、基板2をアームユニット92に受け取る。また右方基板移載部82Rは、基板2を吸着した吸着パッド94を搬出基板載置部23の基板載置ステージ23sの上方に位置させ、この状態で基板載置ステージ23sが昇降することで、基板載置ステージ23sに基板2を受け渡す(移載する)。
次に図4〜8を参照し、部品搭載作業部22bにおける部品搭載作業(仮圧着作業)について説明する。ここでは、中央基板移送部33Cが保持する基板2に対して部品搭載作業を行う場合を説明するが、右方基板移送部33Rでも同様である。なお、図6及び図7では、便宜上部品4を吸着保持する搭載ヘッド63の表示を省略している。
部品搭載作業では、まず、基板2を「仮圧着作業位置」に移動させ、部品搭載用のバックアップステージ64の上方に位置された基板2が有する一対の基板マークMAを位置認識カメラ65で撮像する(図4(a)、図6(b)、図7(b))。得られた撮像データは、後述する制御装置110(図9参照)に送信され、制御装置110の制御部111によって認識処理されて基板位置が認識され、制御装置110の記憶部112に記憶される。
次いで移動ステージ52を前方に移動させて基板2を「基板退避位置」に移動させる(図4(b)の矢印E)。次いで部品4を「仮圧着作業位置」に移動させ、部品搭載用のバックアップステージ64の上方に位置された部品4が有する一対の部品マークMBを位置認識カメラ65で撮像する(図4(c)、図6(c)、図7(c))。得られた撮像データは、制御装置110に送信され、制御装置110の制御部111によって認識処理されて部品位置が認識され、制御装置110の記憶部112に記憶される。
このように、位置認識カメラ65は、基板2の位置認識および部品4の位置認識を行う位置認識手段となる。そして、中央基板移送部33C(右方基板移送部33Rも同様)は、位置認識カメラ65が基板2の位置認識を行った後、移動ステージ52を前方に移動させて基板2を部品4の位置認識が行われる際の「基板退避位置」に移動させる移動部となる。
図8に、左側の位置認識カメラ65が撮像した画像の一例を示す。図8(a)は、基板2が適切な「基板退避位置」に移動して部品マークMBを撮像した例を示しており、位置認識カメラ65の認識視野100の中に部品4の一部と部品マークMBが表示されている。「基板退避位置」が不適切な場合は、位置認識カメラ65の認識視野100に退避させたはずの基板2や(図8(b))、フィルム状部分支持部54の水平部54a(又は補助部材55)(図8(c))が映り込んでしまう。これら不適切に映り込んだ物体は認識処理を妨害し、部品位置の認識が出来なかったり認識を誤ったりする可能性がある。
そこで本実施の形態では、中央基板移送部33Cは、基板載置ステージ53(基板保持部)に保持された基板2の水平部54aに対向する縁から最も基板2に近い補助部材55の基板2から見た近端までの距離D1a(図6(a)参照)、または基板載置ステージ53に保持された基板2の水平部54aに対向する縁から水平部54aの基板2から見た近端までの距離D1b(図7(a)参照)のいずれか短い方の距離(以下「第1の距離D1」と称す)に応じて基板2を移動させている。すなわち、中央基板移送部33C(移動部)は、基板載置ステージ53(基板保持部)に保持された基板2から水平部54a又は補助部材55(部品支持手段)までの距離に応じて基板2を移動させている。
基板2を移動させる「基板退避位置」を決めるには、まず、第1の距離D1に基づいて、基板載置ステージ53(基板保持部)と基板2に最も近い補助部材55又は水平部54a(部品支持手段)との間の領域(図6(a)に示す領域Ra又は図7(a)に示す領域Rb)内での位置認識カメラ65(位置認識手段)による部品4の位置認識の可否を判断する部品認識可否判断を行う。つまり、移動ステージ52を移動させて領域Ra,Rb内に位置認識カメラ65を位置させた場合に、位置認識カメラ65の認識視野100に部品マークMBの認識(部品4の位置認識)を妨害する物体が映り込まない位置が存在するか否かを判断する。
部品認識可否判断で可能と判断された場合、「基板退避位置」は位置認識カメラ65が領域Ra,Rb内にあって認識視野100に部品マークMBの認識(部品4の位置認識)を妨害するものが映り込まず、かつ、位置認識カメラ65からの基板2の第1の退避距離S1が最小となる第1の基板退避位置P1に設定される。すなわち、移動部である中央基板移送部33Cは、第1の距離D1に基づいて設定される第1の基板退避位置P1に基板2を移動させる(図6(c)参照)。
部品認識可否判断で不可能と判断された場合、「基板退避位置」は位置認識カメラ65が水平部54aの外側(水平部54aを挟んで基板2とは反対側)にあって認識視野100に部品マークMBの認識(部品4の位置認識)を妨害するものが映り込まず、かつ、位置認識カメラ65からの基板2の第2の退避距離S2が最小となる第2の基板退避位置P2に設定される。すなわち、移動部である中央基板移送部33Cは、基板載置ステージ53に保持された基板2の水平部54aに対向する縁から水平部54aの基板2から見た遠端までの第2の距離D2(図7(a)参照)に基づいて設定される第2の基板退避位置P2に基板2を移動させる(図7(c)参照)。
なお、部品認識可否判断の際、第1の退避距離S1及び第2の退避距離S2を決める際には、基板2と部品4の位置合わせ前の位置ずれなどを考慮して、所定の退避余裕が加味される。この退避余裕は、実験結果や経験を基に決定される。また、第1の距離D1及び第2の距離D2は、基板2の基板載置ステージ53上の保持位置、基板2の形状、水平部54a及び補助部材55の基板載置ステージ53に対する設定位置、水平部54a及び補助部材55の形状(幅)などを加味して計算され、それぞれ第1距離データ112a及び第2距離データ112bとして記憶部112に記憶される。
部品位置の認識がされると、次いで部品4を上昇させる(図5(a))。次いで記憶部112に記憶した基板2の位置と部品4の位置から計算される相対位置関係に基づいて、基板マークMAと部品マークMBの中心が上下方向に一致するように中央基板移送部33Cを操作して基板2を再度「仮圧着作業位置」に移動させる(図5(b)の矢印F)。基板マークMAと部品マークMBの中心が上下方向に一致したら、搭載ヘッド63を下降させ、搭載ヘッド63に吸着させた部品4を基板2上のACFテープ3に押し付けて基板2に搭載(仮圧着)する(図5(c))。
次に図9を参照して、部品実装装置1の制御系について説明する。部品実装装置1が備える制御装置110は、制御部111、記憶部112、判断部113及び退避距離算出部114を有している。制御部111は、搬入基板載置部21、搬出基板載置部23、左方基板移送部33L、中央基板移送部33C、右方基板移送部33R、左方基板移載部82L、中央基板移載部82C及び右方基板移載部82Rの作動制御を行うことによって、各作業部間で基板2を受け渡す基板移載作業を制御する。
また制御部111は、ACF貼着作業部22aの貼着機構44及び左方基板移送部33Lの作動制御を行うことによって、基板2にACFテープ3を貼着するACF貼着作業を制御する。また制御部111は、部品搭載作業部22bの部品供給部61、搭載ヘッド移動機構62、搭載ヘッド63、位置認識カメラ65、中央基板移送部33C及び右方基板移送部33R(移動部)の作動制御を行うことによって、基板2に部品4を搭載する部品搭載作業(仮圧着作業)を制御する。また制御部111は、第1の部品圧着作業部22cの圧着機構71、第2の部品圧着作業部22dの圧着機構71、中央基板移送部33C及び右方基板移送部33Rの作動制御を行うことによって、基板2に部品4を圧着する部品圧着作業(本圧着作業)を制御する。
記憶部112は、第1の距離D1の第1距離データ112a、第2の距離D2の第2距離データ112bなどを記憶する。判断部113は、前述の部品認識可否判断を行う。退避距離算出部114は、第1の退避距離S1及び第2の退避距離S2を算出する。
本発明の部品実装装置1は以上のような構成から成り、次に図10のフローチャートを参照して部品実装装置1における部品実装動作(部品実装方法)について説明する。ここでは、中央基板移載部82Cから中央基板移送部33Cに基板2が受け渡されて第1の部品圧着作業部22cで部品圧着作業が行われる場合を説明する。なお、中央基板移載部82Cから右方基板移送部33Rに基板2が受け渡されて第2の部品圧着作業部22dで部品圧着作業を行われる場合も同様であり説明を省略する。
まず、制御部111は、搬入基板載置部21に搬入された基板2を左方基板移送部33Lに移載する(ST1)。次いで制御部111は、基板2にACFテープ3を貼着するACF貼着作業を行う(ST2:ACF貼着工程)。次いで制御部111は、左方基板移送部33Lの基板2を中央基板移送部33Cに移載する(ST3)。次いで制御部111は、基板2に部品4を搭載する部品搭載作業を行う(ST4:部品搭載工程)。
次いで制御部111は、基板2に部品4を圧着する部品圧着作業を行う(ST5:部品圧着工程)。次いで制御部111は、中央基板移送部33Cの実装済み基板を搬出基板載置部23に移載する。搬出基板載置部23に移載された基板2は、下流側の設備に搬出される(ST6)。このようにして、基板2に部品4を搭載して圧着する一連の部品実装動作が終了する。部品実装装置1は、この一連の部品実装動作を繰り返して実行し、連続的に実装基板を製造する。
次に図11のフローチャート、及び図6,7を参照して、部品搭載作業部22bにおける部品搭載作業(部品搭載方法)の作業手順について説明する。ここでは、中央基板移送部33Cが保持する2枚の基板2に対して、左側の基板2(以下「左側基板2L」と称す。)、右側の基板2(以下「右側基板2R」と称す。)の順に部品を搭載する。まず制御部111は、中央基板移送部33Cに移載された2枚の基板2のうち、左側基板2Lに部品4を搭載(仮圧着作業)する(ST11)(図6(a)、図7(a))。(ST11)では、部品4と左側基板2Lの位置認識が行われ、その結果を基に部品4と左側基板2Lの位置合わせが行われた後に仮圧着作業が行われる。
次いで制御部111は、右側基板2Rを仮圧着作業位置に移動し(ST12)(図6(b)の矢印G1、図7(b)の矢印G2)、位置認識カメラ65によって右側基板2Rの基板マークMAを撮像して基板位置を認識する(ST13:基板位置認識工程)。次いで判断部113は、第1の距離D1に基づいて、基板保持部である基板載置ステージ53と部品支持手段であるフィルム状部分支持部54の水平部54a又は補助部材55との間の領域内で部品4の位置認識が可能か否かの部品認識可否判断を行う(ST14:判断工程)。
判断工程(ST14)において可能と判断された場合、制御部111は、第1の距離D1に基づいて設定される第1の基板退避位置P1に右側基板2Rを移動させる(ST15)(図6(c)の矢印H1)。判断工程(ST14)において不可能と判断された場合、制御部111は、第2の距離D2に基づいて設定される第2の基板退避位置P2に右側基板2Rを移動させる(ST16)(図7(c)の矢印H2)。すなわち(ST15)と(ST16)は、判断工程(ST14)の可否結果に基づいて右側基板2Rを第1の基板退避位置P1又は第2の基板退避位置P2に移動させる基板退避工程となる。
次いで制御部111は、部品4を仮圧着作業位置に移動し(ST17)(図6(c)の矢印K1、図7(c)の矢印K2)、位置認識手段である位置認識カメラ65によって部品4の部品マークMBを撮像して部品の位置認識を行う(ST18:部品位置認識工程)。すなわち制御部111は、基板退避工程(ST15,ST16)後に、位置認識カメラ65が部品4の位置認識を行う部品位置認識工程(ST18)を実行する。次いで制御部111は、右側基板2Rと部品4の位置認識結果を基に右側基板2Rと部品4の位置合わせを実行する(ST19)。次いで制御部111は、右側基板2Rに部品4を搭載(仮圧着作業)する(ST20)。
このように、上述のST12〜ST20は、右側基板2Rに部品4を搭載する右側基板2Rの仮圧着作業となる。左側基板2Lと右側基板2Rへの部品4を搭載して部品搭載作業が終了する。部品搭載作業終了後、移動ステージ52がX軸方向に移動され、2枚の基板2は部品圧着作業に進む。
なお、部品搭載作業は右側基板2Rから先に実行してもよい。その場合、上記のST12〜ST20は左側基板2Lに対して実行されることになる。また、上記は、中央基板移送部33Cが保持する2枚の基板2に対する部品搭載作業について説明したが、右方基板移送部33Rが保持する2枚の基板2に対する部品搭載作業も上記の手順と同様であり説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1および部品実装方法は、基板載置ステージ53(基板保持部)に保持された基板2から、基板2に搭載された部品4の基板2の外縁からはみ出た部分を支持する水平部54aまたは補助部材55(部品支持手段)の近端までの第1の距離D1に基づいて、基板載置ステージ53と部品支持手段との間の領域内での位置認識カメラ65(位置認識手段)による部品4の位置認識の可否を判断している。
そして、可能と判断された場合、第1の距離D1に基づいて設定される第1の基板退避位置P1に基板2を移動させている。また、不可能と判断された場合、基板載置ステージ53に保持された基板2から部品支持手段の遠端までの第2の距離D2に基づいて設定される第2の基板退避位置P2に基板2を移動させている。その後、位置認識カメラ65が部品4の位置認識を行っている。
これにより、位置認識カメラ65が部品4の部品マークMB(認識マーク)を撮像する部品4の位置認識の際に、退避させたはずの基板2や水平部54a、補助部材55が位置認識カメラ65の認識視野100に映り込んで部品4の位置認識を妨害することがない。また、基板2を必要以上に遠くまで退避させることがないため、基板2の退避移動に伴う時間を削減できる。