(実施の形態1)
まず図1を参照して、本発明の実施の形態1における部品実装装置について説明する。部品実装装置1はACF等を主材料とする接着テープを液晶パネル等の基板に貼り付け、この接着テープを介して基板に部品を圧着により実装する機能を有する。以下、基板の搬送方向をX方向、X方向と水平面内において直交する方向をY方向と定義する。また、XY平面に対して垂直な方向をZ方向と定義する。また、図1において紙面左側を「上流」、紙面右側を「下流」と定義する。
図2(a)において、基板2は、ガラス基板2aに偏光板2bを積層して構成される。ガラス基板2aが部分的に露呈した側縁部Aには、部品接続用の複数の端子より構成される電極部3が設けられている。電極部3には、長尺の接着テープを所定サイズに切断した個片テープ4が貼り付けられる。また、ガラス基板2aには、一対の基板マーク5が電極部3の両側に形成されている。基板マーク5は、制御部80(図8)が基板2の位置を検出する際に用いられる。
電極部3には、FPC等のフィルム状の部品6が圧着される。部品6の一端部の下面には、複数の端子より構成される電極部7が設けられている。部品6の圧着時には、個片テープ4を介して基板2の電極部3と部品6の電極部7を上下方向に一致させ、この状態で電極部7が形成された領域を含む部品6の一端部を上方から押圧する。これにより、図2(b)に示すように、部品6はフィルム状部分の大半が基板2からはみ出した状態で圧着される。このように、部品実装装置1は、フィルム状部分を有する部品6を基板2に対して圧着によって実装する。
図1において、部品実装装置1はX方向に並列した複数の基台10a,10b,10cを備えている。基台10aには基板搬入部11が設けられている。基台10bにはテープ貼付け部12、基板搬送部20、仮圧着部40、第1の本圧着部60A、第2の本圧着部60Bが設けられている。基台10cには基板搬出部13が設けられている。また、これらの各部よりも前方側(紙面下側)の領域には、基板受け渡し部70が基台10a,10b,10cに跨って設けられている。
基板搬入部11は、基板2を装置内に搬入する作業部である。基板搬入部11はX方向に並列した複数(2個)の基板保持テーブル14を備えている。基板保持テーブル14は、上流側の設備から搬出された基板2を保持する。
テープ貼り付け部12は個片テープ4を基板2に貼り付ける作業部であり、基板位置決め機構15と、基板位置決め機構15よりも後方側(紙面上側)に設けられた貼り付け機構16を含んで構成される。基板位置決め機構15は、基板搬入部11から受け取った基板2を所定の方向に移動させ、個片テープ4の貼り付けが行われるテープ貼り付け位置に位置決めする。貼り付け機構16は圧着ツール(図示せず)を備えている。貼り付け機構16は、テープ貼り付け位置に位置決めされた基板2と圧着ツールとの間に個片テープ4を介在させ、この状態で圧着ツールを下降させることで、基板2に個片テープ4を貼り付ける。
図1において、基板搬送部20は仮圧着部40、第1の本圧着部60A、第2の本圧着部60Bにおける各作業位置まで基板2を搬送する作業部である。基板搬送部20は、上記した各部よりも前方側の領域に跨ってX方向に延伸したX軸ビーム21を備えている。X軸ビーム21には、複数(2個)のY軸ビーム22がX方向に移動自在に装着されている。各Y軸ビーム22は、X軸ビーム21の駆動によってX方向に個別に移動する。
図3及び図4を参照して、基板搬送部20の詳細について説明する。なお、図3では一つのY軸ビーム22のみを図示している。Y軸ビーム22の上面には、水平回転機構23がY方向に移動自在に装着されている。水平回転機構23の上面には、鉛直方向を軸心に回転自在な回転軸23aが突出している。この回転軸23aの上部には、基板2が載置される基板載置ステージ24が結合している。基板載置ステージ24は、Y軸ビーム22の駆動によって水平回転機構23とともにY方向に移動する。また、基板載置ステージ24は、水平回転機構23の駆動によって回転軸23aを介して水平回転する。
基板載置ステージ24の長手方向(X方向)における両側部の上面には、複数の吸着口25がそれぞれ形成されており、吸着口25は図示しない真空吸引源と接続されている。図4(a)に示すように、基板載置ステージ24の両側にそれぞれ載置された基板2は吸着口25を介して吸着される。これにより、基板2の搬送時に基板載置ステージ24から基板2が落下する事態を防止できる。このように、基板載置ステージ24は、複数の基板2を同時に載置することができる。
基板載置ステージ24の両側部における下方には、平板状のベース部26がそれぞれ設けられている。ベース部26の端部には鉛直方向に起立した起立部27が設けられており、この起立部27の上部にはY方向に延びたレール部材28が固着している。レール部材28にはY方向に延びた開口部28aが形成されている。レール部材28の上面には、ブロック部材29がY方向にスライド自在に装着されている。図4(c)に示すように、ブロック部材29の上方からボルト30を嵌入し、開口部28aを通じてレール部材28の下方に突出したボルト30の先端からナット31を締結させることで、ブロック部材29はレール部材28に装着される。
各ブロック部材29の上部には、長尺のアーム部32がボルト33を介して固定されている。一対のアーム部32は、基板載置ステージ24に基板2が載置された状態において、当該基板2に圧着された部品6のはみ出し方向(「第1の方向」と称する)に延びている。一対のアーム部32の先端部には、長尺の横架部材34が架設されている。横架部材34は、例えばポリイミドフィルムをテープ状にした素材から構成され、一方の面に接着面を有する。図4(a)に示すように、基板載置ステージ24に部品圧着済みの基板2が載置された状態において、横架部材34は基板2の側縁部からはみ出た部品6のフィルム状部分の端部を下方から当接する。これにより、部品6の垂れ下がりを防止することができる。横架部材34は、両端部を一対のアーム部32に周回させて、対向する同一面同士を接着面によって接着させることでアーム部32に取り付けられる。すなわち、横架部材34はアーム部32に対して着脱自在である。
上記構成において、ブロック部材29、アーム部32及び横架部材34は、基板載置ステージ24に取り付けられ、基板2に圧着された部品6のフィルム状部分を下方から支持する部品支持部材を構成する。また、横架部材34は、一対のアーム部32に対して着脱自在に取り付けられ、部品6のフィルム状部分に下方から当接する当接部となっている。
部品支持部材は、基板載置ステージ24に対するY方向の位置が変更可能となっている。すなわち、オペレータはボルト30を緩め、部品支持部材をスライド可能な状態にする。この状態で、オペレータは基板2の側縁部からの部品6のはみ出し長さS(図4(a))に応じて、部品支持部材を当該部品6のはみ出し方向と平行な方向(第1の方向)にスライドさせる(矢印a)。このスライド動作により、部品6の端部近傍が横架部材34に当接するよう、アーム部32のサイズを調整することができる。本発明の実施の形態において、アーム部32のサイズとは、回転軸23aの回転中心Cからのアーム部32の突出長さTと同義である。部品支持部材の位置を変更したならば、オペレータはボルト30を締めて、部品支持部材をレール部材28に対して固定する。基板2の生産時においては、通常、一対のアーム部32のサイズは同一に調整される。なお、アーム部32の上面には目盛り35が長手方向に施されており、オペレータが部品支持部材の位置を部品6のサイズに応じて変更する際の指標として用いることができる。このように、部品支持部材は基板載置ステージ24に対して基板2に圧着された部品6のはみ出し方向にスライド自在に装着される。
図1において、仮圧着部40は、基板2に貼り付けられた個片テープ4上に部品6を仮圧着(搭載)する作業部であり、テープ貼付け部12の下流に設けられている。仮圧着部40は、部品供給機構41と、部品供給機構41よりも前方側に設けられた仮圧着機構42を含んで構成される。
部品供給機構41は、部品6を収納したトレイ43が段積みされたトレイ供給部44と、部品6が供給されて空になったトレイ43を段積みするトレイ回収部45を備えている。トレイ供給部44とトレイ回収部45との間には、仮圧着機構42が配置される領域までY方向に延伸したY軸ビーム46が設けられている。Y軸ビーム46にはトレイ保持テーブル(図示せず)がY方向に移動自在に装着されており、トレイ保持テーブルはY軸ビーム46の駆動によってY方向に移動する。トレイ供給部44に保持された1個のトレイ43は、図示しないトレイ移載機構によってトレイ供給部44から取り出され、トレイ保持テーブルに移載される。トレイ保持テーブル上のトレイ43は、部品6を後述する圧着ヘッド47に供給する部品供給位置(図1に示すトレイ43Aの位置)まで搬送される。
図1及び図5において、仮圧着機構42は圧着ヘッド47と、ヘッド昇降機構48と、ヘッド移動機構49を含んで構成される。圧着ヘッド47の下端部には、部品6を吸着して保持可能な吸着ノズル(図示せず)が設けられている。吸着ノズルは、部品供給位置まで供給されたトレイ43から部品6を吸着により取り出す。ヘッド昇降機構48は圧着ヘッド47の上方に配置されている。圧着ヘッド47は、ヘッド昇降機構48の駆動によって昇降する。
ヘッド移動機構49は、2つのY軸ビーム50と、2つのY軸ビーム50に架設されY方向に移動自在なX軸ビーム51を含んで構成される。圧着ヘッド47は、X軸ビーム51に対してX方向に移動自在に装着されている。圧着ヘッド47は、Y軸ビーム50、X軸ビーム51の駆動によって水平方向に移動する。
図1及び図5(a)において、基板搬送部20よりも後方側であって、圧着ヘッド47の移動領域内における所定の位置には、上面が平坦なバックアップステージ52が設けられている。バックアップステージ52は2本の柱と柱の頂点を結ぶ梁状の部材で形成されたフレーム部52aと、梁状の部材の略中央部分を切り抜いた箇所に装着された透明な下受け部材52bを備えている。バックアップステージ52は、基板搬送部20によって仮圧着作業位置に位置決めされた基板2の側縁部Aを下方から支持する。仮圧着作業位置とは、図5(b)に示すように、基板載置ステージ24に保持された1枚の基板2(2A)の電極部3を、バックアップステージ52の上方に位置させることができる位置である。
基板2に部品6を仮圧着する際、基板載置ステージ24はX軸ビーム21とY軸ビーム22によって所定方向に水平移動する。これにより、基板載置ステージ24上の1枚の基板2が仮圧着作業位置に位置決めされる。次いで、部品6を保持した圧着ヘッド47は当該基板2の上方まで移動し、この位置で基板2に対して下降することで(図5(b)に示す矢印b)、部品6の電極部7が基板2の電極部3に押し付けられる。これにより、基板2に部品6が仮圧着(搭載)される。
図5(a)において、フレーム部52aに囲まれた空間には、撮像視野を上方に向けた一対の認識カメラ53がX方向に並列して設けられている。一対の認識カメラ53は、バックアップステージ52に下受けされた基板2の一対の基板マーク5を、下受け部材52bを通じてそれぞれ撮像する。また、一対の認識カメラ53は、バックアップステージ52の上方まで移動した圧着ヘッド47が保持する部品6の部品マーク(図示せず)を撮像する。基板マーク5と部品マークの画像は認識処理部84(図8)により認識処理され、これにより基板2と部品6の位置が検出される。基板2と部品6の検出結果は、基板2に対する圧着ヘッド47の水平方向における位置を補正する際に用いられる。
図5(a)及び図6(a)において、フレーム部52aの前方側(基板載置ステージ24の配設方向側)における一側部には、検出センサ54が取り付けられている。図6(b)において、検出センサ54は上方に検査光rを投射し、その反射光を受光することで検出センサ54の上方にある対象物を検出する。本実施の形態1における対象物は部品支持部材を構成するアーム部32である。すなわち図6(a)に示すように、検出センサ54をY方向に通過する検出ラインL上に1個のアーム部32を位置合わせした状態で、基板載置ステージ24がバックアップステージ52に接近する方向に移動することで(矢印c)、検出センサ54はアーム部32の先端部を所定のタイミングで検出する(図6(b))。なお、図6(b)は横架部材34を取り付けていないアーム部32を示している。検出結果は制御部80に出力され、アーム部32のサイズ、すなわち回転軸23aの回転中心Cからのアーム部32の突出長さTを算出する際に用いられる。このように、検出センサ54は、基板載置ステージ24が第1の方向に移動する過程でアーム部32を検出する検出部として機能する。
図1及び図7において、第1の本圧着部60Aと第2の本圧着部60Bは、基板2に仮圧着された部品6を圧着(本圧着)する作業部である。第1の本圧着部60Aと第2の本圧着部60Bは同一の構造を有し、仮圧着機構42をX方向から挟んだ状態で基台10bに配置されている。
図7において、第1の本圧着部60Aと第2の本圧着部60Bは、X方向に延伸したプレート部材61を備えている。プレート部材61には、複数(2個)のツール昇降機構62を介して圧着ツール63がそれぞれ固定されている。各圧着ツール63は、ツール昇降機構62によって個別に昇降する。また、圧着ツール63はヒータを内蔵しており、部品6を本圧着する前に所定温度まで加熱される。
各圧着ツール63の下方には、上面が平坦なバックアップステージ64がそれぞれ設けられている。バックアップステージ64は、基板搬送部20によって本圧着作業位置に位置決めされた基板2の側縁部Aを下方から支持する(図7(b))。本圧着作業位置とは、基板載置ステージ24に保持された2枚の基板2の電極部3、すなわち基板2と部品6の圧着部位を対応する圧着ツール63の下方に位置させることができる位置である。基板2に部品6を本圧着する際、基板載置ステージ24はX軸ビーム21とY軸ビーム22によって所定方向に水平移動する。これにより、基板載置ステージ24上の2枚の基板2が本圧着作業位置に位置決めされる。次いで、加熱された圧着ツール63が基板2に対して下降することで(図7(b)に示す矢印d)、基板2に部品6が本圧着される。上記構成において、X軸ビーム21及びY軸ビーム22は、基板2が載置された基板載置ステージ24を移動させることによって、基板2を圧着作業位置(仮圧着作業位置、本圧着作業位置)に位置決めする基板位置決め手段となっている。
図1において、基板搬出部13は第1の本圧着部60A、第2の本圧着部60Bで部品6が圧着された基板2を部品実装装置1から搬出する作業部である。基板搬出部13は、X方向に並列した複数(2個)の基板保持テーブル17を有する。各基板保持テーブル17は、部品6が圧着された基板2を保持する。各基板保持テーブル17上の基板2は、図示しない基板搬出機構によって下流側の設備に搬出される。
図1において、基板受け渡し部70は作業部間における基板2の受け渡しを行う作業部である。基板受け渡し部70は、基台10a,10b,10cの前方領域に亘ってX方向に伸びたX軸ビーム71を有する。X軸ビーム71には、複数(3基)の基板受け渡し機構72がX方向に移動自在に装着されている。基板受け渡し機構72は、X軸ビーム71の駆動によってX方向に同期して移動する。各基板受け渡し機構72は、基板2を吸着して保持可能な吸着ノズルを有する複数のアーム部材73を備えている。各基板受け渡し機構72は、複数のアーム部材73によって2枚の基板2を保持した状態でX方向に移動することで、隣接する作業部間で2枚の基板2を同時に受け渡す。
次に図8を参照して、制御系の構成について説明する。部品実装装置1に備えられた制御部80は、記憶部81、機構駆動部82、カメラ制御部83、認識処理部84、算出部85、判定部86を含んで構成される。また、制御部80は、テープ貼り付け部12、基板搬送部20、仮圧着部40、第1の本圧着部60A、第2の本圧着部60B、基板受け渡し部70を構成する各機構に加え、表示部87と接続されている。
記憶部81は、作業データ81a、判定データ81b等を記憶する。作業データ81aは、個片テープ4の貼り付け、部品6の仮圧着、本圧着、基板2の受け渡し等、各作業部において所定の作業を行うためのデータである。判定データ81bは、基板載置ステージ24に対する部品支持部材の取り付け状態の適否を判定するためのデータである。判定データ81bは、基台10bに対する検出ラインLのY座標に加え、アーム部32のサイズの規定値、すなわち回転軸23aの回転中心Cから部品6のはみ出し方向に突出すべきアーム部32の正規の突出長さについての情報を含む。
機構駆動部82は、制御部80に制御されて、テープ貼付け部12、基板搬送部20、仮圧着部40、第1の本圧着部60A,第2の本圧着部60Bを構成する各種の機構を駆動する。これにより、個片テープ4の貼り付け作業、部品6の仮圧着及び本圧着作業、基板受け渡し作業が実行される。カメラ制御部83は、認識カメラ53を制御することにより、バックアップステージ52に下受けされた基板2の基板マーク5や、圧着ヘッド47に保持された部品6の部品マークを撮像する。認識処理部84は、基板マーク5や部品マークの画像を認識処理することにより、基板2や部品6の位置を検出する。
算出部85は、検出センサ54によるアーム部32の検出結果に基づいて、アーム部32のサイズを算出する。図6を参照して具体的に説明すると、検出ラインL上に1個のアーム部32が位置合わせされた状態で、基板載置ステージ24が検出センサ54に接近する方向に移動すると(矢印c)、検出センサ54はアーム部32の端部を所定のタイミングで検出する。算出部85は、基板載置ステージ24が原点位置から移動を開始して検出センサ54がアーム部32を検出するまでに移動した移動距離を算出する。そして、算出部85は移動開始前における回転軸23aの回転中心Cと検出センサ54(より厳密には水平面内における検査光rの光軸の位置)との間の間隔Uから移動距離を減算することで、アーム部32のサイズ、すなわち回転軸23aの回転中心Cからのアーム部32の突出長さTを算出する。これにより、制御部80は基板載置ステージ24に対する部品支持部材の取り付け状態を検出することができる。なお、アーム部32のサイズの算出方法はこれに限られず、種々の方法を用いて算出してもよい。上記構成において、検出センサ54と算出部85は、基板載置ステージ24に対する部品支持部材の取り付け状態を検出する取り付け状態検出手段となっている。
判定部86は、算出部85によるアーム部32のサイズの算出結果に基づいて、基板載置ステージ24に対して部品支持部材が適切に取り付けられているかを判定する。より具体的に説明すると、判定部86は、記憶部81に記憶されたアーム部32のサイズの規定値と、算出部85によって算出されたアーム部32のサイズ(算出値)とを比較する。比較の結果、規定値と算出値の誤差が予め設定された許容範囲内である場合、判定部86は部品支持部材が適切に取り付けられていると判定する。また、規定値と算出値の誤差が許容範囲を超えている場合、判定部86は部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定する。すなわち、判定部86は、規定値と、算出部85によって算出されたアーム部32のサイズとを比較することにより、基板載置ステージ24に部品支持部材が適切に取り付けられているかを判定する。
表示部87は、基板2の生産に必要な各種の案内画面を表示する。また、表示部87は、案内画面に表示されるパネルを介して所定の操作・入力を行う操作・入力部としても機能する。なお、判定部86によって部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定されたとき、制御部80は表示部87にその旨を表示させてオペレータに報知させる。すなわち、制御部80及び表示部87は、判定部86によって部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定された場合にオペレータに報知する報知手段となっている。
本実施の形態1における部品実装装置1は以上のように構成される。次に図9のフローチャート、図10及び図11の動作説明図を参照して、基板載置ステージ24に対する部品支持部材の取り付け状態の適否を判定する方法について説明する。便宜上、上流側(図10における紙面左側)のアーム部32を「第1のアーム部32A」、下流側(紙面右側)のアーム部32を「第2のアーム部32B」と称する。
オペレータによって判定開始が指示されたならば、検出センサ54に対する第1のアーム部32Aの位置合わせが行われる(ST1:位置合わせ工程)。すなわち図10(a)に示すように、基板載置ステージ24は所定の方向に移動し(矢印e)、第1のアーム部32Aを検出ラインL上に位置合わせする。このとき、第1のアーム部32Aが検出センサ54により検出されないように、第1のアーム部32Aと検出センサ54との間に所定の間隔が設けられる。これにより、検出センサ54と第1のアーム部32Aは検出ラインLに沿ったY方向において対向した状態になる。また、検出センサ54と回転軸23aの回転中心Cとの間には間隔Uが設けられる。
次いで図10(b)に示すように、基板載置ステージ24は検出センサ54に接近する方向に移動する(ST2:ステージ移動工程)(矢印f)。当該方向は、基板2が基板載置ステージ24に載置された状態において、当該基板2に圧着された部品6のはみ出し方向(第1の方向)と同一の方向である。
基板載置ステージ24が移動する過程で、制御部80は検出センサ54が第1のアーム部32Aを検出したか判定する(ST3:検出有無判定工程)。制御部80は、検出センサ54が第1のアーム部32Aを検出するまで(ST3)を繰り返す。そして図10(b)に示すように、検出センサ54が第1のアーム部32Aを検出したとき((ST3)で「Yes」の場合)、基板載置ステージ24は停止する(ST4:停止工程)。これまで説明した(ST1)〜(ST4)は、アーム部32を検出する検出工程となっている。
次いで、算出部85は検出センサ54による第1のアーム部32Aの検出結果に基づいて、第1のアーム部32Aのサイズ、すなわち回転軸23aの回転中心Cからの第1のアーム部32Aの突出長さTを算出する(ST5:算出工程)。より具体的に説明すると、算出部85は、移動開始前における基板載置ステージ24と検出センサ54の間隔Uから、基板載置ステージ24の移動距離を減算する。
次いで、制御部80はサイズを算出していないアーム部32があるか判断する(ST6:未算出アーム部有無判断工程)。未検出のアーム部32がある場合は(ST1)に戻る。本例では、第1のアーム部32Aのサイズが算出された後、第2のアーム部32Bのサイズを算出するために(ST1)に戻る。なお、一対のアーム部32が一体形成されている場合は、一方のアーム部のサイズを算出して、取り付け状態判定を終了してもよい。
図11を参照して、第2のアーム部32Bのサイズを算出するための動作を簡潔に説明する。図11(a)において、基板載置ステージ24は所定の方向に移動し(矢印g)、第2のアーム部32Bを検出ラインL上に位置合わせする(ST1)。このとき、検出センサ54と回転軸23aの回転中心Cとの間には再び間隔Uが設けられる。次いで図11(b)に示すように、基板載置ステージ24は検出センサ54に接近する方向に移動する(ST2)(矢印h)。基板載置ステージ24が移動する過程で、制御部80は検出センサ54が第2のアーム部32Bを検出したか判定する(ST3)。第2のアーム部32Bを検出したと判定されたとき、基板載置ステージ24は停止する(ST4)。次いで、算出部85は検出センサ54による検出結果に基づいて、第2のアーム部32Bのサイズを算出する(ST5)。
(ST6)において、サイズを算出していないアーム部32がないと判断された場合、制御部80は第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bのサイズの算出結果に基づいて、部品支持部材が適切に取り付けられているかを判定する(ST7:判定工程)。すなわち、判定部86は、記憶部81に記憶されたアーム部32のサイズの規定値と、算出部85によって算出された第1のアーム部32Aのサイズ(算出値)とを比較する。比較の結果、規定値と算出値の誤差が予め定めた許容範囲内である場合、部品支持部材が適切に取り付けられていると判定する。また、第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bのうち一つでも誤差が許容範囲外である場合、判定部86は部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定する。
(ST7)では、他の方法を用いて判定してもよい。例えば、制御部80は、算出部85により算出された第1のアーム部32Aのサイズと第2のアーム部32Bのサイズとの誤差を算出する。そして、誤差が予め定めた許容範囲内である場合、言い換えれば第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズが一致する場合(略一致を含む)、制御部80は部品支持部材が適切に取り付けられていると判定する。また、誤差が許容範囲外である場合、制御部80は部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定する。すなわち、この例では、判定部86は、一対のアーム部32のサイズのずれ量に基づいて、基板載置ステージ24に部品支持部材が適切に取り付けられているかを判定する。
(ST7)で部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定された場合、制御部80は表示部87を通じてオペレータに報知する(ST8:報知工程)。報知を受けたオペレータは、部品支持部材の取り付け状態を確認し、必要に応じて部品支持部材の位置の調整作業を行う。その後、オペレータはアーム部32に横架部材34を取り付けて生産を開始する。なお、部品支持部材の位置を調整した後に部品支持部材の取り付け状態を再び判定してもよいし、一方の部品支持部材の取り付け状態を判定してから、他方の支持部材の取り付け状態を判定してもよい。
以上説明したように、本実施の形態1における部品実装装置1によれば、部品支持部材の取り付けミスに起因した実装不良を防止することができる。より具体的に説明すると、アーム部32が部品6に対応したサイズになっていない場合、基板載置ステージ24上の基板2に圧着(仮圧着、本圧着)された部品6のはみ出し部分が垂れ下がって実装不良の原因となる。しかしながら、部品支持部材の取り付け状態を検出して、アーム部32のサイズが適切ではない場合はそれを是正することで実装不良を未然に防止することができる。
(実装の形態2)
次に図12を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2では、複数の検出センサ54が用いられる点で本実施の形態1と相違する。図12(a)において、フレーム部52aの前方側における両側部には、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bが、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32BのX方向における間隔に対応した状態で取り付けられている。すなわち、第1の検出センサ54AをY方向に通過する検出ラインLA上に第1のアーム部32Aを位置合わせしたとき、第2の検出センサ54BをY方向に通過する検出ラインLB上には第2のアーム部32Bが同時に位置合わせされる。このような構成にすることで、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bの位置合わせを個別に行う必要がなくなり、作業タクトが向上する。
次に図13のフローチャートを参照して、本実施の形態2における部品支持部材の取り付け状態の良否の判定方法について説明する。なお、本実施の形態1と同様の工程については簡略して説明する。まず、基板載置ステージ24は所定方向に移動して、検出ラインLA,LB上に第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bをそれぞれ位置合わせする(ST11:位置合わせ工程)(図12(a))。
次いで、基板載置ステージ24は各検出センサ54A,54Bに接近する方向に移動する(ST12:ステージ移動工程)(図12(a)に示す矢印i)。基板載置ステージ24が移動する過程で、制御部80は第1の検出センサ54A、第2の検出センサ54Bが第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bをそれぞれ検出したか判定する(ST13:アーム部検出有無判定工程)。なお、調整ミス等により第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズに誤差が生じている場合もある。この場合、検出センサ54A,54Bによる検出タイミングは誤差に応じて異なる。
図12(b)に示すように、第1の検出センサ54A、第2の検出センサ54Bが第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bをそれぞれ検出したとき((ST13)で「Yes」の場合)、基板載置ステージ24は停止する(ST14:停止工程)。次いで、算出部85は、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bによる検出結果に基づいて、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズをそれぞれ算出する(ST15:算出工程)。
次いで、制御部80は第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bのサイズの算出結果に基づいて、部品支持部材の取り付け状態が適切であるかを判定する(ST16:判定工程)。すなわち、制御部80は、記憶部81に記憶されたアーム部32のサイズの規定値と、算出部85によって算出された第1のアーム部32Aのサイズの算出値との誤差を算出する。第2のアーム部32も同様に誤差を算出する。そして、誤差が予め定めた許容範囲内である場合、制御部80は部品支持部材が適切に取り付けられていると判定する。また、第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bのうち一つでも誤差が許容範囲外である場合、制御部80は部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定する。その他、制御部80は第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズの誤差を算出し、誤差が予め定めた許容範囲を超えているか否かに基づいて判定してもよい。(ST16)で部品支持部材が適切に取り付けられていないと判定されたとき、制御部80は表示部87を通じて報知する(ST17:報知工程)。このように、本実施の形態2によれば、一対のアーム部32のサイズを効率よく算出して作業タクトを向上させることができる。
上述のように、複数の検出センサ54A,54Bを用いて各アーム部32A,32Bのサイズを個別に算出する場合、各検出センサ54A,54Bを設計上の位置正確に取り付ける必要がある。しかしながら、各検出センサ54A,54Bは手作業で取り付けられるため、取り付け位置に誤差が生じるおそれがある。
以下、図12,14を用いて第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bの取り付け位置のずれを検出する方法について説明する。まず図12(a)に示すように、基板載置ステージ24は、第1のアーム部32Aを検出ラインLA上に位置合わせし、且つ第1の検出センサ54Aと間隔Uを設けた状態から、各検出センサ54A,54Bに接近する方向に移動する(矢印i)。次いで図12(b)に示すように、基板載置ステージ24が移動する過程で、第1の検出センサ54Aは第1のアーム部32Aを検出する。算出部85は、第1の検出センサ54Aによる検出結果に基づいて、第1のアーム部32Aのサイズを算出する。
次いで図14(a)に示すように、基板載置ステージ24は第1のアーム部32Aを検出ラインLBに位置合わせし、且つ第2の検出センサ54Bと間隔Uを設けた状態から、各検出センサ54A,54Bに移動する(矢印j)。次いで図14(b)に示すように、基板載置ステージ24が移動する過程で、第2の検出センサ54Bは第1のアーム部32Aを検出する。算出部85は、第2の検出センサ54Bによる検出結果に基づいて、第1のアーム部32Aのサイズを算出する。
次いで、制御部80は、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bによる検出結果に基づいて算出された第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズの誤差を演算する。演算された誤差は、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bとの間に生じたY方向のずれが要因であると推測できる。これにより、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bの取り付け位置のずれが検出される。その後、制御部80は表示部87を通じて誤差を表示する。オペレータは表示された誤差に基づいて、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bの相対位置を修正する。なお、第2のアーム部32Bを用いて誤差を算出してもよい。
次に、図12,14を用いて検出センサ54A,54Bの取り付け位置のずれを検出するその他の方法について説明する。当該方法は、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bの実際のサイズに誤差がないことが前提条件となる。まず図12(a)に示すように、基板載置ステージ24は、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bを検出ラインLA,LB上にそれぞれ位置合わせした状態で、各検出センサ54A,54Bに接近する方向に移動する(矢印i)。そして、基板載置ステージ24が移動する過程で、第1の検出センサ54A、第2の検出センサ54Bは第1のアーム部32A、第2のアーム部32Bをそれぞれ任意のタイミングで検出する。
算出部85は、各検出センサ54A,54Bによる検出結果に基づいて、第1のアーム部32Aと第2のアーム部32Bのサイズをそれぞれ算出する。次いで、制御部80は、算出された第1のアーム部32と第2のアーム部32のサイズに誤差があるか判断する。誤差があると判断された場合、制御部80第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bの取り付け位置がずれていると判定する。
各検出センサ54A,54Bの取り付け位置がずれていると判定された場合、制御部80は記憶部81に記憶されたアーム部32のサイズの規定値と、算出されたサイズ(算出値)の誤差を各アーム部32A,32Bごとに演算する。次いで、制御部80は演算した誤差をオフセット値として記憶部81に記憶する。その後に部品支持部材の取り付け状態の適否の判定を行う際、制御部80は記憶部81に記憶されたオフセット値を加味したうえで各アーム部32A,32Bのサイズを算出する。これにより、各検出センサ54A,54Bの取り付け位置を手作業で修正する必要がなくなる。
最後に図15を参照して、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bの取り付け位置の変形例について説明する。第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bは、Y方向における位置を異ならせて配置してもよい。すなわち図15に示すように、フレーム部52aの前方側における一側部に第1の検出センサ54Aを設け、フレーム部52aの後方側における他側部に第2の検出センサ54Bを設ける。これにより、第1の検出センサ54Aと第2の検出センサ54Bとの間には、アーム部32の長手方向と平行な方向において誤差vが生じる。これにより、各検出センサ54A,54Bによるアーム部32の検出タイミングを異ならせ、検出時の座標読み取り遅延等による誤差を抑制することができる。
本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、部品支持部材は基板載置ステージ24に対してスライドしない構造でもよい。この場合、オペレータは基板載置ステージ24から部品支持部材ごと取り外し、他の部品支持部材に付け替えることによって部品支持部材のサイズを調整する。
また、検出ライン上にアーム部32を位置合わせした状態で、検出センサ54から検査光をアーム部32に向けて投射し、アーム部32の先端部において反射した反射光を受光することでアーム部32のサイズを算出してもよい。また、品支持部材の取り付け状態の適否の判定は、アーム部32に横架部材34を装着した状態で行ってもよい。この場合、横架部材34の検出位置をアーム部32の端部とみなして当該アーム部32のサイズを算出する。