JP6437870B2 - シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜を選択的に研磨するための研磨組成物及び方法 - Google Patents

シリコン酸化膜上のシリコン窒化膜を選択的に研磨するための研磨組成物及び方法 Download PDF

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Description

本開示は、研磨組成物及びそれを用いた半導体基板の研磨方法に関する。より詳細には、本開示は、複数の誘電体膜及び金属膜を含む半導体基板において、他の誘電体膜上のシリコン窒化膜を選択的に研磨するための研磨組成物及び方法に関する。
半導体産業は、プロセス及び集積化のイノベーションによるデバイスのさらなる小型化によってチップの性能を改善することに絶えず駆り立てられている。化学機械研磨/平坦化(CMP)は、多くの複雑な集積化スキームをトランジスタレベルで可能にし、それによりチップの密度を増加させるため、強力な技術である。驚くことではないが、フロントエンド(FEOL)トランジスタ製造ステップにおける新たなCMPステップ及び要件が多数ある。これらのステップは、新たなCMP要件であり、伝統的な浅溝素子分離(STI)及び酸化物研磨ステップとは全く異なる。これらの「新奇」なFEOL CMPステップ及び工程は、インテル社(Intel Corporation)による45nmの高誘電率膜・金属ゲート技術及び22nmチップ製造でのフィン型電界効果トランジスタ技術の導入後、(バックエンド(BEOL)CMPと比べて)注目を集め始めた。特に、これらの高度な集積化スキームの多くにおいて、シリコン窒化膜(SiN膜)は、エッチストップ層、キャッピング材料、及びハードマスクとして使用される。加えて、SiNはまた、拡散又は不動態化層、スペーサ材料、及び付加的ライナとしても使用される。全てのそのようなスキームにおいて、SiNは、シリコン酸化物(例えば、TEOS)及びポリシリコン等の他の誘電体膜と組み合わせて使用される。そのため、このような集積化スキームに関連したチップ製造ステップでは、他の誘電体材料(TEOS等)を除去することなくSiN膜を選択的に研磨又は除去することが必要とされる。従って、この種のCMP研磨ステップには、シリコン酸化膜に対してSiN膜を非常に高度に且つ選択的に除去するスラリーが必要とされる。なぜなら、最もパターン化されたウエハは、異なる密度及びフィーチャサイズで両方の誘電体膜を含むからである。
シリコン酸化物(例えば、TEOS)上のSiNを選択的に研磨する組成物を必要とするその他のスキームは、「リバースSTI工程」、及び「古典的エッチバック工程」の代替工程である。当該技術分野の専門用語において、シリコン酸化物上でSiNに選択的な組成物とは、SiN膜を非常に高い材料除去速度(MRRs)で研磨し、同時にシリコン酸化物を非常に低い(0に近い)MRRsで研磨することにより、シリコン酸化膜と比べてSiN膜を選択的に除去するCMP組成物を意味する。例えば、STI組成物は、非常に高いシリコン酸化物速度及び非常に低いSiN MRRsを示す。反対に、「リバースSTI」組成物は、非常に高いSiN速度及び非常に低いシリコン酸化物MRRsを示す。又は、言い換えれば、「リバースSTI」組成物は、SiN膜及びシリコン酸化膜の両方を含むパターン構造物において、シリコン酸化膜と比べてSiN膜を選択的に研磨する。
同じ性質が、一つの単一膜のみを含むブランケットウエハで見られる。即ち、ブランケットSiNウエハで高いSiN速度が、ブランケットTEOSウエハで低い(0に至る)酸化物速度が見られる。しかしながら、時には、パターン化ウエハで見られるよりもブランケットウエハにおける方が選択性が高いことがある。リバースSTI工程に加えて、「古典的エッチバック工程」によるSiN除去を含むスキームのエッチング工程に代わるCMP工程において、SiN選択的スラリーが、現在使用されている。そのようなスキームにおいては、エッチング法よりもCMPを利用する方が望ましい。なぜなら、CMPは、基板表面においてより良好な不良率及びより高い平面性をもたらし、ますます増える厳格な半導体製造要件を満たすからである。
図1は、リバースSTI CMP組成物が使用されて、SiN層を研磨した後、シリコン酸化物層上で停止する例として、2つのアプリケーションを示す。このリバースSTI CMPステップの後、半導体基板はさらに処理される。
本開示は、ゼロに近いシリコン酸化物MRRsを達成することによりシリコン酸化物に対して非常に高いSiN選択性を示す、安定した組成物を提供する。本開示の本文において、本開示と先行技術とを区別する特有の技術について議論する。
本開示は、シリコン窒化膜を選択的に研磨し、シリコン酸化膜上でほぼ停止する(又は非常に低い速度で研磨する)ことができる、安定した水性スラリーに関する。より詳細には、本開示は、アニオン性研磨剤、カルボキシル基又はカルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、水、及び所望により、アニオン性ポリマーを含む研磨組成物に関する。研磨組成物のpHは、2〜6.5の範囲である。本開示の組成物はまた、希釈時に性能が悪化することなく、希釈して研磨組成物を形成することができる。本開示はまた、前述の研磨組成物を用いた半導体基板の研磨方法についても議論する。
同じ組成物内で、負に帯電した(アニオン性の)研磨剤、及びカルボキシル基又はカルボキシレート基を有する窒化物除去速度促進剤を相乗使用することは、現在入手可能なスラリーでは見られない利益をもたらす。中でも、これらの利点として以下が挙げられる。
i)有益な電荷相互作用:アニオン性研磨剤は、負に帯電しているため、負に帯電したシリコン酸化物ウエハ表面に反発し、正に帯電したシリコン窒化物(SiN)ウエハ表面に引き寄せられる。シリコン酸化物ウエハとの反発力は、研磨の間、シリコン酸化物の材料除去速度(MRRs)を低下させ、SiNウエハ表面との引力は、SiNのMRRs増加に貢献する。これにより、2〜6.5の操作pH範囲において、高選択性SiN:シリコン酸化物組成物が生成される。
ii)SiNの速度及び選択性の向上:窒化物除去速度促進剤は、SiNの速度促進剤として作用する。SiNの速度及び選択性の向上は、アニオン性研磨剤及び促進剤の両方が同時に存在することによるi)及びii)の相乗効果の発現により、さらに高められる。
iii)酸性pHにおける組成物の安定性:コロイダルシリカは、ゼータ電位がゼロに近い(典型的な範囲は、±15mV以内)ため、pH3〜6の範囲において、(経時的に)安定性の問題を有することが知られている。しかしながら、アニオン性シリカは、ゼロから大きく離れたゼータ電位(典型的な範囲は、−20mV〜−60mV)を有し、酸性pH領域全体において安定したコロイド分散を維持する。従って、アニオン性シリカを含む本発明の組成物もまた、2〜6.5の操作pH範囲全体において安定している。先行技術では、研磨剤が非イオン性又はカチオン性であるため、この特有の安定挙動は、どの先行技術によっても示されない。
窒化物除去速度促進剤及びアニオン性研磨剤だけでは、この特有の挙動を示さない。また、現在入手可能なスラリーは、非イオン性コロイダルシリカ又はカチオン性研磨剤を酸と組み合わせて使用するものであるため、これらのスラリーのいずれも、i)、ii)、及びiii)に記載し、本開示により示す特有の性質を示さない。本開示において、「窒化物除去速度促進剤」という用語は、カルボキシル基又はカルボキシレート基を含む化合物を示す。
本開示において議論する研磨組成物及び濃縮物は、現世代の集積回路基板に性能維持をもたらす一方、同時に次世代の基板及び集積化スキームに対して顕著な効果を発揮する点において、現在入手可能な最新のスラリーとは対照的である。本開示の組成物は、酸化物層上で非常に高い選択性でシリコン窒化物層を首尾よく効果的に除去することができる。この組成物は、リバースSTI工程、エッチングストップ層の除去、ハードマスク、及び、比較的高いシリコン窒化物MRR及び同時にシリコン酸化物層上でほぼゼロのMRR(酸化物層上で停止)が必要とされる多くの他の半導体処理アプリケーションに使用することができる。さらに、本開示の組成物は、Ta/TaN又は低誘電率/超低誘電率誘電体(SiCOH)膜上で停止することができ、多くの新たな集積化スキームにおいて、Ta/TaN又はSiCOH層上で停止する一方で、その他の障壁金属を研磨することを可能にする特徴がある。
従って、一つの実施形態において、本開示は、研磨組成物を提供する。前記組成物は、アニオン性研磨剤、シリコン窒化物速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、水、及び所望により、アニオン性ポリマーを含む。前記研磨組成物は、約2〜約6.5のpHを有する。
別の実施形態において、本開示は、表面にシリコン窒化物を有する基板に研磨組成物を適用すること、及び、パッドを前記基板と接触させ、前記パッドを前記基板に対して移動させることにより、第一の速度で前記基板からシリコン窒化物の少なくとも一部を除去することを含む、研磨方法を提供する。前記組成物は、アニオン性研磨剤、シリコン窒化物速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、水、及び所望により、アニオン性ポリマーを含む。前記研磨組成物は、約2〜約6.5のpHを有する。
従って、一つの実施形態において、本開示は、酸化物層上で高い選択性でシリコン窒化物を研磨する研磨組成物を提供する。当該実施形態はまた、前記研磨組成物の使用方法も提供する。前記研磨組成物は、アニオン性研磨剤、窒化物除去速度促進剤、pH調整剤、水、及び/又はアニオン性ポリマーを含む。前記研磨組成物のpHは、およそ2.0〜6.5である。当該実施形態はまた、前記研磨組成物を用いた研磨方法も提供する。
別の実施形態において、本開示は、シリコン窒化物が酸化物上で高い選択性で研磨される広いpH操作範囲を有する研磨組成物を提供する。当該実施形態はまた、前記研磨組成物を用いた研磨方法も提供する。前記研磨組成物は、アニオン性研磨剤、窒化物除去速度促進剤、pH調整剤、水、及び/又はアニオン性ポリマーを含む。前記研磨組成物のpHは、2.0〜6.5である。
さらに別の実施形態において、本開示は、可使期間及び/又は有効期限に関して長寿命である研磨組成物を提供する。特に、平均粒径(MPS、マルバーン社(Malvern)製機器で測定)は、約1年又はそれ以上の間、安定している。言い換えれば、上記の項目iii)の酸性pHにおける組成物の安定性は、当該実施形態で取り上げる。
別の実施形態において、本開示は、研磨される基板のシリコン窒化物層はプレストニアン挙動を示す一方、酸化物層は非プレストニアン挙動を示す、新規のP*V(圧力*速度)反応特性を有する研磨組成物を提供する。当該実施形態は、項目i)有益な電荷相互作用及び項目ii)SiNの速度及び選択性の向上について取り上げ、裏付ける。
別の実施形態において、本開示は、シリコン酸化物上で高い選択性でシリコン窒化物を研磨し、研磨後、非常に低い不良率で酸化物を産生することができる研磨組成物を提供する。当該実施形態はまた、前記研磨組成物を用いた研磨方法も提供する。
別の実施形態において、本開示は、Co、Cu、W、Ta、TaN、又はこれらの組み合わせを含めた他の金属CMPアプリケーションに使用することができる研磨組成物を提供する。
さらに別の実施形態において、本開示の組成物は、使用時(POU)(即ち、研磨機器に移行する前)に、CMP性能を変化させることなく希釈することができる。例えば、濃縮研磨組成物は、POUの2倍濃縮とすることができる。POUの他の化学物質の濃度が1倍処方スラリーとなるように2倍濃縮を水で希釈してCMPが行われても、希釈処方(1倍)と比較して濃縮処方(2倍)の性能が悪化することはない。さらに濃縮された磨組成物を、同様の方法を用いて調製してもよい。
図1は、非常に高いSiN速度及び同時に低いシリコン酸化物速度でのSiNの選択的研磨を必要とする、リバースSTI研磨アプリケーションの模式図である。本開示で提示されるリバースSTI組成物は、これらのアプリケーション及び関連するアプリケーションで使用される。 図2は、シリコン酸化物上でシリコン窒化物に高い選択性を有する本開示の研磨組成物の広いpH操作範囲を示すグラフである。 図3は、本開示の組成物のゼータ電位プロットである。 図4は、本開示の研磨組成物のP*V反応を示す。
本開示は、研磨組成物及びそれを用いた基板の研磨方法を提供する。研磨組成物は、(a)アニオン性研磨剤、(b)窒化物除去速度促進剤、(c)水、及び所望により、(d)アニオン性ポリマーを含む。研磨組成物は、約2〜約6.5のpHを有し得る。本開示の研磨組成物は、シリコン窒化物及びシリコン酸化物を含む基板のCMPの間、シリコン酸化膜上でシリコン窒化膜に高い研磨選択性を有する。本開示の組成物はまた、性能を犠牲にすることなく希釈することができる。本開示はまた、前記研磨組成物を用いて半導体基板を研磨する研磨方法(CMP)を提供する。特に、本開示は、シリコン酸化物上でシリコン窒化物を高い選択性で研磨する方法を提供する。研磨組成物はまた、コバルト、銅、又は他の金属、及び多結晶シリコン及び低誘電率/超低誘電率誘電体(SiCOH)膜等の他の誘電体膜を研磨することを必要とするアプリケーションに使用することもできる。
研磨組成物は、アニオン性研磨剤を含む。アニオン性研磨剤は、負の電荷を付与され、ゼータ電位プロットにおいて負電位値(mVで)を示すコロイド状研磨剤である。非イオン性研磨剤は、砥粒の一部にアニオン性基を付加することによりアニオン性研磨剤へと修飾される。アニオン性研磨剤を産生するためのこの修飾は、化学結合又はシリカ粒子の最上層上に複数の自己集合単分子層を物理的に形成することによるもの、若しくはシリカ粒子の表面上にアニオン性基を物理的に吸着させることによるものであってもよい。
アニオン性研磨剤を形成するための好ましい方法は、化学結合を用いるものであり、典型的には研磨剤を下記の一般式の化合物と反応させることにより行われる。
式中、x及びzは様々な整数値をとることができ、Yは、(研磨剤のタイプに応じて)アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、これらの共形成物、又はこれらの混合物である。「アニオン性基」は、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、又はこれらの酸のいずれかのアニオン性塩等の酸であってもよい。市販のアニオン性研磨剤は、以下の販売業者から入手可能である:ベルギーのソルベイ社(Solvay)よりアニオン性セリア、ドイツのエボニックインダストリーズ社(Evonik Industries)よりアニオン性アルミナ、及び日本の扶桑ケミカル社(Fuso Chemical Co., Ltd.)よりアニオン性シリカ。本開示において、「アニオン性研磨剤」は、負に帯電した研磨剤の意味で使用される。これらは、前述の市販のアニオン性研磨剤を含む。これらはまた、アニオン性基による非イオン性研磨剤のインハウス化学修飾(酸固定等)、複数の単分子層の形成又は物理的な表面吸着による物理的修飾、又は所望の負電荷を付与するその他の適切な方法を含む。これらの負に帯電した研磨剤は、他の誘電体材料と比較して非常に高くて選択的なSiN除去速度を得るために、複数の化学物質と共に本願の研磨組成物に使用される。
アニオン性研磨剤の電荷を測定する1つの方法は、ゼータ電位を用いるものである。コロイド系において、ゼータ電位は、液体分散媒と分散コロイド粒子に付着した液体の静止層との間の電位差として定義される。溶液のゼータ電位は、コロイダルダイナミクス社(Colloidal Dynamics)製AcoustoSizer II、又は動的光散乱により稼働するマルバーンインスツルメンツ社(Malvern Instruments)製の機器等の市販の機器で測定することができる。ゼータ電位は、コロイド分散安定性の測定において特に有用である。一般的なガイドラインは、以下の通りである。
さらに、ゼータ電位は、粒子の表面電荷に関連している。負のゼータ電位は、粒子表面が分散系において負に帯電している(アニオン性である)ことを意味し、その逆はカチオン性研磨剤(正に帯電)であることを意味する。粒子分散安定性を維持するためには、ゼータ電位の絶対値が少なくとも10mVより大きいことが好ましい(表を参照)。本発明において、アニオン性研磨剤は、0〜±100mV、より好ましくは、約−10mV〜−100mV、最も好ましくは、−15mV〜−70mVの範囲のゼータ電位を有することが望ましい。さらに、組成物は、±5mV〜±100mV、より好ましくは、約−10mV〜−100mV、最も好ましくは、−15mV〜−70mVの範囲のゼータ電位を有することが望ましい。
組成物の電荷はまた、その伝導度によっても測定することができる。研磨組成物は、好ましくは、0.1〜10ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)若しくはその間の任意の部分範囲、又は0.5〜5mS/cm若しくはその間の任意の部分範囲の伝導度を有することができる。
アニオン性研磨剤は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%、組成物の総重量に対して0.05重量%〜15重量%、組成物の総重量に対して0.1重量%〜10重量%、又はこれらの範囲内の任意の部分範囲の量で含まれていてもよい。
本開示の研磨組成物は、アニオン性研磨剤に加えて、上記で説明したようにカルボキシル基若しくはカルボキシレート基、又はイオンを含む窒化物除去速度促進剤を含む。適切な窒化物除去速度促進剤としては、ギ酸、酢酸、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、乳酸、又はこれらの任意の組み合わせ等のカルボン酸が挙げられる。必ずしもカルボン酸ではないその他の適切な窒化物除去速度促進剤としては、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、アミノ酢酸、フェノキシ酢酸、テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、安息香酸、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
窒化物除去速度促進剤は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜10重量%、組成物の総重量に対して0.01重量%〜5重量%、組成物の総重量に対して0.03重量%〜3重量%、又はこれらの範囲内の任意の部分範囲の量で含まれていてもよい。
研磨組成物は、所望によりアニオン性ポリマーを含んでいてもよい。アニオン性ポリマーは、誘電体表面の不動態化及び研磨後の不良率の低減に貢献し得る。アニオン性ポリマーは、好ましくは、スルホン酸塩系(−SO )又はリン酸塩系(−PO 3−)であり、炭化水素基を含む。1つの実施形態において、アニオン性ポリマーは、アニオン性界面活性剤である。スルホン酸塩/硫酸塩系アニオン性界面活性剤の例としては、ラウリルエーテル硫酸塩、及びTRITON Q−15、XN−45S、及びW−30シリーズ等のダウケミカル社(Dow Chemical)の硫酸塩系トリトン界面活性剤がある。リン酸塩系アニオン性界面活性剤/ポリマーの例としては、TRITON H−55及びH−66等のダウケミカル社のトリトンシリーズがある。
アニオン性ポリマーは、含まれる場合には、組成物の総重量に対して1ppm〜5重量%、組成物の総重量に対して1ppm〜10000ppm、組成物の総重量に対して1ppm〜2000ppm、又はこれらの範囲内の任意の部分範囲の量で含まれていてもよい。
上記の成分に加えて、研磨組成物は、pH調整剤として作用する塩基を含むことができる。塩基pH調整剤は、組成物のpHをその操作pH値にするのに役立つ。pHを調整するために使用される塩基は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、トリエタノールアミン、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、又はこれらの任意の組み合わせ等の任意の適切な塩基とすることができる。
本開示の組成物のpHは、2.0〜6.5、又はその間の任意の部分範囲をとり得る。当該pHはまた、3.0〜6.0若しくはその間の任意の部分範囲、又は3.4〜5.75若しくはその間の任意の部分範囲をとり得る。pHは、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermo Fisher Scientific)のpHメーターを用いて測定することができる。
本発明のアニオン性研磨剤の粒径に関して、その粒径は、約1nm〜1000nm、より好ましくは、約1nm〜200nm、最も好ましくは、約1nm〜50nm、又はこれらの部分範囲の平均粒径をとり得る。粒径が小さいほど、優先的にTEOSのMRRsが低くなり、それによりTEOSに対してSiNの選択性全体が改善されるという利点がある。本開示における粒径は、動的光散乱技術により測定された平均粒径(MPS)である。平均粒径は、例えば、マルバーンインスツルメンツ社の市販の動的光散乱機器である、マルバーンを用いて測定することができる。
上記の説明及び後述の実施例において、本開示の組成物は、SiN(シリコン窒化物)の研磨と共に議論される。しかしながら、本願の組成物はまた、シリコン炭化物(SiC)、シリコン炭窒化物(SiC)、ポリシリコン、及びその他の窒化物含有材料を、シリコン酸化物(例えば、TEOS)上で選択的に研磨するために使用してもよい。組成物はまた、低誘電率誘電体(SiC)及び超低誘電率(ULK)誘電体(SiC)材料等のシリコン酸化物を含有する誘電体材料上のSiNを選択的に研磨するために使用してもよい。低誘電率及びULK誘電体材料の一般的な例としては、それぞれアプライドマテリアルズ社(Applied Materials)製のブラックダイヤモンドI及びIIがある。
[実施例]
本開示の研磨組成物及び方法の性能をさらに説明するために、実施例を提供する。提供する実施例は、本開示の範囲を制限することを意図したものでも、解釈されるべきものでもない。
[実施例1]
本実施例は、シリコン窒化物の材料除去速度を高めるための所望の添加物の効果を明示する。
本実施例において、研磨組成物は、1重量%のアニオン性研磨剤、窒化物除去速度促進剤としてのいくつかの酸、pH調整剤としての水酸化カリウム、及び液体担体としての水を主に含む。表2のコントロールサンプルは、酸を含まないが、他のサンプルは、同じモル量の酸添加物を含む。全ての実施例に対し、アプライドマテリアルズ社のMirra CMP研磨機を3psiのダウンフォース及び175mL/分の流速で使用して、8インチのシリコン窒化物及びシリコン酸化物ウエハを研磨した。
表2の結果により、研磨組成物に酸を加えないと、シリコン窒化物RRは低いことが分かった(コントロールを参照)。酢酸、プロピオン酸、又はマロン酸等のカルボキシル基を有する酸は、シリコン窒化物RRをコントロール(速度促進剤添加物を含まない)の約8〜11倍にまで著しく増加させた。硝酸又はリン酸等のカルボキシル基を有さない他の酸もまた、シリコン窒化物除去速度を増大させたが、カルボキシル基を有する添加物ほど効果的ではなかった。シリコン酸化物(本実施例では、TEOS)のRRは、表2の全てのサンプルで40A/分よりも低く、ほとんどのケースで0A/分に近い。研磨剤が小さい粒径を有し、アニオン性表面電荷を有することにより、TEOSがアニオン性研磨剤と反発し、低いMRRsをもたらすため、TEOSにおけるこの非常に低い酸化物RRが達成された。従って、アニオン性研磨剤と、窒化物速度促進剤分子を含む選択的なカルボン酸塩との組み合わせによる相乗効果により、高いSiN RR及び非常に低いTEOS速度を示す、(TEOSに対して)高SiN選択性の組成物が生じる。
[実施例2]
本実施例は、本開示の組成物が広いpH範囲にわたってどのように機能するかを明示する。
表3の研磨組成物は、1%のアニオン性研磨剤及び窒化物除去速度促進剤を含む。水酸化カリウムを使用して、pHを表3に示される操作pHに調製した。全ての実施例に対し、アプライドマテリアルズ社のMirra CMP研磨機を3psiのダウンフォース及び175mL/分の流速で使用して、8インチのシリコン窒化物及びシリコン酸化物ウエハを研磨した。
表3に示されるように、最大値が〜12(正規化)前後の高いシリコン窒化物RRが、<0.386(正規化)の非常に低い酸化物RRと共に、3.4〜5.5のpH領域で、最適化された本発明の組成物に対して得られた。シリコン窒化物RRは、pHを5.75に上昇させると、〜16%減少した。pHを6までさらに上昇させると、シリコン窒化物MRRsがより減少する。本実施例の研磨組成物は、高いシリコン窒化物RR及び低い酸化物RRを達成するために、〜3から5.75のかなり広いpH操作範囲を示した。対照的に、入手可能なスラリーの一例(米国特許第7,217,989号明細書)では、全ての実施例が、高いシリコン窒化物RRを達成するために、4.5〜5.0の狭いpH操作範囲を示した。4.5〜5.0のpH範囲よりも低い又は高いと、シリコン窒化物MRRsは、30%超減少する。
本実施例において、本開示は、広いpH処理/操作ウィンドウに渡り非常に高速でシリコン窒化膜を研磨することができるという本願の組成物の新規性を明示する(図2)。先行技術は、このようなことが可能な組成物について明らかにしていない。本開示におけるこの研磨組成物の性能は、アニオン性修飾粒子の負のゼータ電位が、広いpH範囲に渡り比較的同様(一定の値)であることに関連している可能性があり、同様の静電引力をシリコン窒化物ウエハ(正のゼータ電位を有する)にもたらし、それにより、酸性pH範囲全体に渡り同様のシリコン窒化物RRを維持する。この特有の挙動は、アニオン性研磨剤と窒化物除去速度促進剤との組み合わせによる相乗作用に再び由来する。この挙動は、先行技術と対照的である。先行技術では、(通常の)非イオン性シリカ粒子が使用され、pHが酸性pH領域で低減すると、非イオン性シリカのゼータ電位が負ではなくなるか又はより正になるため、シリコン窒化物ウエハ表面(正電荷を有する)に対して静電引力の減少又は反発力さえももたらし、その結果、シリコン窒化物CMP除去速度が減少する。
さらに詳細に説明すると、アニオン性研磨剤は、3−10のpH範囲全体に渡り、比較的固定された一定の負のゼータ電位値を有する。一般に、この固定値は、研磨剤の種類及びサイズに応じて−20mV〜−70mVの間の任意の数値となり得る。例えば、アニオン性アルミナ研磨剤は、3−10のpH範囲全体において、−35mVの固定されたゼータ電位値を有する可能性がある。しかしながら、(先行技術で使用される)非イオン性研磨剤では、ゼータ電位値は、酸性pH範囲においてpH値によって大きく異なる。例えば、コロイダルシリカは、pH3で+10mV、pH4で0mV、及びpH5で−10mVのゼータ電位値を有する。そのため、逆に言えば、非イオン性シリカ(先行技術)では、異なるpH値での好ましくない静電力によりSiN RRの一貫性がなくなるだけでなく、非常に狭いpH間でのこの異なるゼータ電位値により、経時的にスラリー安定性の問題(保存期間/有効期限)が生じる。特有のゼータ電位挙動及びそれによる組成物の安定性への影響は、組成物の安定性の項(以下の実施例3)でさらに議論する。
[実施例3]
本実施例は、研磨組成物の安定性に対するアニオン性シリカの効果を示す。半導体製造業界において、CMP組成物が長期に渡り安定/使用可能であるべきことがよく知られている。そのため、組成物は、最低でも少なくとも6ヶ月〜1年の有効期限を有するべきである。CMP組成物の不安定性は、組成物に使用される砥粒の平均粒径(MPS)の増大により評価することができる。研磨剤のMPSが経時的に増大する場合、組成物が不安定であることを意味する。このMPSの増大は、主に、安定したコロイド分散ではない研磨剤を含む組成物により起こる。コロイド安定性は、スラリーのゼータ電位プロットで分かり、組成物が±10mVの範囲内のゼータ電位値を有する場合、不安定で、粒子の凝集による経時的なMPSの増大を特徴とすると考えられる。アニオン性研磨剤と窒化物促進剤分子との相乗的使用は、組成物の安定性を向上させる。本実施例ではそのことを実証する。
MPSの増大から生じる組成物の保存期間の問題に加え、組成物中の研磨剤の平均粒径の増大はまた、CMP中のRRの不良及び/又は変化の増加を引き起こす。従って、これにより、顧客の観点からは許容できない、一貫性のない平坦化性能がもたらされる。よって、研磨組成物が長期間に渡り安定した平均粒径を示すことが非常に望ましい。
表4において、研磨組成物は、アニオン性シリカ及び非イオン性(通常の)シリカを含み、どちらも0日目では同じMPS100(正規化値)であった(サンプル3A及び3E)。表4の組成物において、シリカ研磨剤(アニオン性と非イオン性)を除き、窒化物促進剤及びpH調整剤等のその他の全ての化学組成物は、同じである。表4は、アニオン性シリカ研磨剤を含む研磨組成物が、330日間に渡り安定したMPSを示したのに対し、非イオン性(通常の)シリカ研磨剤を含む研磨組成物は、MPSがたったの80日間で4倍以上に増大した(正規化MPS値が、0日目の100に対して80日後には436)ことを明示している。従って、アニオン性修飾シリカの使用は、本実施例で見られるように、長期間に渡るMPS安定性を研磨組成物にもたらす。これは、アニオン性研磨剤を用いたスラリーのための安定した工業用組成物、及び長期の保存期間/有効期限を意味する。
安定性の更なる評価基準は、スラリーのゼータ電位値である。図3は、最適化された本発明の組成物のゼータ電位を示す。図から分かるように、全てのスラリーのゼータ電位が−20〜−40mVに収まり、これらの全てのスラリーが2〜7のpH範囲において非常に安定したコロイド分散であることを明示している。前述のように、ゼータ電位値がゼロから遠く離れているほど、分散体は安定している。既に説明したように、非イオン性(通常の)シリカを含む分散体は、酸性pH領域(pH2〜6)において±10mVの範囲内のゼータ電位値を有し、そのようなスラリーのMPS増大を表す表4の実験で確認されたように、不安定な組成物を意味している。
[実施例4]
本実施例は、シリコン窒化物及びシリコン酸化物(例えば、TEOS)のMRRsに対する研磨圧力(P、psi)及び速度(V、RPM)の影響を示す。研磨組成物は、アニオン性研磨剤、窒化物除去速度促進剤、pH調整剤、及び水を含む。最適化された組成物はまた、アニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。アプライドマテリアルズ社のRefleXion LK CMP研磨機器を使用して、シリコン窒化物及びTEOSウエハを、異なる研磨圧力(P)及び速度(V)で本発明の研磨組成物を用いて研磨した。
従来のCMP工程において、材料除去速度を表す基本方程式は、プレストンの法則に基づく。プレストンの法則では、除去速度(RR)は研磨プラテンの印加圧力(P:基板と研磨プラテンとの間の接触圧)及び相対速度(V:プラテンの回転速度/rpm)に正比例すると規定している。
RR=Κ(P*V)
式中、Κは、プレストン定数である。当該技術分野の専門用語において、研究者は通常、これをCMPにおけるMRRsの古典的PV依存と呼ぶ。そのため、古典的プレストニアンCMP挙動は、圧力又は速度が増加するとMRRsが比例して増加すること、具体的には、RRはP*Vの積に依存することを意味する。従って、組成物がCMPにより膜を化学的に除去することができる場合は、CMP中に観測されるMRRsは、P及びV処理パラメータの増加によりさらに増加され得る。反対に、組成物がCMPにより膜を化学的に除去することができない場合(ゼロに近いMRRs及び膜上で停止)は、そのようなスラリーのRRは、P及びVを増加させても明確には変化しない。この特有の挙動は、CMPスラリーの非プレストニアン挙動と呼ばれ、非常にまれである。
図4は、本願のCMP組成物の、シリコン酸化膜上におけるこの特有の非プレストニアン挙動を示す。図4から分かるように、シリコン窒化物RRは、0.9よりも大きいR値で研磨P*V処理条件に対して線形応答(プレストニアン)を示し、P*Vは、シリコン酸化物RRに対してほどんど影響を及ぼさず(非プレストニアン挙動)、R値が0に近い。これは、本開示で説明した組成物だけに特有の非常に新しい性質である。これは、組成物における特有のアニオン性研磨剤と化学物質とのパッケージが、非常に高いSiN MRRsを達成するだけでなく、同時に酸化物上で組成物を停止させること、即ち、圧力/速度/摩擦が増えても、酸化物RRは、同じ〜0のままである(図4を参照)ことを裏付けている。全ての先行技術において、酸化物RRは、研磨圧力(又は速度)の増加に伴い増加する。酸化物RRの研磨PVに対するこの非プレストニアン応答は、CMPにおいて多くの利点を有する。例えば、先行技術(Schlueter & Henry et. al., ”High Selectivity Silicon Nitride Slurry for Advanced Technology Node Front End CMP Applications”, 18th International Symposium on Chemical−Mechanical Planarization, Aug 11−14, 2013, Lake Placid, NY, USA)で報告された問題の一つは、パターン化ウエハにおける酸化物RRが、ブランケットウエハにおけるよりもはるかに高い傾向にあることである。この問題の主因は、酸化物RRが研磨圧力(ダウンフォース)の増加に伴って増加することである。Schlueterらは、彼らのスラリーを使用してSiNフィーチャ及び酸化物フィーチャの両方を含むパターン化ウエハを研磨すると、小さい酸化物フィーチャ(パターンフィーチャのうち、非常に高いSiN及び非常に低い酸化物密度を有する領域)ほど、非常に高い局所圧力に曝され、従って、非常に高い酸化物RRを示し、結果としてSiN膜に対して非常に低い選択性を示したことを報告した。従って、研磨組成物が非常に低い(0に近い)酸化物RRを有し、酸化物RRが研磨圧力/ダウンフォースに影響されにくい場合には、このことにより、パターン化ウエハにおいて酸化物RRが増加するという問題を解決することができる。本開示の研磨組成物は、パターン化ウエハにおいて低い酸化物RR及び高いシリコン窒化物RRを達成するという重要な要件を確実に満たし、従って、本実施例で明らかなように、酸化物RRに対してシリコン窒化物RRに高い選択性を維持する。
[実施例5]
不良率は、チップ製造過程において重要なパラメータであり、チップダイの歩留まりが高くなるように、CMPのあらゆるステップで不良率が非常に低いことが好ましい。具体的には、シリコン窒化物及び酸化物を高い選択性で研磨することを含むアプリケーションには、酸化物層での不良率が低いことが好ましい。なぜなら、大半のアプリケーションにおいて、全ての窒化物が除去され、酸化物層が現れるとすぐに、研磨が停止するからである。本実施例は、酸化物に対してシリコン窒化物に高い選択性を有し、研磨後の酸化物の不良率が非常に低い研磨組成物を示す。
表5において、研磨組成物は、主に、アニオン性研磨粒子及び窒化物除去速度促進剤を含む。前述の通り、本発明の組成物の中には、所望によりアニオン性ポリマー界面活性剤分子を含むものもある。界面活性剤は、不良率の低減に役立ち、表5のデータにより、このアニオン性界面活性剤の機能はより明白である。例えば、4B及び4Cは、アニオン性界面活性剤分子を含み、界面活性剤を全く含まない4A組成物よりも不良率が低い。さらに、全ての本発明の組成物は、市販の銅バリア組成物よりも低い不良率値を有する(表5を参照)。全ての実施例に対し、アプライドマテリアルズ社のMirra CMP研磨機を3psiのダウンフォース及び175mL/分の流速で使用して、8インチのシリコン窒化物及び酸化物ウエハを研磨した。
本発明の組成物におけるシリコン酸化物の超低不良率は、これらの研磨組成物の超低酸化物RR(<40A/分)に(部分的に)起因する可能性がある。
一つの実施形態において、SiN及びシリコン酸化物又はポリシリコンの除去速度は、以下の方程式を満たし得る。
[1.5234*X−36](A/分)≦SiN除去速度≦[1.7858*X+226](A/分)、及び
0≦シリコン酸化物又はポリシリコンの除去速度≦100A/分
(式中、X=ダウンフォース(psi)*プラテンの速度(RPM))
[実施例6]
本実施例は、本開示で説明する本発明の研磨組成物が、他の金属の研磨にも使用できることを示す。
表6において、研磨組成物は、主に、アニオン性研磨剤、シリコン窒化物RRを増加させるためのカルボキシレート基を有する薬剤、及び所望により、アニオン性界面活性剤を含む。全ての実施例に対し、アプライドマテリアルズ社のMirra CMP研磨機を3psiのダウンフォース及び175mL/分の流速で使用し、シリコン窒化物、シリコン酸化物(例えば、TEOS)、Co、Cu、W、Ta、及びTaN等の選択された材料の8インチウエハを研磨した。表6により、研磨組成物は、シリコン酸化物上のシリコン窒化物に高い除去選択性を示すだけでなく、Ta及びTaNに対して非常に低い除去RRを有することが分かる(この特性は望ましい)。本発明の研磨組成物はまた、時には3000A/分にもなる非常に高いCo RRを達成した。従って、本発明の研磨組成物は、シリコン窒化物又はCo又はSiNとCoの両方を非常に高い研磨速度で(及び/又は酸化物膜に対して高い選択性で)研磨する必要があるアプリケーションに使用することもできる。
[実施例7]
本実施例は、研磨組成物を濃縮物として調製し、その後、研磨性能が悪化することなく、使用時(POU)に研磨のために(水で)希釈できることを示す。一般に、顧客は、航空/海上輸送コストを減らし、スラリーの価格設定が全体として有利になるように、スラリー濃縮物を好む。
表7は、研磨組成物6A及び6Bを示す。6Bは、水以外の各組成成分に関して6Aの2倍濃縮バージョンとなっている。全ての実施例に対し、アプライドマテリアルズ社のMirra CMP研磨機を3psiのダウンフォース及び175mL/分の流速で使用し、8インチのシリコン窒化物及びTEOSウエハを研磨した。2倍希釈後の6Bのシリコン窒化物及びシリコン酸化物(TEOS)RRは、6Aとほぼ同じである。当業者であれば、同様の方法を用いて本発明の組成物の3倍又はそれ以上の濃縮バージョンを調製することができる。
本開示は、1つ又は複数の例示的な実施形態を参照して説明されたが、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な変更が行われる可能性があり、均等物がその要素と置き換えられる可能性があることは、当業者に理解されるであろう。本明細書に記載した好ましい実施形態の変更形態は、前述の記載を読めば、当業者には明らかになり得る。加えて、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために、本開示の範囲を逸脱することなく、多くの修正が行われ得る。従って、本開示は、予期される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むことが意図される。さらに、本発明者らは、当業者が、本明細書で具体的に記載したものとは別の形態で本開示を実施するために、変更形態を適宜使用することを予想する。本開示は、本明細書に添付した請求項で挙げられた主題の、適用可能な法令により許容される全ての変更形態及び均等形態を含む。
(付記1)
(a)アニオン性研磨剤、
(b)シリコン窒化物速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、
(c)水、及び
(d)所望により、アニオン性ポリマーを含み、
約2〜約6.5のpHを有する、
研磨組成物。
(付記2)
前記アニオン性研磨剤が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、これらの共形成物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記3)
前記アニオン性研磨剤が、アニオン性コロイダルアルミナである、
付記2に記載の研磨組成物。
(付記4)
前記アニオン性研磨剤が、アニオン性コロイダルシリカ、アニオン性シリカを生成するための酸固定化非イオン性シリカ、及びこれらの静電的に負に帯電したコロイド状混合物からなる群から選択される、
付記2に記載の研磨組成物。
(付記5)
前記アニオン性研磨剤の平均粒径が、約1nm〜1000nmである、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記6)
前記アニオン性研磨剤の平均粒径が、約1nm〜50nmである、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記7)
前記アニオン性研磨剤が、0〜±100mVの範囲の好ましいゼータ電位を有する、
付記2に記載の研磨組成物。
(付記8)
前記アニオン性研磨剤が、−15mV〜−70mVの範囲の好ましいゼータ電位を有する、
付記2に記載の研磨組成物。
(付記9)
前記研磨組成物が、±5mV〜±100mVの範囲のゼータ電位を有する、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記10)
前記研磨組成物が、−15mV〜−70mVの範囲のゼータ電位を有する、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記11)
前記組成物が、0.1〜10ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)の範囲の伝導度を有する、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記12)
前記研磨剤が、前記組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%の量で含まれる、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記13)
前記窒化物除去速度促進剤が、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、過酢酸、コハク酸、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、アミノ酢酸、フェノキシ酢酸、テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、ヒスチジン、チロシン、安息香酸、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択される、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記14)
前記窒化物除去速度促進剤が、前記組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%の量で含まれる、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記15)
前記窒化物除去速度促進剤が、濃縮物中に、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜3重量%の量で含まれる、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記16)
アニオン性ポリマーが含まれる、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記17)
前記アニオン性ポリマーが、約120g/mol以上の平均モル質量を有するアニオン性界面活性剤である、
付記16に記載の研磨組成物。
(付記18)
前記アニオン性界面活性剤が、スルホン酸塩(−SO )又はリン酸塩(−PO )部分、及び追加として炭化水素基、及びこれらの組み合わせを含む、
付記17に記載の研磨組成物。
(付記19)
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
付記17に記載の研磨組成物。
(付記20)
前記アニオン性界面活性剤が、前記組成物の総重量に対して0.001重量%〜5重量%の量である、
付記17に記載の研磨組成物。
(付記21)
pH調整剤として塩基をさらに含む、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記22)
前記塩基が、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
付記21に記載の研磨組成物。
(付記23)
前記研磨組成物の濃縮物が、前記濃縮物と比較して使用時(POU)の研磨性能が悪化することなく、研磨前のPOUに、2倍、3倍、又はそれ以上に希釈され得る、
付記1に記載の研磨組成物。
(付記24)
表面にシリコン窒化物を有する基板に研磨組成物を適用すること、及び
パッドを前記基板と接触させ、前記パッドを前記基板に対して移動させることにより、第一の速度で前記基板から前記シリコン窒化物の少なくとも一部を除去することを含み、
前記組成物は、
(a)アニオン性研磨剤、
(b)シリコン窒化物速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、
(c)水、及び
(d)所望により、アニオン性ポリマーを含み、
前記研磨組成物は、約2〜約6.5のpHを有する、
研磨方法。
(付記25)
前記基板が、シリコン酸化物及びポリシリコンのうちの少なくとも一つを表面にさらに含み、
前記方法が、第二の速度で、前記シリコン酸化物及びポリシリコンのうちの少なくとも一つを除去することを含み、
前記第一の速度が、前記第二の速度よりも大きい、
付記24に記載の方法。
(付記26)
前記第一の速度が、プレストニアン挙動を示し、前記第二の速度が、非プレストニアン挙動を示す、
付記25に記載の方法。
(付記27)
前記第一の速度及び前記第二の速度が、以下の方程式:
[1.5234*X−36](A/分)≦第一の速度≦[1.7858*X+226](A/分)、及び
0≦第二の速度≦100A/分
(式中、X=ダウンフォース(psi)*プラテンの速度(RPM))
を満たす、
付記25に記載の方法。
(付記28)
付記24に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。

Claims (25)

  1. 研磨組成物は、
    (a)アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、これらの共形成物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性研磨剤、
    (b)シリコン窒化物除去速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、及び
    (c)水を含み、
    2〜6.5のpHを有し、
    前記アニオン性研磨剤は、前記pHの範囲の全体にわたって、0mV〜−100mVの範囲のゼータ電位を有し、
    前記アニオン性研磨剤は、一般式(I)の末端基を有し、
    −O−Y−(CH−アニオン性基…(I)
    前記x及びzは整数であり、前記Yは、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、これらの共形成物、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記アニオン性基は酸であり、
    前記研磨組成物は、−5mV〜−100mVの範囲のゼータ電位を有し、
    前記研磨組成物は、シリコン窒化物を除去する第一の除去速度と、シリコン酸化物を除去する第二の除去速度とを有し、前記第一の除去速度は、前記第二の除去速度と比べて9倍以上である、
    研磨組成物。
  2. 研磨組成物は、
    (a)アニオン性コロイダルアルミナ、
    (b)シリコン窒化物除去速度を増大させるためのカルボン酸又はカルボキシル/カルボキシレート基を含む窒化物除去速度促進剤、及び
    (c)水を含み、
    2〜6.5のpHを有し、
    前記アニオン性コロイダルアルミナは、前記pHの範囲の全体にわたって、0mV〜−100mVの範囲のゼータ電位を有し、
    前記アニオン性コロイダルアルミナは、一般式(I)の末端基を有し、
    −O−Y−(CH−アニオン性基…(I)
    前記x及びzは整数であり、前記Yは、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、これらの共形成物、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記アニオン性基は酸であり、
    前記研磨組成物は、−5mV〜−100mVの範囲のゼータ電位を有する、
    研磨組成物。
  3. 前記アニオン性研磨剤が、アニオン性コロイダルシリカ、アニオン性シリカを生成するための酸固定化非イオン性シリカ、及びこれらの静電的に負に帯電したコロイド状混合物からなる群から選択される、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  4. 前記アニオン性研磨剤の平均粒径が、約1nm〜1000nmである、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  5. 前記アニオン性研磨剤の平均粒径が、約1nm〜50nmである、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  6. 前記研磨組成物が、−15mV〜−70mVの範囲のゼータ電位を有する、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  7. 前記組成物が、0.1〜10ミリジーメンス/センチメートル(mS/cm)の範囲の伝導度を有する、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  8. 前記研磨剤が、前記組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.1重量%〜30重量%の量で含まれる、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  9. 前記窒化物除去速度促進剤が、グルコン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、過酢酸、コハク酸、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、アミノ酢酸、フェノキシ酢酸、テトラヒドロフランカルボン酸、ジグリコール酸、グリセリン酸、トリシン、ヒスチジン、チロシン、安息香酸、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択される、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  10. 前記窒化物除去速度促進剤が、前記組成物中に、前記組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%の量で含まれる、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  11. 前記窒化物除去速度促進剤が、濃縮物中に、前記組成物の総重量に対して0.0重量%〜3重量%の量で含まれる、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  12. アニオン性ポリマーをさらに含む、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  13. 前記アニオン性ポリマーが、120g/mol以上の平均モル質量を有するアニオン性界面活性剤である、
    請求項12に記載の研磨組成物。
  14. 前記アニオン性界面活性剤が、スルホン酸塩(−SO)又はリン酸塩(−PO)部分、及び追加として炭化水素基、及びこれらの組み合わせを含む、
    請求項13に記載の研磨組成物。
  15. 前記アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
    請求項13に記載の研磨組成物。
  16. 前記アニオン性界面活性剤が、前記組成物の総重量に対して0.001重量%〜5重量%の量である、
    請求項13に記載の研磨組成物。
  17. pH調整剤として塩基をさらに含む、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  18. 前記塩基が、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
    請求項17に記載の研磨組成物。
  19. 前記研磨組成物が、濃縮前の前記研磨組成物と比較して使用時(POU)の研磨性能が悪化することなく、研磨前のPOUに、2倍、3倍、又はそれ以上に希釈され得る、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  20. 前記酸は、スルホン酸、リン酸、カルボン酸、及びスルホン酸、リン酸、又はカルボン酸のアニオン性塩からなる群から選択される、
    請求項1に記載の研磨組成物。
  21. 表面にシリコン窒化物を有する基板に請求項1に記載の前記研磨組成物を適用すること、及び
    パッドを前記基板と接触させ、前記パッドを前記基板に対して移動させることにより、第一の速度で前記基板から前記シリコン窒化物の少なくとも一部を除去することを含む、
    研磨方法。
  22. 前記基板が、シリコン酸化物及びポリシリコンのうちの少なくとも一つを表面にさらに含み、
    前記方法が、第二の速度で、前記シリコン酸化物及びポリシリコンのうちの少なくとも一つを除去することを含み、
    前記第一の速度が、前記第二の速度よりも大きい、
    請求項21に記載の方法。
  23. 前記第一の速度が、プレストニアン挙動を示し、前記第二の速度が、非プレストニアン挙動を示す、
    請求項22に記載の方法。
  24. 前記第一の速度及び前記第二の速度が、以下の方程式:
    [1.5234*X−36](A/分)≦第一の速度≦[1.7858*X+226](A/分)、及び
    0≦第二の速度≦100A/分
    (式中、X=ダウンフォース(psi)*プラテンの速度(RPM))
    を満たす、
    請求項22に記載の方法。
  25. 請求項21に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
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