JP6434541B2 - 過給システム及び過給システム用制御装置並びに過給システムの運転方法 - Google Patents
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Description
このような漏れ電流を検出する手法として、特許文献1には、エアコン用電動コンプレッサシステムにおいてインバータモータに電圧が供給される際の漏電の有無を検知するための漏電検出システムが開示されている。この漏電検出システムでは、漏電検出センサにより漏電を検知するようになっており、漏電が検出された場合には、直ちにインバータモータへの電力の供給を停止して、インバータモータの運転を停止するようになっている。
エンジンに供給される空気を圧縮するための第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサを駆動するための電動機と、を有する第1過給機と、
前記電動機の漏れ電流を計測するための漏れ電流計測部と、
前記第1過給機を制御するための第1制御装置と、を備え、
前記第1制御装置は、前記漏れ電流計測部による計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御するように構成された電動機制御部を含む。
上記(1)の構成では、電動機の漏れ電流の計測結果が第1閾値以上のとき、すなわち、電動機が故障しているか、又は故障しそうであるときに、そうでない時よりも電動機の出力指令値の上限値が低く設定されて、該上限値の範囲内にて電動機の出力が制御される。このため、電動機の故障判定後に直ちに電動機が停止される場合に比べて、緩やかに電動機出力が低減されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。また、電動機の絶縁劣化は電動機の電線(電動機巻線や電動機から外部に至る電線)の温度に依存し、電線温度が高いほど進行しやすい。この点上記(1)の構成では、電動機の出力を下げることで電動機の電線温度が下がるので、電動機の絶縁劣化の進行を抑制することができる。
前記電動機制御部は、
前記計測結果が前記第1閾値以上、且つ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記電動機の出力指令値の前記上限値を前記計測結果が前記第1閾値未満の場合に比べて小さく、且つ、ゼロよりも大きい値に設定し、
前記計測結果が前記第2閾値以上である場合、前記電動機の出力指令値の前記上限値をゼロに設定するように構成される。
上記(2)の構成では、電動機の漏れ電流が増加して第1閾値以上となったときに電動機の出力指令値の上限値をゼロより大きい値に減少させ、第1閾値よりも大きい第2閾値以上となったときに電動機の出力指令値の上限値をゼロに設定する。このため、電動機の漏れ電流の増加に従い電動機の出力指令値の上限値を段階的に減少させるので、電動機の故障判定後に直ちに電動機が停止される場合に比べて、緩やかに電動機出力が低下されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。
前記第1過給機は、
前記エンジンからの排ガス及び前記電動機により回転駆動可能に構成された第1タービンと、
前記第1タービンに流入する前記排ガスの流路面積を調節するように構成された第1ノズルベーンと、をさらに有し、
前記第1制御装置は、前記漏れ電流計測部の計測結果に基づいて、前記第1ノズルベーンの開度を制御するための第1ベーン制御部をさらに備え、
前記第1ベーン制御部は、前記漏れ電流計測部による計測結果が前記第1閾値以上のとき、前記電動機制御部による前記電動機の前記出力指令値の前記上限値の低下に応答して、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記流路面積が小さくなるように前記第1ノズルベーンの開度を制御するように構成される。
電動機により回転駆動される過給機においては、電動機の出力を低下させることで、過給圧は低下する。一方、タービンに流入する排ガスの流路面積を調節可能に構成されたノズルベーンを備える過給機では、ノズルベーンの開度を小さくして流路面積を絞ることで、過給圧は上昇する。
上記(3)の構成によれば、電動機の漏れ電流が増加して、電動機の出力指令値の上限値を低下させるときに、該出力指令値の低下に応答してノズルベーンの開度を小さくする。すなわち、電動機の出力指令値の低下による過給圧の低下に応じて、ノズルベーンの開度を小さくして過給圧を上昇させるので、電動機制御部による制御を行いながら、過給システムによる過給圧を確保することができる。
上記(4)の構成では、過給システムによる過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて決定された目標開度となるように第1ノズルベーンをフィードバック制御するので、電動機制御部による制御を行いながら、過給圧を目標過給圧に近付けることができる。
上記(5)の構成では、前記上限値によって電動機の出力指令値が低減された量に応じてフィードバック制御における第1ノズルベーンの目標開度を補正するので、目標開度を補正しない場合に比べて、過給圧を迅速に目標過給圧に近付けることができる。
前記エンジンに供給される空気を圧縮するための第2コンプレッサと、前記エンジンからの排ガスによって回転駆動されて前記第2コンプレッサを駆動するように構成された第2タービンと、前記第2タービンに流入する前記排ガスの流路面積を調節するように構成された第2ノズルベーンと、を有する第2過給機と、
前記第2過給機を制御するための第2制御装置と、をさらに備え、
前記第1過給機と前記第2過給機のうち一方は低圧段過給機であり、
前記第1過給機と前記第2過給機のうち他方は、前記低圧段過給機の前記コンプレッサで圧縮された空気をさらに圧縮して前記エンジンに供給するように構成された高圧段過給機であり、
前記第2制御装置は、前記漏れ電流計測部による計測結果が前記第1閾値以上のとき、前記電動機制御部による前記電動機の前記出力指令値の前記上限値の低下に応答して、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記流路面積が小さくなるように前記ノズルベーンの開度を制御するように構成された第2ベーン制御部を含む。
上記(6)の構成では、第1過給機の電動機の漏れ電流が増加して、電動機の出力指令値の上限値を低下させるときに、該出力指令値の低下に応答して第2過給機のノズルベーンの開度を小さくする。すなわち、第1過給機での圧力比低下に応答して第2過給機での圧力比を上昇させるので、電動機制御部による制御を行いながら、過給システムによる過給圧を確保することができる。
上記(7)の構成では、過給システムによる過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて決定された目標開度となるように第2ノズルベーンをフィードバック制御するので、電動機制御部による制御を行いながら、過給圧を目標過給圧に近付けることができる。
上記(8)の構成では、前記上限値によって電動機の出力指令値が低減された量に応じてフィードバック制御における第2ノズルベーンの目標開度を補正するので、目標開度を補正しない場合に比べて、過給圧を迅速に目標過給圧に近付けることができる。
前記電動機は、バッテリからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機巻線に供給するためのインバータを含み、
前記漏れ電流計測部は、前記インバータと前記電動機との間の三相交流の電流を一括して計測可能な電流計を含む。
上記(9)の構成によれば、インバータと電動機との間の三相交流における零相電流を計測することによって電動機の漏れ電流を計測することができる。
前記電動機は、バッテリからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機巻線に供給するためのインバータを含み、
前記漏れ電流計測部は、前記バッテリと前記インバータとの間の往きと帰りの直流電流を一括して計測可能な電流計を含む。
上記(10)の構成によれば、バッテリとインバータとの間の往きと帰りの直流電流の合計を計測することによって電動機の漏れ電流を計測することができる。
上記(11)の構成によれば、電動機の絶縁抵抗値の低下から電動機の漏れ電流を検出することができる。また、電動機の絶縁抵抗値の計測は、電動機がバッテリから電力の供給を受けていなくても可能であるので、上記(11)の構成によれば、電動機が稼働していないときでも、電動機の漏れ電流を検知することができる。
前記(1)〜(11)の何れかの構成を有する過給システムに用いられる制御装置であって、
前記漏れ電流計測部による計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御するように構成された電動機制御部を含む第1制御装置を備える。
上記(12)の構成では、電動機の漏れ電流の計測結果が第1閾値以上のとき、すなわち、電動機が故障しているか、又は故障しそうであるときに、そうでない時よりも電動機の出力指令値の上限値が低く設定されて、該上限値の範囲内にて電動機の出力が制御される。このため、電動機の故障判定後に直ちに電動機が停止される場合に比べて、緩やかに電動機出力が低減されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。また、電動機の絶縁劣化は電動機の電線(電動機巻線や電動機から外部に至る電線)の温度に依存し、電線温度が高いほど進行しやすい。この点上記(12)の構成では、電動機の出力を下げることで電動機の電線温度が下がるので、電動機の絶縁劣化の進行を抑制することができる。
エンジンに供給される空気を圧縮するための第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサを駆動するための電動機と、を有する第1過給機を備える過給システムの運転方法であって、
前記電動機の漏れ電流を計測する漏れ電流計測ステップと、
前記漏れ電流計測ステップでの前記計測結果が前記第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定する出力上限値設定ステップと、
前記出力上限値設定ステップで設定された前記上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御する出力制御ステップと、を備える。
上記(13)の方法では、電動機の漏れ電流の計測結果が第1閾値以上のとき、すなわち、電動機が故障しているか、又は故障しそうであるときに、そうでない時よりも電動機の出力指令値の上限値が低く設定されて、該上限値の範囲内にて電動機の出力が制御される。このため、電動機の故障判定後に直ちに電動機が停止される場合に比べて、緩やかに電動機出力が低減されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。また、電動機の絶縁劣化は電動機の電線(電動機巻線や電動機から外部に至る電線)の温度に依存し、電線温度が高いほど進行しやすい。この点上記(1)の方法では、電動機の出力を下げることで電動機の電線温度が下がるので、電動機の絶縁劣化の進行を抑制することができる。
ここで、図3を参照して、ノズルベーンによる排ガスの流路面積の調節について説明する。図3は、一実施形態に係る過給機の有するタービン(ここでは第1タービン14)の概略断面図である。図3に示すように、第1タービン14は、タービンケーシング50内に複数の動翼56が取り付けられたタービンロータ54を備える。タービンロータ54は回転軸11を介して第1コンプレッサ10に接続される。エンジン8からの排ガスが第1タービン14に流入すると、動翼56が排ガスの流れを受けてタービンロータ54が回転し、これにより第1コンプレッサ10が回転駆動されるようになっている。タービンロータ54の外周側には、支持軸17を回動軸として回動自在に構成された複数のノズルベーン16が設けられている。
ノズルベーン16の開度を減少させる(すなわち、排ガスの流路面積を減少させる)ことで、排ガスの第1タービン14への流入速度が上昇するため、過給システム1による過給圧を上昇させることができる。また、ノズルベーン16の開度を開く(すなわち、排ガスの流路面積を増加させる)ことで、排ガスの第1タービン14への流入速度が減少するため、過給システム1による過給圧を減少させることができる。このようにして、ノズルベーン16の開度を調整することにより、過給システム1による過給圧を調節することができる。
なお、吸気管路32において、吸気マニフォールド36よりも上流側には、エンジン8に供給される空気の圧力(過給圧)を計測するための圧力センサ5が設けられていてもよい。
排気管路40には、第1タービン14を迂回するバイパス管路42が接続されていてもよく、バイパス管路42には、ウェイストゲートバルブ43が設けられていてもよい。ウェイストゲートバルブ43の開度を調節することにより、第1タービン14に流入する排ガスの流量及びバイパス管路42に流れる排ガスの流量を調節することができ、これにより、第1タービン14及びこれと同軸駆動する第1コンプレッサ10の回転数を制御できるようになっている。ウェイストゲートバルブ43の開度は、制御装置100によって制御されるようになっていてもよい。
制御装置100は、過給システム1を制御するためのECUであってもよい。また、制御装置100は、エンジン8を制御するためのエンジンECUとは独立に設けられたECUであってもよい。
制御装置100は、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、およびI/Oインターフェイス等を含んで構成されたマイクロコンピュータであってもよい。
電動機12において、電動機12の故障の代表例である巻線の絶縁劣化が起きると、その進行に応じて漏れ電流が増加する。すなわち、漏れ電流の値により、電動機12の故障の進行の状態を知ることができる。
漏れ電流計測部4で得られた計測値は、電気信号として第1制御装置110に送られるようになっている。
一方、S4において電動機12の漏れ電流の計測結果が第1閾値以上であると判定された場合(S4のYes)、電動機制御部112によって、漏れ電流の計測結果が第1閾値未満であるときに比べて電動機12の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて電動機12の出力を制御する(S8またはS10)。
このように、電動機12の漏れ電流の計測結果が第1閾値以上のとき、すなわち、電動機12が故障しているか、又は故障しそうであるときに、そうでない時よりも電動機12の出力指令値の上限値が低く設定されて、該上限値の範囲内にて電動機12の出力が制御される。このため、電動機12の故障判定後に直ちに電動機12が停止される場合に比べて、緩やかに電動機12の出力が低減されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。また、電動機12の絶縁劣化は電動機12の電線(電動機巻線や電動機から外部に至る電線)の温度に依存し、電線温度が高いほど進行しやすい。この点、上述のように電動機12の出力を下げることで電動機12の電線温度が下がるので、電動機12の絶縁劣化の進行を抑制することができる。
なお、電動機制御部112は、電動機12の出力を制御するために、電動機12の出力が所望の値となるように、インバータ28が電動機12に与える電圧を制御するようになっていてもよい。
この場合、電動機12の漏れ電流の増加に従い電動機12の出力指令値の上限値を段階的に減少させるので、電動機12の故障判定後に直ちに電動機12が停止される場合に比べて、緩やかに電動機12の出力が低下されるので、ドライバビリティの悪化が緩和される。
このように、電動機12の出力指令値の低下による過給圧の低下に応じて、第1ノズルベーン16の開度を小さくして過給圧を上昇させるので、電動機制御部112による制御を行いながら、過給システム1による過給圧を確保することができる。
このように、過給システム1による過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて決定された目標開度となるように第1ノズルベーン16をフィードバック制御(例えば、PI制御またはPID制御)することで、電動機制御部112による制御を行いながら、過給圧を目標過給圧に近付けることができる。
なお、過給システム1による過給圧は、圧力センサ5によって計測されて、電気信号として第1制御装置110に送られるようになっていてもよい。
このように、上限値によって電動機12の出力指令値が低減された量に応じてフィードバック制御における第1ノズルベーン16の目標開度を補正するので、目標開度を補正しない場合に比べて、過給圧を迅速に目標過給圧に近付けることができる。
図8に示す制御ブロック図において、まず、指令値算出部102にて、過給システム1における目標過給圧PB *、および、圧力センサ5により計測された、過給システム1による実際の過給圧PBに基づいて、目標過給圧PB *を達成するためのモータ出力指令値Pm *およびノズルベーン開度指令値(第1目標開度)Ov *が算出される。なお、モータ出力指令値Pm *およびノズルベーン開度指令値(第1目標開度)Ov *の算出にあたり、過給圧PBや目標過給圧PB *に加えて、車速、エンジン回転数、アクセル踏み込み量などを考慮してもよい。
補正部108では、電動機12の出力指令値の低減量、すなわち、指令値算出部102にて算出されたモータ出力指令値P m * と、リミッタ106により上限値が制限されたモータ出力指令値Pmとの差に応じて、第1ノズルベーン16の第1目標開度が補正されて、第1補正開度(第1ノズルベーン開度指令値)Ovが得られる。こうして得られたOvが第1補正開度(第1ノズルベーン開度指令値)として、第1ノズルベーン16の開度の制御に用いられる。
第1過給機2と第2過給機6は、過給システム1において直列に配置されており、第1過給機2と第2過給機6のうち一方は低圧側(すなわち、吸気の入り口に近い方)に配置される低圧段過給機(90)である。また、第1過給機2と第2過給機6のうち他方は、低圧段過給機(90)のコンプレッサ(第1コンプレッサ10または第2コンプレッサ20)で圧縮された空気をさらに圧縮してエンジン8に供給するように構成された高圧段過給機(92)である。
図11および図12に示す過給システム1において、第2過給機6は、前述したように、エンジン8からの排ガスにより第1タービン14が回転駆動されるとともに、排ガスによる第1タービン14の回転駆動が電動機12によって補助される電動アシストターボチャージャである。このうち、図11に示す過給システム1では、電動アシストターボチャージャである第1過給機2が低圧段過給機90であり、ノズルベーンを有するターボチャージャである第2過給機6が高圧段過給機92である。図10に示す過給システム1では、ノズルベーンを有するターボチャージャである第2過給機6が低圧段過給機90であり、電動アシストターボチャージャである第1過給機2が高圧段過給機92である。
排気管路40には、第2タービン24を迂回するバイパス管路42が接続されていてもよく、バイパス管路42には、ウェイストゲートバルブ43が設けられていてもよい。ウェイストゲートバルブ43の開度を調節することにより、第2タービン24に流入する排ガスの流量及びバイパス管路42に流れる排ガスの流量を調節することができ、これにより、第2タービン24及びこれと同軸駆動する第2コンプレッサ20の回転数を制御できるようになっている。ウェイストゲートバルブ43の開度は、制御装置100によって制御されるようになっていてもよい。
排気管路40には、低圧段過給機90のタービン(14又は24)を迂回するバイパス管路42が接続されていてもよく、バイパス管路42には、ウェイストゲートバルブ43が設けられていてもよい。ウェイストゲートバルブ43の開度を調節することにより、低圧段過給機90のタービン(14又は24)に流入する排ガスの流量及びバイパス管路42に流れる排ガスの流量を調節することができ、これにより、低圧段過給機90のタービン(14又は24)及びこれと同軸駆動する低圧段過給機90のコンプレッサ(10又は20)の回転数を制御できるようになっている。ウェイストゲートバルブ43の開度は、制御装置100によって制御されるようになっていてもよい。
また、排気管路40と排気マニフォールド38とは、高圧段過給機92のタービン(24又は14)を迂回するように構成された第2バイパス流路48が接続されている。エンジン8からの排気の一部は、第2バイパス流路48に設けられたバイパス弁45を介して、高圧段過給機92のタービン(24又は14)を通らずに、低圧段過給機90のタービン(14又は24)に流入できるようになっている。そして、バイパス弁45の開度を調節することにより、高圧段過給機92のタービン(24又は14)及び低圧段過給機90のタービン(14又は24)に流入する排ガスの流量を調節することができ、これにより、高圧段過給機92のタービン(24又は14)及び低圧段過給機90のタービン(14又は24)及びこれと同軸駆動する高圧段過給機92のコンプレッサ(20又は10)及び低圧段過給機90のコンプレッサ(10又は20)の回転数を制御できるようになっている。バイパス弁45の開度は、制御装置100によって制御されるようになっていてもよい。
図9〜図12に示す過給システム1は、例えば、図13に示す制御装置100を用いて制御することができる。
ここで、図14におけるS32、S34、S36、S38及びS40は、それぞれ、図5のフローチャートにおけるS2、S4、S6、S8及びS10と同様であるので、説明を省略する。
このように、電動機12の出力指令値の低下による過給圧の低下に応じて、第2ノズルベーン26の開度を小さくして過給圧を上昇させるので、電動機制御部112による制御を行いながら、過給システム1による過給圧を確保することができる。
すなわち、一実施形態では、図6に示すように、第2ノズルベーン26の制御に際して、第2ベーン制御部122により、過給システム1による過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて第2ノズルベーン26の第2目標開度を決定し(S14)、第2ノズルベーン26の開度を第2目標開度に制御する(S16)。
このように、過給システム1による過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて決定された目標開度となるように第2ノズルベーン26をフィードバック制御(例えば、PI制御またはPID制御)することで、電動機制御部112による制御を行いながら、過給圧を目標過給圧に近付けることができる。
このように、上限値によって電動機12の出力指令値が低減された量に応じてフィードバック制御における第2ノズルベーン26の目標開度を補正するので、目標開度を補正しない場合に比べて、過給圧を迅速に目標過給圧に近付けることができる。
一実施形態では、漏れ電流計測部4は、バッテリ30からの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機巻線に供給するためのインバータ28と、電動機12との間の三相交流の電流を一括して計測可能な電流計である。このような電流計として、クランプ電流計が挙げられる。
例えばクランプ電流計を用いて、インバータ28と電動機12との間の三相交流における零相電流を一括して計測することによって電動機12の漏れ電流を計測することができる。すなわち、三相交流の電流を一括して計測した合計電流がゼロであれば、電動機12の巻線において絶縁に問題が無く、漏れ電流が発生していないことを示す。一方、三相交流の電流を一括して計測した合計電流がゼロでなければ、電動機12において漏れ電流が発生していることを示し、合計電流の値が増加していれば、巻線の絶縁劣化が進行していることを示す。
例えばクランプ電流計を用いて、バッテリ30とインバータ28との間の往きと帰りの直流電流の合計を一括して計測することによって電動機12の漏れ電流を計測することができる。すなわち、バッテリ30とインバータ28との間の往きと帰りの直流電流を一括して計測した合計電流がゼロであれば、電動機12の巻線において絶縁に問題が無く、漏れ電流が発生していないことを示す。一方、バッテリ30とインバータ28との間の往きと帰りの直流電流を一括して計測した合計電流がゼロでなければ、電動機12において漏れ電流が発生していることを示し、合計電流の値が増加していれば、巻線の絶縁劣化が進行していることを示す。
電動機12の絶縁抵抗値の低下は、電動機12の漏れ電流の増加を意味する。よって、電動機12の絶縁抵抗値を計測するための絶縁抵抗計により、電動機12の漏れ電流を検出することができる。また、電動機12の絶縁抵抗値の計測は、電動機12がバッテリ30から電力の供給を受けていなくても可能であるので、絶縁抵抗計を用いる場合、電動機12が稼働していないときでも、電動機12の漏れ電流を検知することができる。
また、本明細書において、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 第1過給機
4 電流計測部
5 圧力センサ
6 第2過給機
8 エンジン
10 第1コンプレッサ
11 回転軸
12 電動機
14 第1タービン
16 第1ノズルベーン
17 支持軸
20 第2コンプレッサ
24 第2タービン
26 第2ノズルベーン
28 インバータ
30 バッテリ
32 吸気管路
34 インタークーラ
36 吸気マニフォールド
38 排気マニフォールド
40 排気管路
42 バイパス管路
43 ウェイストゲートバルブ
45 バイパス弁
46 再循環通路
47 再循環バルブ
48 第2バイパス流路
50 タービンケーシング
54 タービンロータ
56 動翼
90 低圧段過給機
92 高圧段過給機
100 制御装置
102 指令値算出部
104 上限値決定部
106 リミッタ
108 補正部
110 第1制御装置
112 電動機制御部
114 第1ベーン制御部
120 第2制御装置
122 第2ベーン制御部
Claims (8)
- エンジンに供給される空気を圧縮するための第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサを駆動するための電動機と、を有する第1過給機と、
前記電動機の漏れ電流を計測するための漏れ電流計測部と、
前記第1過給機を制御するための第1制御装置と、を備える過給システムであって、
前記第1制御装置は、前記漏れ電流計測部による計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御するように構成された電動機制御部を含み、
前記第1過給機は、
前記エンジンからの排ガス及び前記電動機により回転駆動可能に構成された第1タービンと、
前記第1タービンに流入する前記排ガスの流路面積を調節するように構成された第1ノズルベーンと、をさらに有し、
前記第1制御装置は、前記漏れ電流計測部の計測結果に基づいて、前記第1ノズルベーンの開度を制御するための第1ベーン制御部をさらに備え、
前記第1ベーン制御部は、前記過給システムによる過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて前記第1ノズルベーンの第1目標開度を決定するとともに、前記上限値による前記電動機の前記出力指令値の低減量に応じて、前記流路面積が小さくなるように、前記第1目標開度を補正して第1補正開度を求め、前記第1ノズルベーンの開度を前記第1補正開度に制御するように構成された
ことを特徴とする過給システム。 - 前記電動機制御部は、
前記計測結果が前記第1閾値以上、且つ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記電動機の出力指令値の前記上限値を前記計測結果が前記第1閾値未満の場合に比べて小さく、且つ、ゼロよりも大きい値に設定し、
前記計測結果が前記第2閾値以上である場合、前記電動機の出力指令値の前記上限値をゼロに設定する
ように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の過給システム。 - エンジンに供給される空気を圧縮するための第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサを駆動するための電動機と、を有する第1過給機と、
前記電動機の漏れ電流を計測するための漏れ電流計測部と、
前記第1過給機を制御するための第1制御装置と、を備える過給システムであって、
前記第1制御装置は、前記漏れ電流計測部による計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御するように構成された電動機制御部を含み、
前記エンジンに供給される空気を圧縮するための第2コンプレッサと、前記エンジンからの排ガスによって回転駆動されて前記第2コンプレッサを駆動するように構成された第2タービンと、前記第2タービンに流入する前記排ガスの流路面積を調節するように構成された第2ノズルベーンと、を有する第2過給機と、
前記第2過給機を制御するための第2制御装置と、をさらに備え、
前記第1過給機と前記第2過給機のうち一方は低圧段過給機であり、
前記第1過給機と前記第2過給機のうち他方は、前記低圧段過給機の前記コンプレッサで圧縮された空気をさらに圧縮して前記エンジンに供給するように構成された高圧段過給機であり、
前記第2制御装置は、前記漏れ電流計測部による計測結果に基づいて、前記第2ノズルベーンの開度を制御するように構成された第2ベーン制御部を含み、
前記第2ベーン制御部は、前記過給システムによる過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて前記第2ノズルベーンの第2目標開度を決定するとともに、前記上限値による前記電動機の前記出力指令値の低減量に応じて、前記流路面積が小さくなるように、前記第2目標開度を補正して第2補正開度を求め、前記第2ノズルベーンの開度を前記第2補正開度に制御するように構成された
ことを特徴とする過給システム。 - 前記電動機は、バッテリからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機巻線に供給するためのインバータを含み、
前記漏れ電流計測部は、前記インバータと前記電動機との間の三相交流の電流を一括して計測可能な電流計を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の過給システム。 - 前記電動機は、バッテリからの直流電圧を三相交流電圧に変換して電動機巻線に供給するためのインバータを含み、
前記漏れ電流計測部は、前記バッテリと前記インバータとの間の往きと帰りの直流電流を一括して計測可能な電流計を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の過給システム。 - 前記漏れ電流計測部は、前記電動機の絶縁抵抗値を計測可能な絶縁抵抗計を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の過給システム。
- 請求項1乃至6の何れか一項に記載の過給システムに用いられる制御装置であって、
前記漏れ電流計測部による計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定し、該上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御するように構成された電動機制御部を含む第1制御装置を備えることを特徴とする過給システム用制御装置。 - エンジンに供給される空気を圧縮するための第1コンプレッサと、前記第1コンプレッサを駆動するための電動機と、を有する第1過給機を備える過給システムの運転方法であって、
前記電動機の漏れ電流を計測する漏れ電流計測ステップと、
前記漏れ電流計測ステップでの計測結果が第1閾値以上のとき、前記計測結果が前記第1閾値未満のときに比べて前記電動機の出力指令値の上限値を低く設定する出力上限値設定ステップと、
前記出力上限値設定ステップで設定された前記上限値以下の範囲内にて前記電動機の出力を制御する出力制御ステップと、
を備え、
前記第1過給機は、
前記エンジンからの排ガス及び前記電動機により回転駆動可能に構成された第1タービンと、
前記第1タービンに流入する前記排ガスの流路面積を調節するように構成された第1ノズルベーンと、をさらに有し、
前記出力制御ステップは、前記漏れ電流計測ステップでの計測結果に基づいて、前記第1ノズルベーンの開度を制御する第1ベーン制御ステップを含み、
前記第1ベーン制御ステップでは、前記過給システムによる過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて前記第1ノズルベーンの第1目標開度を決定するとともに、前記上限値による前記電動機の前記出力指令値の低減量に応じて、前記流路面積が小さくなるように、前記第1目標開度を補正して第1補正開度を求め、前記第1ノズルベーンの開度を前記第1補正開度に制御する
ことを特徴とする過給システムの運転方法。
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