JP6431205B2 - 新規リシンデカルボキシラーゼ、及びそれを利用してカダベリンを生産する方法 - Google Patents

新規リシンデカルボキシラーゼ、及びそれを利用してカダベリンを生産する方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規リシンデカルボキシラーゼ、当該活性をコーディングする遺伝子に形質転換された微生物、及びそれを利用してカダベリンを生産する方法に関する。
ジアミン(diamine)を利用したナイロンの一般的な生産方法は、1,4−ジアミノブタン(1,4−diaminobutane)とヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)とを原料にする化学的工程による。該原料物質は、石油基盤有機化合物から作られるために、環境規制が強化されながら、生物基盤経路を介した代替物質への市場要求が大きくなっている。
一方、カダベリンは、NH(CHNHの分子式を有する5個の炭素から構成されたジアミン有機化合物であり、ナイロン5,6の原料物質になる。バイオ基盤のカダベリンを製造するならば、生物基盤の市場要求を満足させながら、多様なナイロン生産が可能になると予想される。
カダベリンのバイオ基盤生産と係わり、リシンを生物転換させる研究は、1940年代以前に広く知られていた(Gale E. F., Epps H.M. 1944. Studies on bacterial amino-acid decarboxylases. Biochem J. 38, 232-242)。生物転換の核心段階であるリシンデカルボキシラーゼは、リシンからカダベリンを生成させる酵素である(図1)。多様な微生物において、リシンデカルボキシラーゼの活性が報告されており、酵素の特異的活性(specific activity、mmol/min/mg)が知られたリシンデカルボキシラーゼは、4種(大腸菌(Escherichia coli)、バクテリウムカダベリス(Bacterium cadaveris)、大豆(Glycine max)、セレノモナスルミナンティウム(Selenomonas ruminantium))である。このうち、大腸菌由来のリシンデカルボキシラーゼが最も高い活性を示すリシンデカルボキシラーゼと評価され、実際生産に活用される酵素も、大腸菌由来CadAに限られている(日本特許第2005−147171号、ヨーロッパ特許第2004−010711号及び日本特許第2002−257374号)。しかし、リシンデカルボキシラーゼをリシンに反応させてカダベリンを生成する場合、リシンの脱炭酸によって二酸化炭素が発生し、一価陽イオンであるリシンから二価陽イオンであるカダベリンが生成されることにより、反応中にpHが上昇する。それにより、前記リシンデカルボキシラーゼは、酵素反応進行時、pHが変化することにより、効率が低下するという問題点が示される。また、反応溶液中に生成された酸または塩基によって酵素が変性され、活性を喪失することもある。
それにより、本発明者らは、高温及びpHに対する安定性を有する新規リシンデカルボキシラーゼを発掘し、当該リシンデカルボキシラーゼが、エシェリキア属菌株で発現可能であるということを確認し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、新規リシンデカルボキシラーゼ、及び当該活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチドを提供することである。
本発明の他の目的は、前記リシンデカルボキシラーゼを発現するように形質転換された微生物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前記酵素、及びそれを含む微生物を利用してカダベリンを生産する方法を提供することである。
本発明の具体的な一様態において、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと75%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
本発明で提供するシュードモナス(Psuedomonas)属菌株由来の新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、pH上昇変化にも安定した活性を有することができ、リシンからカダベリンへの転換反応に効率的に利用されるので、カダベリン生産に広く活用される。
リシンデカルボキシラーゼがリシンからカダベリンを生成させる反応メカニズムを示す図面である。 PtLDC、及びN−末端にhis−tagを有するPtLDCの発現結果を示すSDS−PAGEゲル写真である。 PtLDCのリシンをカダベリンに転換させる反応性を示すグラフである。 多様な温度による、PtLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 多様なpHによる、PtLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 PaLDC及びPrLDCの発現を示すSDS−PAGEゲル写真である。 PaLDCのリシンをカダベリンに転換させる反応性を示すグラフである。 多様な温度による、PaLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 多様なpHによる、PaLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 PrLDCのリシンをカダベリンに転換させる反応性を示すグラフである。 多様な温度による、PrLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 多様なpHによる、PrLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 EcLDC、PpLDC、PtLDC及びPxLDCの発現結果を示すSDS−PAGEゲル写真である。 PpLDCのリシンをカダベリンに転換させる反応性を示すグラフである。 多様な温度による、PpLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 多様なpHによる、PpLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 PxLDCのリシンをカダベリンに転換させる反応性を示すグラフである。 多様なpHによる、PxLDCの相対的な酵素活性を示すグラフである。 多様な温度による、EcLDCとPtLDCとの各相対的な活性を示すグラフである。 多様なpHによる、EcLDCとPtLDCとの各相対的な活性を示すグラフである。
本発明の具体的な一様態において、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと75%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含む、新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を提供する。
本発明において、用語「リシンデカルボキシラーゼ(lysine decarboxylase)活性を有するタンパク質」は、ピリドキサール−5’−リン酸(pyridoxal−5’−phosphate)を補助酵素として利用して、リシンの脱カルボキシル化反応を触媒することにより、リシンを脱炭酸させ、カダベリン(cadaverine)と二酸化炭素とを生成することができる活性を有するタンパク質を意味する。
前記配列番号1、またはそれと75%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含むリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、シュードモナス属由来の微生物から新規発掘したリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質でもあり、当該活性を有するタンパク質であるならば、シュードモナス属由来微生物から発掘した微生物は、いずれも含まれる。例えば、前記シュードモナス属菌株は、シュードモナス・サーモトレランス(Pseuodomonas thermotolerans)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseuodomonas alcaligenes)、シュードモナス・レジノボランス(Pseuodomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseuodomonas putida)及びシュードモナス・シンキサンタ(Pseuodomonas synxantha)でもある。
具体的には、前記シュードモナス・サーモトレランス微生物由来の新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと配列相同性が75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。前記シュードモナス・アルカリゲネス菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、配列番号3のアミノ酸配列、またはそれと配列相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。前記シュードモナス・レジノボランス菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、配列番号5のアミノ酸配列、またはそれと配列相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。前記シュードモナス・プチダ菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列、またはそれと配列相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。前記シュードモナス・シンキサンタ菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質は、配列番号9のアミノ酸配列、またはそれと配列相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。しかし、前述のアミノ酸配列に限定されるものではなく、リシンデカルボキシラーゼ活性を維持する限り可能なアミノ酸配列をいずれも含んでもよい。
また、本発明の他の具体的な一様態において、前記新規発掘したリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチド、具体的には、配列番号2の塩基配列と75%以上の配列相同性を有するポリヌクレオチドを提供する。
前記リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチド配列は、公開されたシュードモナス属由来の菌株のゲノム配列から得ることができる。具体的には、シュードモナス・サーモトレランス、シュードモナス・アルカリゲネス、シュードモナス・レジノボランス、シュードモナス・プチダ及びシュードモナス・シンキサンタからなる群から選択される1以上の菌株のゲノム配列に由来する。前記シュードモナス・サーモトレランス菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ遺伝子配列は、配列番号2の塩基配列を有することができ、また配列番号2の塩基配列と相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上の塩基配列を有することができる。前記シュードモナス・アルカリゲネス菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ遺伝子配列は、配列番号4の塩基配列を有することができ、また配列番号4の塩基配列と相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上のアミノ酸配列を有することができる。前記シュードモナス・レジノボランス菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ遺伝子配列は、公開されたシュードモナス・レジノボランスのゲノム配列から得ることができ、具体的には、配列番号6の塩基配列を有することができ、また配列番号6の塩基配列と相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上の塩基配列を有することができる。前記シュードモナス・プチダ菌株由来のリシンデカルボキシラーゼ遺伝子配列は、配列番号8の塩基配列を有することができ、また配列番号8の塩基配列と相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上の塩基配列を有することができる。前記シュードモナス・シンキサンタ菌株由来のL−リシンデカルボキシラーゼ遺伝子配列は、配列番号10の塩基配列を有することができ、また配列番号10の塩基配列と相同性が75%以上、80%以上、90%以上または95%以上の塩基配列を有することができる。しかし、リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチドは、それらに限定されるものではなく、本発明の新規発掘したリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングすることができるポリヌクレオチドであるならば、制限なしに含んでもよい。
本発明において、用語「相同性」は、与えられたアミノ酸配列または塩基配列と一致する程度を意味し、百分率で表示される。本明細書において、与えられたアミノ酸配列または塩基配列と同一であるか、あるいは類似した活性を有するその相同性配列が、「%相同性」とで表示される。例えば、点数(score)、同一性(identity)及び類似度(similarity)などの媒介変数(parameter)を計算する標準ソフトウェア、具体的には、BLAST 2.0を利用するか、あるいは定義された厳格な条件下で、サザン混成化実験によって配列を比較することによって確認することができ、定義される適切な混成化条件は、当業者に周知された方法で決定される(例えば、Sambrook et al., 1989, infra参照)。
さらに具体的には、前記リシンデカルボキシラーゼは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7及び配列番号9のアミノ酸配列からなる群から選択される1以上でもある。また、前記L−リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8及び配列番号10の塩基配列からなる群から選択される1以上でもある。
本発明の一実施例において、前記シュードモナス属菌株由来のリシンデカルボキシラーゼは、高いpHでも、活性変化が大きく起こらず、pH変化に安定性を有するということを確認した。
本発明の他の具体的な一様態において、前記新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物を提供する。前記形質転換された微生物は、当該デカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質が発現されるように形質転換されるものであるならば、原核微生物及び真核微生物いずれも含む。例えば、エシェリキア(Escherichia)属、エルウィニア(Erwinia)属、セラチア(Serratia)属、プロビデンシア(Providencia)属、コリネ型微生物菌株が含まれてもよい。前記微生物は、具体的には、エシェリキア属またはコリネバクテリウム属に属する微生物でもあり、さらに具体的には、大腸菌またはコリネバクテリウム・グルタミクムでもあるが、それらに限定されるものではない。
また、前記形質転換された微生物の親菌株は、野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物でもある。しかし、それに限定されるものではない。本発明の用語「野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物」とは、天然状態の微生物、または親菌株対比でリシンの生産能が上昇した微生物を意味するが、前記リシン生産能が向上した微生物は、親菌株対比でリシン生産能が向上した微生物であるならば、特別に制限されるものではない。
前述のところのように、野生型に比べて向上したリシン生産能を付与するために、栄養要求性突然変異株、類似体に耐性を有する菌株、またはリシンを生産する能力を有する代謝制御突然変異株を得る方法、及びリシン生合成酵素活性を増大させた組み換え菌株を生産する方法のような微生物を生育する一般的な方法を使用することができる。リシン生産微生物の生育時、栄養要求性、類似体耐性及び代謝制御突然変異のような特性は、単独でまたは組み合わせて付与される。増大させたリシン生合成酵素活性は、単独でもあり、あるいは組み合わされたものでもある。さらには、栄養要求性、類似体耐性及び代謝制御突然変異のような特性を付与しながら、リシン生合成酵素活性を共に増大させることもできる。具体的には、リシン生合成酵素を暗号化する遺伝子は、ジヒドロジピコリネートシンターゼ遺伝子(dapA)、アスパルトキナーゼ遺伝子(lysC)、ジヒドロジピコリネート還元酵素遺伝子(dapB)、ジアミノピメレート脱炭酸酵素遺伝子(lysA)、ジアミノピメレート脱水素酵素遺伝子(ddh)、ホスホエノールピルピン酸カルボキシラーゼ遺伝子(ppc)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素遺伝子(aspC)及びアスパラギン酸セミアルデヒド脱水素酵素遺伝子(asd)などの酵素を含むが、それらに制限されるものではない。リシン生合成酵素活性を増大させることにより、リシンを生産する能力を付与させたり増大させたりする方法は、当該酵素を暗号化する遺伝子に突然変異を誘導したり、当該遺伝子を増幅させたりして、酵素の細胞内活性を増大させることによって遂行される。それらは、遺伝子組み換えによって行われるが、それらに制限されるものではない。
前記野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物であるならば、原核微生物及び真核微生物いずれも含んでもよい。具体的には、エシェリキア属微生物またはコリネ型微生物でもある。前記エシェリキア微生物は、大腸菌(Escherichia coli)、エシェリキア・アルバーティー(Escherichia albertii)、エシェリキア・ブラッタエ(Escherichia blattae)、エシェリキア・フェルグソニ(Escherichia fergusonii)、エシェリキア・ヘルマンニー(Escherichia hermannii)またはエシェリキア・バルネリス(Escherichia vulneris)でもあるが、それらに限定されるものではない。さらに具体的には、前記エシェリキア属菌株は、大腸菌でもある。前記コリネ型微生物は、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属またはブレビバクテリウム(Brevibacterium)属の微生物を含む。また、前記コリネ型微生物は、具体的には、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネス(Corynebacterium thermoaminogenes)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)を含んでもよいが、それらに制限されるものではない。
微生物が前記リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換されるために、本発明のリシンデカルボキシラーゼ遺伝子が、形質転換の目的になる微生物内に、リシンデカルボキシラーゼタンパク質、または遺伝子の発現単位に含まれてもよい。前記リシンデカルボキシラーゼの遺伝子発現単位は、ベクターに作動自在に連結され、前記微生物に形質転換されて含まれるか、あるいは前記微生物の染色体内に挿入されるものでもある。具体的には、前記リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が開始コドン上流に連結されたプローモーターによって過発現されるように作動自在に連結されるものでもある。
本発明において、用語「発現単位」は、プローモーターと、タンパク質をコーディングするポリヌクレオチドが作動自在に連結された断片を意味し、それに、3’−UTL、5’−UTL、poly Atailなどが追加して含まれてもよい。本発明において、用語「発現単位」は、「発現カセット」と混用される。
本発明において、用語「作動自在に連結」とは、リシンデカルボキシラーゼを暗号化する遺伝子の転写を開始して媒介するように、前記遺伝子配列と、プローモーター活性を有する核酸配列とが機能的に連結されていることを意味する。それは、プローモーター活性を有する核酸配列が、リシンデカルボキシラーゼ遺伝子と作動自在に連結され、前記リシンデカルボキシラーゼ遺伝子の転写活性を調節することができるということを意味するのである。
本発明において、用語「形質転換」は、前記シュードモナス属菌株に由来したリシンデカルボキシラーゼ遺伝子を、宿主細胞、具体的には、エシェリキア属菌株またはコリネ型微生物内に導入し、前記宿主細胞内で発現させる全般的な行為を意味する。このとき、前記リシンデカルボキシラーゼ遺伝子は、リシンデカルボキシラーゼをコーディングすることができるポリヌクレオチドとして、DNA及びRNAを含む。前記遺伝子は、宿主細胞内に導入して発現されるものであるならば、いかなる形態でも導入することができる。例えば、前記遺伝子は、自主的に、前記遺伝子の発現に必要な全ての要素(element)を含むポリヌクレオチド構造体である発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞内に導入することができる。前記発現カセットは、通常前記遺伝子に作動自在に連結されたプローモーター、転写終結信号、リボソーム結合部位及び翻訳終結信号を含む。前記発現カセットは、自体複製が可能な発現ベクターの形態でもある。また、前記遺伝子は、それ自体、またはポリヌクレオチド構造体の形態で宿主細胞に導入し、宿主細胞の発現に必要な配列と作動自在に連結されるものでもある。前記組み換えベクターは、宿主細胞にDNAを導入してタンパク質を発現させるための手段であり、プラスミドベクター、コズミドベクター、バクテリオファージベクターなど公知の発現ベクターを使用することができる。前記ベクターは、DNA組み換え技術を利用した任意の公知された方法によって、当業者が容易に製造することができるが、それらに限定されるものではない。
前記形質転換の方法は、ポリヌクレオチドを細胞内に導入するいかなる方法も含まれ、当分野で公知された適する標準技術を選択して遂行することができる。その例として、電気穿孔(electroporation)法、リン酸カルシウム共同沈澱(calcium phosphate co-precipitation)法、レトロウイルス感染(retroviral infection)法、微細注入(microinjection)法、DEAE−デキストランDEAE−dextran)法、陽イオンリポソーム(cationic liposome)法などがあるが、それらに制限されるものではない。
一具体例において、向上したリシン生産能を有する微生物が、本発明のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換されることにより、優秀なカダベリン生産能を有することができる。
本発明のさらに他の具体的な一様態は、カダベリンを生産するための新規リシンデカルボキシラーゼ、または新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物の用途を提供する。
前記新規リシンデカルボキシラーゼ、及び前記新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物は、それぞれ前述の通りである。一具体例において、本発明のリシンデカルボキシラーゼは、温度またはpHの変化に対して、従来カダベリンの生産に利用された大腸菌由来のリシンデカルボキシラーゼよりさらに安定性が高いということを確認した。特に、本発明の新規リシンデカルボキシラーゼは、pH安定性が大腸菌由来のリシンデカルボキシラーゼより相対的に高く、リシンからカダベリンへの転換反応において有利である。従って、本発明の新規リシンデカルボキシラーゼ、及び前記新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物は、カダベリンの生産に活用することができる。
本発明のさらに他の一様態は、カダベリン製造方法を提供する。
本発明のカダベリン製造方法の具体的な一様態は、新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、または前記活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物を利用して、リシンからカダベリンに転換する段階と、前記転換されたカダベリンを回収する段階と、を含むカダベリンの製造方法である。
前記新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、及び前記形質転換された微生物は、それぞれ前述の通りである。前記形質転換された微生物は、具体的には、エシェリキア属微生物でもある。
前記リシンをカダベリンに転換する段階は、新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現する微生物から抽出して精製された酵素を利用して、リシンを脱炭酸させることにより、カダベリンを生産することができる。または、前記形質転換された微生物を培養した培地にリシンを添加することにより、微生物自体を利用して、リシンを脱炭酸させることにより、カダベリンに転換させることができる。
また、本発明のカダベリン製造方法のさらに他の具体的な一様態は、野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物が、新規リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質が発現されるように形質転換されたカダベリン生産能を有する微生物を培地で培養する段階と、前記微生物または培地からカダベリンを回収する段階と、を含むカダベリンの製造方法を提供する。
前記新規L−リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、及び前記野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物は、それぞれ前述の通りである。
前記培養は、当業界に知られた適当な培地及び培養条件によってなされる。当業者であるならば、選択される微生物によって、培地及び培養条件を容易に調整して使用することができる。培養方法は、回分式、連続式、流加式、またはそれらの組み合わせ培養を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
前記培地は、多様な炭素源、窒素源及び微量元素成分を含んでもよい。
具体的な例として、前記炭素源は、ブドウ糖、ショ糖、乳糖、果糖、マルトース、澱粉、セルロースのような炭水化物;大豆油、ひまわり油、ひまし油、ココナッツ油のような脂肪;パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸のような脂肪酸;グリセロール及びエタノールのようなアルコール;酢酸のような有機酸、またはそれらの組み合わせを含み、具体的には、グルコースを炭素源として遂行されるが、それに制限されるものではない。前記窒素源は、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液(CSL)、及び大豆ミールのような有機窒素源、及び尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムのような無機窒素源、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、それらに制限されるものではない。前記培地は、リンの供給源として、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、及び相応するナトリウム含有塩、硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含んでもよいが、それらに制限されるものではない。また、アミノ酸、ビタミン、及び適切な前駆体などが培地に含まれてもよい。前記培地または個別成分は、培地に回分式または連続式で添加され、前記例は、例示であるのみ、それらに限定されるものではない。
また、培養内に、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸及び硫酸のような化合物を微生物培地に適切な方式で添加し、培地のpHを調整することができる。また、培養内に、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して、気泡生成を抑制することができる。培地の好気状態を維持するために、培養液内に、酸素または酸素含有気体(例えば、空気)を注入することができる。培養液の温度は、通常20℃ないし45℃、例えば、25℃ないし40℃でもある。培養期間は、所望するリシンデカルボキシラーゼの生成量が得られるまで持続することができ、例えば、10ないし160時間でもある。
前記カダベリンを回収する方法は、例えば、回分式、連続式または流加式の培養方法などにより、当該分野に公知された適する方法を利用して、培地から生産されたカダベリンを収集または回収することができる。また、かような回収方法には、遠心分離、濾過、イオン交換クロマトグラフィー及び結晶化などの方法が利用される。例えば、培地を低速遠心分離し、バイオマスを除去して得られた上澄み液を、イオン交換クロマトグラフィーを介して分離することができる。
また、前記カダベリンの製造方法は、前記微生物または培地から、リシンデカルボキシラーゼを回収する段階を追加して含んでもよい。
前記微生物または培地から、リシンデカルボキシラーゼを回収する方法は、培養方法、例えば、回分式、連続式または流加式の培養方法などによって、当該分野に公知された適する方法を利用して、微生物または培地から生産されたリシンデカルボキシラーゼを収集または回収することができる。また、かような回収方法には、遠心分離、濾過、イオン交換クロマトグラフィー及び結晶化などの方法が利用される。例えば、培養物を低速遠心分離し、バイオマスを除去して得られた上澄み液を、イオン交換クロマトグラフィーを介して分離することができる。また、培地内の微生物を破壊して得た細胞粉砕液(cell lysate)から、リシンデカルボキシラーゼを回収することができる。前記細胞粉砕液は、当該分野に公知された適切な方法を利用して得ることができる。例えば、物理的な粉砕器や、適切な商業的に入手可能な細胞溶解バッファ(cell lysis buffer)を利用することができる。かような細胞粉砕液から、遠心分離など、適切な当該分野で公知された方法を介して、リシンデカルボキシラーゼを回収することができる。
以下、本発明について、実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではない。
実施例1.カダベリン生産用新規リシンデカルボキシラーゼの選別
1−1.シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼの選別
カダベリン生産に活用するための新規リシンデカルボキシラーゼを選別するために、アメリカ国立生物情報センター(NCBI)で提供されるBLASTプログラム(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastn&PAGE_TYPE=BlastSearch&LINK_LOC=blasthome)を利用して、大腸菌由来リシンデカルボキシラーゼの活性部位ペプチッド配列と、高い類似度を有する好熱性菌株由来リシンデカルボキシラーゼを検索した。具体的には、大腸菌由来リシンデカルボキシラーゼの主要アミノ酸である367番目リシンを中心に、N−末端及びC−末端に、それぞれ15個のアミノ酸を含む、総31個のペプチド配列(GRVEGKVIYETQSTHKLLAAFSQASMIHVKG:配列番号12)を基に、BLASTサーチを進めた。検索結果、エシェリキア(Escherichia)、シゲラ(Shigella)属微生物、エンテロバクテリア(Enterobacteria)属微生物、エドワードシエラ(Edwardsiella)属微生物、クレブシエラ(Klebsiella)属微生物、セラチア(Serratia)属微生物、エルシニア(Yersinia)属微生物、ヨケネラ(Yokenella)属微生物、ラウルテラ(Raoultella)属微生物、セラチチス(Ceratitis)属微生物、サルモネラ(Salmonella)属微生物、サテレラ(Sutterella)属微生物、シンウェリア(Shimwellia)属微生物、ビブリオ(Vibrio)属微生物、シュードモナス(Pseudomonas)属微生物などが高い相同性を有すると確認された。そのうち、大腸菌のリシンデカルボキシラーゼ程度の活性を有しながら、同時に高い熱安定性を有することができるリシンデカルボキシラーゼを探索することを目的にした。一般的に、好熱性菌株中に存在するタンパク質が、熱安定性が高いと知られているので、探索された菌株のうち、好熱性(46〜60℃)微生物として知られたシュードモナス・サーモトレランスを選択した。
1−2.多様なシュードモナス属菌株由来リシンデカルボキシラーゼの選別
シュードモナス・サーモトレランス菌株以外に、他のシュードモナス属菌株由来リシンデカルボキシラーゼを選別するために、シュードモナス種間の相同性が低い4個の菌株(シュードモナス・アルカリゲネス、シュードモナス・レジノボランス、シュードモナス・プチダ、シュードモナス・シンキサンタ)を選定した。米国国立生物情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)で提供するnucleotideプログラム及びgenomeプログラムを利用して、前記選定された4個のシュードモナス種由来のリシンデカルボキシラーゼの遺伝子とアミノ酸配列とを確認した。
下記表1は、それぞれシュードモナス種由来リシンデカルボキシラーゼに係わるアミノ酸配列相同性を示す。
PtLDC:シュードモナス・サーモトレランス(P.thermotolerans)由来リシンデカルボキシラーゼ
PaLDC:シュードモナス・アルカリゲネス(P.alcaligenes)由来リシンデカルボキシラーゼ
PrLDC:シュードモナス・レジノボランス(P.resinovorans)由来リシンデカルボキシラーゼ
PpLDC:シュードモナス・プチダ(P.putida)由来リシンデカルボキシラーゼ
PxLDC:シュードモナス・シンキサンタ(P.synxantha)由来リシンデカルボキシラーゼ
実施例2.シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が導入された大腸菌製造、及びそこから発現されたリシンデカルボキシラーゼ活性分析
2−1.シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子による大腸菌の形質転換
シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子の大腸菌への導入、及び大腸菌での発現のための組み換え遺伝子のクローニングを進めた。シュードモナス・サーモトレランスに係わる遺伝情報は、NCBIのGenome(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/)データ情報から確保した。
シュードモナス・サーモトレランスの遺伝体(genomic)DNAを確保した後、それをテンプレートにした重合連鎖反応(PCR)を介して、シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子(ptldc)を増幅した。PCR遂行のために、5_LDC_NdeI(AATATACATATGTACAAAGACCTCCAATTCCCC)(配列番号13)と、3_LDC_XhoI(AATATACTCGAGTCAGATCTTGATGCAGTCCACCG)(配列番号14)とのプライマーを利用し、PfuUltraTM DNAポリメラーゼ(stratagene社、米国)を使用して、94℃:30秒、55℃:30秒、72℃:2分の条件を30回反復した結果、増幅されたptldc(配列番号2)を確保した。また、N−末端にHis−tagを有するシュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ発現のために、プライマーとして、5_LDC_BamHI(AATATAGGATCCGTACAAAGACCTCCAATTCCCC)(配列番号15)と、3_LDC_SacI(AATATAGAGCTCTCAGATCTTGATGCAGTCCACCG)(配列番号16)とを利用して、前記PCR遂行方法と同一方法によってPCRを行った。次に、PCR遂行から得られた各ptldc遺伝子を、大腸菌発現ベクターであるpET−Deut1にそれぞれ挿入した。その後、ptldc遺伝子がクローニングされたプラスミドを、熱衝撃形質変換方法によって、大腸菌Rosettaに挿入した。形質転換された菌株を、50ml液体LB培地(50mg/mlアンピシリン含む)を利用して、37℃温度条件で培養し、OD600値が0.8に逹したとき、0.4mM濃度のイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を入れ、18℃で48時間培養して発現を誘導した。発現が完了した各シュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼ(PtLDC)は、SDS−PAGEゲル結果を介して確認した(図2)。前記SDS−PAGEゲル結果を介して、低温で発現されたPtLDCと、His−tagが含まれたPtLDCとが可溶性タンパク質として過発現されたということを確認することができた(図2のレーン2及びレーン4)。
前記ptldc(配列番号2)を含むプラスミドに形質転換された大腸菌Rosetta菌株を、「Escherichia coli CC04−0055」と命名し、2014年7月24日付けで韓国微生物保存センター(KCCM)に寄託し、受託番号KCCM11559Pを受けた。
2−2.大腸菌で発現されたシュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼの活性分析
(1)リシンデカルボキシラーゼの反応性確認
PtLDCと、His−tagが含まれたPtLDCとの反応性を検証するために、可溶性タンパク質(soluble protein)50ml、100mMピリドキサールリン酸(PLP:pyridoxal-phosphate、PLP)、250mMリシンを入れ、200mlの体積で46℃で2時間反応させた。反応緩衝溶液は、50mMリン酸ナトリウム、pH6.2を使用した。空ベクターが導入された菌株を対照群(control)にし、リシンとカダベリンとの量を分析した(図3)。高性能液体クロマトグラフィー(Waters、Milford、MA)を利用して、リシンとカダベリンとの正確な量を2414 Refractive Indes Detector(Waters、Milford、MA)で分析した。Lysine−HCl試薬と、1,5−ジアミノペンタン(カダベリン)試薬とをSigma(St.Louis、MO)から購入し、1mMクエン酸、10mM酒石酸、24mMエチレンジアミン、5%アセトニトリルで構成された移動相(mobile phase)を利用して、IonoSpher C3−100mm、5mmカラム(column)で分離し、2つの物質を分離及び定量した。対照群の場合は、カダベリンが全く生成されないということを確認することができた。N−末端に、His−tagが挿入されたPtLDCの場合には、72%のリシンを転換させ、PtLDCは、100%のリシンを転換させ、カダベリンが生成されるということを確認することができた。
(2)温度及びpHによるリシンデカルボキシラーゼの活性分析
PtLDCの多様な温度条件(30℃、42℃、50℃、60℃、70℃及び80℃)で酵素的特性を把握するために、相対的な酵素活性(relative activity)を比較した。PtLDCを希釈し、250mMのリシン基質を使用して、60℃で30分間反応させるとき、42mMカダベリンが生成されるということを確認した。このとき使用された緩衝液は、50mMリン酸ナトリウムバッファ(pH6.2)であり、同量の酵素、及び同一反応条件で、温度条件だけ30℃、42℃、50℃、70℃及び80℃で処理し、カダベリンの濃度を分析した。そして、60℃温度反応で生成されたカダベリン量と相対的に比較した(図4)。図4から確認することができるように、PtLDCは、60℃で最も高い活性を示した。また、55〜65℃の温度条件では、80%以上の活性を維持すると評価された。
追加的に多様なpH(6.2、7.0、8.0及び9.0)に対するリシンデカルボキシラーゼの活性評価を行った。温度条件を60℃に固定し、同量の酵素と同一反応条件で、50mMリン酸ナトリウムバッファ(pH6.2)、50mMトリスバッファ(pH7.0)、100mMリン酸カリウムバッファ(pH8.0)、50mMトリスバッファ(pH9.0)を利用して、それぞれ異なるpHで反応性を比較した(図5)。pH8.0でPtLDCが最も高い活性を示したが、pH6ないしpH9の条件でも、90%以上の活性が維持されると確認された。各pH条件で生成されるカダベリン量を、pH8.0条件で生成されるカダベリン量と相対的に比較した(図5)。実験結果を介して、PtLDCは、pH変化または高いpHに対して、高い安定性を有すると評価される。
実施例3.シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が導入された大腸菌製造、及びそこから発現されたリシンデカルボキシラーゼ活性分析
3−1.シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子による大腸菌の形質転換
シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子(paldc)をクローニングするために、5_PaLDC_NdeI(AATATACATATGTACAAAGACCTGAAGTTCCCCATCC)(配列番号17)と、3_PaLDC_XhoI(AATATACTCGAGTCACTCCCTTATGCAATCAACGGTATAGC)(配列番号18)とのプライマーを利用し、精製されたシュードモナス・アルカリゲネスの遺伝体DNAをテンプレートとしてPCRを行った。重合酵素としてPfuDNAポリメラーゼを使用し、94℃:30秒、55℃:30秒、72℃:2分条件を30回反復してPCRを行った結果、増幅されたpaldc遺伝子(配列番号4)を確保した。
得られたpaldc遺伝子は、前記実施例2−1と同一方法によって、大腸菌で低温発現させた後、SDS−PAGEゲルによって、その結果を確認した(図6)。図6から分かるように、シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼ(PaLDC)は、不溶性タンパク質としてほとんど発現され、可溶性タンパク質は、SDS−PAGEゲル上で確認されなかった(図6、レーン1,2参照)。
3−2.大腸菌で発現されたシュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼの活性分析
(1)リシンデカルボキシラーゼの反応性確認
PaLDCの反応性を検証するために、前記実施例3−1で得たPaLDCの細胞粉砕液(cell lysate)を13,000rpmで15分間遠心分離させて得た上澄み液(可溶性タンパク質)を利用して、リシン転換反応を行った。可溶性タンパク質50μl、100mM PLP、250mMリシンを、50mMリン酸ナトリウム(pH6.2)緩衝溶液で充填し、200μlの反応体積で46℃で2時間反応させた。その結果、70%リシンが、PaLDCによって、カダベリンに転換されたことを確認することができた(図7)。
(2)温度及びpHによるリシンデカルボキシラーゼの活性分析
シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼの活性のための最適温度条件を求めるために、実施例2−2のような方法によって、30℃、40℃、46℃、60℃の温度条件で酵素活性を評価した。その結果、PaLDCは、50℃で最も良好な活性を有すると確認された(図8)。
また、実施例2−2のような方法によって、シュードモナス・アルカリゲネス由来リシンデカルボキシラーゼのpHに対する活性条件を評価した。その結果、PaLDCは、pH8及びpH9で高い安定性を示し、pH6でも、95%以上の活性が維持されるということを確認した(図9)。
実施例4.シュードモナス・レジノボランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が導入された大腸菌製造、及びそこから発現されたリシンデカルボキシラーゼ活性分析
4−1.シュードモナス・レジノボランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子による大腸菌の形質転換
シュードモナス・レジノボランス由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子(prldc)をクローニングするために、5_PrLDC_NdeI(AATATACATATGTACAAAGAGCTCAAGTTCCCCGTCCTC)(配列番号19)と、3_PrLDC_XhoI(AATATACTCGAGTTATTCCCTGATGCAGTCCACTGTATAGC)(配列番号20)とのプライマーを利用し、精製されたシュードモナス・レジノボランス遺伝体DNAをテンプレートとしてPCRを行った。実施例3−1と同一の重合酵素及びPCR遂行条件でPCRを行い、増幅されたprldc(配列番号6)を確保することができた。
得られたprldc遺伝子は、前記実施例2−1と同一方法によって、大腸菌で低温発現させた後、SDS−PAGEゲルによって、その結果を確認した(図6、レーン3,4)。その結果、PrLDCは、低温発現条件でも、ほぼ発現されないということを確認した。
4−2.大腸菌で発現されたシュードモナス・レジノボランス由来リシンデカルボキシラーゼの活性分析
(1)リシンデカルボキシラーゼの反応性確認
シュードモナス・レジノボランス由来リシンデカルボキシラーゼ(PrLDC)の反応性を検証するために、前記4−1で得たPrLDCの細胞粉砕液を、13,000rpmで15分間遠心分離させ、上澄み液を利用してリシン転換反応を行った。可溶性タンパク質50μl、100mMPLP、250mMリシンを、50mMリン酸ナトリウム(pH6.2)緩衝溶液で充填し、200μlの反応体積で、46℃で2時間反応させた。リシン転換反応結果、PrLDCによって、66%カダベリンが生成された(図10)。
(2)温度及びpHによるリシンデカルボキシラーゼの活性分析
PrLDCの活性のための最適温度条件を求めるために、実施例2−2のような方法によって、30℃、40℃、46℃、60℃の温度条件で酵素活性を評価した。その結果、PrLDCは、60℃で最も良好な活性を有すると確認された(図11)。
また、実施例2−2のような方法によって、PrLDCのpHによる活性を評価した。その結果、PrLDCは、pH6で最も高い活性を示したが、pH9でも、90%以上の活性を保有するということを確認することができた。(図12)。
実施例5.シュードモナス・プチダ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が導入された大腸菌製造、及びそこから発現されたリシンデカルボキシラーゼ活性分析
5−1.シュードモナス・プチダ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子による大腸菌の形質転換
シュードモナス・プチダ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子(ppldc)をクローニングするために、5_PpLDC_NdeI(AATATACATATGTACAAAGACCTCCAATTCCCC)(配列番号21)と、3_PpLDC_XhoI(AATATACTCGAGTCACTCCCTTATGCAATCAACGGTATAGC)(配列番号22)とのプライマーを利用し、精製されたシュードモナス・プチダ遺伝体DNAをテンプレートとしてPCRを行った。重合酵素として、PfuDNAポリメラーゼを使用し、94℃:30秒、55℃:30秒、72℃:2分条件を30回反復してPCRを行った結果、増幅されたppldc遺伝子(配列番号8)を確保した。
得られたppldc遺伝子を、前記実施例2−1と同一方法によって、大腸菌で低温発現させた後、SDS−PAGEゲルによって、その結果を確認した(図13)。図13のレーン3及び4から分かるように、シュードモナス・プチダ由来リシンデカルボキシラーゼ(PpLDC)は、低温発現条件でも、ほぼ発現されないということを確認した。
細胞粉砕液を13,000rpmで15分間遠心分離させ、上澄み液を利用して、リシン転換反応を行った。
5−2.大腸菌で発現されたシュードモナス・プチダ由来リシンデカルボキシラーゼの活性分析
(1)リシンデカルボキシラーゼの反応性確認
PpLDCの反応性を検証するために、前記5−1で得たPpLDCの細胞粉砕液(cell lysate)を13,000rpmで15分間遠心分離させ、上澄み液を利用して、リシン転換反応を行った。可溶性タンパク質50μl、100mM PLP、250mMリシンを、50mMリン酸ナトリウム(pH6.2)緩衝溶液で充填し、200μlの反応体積で46℃で2時間反応させた。その結果、16%カダベリンが生成された(図14)。
(2)温度及びpHによるリシンデカルボキシラーゼの活性分析
PpLDCの活性のための最適温度条件を求めるために、実施例2−2のような方法によって、50℃、60℃、70℃の温度条件で酵素活性を評価した。その結果、PpLDCは、50℃で最も良好な活性を有すると確認された(図15)。
また、実施例2−2のような方法によって、PpLDCのpHに対する活性条件を評価した。その結果、pH6で最も高い活性を示し、pHが高くなれば、反応性が低く評価された(図16)。
実施例6.シュードモナス・シンキサンタ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子が導入された大腸菌製造、及びそこから発現されたリシンデカルボキシラーゼ活性分析
6−1.シュードモナス・シンキサンタ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子による大腸菌の形質転換
シュードモナス・シンキサンタ由来リシンデカルボキシラーゼ遺伝子(pxldc)をクローニングするために、5_PxLDC_NdeI(AATATACATATGTACAAAGACCTCCAATTCCCC)(配列番号23)と、3_PxLDC_XhoI(AATATACTCGAGTCACTCCCTTATGCAATCAACGGTATAGC)(配列番号24)とのプライマーを利用して、精製されたシュードモナス・シンキサンタ遺伝体DNAをテンプレートにしてPCRを行った。遺伝子増幅のために、PfuDNA polymeraseを使用し、94℃:30秒、45℃:30秒、72℃:2分条件を30回反復し、増幅されたpxldcを確保することができた(配列番号10)。
得られたpxldc遺伝子は、前記実施例2−1と同一方法によって、大腸菌で低温発現させた後、SDS−PAGEゲルによって、その結果を確認した(図13)。図13のレーン7及び8から分かるように、シュードモナス・シンキサンタ由来リシンデカルボキシラーゼ(PxLDC)は、低温発現条件で可溶性タンパク質として過発現されるということを確認することができた。
6−2.大腸菌で発現されたシュードモナス・シンキサンタ由来リシンデカルボキシラーゼの活性分析
(1)PxLDCの反応性確認
PxLDCの反応性を検証するために、前記6−1で得たPxLDCの細胞粉砕液を、13,000rpmで15分間遠心分離させ、上澄み液を利用してリシン転換反応を行った。可溶性タンパク質50μl、100mM PLP、250mMリシンを、50mMリン酸ナトリウム(pH6.2)緩衝溶液で充填し、200μlの反応体積で、46℃で2時間反応させた。その結果、25%カダベリンが生成された(図17)。
(2)pHによるリシンデカルボキシラーゼの活性分析
PxLDCの最適pH条件を求めるために、実施例2−2のような方法によって、多様なpH酵素活性を評価した(図18)。その結果、PxLDCは、pH6で最も高い活性を示し、pHが高くなるほど反応性が低く評価された。
実施例7.大腸菌由来リシンデカルボキシラーゼとシュードモナス・サーモトレランス由来リシンデカルボキシラーゼの活性比較分析
7−1.大腸菌由来リシンデカルボキシラーゼクローニング及び発現
大腸菌リシンデカルボキシラーゼ遺伝子であるcadAをクローニングし、EcLDC(配列番号11)を発現させた。PtLDCとEcLDCとのアミノ酸配列の相同性は、36%である。cadA遺伝子がクローニングされたプラスミドを、大腸菌K−12BL21を挿入し、37℃温度条件で培養し、4時間発現を誘導した。発現が完了したEcLDCは、SDS−PAGEゲルを介して確認した結果(図13;レーン1,2)、EcLDCが可溶性タンパク質として過発現されるということを確認した。
7−2.EcLDC及びPtLDCの相対的な酵素活性比較分析
(1)温度による活性比較
実施例2−2のような方法によって、多様な温度条件(37℃、42℃、50℃、60℃、70℃及び80℃)で、EcLDCとPtLDCとの相対的な酵素活性(relative activity)を比較した(図19)。
その結果、EcLDC及びPtLDCいずれも、60℃で最も高い活性を示すと確認された。50℃において、EcLDCは、54%の相対的活性(60℃でのEcLDCの活性を100%と固定)を有し、80℃においては、12%の相対的活性を有すると評価された。PtLDCの場合、50℃で76%の相対的活性(60℃でのPtLDCの活性を100%と固定)を有し、80℃においては、19%の相対的活性を有すると評価された。高温条件において、PtLDCが活性をさらに良好に維持すると確認された。結論として、2つの酵素いずれも、温度による活性の差が大きく示され、相対的な活性は、PtLDCがさらに良好に維持されると評価された。
(2)pHによる活性比較
さらには、実施例2−2のような方法によって、多様なpH(6.2、7.4、8.0及び9.0)に対する評価を進めた(図20)。その結果、EcLDCは、pH6で最も高い活性を示すと評価され、pHが上昇するほど、EcLDC酵素活性が大きく低下した。pH9において、EcLDCは、50%ほどの活性が維持された。一方、PtLDCは、pHによる活性変化が大きく観察されず、pH6.2〜9でのpHにおいて、90%以上の活性が維持されるということを確認することができた。それにより、温度及びpHに対して、PtLDCの安定性がEcLDCより高いと評価された。
(3)PtLDC及びEcLDCの活性比較
PtLDCとEcLDCとの蛋白質量を定量し、特異的活性(specificactivity)(unit/mg)を評価したとき、PtLDCは、10060(unit/mg)の値、EcLDCは、36335(unit/mg)の値を有した。反応性を比較するとき、EcLDCがPtLDCより約3.6倍高い活性を示した。また、最適温度を比較すれば、2つの酵素いずれも60℃で最適反応を行い、温度変化により、活性が大きく低下するということを確認することができた。しかし、最適pH条件を比較すれば、EcLDCの場合、pHが高くなるにつれ、非活率が高くなるが、PtLDCの場合、pH変化に対しては、酵素活性変化が大きく起こらないと観察された。
EcLDCがPtLDCより高い活性を有しているが、リシンデカルボキシラーゼの反応によってpHが上昇すれば、EcLDCの活性がpH変化によって大きく影響を受ける。PtLDCは、相対的pH安定性がEcLDCより高く評価され、リシン転換反応で有利な点を有している。また、リシンを生物転換してカダベリンを商業的に生産するとき、酸処理を介してpH調整が必要であるが、PtLDCは、pH適正部分を緩和することができ、該部分は、カダベリン生物転換で生産コストを低減させる効果を期待することができると評価される
本発明は以下の実施形態を包含する。
[1] 配列番号1のアミノ酸配列、またはそれと75%以上の配列相同性(配列同一性)を有するアミノ酸配列を含み、リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
[2] 前記75%以上の配列相同性(配列同一性)を有するアミノ酸配列は、配列番号3、5、7または9であることを特徴とする、実施形態1に記載のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質。
[3] 実施形態1に記載のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングするポリヌクレオチド。
[4] 前記ポリヌクレオチドは、配列番号2の塩基配列、またはそれと75%以上の配列相同性(配列同一性)を有することを特徴とする、実施形態3に記載のポリヌクレオチド。
[5] 前記75%以上の配列相同性(配列同一性)を有するポリヌクレオチドは、配列番号2、4、8または10の塩基配列であるリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコーディングすることを特徴とする、実施形態3に記載のポリヌクレオチド。
[6] 実施形態1に記載のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質を発現するように形質転換された微生物。
[7] 前記微生物は、エシェリキア属微生物に形質転換されたことを特徴とする、実施形態6に記載の微生物。
[8] 野生型に比べて向上したリシン生産能を有する微生物が、実施形態1に記載のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質が発現されるように形質転換された、カダベリン生産能を有する微生物。
[9] 前記微生物は、エシェリキア属微生物またはコリネ型微生物であることを特徴とする、実施形態8に記載のカダベリン生産能を有する微生物。
[10] 実施形態1に記載のリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質、または実施形態6に記載の微生物を利用して、リシンからカダベリンに転換する段階と、
前記転換されたカダベリンを回収する段階と、
を含む、カダベリンの製造方法。
[11] 実施形態8に記載の微生物を培地で培養する段階と、
前記微生物または培地からカダベリンを回収する段階と、
を含む、カダベリンの製造方法。
寄託機関人:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11559P
受託日付け:20140724

Claims (5)

  1. 配列番号1、3、5、7又は9に記載のアミノ酸配列を有するリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドで形質転換された微生物、ここで該微生物はエシェリキア属微生物であり、野生型に比べてカダベリン生産能が向上している、前記微生物
  2. ポリヌクレオチドが配列番号2、4、6、8又は10に記載のヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載の微生物。
  3. リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質が、pH6での活性と比較してpH9において90%以上の活性が維持される、請求項1に記載の微生物。
  4. 請求項1、2又は3に記載の微生物又はリシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパクを利用して、リシンからカダベリンに転換する段階と、
    前記転換されたカダベリンを回収する段階と、
    を含
    ここで前記リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質が、配列番号1、3、5、7又は9に記載のアミノ酸配列を有し、リシンデカルボキシラーゼ活性を有するタンパク質である、
    カダベリンの製造方法。
  5. 請求項1、2又は3に記載の微生物を培地で培養する段階と、
    前記微生物または培地からカダベリンを回収する段階と、
    を含む、カダベリンの製造方法。
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