JP2018161154A - L−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物およびこれを用いたl−スレオニンの産生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】L−スレオニン産生能が向上した組換えエシェリキア属微生物を提供すること。【解決手段】コリネ型細菌由来のパーミアーゼを発現するように形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有することを特徴とする組換えエシェリキア属微生物を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図2
Description
本発明は、コリネ型細菌由来のパーミアーゼを発現するように変形されて向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物およびこれを用いてL−スレオニンを産生する方法に関する。
L−スレオニンは、必須アミノ酸の一種であり、飼料および食品添加剤として広く用いられ、医薬用に輸液剤、医薬品の合成原料としても用いられる。
L−スレオニンは、主として人工変異法または遺伝子組換え方法により開発されたエシェリキア属、セタチア属、プロデンシア属またはコリネ型細菌(Corynebacterium)またはこの人工変異株を用いた発酵法により産生される。スレオニンの生合成に関連する遺伝子およびこれらの発現を増加させる様々な方法が開発されたが、より経済的に且つより高い歩留まりにてL−スレオニンを産生し得る方法へのニーズが依然として存在する。
大腸菌においてgalP遺伝子によりコーディングされるGalPタンパク質は、ガラクトースおよび葡萄糖をはじめとする各種の糖を細胞の内部に輸送するガラクトースパーミアーゼであることが知られており(V. Hernandez−Montalvo F. Valle F. Bolivar G. Gosset, Appl Microbiol Biotechnol (2001) 57:186−191)、これは、グルコースパーミアーゼとしても作用することが知られている(Venter, Henrietta et al., Biochemical Journal (2002) 363:243−252)。大腸菌においてコピー数の増加などを通してgalP遺伝子の発現を増加させると、スレオニンの産生能が増加されるという報告がある(WO2004/087937)。
コリネバクテリウムグルタミクムにおいては、iolT1およびiolT2遺伝子により暗号化されるイノシトールパーミアーゼがグルコースパーミアーゼとしても作用するということが報告されており(Ikeda et al., Appl Microbiol Biotechnol (2011) 90:1443−1451)、これらの遺伝子が大腸菌のgalP遺伝子との高い相同性を有するということも報告されているが、前記イノシトールパーミアーゼとスレオニン産生との間の関係を示す報告は未だに報告されていない。
本発明者らは、コリネバクテリウム属微生物においてイノシトールパーミアーゼをコーディングするiolT1遺伝子および/またはiolT2遺伝子を大腸菌に取り込む場合、エシェリキア属微生物が向上したL−スレオニン産生能を有するということを見出し、本発明を完成するに至った。
V. Hernandez−Montalvo F. Valle F. Bolivar G. Gosset, Appl Microbiol Biotechnol (2001) 57:186−191
Venter, Henrietta et al., Biochemical Journal (2002) 363:243−252
Ikeda et al., Appl Microbiol Biotechnol (2011) 90:1443−1451
したがって、本発明の目的は、コリネ型細菌由来のパーミアーゼを発現するように変形されてL−スレオニン産生能が向上した組換えエシェリキア属微生物を提供することである。
また、本発明の目的は、前記組換え微生物を用いてL−スレオニンを高い歩留まりにて産生する方法を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のパーミアーゼが発現されるように形質転換された組換えエシェリキア属微生物を提供する。
また、本発明は、前記組換え微生物を用いてL−スレオニンを高い歩留まりにて産生する方法を提供する。
本発明によれば、菌株の生長速度が既存の菌株に比べて大幅に向上してL−スレオニンを高い歩留まりにて産生することができる。これにより、産業的に大きな意味を有するL−スレオニン産生性が大幅に向上する。
本発明は、コリネ型細菌由来のパーミアーゼを発現するように形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有することを特徴とする組換えエシェリキア属微生物を提供することを特徴とする。
本発明において、前記コリネ型細菌由来のパーミアーゼは、コリネバクテリウムグルタミクム由来のものであってもよく、好ましくは、コリネバクテリウムグルタミクムATCC13032に由来するものであってもよいが、これに何ら限定されない。
最も好ましくは、前記コリネ型細菌由来のパーミアーゼは、配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列を有していてもよい。前記配列番号1のアミノ酸配列を有するコリネ型細菌由来のパーミアーゼは、配列番号3に記載の塩基配列を有するiolT1遺伝子により暗号化され、前記配列番号2のアミノ酸配列を有するコリネ型細菌由来のパーミアーゼは、配列番号4に記載の塩基配列を有するiolT2遺伝子により暗号化される。
また、本発明において提示したパーミアーゼの活性を有するタンパク質である限り、前記タンパク質のアミノ酸配列の上に一部の変異がある変異体または前記タンパク質のアミノ酸配列に対して80%以上、好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、97%以上の相同性を有するパーミアーゼもまた本発明に含まれる。
本願において、前記用語「相同性」は、二つのアミノ酸配列間の同一性を示すものであり、点数、同一性、類似度などの媒介変数(パラメータ)を計算するBLAST2.0を用いる、当業者にとって周知の方法により決定され得る。
本発明の一実施形態においては、コリネバクテリウムグルタミクムATCC13032から大腸菌においてグルコースパーミアーゼをコーディングするgalP遺伝子と相同性を有する遺伝子を探索し、その結果、大腸菌のgalPがコーディングするアミノ酸配列およびコリネバクテリウムグルタミクムATCC13032由来のiolT1(NCBI Reference Sequence:NC_006958.1, cg0223)がコーディングするアミノ酸配列は34%の相同性を示し、iolT2(NCBI Reference Sequence:NC_006958.1, cg3387)がコーディングするアミノ酸配列は31%の相同性を示す(図1を参照)。
前記大腸菌のgalP遺伝子は公知のものであり、Blattnerら(Science 277:1453−1462(1997))により公開された大腸菌のゲノム配列からも得られ(Accession no. AAC75876)、米国生物工学情報センターNCBIおよび日本DNAデータバンク(DDBJ)などのデータベースからも得られる。
本発明のL−スレオニン産生能を有するエシェリキア属微生物は、大腸菌およびL−スレオニン産生用大腸菌変異株であってもよい。より好ましくは、前記L−スレオニン産生能を有するエシェリキア属微生物は、メチオニン要求性、スレオニン類似体に対する耐性、リシン類似体に対する耐性、イソロイシン類似体に対する耐性およびメチオニン類似体に対する耐性を有し、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子(phosphoenol pyruvate carboxylase gene、ppc遺伝子)およびスレオニンオペロンが2コピー以上染色体内に取り込まれたことを特徴とするL−スレオニン産生用菌株である大腸菌KFCC 10718(大韓民国特許登録番号第10−0058286号)に由来する大腸菌KCCM 10541(大韓民国特許登録番号第10−0576342号)である。
本発明のL−スレオニン産生能を有するエシェリキア属微生物においてパーミアーゼをコーディングする遺伝子を発現させるための方法は特に制限されない。例えば、パーミアーゼをコーディングする遺伝子を含む組換えベクターを微生物に形質転換してもよく、パーミアーゼをコーディングする遺伝子のコピー数を増加させてもよく、パーミアーゼをコーディングする遺伝子の発現調節配列を調節してもよく、二種類以上の方法を併用してもよい。一般に、スレオニン生合成に関連する遺伝子の発現量を高めるための方法として、一つの微生物が有する遺伝子の数を高める方法が挙げられ、このために、通常、コピー数が高く保たれるプラスミドを用いる(Sambrook et al, Molecular cloning, 2版, 1989, 1.3〜1.5)。すなわち、コピー数が高く保たれるプラスミドに所望の遺伝子を挿入し、このような組換えプラスミドを再び微生物に形質転換させることにより、一つの微生物当たりにそのプラスミドのコピー数に見合う分だけ遺伝子のコピー数を増やす効果を期待することができる。なお、スレオニン生合成に関連する遺伝子を染色体DNA中に挿入する方法が用いられることもある。
本発明の一実施形態において、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1遺伝子および/またはiolT2遺伝子を含む組換えベクターおよび前記組換えベクターに形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物を提供する。
本願において、前記用語「ベクター」とは、好適な宿主中において目的タンパク質を発現させるように好適な調節配列に作動可能なように連結されている前記目的タンパク質を暗号化させるポリヌクレオチドの塩基配列を含有するDNA製造物のことをいう。前記調節配列は、転写を開始し得るプロモーター、そのような転写を調節するための任意のオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコーディングする配列および転写および解読の終結を調節する配列を含む。ベクターは、適当な宿主内に形質転換された後、宿主ゲノムとは無関係に複製または機能してもよく、ゲノムそのものに取り込まれてもよい。
本発明において用いられるベクターは、宿主中において複製可能なものであれば、特に制限がなく、当業界において周知の任意のベクターが使用可能である。通常的に用いられるベクターの例としては、天然状態あるいは組換え状態のプラスミド、コスミド、ウィルスおよびバクテリオファージが挙げられる。
本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1遺伝子を含む組換えベクターを提供する。好ましくは、前記組換えベクターは、pCC1BAC−iolT1であることを特徴とし、さらに好ましくは、図2の開裂地図を有する。
また、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT2遺伝子を含む組換えベクターを提供する。好ましくは、前記組換えベクターは、pCC1BAC−iolT2であることを特徴とし、さらに好ましくは、図3の開裂地図を有する。
さらに、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1およびiolT2遺伝子を同時に発現させるための組換えベクターを提供する。好ましくは、前記組換えベクターは、pCC1BAC−iolT1−iolT2であることを特徴とし、さらに好ましくは、図4の開裂地図を有する。
本願において、前記用語「形質転換」とは、目的タンパク質を暗号化させるポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞内に取り込んで宿主細胞内において前記ポリヌクレオチドが暗号化させるタンパク質が発現できるようにすることをいう。形質転換されたポリヌクレオチドは、宿主細胞内において発現できる限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置してもよく、染色体外に位置してもよい。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に取り込まれて発現可能なものである限り、いかなる形で取り込まれても構わない。また、前記ポリヌクレオチドは、標的タンパク質を暗号化させるDNAおよびRNAを含む。前記ポリヌクレオチドは、宿主細胞内に取り込まれて発現できるものであれば、いかなる形で取り込まれても構わない。例えば、前記ポリヌクレオチドは、自体的に発現されるのに必要なあらゆる要素を含むポリヌクレオチド構造体である発現カセットの形で宿主細胞に取り込まれてもよい。前記発現カセットは、通常、前記遺伝子に作動可能なように連結されているプロモーター、転写終結信号、リボソーム結合部位および翻訳終結信号を含む。前記発現カセットは、自体的に複製可能な発現ベクターの形であってもよい。なお、前記ポリヌクレオチドは、それ自体の形で宿主細胞に取り込まれて、宿主細胞において発現に必要な配列と作動可能なように連結されているものであってもよい。
一態様において、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1遺伝子またはiolT2遺伝子を含む組換えベクターに形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物を提供する。
他の態様において、本発明は、コリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1遺伝子およびiolT2遺伝子を含む組換えベクターに形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物を提供する。
好ましくは、本発明の前記形質転換された組換えエシェリキア属微生物は、大腸菌であってもよく、好ましくは、前記微生物は、大腸菌CA03−0230(KCCM11370P)、大腸菌CA03−0260(KCCM11369P)または大腸菌CA03−0231(KCCM11371P)であってもよい。
上述した本発明の組換えスレオニン産生菌株は、大腸菌内にコリネ型細菌由来のiolT1および/またはiolT2遺伝子を取り込んで大腸菌内のパーミアーゼの発現を増加させて菌株の糖消耗速度および生長速度を大幅に向上させることにより、L−スレオニンを高濃度にて産生することができる。
また、本発明は、前記形質転換された組換えエシェリキア属微生物を培養するステップおよび前記微生物の培養液からL−スレオニンを分離するステップを含むことを特徴とするL−スレオニンの製造方法を提供する。
本発明の組換えエシェリキア属微生物の培養は、通常の方法により行われる。具体的に、炭素源として原糖または葡萄糖の一部または全部が含まれている培養培地に前記微生物を接種して培養することができる。前記培養過程は、当業界において周知の適当な培地および培養条件により行われる。このような培養過程は、当業者であれば、選択される菌株に応じて手軽に調整して用いることができる。前記培養方法の例には、回分式培養(batch culture)、連続式培養(continuous culture)および流加式培養(fed−batch culture)が含まれるが、これらに限定されるものではない。培養に用いられる培地は、特定の菌株の要求条件を適切に満たさなければならない。
具体的に、本発明において用いられる培地は、原糖若しくは葡萄糖を主な炭素源として用い、原糖を多量含む糖蜜もまた炭素源として使用可能であり、その他の適正量の炭素源は様々に利用可能であり、好ましくは、精製葡萄糖を用いる。使用可能な窒素源の例としては、ペプトン、酵母エキス、肉汁、麦芽エキス、トウモロコシ浸漬液および大豆麦などの有機窒素源およびヨウ素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムなどの無機窒素源が挙げられ、好ましくは、ペプトンを用いる。これらの窒素源は、単独でまたは組み合わせて使用可能である。前記培地には、リン源として、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムおよび対応するナトリウム含有塩が含まれ得る。なお、硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄などの金属塩を含み得る。これらに加えて、アミノ酸、ビタミンおよび適切な前駆体などが含まれ得る。これらの培地または前駆体は、培養物に回分式または連続式により添加可能である。
具体的に、培養の温度は、普通、27℃〜37℃、好ましくは、30℃〜37℃である。培養期間は、所望の有用物質の発現が行われ続け、好ましくは、10〜100時間である。
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されることはない。
[比較例:大腸菌由来galP遺伝子を含む組換えベクターに形質転換された組換え菌株の製造およびL−スレオニン産生性の比較]
大腸菌においてガラクトースパーミアーゼはグルコースパーミアーゼの役割を果たし、コピー数を増加させて発現を増加させると、スレオニン産生能が増加されるという報告(WO2004/087937)を確認するために、L−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541にgalP遺伝子のコピー数の増加による組換え菌株を製作してL−スレオニン産生性を評価した。
大腸菌においてガラクトースパーミアーゼはグルコースパーミアーゼの役割を果たし、コピー数を増加させて発現を増加させると、スレオニン産生能が増加されるという報告(WO2004/087937)を確認するために、L−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541にgalP遺伝子のコピー数の増加による組換え菌株を製作してL−スレオニン産生性を評価した。
(1)大腸菌由来のgalP遺伝子を含む組換えベクターの製作
大腸菌由来galP遺伝子のオープンリーディングフレーム(open reading frame)を含む1.4kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いて大腸菌野生型菌株W3110のゲノムDNAを抽出した。
大腸菌由来galP遺伝子のオープンリーディングフレーム(open reading frame)を含む1.4kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いて大腸菌野生型菌株W3110のゲノムDNAを抽出した。
前記gDNAを鋳型として用いて連鎖重合反応(polymerase chain reaction、以下、「PCR」と略称する。)を行った。このときに用いたプライマーは、配列番号9および10であり、PCR反応条件は、変性(denaturation)は94℃で30秒間、アニーリング(annealing)は56℃で30秒間、伸張(elongation)は72℃で50秒間であり、これを30回繰り返し行った。前記PCR結果物(以下、「galP断片」と命名する。)は、0.8%アガロースゲルにおいて電気泳動した後、所望のサイズのバンドを溶離して得た。
前記得られたgalP断片を制限酵素HindIIIで処理した後、同じ制限酵素であるHindIIIで処理された線形pCC1BACベクター(EPICENTRE社製、以下、同じ。)とベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記製作されたベクターに大腸菌DH5a細胞を形質転換させた後、これをクロラムフェニコール含有LB固体培地に塗抹して37℃で一晩中培養した。前記培養したコロニー一白金耳をクロラムフェニコール含有LB液体培地3mlに接種して一晩中培養した後、プラスミドミニプレップキット(QIAGEN社製、以下、同じ。)を用いてプラスミドDNAを回収した。組換えベクターの大きさは制限酵素HindIIIで処理して確認し(データは図示せず)、配列番号11および12のプライマーで変性94℃で30秒間、アニーリング56℃で30秒間、伸張72℃で60秒間の反応条件下でPCRを行ってクローンを確認した。前記組換えベクターをpCC1BAC−galPと命名した(データは図示せず)。
また、前記galP断片を同じ制限酵素であるHindIIIで処理された線形pCL1920ベクターとベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。前記製作されたベクターに大腸菌DH5a細胞を形質転換させた後、これをスペクチノマイシン含有LB固体培地に塗抹して37℃で一晩中培養した。前記培養したコロニー一白金耳をスペクチノマイシン含有LB液体培地3mlに接種して一晩中培養した後、プラスミドミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを回収した。組換えベクターの大きさは制限酵素HindIIIで処理して確認し(データは図示せず)、配列番号13および14のプライマーで変性94℃で30秒間、アニーリング56℃で30秒間、伸張72℃で60秒間の反応条件下でPCRを行ってクローンを確認した。前記組換えベクターをpCL1920−galPと命名した(データは図示せず)。
(2)前記組換えベクターに形質転換された組換え菌株の製造
母菌株としてL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に前記組換えベクターpCC1BAC−galPを電気穿孔法を用いて取り込んでクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。この方法と同様にして前記組換えベクターpCL1920−galPをL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に電気穿孔法を用いて取り込んでスペクチノマイシン50μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
母菌株としてL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に前記組換えベクターpCC1BAC−galPを電気穿孔法を用いて取り込んでクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。この方法と同様にして前記組換えベクターpCL1920−galPをL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に電気穿孔法を用いて取り込んでスペクチノマイシン50μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
選別された菌株をそれぞれKCCM10541/pCC1BAC−galPおよびKCCM10541/pCL1920−galPと命名した。
(3)組換え菌株のL−スレオニン産生性の比較
前記(2)において製造された組換え菌株を下記表1のスレオニン力価培地を用いて三角フラスコにおいて後述する方法と同様にして培養してL−スレオニン産生性を確認した。
前記(2)において製造された組換え菌株を下記表1のスレオニン力価培地を用いて三角フラスコにおいて後述する方法と同様にして培養してL−スレオニン産生性を確認した。
母菌株である大腸菌KCCM10541、KCCM10541/pCC1BAC−galPおよびKCCM10541/pCL1920−galP菌株を用いて力価の評価を行った。各菌株に取り込んだとき、前記組換えベクターpCC1BAC−galPは1コピー、pCL1920−galPは5コピー発現されるベクターであり、コピー数の増加に伴う効果を確認しようとした。
異なる遺伝的形質を有する前記組換え菌株を33℃の培養器を用いてLB固体培地において一晩中培養した後、前記表1の組成のように葡萄糖が含有されている25mlの力価培地に一白金耳ずつ接種した後、これを33℃、200rpmの培養器を用いて48時間培養し、その結果を下記表2に示す。
その結果、前記表2に示すように、母菌株である大腸菌KCCM10541菌株は、48時間培養した場合に32.0g/LのL−スレオニンを産生したが、この比較例において得られた組換え菌株である大腸菌KCCM10541/pCC1BAC−galPは31.1g/L、KCCM10541/pCL1920−galPは30.8g/Lと母菌株よりもそれぞれ0.9g/L、1.2g/LにL−スレオニン産生が低下した。表2に示すように、母菌株である大腸菌KCCM10541菌株は0.753g/L/hrの糖消耗速度を示したが、KCCM10541/pCC1BAC−galPは0.793g/L/hr、KCCM10541/pCL1920−galPは0.816g/L/hrを示し、これは母菌株に比べてそれぞれ5.3%、8.4%向上した糖消耗速度である。
[実施例1:コリネ型細菌由来のiolT1、iolT2遺伝子を含む組換えベクターの製作]
(1)大腸菌グルコースパーミアーゼgalPとの相同性の比較
コリネバクテリウムグルタミクムにおいてイノシトールパーミアーゼをコーディングするiolT1、iolT2遺伝子が大腸菌のグルコースパーミアーゼをコーディングするgalP遺伝子とほとんど同じ相同性を有することが報告されてきた。大腸菌由来のgalP遺伝子と相同性を有する遺伝子を野生型コリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムから見出して比較し、その結果を図1に示す。
(1)大腸菌グルコースパーミアーゼgalPとの相同性の比較
コリネバクテリウムグルタミクムにおいてイノシトールパーミアーゼをコーディングするiolT1、iolT2遺伝子が大腸菌のグルコースパーミアーゼをコーディングするgalP遺伝子とほとんど同じ相同性を有することが報告されてきた。大腸菌由来のgalP遺伝子と相同性を有する遺伝子を野生型コリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムから見出して比較し、その結果を図1に示す。
大腸菌由来のgalPがコーディングするアミノ酸配列およびコリネバクテリウムグルタミクム由来のiolT1がコーディングするアミノ酸配列は34%、iolT2がコーディングするアミノ酸配列は31%の相同性を示した。
(2)iolT1遺伝子断片の準備
配列番号3のiolT1遺伝子のオープンリーディングフレームを含む1.5kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いてコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムDNAを抽出した。
配列番号3のiolT1遺伝子のオープンリーディングフレームを含む1.5kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いてコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムDNAを抽出した。
前記gDNAを鋳型としてPCRを行った。このときに用いたプライマーは、配列番号5および6であり、PCR反応条件は、変性は94℃で30秒間、アニーリングは56℃で30秒間、伸張は72℃で60秒間であり、これを30回繰り返し行った。前記PCR結果物(以下、「iolT1断片」と命名する。)は、0.8%アガロースゲルにおいて電気泳動した後、所望のサイズのバンドを溶離して得た。
(3)組換えベクターpCC1BAC−iolT1の製作
前記(2)において準備したiolT1断片を制限酵素HindIIIで処理した後、同じ制限酵素であるHindIIIで処理された線形pCC1BACベクターとベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記(2)において準備したiolT1断片を制限酵素HindIIIで処理した後、同じ制限酵素であるHindIIIで処理された線形pCC1BACベクターとベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記製作された組換えベクターに大腸菌DH5a細胞を形質転換させ、これをクロラムフェニコール含有LB固体培地に塗抹して37℃で一晩中培養した。前記培養したコロニー一白金耳をクロラムフェニコール含有LB液体培地3mlに接種して一晩中培養した後、プラスミドミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを回収した。組換えベクターの大きさは制限酵素HindIIIで処理して確認し(データは図示せず)、配列番号11および12のプライマーで変性94℃で30秒間、アニーリング56℃で30秒間、伸張72℃で90秒間の反応条件下でPCRを行ってクローンを確認した。前記組換えベクターをpCC1BAC−iolT1と命名した。
(4)iolT2遺伝子断片の準備
配列番号4のiolT2遺伝子のオープンリーディングフレームを含む1.6kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いてコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムDNAを抽出した。
配列番号4のiolT2遺伝子のオープンリーディングフレームを含む1.6kb断片を得るために、キアゲン社製のゲノミック−ティップシステムを用いてコリネバクテリウムグルタミクム(Corynebacterium glutamicum ATCC 13032)のゲノムDNAを抽出した。
前記gDNAを鋳型としてPCRを行った。このときに用いたプライマーは、配列番号7および8であり、PCR反応条件は、変性は94℃で30秒間、アニーリングは56℃で30秒間、伸張は72℃で60秒間であり、これを30回繰り返し行った。前記PCR結果物(以下、「iolT1断片」と命名する。)は、0.8%アガロースゲルにおいて電気泳動した後、所望のサイズのバンドを溶離して得た。
(5)組換えベクターpCC1BAC−iolT2製作
前記(4)において準備したiolT2断片を制限酵素EcoRIで処理した後、同じ制限酵素であるEcoRIで処理された線形pCC1BACベクターとベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記(4)において準備したiolT2断片を制限酵素EcoRIで処理した後、同じ制限酵素であるEcoRIで処理された線形pCC1BACベクターとベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記製作された組換えベクターに大腸菌DH5a細胞を形質転換させ、これをクロラムフェニコール含有LB固体培地に塗抹して37℃で一晩中培養した。前記培養したコロニー一白金耳をクロラムフェニコール含有LB液体培地3mlに接種して一晩中培養した後、プラスミドミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを回収した。組換えベクターの大きさは制限酵素EcoRIで処理して確認し(データは図示せず)、配列番号11および12のプライマーで変性94℃で30秒間、アニーリング56℃で30秒間、伸張72℃で90秒間の反応条件下でPCRを行ってクローンを確認した。前記組換えベクターをpCC1BAC−iolT2と命名した。
(6)組換えベクターpCC1BAC−iolT1−iolT2の製作
前記(5)において製作されたpCC1BAC−iolT2ベクターを制限酵素HindIIIで処理した後、前記(2)において準備したiolT1断片とベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記(5)において製作されたpCC1BAC−iolT2ベクターを制限酵素HindIIIで処理した後、前記(2)において準備したiolT1断片とベクター上のlacプロモーターと方向が一致するように結さつした。
前記製作されたベクターに大腸菌DH5a細胞を形質転換させ、これをクロラムフェニコール含有LB固体培地に塗抹して37℃で一晩中培養した。前記培養したコロニー一白金耳をクロラムフェニコール含有LB液体培地3mlに接種して一晩中培養した後、プラスミドミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを回収した。組換えベクターの大きさは制限酵素HindIIIで処理して確認し(データは図示せず)、配列番号11および12のプライマーで変性94℃で30秒間、アニーリング56℃で30秒間、伸張72℃で120秒間の反応条件下でPCRを行ってクローンを確認した。前記組換えベクターをpCC1BAC−iolT1−iolT2と命名した。
[実施例2:形質転換された組換え菌株の製造およびL−スレオニン産生性の比較]
(1)野生型大腸菌を用いた組換え菌株の製造
前記実施例1において製造した組換えベクターpCC1BAC−iolT1、pCC1BAC−iolT2およびpCC1BAC−iolT1−iolT2をそれぞれスレオニンオペロンおよび発現ベクターpBRThrABCR3(Lee KH et al., Molecular Systems Biology (2007) 3:149)を含む野生型大腸菌MG1655に電気穿孔法を用いて取り込んでアンピシリン100μg/mlおよびクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
(1)野生型大腸菌を用いた組換え菌株の製造
前記実施例1において製造した組換えベクターpCC1BAC−iolT1、pCC1BAC−iolT2およびpCC1BAC−iolT1−iolT2をそれぞれスレオニンオペロンおよび発現ベクターpBRThrABCR3(Lee KH et al., Molecular Systems Biology (2007) 3:149)を含む野生型大腸菌MG1655に電気穿孔法を用いて取り込んでアンピシリン100μg/mlおよびクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
選別された菌株をそれぞれMG1655/pBRThrABCR3/pCC1BAC−iolT1、MG1655/pBRThrABCR3/pCC1BAC−iolT2およびMG1655/pBRThrABCR3/pCC1BAC−iolT1−iolT2と命名した。
これらの菌株を前記表1の組成を有するスレオニン力価培地を用いて比較例13の方法と同様にしてL−スレオニン産生性を確認し、その結果を下記表3に示す。
その結果、前記表3に示すように、母菌株である大腸菌MG1655菌株は、48時間培養した場合に3.86g/LのL−スレオニンを産生し、この実施例において得られた組換え菌株MG1655/pCC1BAC−iolT1は3.88g/L、MG1655/pCC1BAC−iolT2およびMG1655/pCC1BAC−iolT1−iolT2はそれぞれ3.92g/L、3.85g/LのL−スレオニンを産生した。すなわち、母菌株と略同じレベルのL−スレオニンを産生した。
前記表3に示すように、野生型母菌株である大腸菌MG1655菌株は0.877g/L/hrの糖消耗速度を示したが、MG1655/pCC1BAC−iolT2は1.035g/L/hr、MG1655/pCC1BAC−iolT1は1.109g/L/hr、MG1655/pCC1BAC−iolT1−iolT2は1.123g/L/hrを示した。これは、母菌株に比べてそれぞれ18.0%、26.5%および28.1%向上した糖消耗速度である。
(2)大腸菌KCCM10541を用いた組換え菌株の製造
前記実施例1において製造した組換えベクターpCC1BAC−iolT1、pCC1BAC−iolT2およびpCC1BAC−iolT1−iolT2をそれぞれ母菌株としてL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に電気穿孔法を用いて取り込んでクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
前記実施例1において製造した組換えベクターpCC1BAC−iolT1、pCC1BAC−iolT2およびpCC1BAC−iolT1−iolT2をそれぞれ母菌株としてL−スレオニン産生菌株である大腸菌KCCM10541に電気穿孔法を用いて取り込んでクロラムフェニコール15μg/mlが含まれている固体培地に塗抹して単一コロニーを選別した。
前記選別された菌株をそれぞれKCCM10541/pCC1BAC−iolT1、KCCM10541/pCC1BAC−iolT2およびKCCM10541/pCC1BAC−iolT1−iolT2と命名した。
これらの菌株を前記比較例12において得られた組換え微生物と共に、前記表1の組成を有するスレオニン力価培地を用いて比較例13の方法と同様にしてL−スレオニン産生性を確認し、その結果を下記表4に示す。
その結果、前記表4に示すように、母菌株である大腸菌KCCM10541菌株は、48時間培養した場合に30.3g/LのL−スレオニンを産生し、本発明の前記実施例2−2において得られた組換え菌株KCCM10541/pCC1BAC−iolT2は母菌株よりも2.2g/L向上したL−スレオニン産生性を示し、KCCM10541/pCC1BAC−iolT1およびKCCM10541/pCC1BAC−iolT1−iolT2はそれぞれ29.5g/L、29.9g/LのL−スレオニンを産生した。すなわち、母菌株と略同じレベルのL−スレオニンを産生した。
大腸菌由来のgalP遺伝子の発現が強化された菌株KCCM10541/pCC1BAC−galPおよびKCCM10541/pCL1920−galPは、それぞれ29.8g/Lおよび29.3g/LのL−スレオニンを産生した。
表4に示すように、母菌株である大腸菌KCCM10541菌株は0.823g/L/hrの糖消耗速度を示したが、KCCM10541/pCC1BAC−iolT2は1.093g/L/hr、KCCM10541/pCC1BAC−iolT1−iolT2は1.200g/L/hr、KCCM10541/pCC1BAC−iolT1は1.213g/L/hrを示し、これは、母菌株に比べてそれぞれ32.8%、45.8%および47.4%向上した糖消耗速度である。また、これは、KCCM10541/pCC1BAC−galPおよびKCCM10541/pCL1920−galPの糖消耗速度が母菌株に比べてそれぞれ4.7%、7.4%増加したことと比較したとき、コリネバクテリウムiolT1、iolT2遺伝子取り込み菌株の糖消耗速度が遥かに大幅に向上したことを確認することができる。
前記形質転換された大腸菌KCCM10541/pCC1BAC−iolT1をCA03−0230、KCCM10541/pCC1BAC−iolT2をCA03−0260、KCCM10541/pCC1BAC−iolT1−iolT2をCA03−0231と命名し、2013年02月05日付けで韓国微生物保存センサー(Korean Culture Center of Microorganisms、以下、「KCCM」と略称する。)にそれぞれ受託番号KCCM11370P、KCCM11369PおよびKCCM11371Pで寄託した。
上記の結果は、L−スレオニン産生能を有する大腸菌に大腸菌由来グルコースパーミアーゼの発現を強化した場合よりも、コリネ型微生物由来のパーミアーゼの発現を強化、すなわち、iolT1、iolT2遺伝子を一つ以上取り込んだ場合に糖消耗速度が増加し、同じ濃度のスレオニンを産生するのにかかる時間が短縮されて、すなわち、スレオニン産生性が増加することを裏付ける。
以上の説明から、本発明が属する技術分野における当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態にて実施可能であるということが理解できる筈である。これと関連して、上述した実施形態はあらゆる面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味および範囲並びにその等価概念から導き出されるあらゆる変更例または変形例が本発明の範囲に含まれるものと解釈さるべきである。
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11370P
受託日:2013年02月05日
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11369P
受託日:2013年02月05日
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11371P
受託日:2013年02月05日
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11370P
受託日:2013年02月05日
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11369P
受託日:2013年02月05日
寄託機関名:韓国微生物保存センター(海外)
受託番号:KCCM11371P
受託日:2013年02月05日
Claims (5)
- コリネ型細菌由来の配列番号1または配列番号2に記載のパーミアーゼを含むように形質転換された、向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物。
- 前記エシェリキア属微生物は、大腸菌である、請求項1に記載の向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物。
- 配列番号1および配列番号2のコリネ型由来のパーミアーゼが両方とも含まれるように形質転換された、請求項1に記載の向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物。
- 微生物が大腸菌である、請求項1に記載の向上したL−スレオニン産生能を有する組換えエシェリキア属微生物。
- 請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の微生物を接種して培養するステップと、
前記培養物からL−アミノ酸を分離するステップと、
を含む、L−スレオニンを産生する方法。
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