JP6428541B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、液体現像剤に関する。
液体現像剤では、保存安定性を確保しながら優れた低温定着性を得ることが課題となっている。そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、トナー粒子に用いる結着樹脂として、ガラス転移点が高いポリエステル樹脂を使用している。
特許第4858661号公報
しかしながら、ポリエステル樹脂のガラス転移点を高くすると、熱に対する応答性が悪くなる。こうしたポリエステル樹脂をトナー粒子が含むと、加熱されてもすぐにはトナー粒子が溶解せず、画像むらや定着性不良を発生し易い傾向にある。特許文献1に記載の液体現像剤では、低温定着性及び保存安定性を両立させ、良好な現像性を得ることは困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、低温定着性と、保存安定性と、現像性とに優れる液体現像剤を提供することを目的とする。
本発明の液体現像剤は、トナーと、電気絶縁性を有する液体キャリアとを含有する。トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリステル樹脂とを含む。高化式フローテスターを用いて測定される、トナーの75℃における溶融粘度ηが、100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下である。示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される第1回目の昇温時の吸熱曲線において、トナーのガラス転移点Tg1stが35℃以上45℃以下であり、第2回目の昇温時の吸熱曲線において、トナーのガラス転移点Tg2ndが確認されない。液体現像剤の25℃におけるCasson降伏値が、30mPa以上700mPa以下である。
本発明によれば、低温定着性と、保存安定性と、現像性とに優れる液体現像剤を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、有機化合物名の後に「系」を付けて、有機化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。有機化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が有機化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
本発明の実施形態に係る現像剤は、液体現像剤である。本実施形態に係る液体現像剤は、トナーと、電気絶縁性を有する液体キャリアとを含有する。トナーは、複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、液体キャリア中に分散している。本実施形態に係る液体現像剤は、例えば、湿式の電子写真装置(湿式画像形成装置)で用いることができる。
湿式画像形成装置では、液体現像剤を用いて静電潜像を現像する。現像工程では、像担持体(例えば、感光体)の表面に形成された静電潜像に、トナー粒子を付着させて、感光体上にトナー像を形成する。そして、続く転写工程では、感光体上のトナー像を記録媒体(例えば、紙)に転写する。その後、定着工程では、記録媒体に転写されたトナー像を加熱して定着する。これにより、記録媒体上に画像が形成される。例えば、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4色のトナー像を重ね合せることで、フルカラー画像を形成できる。
本実施形態に係る液体現像剤は、構成(1)、(2)及び(3)を有する。
構成(1):高化式フローテスターを用いて測定される、トナーの75℃における溶融粘度ηが、100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下である。
構成(2):示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される第1回目の昇温時の吸熱曲線において、トナーのガラス転移点Tg1stが35℃以上45℃以下であり、第2回目の昇温時の吸熱曲線において、トナーのガラス転移点Tg2ndが確認されない。
構成(3):25℃におけるCasson降伏値が、30mPa以上700mPa以下である。
本明細書において「結晶性ポリステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、結晶指数が0.90以上1.10未満であることを意味する。ポリエステル樹脂の結晶指数は、ポリエステル樹脂を形成する単量体(例えば、アルコール成分、又はカルボン酸成分)の種類、又は使用量を適宜変更することで調整できる。一方、結晶指数が0.90未満又は1.10以上であるポリエステル樹脂は、非晶性(非晶質)であることを意味する。
トナーの75℃における溶融粘度ηは、トナーの溶融状態(75℃)における粘度である。トナーの75℃における溶融粘度ηは、例えば、以下のようにして求めることができる。高化式フローテスター(株式会社島津製作所社製「CFT−500D」)を用いて、75℃でプランジャーにより荷重を与え、所定の径のノズルからペレット状トナーを押し出す。この際、プランジャー降下量−温度曲線を作成する。作成した曲線からせん断応力及びせん断速度を計算し、トナーの75℃における溶融粘度ηを求めることができる。トナーの75℃における溶融粘度ηの測定方法の詳細は、後述する。
トナーのガラス転移点Tg1stは、示差走査熱量分析装置(DSC、例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)で測定される第1回目の昇温時(1stラン)の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの低温側で観測されるショルダーの外挿線の交点での温度である。トナーのガラス転移点Tg2ndは、示差走査熱量分析装置(DSC、例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)で測定される第2回目の昇温時(2ndラン)の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの低温側で観測されるショルダーの外挿線の交点での温度である。ショルダーは吸熱ピークである。ショルダーが観測されない場合、トナーのガラス転移点Tg2ndは確認されないと判断する。トナーのガラス転移点Tg1st及びTg2ndの測定条件の詳細は、後述する。
液体現像剤のCasson降伏値は、液体現像剤を流動させるために必要な力(降伏応力)の値であり、Cassonの式を用いて求められる降伏値である。Cassonの式の詳細は後述する。液体現像剤のCasson降伏値は、例えば、以下のようにして求めることができる。レオメーター(例えば、アントンパール社製「Physica MCR 301」)を用いて、25℃でせん断速度におけるせん断応力を測定する。せん断速度及びせん断応力をCassonプロットすることで、25℃におけるCasson降伏値を求めることができる。Casson降伏値の測定方法及び算出方法の詳細は、後述する。
構成(1)は、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性の両立に有益である。構成(1)を有する液体現像剤では、トナーの75℃における溶融粘度ηが、100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下である。トナーの溶融粘度ηが上記の数値範囲であると、トナーが加熱された際に適度な粘度を有するため、記録媒体に対して定着し易い。また、常温(例えば、25℃)では、トナーの粘度は十分高いため、トナー粒子同士が融着しにくく、画像形成装置内の部材(例えば、感光体の表面、現像ローラーの表面、又はトナーコンテナの内壁)にも付着しにくい。よって、構成(1)は、液体現像剤の低温定着性と保存安定性とを両立させることができる。
構成(2)は、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性の両立に有益である。構成(2)を有する液体現像剤では、トナーのガラス転移点Tg1stは35℃以上45℃以下である。このようなトナーは、多くの熱量を要せずに記録媒体上に定着させることができ、かつ、保存時にトナー粒子同士が融着しにくいと考えられる。また、構成(2)を有する液体現像剤では、トナーのガラス転移点Tg2ndが確認されない。このようなトナーでは、結晶性ポリエステル樹脂が非晶性ポリエステル樹脂に対して均一に分散していると考えられる。よって、構成(2)は、液体現像剤の低温定着性と保存安定性とを両立させることができる。
構成(3)は、液体現像剤の現像性の向上に有益である。構成(3)を有する液体現像剤は、25℃におけるCasson降伏値が、30mPa以上700mPa以下である。25℃におけるCasson降伏値が30mPa以上であるため、液体現像剤は現像ローラー及び感光体から垂れにくく、それぞれ現像ローラー及び感光体上に形成される液体現像層は、十分な厚み及び均一な厚みを有し易い。また、25℃におけるCasson降伏値が700mPa以下であるため、現像ローラーと感光体とで形成されるニップ領域に、液体現像剤が効率よく供給される。現像ローラーの回転方向におけるニップ領域の手前で、液体現像剤は現像ローラーから垂れにくいため、クリーニング不良が発生しにくい。よって、構成(3)を有する液体現像剤は、現像性に優れる。なお、このような液体現像剤を用いて画像を形成すると、形成される画像では、画像濃度のムラ又は画像濃度の低下が起きにくい。
液体現像剤のCasson降伏値は、例えば、トナーを構成する結着樹脂の酸価や水酸基価の調整により、制御することができる。
本実施形態に係る液体現像剤は、構成(1)〜(3)を満たすトナー粒子を、複数含有する。本実施形態に係る液体現像剤では、トナー粒子が結晶性ポリエステル樹脂を含む。しかし、構成(1)により、液体現像剤のチキソトロピー性を小さくすることができる。チキソトロピー性の小さい液体現像剤は、ハンドリングが容易である。
液体現像剤の低温定着性及び保存安定性をさらに向上させるためには、液体現像剤は、構成(1)〜(3)に加え、次に示す構成(4)及び/又は構成(5)を有することが好ましい。
構成(4):結晶性ポリエステル樹脂は、スチレン系モノマー由来の繰り返し単位と、アクリル酸系モノマー由来の繰り返し単位とを有する。
構成(5):非晶性ポリエステル樹脂の含有量に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有量の比率が、0.30以上0.55以下である。
構成(4)は、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性の両立に有益である。構成(4)を有する液体現像剤では、結晶性ポリエステル樹脂がスチレンモノマー由来の繰り返し単位と、アクリル酸系モノマー由来の繰り返し単位とを有する。このような結晶性ポリエステル樹脂はトナーの剛性を低下させ易い。このため、構成(4)を有する液体現像剤は、構成(1)を有し易い。また、構成(4)を有する液体現像剤では、結晶性ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と相溶し易い。よって、構成(4)は、液体現像剤の低温定着性と保存安定性との両立に寄与し得る。
構成(5)は、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性の両立に有益である。構成(5)を有する液体現像剤では、非晶性ポリエステル樹脂の含有量に対する結晶性ポリエステル樹脂の含有量の比率が、0.30以上0.55以下である。こうした比率を有する結着樹脂を有すると、トナーのTg1stの増加、及びトナーの溶融粘度の増加を抑制させ易い。このため、構成(5)を有する液体現像剤は、構成(1)及び(2)を有し易い。よって、構成(5)は、液体現像剤の低温定着性と保存安定性との両立に寄与し得る。
本発明の実施形態に係る液体現像剤は、既に述べたように、トナーと、電気絶縁性を有する液体キャリアとを含有する。トナーは、複数のトナー粒子を含む。以下、トナー粒子、及び液体キャリアについて説明する。液体現像剤は、帯電制御剤を含んでもよい。さらに、帯電制御剤、及び液体現像剤の調製方法についても説明する。
<1.トナー粒子>
本実施形態の液体現像剤に含有されるトナー粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリステル樹脂とを含む。トナー粒子は、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、又は離型剤)を含有してもよい。なお、トナー粒子が例示した成分の全てを有していることは必須ではなく、トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、離型剤、又は帯電制御剤)を割愛してもよい。以下、結着樹脂、着色剤、及び離型剤を説明する。
(1−1.結着樹脂)
[1−1−1.結晶性ポリエステル樹脂]
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られる。アルコール成分としては2価又は3価以上のアルコールを使用できる。2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジ1,2−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリ1,2−プロパンジオール、又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールA、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
これらのアルコール成分の中では、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいため、炭素原子数2以上8以下の脂肪族ジオールが好ましく、炭素原子数が2以上8以下であるα,ω−アルカンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオール、又は1,6−ヘキサンジオールがさらに好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、アルコール成分中の炭素原子数2以上10以下の脂肪族ジオールの割合が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、アルコール成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
カルボン酸成分としては2価又は3価以上のカルボン酸を使用できる。2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、カルボン酸ハライド、カルボン酸無水物、又は低級アルキルエステルのようなエステル形成性誘導体に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数が1以上6以下であるアルキル基を意味する。
これらのカルボン酸成分の中では、ポリエステル樹脂の結晶化を促進しやすいことから、炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数が2以上16以下であるα,ω−アルカンジカルボン酸がより好ましい。また、カルボン酸成分には、さらに1価のカルボン酸を含んでもよい。1価のカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂を得るためには、カルボン酸成分中の炭素原子数2以上16以下の脂肪族ジカルボン酸が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。同様に、カルボン酸成分に最も多量に含まれる成分(単一の化合物)の含有量が70モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂は、既に述べたようにスチレン系モノマー由来の繰り返し単位と、アクリル酸系モノマー由来の繰り返し単位とを有してもよい。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。これらのスチレン系モノマーは、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのスチレン系モノマーのうち、スチレンが好ましい。
アクリル酸系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸アルキレンオキシド付加物の酸エステル塩が挙げられる。アクリル酸系単量体は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアクリル酸系モノマーのうち、(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうち、メタクリル酸n−ブチルが好ましい。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物酸エステルの塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩が挙げられる。これらのうち、メタクリル酸、アクリル酸ブチル、又はメタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpは、75℃以上85℃以下であることが好ましい。結晶性ポリステル樹脂の融点Mpは、示差走査熱量分析計(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて、求めることができる。結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpの測定方法の詳細は、後述する。
[1−1−2.非晶性ポリエステル樹脂]
非晶性ポリエステル樹脂を調製する場合、得られるポリエステル樹脂の結晶化を抑制する必要がある。ポリエステル樹脂の結晶化抑制方法は、特に限定されないが、一般的な結晶化抑制方法として、例えば以下の方法(1)〜(3)が挙げられる。
方法(1):結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進するアルコール及びカルボン酸を少量だけ使用するか、使用しない方法。
方法(2):アルコール、及びカルボン酸として、それぞれ2種以上の化合物を使用する方法。
方法(3):ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のようなアルコール又は、アルキル置換コハク酸のようなカルボン酸を使用して結晶化を抑制する方法。
これらの結晶化抑制方法の中では、単量体の種類が少なく非晶性ポリエステル樹脂の調製が容易であることから、方法(3)がより好ましい。方法(3)では、アルコール(例えば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物)及びカルボン酸(例えば、アルキル置換コハク酸)の使用量を増やすほど結晶化を抑制しやすい。しかし、これらの単量体の使用量は、得られるポリエステルの結晶性指数と、他の物性とを考慮して、適宜調整されることが好ましい。なお、非晶性ポリエステル樹脂は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmは、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性を両立させ易くするためには、110℃以上145℃以下であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmは、例えば、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて求めることができる。非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmの測定方法の詳細は後述する。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgは、液体現像剤の低温定着性及び保存安定性を両立させ易くするためには、55℃以上65℃以下であることが好ましい。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgは、示差走査熱量分析装置(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)で測定される第1回目の昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの低温側で観測されるショルダーの外挿線の交点での温度である。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgの測定方法の詳細は、後述する。
(1−2.着色剤)
トナー粒子は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
[1−2−1.黒色着色剤]
トナー粒子は、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、又はアニリンブラックが挙げられる。黒色着色剤は、高い絶縁性を有する材料で被覆される黒色着色剤を用いてもよい。黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
[1−2−2.カラー着色剤]
トナー粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含有していてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、有機系顔料、無機系顔料、ニトロ系染料、又は油溶性染料が挙げられる。有機系顔料としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー(1、5、12、15、17、74、93、180、又は185)が挙げられる。無機系顔料としては、例えば、黄色酸化鉄、又は黄土が挙げられる。ニトロ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1が挙げられる。油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー(2、6、14、15、19、又は21)が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド(49、57、81、又は122)、C.I.ソルベントレッド(19、49、又は52)、C.I.ベーシックレッド10、又はC.I.ディスパーズレッド15が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー(15、又は16)、C.I.ソルベントブルー(55、又は70)、C.I.ダイレクトブルー(25、又は86)、又はKET.BLUE111が挙げられる。
(1−3.離型剤)
トナー粒子は、必要に応じて離型剤を含んでいてもよい。離型剤は、液体現像剤に含まれるトナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。液体現像剤に含まれるトナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、100質量部の結着樹脂に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の例としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックス又は酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物性ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物性ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物性ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;又は、脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルの一部又は全部を脱酸化したワックスが挙げられる。
<2.液体キャリア>
本実施形態に係る液体現像剤は、液体キャリアを含有する。液体キャリアは電気絶縁性を有する。液体キャリアには、複数のトナー粒子が分散している。
液体キャリアとしては、例えばキャリアオイルを用いることができる。キャリアオイルとしては、脂肪族炭化水素のノルマルパラフィン系オイル、又は脂肪族炭化水素のイソパラフィン系オイルが挙げられる。高い電気絶縁性を有する有機溶剤も、キャリアオイルとして用いることができる。
本実施形態に係る液体現像剤に含有される液体キャリアは、電気絶縁性を有する。得られる液体現像剤の電気絶縁性を損なわないために、液体キャリアの25℃における体積抵抗は1010Ω・cm以上(換言すれば、電気伝導度が100pS/cm以下)であることが好ましい。
液体キャリアは主に、電気絶縁性の有機溶剤から構成されることが好ましい。液体キャリアを構成する有機溶剤としては、常温で液体として存在する脂肪族炭化水素(より具体的には、n−パラフィン系炭化水素、iso−パラフィン系炭化水素、又はこれらの混合物等)が好ましい。常温で液体として存在する直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素の具体例としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、シクロヘキサン、パークロロエチレン、又はトリクロロエタンが挙げられる。
液体キャリアとして好適な市販品を以下に示す。液体キャリアの市販品の具体例としては、株式会社MORESCO製の「モレスコホワイトP−40」、「モレスコホワイトP−55」、又は「モレスコホワイトP−70」のような流動パラフィンが挙げられる。また、液体キャリアの市販品の具体例としては、さらにコスモ石油株式会社製の「コスモホワイトP−60」、「コスモホワイトP−70」、又は「コスモホワイトP−120」のような流動パラフィンが挙げられる。また、液体キャリアの市販品の具体例としては、さらに出光興産株式会社製の「IPソルベント1620」、又は「IPソルベント2028」のようなイソパラフィン系炭化水素が挙げられる。液体キャリアとしては、比較的分子量が高く、不揮発性のパラフィンオイルが好ましい。
<3.帯電制御剤>
液体現像剤は、帯電制御剤を含んでもよい。帯電制御剤としては、例えば、正帯電性の帯電制御剤、又は負帯電性の帯電制御剤を挙げることができ、所望のトナーの帯電極性により帯電制御剤の帯電極性を選択することができる。
正帯電性の帯電制御剤としては、例えば、アジン化合物、アジン化合物から実質的に構成される直接染料、ニグロシン化合物、ニグロシン化合物から実質的に構成される酸性染料、4級アンモニウム塩、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、又はアルキルアミドが挙げられる。アジン化合物としては、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリンが挙げられる。アジン化合物から実質的に構成される直接染料としては、例えば、アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、又はアジンディープブラック3RLが挙げられる。ニグロシン化合物としては、例えば、ニグロシン、ニグロシン塩、又はニグロシン誘導体が挙げられる。ニグロシン化合物から実質的に構成される酸性染料としては、例えば、ニグロシンBK、ニグロシンNB、又はニグロシンZが挙げられる。4級アンモニウム塩としては、例えば、ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、又はデシルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、正帯電性の帯電制御剤としては、例えば、帯電性を有する樹脂又はオリゴマーが挙げられる。帯電性を有する樹脂又はオリゴマーとしては、例えば、4級アンモニウム塩を有する樹脂若しくはオリゴマー、カルボン酸塩を有する樹脂若しくはオリゴマー、又はカルボキシル基を有する樹脂若しくはオリゴマーが挙げられる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するポリスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル酸系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル酸系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するポリスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル酸系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系樹脂、又はカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂である。
負帯電性の帯電制御剤としては、例えば、有機金属錯体、又はキレート化合物が挙げられる。より具体的には、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、又は3,5−ジターシヤリーブチルサリチル酸クロムが挙げられる。
<4.液体現像剤の製造方法>
液体現像剤の製造方法は、トナー粒子準備工程、トナー粒子分散工程を含む。以下、トナー粒子準備工程、及びトナー粒子分散工程を説明する。
(4−1.トナー粒子準備工程)
トナー粒子準備工程では、例えば、トナー粒子を作製する。トナー粒子は、乾式粉砕法、湿式製造法(例えば、溶解懸濁造粒法)、又は高圧乳化製造法を用いて調製することができる。ここで、乾式粉砕法を例に挙げ、トナー粒子の作製方法を説明する。乾式粉砕法を用いる場合、以下のようにしてトナー粒子を調製することができる。まず、結着樹脂と着色剤とを、流動混合装置(例えば、FMミキサー、日本コークス工業株式会社製「FM20C/I」)を用いて混合する。得られた混合物を、混練機(例えば、二軸押出機、株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて混錬する。得られた混練物を冷却した後、粉砕機(例えば、ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕する。得られた粗粉砕物を、粉砕機(例えば、フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS」)を用いて微粉砕する。これにより、トナー粒子を得る。また、例えば、エルボージェット(日鉄鉱業株式会社製「EJ−LABO型式EJ−L−3」)を用いて、粉砕したトナー粒子を分級してもよい。
(4−2.トナー粒子分散工程)
トナー粒子分散工程では、トナー粒子及び帯電制御剤を液体キャリア中に分散させる。トナー粒子が水性媒体に懸濁した状態(懸濁液)で液体キャリア中への分散に用いられる場合には、トナー粒子を含む懸濁液を乾燥させて、完全に水性媒体を除去した後、乾燥したトナー粒子を液体キャリアに分散させ、帯電制御剤を分散させることにより、液体現像剤を得ることができる。また、トナー粒子が上述の湿式製造法で調製される場合には、トナー粒子を含む懸濁液をドライアップ又はフラッシングすることにより、液体キャリアに分散させることができる。ドライアップは、トナー粒子を含む懸濁液を完全に乾燥させ、乾燥したトナー粒子を液体キャリアに分散させる方法である。フラッシングは、以下の方法で行われる。まず、トナー粒子を含む懸濁液を濾過して水分を除去し、ウェットケーキ状のトナー粒子(含水率10質量%程度)を得る。得られたウェットケーキ状のトナー粒子を液体キャリアに分散し、攪拌しながら減圧留去する。これにより、ウェットケーキ状のトナー粒子に含まれる水性溶媒を、液体キャリアで置換する。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<1.結晶性ポリエステル樹脂の作製>
(1−1.結晶性樹脂Aの作製)
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、窒素導入管、脱水管、攪拌器、加熱器、及び熱電対を備え、容量5Lの4つ口フラスコであった。反応容器に、アルコール成分として1,4−ブタンジオール990質量部及び1,6−ヘキサンジオール242質量部と、カルボン酸成分としてフマル酸1,480質量部と、ハイドロキノン2.5質量部とを投入した。常圧(大気圧)下で反応容器内の温度を170℃に昇温した。反応容器内の温度を170℃に維持し、内容物を5時間反応させた。続けて、反応容器内の温度を210℃に昇温した。反応容器内の温度を210℃に維持し、内容物を1.5時間反応させた。続けて、反応容器内の圧力を8.0kPaとした。反応容器内の圧力を8.0kPaに維持し、内容物を1時間反応させた。反応容器内の圧力を常圧に戻した。
続けて、スチレン−アクリル酸系成分としてスチレン69質量部及びメタクリル酸ブチル54質量部を反応容器内に投入した。反応容器内の圧力を8.0kPaとした。反応容器の圧力を8.0kPaに維持し、内容物を1時間反応させ、結晶性ポリエステル樹脂(結晶性樹脂A)を得た。
(1−2.結晶性樹脂B〜Dの作製)
モノマー(1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、フマル酸、スチレン、及びメチクリル酸ブチル)の含有量を、それぞれ表1に示すモノマーの含有量に変更した以外は、結晶性樹脂Aと同様にして、結晶性ポリエステル樹脂(結晶性樹脂B〜D)を得た。
(1−3.結晶性樹脂Eの作製)
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、窒素導入管、脱水管、攪拌器、加熱器、及び熱電対を備えた、容量5Lの4つ口フラスコであった。反応容器に、アルコール成分として1,4−ブタンジオール1,060質量部及び1,6−ヘキサンジオール220質量部と、カルボン酸成分としてフマル酸1,480質量部と、ハイドロキノン2.5質量部とを投入した。常圧(大気圧)下で反応容器内の温度を170℃に昇温した。反応容器内の温度を170℃に維持し、内容物を5時間反応させた。続けて、反応容器内の温度を210℃に昇温した。反応容器内の温度を210℃に維持し、内容物を1.5時間反応させた。続けて、反応容器内の圧力を8.0kPaとした。反応容器内の圧力を8.0kPaに維持し、内容物を1時間反応させた。反応容器内の圧力を常圧に戻し、結晶性ポリエステル樹脂(結晶性樹脂E)を得た。表1に結晶性樹脂A〜Eの融点、酸価、水酸基価、重量平均分子量、及び数平均分子量をまとめた。また、表1中「−」は、0質量部を示す。
Figure 0006428541
<2.非晶性ポリエステル樹脂の作製>
(2−1.非晶性樹脂Aの作製)
4つ口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を備えた、容量5Lの4つ口フラスコであった。反応容器内に、アルコール成分としてポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテル(BPA−PO)1,700質量部及びポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(BPA−EO)650質量部と、カルボン酸成分としてドデセニル無水コハク酸500質量部及びテレフタル酸400質量部と、酸化ジブチル錫4質量部とを反応容器に投入した。反応容器内の温度を220℃に昇温した。反応容器内の温度を220℃に維持し、内容物を9時間反応させた後、反応容器内の圧力を8.0kPaとした。反応容器内の温度220℃及び反応容器内の圧力8.0kPaを維持し、内容物を2時間反応させ、非晶性ポリエステル樹脂(非晶性樹脂A)を得た。
(2−2.非晶性樹脂B〜Eの作製)
モノマー(BPA−PO、BPA−EO、ドデセニル無水コハク酸、及びテレフタル酸)の含有量を、それぞれ表2に示すモノマーの含有量に変更した以外は、非晶性樹脂Aと同様にして、非晶性ポリエステル樹脂(非晶性樹脂B〜E)を得た。なお、表中「−」は、0質量部を示し、非晶性樹脂の作製に0質量部のモノマーを使用しなかったことを示す。表2に非晶性樹脂A〜Eの軟化点、ガラス転移点、酸価、水酸基価、重量平均分子量、及び数平均分子量をまとめた。また、表2中「−」は、0質量部を示す。
Figure 0006428541
<3.トナーの作製>
(3−1.トナー1の作製)
結着樹脂として結晶性樹脂A(結晶性ポリエステル樹脂)25質量部及び非晶性樹脂A(非晶性ポリエステル樹脂)75質量部と、離型剤としてエステルワックス(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−9」)1質量部、着色剤として黒色顔料(三菱化学株式会社製「MA−10」カーボンブラック)20質量部を投入し、FMミキサー(日本コークス株式会社製「20B」)を用いて混合した。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度6kg/時、軸回転数160rpm、及びシリンダー温度90℃の条件で溶融して混練した。その後、冷却して混練物を得た。得られた混練物を粉砕機(株式会社ホソカワケミクロン製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)で粗粉砕した。粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS」)を用いて、粗粉砕物を微粉砕した。得られた微粉砕物をエルボージェット(日鉄鉱業株式会社製「EJ−LABO型式EJ−L−3」)で分級して、体積中位径(D50)7μmのトナー1を得た。
(3−2.トナー2〜7及びトナーR1〜R14)
結着樹脂の種類及び含有量を、それぞれ表3に示す結着樹脂の種類及び含有量に変更した以外は、トナー1と同様にして、トナー2〜7及びトナーR1〜R14を得た。得られたトナー2〜7及びトナーR1〜R14の体積中位径(D50)は、いずれも7μmであった。表3にトナーの組成をまとめた。
Figure 0006428541
<4.液体現像剤の作製>
(液体現像剤1の作製)
実施例1
トナー1:75質量部と、液体キャリア(株式会社MORESCO製「モレスコホワイト(登録商標)P−55」)210質量部と、帯電制御剤(ISPジャパン株式会社製「アンタロンV−216」)15質量部とを混合した。湿式粉砕時のメディアとしてガラスビーズ(直径1mm)300質量部を、混合物に添加した。サンドミル(株式会社林商店製)を用いて、ベッセル内のスラリー温度を6℃以上10℃以下の範囲に維持して、トナー粒子の体積中位径D50が1μm以上2μm以下となるまで、添加した混合物を湿式粉砕し、液体現像剤1を得た。
(液体現像剤2〜7、及び液体現像剤R1〜R14の作製)
実施例2〜7、及び比較例1〜14
トナー1、液体キャリアの含有量210質量部、及び帯電制御剤の含有量15質量部を、それぞれ表4に示すトナーの種類、液体キャリアの含有量、及び帯電制御剤の含有量に変更した以外は、液体現像剤1と同様にして、液体現像剤2〜7及び液体現像剤R1〜R14を得た。表4に液体現像剤の組成をまとめた。
Figure 0006428541
<5.評価>
実施例及び比較例に係る液体現像剤、トナー、及び樹脂の物性の測定方法について説明する。
(5−1.トナーのガラス転移点Tg1st及びTg2nd、並びに結晶性ポリエステル樹脂の融点Mp)
示差走査熱量分析計(DSC)として、セイコーインスツル株式会社製「DSC6220」を用いた。試料(液体現像剤)からトナーを取出し、測定用試料とした。アルミ皿に5.0mg以上5.2mg以下の測定用試料(トナー)を入れた。続けて、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。アルミ皿上の測定用試料を加熱した。加熱は、以下に示す条件(RUN1)〜(RUN3)で行われた。詳しくは、条件(RUN1)に基づいて測定用試料を10℃から150℃まで昇温し、150℃で3分間維持した。次いで条件(RUN2)に基づいて測定用試料を150℃から10℃まで降温し、10℃で3分間維持した。最後に条件(RUN3)に基づいて測定用試料を再度昇温した。
測定開始温度10℃ 測定終了温度150℃ 昇温速度10℃/分・・・(RUN1)
測定開始温度150℃ 測定終了温度10℃ 降温速度10℃/分・・・(RUN2)
測定開始温度10℃ 測定終了温度150℃ 昇温速度10℃/分・・・(RUN3)
リファレンス(標準物質)の温度と測定用試料の温度との差を測定し、DSC曲線を得た。第1回目の昇温時に測定されたDSC曲線において、融解熱の最大吸熱ピークが観測された。観測された最大ピーク温度を、結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpとした。条件(RUN1)で測定されたDSC曲線(第1回目の昇温時に測定されたDSC曲線)において、ショルダーが最大吸熱ピークの低温側に観測された。観測されたショルダーの外挿線(オンセット)の交点での温度を、トナーのガラス転移点Tg1stとした。条件(RUN2)で測定されたDSC曲線(第2回目の昇温時に測定されたDSC曲線)において、ショルダーが最大吸熱ピークの低温側に観測された場合、観測されたショルダーの外挿線の交点での温度を、トナーのガラス転移点Tg2ndとした。ここで、ショルダーが観測されない場合、Tg2ndは確認されなかったと判断した。なお、ショルダーは吸熱ピークだった。リファレンスには空のアルミ皿を用いた。
(5−2.非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tg)
示差走査熱量分析計(DSC)として、セイコーインスツル株式会社製「DSC6220」を用いた。アルミ皿に5.0mg以上5.2mg以下の測定用試料(非晶性ポリエステル樹脂)を入れた。続けて、DSCの測定部にアルミ皿をセットした。アルミ皿上の測定用試料を加熱した。加熱は、以下に示す条件(RUN4)で行われた。詳しくは、条件(RUN4)に基づいて測定用試料を昇温した。
測定開始温度10℃ 測定終了温度150℃ 昇温速度10℃/分・・・(RUN4)
昇温時に観測される吸熱ピークの外挿線を非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgとした。
(5−3.トナーの溶融粘度η)
試料(液体現像剤)からトナーを取出した。トナー1.8gを秤量し、円柱状の孔が形成された型に入れた。孔の中に円柱状のプランジャーを挿し込み、プランジャーの上から加圧機にて4MPaの圧力を加えた。型の孔から、ペレットを取り出した。ペレットを測定用試料とした。このペレットは実質的にトナーからなり、ペレットの体積は約1.9cm3であり、ペレットの形状は円柱状であった。高化式フローテスター(島津製作所社製「CFT−500D」)を用い、ペレットを、昇温速度4℃/分で加熱しながら、プランジャーにより30kg/cm2の荷重を与え、直径1mm、厚さ1mmのノズルからペレット状トナーを押し出した。この際、プランジャー降下量−温度曲線を作成し、曲線からせん断応力及びせん断速度を計算し、トナーの75℃における溶融粘度ηを求めた。
(5−4.液体現像剤のCasson降伏値)
液体現像剤のCasson降伏値は、レオメーター(アントンパール社製「Physica MCR 301」)を用いて求めた。レオメーターはコーンプレート型であり、コーンプレート(「CP25−1」、コーン角度1°、直径2.5cm)を用いた。試料(液体現像剤)をレオメーターにセットし、ギャップを1mm設定した。常温常湿(温度:25℃、湿度:50%RH)環境下で、せん断速度Sにおけるせん断応力Dを測定した。せん断速度Sは2000(1/s)、1000(1/s)、100(1/s)、及び10(1/s)であった。数式(1)を用いて、得られたS及びDをCassonプロットすることで、Casson降伏値を求めた。
√S=a√D+b・・・(1)
詳しくは、得られたS及びDから、数式(1)を用いて、係数bを算出した。得られた係数bを二乗した値をCasson降伏値とした。なお、数式(1)中a及びbはそれぞれ係数を示す。
(5−5.結着樹脂の酸価、及び水酸基価)
結着樹脂の酸価(AV値)は、JIS(日本工業規格)K0070−1992に記載の方法に従って測定した。結着樹脂の水酸基価(OHV値)は、JIS(日本工業規格)K1557−1に記載の方法に従って測定した。
(5−6.トナー粒子の体積中位径D50
トナー粒子の体積中位径(D50)は、粒度分布測定装置(マルバーン社製「マスターサイザー(登録商標)2000」)を用いて測定した。
(5−7.結着樹脂の重量平均分子量Mw、及び数平均分子量Mn)
数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いる。結着樹脂(結晶性ポリエステル樹脂、又は非晶性ポリエステル樹脂)を、3.0mg/mLの濃度となるようにTHFに投入し、1時間静置させてTHF中に溶解させた。得られたTHF溶液を処理用フィルター(倉敷紡績株式会社製「クロマトディスク25N」、非水系、ポアサイズ:0.45μm)で濾過して、測定用試料溶液を調製した。Mw及びMnの測定は、下記の条件で行われた。具体的には、GPC(東ソー株式会社製「HLC−8220」)を用いて40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させた。その後、温度40℃及び流速1mL/分でTHF溶液をカラムに流した。次いで、測定試料溶液をカラムに注入して、Mw及びMnを測定した。
装置:HLC−8220(東ソー株式会社製)
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
カラム:TSKgel GMHXL(東ソー株式会社製)
カラム本数:2本
検出器:RI
溶出液流速:1mL/分
試料溶液濃度:3.0mg/mL
カラム温度:40℃
試料溶液量:100μL
検量線:標準ポリスチレンを用いて作製
(5−8.非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tm)
高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmの測定を行った。測定用試料(非晶性ポリステル樹脂)を高化式フローテスターにセットし、ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、昇温速度6℃/分の条件で、1cm3の測定用試料を溶融流出させて、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブを得た。得られたS字カーブからTmを読み取る。詳しくは、S字カーブ中のストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とする。S字カーブ中の、ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度を、測定用試料の軟化点Tmとした。
実施例1〜7に係る液体現像剤1〜7、及び比較例1〜14に係る液体現像剤R1〜R14における、トナーのガラス転移点Tg1st及びTg2nd、並びにトナーの溶融粘度ηを表5にまとめた。また、実施例1〜7に係る液体現像剤1〜7、及び比較例1〜14に係る液体現像剤R1〜R14のCasson降伏値を表5にまとめた。
Figure 0006428541
<6.評価方法>
得られた液体現像剤1〜7及び液体現像剤R1〜R14の、低温定着性、保存安定性、及び現像性の評価方法について説明する。
(6−1.低温定着性)
評価機として、液体現像式画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)を用いた。調製した液体現像剤を、評価機の現像部及び液体現像剤用コンテナに投入した。評価機の線速を500mm/秒に設定した。評価機の現像ローラー上に形成されるトナー層厚を5μmに設定した。評価機を用いて、被記録媒体に未定着のソリッド画像を形成した。定着温度70℃で未定着のソリッド画像を定着させた(画像の形成)。ソリッド画像を定着させた被記録媒体上の画像が内側となるように半分に折り曲げた。布帛で覆った1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した(画像へのストレス付与)。次いで、被記録媒体を広げ、折り曲げ部のトナーの剥がれ具合を観察した(はがれの観察)。トナーの剥がれ部分の幅が1mm以下の場合を合格と判定し、1mm超の場合を不合格と判定した(剥がれ具合の判断)。判断結果が「不合格」であった場合、定着温度をさらに5℃上げたこと以外は同様にして上記の画像の形成、画像へのストレス付与、はがれの観察及びはがれ具合の判断を行った。「合格」との判断結果が出るまで、上記の画像の形成、画像へのストレス付与、はがれの観察及びはがれ具合の判断を繰り返した。判断結果が「合格」となった定着温度のうち、最低の定着温度を最低定着温度とした。得られた最低定着温度から、下記の基準に基づいて液体現像剤の低温定着性を評価した。
○(良い):最低定着温度が110℃未満であった。
×(悪い):最低定着温度が110℃以上であった。
(6−2.保存安定性)
作製した現像剤を、熱時保存前の評価用試料とした。粒度分布測定装置(マルバーン社製「マスターサイザー(登録商標)2000」)を用いて、熱時保存前の評価用試料中のトナーの体積中位径を測定した。試料(現像剤)5gを、容量20mLのガラス容器に秤量した。秤量後にガラス容器を密封した。密閉したガラス容器を45℃に設定した恒温器内に3時間静置した。静置後の液体現像剤を、熱時保存後の評価用試料とした。粒度分布測定装置(マルバーン社製「マスターサイザー(登録商標)2000」)を用いて、熱時保存後の評価用試料中のトナーの体積中位径を測定した。測定したトナーの体積中位径から、下記の数式(2)を用いて、凝集度を求めた。得られた凝集度から、下記の基準に基づいて保存安定性を評価した。○(良い)を合格とした。
凝集度(%)=(熱時保存後の体積中位径/熱時保存前の体積中位径)×100・・・(2)
◎(非常に良い):凝集度が120%未満であった。
○(良い) :凝集度が120%以上130%以下であった。
×(悪い) :凝集度が130%超であった。
(6−3.現像性)
評価機として、液体現像式画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「カラープリンタ1A」実験機)を用いた。調製した液体現像剤を、評価機の現像部及び液体現像剤用コンテナに投入した。評価機の現像ローラー上に形成されるトナー層厚を5μmに設定した。現像ローラーに印加する現像電界を400Vに設定した。被記録媒体として、上質普通紙(三菱製紙社製「EP−L紙」)を用いた。評価機を用いて、トナー載り量0.026mg/cm2で被記録媒体上に評価用画像を形成した。評価用画像は、正方形(5cm×5cm)のパターンでソリッド画像(画像濃度100%)の画像であった。反射型濃度測定器(Gretag Macbeth社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて、評価用画像の中心部の反射濃度を測定した。同様にして、現像器にトナーをセットし、高温高湿(50℃80%RH)環境に24時間放置した。その後、高温高湿環下で評価用画像を出力し、画像濃度を測定した。得られた画像濃度に基づいて、以下の基準で、液体現像剤の現像性を評価した。
○(良い):画像濃度は、1.3以上であった。
×(悪い):画像濃度は、1.3未満であった。
実施例1〜7に係る液体現像剤1〜7、及び比較例1〜14に係る液体現像剤R1〜R14に対する、低温定着性、保存安定性、及び現像性の評価結果を表6にまとめた。
Figure 0006428541
液体現像剤1〜7(実施例1〜7に係る液体現像剤)は、前述の構成(1)を有する液体現像剤であった。詳しくは、液体現像剤1〜7は、トナーのTg1stが35℃以上45℃以下の範囲に属し、トナーのTg2ndが確認されず、トナーの溶融粘度が100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下の範囲に属し、Casson降伏値が30mPa以上700mPa以下の範囲に属した。
表6に示すように、実施例1〜7に係る液体現像剤に関しては、低温定着性、及び現像性の評価結果がすべて○(良い)であった。液体現像剤の保存安定性の評価結果は、◎(非常に良い)又は○(良い)であった。
液体現像剤R1〜R14(比較例1〜14に係る液体現像剤)は、前述の構成(1)、(2)及び(3)のうち、少なくとも1つを有しない液体現像剤であった。詳しくは、液体現像剤R1〜R3、及びR6(比較例1〜3、及び6に係る液体現像剤)は、トナーのTg1stが35℃以上45℃以下の範囲に属さず、トナーのTg2ndが確認され、トナーの溶融粘度が100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下の範囲に属さず、Casson降伏値が30mPa以上700mPa以下の範囲に属さなかった。液体現像剤R4〜R5、及びR8(比較例4〜5、及び8に係る液体現像剤)は、トナーのTg1stが35℃以上45℃以下の範囲に属さず、トナーのTg2ndが確認され、トナーの溶融粘度が100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下の範囲に属さなかった。
液体現像剤R9〜R10(比較例9〜10に係る液体現像剤)は、トナーのTg1stが35℃以上45℃以下の範囲に属さなかった。液体現像剤R11(比較例11に係る液体現像剤)は、トナーのTg2ndが確認された。液体現像剤R7及びR12(比較例7及び12に係る液体現像剤)は、トナーの溶融粘度が100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下の数値範囲に属さなかった。液体現像剤R13〜R14(比較例13〜14に係る液体現像剤)は、Casson降伏値が30mPa以上700mPa以下の範囲に属さなかった。
表6に示すように、比較例1〜12に係る液体現像剤に関しては、低温定着性、保存安定性及び現像性の評価結果のうち少なくとも一つが、×(悪い)であった。詳しくは、比較例1〜12に係る液体現像剤の低温定着性の評価結果は、○(良い)又は×(悪い)であった。液体現像剤の保存安定性の評価結果は、◎(非常に良い)又は×(悪い)であった。液体現像剤の現像性の評価結果は、すべて×(悪い)であった。
表6に示すように、比較例1〜3、6及び13〜14に係る液体現像剤に関しては、低温定着性及び現像性の評価結果は、いずれも評価不可であった。詳しくは、比較例3及び13に係る液体現像剤は、現像ローラー及び感光体上で液体現像剤層を維持できず、垂れた。液体現像剤R3及びR13を使用した場合は、クリーニング不良が生じ、評価用画像を形成することができなかった。また、比較例1〜2、6及び14に係る液体現像剤は、現像ローラーの回転方向における、感光体と現像ローラーとの間に形成されるニップ領域の手前から、垂れた。液体現像剤R1〜R2、R6及びR14を使用した場合は、クリーニング不良が生じ、評価用画像を形成することができず、液体現像剤の低温定着性及び現像性を評価できなかった。
実施例1〜7に係る液体現像剤は、比較例1〜14に係る液体現像剤に比べ、低温定着性、保存安定性、及び現像性に優れていた。
本発明に係る液体現像剤は、静電潜像の現像による画像形成に適している。

Claims (4)

  1. トナーと、電気絶縁性を有する液体キャリアとを含有する液体現像剤であって、
    前記トナーは、複数のトナー粒子を含み、
    前記トナー粒子は、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリステル樹脂とを含み、
    高化式フローテスターを用いて測定される、前記トナーの75℃における溶融粘度ηが、100,000Pa・s以上150,000Pa・s以下であり、
    示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される第1回目の昇温時の吸熱曲線において、前記トナーのガラス転移点Tg1stが35℃以上45℃以下であり、第2回目の昇温時の吸熱曲線において、前記トナーのガラス転移点Tg2ndが確認されず、
    25℃におけるCasson降伏値が、30mPa以上700mPa以下であり、
    前記結晶性ポリエステル樹脂は、スチレン系モノマー由来の繰り返し単位と、アクリル酸系モノマー由来の繰り返し単位とを有する、液体現像剤。
  2. 前記非晶性ポリエステル樹脂の含有量に対する前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量の比率が、0.30以上0.55以下である、請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記結晶性ポリエステル樹脂の融点Mpが、75℃以上85℃以下である、請求項1又は2に記載の液体現像剤。
  4. 示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される第1回目の昇温時の吸熱曲線において、前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgが55℃以上65℃以下であり、
    前記非晶性ポリエステル樹脂の軟化点Tmが110℃以上145℃以下である、請求項1〜の何れか一項に記載の液体現像剤。
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