JP2019215481A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供する。【解決手段】本発明のトナーは、トナー粒子を含むトナーである。前記トナー粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。前記トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有する。温度90℃における前記トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、下記式(1)を満たす。温度140℃における前記トナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140は、それぞれ下記式(2)及び(3)を満たす。1.0×103≦G’s90≦1.0×104・・・(1)5.0×102≦G’’c140≦1.0×104・・・(2)3.0≦tanδc140・・・(3)【選択図】なし

Description

本発明は、トナーに関する。
トナーに含まれるトナー粒子は、例えば、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。トナーにおいては、低温定着性及び耐ホットオフセット性を改善するため、例えばトナー粒子の貯蔵弾性率を特定範囲とすることが提案されている(特許文献1及び2)。
WO2017/195526 WO2018/020998
しかし、特許文献1及び2に記載のトナーは、低温定着性及び耐ホットオフセット性(特に低濃度印字での耐ホットオフセット性)において更なる改善の余地があることが本発明者の検討により判明した。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供することである。
本発明のトナーは、トナー粒子を含むトナーである。前記トナー粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。前記トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有する。温度90℃における前記トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、下記式(1)を満たす。温度140℃における前記トナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140は、それぞれ下記式(2)及び(3)を満たす。
1.0×103≦G’s90≦1.0×104・・・(1)
5.0×102≦G’’c140≦1.0×104・・・(2)
3.0≦tanδc140・・・(3)
本発明のトナーは、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粉体の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA−950」)を用いて測定されたメディアン径である。
粉体の個数平均1次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡を用いて測定した1次粒子の円相当径(ヘイウッド径:1次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。粉体の個数平均1次粒子径は、例えば100個の1次粒子の円相当径の個数平均値である。なお、粒子の個数平均1次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均1次粒子径を指す。
帯電性は、何ら規定していなければ、摩擦帯電における帯電性を意味する。摩擦帯電における正帯電性の強さ(又は負帯電性の強さ)は、公知の帯電列などで確認できる。例えばトナーは、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電性トナー用標準キャリア:N−01、正帯電性トナー用標準キャリア:P−01)と混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば帯電量測定装置(Q/mメーター)で測定対象の帯電量を測定し、摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
軟化点(Tm)は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT−500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。
ガラス転移点(Tg)は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて「JIS(日本工業規格)K7121−2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、ガラス転移に起因する変曲点の温度(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点の温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。
材料の「主成分」は、何ら規定していなければ、質量基準で、その材料に最も多く含まれる成分を意味する。
数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)の各々の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
疎水性の強さ(又は親水性の強さ)は、例えば水滴の接触角(水の濡れ易さ)で表すことができる。水滴の接触角が大きいほど疎水性が強い。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
<トナー>
本実施形態に係るトナーはトナー粒子を含む。トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備える。トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有する。温度90℃におけるトナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、下記式(1)を満たす。温度140℃におけるトナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140は、それぞれ下記式(2)及び(3)を満たす。
1.0×103≦G’s90≦1.0×104・・・(1)
5.0×102≦G’’c140≦1.0×104・・・(2)
3.0≦tanδc140・・・(3)
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。本実施形態に係るトナーは、1成分現像剤として使用してもよい。本実施形態に係るトナーは、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてキャリアと混合して2成分現像剤として使用してもよい。本実施形態に係るトナーは、1成分現像剤として使用する場合、現像装置内において現像スリーブ又はトナー帯電部材と摩擦することで正に帯電する。トナー帯電部材としては、例えば、ドクターブレードが挙げられる。本実施形態に係るトナーは、2成分現像剤を構成する場合、現像装置内においてキャリアと摩擦することで正帯電する。
本実施形態に係るトナーは、上述の構成を備えることにより、低温定着性及び耐ホットオフセット性(特に低濃度印字での耐ホットオフセット性)に優れる。ここで、トナー粒子が変形する場合、歪み−ストレス図として一般的に知られているように、小さな歪みでは弾性変形し、大きな歪みでは粘性変形する。そして、定着時のトナー粒子は、弾性変形している場合にはホットオフセット(定着ローラにトナーが付着する現象)が生じ難いが、粘性変形している場合には破断によるホットオフセットが生じ易い。そのため、ホットオフセットを抑制するためには、トナー粒子の弾性係数を高くするか、又は弾性変形領域を拡大することが重要となる。また、一般的に、低濃度印字の定着では、高濃度印字の定着よりも低い定着温度でホットオフセットが生じる傾向にある。これは、高濃度印字の定着では、隣接するトナー粒子間に働く接着力と、トナー粒子及び記録媒体との間に働く接着力とでトナー粒子が記録媒体に保持されるのに対し、低濃度印字の定着では、主に記録媒体との間に働く接着力のみでトナー粒子が記録媒体に保持されるためである。そのため、ホットオフセットの抑制においては、低濃度印字でのホットオフセットを抑制することが特に重要となる。
本発明者は、鋭意検討の結果、シェル層を備えるトナー粒子を用いた低濃度印字では、トナー粒子の粘弾性よりも、トナーコアの粘弾性がホットオフセットの抑制に影響が大きいことを見出した。即ち、高濃度印字の定着時には、溶融したトナー粒子の表面にはトナーコアに由来する成分とシェル層に由来する成分とがそれぞれ露出しているため、トナーコアの粘弾性及びシェル層の粘弾性がいずれも重要となる。一方、低濃度印字の定着時には、トナー粒子は、トナーコアが溶け広がることで記録媒体との接着面積を確保しているため、その表面には主にトナーコアが露出している。以上から、低濃度印字の定着では、トナー粒子の粘弾性よりもトナーコアの粘弾性がホットオフセット性に影響すると判断される。具体的には、高温でのトナーコアの弾性率が高く、かつ弾性変形領域が広いこと、即ちG’’c140及びtanδc140がそれぞれ式(2)及び(3)を満たすことで、トナーに優れた耐ホットオフセット性(特に低濃度印字での耐ホットオフセット性)を付与できる。また、トナー粒子の低温での弾性率を適度に低くすること、即ちG’s90が式(1)を満たすようにすることで、トナーに優れた低温定着性を付与できる。
温度90℃におけるトナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、式(1)で表されるように、1.0×103以上1.0×104以下である。トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90を1.0×103以上とすることで、耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供できる。一方、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90を1.0×104以下とすることで、低温定着性に優れるトナーを提供できる。貯蔵弾性率G’s90は、低温定着性に更に優れるトナーを提供する観点から、下記式(1’)を満たすことがより好ましい。
1.0×103≦貯蔵弾性率G’s90≦5.0×103・・・(1’)
温度140℃におけるトナーコアの損失弾性率G’’c140は、式(2)で表されるように、5.0×102以上1.0×104以下である。トナーコアの損失弾性率G’’c140を5.0×102以上とすることで、耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供できる。トナーコアの損失弾性率G’’c140を1.0×104以下とすることで、低温定着性に優れるトナーを提供できる。損失弾性率G’’c140は、低温定着性及び耐ホットオフセット性に更に優れるトナーを提供する観点から、下記式(2’)を満たすことがより好ましい。
5.0×102≦損失弾性率G’’c140≦6.0×103・・・(2’)
温度140℃におけるトナーコアの損失正接tanδc140は、式(3)で表されるように、3.0以上である。損失正接tanδc140を3.0以上とすることで、耐ホットオフセット性に優れるトナーを提供できる。損失正接tanδc140は、低温定着性に更に優れるトナーを提供する観点から、下記式(3’)を満たすことがより好ましく、下記式(3’’)を満たすことが更に好ましい。
3.0≦tanδc140≦4.0・・・(3’)
3.0≦tanδc140≦3.5・・・(3’’)
シェル層は、実質的に樹脂から構成される。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂から構成されてもよいし、実質的に熱可塑性樹脂から構成されてもよいし、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との両方を含有してもよい。例えば、低温で溶融するトナーコアを、耐熱性に優れるシェル層で覆うことで、トナーの耐熱保存性及び低温定着性の両立を図ることが可能になる。シェル層を構成する樹脂中には、添加剤が分散していてもよい。シェル層は、トナーコアの表面全体を覆っていてもよく、トナーコアの表面を部分的に覆っていてもよい。
低温定着性を維持しつつ、耐熱保存性に優れるトナーを得る観点から、シェル層の厚さとしては1nm以上400nm以下が好ましい。シェル層の厚さは、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、染色したトナー粒子の断面のTEM(透過電子顕微鏡)撮影像を解析することによって計測できる。なお、1つのトナー粒子においてシェル層の厚さが均一でない場合には、均等に離間した4箇所(詳しくは、トナー粒子の断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がシェル層と交差する4箇所)の各々でシェル層の厚さを測定し、得られた4つの測定値の算術平均を、そのトナー粒子の評価値(シェル層の厚さ)とする。
トナーコアの表面において、シェル層で覆われた領域の面積割合(シェル層の被覆率)としては、90%以上100%以下が好ましく、95%以上100%以下がより好ましい。シェル層の被覆率を90%以上とすることで、耐熱保存性に優れるトナーを得ることができる。シェル層の被覆率は、市販の画像解析ソフトウェア(例えば、三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてトナー粒子の断面のTEM(透過電子顕微鏡)撮影像を解析することによって測定できる。詳しくは、染色したトナー粒子の断面のTEM撮影像において、トナーコアの表面領域(外縁を示す輪郭線)のうちシェル層で覆われた領域の割合を測定することにより、シェル層の被覆率が得られる。
トナーコアの質量に対するシェル層の質量が大きいほど、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が増大する傾向にある。以上から、シェル層の質量としては、トナーコア100質量部に対して、0.6質量部以上6.0質量部以下が好ましく、1.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。シェル層の質量を0.6質量部以上6.0質量部以下とすることで、容易かつ確実にトナー粒子の貯蔵弾性率G’s90を所望の範囲に調整することができる。
良好な画像を形成する観点から、トナー粒子の体積中位径(D50)としては、4μm以上9μm以下が好ましい。
[トナーコア]
トナーコアは、結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有する。トナーコアは、必要に応じて、他の樹脂や内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉の少なくとも1つ)を更に含有してもよい。
(ポリエステル樹脂)
トナーコアがポリエステル樹脂を含有することで、低温定着性に優れたトナーを提供できる。トナーコアにおけるポリエステル樹脂の含有割合としては、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。トナーコアにおけるポリエステル樹脂の含有割合としては、95質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。トナーコアに含まれる全樹脂成分に対するポリエステル樹脂の含有割合としては、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%が更に好ましい。
ポリエステル樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。トナーコアが含有するポリステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。トナーコアが結晶性ポリエステル樹脂を含有することで、トナー粒子にシャープメルト性を付与することができ、その結果、優れた耐熱保存性と特に優れた低温定着性とをトナーに付与できる。トナーコアが含有するポリステル樹脂において、非晶性ポリエステル樹脂の含有割合(100×非晶性ポリエステル樹脂の質量/結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂の合計質量)としては、60質量%以上95質量%以下が好ましく、75質量%以上90質量%以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂としては、ガラス転移点が40℃以下、軟化点が100℃以下の第1非晶性ポリエステル樹脂と、ガラス転移点が40℃超、軟化点が100℃超の第2非晶性ポリエステル樹脂とが挙げられる。第1非晶性ポリエステル樹脂の含有量が多いと、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90及びトナーコアの損失弾性率G’’c140がそれぞれ低下する傾向にある。また、第2非晶性ポリエステル樹脂の含有量が多いと、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90及びトナーコアの損失弾性率G’’c140がそれぞれ増大する傾向にある。更に、第1非晶性ポリステル樹脂及び第2非晶性ポリステル樹脂の含有量が同程度であるほどトナーコアの損失正接tanδc140が増大する傾向にある。
以上から、トナーコアが含有するポリステル樹脂において、第1非晶性ポリエステル樹脂及び第2非晶性ポリエステル樹脂の合計質量に対する第1非晶性ポリエステル樹脂の質量比率は、30%以上70%以下が好ましく、40%以上60%以下がより好ましい。第1非晶性ポリエステル樹脂の質量比率を上述の範囲とすることで、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90と、トナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140とをそれぞれ所望の範囲に調整し易くなる。
第1非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点としては、0℃以上40℃以下が好ましく、20℃以上35℃以下がより好ましい。第1非晶性ポリエステル樹脂の軟化点としては、70℃以上100℃以下が好ましく、80℃以上95℃以下がより好ましい。
第2非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点としては、40℃超70℃以下が好ましく、45℃以上60℃以下がより好ましい。第2非晶性ポリエステル樹脂の軟化点としては、100℃超140℃以下が好ましく、105℃以上120℃以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂は、1種以上の多価アルコールと1種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するためのアルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、ジオール類、ビスフェノール類等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するためのカルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸ハライド等の縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体を使用してもよい。また、ポリエステル樹脂の合成においては、多価アルコール及び多価カルボン酸以外の他のモノマー(多価アルコール及び多価カルボン酸のいずれでもないモノマー)を用いてもよい。
ジオール類の好適な例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、1,4−ベンゼンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノール類の好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
他のモノマーとしては、例えば、炭素原子数2以上12以下のα,ω−アルカンジオールと、炭素原子数4以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸と、スチレン系モノマーと、アクリル酸系モノマーとが挙げられる。
炭素原子数2以上12以下のα,ω−アルカンジオールとしては、例えば、エチレングリコール(炭素原子数2のα,ω−アルカンジオール)が挙げられる。炭素原子数4以上10以下のα,ω−アルカンジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(炭素原子数10のα,ω−アルカンジカルボン酸)が挙げられる。スチレン系モノマーの例としては、スチレン、アルキルスチレン(より具体的には、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、又は4−tert−ブチルスチレン等)、ヒドロキシスチレン(より具体的には、p−ヒドロキシスチレン、又はm−ヒドロキシスチレン等)、又はハロゲン化スチレン(より具体的には、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、又はp−クロロスチレン等)が挙げられる。アクリル酸系モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、テレフタル酸及びアジピン酸を原料とするポリエステル樹脂、又はビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、テレフタル酸及びトリメリット酸を原料とするポリエステル樹脂が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂としては、エチレングリコール、セバシン酸、スチレン、及びメタクリル酸n−ブチルを原料とするポリエステル樹脂が好ましい。
(着色剤)
トナーコアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質な画像を形成する観点から、着色剤の含有量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
トナーコアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナーコアは、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
トナーコアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、トナーに更に優れた耐ホットオフセット性を付与する目的で使用される。トナーコアが離型剤を含有する場合、トナーに更に優れた耐ホットオフセット性を付与する観点から、離型剤の含有量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下がより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合体、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、ライスワックス等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス;脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックス(例えば、脱酸カルナバワックス)を好適に使用できる。離型剤としては、エステルワックスが好ましい。
トナーコアが離型剤を含有する場合、ポリエステル樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナーコアに更に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナーコアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、優れた帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を有するトナーを提供する目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。トナーコアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、トナーコアのカチオン性を強めることができる。
正帯電性の電荷制御剤の例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;ナフテン酸の金属塩類;高級有機カルボン酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩が挙げられる。
トナーコアが電荷制御剤を含有する場合、帯電安定性に優れたトナーを提供する観点から、電荷制御剤の含有量としては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
(磁性粉)
トナーコアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。
[シェル層]
シェル層は、例えば主成分としてシェル樹脂を含有する。シェル層としては、実質的にシェル樹脂から構成されている層(例えばシェル樹脂の含有割合が90質量%以上である層)が好ましく、シェル樹脂のみを含有する層がより好ましい。
シェル樹脂としては、オキサゾリン基を有する樹脂、及びエポキシ基を有する樹脂が好ましい。エポキシ基を有する樹脂におけるエポキシ基は、グリシジル基を構成していてもよい。これらの樹脂をシェル樹脂として用いることで、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90を所望の範囲に調整し易くなる。オキサゾリン基を有する樹脂におけるオキサゾリン基のうち少なくとも一部は、トナーコア中のポリエステル樹脂と架橋していてもよい。同様に、エポキシ基を有する樹脂におけるエポキシ基のうち少なくとも一部は、トナーコア中のポリエステル樹脂と架橋していてもよい。
オキサゾリン基を有する樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む重合体(以下、重合体(1)と記載することがある)が挙げられる。重合体(1)は、他のビニル化合物に由来する繰り返し単位を更に有していてもよい。他のビニル化合物としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、及びスチレンが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましく、メタクリル酸メチルが更に好ましい。
Figure 2019215481
一般式(I)中、R1は、水素原子、又はフェニル基で置換されていてもよいアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。
エポキシ基を有する樹脂としては、例えば、エポキシ基を有する1種以上のビニル化合物と、エポキシ基を有しない1種以上のビニル化合物との共重合体が挙げられる。こうした樹脂では、エポキシ基を有するビニル化合物とエポキシ基を有しないビニル化合物との配合比、各ビニル化合物の種類、又は重合条件などを変えることによって、樹脂に含まれるエポキシ基の量を容易に調整できる。ビニル化合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、アクリロニトリル、及びスチレンが挙げられる。エポキシ基を有するビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。エポキシ基を有する樹脂としては、(メタ)アクリル酸グリシジル及び(メタ)アクリル酸メチルの共重合体が好ましい。
シェル樹脂の重量平均分子量としては、5,000以上50,000以下が好ましく、5,000以上30,000以下がより好ましい。特に、シェル樹脂がオキサゾリン基を有する樹脂である場合、その重量平均分子量としては、8,000以上20,000以下が好ましく、8,000以上15,000以下がより好ましい。また、シェル樹脂がエポキシ基を有する樹脂である場合、その重量平均分子量としては、10,000以上25,000以下が好ましく、15,000以上20,000以下がより好ましい。
良好な画像を形成する観点から、シェル層の厚さとしては、10nm以上100nm以下が好ましい。
[外添剤]
トナー粒子は、トナーコア及びシェル層(以下、これらにより構成される粒子をトナー母粒子と記載することがある)のみを備えていてもよいが、トナー母粒子の表面に付着した外添剤を更に備えていてもよい。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましい。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウム等)の粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ粒子が好ましい。無機粒子の個数平均1次粒子径としては、1nm以上100nm以下が好ましく、5nm以上40nm以下がより好ましい。
トナー粒子が無機粒子を含有する場合、トナー粒子における無機粒子の含有量としては、トナー母粒子100質量部に対し、0.01質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下がより好ましい。
[トナーの製造方法]
以下、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。トナーの製造方法は、トナーコアを調製する工程(トナーコア調製工程)と、前記トナーコアの表面をシェル層で被覆し、トナー母粒子を調製する工程(シェル層形成工程)とを備える。これにより、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備えるトナー母粒子が得られる。得られたトナー母粒子は、そのままトナー粒子として用いてもよく、外添剤を表面に付着させてからトナー粒子として用いてもよい。即ち、トナーの製造方法は、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる工程(外添工程)を更に備えても良い。以下、各工程について詳説する。
[トナーコア調製工程]
本工程では、トナーコアを調製する。トナーコアを調製する方法としては、特に限定されず、公知の粉砕法又は公知の凝集法を用いることができるが、粉砕法を用いることが好ましい。
粉砕法の一例では、まず、ポリエステル樹脂、及び必要に応じて添加される内添剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。これにより、トナーコアが得られる。
凝集法の一例では、まず、ポリエステル樹脂、及び必要に応じて添加される内添剤の各々の微粒子を含む水性媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、ポリエステル樹脂等を含有する凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含有される成分を合一化させる。これにより、トナーコアが得られる。
[シェル層形成工程]
本工程では、トナーコアの表面をシェル層で被覆する。トナーコアの表面をシェル層で被覆する方法としては、例えば、in−situ重合法、液中硬化被膜法、及びコアセルベーション法が挙げられる。より具体的には、水性媒体中に、シェル層を形成するための原料(シェル原料)と、トナーコアとを入れた後、その水性媒体を加熱することにより、シェル原料の反応(例えば熱硬化反応)をトナーコアの表面で進行させて、トナーコアの表面にシェル層を形成する方法が挙げられる。この方法では、シェル原料の使用量(固形分換算値)を変更することにより、シェル層の厚さを調整できる。
[外添工程]
本工程では、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる具体的方法としては、例えば、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製「マルチパーパスミキサ」)を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合する。これにより、トナー母粒子と、トナー母粒子の表面に付着した外添剤とを備えるトナー粒子を含むトナーが得られる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<トナーの製造>
以下の方法により、実施例及び比較例のトナーを製造した。
[トナー母粒子の製造]
以下の方法により、トナーコア及びシェル層を有するトナー母粒子を得た。まず、トナーコアに用いるポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B及び結晶性ポリエステル樹脂A)を合成した。ポリエステル樹脂の合成では、温度計、ガラス製の窒素導入管、攪拌装置(ステンレススチール製の攪拌羽根)、及び流下式コンデンサー(熱交換器)を備えた容量10Lの4つ口フラスコを反応容器として用いた。
(非晶性ポリエステル樹脂Aの合成)
反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100gと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100gと、テレフタル酸50gと、アジピン酸30gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを投入した。続けて、窒素導入管を通じて反応容器内に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素雰囲気(不活性雰囲気)にした。続けて、窒素雰囲気で、内容物を攪拌しながら温度235℃まで昇温させた。更に、窒素雰囲気かつ温度235℃の条件で、内容物を攪拌しながら、樹脂原料(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸及びアジピン酸)が全て溶解するまで内容物を反応(縮重合反応)させた。続けて、反応容器内を減圧し、減圧雰囲気(絶対圧力8.0kPa)かつ温度235℃の条件で、反応生成物(ポリエステル樹脂)のガラス転移点(Tg)が30℃、軟化点(Tm)が90℃に達するまで反応を行った。これにより、非晶性ポリエステル樹脂Aが得られた。非晶性ポリエステル樹脂Aは、実施形態で説明した第1非晶性ポリエステル樹脂であった。
(非晶性ポリエステル樹脂Bの合成)
反応容器内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物100gと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物100gと、テレフタル酸60gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを投入した。続けて、窒素導入管を通じて反応容器内に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素雰囲気(不活性雰囲気)にした。続けて、窒素雰囲気で、反応容器の内容物を攪拌しながら温度235℃まで昇温させた。更に、窒素雰囲気かつ温度235℃の条件で内容物を攪拌しながら、樹脂原料(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、及びテレフタル酸)が全て溶解するまで内容物を反応(縮重合反応)させた。続けて、反応容器に無水トリメリット酸10gを投入した後、反応容器内を減圧し、減圧雰囲気(絶対圧力8.0kPa)かつ温度235℃の条件で、反応生成物(ポリエステル樹脂)のTgが50℃、Tmが110℃に達するまで反応を行った。これにより、非晶性ポリエステル樹脂Bが得られた。非晶性ポリエステル樹脂Bは、実施形態で説明した第2非晶性ポリエステル樹脂であった。
(結晶性ポリエステル樹脂Aの合成)
反応容器内に、エチレングリコール69gと、セバシン酸214gと、2−エチルヘキサン酸錫(II)54gとを投入した。続けて、反応容器をマントルヒーターにセットした。そして、窒素導入管を通じて反応容器内に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素雰囲気(不活性雰囲気)にした。続けて、窒素雰囲気で、内容物を攪拌しながら2時間かけて温度235℃まで昇温させた。昇温後、窒素雰囲気かつ温度235℃の条件で、反応率が95質量%以上に達するまで内容物を攪拌しながら反応(縮重合反応)させた。反応率は、式「反応率=100×実際の反応生成水量/理論生成水量」に従って計算した。
反応後、反応容器の内容物を160℃まで冷却し、スチレン156gとメタクリル酸n−ブチル195gとジ−tert−ブチルペルオキシド0.5gとの混合液を一定速度で1時間かけて反応容器内に滴下した。滴下終了後、内容物の温度を160℃に保ちながら内容物を更に30分間攪拌した(熟成)。熟成後、反応容器内を昇温及び減圧し、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度200℃の条件で内容物を1時間反応させた。反応後、反応容器の内容物を180℃まで冷却した。冷却後、反応容器内を常圧に戻し、反応容器内にラジカル重合禁止剤(4−tert−ブチルカテコール)を加えた。その後、一定速度で2時間かけて内容物を温度210℃まで昇温させた後、温度210℃で1時間反応させた。反応後、反応容器内を減圧し、減圧雰囲気(圧力40kPa)かつ温度210℃の条件で内容物を更に2時間反応させた。その結果、結晶性ポリエステル樹脂Aが得られた。
(トナーコアの製造)
以下の方法により、トナーコア(C−1)を製造した。FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−20B」)を用いて、非晶性ポリエステル樹脂Aを35.0質量部と、非晶性ポリエステル樹脂Bを35.0質量部と、結晶性ポリエステル樹脂Aを12.0質量部と、離型剤(エステルワックス:日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP−8」)9.0質量部と、着色剤(カーボンブラック:三菱化学株式会社製「MA100」)9.0質量部とを混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度100g/分、軸回転速度150rpm、設定温度(シリンダー温度)100℃の条件で溶融混練した。溶融混練後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて、設定粒子径2mmの条件で粗粉砕した。粗粉砕後、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルRS型」)を用いて微粉砕した。微粉砕後、得られた微粉砕物を、分級機(コアンダ効果を利用した風力分級機:日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.7μmのトナーコア(C−1)が得られた。
以下の点を変更した以外は、トナーコア(C−1)の製造と同様の方法により、トナーコア(C−2)〜(C−3)及び(c−1)〜(c−3)を製造した。具体的には、原料として使用するポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂A、非晶性ポリエステル樹脂B及び結晶性ポリエステル樹脂A)、離型剤及び着色剤の使用量を下記表1に示す通りとした。
トナーコア(C−1)〜(C−3)及び(c−1)〜(c−3)が含有するポリステル樹脂において、非晶性ポリエステル樹脂の含有割合(100×非晶性ポリエステル樹脂の質量/結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂の合計質量)は、いずれも85.4質量%であった。また、トナーコア(C−1)〜(C−3)及び(c−1)〜(c−3)が含有する非結晶性ポリステル樹脂において、第1非晶性ポリエステル樹脂及び第2非晶性ポリエステル樹脂の合計質量に対する第1非晶性ポリエステル樹脂の質量比率は、以下の通りであった。
第1非晶性ポリエステル樹脂の質量比率
トナーコア(C−1):50.0%
トナーコア(C−2):35.7%
トナーコア(C−3):64.3%
トナーコア(c−1):7.1%
トナーコア(c−2):21.4%
トナーコア(c−3):92.9%
(シェル原料1の準備)
シェル原料1として、オキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS−700」、モノマー組成:メタクリル酸メチル/2−ビニル−2−オキサゾリン/アクリル酸ブチル、固形分濃度:25質量%)を準備した。
(シェル原料2の合成)
還流冷却器、窒素導入管、攪拌装置、及び温度計を備えた容量0.3Lのセパラブルフラスコを温度30℃のウォーターバスにセットした。続けて、フラスコ内にメタクリル酸グリシジル10gと、メタクリル酸メチル20gと、連鎖移動剤(BTBTPB:(1,4−ビス(2−チオベンジルチオ)プロプ−2−イル)ベンゼン)1.165gと、開始剤(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))0.82gと、溶剤としてのメチルエチルケトン40mL及びトルエン20mLとを投入した。続けて、窒素ガスでフラスコ内容物を15分間バブリングした後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を72℃に昇温させた。昇温後、フラスコ内容物を6時間反応させた後、フラスコ内容物(反応生成物)を純水90gに投入して、水相と溶剤相の2相に分離させた。水相を分離することで、シェル原料2を得た。得られたシェル原料2(グリシジル基含有高分子水溶液)は、グリシジル基の量9.2mmol/g、質量平均分子量(Mw)17,000のアクリル酸系樹脂が溶解した固形分濃度25質量%の水溶液であった。
以下の方法により、トナーコア(C−1)にシェル原料1を用いてシェル層を形成し、これにより実施例1のトナーを製造した。
(シェル層の形成)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコをウォーターバスにセットし、フラスコ内にイオン交換水100mLを投入した。その後、ウォーターバスを用いてフラスコ内の温度を30℃とし、この温度を保持した。続けて、8g(8.7質量部、固形分換算値:2.2質量部)のシェル原料1をフラスコ内に添加し、フラスコ内容物を攪拌した。攪拌後、トナーコア(C−1)92g(100.0質量部)をフラスコ内に添加して、フラスコ内容物を回転速度200rpmで1時間攪拌した。
続けて、フラスコ内にイオン交換水100mLを添加した。添加後、濃度1質量%アンモニア水溶液4mLをフラスコ内に更に添加した。続けて、回転速度150rpmでフラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内の温度を0.5℃/分の速度で64℃まで昇温させた。
昇温後、フラスコ内の温度を64℃に保ちながら、回転速度100rpmでフラスコ内容物を1時間攪拌した。攪拌後、フラスコ内容物のpHを7に調整した。pHの調整には、濃度1質量%アンモニア水溶液を使用した。pHの調整後、フラスコ内容物を常温(約25℃)まで冷却し、トナー母粒子を含む分散液を得た。
(洗浄工程)
上述の方法により得られたトナー母粒子の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を得た。その後、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に再度分散させた。分散後の分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状のトナー母粒子を再度得た。この分散及びろ過を計5回繰り返して、トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
洗浄後のウェットケーキ状のトナー母粒子を、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で乾燥させた。その結果、乾燥したトナー母粒子の粉体が得られた。
(外添工程)
容量1LのFMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、乾燥したトナー母粒子100質量部と、正帯電性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、内容:表面処理により正帯電性が付与された乾式シリカ粒子、個数平均1次粒子径:約20nm)3質量部とを5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子)を付着させた。その後、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別を行った。その結果、トナー粒子を含む実施例1のトナーが得られた。
以下の点を変更した以外は実施例1のトナーの製造方法と同様に操作することにより、実施例2〜6及び比較例1〜4のトナーを得た。具体的には、実施例1のトナーの製造では、トナーコアとしてトナーコア(C−1)を100.0質量部用い、かつシェル原料としてシェル原料1を8.7質量部用いた。一方、実施例2〜6及び比較例1〜4のトナーの製造では、下記表1に示す種類及び使用量のトナーコア及びシェル原料を用いた。
各実施例及び比較例で用いたトナーコア及びシェル原料の具体的な種類及び使用量を以下に示す。シェル原料及びトナーコアは、合計添加量が100gとなるように添加した。
実施例1のトナー:トナーコア(C−1)92g、及びシェル原料1を8g
実施例2のトナー:トナーコア(C−2)92g、及びシェル原料1を8g
実施例3のトナー:トナーコア(C−3)92g、及びシェル原料1を8g
実施例4のトナー:トナーコア(C−1)96g、及びシェル原料1を4g
実施例5のトナー:トナーコア(C−1)88g、及びシェル原料1を12g
実施例6のトナー:トナーコア(C−1)92g、及びシェル原料2を8g
比較例1のトナー:トナーコア(c−1)92g、及びシェル原料1を8g
比較例2のトナー:トナーコア(C−1)98g、及びシェル原料1を2g
比較例3のトナー:トナーコア(c−2)88g、及びシェル原料1を12g
比較例4のトナー:トナーコア(c−3)88g、及びシェル原料1を12g
Figure 2019215481
(トナー粒子の粘弾性の測定)
実施例1〜6及び比較例1〜4のトナーについて、以下の方法により温度90℃におけるトナー粒子の貯蔵弾性率G’s90と、温度140℃におけるトナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140とを測定した。測定結果を下記表2に示す。
トナー(測定対象:実施例1〜6及び比較例1〜4のトナーの何れか)0.1gをペレット成形機にセットし、圧力4MPaを加えることにより、直径10mm、厚さ1.5mmの円柱状のペレットを得た。続けて、得られたペレットを測定装置にセットした。測定装置としては、レオメーター(アントンパール社製「Physica MCR−301」)を用いた。測定装置のシャフト(詳しくは、モーターで駆動されるシャフト)の先端には、測定治具(パラレルプレート)を取り付けた。ペレットは、測定装置のプレート(詳しくは、ヒーターで加熱されるヒート台)上に載せた。プレート上のペレットを110℃まで加熱して、ペレット(トナーの塊)を一度溶融させた。トナー全体が溶融したところで、溶融したトナーに上から測定治具(パラレルプレート)を密着させて、平行な2枚のプレート(上:測定治具、下:ヒート台)の間にトナーを挟んだ。そして、トナーを10℃まで冷却した。その後、測定装置を用いて、測定温度範囲100℃〜200℃、昇温速度2℃/分、振動周波数1Hz、ひずみ1%の条件で、トナーの貯蔵弾性率温度依存性曲線(縦軸:貯蔵弾性率、横軸:温度)を測定した。そして、得られた貯蔵弾性率温度依存性曲線から、温度90℃におけるトナーの貯蔵弾性率G’s90を読み取った。
実施例1〜6及び比較例1〜4の各々のトナー50gを水450g中に分散させ、トナー分散液を得た。得られたトナー分散液をビーズミル(アイメックス社製「ウルトラビスコミル」)を用いて湿式粉砕を行いった。湿式粉砕は、粒度測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー4」)により測定される体積中位径(D50)が粉砕前の2/3に達するまで続けた。次いで、粉砕後のトナー分散液について、遠心分離法によりトナー粒子からの外殻のシェル層を除去することにより、トナーコア分散液を得た。遠心分離には、冷却高速遠心機(コクサン社製「H−2000B」)を用いた。遠心分離は、回転速度9000rpmにて、2μm以下の粒子比率が3体積%以下になるまで行った。得られたトナーコア分散液を乾燥させることによりトナーコアを得た。得られたトナーコアについて、上述のトナーの貯蔵弾性率温度依存性曲線の測定と同様の方法により貯蔵弾性率温度依存性曲線の測定を行った。そして、得られた貯蔵弾性率温度依存性曲線から、温度140℃におけるトナーコアの損失弾性率G’c140及び損失正接tanδc140をそれぞれ読み取った。
<評価>
実施例1〜6及び比較例1〜4のトナーについて、以下の方法により低温定着性及び耐ホットオフセット性を評価した。評価は温度23℃かつ湿度50%RHで行った。評価結果を下記表2に示す。
(評価用現像剤の調製)
現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「FS−C5250DN」用キャリア)100質量部と、トナー(実施例1〜6及び比較例1〜4のトナーの何れか)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、評価用現像剤(2成分現像剤)を得た。
上述のようにして調製した評価用現像剤(2成分現像剤)を用いて画像を形成して、最低定着温度及び耐ホットオフセット性を評価した。評価機としては、Roller−Roller方式の加熱加圧型の定着装置を備えるプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)の改造機を用いた。具体的な改善点としては、定着温度を変更可能にした。評価用現像剤を評価機のブラック用現像装置に投入し、補給用トナー(評価対象:実施例1〜6及び比較例1〜4のトナーの何れか)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。
[低温定着性]
上述の評価機を用いて、A4サイズのレーザープリンター専用紙(mondi社製、90g/m2)に、トナー載り量1.0mg/cm2の条件で、ソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。
最低定着温度の評価では、定着温度の測定範囲を100℃以上200℃以下とした。詳しくは、定着装置の定着温度を100℃から2℃ずつ上昇させて、ソリッド画像(トナー像)を紙に定着できる最低温度(最低定着温度)を測定した。トナーを定着させることができたか否かは、以下に示すような折擦り試験で確認した。
定着装置に通した評価用紙を、画像を形成した面が内側となるように折り曲げた。具体的には、画像の中心を折り目が通過するように評価用紙を折り曲げた。折り曲げた評価用紙について、布帛で被覆した1kgの分銅を用いて、折り目上を5往復摩擦した。続けて、紙を広げ、紙の折り曲げ部(ソリッド画像が形成された部分)を観察した。そして、折り曲げ部のトナーの剥がれの長さ(剥がれ長)を測定した。剥がれ長が1mm以下となる定着温度のうちの最低温度を、最低定着温度とした。
低温定着性は、以下の基準により判断した。
良好(A):最低定着温度が110℃未満
不良(B):最低定着温度が110℃以上
[耐ホットオフセット性]
上述の評価機を用いて、A4サイズのレーザープリンター専用紙(mondi社製、90g/m2)に、トナー載り量0.1mg/cm2の条件で、ソリッド画像(詳しくは、未定着のトナー像)を形成した。続けて、画像が形成された紙を評価機の定着装置に通した。
耐ホットオフセット性の評価では、定着温度の測定範囲を140℃以上200℃以下とした。詳しくは、定着装置の定着温度を140℃から5℃ずつ上昇させながら各定着温度でのホットオフセットの有無を目視で確認し、ホットオフセットが発生しない最高温度(最高定着温度)を測定した。ホットオフセットの有無は、評価用紙上において、定着ローラにトナーが付着したことに起因する汚れ(定着ローラの回転周期毎に現れる汚れ)の有無により判断した。
耐ホットオフセット性は、以下の基準により判断した。
良好(A):最高定着温度が170℃以上
不良(B):最高定着温度が170℃未満
Figure 2019215481
実施例1〜6のトナーは、各々、トナー粒子を含むトナーであった。トナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備えていた。トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有していた。温度90℃におけるトナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、下記式(1)を満たしていた。温度140℃におけるトナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140は、それぞれ下記式(2)及び(3)を満たしていた。表2に示すように、実施例1〜6のトナーの各々は、低温定着性及び耐ホットオフセット性に優れていた。
1.0×103≦G’s90≦1.0×104・・・(1)
5.0×102≦G’’c140≦1.0×104・・・(2)
3.0≦tanδc140・・・(3)
一方、比較例1〜4のトナーは、各々、上述の構成を備えていなかったため、低温定着性及び耐ホットオフセット性のうち少なくとも一方が不良であった。
具体的には、比較例1のトナーは、トナーコアの損失弾性率G’’c140が1.0×104超、損失正接tanδc140が3.0未満であり、その結果、耐ホットオフセット性及び低温定着性が不良であった。
比較例2のトナーは、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が1.0×103未満であり、その結果、耐ホットオフセット性が不良であった。
比較例3のトナーは、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が1.0×103未満、かつトナーコアの損失弾性率G’’c140が1.0×104超であり、その結果、低温定着性が不良であった。
比較例4のトナーは、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が1.0×103未満、かつトナーコアの損失弾性率G’’c140が5.0×102未満、損失正接tanδc140が3.0未満であり、その結果、耐ホットオフセット性が不良であった。
トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90、トナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140と、耐ホットオフセット性及び低温定着性は、以下の関係にあると判断される。
即ち、トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が一定未満のトナーは、低温及び高温のいずれにおいても弾性変形を維持し難い(粘性変形が支配的になり易い)ため、粘性変形によるトナーの破断が生じ、耐ホットオフセット性が低下する傾向にあると判断される(比較例2及び4)。
トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90が一定超のトナーは、低温で変形し難いため、低温定着性が低下する傾向にあると判断される(比較例3)。
トナーコアの損失弾性率G’’c140が一定超のトナーは、トナーコアの貯蔵弾性率も高い傾向にあり、低温では変形し難いため、低温定着性が低下する傾向にあると判断される(比較例1及び3)。
トナーコアの損失弾性率G’’c140が一定未満のトナーは、定着時の粘度が低すぎて破断し易いため、耐ホットオフセット性が低下する傾向にあると判断される(比較例4)。
トナーコアの損失正接tanδc140が一定未満のトナーは、高温では弾性変形領域が狭く粘性変形し易いため、耐ホットオフセット性が低下する傾向にあると判断される(比較例1及び4)。
本発明に係るトナーは、例えば複写機、プリンター、又は複合機において画像を形成するために用いることができる。

Claims (5)

  1. トナー粒子を含むトナーであって、
    前記トナー粒子は、トナーコアと、前記トナーコアの表面を被覆するシェル層とを備え、
    前記トナーコアは、ポリエステル樹脂を含有し、
    温度90℃における前記トナー粒子の貯蔵弾性率G’s90は、下記式(1)を満たし、
    温度140℃における前記トナーコアの損失弾性率G’’c140及び損失正接tanδc140は、それぞれ下記式(2)及び(3)を満たす、トナー。
    1.0×103≦G’s90≦1.0×104・・・(1)
    5.0×102≦G’’c140≦1.0×104・・・(2)
    3.0≦tanδc140・・・(3)
  2. 温度140℃における前記トナーコアの損失正接tanδc140は、下記式(3’)を満たす、請求項1に記載のトナー。
    3.0≦tanδc140≦4.0・・・(3’)
  3. 前記ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を含み、
    前記非晶性ポリエステル樹脂は、
    ガラス転移点が40℃以下、軟化点が100℃以下の第1非晶性ポリエステル樹脂と、
    ガラス転移点が40℃超、軟化点が100℃超の第2非晶性ポリエステル樹脂とを含み、
    前記第1非晶性ポリエステル樹脂及び前記第2非晶性ポリエステル樹脂の合計質量に対する前記第1非晶性ポリエステル樹脂の質量比率は、30%以上70%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記シェル層の質量は、前記トナーコア100質量部に対して、0.6質量部以上6.0質量部以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載のトナー。
  5. 前記シェル層は、オキサゾリン基を有する樹脂、又はエポキシ基を有する樹脂を含有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のトナー。
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