以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。各図中、同一符号は同一または相当部分を示し、説明は繰返さない。
図1〜図3を参照して、実施の形態に係る加熱調理器を説明する。以下の説明において、左側とは、加熱調理器を扉側から見たとき、加熱調理器に向かって左側を指し、また、右側とは、加熱調理器を扉側から見たとき、加熱調理器に向かって右側を指す。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の扉閉鎖時の概略正面図である。また、図2は、図1の加熱調理器の扉開放時の概略正面図である。加熱調理器は、図示されるように、直方体形状のケーシング1と、ケーシング1内に設けられ、前側に開口部2aを有する加熱庫2と、加熱庫2の開口部2aを開閉する扉3と、加熱庫2内にマイクロ波を供給するマグネトロン4(図4に示す)とを備えている。加熱庫2は、被調理対象の食材を収容するための「収容室」の一実施例である。
ケーシング1の上面の後部には排気ダクト5が設けられている。また、ケーシング1の前面の下部には露受容器6が着脱可能に取り付けられている。露受容器6は、扉3の下側に位置し、扉3の後面からの水滴を受けることができるように設けられる。また、ケーシング1の前面の下部には、後述する給水タンク26が着脱可能に取り付けられている。給水タンク26は、後述する蒸気発生のための水を収容する。
扉3は、下部がケーシング1の前面に回動可能に取り付けられている。扉3の前面(加熱庫2とは反対側の表面)には、耐熱性を有する透明な外ガラス7が設けられている。また、扉3は、外ガラス7の上側に位置するハンドル8と、外ガラス7の右側に設けられた操作パネル9とを有している。
操作パネル9は、各種情報を表示するためのカラー液晶表示部10、およびボタン群11を有している。ボタン群11は、途中で加熱を止めるときなどに操作される取り消しキー12、加熱を開始するときに操作されるスタートキー13、および加熱調理の各種モードを指定するためのメニューキー等を含む。また、操作パネル9には、スマートフォンなどからの赤外線を受ける赤外線受光部14が設けられている。操作パネル9は、加熱調理器に対する使用者操作を受付けるための「操作部」の一実施例である。
図2には、扉3を開けた状態の加熱庫2の内部が模式的に示される。食材15を載置する位置に関連して、蒸気を庫内に送出するための吹出口29,30,31,37等が配置される。また、空気の吸込口27が設けられている。これらの詳細は後述する。
図3には、加熱調理器の主要部の構成が模式的に示される。図3では、加熱庫2は左側から見た状態が示されている。
加熱調理器は、循環ダクト18、上ヒータ20、中ヒータ21、下ヒータ22、循環ダンパ23、蒸気発生装置24、チューブポンプ25および着脱自在の給水タンク26を備えている。上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22は、それぞれ、例えばシーズヒータからなる。
加熱庫2の上部2eは、傾斜部2fを介して加熱庫2の後部2dと連なっている。この傾斜部2fには、循環ファン19と対向するように複数の吸込口27が設けられている。また、加熱庫2の上部2eには上吹出口28が複数設けられている。また、加熱庫2の後部2dには、吹出口29、30および31が、それぞれ、設けられている。
加熱庫2内に調理トレイ91,92が収容される。調理トレイ91,92は調理対象の食材を載置するために利用されて、調理トレイ91,92が庫内に収容されると、載置された食材は、吹出口29,30,31からの蒸気が送出可能な位置にセットされる。
循環ダクト18は、加熱庫2外に設けられて、吸込口27、吹出口28〜31を介して加熱庫2内と連通している。また、加熱庫2内の空気や飽和蒸気など(以下、「空気など」と言う)を対流させるために、循環ファン19を有した循環ファンユニット80が設けられる。なお、上記の「空気など」は、加熱調理のための熱媒体の一例である。
上ヒータ20は、吹出口28へ流れる空気などを加熱する。中ヒータ21は、循環ファン19から上ヒータ20に向かう空気などを加熱し、また、循環ファン19から下ヒータ22に向かう空気などを加熱する。
下ヒータ22は、循環ダクト18内に配置され、吹出口30,31へ流れる空気などを加熱する。
蒸気発生装置24は、「蒸気発生部」の一実施例である。蒸気発生装置24は、上端が開口する金属製の容器32と、その開口を塞ぐ樹脂製の蓋33と、容器32の底部に鋳込まれ、シーズヒータからなる蒸気発生用ヒータ34(以下、ヒータ34ともいう)と、容器32内の温度を検出するためのハウジング内温度センサ70を有する。容器32の底部上には給水タンク26からの水が貯留されて、ヒータ34が容器32の底部を介して貯留水を加熱する。加熱により発生した飽和蒸気は、樹脂製の蒸気チューブ35と金属製の蒸気管36とを流れて、循環ダクト18の接続部内に供給される。このとき、循環ファン19が駆動していれば、蒸気発生装置24からの飽和蒸気が、循環ダクト18内へ送られる。一方、循環ファン19が駆動していなければ、この飽和蒸気は、複数の蒸気供給口37を介して加熱庫2内に流れ出る。
蒸気管36が吹き出した飽和蒸気、または加熱庫2内の飽和蒸気は、循環ファン19で上ヒータ20、中ヒータ21および下ヒータ22に送られて、これらヒータにより加熱されて、100℃以上の蒸気とすることができる。
また、蓋33には、一対の電極棒39A,39Bを備える水位センサ38が取り付けられている。電極棒39A,39Bは容器32内の貯留水に浸漬可能なように取付ける。水位センサ38の出力から、浸漬により両電極の間が導通状態になったか否かが検出される。この検出に基づき、容器32の底部上の水位が予め定められた水位であるか否かが判定される。水位センサ38は、容器32内の水位を検出するための「水位検出部」の一実施例である。
容器32は、水を貯留可能な「ハウジング」の一実施例である。また、ヒータ34は、ハウジングを加熱するための「加熱部」の一実施例である。また、ハウジング内温度センサ70は、容器32内の温度を検出するための「温度検出部」の一実施例である。
また、チューブポンプ25は、蒸気発生装置24と給水タンク26の間で水を流通させるための「ポンプ」の一実施例である。具体的には、チューブポンプ25は、シリコンゴム等からなって弾性変形可能な給排水チューブ40をローラ(図示せず)でしごいて、一方向に回転することにより給水タンク26内の水を蒸気発生装置24に流し、また、一方向とは反対方向に回転することにより容器32内の水を給水タンク26に流す。また、給排水チューブ40は、給水タンク26と容器32内の間で水を流通させるための「流路部」の一実施例である。実施の形態1の加熱調理器は、容器32内の水を排水するための排水部を備える。この排水部は、上記のチューブポンプ25を含んで構成される。
給水タンク26は、給水タンク本体41および連通管42を有する。連通管42は、一端部が給水タンク本体41内に位置し、他方端部は、給水タンク26外に位置する。給水タンク26がタンクカバー43内に収容されると、連通管42の他方端部がタンクジョイント部44を介して給排水チューブ40に接続される。すなわち、給水タンク本体41内が連通管42などを介して蒸気発生装置24内と連通する。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器の制御ブロック図である。図4を参照して、加熱調理器は、図示しない回路基板において、マイクロコンピュータと外部回路と信号を入出力する入出力回路などからなる制御装置100を備えている。制御装置100には、上ヒータ20,中ヒータ21,下ヒータ22,蒸気発生用ヒータ34、循環ファン用モータ56、排気ファン用モータ57、給気ファン用モータ58、循環ダンパ用モータ59、排気ダンパ用モータ60、給気ダンパ用モータ61、操作パネル9、蒸気センサ53、水位センサ38、チューブポンプ25、マグネトロン4、ハウジング内温度センサ70などが接続されている。
また、制御装置100は、操作パネル9、蒸気センサ53、水位センサ38、ハウジング内温度センサ70などからの信号に基づいて、各種ヒータおよび各種モータ、ならびにチューブポンプ25などを制御する。
制御装置100は、計時のためのタイマ1C、CPU(Central Processing Unit)1Aおよび揮発性または不揮発性のメモリおよび各種レジスタなどからなる記憶部1Bを備える。
図4には、実施の形態1に係る加熱調理器の機能構成と記憶内容とが示されている。CPU1Aは、加熱調理器の上記の排水部を含む各部を制御するための「制御部」の一実施例である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る排水制御に関する処理フローチャートである。このフローチャートは、予めプログラムとして記憶部1Bに格納される。CPU1Aは、プログラムを記憶部1Bからプログラムを読出し、実行することにより処理が実現される。
実施の形態1では、加熱調理器において蒸気を用いた加熱調理(以下、蒸気調理という)が実施可能であるが、蒸気調理を実施する毎に、容器32内の残留水を排水するように動作する。取り分け、実施の形態1では、蒸気調理を実施中に、容器32内からの排水が開始されるように排水部が制御される。
より具体的には、調理終了前に容器32内の貯留水および給排水チューブ40内の水を、給水タンク26へ排水する処理を開始し、蒸気調理終了時に排水完了するように制御される。なお、ここでは、蒸気調理実施中は、容器32内の貯留水量は一定(例えば、約50cc)であるとする。
図5を参照して、説明する。まず、蒸気調理を実施中に、CPU1Aはタイマ1Cの出力に基づき、調理終了までの残り時間が1分となったか否かを判定する(ステップS3)。1分となっていない場合には(ステップS3でNO)、ステップS3の判定が繰り返される。
一方、残り時間は1分となったとこが判定されると(ステップS3でYES)、CPU1Aはヒータ34をON→OFF(加熱停止)するように制御する(ステップS5)。このように、残り時間が1分となったとき、ヒータ34の加熱停止を行うが、加熱庫2内には、十分な水蒸気量が存在し、加熱停止したとしても調理の仕上がりに影響はない。
また、CPU1Aはチューブポンプ25を反対方向に回転するように制御する。これにより、容器32内の貯留水および給排水チューブ40の残水の給水タンク26内への排水が開始される。
CPU1Aは、排水が終了したか否かを判定する(ステップS9)。すなわち、タイマ1Cの出力に基づき、排水開始から1分が経過したか否かを判定する。排水が終了したと判定されないときは(ステップS9でNO)、ステップS7に戻るが、排水が終了したと判定されたときは(ステップS9でYES)、排水を終了する。すなわちCPU1Aは、チューブポンプ25を停止する。このとき、蒸気調理も終了する。
図5では、容器32内の貯流水および給排水チューブ40の残水を排水するための所要時間を1分間としたが、1分間に限定されない。また、所要時間は、より特定的には、容器32内の貯水量であって、当該所要時間で蒸発する水量が差し引かれた水量および給排水チューブ40の残水量の全てを排水するための所要時間であって、実験等により取得することができる。
このように、図5の処理によれば、蒸気調理実施中に排水を完了させることができる。これにより、蒸気調理終了後に排水のための特別な時間をもうけなくてもよいから、使用者は、蒸気調理を終了後に他の加熱調理を速やかに開始することができる。
また、図5の排水処理は、特許文献1のように、追加給水してサイフォン原理により容器内の水を排水する方法によるものではない。したがって、利用者は、給水タンク26に排水のための追加給水を行なう必要はなく、当該加熱調理器は利便性に優れる。また、給水タンク26を追加給水のための水量を収容可能な大容量にする必要もない。
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1では、排水先である給水タンク26が加熱調理器に装着されているか否かの検出部を設けて、装着が検出されたときに、排水が実施されるようにしてもよい。具体的には、給水タンク26の装着部にはハードウェアスイッチ(図示せず)が設けられる。ハードウェアスイッチは、給水タンク26が装着されているときはON信号を出力し、未装着時にはOFF信号を出力する。
CPU1Aは、ハードウェアスイッチの出力に基づき、給水タンク26が取り外されている(未装着)と判定したときは、排水を実施せずに、その旨を報知する。具体的には、給水タンク26の装着を促すためのメッセージをカラー液晶表示部10に表示することにより報知する。なお、報知の態様は、メッセージ表示に限定されない。
また、蒸気調理を実施中に、操作パネル9の操作により調理が中断された場合は、カラー液晶表示部10には調理開始時の初期画面が表示されるが、その後も、使用者による何の操作もされないまま予め定められた時間が経過した場合には、CPU1Aは、図5のステップS5以降の排水処理を実施するようにしてもよい。
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係る蒸気調理の制御に関する処理フローチャートである。このフローチャートは、予めプログラムとして記憶部1Bに格納される。CPU1Aは、プログラムを記憶部1Bからプログラムを読出し、実行することにより処理が実現される。図7は、図6の処理において参照されるテーブルを示す図である。図7のテーブルTBは予め記憶部1Bに格納されて、テーブルTBの内容には、実験等により取得される情報が含まれる。
図7を参照してテーブルTBは、各種の蒸気調理モードを識別するためのモードデータM1と、各モードデータM1に対応して、蒸気調理を開始時の初期給水時に「水無し」と判定されたときの加熱調理器の制御内容を示す制御情報M2、および初期給水以降の調理実施中に「水無し」と判定されたときの制御内容を示す制御情報M3とを格納する。
モードデータM1は、調理モードの種類(蒸し、ソフト蒸し、発光等)と入力時間(設定された調理時間の長さ)との組合せにより異ならせている。調理モードの種類は、ヒータ34による加熱制御(Duty比制御)の方法により決定される。
また、実施の形態2では、蒸気発生のための水が無いことを示す「水無し」の判定が実施される。この「水無し」の事象は、チューブポンプ25による容器32内への水の供給ができないこと、および給水タンク26内に水が無いことを含む。
「水無し」の判定は、水位センサ38の出力に基づき実施される。つまり、容器32の底面からの貯留水位が閾値TH以上であるときは、水位センサ38の電極棒39A,39Bが導通状態となり、CPU1Aの判定部は、水位センサ38の出力から「水有り」と判定する。一方、容器32内の貯留水位が閾値TH未満であって非導通状態である場合には水位センサ38の出力に基づき「水無し」と判定する。
図7に戻り、図示されるように加熱調理器の蒸気調理実施中の制御内容は、CPU1Aにより「水無し」と判定されたタイミングに応じて異ならせている。具体的には、「水無し」と判定されたときが初期給水時であれば加熱調理器は制御情報M2により制御される。また、その後の調理終了までの期間であれば制御情報M3により制御される。また、制御情報M3は、モードデータM1の種類に応じて、初期給水後から予め定められた時間経過までの期間の制御情報M31と、その後から調理終了までの期間の制御情報M32とを含む。制御情報M32のフラグFは、蒸気調理を実施終了後に出力されるメッセージを示す。
実施の形態2では、図1〜図4に示した加熱調理器の構成において、CPU1Aは、蒸気調理を開始後の予め定められた時間が経過した場合に、蒸気発生のための水が不足している場合でも蒸気調理を続行するよう各部を制御する。この処理を、図6と図7を参照して説明する。なお、説明を簡単にするために、例えば、使用者は操作パネル9を操作して、設定モードとして(“蒸し”,入力時間tとして0秒≦t<9分30秒)を設定(入力)した場合を説明するが、他の設定内容であっても、処理を同様に実施することができる。
まず、操作パネル9が操作されて蒸気調理が開始されると、タイマ1Cは計時を開始する。また、CPU1Aは、容器32内に上記の閾値THの水位まで給水されるようにチューブポンプ25を、例えば30秒間運転制御する。これにより、容器32内への初期給水が行われて、この30秒間の給水により、通常であれば、閾値THの水位まで水を貯留することができる。
CPU1Aは、上記の30秒間の初期給水後に、設定されたモードに従いヒータ34の加熱制御を含む各部の制御を開始する。これにより、蒸気調理が開始される。
CPU1Aは、初期給水時および蒸気調理を実施中は、十分に短い間隔で図6の処理を繰返し実施する。
まず、水位センサ38の出力に基づき「水無し」であるか否かを判定する(ステップS11)。「水無し」と判定されない場合には、ステップS11を繰返す。
「水無し」と判定されたときは(ステップS11でYES)、CPU1Aは、タイマ1Cの出力(蒸気調理開始からの経過時間)に基づき初期給水時であるか否かを判定する(ステップS13)。タイマ1Cの出力が30秒を示す場合には初期給水時と判定される。
CPU1Aは、初期給水時と判定すると(ステップS12でYES)、上述の設定モードに基づきテーブルTBを検索し、一致するモードデータM1に対応する制御情報M2を読出し、読出した制御情報M2に基づく各部を制御する(ステップS15,S17)。たとえば、カラー液晶表示部10にエラーメッセージを出力することによりエラー報知を行ない(ステップS15)、その後、チューブポンプ25等を停止して、蒸気調理の実施を強制的に停止する。
なお、使用者のモード設定操作に先立って初期給水が行なわれてもよい。その場合には、すなわちモード設定時に初期給水時の「水無し」判定がなされる場合には、CPU1Aは、ヒータ34による加熱の開始後に、ヒータ34の加熱停止を含んで蒸気調理の実施を強制的に停止する。
ステップS13に戻る。CPU1Aは、初期給水時ではないと判定すると(ステップS13でNO)、蒸気調理の実施を継続するか停止するかを決定する(ステップS19)。つまり、CPU1Aは、上述した使用者による設定モードに基づきテーブルTBを検索し、一致するモードデータM1に対応する制御情報M3を読出す。そして、読出した制御情報と、タイマ1Cの出力(調理開始からの経過時間)とに基づき、蒸気調理の実施を継続するか停止するかを決定する。この場合、上述した使用者の設定モードに基づき、図7の矢印が示す制御情報M3が読出される。この時、CPU1Aは、経過時間が設定モードの調理終了時間(9分30秒)前の3分間以前、すなわち6分30秒以前を示すと判定した場合には、制御情報M31を読出し、制御情報M31に従って蒸気調理を強制的に停止する(ステップS21で“停止”)。その後、ステップS15とステップS17の処理が同様に実施される。
一方、CPU1Aは、経過時間が設定モードの調理終了時間(9分30秒)前の3分未満の時間を示す、すなわち6分30秒よりも後の時間を示すと判定した場合には、制御情報M32を読出し、制御情報M32に従って、蒸気調理の実施を継続する(ステップS21で“続行”)。このとき、チューブポンプ25およびヒータ34は停止してもよい。
その後は、CPU1Aは、タイマ1Cの出力に基づき調理終了時間(開始から9分30秒経過したとき)になるかを判定する(ステップS23)。調理終了時間になるまでは(ステップS23でNO)、ステップS23が繰返される。ステップS23の判定が繰替えされる期間は、蒸気発生装置24から蒸気は供給されないが、加熱庫2内に存在する蒸気を用いて加熱調理を実施することができる。
一方、調理終了時間になったことが判定されると(ステップS23でYES)、CPU1Aは各部を制御して蒸気調理を終了する。その後、CPU1Aは、上述の制御情報M32のフラグFが示すメッセージを、カラー液晶表示部10に出力する(ステップS25)。その後、図6の処理を終了する。
ここで、テーブルTBにおいては、フラグFは、水が無くなり蒸気調理が続行される場合に、調理仕上がりに影響がある可能性のある調理モードに対応して登録される。フラグFが示すメッセージは、設定された調理時間のうちの一部時間(例えば、調理終了前の3分間)において蒸気が供給されずに調理が実施された旨を表す。また、メッセージには、蒸気が供給されなかった時間の長さを含めるようにしてもよい。
したがって、調理の仕上がりが良くなかった場合には、使用者は、メッセージを確認することにより、蒸気調理期間の一部において、蒸気の供給なしに調理が実施されたことが原因であると、判断することができる。
実施の形態2によれば、加熱調理器は、食材を収容するための収容室(加熱庫2)を備え、さらに、水を貯留可能なハウジング(容器32)と、蒸気を発生させるためにハウジングを加熱するための加熱部(ヒータ34)とを有した蒸気発生部と、加熱調理器を制御する制御部(CPU1A)と、を備える。制御部は、蒸気を用いた蒸気調理の各工程(初期給水時、初期給水後から予め定められた時間経過までの期間、その後から調理終了までの期間)について、「水無し」(例えば、給水タンク26内に収容された水が無い)と判定した場合における、蒸気発生部(とりわけ加熱部)の制御方法を異ならせる。
制御部は、上記の制御方法を、さらに蒸し調理モード毎に異ならせてもよい。
上述の制御方法は、蒸気発生部からの蒸気発生の停止を含む。制御部は、蒸気調理を実施中に蒸気発生を停止させるように蒸気発生部を制御した場合には、蒸気調理の終了時にその旨を報知する。この報知内容には、蒸気発生を停止させた時間に関する情報が含まれてもよい。
[実施の形態3]
実施の形態3では、上述した図1〜図4に示す構成を備えた加熱調理器において、容器32の洗浄が必要な時期を判定する。つまり、蒸気発生装置24の容器32の内壁には、スケール(水道水のミネラル成分、炭酸カルシウム等)が付着しやすく、付着したスケール量が多くなると、付着スケールが断熱層となってヒータ34による加熱効率が低下する。したがって、加熱効率が低下する前に、容器32を洗浄してスケールを除去することが望ましい。
図8は、本発明の実施の形態3に係る洗浄時期を判定するために参照されるグラフである。このグラフのデータは、予め実験を行うことにより取得されて、記憶部1Bに格納される。図8のグラフの横軸は時間の経過を示し、縦軸は蒸気発生装置24の容器32の温度を示す。この温度は、ハウジング内温度センサ70の出力に基づく、容器32の測定温度を示す。
図8を参照して、グラフL1、L2、L3およびL4は、スケール付着量を異ならせた場合の沸騰開始(蒸発開始)が検出されるまでの温度変化を示す。図8では、スケール付着量については(L1<L2<L3<L4)の関係を有し、沸騰開始が検出される温度に関しては(T1<T2<T3<T4)の関係を有する。
図8を参照して、同じDutyでヒータ34による加熱を実施した場合を説明する。スケール付着量が少ない場合(グラフL1,L2等を参照)には、加熱開始から比較的に早い時期に(比較的に低い温度T1,T2が検出されたときに)、容器32内から蒸発を開始させることができる。これに対して、スケール付着量が多い場合(グラフL3,L4等を参照)には、加熱開始から比較的に長い時間が経過した時期に(比較的に高い温度T3,T4まで加熱したときに)、容器32内から蒸発を開始させることができる。このように、スケール付着量が多くなるほど、容器32に対する加熱の効率は低下する。
実施の形態3では、図8の破線で示す“洗浄報知温度”を、容器32の洗浄を実施するための目安温度として設定する。動作において、蒸気調理を実施中に、CPU1Aは、水位センサ38の出力に基づき、上記した「水有り」と判定する場合において、ハウジング内温度センサ70の出力に基づき、図8の“洗浄報知温度”以上の温度が予め定められた時間継続して検出されるか否かを判定する。
CPU1Aは、“洗浄報知温度”以上の温度が、予め定められた時間継続して検出されたと判定したとき、蒸気調理を終了時、またはその後に、容器32の洗浄を促すためのメッセージを報知する。例えば、カラー液晶表示部10に、メッセージを表示する。
実施の形態3によれば、水を貯留可能なハウジング(容器32)と、蒸気を発生させるためにハウジングを加熱するための加熱部(ヒータ34)とを有した蒸気発生部と、蒸気発生部を制御する制御部(CPU1A)と、を備える蒸気発生装置において、制御部は、ハウジングの温度変化の特性からスケールの付着量を推定し、推定に基づきハウジングの洗浄の要否を判定するように構成される。
また、制御部は、蒸気調理を実施中に上述の推定および判定を実施し、蒸気調理の終了時、またはその後に、判定結果に基づくメッセージを報知する。
したがって、実施の形態3の方法によれば、図8の温度特性に基づく推定を実施することで、使用する水の硬度にばらつきがあっても、洗浄が必要であるか否かを判定し報知することができる。また報知に従って、容器32の洗浄が実施されることで、蒸発量が低下した状態で蒸気調理が実施される事態を回避することができる。
[実施の形態4]
図9は、本発明の実施の形態4に係る蒸気発生容器の洗浄モードに関する処理フローチャートである。このフローチャートは、予めプログラムとして記憶部1Bに格納される。CPU1Aは、プログラムを記憶部1Bからプログラムを読出し、実行することにより処理が実現される。
図10は、本発明の実施の形態4に係る洗浄工程のタイミングチャートである。図11は、本発明の実施の形態4に係るすすぎ工程のタイミングチャートである。図10と図11のそれぞれは、横軸に経過時間を示し、縦軸の方向には経過時間に関連付けて容器32内の貯水量の変化を示すグラフA、チューブポンプ25のON(運転(一方向の回転または反対方向の回転))またはOFF(停止)の変化を示す信号B、およびヒータ34のON(加熱)またはOFF(加熱停止)を表す信号Cが示される。図10と図11のデータは、発明者らの実験により得られたデータを示す。
実施の形態4では、使用者が操作パネル9を操作して洗浄モードを指定した場合に、CPU1Aは、操作内容に従い、図9の洗浄モードの処理を開始する。使用者は、例えば、実施の形態3で説明した“容器32の洗浄を促すためのメッセージ”を確認した場合に、洗浄モードを指定する。ここでは、容器32の上部開口部に、容器32を塞ぐためにカバーが設置される。
図9を参照して、洗浄モードが指定されると、CPU1Aは、洗浄液を用いた洗浄工程(ステップS31)を実施し、その後、すすぎ工程(ステップS33)を実施する。すすぎ工程が終了すると、その旨がカラー液晶表示部10等を介して報知される。ここでは、「洗浄液」は、スケールを中和させるためのクエン酸が溶解した水溶液を示すが、中和剤はこれに限定されない。
まず、洗浄工程(ステップS31)を、図10のタイミングチャートを参照して説明する。なお、洗浄工程の開始に先立って、容器32内の水はすべて排出された状態であり、また、使用者は、十分な量の洗浄液を収容した給水タンク26を加熱調理器に装着する。
図10を参照して、洗浄工程は、給水STAGE工程、その後のSATGE(1)工程、その後のSTAGE(2)工程を含む。
最初の給水STAGE工程では、CPU1Aは、ヒータ34を加熱停止し、チューブポンプ25を一方向に回転するように制御する。これにより、容器32の加熱を停止した状態で、給水タンク26から容器32内へ洗浄液の給水が行なわれる。CPU1Aは、給水を開始後、水位センサ38からの出力に基づき「水有り」を判定すると、給水STAGE工程を終了し、STAGE工程(1)に移行する。これにより、容器32内には上記の閾値THの水位まで洗浄液が供給された状態となる。
STAGE工程(1)は、容器32内の洗浄液を沸騰させずに漬け置く工程である。まず、CPU1Aは、チューブポンプ25を一方向に回転させて、予め定められた水量を追加給水する。ここでは、チューブポンプ25の回転速度は一定としているので、CPU1Aはチューブポンプ25の回転時間の長さから、容器32への供給水量を取得する。供給水量の取得結果に基づき、CPU1Aは、容器32に予め定められた水量が追加給水されたことを判定すると、チューブポンプ25を停止する。そして、CPU1Aは、ヒータ34による加熱を実施する。例えば、ヒータ34を間欠的にON/OFF制御し、容器32への加熱を実施する。
CPU1Aは、ハウジング内温度センサ70の出力に基づき、容器32内の洗浄液の温度が、洗浄液が沸騰しない予め定められた温度に維持されるように、ヒータ34を予め定めたDutyに従いON/OFF制御する。これにより、容器32の洗浄液の状態を、保温状態にすることができる。この保温温度は、容器32の内壁からのスケールの軟化、およびクエン酸による中和作用を促すための温度であることが望ましい。
上記の保温状態が予め定められた時間維持された後に、CPU1Aはヒータ34をOFFに制御して容器32に対する加熱を停止する。また、チューブポンプ25を反対方向に回転させる。これにより、容器32内の洗浄液は給水タンク26内に排出される。CPU1Aは、排出される水量を、チューブポンプ25を回転させる時間長さから取得する。取得された排水量が、予め定められた量となったことを判定すると、チューブポンプ25を停止し、排水を停止する。この排水により、容器32の水位は、沸騰させても突沸しない水位にまで低下し、STAGE(1)工程は終了する。
その後、STAGE(2)工程が実施される。CPU1Aは、ヒータ34を予め定めたDutyでON/OFF制御し、ハウジング内温度センサ70の出力に基づき、容器32内の洗浄液を沸騰させる温度にまで上昇させる。また、このとき、チューブポンプ25を間欠的に一方向に回転させて、給水タンク26から容器32内に間欠的に洗浄液を追加する処理を繰返す。なお、1回あたりの洗浄液の追加量は、沸騰による蒸発分を補うための水量である。これにより、容器32内の洗浄液について、沸騰と洗浄液追加とによって振動(対流)が生じ、容器32内の内壁面に付着しているスケールの剥離が促進される。
CPU1Aは、STAGE(2)工程を開始してから予め定められた時間が経過したことを判定すると、ヒータ34をOFF制御して加熱を停止する。また、チューブポンプ25を反対方向に回転させて、容器32から給水タンク26内への排水を実施する。容器32内の排水が完了すると、SATGE(2)工程を終了する。
CPU1Aは、図10に示す洗浄工程が終了したとき、洗浄工程終了の旨を報知する。例えば、カラー液晶表示部10に“洗浄工程終了”のメッセージを表示する。使用者は、当該メッセージを確認した場合には、給水タンク26を取り外し、給水タンク26内の洗浄液(洗浄工程において容器32を洗浄した後の洗浄液)を棄てる。そして、その後の、すすぎ工程のために、給水タンク26に十分な量の水(例えば、水道水)を収容した後に、給水タンク26を加熱調理器に装着する。
CPU1Aは、上述したハードウェアスイッチからの出力に基づき、給水タンク26が装着されていることを検出すると、図11のすすぎ工程(図9のステップS33参照)を開始する。
図11を参照して、すすぎ工程は、給水STAGE工程、その後のSATGE(1)工程、その後のSTAGE(2)工程、およびその後のSTAGE(3)工程を含む。
最初の給水STAGE工程では、CPU1Aは、ヒータ34を加熱停止し、チューブポンプ25を一方向に回転するように制御する。これにより、容器32の加熱を停止した状態で、給水タンク26から容器32内への給水が行なわれる。CPU1Aは、給水を開始後、水位センサ38からの出力に基づき「水有り」を判定すると、給水STAGE工程を終了し、STAGE工程(1)に移行する。これにより、容器32内は上記の閾値THの水位まで水が貯留した状態となる。
STAGE工程(1)は、容器32内の水を突沸させない水位で沸騰させて内部をすすぐ工程である。まず、CPU1Aは、チューブポンプ25を一方向に間欠的に回転させて、回転毎に、予め定めた水量を追加給水するとともに、ヒータ34を間欠的に、且つ比較的にON期間が長いDutyに従いON/OFF制御し、容器32への加熱を実施する。STAGE(1)工程の開始から予め定められた時間が経過したとき、STAGE(1)工程を終了する。
このようにSTAGE工程(1)では、突沸しない水位でDutyによる加熱運転を実施し、容器32内の水面を振動させる。これにより、容器32内に残留しているスケールおよびクエン酸のすすぎが実施される。ここでは、ON時間が長いDutyを設定することにより、主に、容器32内のすすぎが促進される。
次のSTAGE工程(2)では、CPU1Aは、チューブポンプ25を一方向に回転させて、容器32内に予め定めた量を追加給水する。追加給水量は、水面が、容器32の上部の開口面と略同じ高さとなるような量である。このような追加給水後は、ON時間が短いDutyを設定しヒータ34による加熱制御を実施する。これにより突沸させないDutyに従いヒータ34による加熱が実施されて、容器32の開口面における水面が振動する。この振動により、洗浄工程でカバーに付着したスケールおよびクエン酸のすすぎを効果的に実施することができる。
その後、STAGE(3)工程が実施される。STAGE(3)工程では、CPU1Aは、容器32内の水位を、カバーを超える水位にまで上昇させるように、チューブポンプ25を一方向に回転させる。これによりカバー上方に残留するスケールおよびクエン酸をすすぐことが可能となる。予め定めた時間が経過した後、CPU1Aは、チューブポンプ25を反対方向に回転するように制御し、容器32内の全ての水を給水タンク26内に排する。これにより、すすぎ工程は終了する。なお、すすぎ工程は、複数回繰返してもよい。すすぎ工程を終了したとき、CPU1Aは、洗浄モード終了の旨を報知する。例えば、カラー液晶表示部10に“洗浄モード終了”のメッセージを表示する。使用者は、当該メッセージを確認した場合には、給水タンク26を取り外し、給水タンク26内の水(すすぎ工程において容器32をすすいだ後の水)を棄てる。
実施の形態4では、図10の洗浄工程において、まず、給水タンク26内に収容された洗浄液を、容器32内に給水する(給水STAGE工程)。そして、通常運転時(閾値TH)よりも高い第1水位で、且つ所定時間沸騰させない温度で保温する工程(STAGE(1)工程)と、次位の工程が実施される。次位の工程では、容器32内の洗浄液が第2水位に変化するまで排水され、そして、所定時間比率(Duty)で加熱沸騰させてから蒸発量分の洗浄液が容器32内を給水されることで、水位が保持される。その後、容器32内の洗浄液は排水される。
また、すすぎ工程は、図11に示すように、給水タンク26の通常の水(例えば、水道水)が容器32内に供給される(給水STAGE工程)。その後、複数の水位のそれぞれについて、所定時間比率(Duty)でヒータ34による加熱制御が実施されることで、沸騰の工程が繰り返される(STAGE(1)工程、STAGE(2)工程)。その後、容器32内のすすぎ後の水を排水するための工程(STAGE(3)工程)が実施される。
実施の形態4によれば、水を貯留可能なハウジング(容器32)と、蒸気を発生させるためにハウジングを加熱するための加熱部(ヒータ34)とを有した蒸気発生部と、ハウジング内に給排水するための給排水部(チューブポンプ25)と、水を収容するタンク(給水タンク26)と、各部を制御する制御部(CPU1A)と、を備える蒸気発生装置において、制御部は、ハウジングを洗浄する洗浄モードにおいて、給排水部を介してタンク内の洗浄液をハウジング内の第1水位まで供給する工程と、加熱部によりハウジング内の洗浄液を保温する工程と、ハウジング内の洗浄液を第1水位から第2水位にまで変化するように給排水部を介して排水する工程と、加熱部によりハウジング内の洗浄液を沸騰させる工程と、ハウジング内の洗浄液を排水する工程とを実施するように構成される。
制御部は、ハウジング(容器32)内をすすぐためのすすぎモードにおいて、給排水部(チューブポンプ25)を介してタンク(給水タンク26)内の水をハウジング内に供給する工程と、加熱部によりハウジング内の水を繰り返し沸騰させる工程と、ハウジング内の水を排水する工程とを実施するように構成される。
制御部は、上述の洗浄モードの後にすすぎモードを実施するように構成される。また、すすぎモードは、複数回実施される。
実施の形態4によれば、洗浄モードにおいて、容器32内の水(または洗浄液)を突沸しない温度で加熱しながら洗浄工程およびすすぎ工程が実施されることで、他の各部に洗浄液また水を飛散させずに容器32のスケール除去のための洗浄を行うことができる。
なお、加熱調理器は、上述した実施の形態のうちの1つ備えて構成されてもよく、または、2つ以上を備えて構成されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。