JP6422324B2 - 遠心成形用水硬性組成物 - Google Patents

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本発明は、遠心成形用水硬性組成物、及び水硬性組成物の硬化体の製造方法に関する。
管類、パイル、ポール等の中空円筒型コンクリート成形品を製造する方法として、遠心成形法が知られている。この遠心成形法は、型枠内に混練したコンクリート材料を投入し、型枠を高速回転させて生じる遠心力によって、型枠内面にコンクリートを押し付けるようにして締固める方法である。
日本では高強度が要求されるコンクリートパイルを製造する際に、混練から7日で出荷できる強度を担保するために、高強度混和材がコンクリートに添加され、蒸気養生が施されている。
特許文献1には、遠心力成型して成型体を製造するに当たり、オキシモノカルボン酸及びその塩から選ばれた1種又は2種以上を添加する遠心力成型体の製法が記載され、実施例では高強度混和材を併用することにより、遠心型締め状態がよく、高い強度が得られることが記載されている。
特許文献2には、早強ポルトランドセメント、無水石膏と非晶質シリカとを所定条件で含む混和材、ナフタレン系分散剤、骨材及び水を含む高強度遠心力成形用コンクリート組成物が記載されている。
特許文献3には、水酸化アルミニウムおよびヒドロキシ硫酸アルミニウムからなる群から選択される化合物および上記化合物と本質的に反応しない酸性物質を含む、噴霧用セメント様組成物用促進混合物が開示され、実施例では酸性物質としてグルクロン酸が挙げられている。
特許文献4には、凝結遅延剤と高性能AE減水剤とからなるコンクリートまたはモルタルの初期スランプ長時間維持剤であって、該凝結遅延剤がグルコン酸、グルコヘプトン酸、サッカリック酸から選ばれたオキシカルボン酸またはその塩であり、該高性能AE減水剤がアミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系から選ばれた化合物であることを特徴とするコンクリートまたはモルタルの初期スランプ長時間維持剤が開示され、凝結遅延剤の比較例としてグルクロン酸が挙げられている。
特開昭59−207863号公報 特開2010−100505号公報 特開平9−12350号公報 特開平10−7745号公報
高強度混和材は遠心成形用コンクリートの硬化体強度の向上に有効であるが、高強度混和材を多量に使用すると、製造現場では養生後のコンクリート製品が膨張したり、表面がひびわれしたりするおそれがあることが判明した。また、高強度混和材を使用することでコストが高くなる。さらに、新たに設備を増設する場合は、サイロや計量器の設備投資が必要である。そこで、高強度混和材に変わる強度向上剤が求められていたが、これまでに置き換えは達成されていない。
本発明は、遠心成形により得られた硬化体が十分な強度を示す、コンクリート、モルタル等の水硬性組成物を提供する。
本発明は、水、水硬性粉体、分散剤、骨材、並びに、水硬性粉体100質量部に対し0.005質量部以上0.07質量部以下の、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する、遠心成形用水硬性組成物に関する。
また、本発明は、次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法に関する。
工程1:水、水硬性粉体、分散剤、骨材、並びに、水硬性粉体100質量部に対し0.005質量部以上0.07質量部の、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
工程5:工程4で凝結した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
また、本発明は、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物と、分散剤とを含有する水硬性組成物用分散剤組成物に関する。
本発明によれば、遠心成形により得られた硬化体が十分な強度を示す、コンクリート、モルタル等の水硬性組成物が提供される。本発明の水硬性組成物は、高強度混和材を使用しなくても、遠心成形により、例えば、蒸気養生後で混練から7日後の硬化体が十分な強度を示す。
高強度混和材を使用しないと、生成したエトリンガイトが、蒸気養生中に減少してしまい、7日後の強度が得られない。本発明の作用機構は不明であるが、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物(以下、グルクロン酸化合物という)は、所定量を用いることで、高強度混和材の代わりにエトリンガイトの減少を抑制しているものと推定される。所定量とすることで、充分な強度を得られることができ、セメントに吸着するグルクロン酸化合物を適正に保ち、過剰な効果遅延を抑えることができると考えられる。
〔遠心成形用水硬性組成物〕
<グルクロン酸化合物>
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する。7日強度向上の観点から、グルクロノラクトンが好ましい。
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、グルクロン酸化合物を、7日強度向上の観点から、水硬性粉体100質量部に対し、0.005質量部以上0.07質量部以下含有する。この含有量は、0.007質量部以上が好ましく、0.012質量部以上がより好ましく、0.017質量部以上が更に好ましい。また、この含有量は0.05質量部以下が好ましい。なお、グルクロン酸化合物は水和物を使用することもできる。グルクロン酸化合物が水和物の場合、無水物換算の質量で水硬性粉体に対する含有量を求める。
グルクロン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましく、後述する分散剤組成物として分散剤とグルクロン酸塩とを一液化にすることを容易にする観点から、および入手性の観点から、ナトリウム塩が好ましい。
<分散剤>
本発明の水硬性組成物は、流動性を向上させる観点から、分散剤を含有する。分散剤としては、リン酸エステル系重合体、ポリカルボン酸系共重合体、スルホン酸系共重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体等の分散剤が挙げられる。分散剤は他の成分を配合した混和剤であっても良い。
分散剤としては、7日強度の観点から、ナフタレン系重合体が好ましい。
分散剤がナフタレン系重合体である場合、本発明の遠心成形用水硬性組成物は、ナフタレン系重合体を、7日強度の観点から、水硬性粉体100質量部に対し、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.9質量部以下含有する。
ナフタレン系重合体の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは3000以上、更に好ましくは4000以上、より更に好ましくは5000、そして、好ましくは200000以下、より好ましくは100000以下、更に好ましくは80000以下、より更に好ましくは50000以下である。この重量平均分子量は、次に示すゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定されたものである。
GPC条件
カラム:G4000SWXL+G200SWXL(東ソー株式会社製)
溶離液:30mMCHCOONa/CHCN=6/4(pH=6.9)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV(280nm)
サンプルサイズ:2mg/mL,0.01mL
標準物質:ポリスチレンスルホン酸換算
ナフタレン系重合体は液状及び粉末状のものを用いることができる。また、ナフタレン系重合体は市販品を用いることができ、例えば、花王(株)製マイテイ150が挙げられる。
ナフタレン系重合体の製造方法は、例えば、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとを縮合反応により縮合物を得る方法が挙げられる。前記縮合物の中和を行っても良い。また、中和で副生する水不溶解物を除去しても良い。例えば、ナフタレンスルホン酸を得るために、ナフタレン1モルに対して、硫酸1.2〜1.4モルを用い、150〜165℃で2〜5時間反応させてスルホン化物を得る。次いで、該スルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒドとして0.95〜0.99モルとなるようにホルマリンを85〜95℃で、3〜6時間かけて滴下し、滴下後95〜105℃で縮合反応を行う。要すれば縮合物に、水と中和剤を加え、80〜95℃で中和工程を行う。中和剤は、ナフタレンスルホン酸と未反応硫酸に対してそれぞれ1.0〜1.1モル倍添加することが好ましい。また中和による生じる水不溶解物を除去、好ましくは濾過により分離しても良い。これらの工程によって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液が得られる。この水溶液をナフタレン系分散剤としてそのまま使用することができる。更に必要に応じて該水溶液を乾燥、粉末化して粉末状のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩を得ることができ、これを粉末状のナフタレン系分散剤として用いてもよい。乾燥、粉末化は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥等により行うことができる。上記方法により、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を得る事ができるが、その他の条件や方法にて目的物を得る事ができる。
<水硬性粉体>
水硬性粉体は、セメントが挙げられる。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)等の各種セメントが挙げられる。遠心成形用水硬性組成物には、セメント以外の水硬性粉体として、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等が含まれてよい。
<骨材>
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、骨材を含有する。骨材として細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。
<その他の成分及び遠心成形用水硬性組成物の物性等>
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、水、水硬性粉体、分散剤、骨材、及び所定量のグルクロン酸化合物を含有する。本発明の遠心成形用水硬性組成物は、その他の添加剤を含有することもできる。例えば、以下の成分が挙げられる。
・AE剤:樹脂石鹸、飽和もしくは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホネート、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルコハク酸、α−オレフィンスルホネート等
・起泡剤
・増粘剤
・珪砂
・発泡剤
・防水材:樹脂酸又はその塩、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等
・高炉スラグ
・流動化剤;
・消泡剤:ジメチルポリシロキサン系、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル系、鉱油系、油脂系、オキシアルキレン系、アルコール系、アミド系等
・防泡剤
・防錆剤:亜硝酸塩、燐酸塩、酸化亜鉛等
・水溶性高分子:メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系、β−1,3−グルカン、キサンタンガム等の天然物系、ポリアクリル酸アミド、ポリエチレングリコール、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物もしくはこれとビニルシクロヘキセンジエポキシドとの反応物等の合成系等
・高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の単量体を用いた高分子のエマルジョン
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、水硬性粉体の含有量に対する水の含有量の割合が、(水の含有量)/(水硬性粉体の含有量)×100(以下、W/Pという、水硬性粉体がセメントの場合は、W/Cという)で、好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下である。W/Pの値が小さいほど、遠心成形体における内面平滑性、端面の外観の改善効果の差が顕著となる。
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、細骨材率(s/a)が好ましくは30体積%以上、より好ましくは35体積%以上、そして、好ましくは45体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。s/aは、細骨材(S)と粗骨材(G)の体積に基づき、s/a=〔S/(S+G)〕×100(体積%)で算出されるものである。
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、細骨材と粗骨材とを含有することができる。その場合、細骨材を、未硬化のコンクリート(フレッシュ状態のコンクリート)1mに対して、好ましくは450kg以上、より好ましくは550kg以上、そして、好ましくは950kg以下、より好ましくは750kg以下含有する。また、粗骨材を、未硬化のコンクリート(フレッシュ状態のコンクリート)1mに対して、1000kg以上、より好ましくは1050kg以上、そして、好ましくは1300kg以下、より好ましくは1200kg以下含有する。
本発明の遠心成形用水硬性組成物は、ノロの低減の観点から、スランプ値が、好ましくは0cm以上8cm以下であり、水硬性組成物の型枠への充填性の向上とノロの低減の観点から、好ましくは0.5cm以上、より好ましくは1cm以上、そして、好ましくは6cm以下、より好ましくは4cm以下である。スランプ値は、JIS A 1101に従い測定する。
本発明の水硬性組成物は、コンクリート、又はモルタルとして使用できる。
本発明の水硬性組成物は、遠心成形による硬化体の製造に用いられる。本発明の水硬性組成物は、高強度混和材を使用しなくても遠心成形により得られる硬化体が十分な強度を示すため、コンクリート製品の膨張やひび割れの懸念を解消できる。
なお、必要に応じて、高強度混和材と本発明に係るグルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物とを併用して使用することもできる。
〔水硬性組成物の硬化体の製造方法〕
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、次の工程を含む。本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法には、本発明の遠心成形用水硬性組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
工程1:水、水硬性粉体、分散剤、骨材、並びに、水硬性粉体100質量部に対し0.005質量部以上0.07質量部の、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する水硬性組成物を調製する工程。
工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
工程5:工程4で凝結した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法は、次の工程6、更に工程7を含むことができる。
工程6:工程5の後、水硬性組成物を冷却して、型枠から脱型する工程。
工程7:工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する工程。
工程1では、水とグルクロン酸化合物と分散剤とを含む混合物を添加して混合する方法が、水硬性組成物を製造する際でも、容易に均一に混合できる点で好ましい。
工程1の具体的な方法としては、水硬性粉体、骨材を混合し、水とグルクロン酸化合物と分散剤とを含む混合物を、前記のような添加量となるように添加し、混練して水硬性組成物を調製する工程が挙げられる。
工程1での水硬性粉体に対する水とグルクロン酸化合物の混練量の好ましい範囲は、遠心成形用水硬性組成物における各成分の含有量の好ましい範囲と同じである。工程1では、W/P、好ましくはW/Cが、好ましくは10質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下の水硬性組成物を調製することが好ましい。
工程2で、工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する方法は、混練後の水硬性組成物を混練手段から排出し、手作業にて型枠へ投入してならす方法が挙げられる。
工程3では、型枠に充填した水硬性組成物を、0.5G以上の遠心力で型締めすることが好ましい。遠心成形の遠心力は、好ましくは0.5G以上、そして、30G以下、より好ましくは25G以下である。エネルギーコスト低減面と成形性の面から、少なくとも1分以上、遠心力を15G以上、そして、30G以下、更に25G以下の範囲(高遠心力ともいう)に保持することが好ましい。遠心成形の遠心力は、少なくとも1回変化させることが好ましい。工程3では、水硬性組成物を、段階的に変化する遠心力をかけて型締めすることができる。
遠心力での締め固めは、例えば0.5G以上30G以下の遠心力で、好ましくは5分以上、より好ましくは7分以上、更に好ましくは9分以上、そして、好ましくは40分以下行なう。成形体を平滑に締め固める観点から、高遠心力、例えば20G以上の遠心力、の保持による締め固めは、好ましくは1分以上、より好ましくは3分以上、更に好ましくは5分以上、そして、好ましくは10分以下行なう。
遠心力での締め固めは、段階に分けて行うことができ、成形性の観点から、段階的に遠心力Gを大きくする方法が好ましい。例えば、五段階の場合、(1)一段階目である初速が0.5G以上2G未満の遠心力で0分間超10分間以下、(2)二段階目である二速が2G以上5G未満の遠心力で0分間超10分間以下、(3)三段階目である三速が5G以上10G未満の遠心力で0分間超10分間以下、(4)四段階目である四速が10G以上20G未満の遠心力で0分間超10分間以下、(5)五段階目である五速が20G以上30Gの遠心力で0分間超10分間以下、行うことが好ましい。
工程4では、工程3で得られた水硬性組成物を凝結させる。具体的には、混練後3〜4時間の気中養生を行うこととする。
工程5では、工程4で得られた型枠に入った硬化したコンクリートを蒸気養生する。養生条件としては、室温(20℃)に1〜4時間放置する前養生を行った後、60℃以上85℃以下で蒸気養生を行なうことが好ましい。また、工程5と工程6は一連の温度制御のもとに連続して行うことができる。
具体的な養生条件として、工程5として、1時間当たり10℃以上30℃以下の昇温速度で型枠の周囲温度を60℃以上85℃以下に昇温し、昇温した温度を2時間以上8時間以下保持し、次いで、工程6として、1時間当たり5℃以上20℃以下の降温速度で室温、例えば20℃まで冷却し、成形体を脱型する。
好ましい条件の一例を挙げれば、室温、例えば20℃に3時間放置し、昇温速度20℃/時間、80℃で6時間保持し(工程5)、次いで、10℃/時間で室温まで冷却して、20時間以上30時間以下の後に成形体を脱型する(工程6)方法が挙げられる。
また、更に180℃のオートクレーブ養生を行なう事も可能である。
工程7では、工程6で得られた水硬性組成物の硬化体を常温常圧で養生する。具体的には、20℃、大気圧下で保存する。
本発明の水硬性組成物の硬化体の製造方法としては、水硬性組成物の調製を開始してから工程6で脱型するまでの時間が8時間以上30時間以下である、水硬性組成物の硬化体の製造方法が挙げられる。ここで、水硬性組成物の調製の開始とは、水硬性粉体と水とが最初に接触した時点である。
本発明の製造方法により得られる水硬性組成物の硬化体は、遠心成形コンクリート製品として使用でき、具体的には、パイル、ポール、ヒューム管等が挙げられる。本発明の製造方法により得られる水硬性組成物の硬化体は、初期強度に優れるとともに、製造時のノロの発生量が少なく当該製品の製造現場での廃棄物を低減できる。また、締め固めに優れることから、当該製品の内面及び端面凹凸が少なく、表面美観に優れるとともに、更に製品内面が平滑に仕上がることから、パイル打ち込み、中堀工法時の切削機の障害が改善される。
〔水硬性組成物用分散剤組成物〕
本発明は、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物(以下、グルクロン酸化合物という)と、分散剤とを含有する水硬性組成物用分散剤組成物に関する。グルクロン酸化合物と分散剤は、それぞれ、本発明の水硬性組成物で述べたものを使用でき、好ましい態様も水硬性組成物で述べた事項を適宜適用できる。
本発明の分散剤組成物は、グルクロン酸化合物/分散剤の質量比が、好ましくは0.0125以上、より好ましくは0.02以上、そして、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.05以下である。
本発明の分散剤組成物は、液体、固体、いずれの形態であってもよい。液体の場合は、水を含有することが好ましい。液体の場合、グルクロン酸化合物、分散剤及び水を含有する分散剤組成物が好ましい。グルクロン酸化合物、分散剤及び水を含有する分散剤組成物は、グルクロン酸化合物を、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、そして、好ましくは3.2質量%以下、より好ましくは2質量%以下含有する。グルクロン酸化合物、分散剤及び水を含有する分散剤組成物は、分散剤を、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下含有する。
<グルクロン酸化合物>
グルクロン酸Na:グルクロン酸ナトリウム一水和物、和光純薬工業株式会社製、一級、純度98%超
D−グルクロノラクトン:和光純薬工業株式会社製、特級、純度99%超
<分散剤>
MY150:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物:重量平均分子量20,000、花王株式会社製、マイテイ150、表2ではNSFと表記し、有効分換算の添加量を示した。重量平均分子量は、前記条件のGPCにて測定を行なった。
モルタル配合
Figure 0006422324
表1中の成分は以下である。
W:和歌山市水道水
C:普通ポルトランドセメント:太平洋セメント(株)製普通ポルトランドセメント/住友大阪セメント(株)製普通ポルトランドセメント=1/1(質量比)の混合セメント
S:細骨材:城陽産 山砂
W/Cは、(Wの含有量)/(Cの含有量)×100の質量%を示す。
モルタルの製造
表1に示す配合条件でモルタルを製造した。具体的には、モルタルミキサー((株)ダルトン製 万能混合攪拌機 型式:5DM-03-γ)を用いて、セメント(C)、細骨材(S)を投入し空練りを30秒間行い、分散剤を含む練り水(W1)を加え低速回転にて60秒間混練し、更にグルクロン酸化合物を含む練り水(W2)を加え、低速回転にて240秒間本混練りして遠心成形用モルタルを調製した。W1の量とW2の量の合計が表1のWの量である。また、W1の量には分散剤の量を参入し、W2の量には、グルクロン酸化合物の量を算入した。なお、グルクロン酸化合物のセメント100質量部に対する有効分の添加量(質量部)は表2の通りである。
得られた遠心成形用モルタルを用いて本発明の工程2〜5、更に工程6、7を行うことで、硬化体を製造することができる。
圧縮強度
JIS A1132に従い、円柱型プラモールド(底面の直径:5cm、高さ10cm)の型枠に、二層詰め方式によりモルタルを充填し、前置き20℃で3時間、昇温20℃/時間、保持70℃4時間で蒸気養生を行った。その後、常温まで自然冷却し、大気中で養生を行い、モルタル硬化体を得た。そして、7日後にそれぞれの硬化体について、JIS A1108に基づいて硬化体の圧縮応力を測定し、圧縮強度を求めた。これらの結果を表2に示した。表2中、圧縮強度の強度比は、比較例1の測定値を100とする相対値である。なお、ここで得られた圧縮強度は、遠心成形して得た硬化体の圧縮強度と相関する。
Figure 0006422324
*1 セメント100質量部に対する質量部
表2の結果より、所定量のグルクロン酸ナトリウム又はグルクロノラクトンを用いた実施例では、高強度混和材を使用しなくても、充分な7日強度が得られることが分かる。

Claims (2)

  1. 水、水硬性粉体、分散剤、骨材、並びに、水硬性粉体100質量部に対し0.005質量部以上0.07質量部以下の、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する、遠心成形用水硬性組成物。
  2. 次の工程を含む水硬性組成物の硬化体の製造方法。
    工程1:水、水硬性粉体、分散剤、骨材、並びに、水硬性粉体100質量部に対し0.005質量部以上0.07質量部の、グルクロン酸、グルクロン酸塩及びグルクロノラクトンから選ばれる一種以上の化合物を含有する水硬性組成物を調製する工程。
    工程2:工程1で得られた水硬性組成物を型枠に充填する工程。
    工程3:工程2で型枠に充填した水硬性組成物を、遠心力をかけて型締めする工程。
    工程4:工程3で型締めした水硬性組成物を型枠中で凝結させる工程。
    工程5:工程4で凝結した水硬性組成物を型枠中で蒸気養生する工程。
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