JP6421599B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、それらの要求に応えるべく改良されて来てはいるが、依然感光体自体の改良が必要な場合も多い。
また、高速化の要求に応えるためには、露光後、現像までの短い時間に、速やかに表面電位を減衰する、電気的応答性を高める必要が有る。感光体の電気的応答性を高めようとする場合には、通常は感光層中の電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する比率を高め、電荷の移動度を高める必要があるが、電荷輸送物質を増量すると、バインダー樹脂の絡み合い密度を低減し、これによって感光層は摩耗し易くなり、高耐久性の要求に応えられなくなる。このような耐摩耗性と電気的応答性の兼ね合いの問題は、負帯電型感光体の場合に、特に顕著である。
なお、ビスジカルボキシイミド系化合物は、電子輸送性を有しているため、特許文献1に記載のように、正帯電型の積層型感光体の電荷輸送物質として用いられ、又は特許文献2〜4に記載の通り、正帯電型の単層型感光体の電子輸送物質として用いられているが、負帯電積層型感光体としての活用事例はほとんど無い。
本発明の要旨は下記の<1>〜<4>に存する。
<1>導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送層中に下記式(1)で表される正孔輸送物質と下記式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
<2>前記式(1)が下記式(1a)で表される化合物である<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
<4> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有し、該同一の電荷輸送層中に、上述した式(1)で表される電荷輸送物質、及び式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物を含有していれば、その構成は特に限定されない。
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使
用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものでもよい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は
、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
電荷発生層は、電荷発生物質を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生物質及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得られる。
アニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が、感度の観点から、通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、塗布液安定性の観点から、通常1000質量部以下、
好ましくは500質量部以下の範囲である。電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、その他の添加剤等の成分を含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質、バインダー樹脂、及びその他の添加剤等の成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥して得られる。
本発明では、電荷輸送物質として下記式(1)で表される正孔輸送性化合物を使用する。
上記式(1)においてAr1〜Ar5は、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が好ましく、正孔輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar1〜Ar5が有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、
電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。Ar1〜Ar5がフェニル基である場合、正孔輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、また、Ar1〜Ar5がナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。Ar1は、窒素原子に対してオルト位又はパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが、耐光疲労の観点から好ましく、置換基としては、溶解性の観点から炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
有するものでもよいし、式(1)で表される化合物の混合物として含有することも可能で
ある。
また、下記式(1a)で表される化合物が特に好ましい。式(1a)は、式(1)にお
いてAr1はアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を
有する、フェニル基であり、Ar2〜Ar5はそれぞれ独立して、置換基として炭素数1
〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基であり、Ar6〜Ar9はいずれも無
置換の1,4−フェニレン基であり、m及びnは共に1である。
感光層中のバインダー樹脂と式(1)で表される化合物との割合は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常、正孔輸送物質を5質量部以上で使用する。中でも、残留電位低減の観点から10質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から15質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常、正孔輸送物質を120質量部以下で使用する。中でも、式(1)で表される化合物とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐熱性の観点から80質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から60質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から40質量部以下が特に好ましい。
本発明の感光層は、前記式(1)で表される正孔輸送物質と同一層中に、下記式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物を含有する。
R1及びR2がハロゲン原子である場合の例としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が挙げられる。
キシ基、及びシアノ基等が挙げられる。アルコキシ基が有していてもよい置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
以下に、式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物の好ましい具体例を示す。
本発明の感光体の電荷輸送層では、前記式(1)で表される正孔輸送物質、及び前記式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物と同一層中に、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。電気特性の観点からは、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂、中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から好ましい。一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。なお、これらの樹脂は、その機能を損なわない範囲において、2種以上を混合して用いてもよい。
上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは25μm以下が特に好適に用いられる。
上記の電荷輸送層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、トナーの付着性を制御したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
ノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
ロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真 感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
<下引き層形成用塗布液の製造>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
まず、電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0
.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
下記の繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(PC1)(粘度平均分子量50,000、m:n=85:15)を100部、正孔輸送物質として前記CT8で表される化合物を34部、添加物として前記ET6で表される化合物を3部、酸化防止剤として、2,6-ビス(tert-ブチル)-4-メチルフェノールを4部、トリベンジルアミンを1部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.05部を、テトラヒドロフラ
ン/トルエン(8/2(質量比))の混合溶媒620部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
乾燥して、感光体を作製した。
<電気特性試験1>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記シート状感光体を、直径80mmのアルミニウム製シリンダーに巻き付けてアースを取り、初期表面電位が約−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とし、表面電位が初期表面電位の1/2になる露光量(半減露光量、単位μJ/cm2、E1/2と称する)、0.6μJ/cm2露光した際の表面電位(露光部電位;VLと称する)を求めた。露光から電位測定までの時間は、60msとした。測定環境は25℃,50%RH(NNと称する)、5℃,10%RH(LLと称する)で行なった。E1/2値が大きい場合は感度が悪く、VLの絶対値が大きい場合は、露光に対する応答性が悪いことを示す。また、NN条件で、上記の電気特性測定のプロセスを3万回転繰り返した後のVLの変化量ΔVLを求めた。ΔVLの値が大きい場合、繰返し使用時の電位変動が大きく、好ましくない。結果を表−1に示す。
感光体を−700Vに帯電させた後、プラスの電荷を6.5kVの電圧で印可するサイクルを、4000回繰り返した。このときの繰り返し前後で、表面電位の低下量ΔV0を表−2に示した。ΔV0が大きい場合、転写負荷による電位変動が大きく、好ましくないことを示す。結果を表−2に示す。
[感光体ドラムの製造]
表面が粗切削仕上げされ、陽極酸化処理を施し、清浄に洗浄された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1の感光体製造に使用した電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、0.4μm、18μmとなるように、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
の評価]
○: 良好(発生無し)
△: 十分ではないが許容できる
×: 不良(発生)
<Tabor摩耗試験>
感光体のTabor摩耗試験を、以下のように実施した。前記シート状の感光体を直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)に設置した。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、1000回回転後の摩耗量を試験後の質量減量を測定した。結果を表−2に示す。摩耗量が小さいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
実施例1において、CT8を30部、ET6を7部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[実施例3]
実施例2において、ET6を前記ET5に変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
実施例2において、CT8を前記CT1に変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ET6を下記ETAに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
比較例1において、CT8を30部、ETAを7部に変更した以外は、比較例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例3]
実施例1において、CT8を37部使用し、ET6を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
実施例1において、CT8を30部使用し、ET6を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例5]
実施例1において、CT8を40部使用し、ET6を使用せず、バインダー樹脂を、下記構造式で表わされるポリアリレート樹脂PE−1(粘度平均分子量35,000)に変更した以外は、実施例1同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
比較例5において、CT8を30部に変更した以外は、比較例5と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例7]
実施例2において、CT8を下記のCTAに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
実施例2において、CT8を下記のCTBに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
実施例2において、CT8を下記のCTCに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (3)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体において
、該電荷輸送層中に下記式(1a)で表される正孔輸送物質と下記式(2)で表される化
合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
オキシ基、R b 〜R e はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表
す。)
の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコシキ基、
炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアミノ基を表す。
R3〜R6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無
置換のアルキル基を表す。) - 請求項1に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置
、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写
真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも
1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。 - 請求項1に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電
した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体
上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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