JP6421599B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、優れた電気特性及び機械特性を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いて作製した電子写真感光体カートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
電子写真技術は、即時的に高品質の画像が得られることなどから、複写機、プリンター、印刷機として広く使われている。電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」ともいう)については、無公害で成膜、製造が容易である等の利点を有する、有機系の光導電物質を使用した感光体が広く使用されている。
電子写真方式の画像形成装置は、年々高画質化、高速化、高耐久化が求められている。帯電、露光、現像、転写等の感光体周りのプロセスも、それらの要求に応えるべく改良されて来てはいるが、依然感光体自体の改良が必要な場合も多い。
例えば、高画質化の要求に対しては、正帯電型感光体の感光層にビスジカルボキシイミド系化合物を含有することで、露光メモリの発生を抑制する技術が知られている(特許文献1〜4参照)。
また、高速化の要求に応えるためには、露光後、現像までの短い時間に、速やかに表面電位を減衰する、電気的応答性を高める必要が有る。感光体の電気的応答性を高めようとする場合には、通常は感光層中の電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する比率を高め、電荷の移動度を高める必要があるが、電荷輸送物質を増量すると、バインダー樹脂の絡み合い密度を低減し、これによって感光層は摩耗し易くなり、高耐久性の要求に応えられなくなる。このような耐摩耗性と電気的応答性の兼ね合いの問題は、負帯電型感光体の場合に、特に顕著である。
そのような中で、特許文献5及び6に記載されるような、大きな共役系を有する電荷輸送物質は、バインダー樹脂に対して少量の使用で大きな電荷移動度を発現し、残留電位も非常に低いため、電気特性と耐摩耗性を両立し得る可能性を有している。
米国特許5,468,583号公報 特開2006−10824公報 特開2007−322576号公報 特開2014−126610号公報 特開平9−292724号公報 特開2014−44418号公報
しかしながら、発明者らの検討によれば、前記特許文献5及び6に記載の正孔輸送物質を、バインダー樹脂に対して少量使用する場合には、初期的には良好な電気特性を示すものの、繰返し耐久性に劣る、あるいは繰り返した際に画像メモリーが悪化する、といった問題が有った。
なお、ビスジカルボキシイミド系化合物は、電子輸送性を有しているため、特許文献1に記載のように、正帯電型の積層型感光体の電荷輸送物質として用いられ、又は特許文献2〜4に記載の通り、正帯電型の単層型感光体の電子輸送物質として用いられているが、負帯電積層型感光体としての活用事例はほとんど無い。
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、前記特許文献5及び6に記載の正孔輸送物質を、ロングライフ使用に不可欠な十分な耐摩耗性を発保ちつつ、耐久時の電気特性、画像メモリー特性を改良した電子写真感光体を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、前記特許文献5及び6に記載の正孔輸送物質と同一の電荷輸送層中に、特許文献1に記載のビスジカルボキシイミド系化合物を添加することによって、耐久時の電気特性、画像メモリー特性を改良することが可能であることを見出し、以下の本発明の完成に至った。
本発明の要旨は下記の<1>〜<4>に存する。
<1>導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送層中に下記式(1)で表される正孔輸送物質と下記式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0006421599
(式(1)中、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。)
Figure 0006421599
(式(2)中、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコシキ基、炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアミノ基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基を表す。)
<2>前記式(1)が下記式(1a)で表される化合物である<1>に記載の電子写真感光体。
Figure 0006421599
(式(1a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表す。)
<3> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
<4> 前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明は、式(1)で表される正孔輸送物質に加えて、式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物を感光層に含有させることにより、耐摩耗性を悪化させることなく、高速応答性、低残留電位を示し、耐久使用時の電気特性、画像特性に優れ、ロングライフ用途に好適な電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置の提供を可能とするものである。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。
≪電子写真感光体≫
以下に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有し、該同一の電荷輸送層中に、上述した式(1)で表される電荷輸送物質、及び式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物を含有していれば、その構成は特に限定されない。
<導電性支持体>
導電性支持体については特に制限はないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使
用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び任意の比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが好ましい。
導電性支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであっても良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものでもよい。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は
、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質を含有すると共に、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷発生層は、例えば、電荷発生物質及びバインダー樹脂を溶媒又は分散媒に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得られる。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、中でも特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、金属フタロシアニンが好ましく、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましく、ガリウム系フタロシアニンの、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型のヒドロキシガリウムフタロシアニン、28.1゜にもっとも強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、又は26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシ
アニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。
電荷発生物質として、無金属フタロシアニン化合物、又は金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば、780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。また、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光(例えば、380nm〜500nmの範囲の波長を有するレーザー光)に対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
一方、電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、光入力用光源に対して感度を有するものであれば従前公知の各種のアゾ顔料を使用することが可能であるが、各種のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として、上記例示の有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
電荷発生層は、具体的に、上述のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、電荷発生物質を分散させて塗布液を調整し、これを導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布することにより形成される。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量比)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が、感度の観点から、通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、塗布液安定性の観点から、通常1000質量部以下、
好ましくは500質量部以下の範囲である。電荷発生層の膜厚は、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダー樹脂と、その他の添加剤等の成分を含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、電荷輸送物質、バインダー樹脂、及びその他の添加剤等の成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥して得られる。
[電荷輸送物質]
本発明では、電荷輸送物質として下記式(1)で表される正孔輸送性化合物を使用する。
Figure 0006421599
式(1)Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表し、Ar〜Arはそれぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。
上記式(1)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリール基を表す。アリール基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等があげられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基、アントリル基が好ましく、正孔輸送能力の観点からは、フェニル基、ナフチル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。Ar〜Arが有していてもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、具体的にはアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、エチルヘキシル基等の分岐状アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等の直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基、エチルヘキシロキシ基等の分岐状アルコキシ基、シクロヘキシロキシ基等の環状アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,1−トリフルオロエトキシ基等のフッ素原子を有するアルコキシ基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等があげられる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、
電子写真感光体としての光減衰特性の面から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましい。Ar〜Arがフェニル基である場合、正孔輸送能力の観点から置換基を有することが好ましく、置換基の数としては1〜5個が可能であるが、製造原料の汎用性からは1〜3個が好ましく、電子写真感光体の特性の面からは、1〜2個がより好ましく、また、Ar〜Arがナフチル基である場合は、製造原料の汎用性から置換基の数が2以下、もしくは置換基を有さないことが好ましく、より好ましくは置換基の数が1、もしくは置換基を有さないことである。Arは、窒素原子に対してオルト位又はパラ位に少なくとも1つの置換基を有することが、耐光疲労の観点から好ましく、置換基としては、溶解性の観点から炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
上記式(1)においてAr〜Arは、それぞれ独立して置換基を有していても良いアリーレン基を表す。アリーレン基の炭素数としては、30以下、好ましくは20以下、更に好ましくは15以下である。具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が例として挙げられ、この中でも電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、より好ましくはフェニレン基である。Ar〜Arが有していてもよい置換基としては、Ar〜Arが有していてもよい置換基として挙げたものが適用できる。これらの中でも、製造原料の汎用性から炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、製造時の取扱性の面から、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、電子写真感光体としての光減衰特性の面から、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基が更に好ましい。Ar〜Arが置換基を有すると、分子構造にねじれが生じ、分子内でのπ共役拡張を妨げ、電子輸送能力が低下する可能性があることから、Ar〜Arは置換基を有さないことが好ましく、電子写真感光体特性の面からは1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,8−ナフチレン基がより好ましく、1,4−フェニレン基が更に好ましい。
m、nはそれぞれ独立して1以上3以下の整数を表す。m、nが大きくなると塗布溶媒への溶解性が低下する傾向にあることから、好ましくは2以下であり、正孔輸送物質としての正孔輸送能力の面から、より好ましくは1である。m、nが1の場合、エテニル基を表し、幾何異性体を有するが、電子写真感光体特性の面から、好ましくはトランス体構造が好ましいである。m、nが2の場合、ブタジエニル基を表し、この場合も幾何異性体を有するが、塗布液保管安定性の面から、2種以上の幾何異性体混合物であることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、感光層に、式(1)で表される化合物を単一成分として含
有するものでもよいし、式(1)で表される化合物の混合物として含有することも可能で
ある。
また、下記式(1a)で表される化合物が特に好ましい。式(1a)は、式(1)にお
いてArはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基を
有する、フェニル基であり、Ar〜Arはそれぞれ独立して、置換基として炭素数1
〜6のアルキル基を有していてもよい、フェニル基であり、Ar〜Arはいずれも無
置換の1,4−フェニレン基であり、m及びnは共に1である。
Figure 0006421599
(式(1a)中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキルオキシ基、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表す。)
感光層中のバインダー樹脂と式(1)で表される化合物との割合は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常、正孔輸送物質を5質量部以上で使用する。中でも、残留電位低減の観点から10質量部以上が好ましく、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から15質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、通常、正孔輸送物質を120質量部以下で使用する。中でも、式(1)で表される化合物とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐熱性の観点から80質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から60質量部以下が好ましく、耐摩耗性の観点から40質量部以下が特に好ましい。
以下に本発明に好適な正孔輸送物質の構造を例示する。以下の構造は本発明をより具体的にするために例示するものであり、本発明の概念を逸脱しない限りは下記構造に限定されるものではない。
Figure 0006421599
Figure 0006421599
Figure 0006421599
Figure 0006421599
なお、正孔輸送性の電荷輸送物質としては、前述の式(1)で表される正孔輸送物質に加えて、公知の他の正孔輸送物質を併用してもよい。他の正孔輸送物質を併用する場合、その種類は特に制限されないが、例えば、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、エナミン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましい。
[ビスジカルボキシイミド系化合物]
本発明の感光層は、前記式(1)で表される正孔輸送物質と同一層中に、下記式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物を含有する。
Figure 0006421599
(式(2)中、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコシキ基、炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアミノ基を表す。R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基を表す。)
及びRがハロゲン原子である場合の例としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子が挙げられる。
及びRが置換又は非置換のアルキル基である場合、アルキル基の炭素数は1〜20であり、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。アルキル基の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状、及びこれらを組み合わせた構造のいずれでもよい。アルキル基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボニル基、エステル基、及びシアノ基等が挙げられる。アルキル基が有していてもよい置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
非置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等が挙げられる。
置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、シアノメチル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、3−ブロモ−n−プロピル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、及び3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、2−グルタミン酸ジエチルエステル基、等が挙げられる。
及びRが置換又は非置換のアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素数は1〜20であり、1〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。アルコキシ基の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状、及びこれらを組み合わせた構造のいずれでもよい。アルコキシ基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルコ
キシ基、及びシアノ基等が挙げられる。アルコキシ基が有していてもよい置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
非置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等が挙げられる。
置換アルコキシ基の具体例としては、クロロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ジブロモメトキシ基、トリブロモメトキシ基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノメトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−クロロ−n−プロピルオキシ基、3−ブロモ−n−プロピルオキシ基、3−ヒドロキシ−n−プロピルオキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、及び3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基等が挙げられる。
及びRが置換又は非置換のアリール基である場合、アリール基の炭素数は6〜20であり、6〜14が好ましく、6〜10がより好ましい。典型的にはアリール基は、フェニル基、又はベンゼン環が縮合されるか単結合により連結されて形成される基が好ましい。アリール基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜4の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等が挙げられる。アリール基が有していてもよい置換基の数は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
非置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、アントラニル基、フェナントリル基、ピレニル基、及びペリレニル基が挙げられる。置換アリール基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、o−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、o−エトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、p−ニトロフェニル基、及び2−エチル−5−メチルフェニル基等が挙げられる。
及びRが置換又は非置換のアミノ基である場合、非置換のアミノ基は−NHで表される基を意味し、置換アミノ基は−NHで表される基の水素原子の少なくとも一方が、炭素数1〜10のアルキル基及び置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選択される基により置換されている基を意味する。フェニル基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数2〜4の脂肪族アシル基、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシカルボニル基、及びフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
置換又は非置換のアミノ基の具体例としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、フェニルアミノ基、o−トリルアミノ基、p−トリルアミノ基、m−トリルアミノ基、ジメチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、及びN−n−プロピル−N−フェニルアミノ基等が挙げられる。
バインダー樹脂と式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物との割合は、同一層中のバインダー樹脂100質量部に対して、通常、0.1質量部以上で使用する。中でも、メモリーの観点から1質量部以上が好ましく、転写後の電気特性の観点から2質量部以上がより好ましい。一方、耐摩耗性の観点から、通常、80質量部以下で使用する。中でも、相溶性の観点から50質量部以下が好ましく、転写後の電気特性の観点から30質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から10質量部以下が好ましい。
以下に、式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物の好ましい具体例を示す。
Figure 0006421599
式(1)で表される化合物と式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物との割合([式(1)で表される化合物の質量部数]/[式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物質量部数])は、通常、1.0以上、メモリーの観点から2.0以上が好ましく、転写後の電気特性の観点から3.0以上がより好ましい。一方、耐摩耗性の観点から、通常、80以下、相溶性の観点から50以下が好ましく、転写後の電気特性の観点から20以下がより好ましい。
[その他の電荷輸送層成分]
本発明の感光体の電荷輸送層では、前記式(1)で表される正孔輸送物質、及び前記式(2)で表されるビスジカルボキシイミド系化合物と同一層中に、膜強度確保のためにバインダー樹脂が使用される。バインダー樹脂としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好適に使用される。このうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。電気特性の観点からは、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。また、ポリエステル樹脂、中でも全芳香族ポリエステル樹脂に対する呼称であるポリアリレート樹脂は、弾性変形率を高くすることが可能で、耐摩耗性、耐傷性、耐フィルミング性等の機械物性の観点から好ましい。一般に、ポリエステル樹脂は、機械物性の観点からはポリカーボネート樹脂より優れるものの、電気特性、光疲労の観点からはポリカーボネート樹脂に劣る。これは、エステル結合がカーボネート結合よりも極性が大きく、かつアクセプター性が強いことに起因すると考えられる。なお、これらの樹脂は、その機能を損なわない範囲において、2種以上を混合して用いてもよい。
また、電荷輸送層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向
上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させても良い。
電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には帯電安定性の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、一方、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲で、高解像度化の観点からは25μm以下が特に好適に用いられる。
<その他の機能層>
上記の電荷輸送層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、トナーの付着性を制御したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けてもよい。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とすることが好ましい。電気抵抗が該範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。
<各層の形成方法>
上記した感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、導電性支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行っても良い。
≪画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。一般的な帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等の非接触のコロナ帯電装置、あるいは電圧印加された帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる接触型帯電装置(直接型帯電装置)が挙げられる。本発明で使用される接触帯電装置の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等が挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラー)を示している。通常帯電ローラーは樹脂、及び可塑剤等の添加剤を金属シャフトと一体成型して製造され、必要に応じて積層構造を取ることも有る。なお、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行って電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハ
ロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行うようにしてもよい。露光を行う際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等で露光を行えばよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙、媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行われる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行う。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行うことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行うことで電子写真感光体の除電を行う工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行うことができる構成としたり、オフセット印刷を行う構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真 感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
以下、実施例を示して本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではなく任意に変形して実施することができる。また、以下の実施例、及び比較例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「重量部」あるいは「質量部」を示す。
[実施例1]
<下引き層形成用塗布液の製造>
平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの質量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
Figure 0006421599
<電荷発生層形成用塗布液の製造>
まず、電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0
.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
下記の繰返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(PC1)(粘度平均分子量50,000、m:n=85:15)を100部、正孔輸送物質として前記CT8で表される化合物を34部、添加物として前記ET6で表される化合物を3部、酸化防止剤として、2,6-ビス(tert-ブチル)-4-メチルフェノールを4部、トリベンジルアミンを1部、シリコーンオイル(信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.05部を、テトラヒドロフラ
ン/トルエン(8/2(質量比))の混合溶媒620部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006421599
<感光体の製造>
前記のようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミニウム蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が約1.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して下引き層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるようにワイアバーで塗布、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、前記のようにして得られた電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が約25μmになるようにアプリケーターで塗布し、125 ℃で20分間
乾燥して、感光体を作製した。
<電気特性試験1>
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記シート状感光体を、直径80mmのアルミニウム製シリンダーに巻き付けてアースを取り、初期表面電位が約−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とし、表面電位が初期表面電位の1/2になる露光量(半減露光量、単位μJ/cm2、E1/2と称する)、0.6μJ/cm2露光した際の表面電位(露光部電位;VLと称する)を求めた。露光から電位測定までの時間は、60msとした。測定環境は25℃,50%RH(NNと称する)、5℃,10%RH(LLと称する)で行なった。E1/2値が大きい場合は感度が悪く、VLの絶対値が大きい場合は、露光に対する応答性が悪いことを示す。また、NN条件で、上記の電気特性測定のプロセスを3万回転繰り返した後のVLの変化量ΔVLを求めた。ΔVLの値が大きい場合、繰返し使用時の電位変動が大きく、好ましくない。結果を表−1に示す。
<電気特性試験2>
感光体を−700Vに帯電させた後、プラスの電荷を6.5kVの電圧で印可するサイクルを、4000回繰り返した。このときの繰り返し前後で、表面電位の低下量ΔV0を表−2に示した。ΔV0が大きい場合、転写負荷による電位変動が大きく、好ましくないことを示す。結果を表−2に示す。
<画像試験>
[感光体ドラムの製造]
表面が粗切削仕上げされ、陽極酸化処理を施し、清浄に洗浄された外径30mm、長さ246mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例1の感光体製造に使用した電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、0.4μm、18μmとなるように、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で24分間行なった。
得られた感光体を、沖データ社製タンデムフルカラープリンタ C711dn(DCローラー帯電、LED露光、接触非磁性一成分現像)の感光体カートリッジに搭載して、気温10℃、相対湿度15%下において、印字率5%で、12500枚の連続印字を行い、画像メモリー(ゴースト)の発生有無を確認した。結果を表−2に示す。[画像メモリー
の評価]
○: 良好(発生無し)
△: 十分ではないが許容できる
×: 不良(発生)
<Tabor摩耗試験>
感光体のTabor摩耗試験を、以下のように実施した。前記シート状の感光体を直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)に設置した。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、1000回回転後の摩耗量を試験後の質量減量を測定した。結果を表−2に示す。摩耗量が小さいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
[実施例2]
実施例1において、CT8を30部、ET6を7部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[実施例3]
実施例2において、ET6を前記ET5に変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[実施例4]
実施例2において、CT8を前記CT1に変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ET6を下記ETAに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
Figure 0006421599
[比較例2]
比較例1において、CT8を30部、ETAを7部に変更した以外は、比較例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例3]
実施例1において、CT8を37部使用し、ET6を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例4]
実施例1において、CT8を30部使用し、ET6を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例5]
実施例1において、CT8を40部使用し、ET6を使用せず、バインダー樹脂を、下記構造式で表わされるポリアリレート樹脂PE−1(粘度平均分子量35,000)に変更した以外は、実施例1同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
Figure 0006421599
[比較例6]
比較例5において、CT8を30部に変更した以外は、比較例5と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
[比較例7]
実施例2において、CT8を下記のCTAに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
Figure 0006421599
[比較例8]
実施例2において、CT8を下記のCTBに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
Figure 0006421599
[比較例9]
実施例2において、CT8を下記のCTCに変更した以外は、実施例2と同様に感光体を作製、評価した。結果を表−1,表−2に示す。
Figure 0006421599
Figure 0006421599
Figure 0006421599
表−1、表−2に示すように、実施例1〜4の感光体は、式(1)で表される電荷輸送物質の量が少なく、耐摩耗性が良いものであっても、化合物(2)の併用によって電気特性を悪化させることが無く、画像メモリーが改善されることが分かる。一方、比較例1,2のように、他の電子輸送性を有する添加剤では電気特性、画像メモリーが悪化し、化合物(2)を使用していない比較例3では、耐摩耗性が悪くなり、比較例4では、画像メモリーが悪い。比較例5,6では、耐摩耗性は良好だが、電気特性、画像メモリーが悪い。比較例7〜9のような電荷輸送物質を使用した場合は、電気特性が大幅に悪化し、画像濃度も不十分で、画像メモリーも悪いことが分かる。
1 感光体(電子写真感光体)
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体において
    、該電荷輸送層中に下記式(1a)で表される正孔輸送物質と下記式(2)で表される化
    合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006421599
    (式(1a)中、R はアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はアラルキル
    オキシ基、R 〜R はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、又は水素原子を表
    す。)
    Figure 0006421599
    (式(2)中、R,Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20
    の置換または無置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または無置換のアルコシキ基、
    炭素数6〜20の置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアミノ基を表す。
    〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または無
    置換のアルキル基を表す。)
  2. 請求項1に記載の電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置
    、該帯電した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写
    真感光体上に形成された静電潜像を現像する現像装置からなる群から選ばれる少なくとも
    1つ、を備えたことを特徴とする電子写真感光体カートリッジ。
  3. 請求項1に記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、該帯電
    した電子写真感光体を露光させて静電潜像を形成する露光装置、及び、該電子写真感光体
    上に形成された静電潜像を現像する現像装置、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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