JP6418361B1 - 石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板 - Google Patents

石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板 Download PDF

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Abstract

所定の成分のフェライトパーライト鋼板であって、ミクロ組織が1/4厚部のフェライト面積分率が80〜95%、1/4厚部のパーライト面積分率が5〜20%で構成される組織で、1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比が1.0〜1.5、1/4厚部のフェライト粒の平均粒径が5〜20μm、1/4厚部のフェライト中の平均転位密度が7×1012/m2以下、1mmピッチのビッカース硬さの試験で、鋼板の表面から1/4厚部まで、または3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%、板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%、である石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。

Description

本発明は、石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板に関する。例えば船舶の衝突が万一起きた場合でも、上記船舶の船舶側面部の破口を抑制等することができる板厚5mm以上の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板に関する。
近年、最近の造船分野においては、万一船舶同士が衝突事故を起こしてもその破壊(破口)を最小限にくい止め、破損部からの浸水等の被害を最小限にし、人命や積荷を保護するための技術が検討されている。
その中でも、船体用鋼材面からの取り組みとして、衝突時のエネルギーを鋼材自体に多く吸収させ船体の破壊を抑制することが提案されている。
例えば、衝突時のエネルギー吸収能力を向上させる方法としては、鋼板の組織をフェライト(α)主体とし、かつαを強化する技術が特許文献1に提案されている。この技術は、α分率Fが80%以上であり、かつαの硬さHについては下限値(H≧400−2.6×F)を規定することを特徴としている。
また、鋼板の表裏層に残留オーステナイト(γ)を含ませる技術が特許文献2に提案されている。この技術は、C、Si、Mn、Alを含有し、さらに必要に応じて強化元素を含有し、鋼板の少なくとも板厚の1/8以上の表裏層に面積率で1.0〜20%の残留γを含むというものである。
これらの他に、特許文献3には、鋼板金属組織中のフェライト(α)の分率を板厚中央部で70%以上、板厚表層部で50%以上とし、均一伸びを増加させることにより、耐衝突性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献4に、鋼板の全金属組織に占めるαの面積分率を90%以上、その平均α粒径を3〜12μm、最大α粒径を40μm以下、第2相の平均円相当径を0.8μm以下とし、均一伸びと破断応力の積を大きくすることにより、衝突吸収性を向上させる技術が提案されている。
上記の特許文献1と特許文献2では、伸びと強度の積(EL×(YP+TS)/2)を耐衝撃性を表す指標(衝撃吸収エネルギー)として、これを高める手段が開示されている。ところが、船舶同士が衝突した際の破口抑制という観点からは、上記指標よりも伸びの値そのものの方がより大きく影響することが大規模衝突シミュレーションによって明らかになりつつある。特許文献1の技術では、α粒径が5μm以下で、αの硬さはHv160〜190と高めであるため、伸び自体は必ずしも高くなく、衝突時の破口を抑制する効果はあまり期待できない。
また、特許文献2の技術では、組織に残留γを含むようにするため、合金元素が多目に添加されており、実施例として開示されている鋼は炭素当量(Ceq)が高いか、Siが高い鋼種となっている。そのため、溶接性や継手靭性を確保することが困難で、実船への適用は限定的と考えられる。
一方、特許文献3の技術では、合金元素添加量を低目に抑え、2段階の冷却により特に板厚中心部のαの分率、硬さ、粒径を制御することにより、均一伸びの向上を図っているが、造船用のような広幅長尺鋼板を製造する際には、材質ばらつきが生じてしまい、実用的な製造方法とはいい難い。
特許文献4では、鋼材の化学成分と金属組織の情報は開示されているが、製造方法において実用上不確実な点が多い。すなわち、詳細な説明に記されている製造方法は、熱間圧延、冷却後に再加熱を推奨しているが、廉価かつ大量生産が必須の造船用鋼板において、再加熱のようなプロセスは生産コストと製造工期の観点から実用化が懸念される。
さらには、船体用鋼材を、特殊な耐食性が要求される環境に置かれる石炭・鉱石運搬船ホールド用の鋼板として使用する場合、使用中に腐食が生じ、減肉する可能性がある。著しく減肉した鋼材を使用していれば、万が一衝突が起きた場合に、減肉していない材料に比べて、破口が生じる可能性が大きくなる。
特許文献5では衝突安全性に関しては示されているが、腐食による減肉は考慮されていない。
逆に特許文献6では腐食の抑制に関しては、示されているが、衝突安全性能に関しては考慮されていない。
以上を鑑みると、石炭・鉱石運搬船ホールド用の高強度高延性厚板鋼板で、例えば、船舶が衝突したときに船舶側面部の破口を抑制等することができる強度と延性、さらには耐食性も兼ね備えた石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板についての技術は、未だ確立されていないのが実情である。
特開平10−306340号公報 特開平11−246935号公報 特開2003−89841号公報 特開2007−162101号公報 特開2016−125077号公報 特開2008−174768号公報
石炭・鉱石運搬船ホールド用の鋼板として使用する場合、その腐食環境は、以下の理由によって、過酷なものとなる。
石炭・鉱石運搬船のホールド内は、石炭や鉱石という固形物を収容して運搬するために、塗膜が機械的に傷つけられ易いため、ホールド内の塗膜の一部が傷付いたり塗膜が全面で剥離したりして、鋼材が直接腐食環境に曝されることになる。
また、石炭・鉱石運搬船のホールド内の腐食環境は、SO 2−とClを含む湿潤環境あるいは乾湿繰り返し環境であり、結露水はSO 2−によりpH値が約2〜3に低下する。そして、塗膜の傷部直下は濃厚塩化物環境であり、pH値が大幅に低下している。そのため、石炭・鉱石運搬船のホールド内において、塗膜が機械的に傷つけられ易いだけでなく、SO 2−とClの両方の影響を受け易い。
このように、石炭・鉱石運搬船ホールドは過酷な腐食環境にあり、単純に使用開始時の鋼板が衝突安全性に優れていても経年使用する過程において、著しく腐食減肉していれば、衝突安全性が低下する。
本発明は、上記実情に鑑み、石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板、例えば衝突時の船舶側面部の破口を抑制等することができる強度と延性とを兼ね備えた石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板を提供することに加え、塗膜が機械的に傷つけられ易く、かつSO 2−とClの両方の影響を受け易い腐食環境であっても、塗膜の寿命延長と塗膜が剥がれた後の腐食抑制を図ることができ、さらに、通常の製造方法において圧延割れの発生を防止しうる、石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板を提供することを目的とする。
船舶が衝突したときに船舶側面部に破口が生じるメカニズムを考察する。例えば、船舶側壁部に他の船舶の舳先が衝突した場合には、船舶の舳先の全体が船舶側壁部の平らな鋼板にめり込んでくるので、船舶側壁部の鋼板は大きく曲げ変形を受け、奥に引き伸ばされて大きく引っ張られる。そして、鋼板が破壊されると、船舶側壁部の鋼板が破口することとなる。
したがって、船舶が衝突したときに船舶側面部の鋼板に破口を生じさせないようにするためには、衝突時の初期段階で鋼板が大きく曲げられた時に、その曲げに耐えられること、そして、曲がっていない部分が大きく引き伸ばされ引張り変形を起こすこととなるが、その部分が伸びて破断しないことが必要である。
船舶が衝突したときに船舶側面部の破口を抑制するには鋼板の伸びを大きくすることが本質的に重要であるが、一般に鋼板の強度を向上させると鋼板の伸びが劣化するので、強度と伸びとを両立させた高強度高延性厚板鋼板が望まれている。
本発明者は、石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板、特に衝突時の船舶側面部の破口を抑制等することができる石炭・鉱石運搬船ホールド用耐衝突性鋼板を得るために、鋼板の成分組成およびミクロ組織に着目して研究を進めた結果、鋼板内での強度と伸びの変動を抑制しやすいフェライト+パーライト鋼で、ミクロ組織としてフェライト(以下「α」とも表記する。)の存在状態による延性向上と第二相であるパーライトによる強度向上を図り、かつ板厚内のSnの最大濃度、ならびに板厚方向の硬さを制御すること等によって、強度、延性並びに耐食性とを兼ね備えた石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板が得られることを見出して、本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
〔1〕 質量%で、
C:0.05〜0.20%、
Si:0.2〜1.0%、
Mn:0.5〜2.0%、
Nb:0.003〜0.030%、
Ti:0.003〜0.020%、
Al:0.002〜0.050%、
Sn:0.010〜0.30%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0005〜0.0050%、
Ca:0〜0.0080%、
Mg:0〜0.0080%、
REM:0〜0.0080%、
Ca+Mg+REM:0.0005〜0.0080%、
P:0.008%以下、
S:0.003%以下、
Cu:0〜0.05%、
Ni:0〜1.0%、
Cr:0〜0.10%未満%、
Mo:0〜0.5%、
V:0〜0.050%、
Co:0〜1.0%、
B:0〜0.0030%、
Ti/N:0.5〜4.0、
残部:Fe及び不純物、
であり;
圧延方向断面を観察した際にミクロ組織が、
1/4厚部のフェライト面積分率:80〜95%、
1/4厚部のパーライト面積分率:5〜20%、
1/4厚部のベイナイト面積分率:0〜10%未満、
1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比:1.0〜1.5、
1/4厚部のフェライト粒の平均粒径:5〜20μm、
1/4厚部のフェライト中の平均転位密度:7×1012/m以下、
であり;
1mmピッチのビッカース硬さの試験で、
鋼板の表面から1/4厚部までおよび3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%、
板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%;
であることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔2〕板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でPの最大濃度が0.02〜0.20%;
であることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔3〕下記式(1)で示されるArが、760〜820℃であることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
Ar=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]
−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
〔4〕板厚が5〜50mmであることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔5〕引張強さ(TS)が400〜650N/mmであることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用耐鋼板を石炭・鉱石運搬船ホールドに使用することにより、万一船舶同士の衝突事故が起こった場合でも、船舶の鋼板が破断して破口する可能性を低減することができるので、船舶事故時における衝突損傷部からの浸水量を低減でき、沈没を回避することにより、人命や貨物の保護や燃料油の流出による海洋汚染の可能性を低減できるなど環境保護及び安全性の点から顕著な効果を奏する。
さらに、本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板は、耐食性にも優れているので、石炭・鉱石運搬船ホールドに用いて、経年使用を経ても良好な衝突安全性が得られるという格別顕著な効果を奏する。
また、本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板の製造方法は、従来の製造設備に大幅な改造を加える必要が無く、通常の製造工程に工夫を加えるだけで、圧延割れの発生を防止しうる顕著な効果を奏する。
鉱石運搬船ホールド内の腐食を模擬したサイクル試験のフローチャートである。
以下本発明について詳細に説明する。
船舶が衝突したときに船舶側面部の破口を抑制するためには船舶側面部の鋼板の伸びを大きくすることが本質的に重要である。伸びは均一伸びと局部伸びに分けることができるが、これらの支配因子は異なっており、通常両立することは困難である。すなわち、均一伸びはα自体の延性向上に加えて、第二相の硬さ増加により高めることができ、一般に複合組織とする方が有利である。一方、局部伸びは硬さ分布の均一化、第二相や介在物等の微細分散等、均一組織とする方が有利である。構造物が衝突した際の破壊を防止するという観点からは、どちらかの伸びを重点的に向上させるというよりも、両者をバランスよく向上させることが望ましい。
なお、鋼板の伸びが一般鋼に比べて約1.4倍となることで、船舶の側面から衝突された際に穴が開くまでの衝撃吸収エネルギーが約3倍となり、従来の鋼材に比べて船体に穴が開きにくくなる特徴をもつことが知られているので、本発明では伸びの目標は、一般鋼の約1.4倍の24%以上とした。ただし、引張試験片は、JIS Z2241:2011の1B号試験片(幅(W):25mm、原標点距離(GL):20mm)とした。また、その他の特性としては、降伏応力(YP)が355〜500N/mm、引張強度(TS)が490〜620N/mmで、鋼板板厚(t)が5〜50mmを目標値とした。
この強度の目標値は、例えば日本海事協会制定の「鋼船規則 K編 材料」における「材料記号KA36、KD36、KE36、KF36」(YP36規格:降伏点または耐力355N/mm(MPa)以上、引張強さ490〜620N/mm(MPa))に対応する。
本発明者らは、このような目標値を達成できる石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板として、鋼板内での強度と伸びの変動を抑制しやすいフェライト+パーライト鋼を前提として、フェライトの延性向上と第二相であるパーライトによる強度向上を図るという指針のもと、鋼板の化学成分、製造条件の影響について詳細な調査を行い、以下のことを知見した。
αの延性を向上させるためには、αの清浄度をできる限り高める必要がある。ただし、鋼板の強度は担保する必要があることから、パーライトを形成するCと、置換型固溶元素であるSi、Mn等は一定量添加せざるを得ない。
本発明者は、以下の点について知見した。
α中で析出物を形成するNb、Ti等の元素は必要最小限の添加にとどめ、侵入型で固溶して降伏応力を顕著に上昇させるNや、不純物元素であるP、S等を極力低減することが効果的である。
Ca、Mg、REM(La,Ce等の希土類元素)の単独または複合添加によりこれらを含有する硫化物を形成させ、粗大な介在物(延伸MnS等)の生成を抑制することが伸び向上に有効である。
α中の転位密度が高くなると、塑性変形により容易に増殖してαを硬化させ、伸びを低下させる原因となるため、転位密度を低減しておく。
同様に、耐食性向上に必要なSnも板厚中心部に偏析すれば、脆化域を形成して割れを生じさせると共に伸びを劣化させるので、Snの最大濃度を低下させるように造り込むことが必要であることも知見した。
また、第二相であるパーライトを分散させることで強度向上が図れるが、船舶が衝突したときに船舶側面部の破口を抑制するためには、鋼板板厚方向の組織を均一化し、鋼板板厚方向の硬さの分布を均一化することに効果があること等を知見した。
本発明では、これらの知見に基づいて、石炭・鉱石運搬船ホールド用耐衝突性鋼板の鋼成分およびミクロ組織を決定した。
まず、本発明鋼板の鋼成分の限定理由を説明する。なお、成分についての「%」はすべて質量%を意味する。
(C:0.05〜0.20%)
Cは、パーライトを形成して強度を高めるのに不可欠な元素であるため0.05%以上含有する。一方、C量が増えると溶接性や継手靭性確保が困難となるため0.20%を上限とする。なお、C量は0.10%以上、0.16%以下が好ましい。
(Si:0.2〜1.0%)
Siは、安価な脱酸元素であり、固溶強化に効くとともに、変態点を上昇させてα中の転位密度低減に寄与するため0.2%以上含有する。一方、Si量が1.0%を超えると溶接性と継手靭性を劣化させるため上限を1.0%とする。Si量は、0.3%以上、0.5%以下が好ましい。
(Mn:0.5〜2.0%)
Mnは、母材の強度及び靭性を向上させる元素として有効であるため0.5%以上含有する。一方、Mnを過剰に含有すると、継手靭性、溶接割れ性を劣化させるため2.0%を上限とする。Mn量は、0.8%以上、1.6%以下が好ましく、更に好ましくは、0.9%以上、1.5%以下である。
(Nb:0.003〜0.030%)
Nbは、微量の添加により組織微細化に寄与し、特にYP36などの高強度鋼の延性向上と母材強度確保に有効な元素であるため、0.003%以上を含有する。0.030%超のNbを含有すると、溶接部を硬化させて著しく靭性を劣化させるため、0.030%を上限とする。
(Ti:0.003〜0.020%)
Tiは、微量の添加により母材と溶接部の組織微細化を通じて延性向上と靭性向上に寄与するため、0.003%以上含有する。一方、過剰に添加すると溶接部を硬化させ著しく靭性を劣化させるため、0.020%を上限とする。Ti量は、0.006〜0.013%が好ましい。
(Al:0.002〜0.050%)
Alは、重要な脱酸元素であるため0.002%以上含有する。一方、Alを過剰に含有すると鋼片の表面品位を損ない、靭性に有害な介在物を形成するため0.050%を上限とする。Al量は、好ましくは0.002〜0.040%であり、更に好ましくは、0.010〜0.040%である。
(Sn:0.010〜0.30%)
合金元素としてSnを含有させると、塗装部の耐食性が著しく向上するだけでなく、石炭や鉱石という固形物を収容して運搬するために塗膜が機械的に傷つけられ、塗膜が剥がれて裸鋼となった後の耐食性も著しく向上する。これは、石炭・鉱石運搬船ホールド内のpHが低下した環境において、Snが溶解して鋼材上に析出するが、Snは水素過電圧の大きい元素であるから、Snが析出した部分では低pH環境におけるカソード反応である水素発生反応を著しく抑制することになり、その結果、耐食性が向上する。また、Snはイオンとして存在する場合においても、鋼材の溶解反応であるアノード反応を抑制する効果がある。これは、Snイオンの作用により鉄の溶解経路となる鉄表面へのOHやClの吸着を抑制し、鉄の溶解そのものを抑えるためである。これらの効果を得るには、0.010%以上の含有量が必要であるが、0.30%を超えて含有させても前記の効果は飽和するばかりでなく、伸びや靭性の著しい劣化をまねく。したがって、含有量は0.010〜0.30%とする。好ましくは、0.02〜0.25%である。
(N:0.0010〜0.0050%)
Nは、Alと共に窒化物を形成し継手靭性を向上させるため、含有量の下限を0.0010%以上、好ましくは0.002%以上とする。一方、Nの含有量が過剰であると、固溶Nによる脆化や伸びの低下が生じるため、上限を0.0050%とする。好ましくは、0.0040%以下である。
(O:0.0005〜0.0050%)
Oは、Mg、Ca、REMとともに酸化物を形成する。0.0050%を超えると酸化物が粗大化して伸びや靭性が低下するので、0.0050%以下とする。一方、Oは少ないほど良いが、Oを減らすには、例えば、RH真空脱ガス装置での還流作業が長時間となり現実的ではないので、0.0005%以上とする。ここで、Оは総酸素(T.O)である。
(Ca:0〜0.0080%、Mg:0〜0.0080%、REM:0〜0.0080%、Ca+Mg+REM:0.0005〜0.0080%、)
Ca、Mg、REMは、いずれも硫化物を形成することで粗大な介在物(延伸MnS等)の生成を抑制する重要な元素である。これらの元素は同等の効果を有するため、個々の含有量は問わないが、Ca含有量、Mg含有量およびREM含有量の合計としては0.0005〜0.0080%とする必要がある。これらの含有量の合計つまりCa+Mg+REMが0.0005%未満であると伸び向上の効果が安定して得られない。一方、0.0080%を超えて過剰含有しても効果は飽和し、粗大な酸・硫化物を形成して靭性や伸びを劣化させる。したがって、これらの含有量の合計は、0.0005〜0.0080%としたが、好ましくは0.0010〜0.0060%、更に好ましくは0.0015〜0.0040%である。なお、Ca、Mg、REMについて、個々の含有量はいずれも0〜0.008%(5〜80ppm)とするが、少なくともいずれかひとつの元素の含有量を0.0005〜0.008%(5〜80ppm)とすることが好ましい。
(P:0.008%以下、S:0.003%以下)
P、Sは、不可避不純物であり、特にここでは、伸びや靭性に対しては望ましくない合金であるSnを意図的に含有していることもあって、これらの特性を確保するためにはP及びSの含有量は少ないほど望ましいので、Pは0.008%、Sは0.003%を上限とする。
(Ti/Nが0.5〜4.0)
Ti/Nを0.5〜4.0とするのは、TiをNで固定して伸びの劣化の原因となるTiCの生成を抑制するためで、少ない方がよいが、0.5未満となるとN量が多くなり、固溶Nが生じ伸びを劣化させる原因となり、さらにスラブの表面疵の発生の原因ともなる。一方、4.0を超えるとTiCが生成して、伸びを劣化させる。したがって、Ti/Nは0.5〜4.0とした。
以上の元素が、必須成分あるいは、不可避的に含まれる成分である。次に、任意添加元素について述べる。
更に、強度確保のために、選択元素として、Cu:0〜0.05%、Ni:0〜1.0%、Cr:0〜0.10%未満%、Mo:0〜0.5%、V:0〜0.050%、Co:0〜1.0%、B:0〜0.0030%の群の内の1種又は2種以上を含有してもよい。
Cuは、焼入れ性を向上させ、高強度化に有効であるが、Cuを過剰に含有する鋼材は、その製造過程において、圧延時に割れが発生しやすく、特にSnと共存すると割れ感受性がさらに高くなるという問題があるので、0.05%を上限とする。好ましくはCuの含有量は0.01%未満とする。
特にNiは、強度確保と靭性向上に有効であると共に、酸性環境において耐食性を向上させる元素であり、母材の耐食性とさびの防食性の両方の効果により腐食を抑制する作用を有する。しかし、Niを1.0%超含有させた場合、Snの析出が抑制されるため、Snによる耐食性改善効果が低下する。したがって、Ni含有量は1.0%以下とする。好ましくは、0.01〜1.0%であり、より好ましくは、0.05%以上であるが、それ未満であっても本発明の効果を阻害しない。
Crは、焼入れ性を向上させ、高強度化に有効であるが、低pH環境における耐食性を低下させる元素であるため、0.10%未満とする。より好ましくは、0.04%未満、さらに好ましくは0.02%未満である。
Moは、焼入れ性を向上させ、高強度化に有効であり、裸鋼の耐食性および塗装部の耐食性を向上させる効果も有するが、過剰に含有すると、継手の硬さが上昇して靭性が低下することがあるため、0.5%以下含有することが好ましい。その効果を得るためには、0.01%以上を含有することが好ましいが、それ未満であっても本発明の効果を阻害しない。
Vは、析出強化により強度上昇に寄与するため、0.050%以下を含有することが好ましい。0.050%超のVを含有すると、継手靭性を損なうことがあるため、0.050%を上限とする。V添加の効果を得るためには0.010%以上を含有することが好ましいが、それ未満であっても本発明の効果を阻害しない。
本発明においては、耐食性を向上させるためにSnを含有しているが、さらに耐食性を向上させるために、Snに加えて、Coを含有させてもよい。Coは、酸性環境において耐食性を向上させる元素であり、母材の耐食性とさびの防食性の両方の効果により腐食を抑制する作用を有する。しかし、Coを1.0%超含有させた場合、Snの析出が抑制されるため、Snによる耐食性改善効果が低下する。また、フェライトを硬化させて、伸びが低減する。好ましくは、0.01〜1.0%である。
Bは、微量添加により焼き入れ性を高め母材強度向上に寄与するので、0.0030%以下含有することが好ましい。0.0030%を超えて添加すると伸びと継手靭性を劣化させる。B添加の効果を得るためには0.0003%以上を含有することが好ましいが、それ未満であっても本発明の効果を阻害しない。
これらの選択元素の下限は0%であってもよい。
なお、以上に述べた化学組成の残部はFeおよび不可避不純物である。
次に、本発明鋼板のミクロ組織等の限定理由について説明する。以下のミクロ組織は、圧延方向垂直断面について、観察した際の数値である。なお、圧延方向垂直断面とは、圧延方向に垂直であり、且つ、鋼板表面に垂直である面とする。
(1/4厚部のフェライト面積分率が80〜95%、1/4厚部のパーライト面積分率が5〜20%、1/4厚部のベイナイト面積分率:0〜10%未満)
フェライト(α)面積分率が高くなるほど均一伸び特性が向上し、α面積分率が80%以上となると、急激に伸び特性が改善される。組織は板厚方向で多少変化するが、十分な伸びを確保するために1/4厚部のフェライト面積分率が80%以上必要である。一方、95%を超えると強度を確保できないので、1/4厚部のフェライト面積分率を80〜95%とした。この板厚1/4厚部は、冷却時において、板厚中央部に比べて相対的に冷却速度が速くなり、硬質相が生成しやすく、均一伸びが劣化しやすい領域である。板厚全体を考慮した場合、板厚中央部との特性差を考慮する必要があるので、1/4厚部のフェライト面積分率を80〜95%に限定したが、85〜90%がより好ましい。
また、強度特性である降伏点または耐力(YP)、引張強さ(TS)は、伸び特性ELとは一般にトレードオフの関係にあって、両者を同時に向上させることは一般に困難とされていて、フェライト面積分率を増加させることによって伸び特性が改善されるが、伸びが向上すれば引張強さが低下するので、フェライト面積分率の増加だけでは強度特性の確保に限度がある。
そこで、本発明では、伸び特性を確保しつつ、強度特性である降伏点または耐力(YP)、引張強さ(TS)を確保するために1/4厚部のパーライト面積分率を5%以上とした。しかし、20%を超えると伸びを確保できなくなるので、上限を20%とした。好ましくは、10〜15%である。
なお、1/4厚部のフェライト面積分率およびパーライト面積分率の合計は、90%以上とするのが好ましく、10%未満のベイナイトが存在していても本発明の効果を阻害するものではない。つまり、ベイナイト面積分率の下限は0%であり、その上限は10%未満である。また、フェライト面積分率およびパーライト面積分率は、光学顕微鏡により500倍の倍率でミクロ組織を撮影し、画像解析により各相の面積分率を求めたものである。フェライトおよびパーライト以外の残部組織のすべては、ベイナイトであり、フェライト、パーライト、ベイナイト以外の組織は存在しない。ここでいう、「存在しない」とは、光学顕微鏡で観察する限り、その存在を確認できないことをいう。
(1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比が1.0〜1.5)
1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比は小さいほど好ましく、1.5を超えると転位密度が高く伸びが劣化するので、上限を1.5とした。また、下限はフェライト粒が球状となる1.0とした。
(1/4厚部のフェライト粒の平均粒径が5〜20μm)
1/4厚部のフェライト粒の平均粒径が20μmを超えると強度を確保できなくなるので、上限を20μmとした。また、フェライト粒は細粒であるほど好ましいが5μm未満は工業上実現が難しいので、下限を5μmとした。ここで限定する平均粒径とは、例えば、500倍で撮影した250μm×200μm×5視野の光学顕微鏡組織写真から抽出できる。フェライト粒径は、このような組織写真から各結晶粒の面積により換算した円相当径を単純平均で算出した、結晶粒の平均円相当直径として求めることができる。
(1/4厚部のフェライト中の平均転位密度が7×1012/m以下)
伸びを確保するためにはフェライト(α)中の平均転位密度を7×1012/m以下とする必要がある。転位密度が7×1012/m超であると、鋼板の塑性変形により転位が顕著に増殖してフェライト(α)が硬くなり、十分な全伸び(T.EL%)が得られない。転位密度は低ければ低いほどよいが、通常1×1012/mを下回ることはほとんどない。平均転位密度の好ましい上限は6×1012/mである。
(1mmピッチのビッカース硬さの試験で、鋼板の表面から1/4厚部まで、および3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%)
厚鋼板の冷却時において、板厚表裏層部は板厚中央部に比べて相対的に冷却速度が速くなり、硬質化しやすく、表層部近傍の硬さが大きすぎると伸びを劣化させる。板厚全体の伸び特性を考慮した場合、板厚表裏層部の硬質化の影響はある程度は許容できるが、板厚表裏層部と板厚中央部との硬度差が大きくなると影響を無視できなくなってくる。そのため、1mmピッチのビッカース硬さの試験で、板厚表裏層部(鋼板の表面から1/4厚部まで、および3/4厚部から裏面まで)のビッカース硬さ(Hv)の平均値を、板厚中心部(板厚の1/4厚部から3/4厚部まで)のビッカース硬さ(Hv)の平均値の80〜105%とすることが必要である。伸びを確保するためには、板厚表裏層部の硬さを抑えた方がよく、板厚表裏層部のビッカース硬さの工業的に可能な下限は、板厚中心部のビッカース硬さ平均値の80%である。また、105%を超えると伸びの確保が困難となる。したがって、(板厚表裏層部のビッカース硬さ平均値)/(板厚中心部のビッカース硬さ平均値)を80〜105%とした。なお、ビッカース硬さは、JIS Z 2244のHV10(つまり試験力98.07Nのビッカース硬さ)とする。
(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%)
Snは連続鋳造時に中心偏析して板厚中心部に脆化域を形成し、割れを生じさせて局部伸びを劣化させるので、Snの最大濃度は小さい方が好ましい。Snの最大濃度の上限は、伸びを確保するためには、板厚中心部(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲を意味する)のSnの最大濃度は5.0%以下が必要である。より好ましくは、0.01〜1.0%である。なお、Snの添加濃度の下限値が0.01%であるので、板厚中心部のSn濃度の下限値は自ずと0.01%となる。
Snは耐食性を向上し、経年使用した場合でも減肉を抑制するので、結果的に衝突安全性能も向上させる。しかしながら単純にSnを添加しただけでは、特に板厚中心部分に多く偏析し、伸びに有害であるので、Snの活用は本件のような衝突安全性能を鑑みた場合、容易ではない。偏析を抑制することで、Snが板厚全体にわたって比較的均一に適正濃度で分布するため、鋼板表面での耐食性がより向上して、経年使用での腐食反応による板厚減少がより抑制される。望ましくは、上記の板厚中心部のSnの最大濃度を板表面下1mmのSnの平均濃度で除した値が60以下とする。
Snの最大濃度は、中心偏析を生じやすい板厚中心部の±(板厚の)10%の範囲、例えば板厚10mmであれば、板厚の中心部20%(±10%)角、すなわち2mm(±1mm)角について、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser:電子プローブ微小分析器)により、加速電圧:15kV、ビーム径:20μm、照射時間:20ms、測定ピッチ:20μmで、上記2mm角の測定範囲を測定したときのSnの濃度の最大値である。
(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲のPの最大濃度が0.02〜0.20%)
Pは連続鋳造時に中心偏析して板厚中心部に脆化域を形成し、割れを生じさせて局部伸びを劣化させるので、Pの最大濃度は小さい方が好ましい。Pの最大濃度の上限は特に特定するものではないが、伸びを確保するためには、板厚中心部(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲を意味する)のPの最大濃度は0.20%以下とすることが好ましい。また、Pの最大濃度を0.02%未満とすることは現実的に困難であるので、0.02%を下限とし、0.02〜0.20%を好ましい範囲とした。
Pの最大濃度は、中心偏析を生じやすい板厚中心部の±(板厚の)10%の範囲、例えば板厚10mmであれば、板厚の中心部20%(±10%)角、すなわち2mm(±1mm)角について、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser:電子プローブ微小分析器)により、加速電圧:15kV、ビーム径:20μm、照射時間:20ms、測定ピッチ:20μmで、上記2mm角の測定範囲を測定したときのPの濃度の最大値である。
(冷却する際のフェライト変態開始温度Arが760〜820℃)
鋼を冷却する際のフェライト変態開始温度Arは、鋼組成としてのArが高いほど高温でフェライト変態するため、フェライト粒内の転位密度が低下し、伸びが向上する。したがって、鋼のArが大きい方が好ましいが、820℃を超えて大きすぎるとフェライトが粗大化し強度が低下するので、上限を820℃とすることが好ましい。一方、Arが低すぎるとベイナイトを形成し伸びが劣化するので、760℃を下限とすることが好ましい。
なお、冷却する際のフェライト変態開始温度Arは、公知の下記式(1)で示される。
Ar=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]
−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
続いて、本発明に係る鋼板の好適な製造条件を説明する。
まず、鋳造前処理として、溶鋼から炭素を除く1次精錬を行った後、溶鋼の成分調整をするにあたり、真空脱ガス処理により溶鋼の溶存酸素量を好ましくは65ppm以下、さらに好ましくは40ppm以下に調整する。溶鋼の溶存酸素量を特に40ppm以下に調整するには、例えば、RH真空脱ガス装置の真空度が1〜5torr(133〜667Pa)で、溶鋼を1〜3分還流して調整する。溶鋼の溶存酸素量を40ppm以下となった後、溶鋼にAlをAlの最終含有量が0.002〜0.050%となるように添加することが好ましい。溶鋼中の溶存酸素量が40ppmを以下にすれば、脱酸材としてAlを添加し、RH真空脱ガス装置で還流作業を行うことで、溶鋼中の最終溶存酸素量を16ppm以下、特に10ppm以下に調整することができる。また、溶存酸素量は少ないほどよく、溶鋼の溶存酸素量の下限については設定する必要はない。
ついで、溶鋼の溶存酸素量を10ppm以下に調整した後、Ca、Mg、REMの1種または2種以上をCa、Mg、REMの1種または2種以上の合計の最終含有量が0.0005〜0.0080%となるように添加して優先的に硫化物化して、MnS生成を抑制することが好ましい。
溶存酸素量を10ppm以下にすれば、Ca、Mg、REMを添加しても硫化物制御が十分にできる。
溶鋼の溶存酸素量を10ppm以下に調整するには、例えば、脱酸剤としてAlを添加後、RH真空脱ガス装置の真空度が1〜5torr(133〜667Pa)で、溶鋼を10〜60分還流して、溶鋼の溶存酸素量を10ppm以下に調整する。真空度が1〜5torr(133〜667Pa)で、溶鋼を10〜60分還流しなければ、溶存酸素量を10ppm以下とすることができない。また、溶存酸素量は少ないほどよく、溶鋼の溶存酸素量の下限については設定する必要はない。
成分調整した溶鋼を連続鋳造して鋳片を製造する際に、鋳片の凝固末期である鋳片の中心固相率が0.2〜0.7の範囲において、鋳造ロールの間隙を、鋳造進行方向1mにつき0.2mm〜3.0mm、好ましくは鋳造進行方向1mにつき0.5〜2.0mm、さらに好ましくは鋳造進行方向1mにつき0.7〜1.5mmに狭めて軽圧下しながら鋳造し、Sn、P等の濃化溶鋼を上流側に排出させることが好ましい。それにより、有害な中心偏析を低減することが可能となる。ここでいう中心固相率とは、鋳片厚み方向の中心部で、かつ、鋳片幅方向の溶融部分の固相率と定義でき、伝熱、凝固計算によって求めることができること等が知られている。なお、軽圧下をすることが好ましいが、Sn、P含有量が低い化学組成の場合には軽圧下をしなくてもよい。
ついで、鋳造した鋳片(鋼片)を熱間圧延する。
熱間圧延では、圧延前にまず、鋳片を1200〜1300℃で4〜48時間加熱した後に室温まで冷却する。耐食性には必要であるが、偏析すると靭性には必ずしも好ましくないSnの偏析を拡散させて、板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%とするために、この熱処理(SP処理)が特に有効であることを知見したことにより、導入した。望ましくは、1200〜1300℃で24時間〜48時間加熱する。
その後、さらに鋳造した鋼片を950〜1300℃、好ましくは1000〜1100℃、より好ましくは1000〜1050℃の範囲で低温加熱する。この低温加熱を、SP処理の加熱に続いておこなうことから、2回目の加熱と呼ぶ。2回目の加熱温度を1300℃以下にして加熱するとオーステナイト(γと称することがある)粒を微細化し、フェライトを細粒化するともにγ→α変態温度を高めて転位密度を低減することができるので、1300℃を上限とした。また、950℃未満ではγ化が不十分で靭性が劣化するので950℃を下限とした。
加熱した鋼片を粗圧延した後、累積圧下率が50〜75%の仕上圧延を行う。累積圧下率が50%を超えるとγ中のα核生成サイトが増え、αを細粒化するとともにγ→α変態温度を高めることができるが、75%を超えると生産性が低下するので、累積圧下率を50〜75%としたが、好ましくは55〜65%である。
仕上圧延は、αを細粒化するために重要な工程であり、圧延途中の鋼片の表面温度が公知の次式(1)で示す冷却する際のフェライト変態開始温度Ar−30℃以上、次式(2)で示す結晶粒の成長が始まる再結晶開始温度Trex℃以下で行う。温度がAr−30℃未満では2相域圧延となり、延伸したフェライトを形成し、伸びが劣化する。また、Trex超では未再結晶域圧延とならず、フェライトが粗大化して伸びを劣化させる。
Ar=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
rex=−91900[Nb*]+9400[Nb*]+770 ・・・ (2)
ここで、[Nb*]は、下記式(3)により求めるものとする。
rexは、通常の厚板圧延のパス間時間(10〜15秒間程度)で概ね再結晶を完了させるために必要な温度(再結晶限界温度)のことで、Nb添加量を用いて上記の式(2)で表すことができる。
[Sol.Nb]=(10(−6770/(T+273)+2.26))/([C]+12/14×[N])・・ (3)
なお、式(3)のTは鋼片の2回目の加熱温度で、単位は摂氏温度(℃)とし、
[Nb]≧[Sol.Nb]の場合は、[Nb*]=[Sol.Nb]、
[Nb]<[Sol.Nb]の場合は、[Nb*]=[Nb]、
とする。ここで、[Nb]は、Nb含有量(質量%)を、[Sol.Nb]は式(3)で求めたSol.Nb(固溶Nb)(質量%)を表す。
また、Trexの式(2)は実験式で、低温加熱することで固溶していないNbもあるので、固溶Nb量(Sol.Nb量)を、固溶Nbと再結晶温度の関係から求めた式である。
仕上圧延後の冷却工程としては、仕上圧延された厚鋼板を冷却速度1℃/秒以下の空冷、または鋼板の表面温度がAr−150℃以上、Ar−50℃以下の温度まで冷却速度1℃/秒超、20℃/秒以下の水冷した後空冷する。なお、空冷終了温度は、室温である。
冷却速度1℃/秒以下の空冷は冷却速度が小さいため、フェライト変態温度が高温化するのでフェライト粒内の転位密度が低下し、伸びを向上させることができる。空冷の冷却速度の下限は、特に限定する必要がない。
圧延完了後は空冷でもよいが、強度を高めるためには鋼板の表面温度がAr−150℃以上、Ar−50℃以下の温度まで冷却速度1℃/秒超、20℃/秒以下の水冷後に空冷しても良い。冷却停止温度がAr−150℃未満では変態温度が低温化し、フェライト粒内の転位密度上昇やベイナイト形成が起こり、伸びが劣化する。一方、Ar−50℃超では効果が得られない。水冷の冷却速度が20℃/秒を超えると、変態温度が低温化し伸びが劣化するので、水冷の冷却速度の上限は20℃/秒とした。水冷は、空冷の冷却速度以上であれば効果があるので、水冷の冷却速度の下限は1℃/秒超とした。
以下、本発明の実施例を表1〜4を参照して説明する。
表1の化学成分を有する鋼片を用いて、表2、3の製造条件により板厚6〜40mmの鋼板を試作した。なお、表2、3のCa、Mg、REM前溶存酸素量は、Ca、Mg、REMの1種または2種以上を添加する前を意味する。溶存酸素は、ZrO(MgO)固体電解質を用いた酸素濃淡電池を有する酸素プローブを溶鋼に挿入することにより測定した。還流時間は、脱酸剤としてAlを添加後からCa、Mg、REM添加までの時間、鋳造時の圧下量は、中心固化率0.2〜0.7での圧下量(mm/m)、Arは(1)式、Trexは(2)式、[Sol.Nb]は(3)式より求めた。冷却条件の欄の冷却速度(℃/s)は、実測された表面温度から、公知の差分法による熱伝導解析により求めた1/2厚部での冷却速度である。表2、3の冷却パターン欄で記載の「空冷」は、水冷(加速冷却)を行わずに空冷を行った例であり、そして、「一部水冷」は圧延後、一部水冷を行った後に空冷を行った例である。
Figure 0006418361
Figure 0006418361
Figure 0006418361
表4、5に示す製造した各鋼板の組織的特徴を、以下の要領で測定した。
まず、鋼板のミクロ組織は、鋼板の圧延方向垂直断面が観察できるようにサンプルを採取し、光学顕微鏡により表面から1mm、板厚1/4、板厚中心部の金属組織を500倍の倍率で撮影した。次に、画像解析ソフトを用いて適切な条件で二値化処理を施した後、αと第二相(パーライトおよびベイナイト)の総面積を求め、撮影部の全面積で除することにより各相の分率(面積分率%)を求めた。なお、表4、5中、小数点以下は四捨五入している。
フェライト粒の平均アスペクト比は、500倍で撮影した250μm×200μm×5視野の光学顕微鏡組織写真からフェライト粒径を抽出し、その視野中の各フェライト粒を楕円近似し、その長軸と短軸の比の平均値を求めることにより算出した。一方、フェライト粒径は円相当径を単純平均で算出した、結晶粒の平均円相当直径である。
鋼板(板厚t)の表面から1/4厚部まで(表面〜t/4)、または3/4厚部から裏面まで(裏面〜3t/4)、そして、1/4厚部から3/4厚部まで(t/4〜3t/4厚部の中心部)のそれぞれのビッカース硬さ平均値は、1mmピッチのビッカース硬さの試験を、JIS Z 2244のHV10つまり試験力の98.07Nの条件で測定し、平均値を求めた。
α中の平均転位密度は、上記板厚各位置から薄膜試料を採取し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率を40000倍として明視野の観察撮影を行い、得られたTEM像から任意の直線(長さ:L)と転位線との交切点の数(N)を測定し、膜厚:tの値を用いて、以下の式(4)により平均転位密度(ρ)を算出した。
ρ=2N/Lt ・・・ (4)
Figure 0006418361
Figure 0006418361
表6に機械的性質{降伏点または耐力(YP)、引張強さ(TS)、全伸び(T.EL)}を測定した結果を示す。
機械的性質は、板厚中心部から圧延方向と直角の方向に採取したJIS Z 2241(2011)の1B号引張試験片を用いて引張強さ(TS)評価した。降伏点はJIS Z2241(2011)の上降伏応力(上降伏点)ReHとし、例外的に降伏現象がなかった場合のみオフセット法の0.2%耐力とした。全伸び(T.EL)は、JIS Z2241(2011)の破断時全伸びAtのことを意味し、試験片は、JIS1B号を用いた。
表6中にて、各鋼はYP36規格として製造されたものである。
また、各鋼板から、幅が60mm、長さが100mm、厚さが3mmの試験片を採取し、全面にショットブラスト加工を施した後、一部の試験片については変性エポキシ系塗料を乾燥膜厚で200μm被覆した。被覆面のうちの片面に、カッターナイフにより幅1mm、長さ10mmにわたる傷(×印)を2箇所入れた鋼材面を露出させ、鉱石運搬船における塗膜欠陥を模擬した腐食試験片とした。
これら裸材および塗装材の試験片について、図1に示すとおり、湿潤、浸漬、乾燥の順に行い1サイクルとし、これを繰り返すサイクル試験を実施し、鉱石運搬船ホールド内の腐食を模擬した。ここで、100%RH、50%RHとは、各温度での飽和水蒸気量に対する%である相対湿度を意味する。また、浸漬において使用した浸漬液は、0.5質量%NaCl+0.1質量%CaCl+0.5質量%NaSO水溶液である。また、この水溶液の質量%は溶液に対する%である。
上記試験を40サイクル(40日間)実施し、試験後の各試験片から塗膜および腐食生成物を除去した後、裸鋼については試験後の重量減量より腐食量(板厚減少)を計算した。塗装材については、腐食が認められる面積の試験面積に対する割合を腐食面積率として求めた。また、腐食部における最大腐食深さも同時に測定した。これらの耐食性に関わる評価は経年での使用における減肉の評価として妥当である。表6に上記の試験結果を示す。
Figure 0006418361
本発明例の番号1〜24は、化学成分、製造条件が適切なために、本発明の範囲内のミクロ組織となったため、いずれも全伸び(T.EL)24%以上、降伏点または耐力(YP)355N/mm以上、引張強さ(TS)490N/mm以上を確保できた。
また、表6からもわかるように、本発明例番号1〜24においては、圧延割れも発生せず、また裸材および塗装材いずれについても耐食性は良好である。
一方、比較例の番号25〜46は化学成分、製造条件のいずれかが本発明の範囲を逸脱していたために、本発明のミクロ組織(フェライト等)とならず、本発明が目的とする機械的性質(YP、TS、T.EL)、あるいは、耐食性のいずれかが得られなかった。
すなわち、番号25は、50〜75%の仕上圧延の際の鋼片の温度が低すぎたため、1/4厚部のフェライト中の平均転位密度が高く、全伸び(T.EL)が低かった。番号26、27は2回目の加熱温度が高過ぎたため、仕上圧延でγを細粒化できず、フェライトが本発明の要件(分率、アスペクト比、粒径、平均転位密度のいずれか1以上)を満たしておらず、全伸び(T.EL)が低かった。番号28、29、30は仕上圧延の累積圧下率が不足し、フェライトが本発明の要件(分率、アスペクト比、粒径、平均転位密度のいずれか1以上)を満たしておらず、本発明の要件を満たしていないため、強度(YP、TS)、全伸び(T.EL)のいずれかが低かった。番号31、32は、仕上圧延の終了温度が高すぎたため、フェライト(粒径、平均転位密度)が本発明の要件を満たしておらず、番号31は、全伸び(T.EL)が低く、番号32は、強度(YP、TS)が低かった。
番号33は、Si量が不足していたため、全伸び(T.EL)が低かった。番号34は、S量が過剰であったため、全伸び(T.EL)が低下していた。番号35は、P量が過剰であったため、1/2厚±(板厚の)10%範囲(中心部)でのPの最大濃度が高く、全伸び(T.EL)が低かった。番号36はNb量が過剰であったため、全伸び(T.EL)が低下していた。
番号37は、Ca+Mg+REMの量が過剰になっていたためにフェライト粒径が大きく、平均転位密度が大きいため、伸び(T.EL)が低かった。番号38は、Ti/Nの値が高くTiCが生成し、全伸び(T.EL)が低かった。番号39はSnの含有量が低く、良好な耐食性能が得られなかった。番号40はSnの含有量が高く、圧延時に割れが発生すると共に、全伸び(T.EL)が低かった。番号41はCoの含有量が高く、全伸び(T.EL)が低かった。番号42はSP処理を行わなかったので、板厚中心部のSnの濃度が高く、全伸び(T.EL)が低かった。番号43はSnを含有しないため、機械的特性は良好であるが、耐食性に劣る結果となった。番号44はNbの含有量が低く、強度(YP、TS)と伸びが低かった。番号45はTiの含有量が低いため、全伸び(T.EL)が低かった。番号46は、Ca+Mg+REMの含有量が低いため、全伸び(T.EL)が低かった。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.20%、
    Si:0.2〜1.0%、
    Mn:0.5〜2.0%、
    Nb:0.003〜0.030%、
    Ti:0.003〜0.020%、
    Al:0.002〜0.050%、
    Sn:0.010〜0.30%、
    N:0.0010〜0.0050%、
    O:0.0005〜0.0050%、
    Ca:0〜0.0080%、
    Mg:0〜0.0080%、
    REM:0〜0.0080%、
    Ca+Mg+REM:0.0005〜0.0080%、
    P:0.008%以下、
    S:0.003%以下、
    Cu:0〜0.05%、
    Ni:0〜1.0%、
    Cr:0〜0.10%未満、
    Mo:0〜0.5%、
    V:0〜0.050%、
    Co:0〜1.0%、
    B:0〜0.0030%、
    Ti/N:0.5〜4.0、
    残部:Fe及び不純物、
    であり;
    圧延方向断面を観察した際にミクロ組織が、
    1/4厚部のフェライト面積分率:80〜95%、
    1/4厚部のパーライト面積分率:5〜20%、
    1/4厚部のベイナイト面積分率:0〜10%未満、
    1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比:1.0〜1.5、
    1/4厚部のフェライト粒の平均粒径:5〜20μm、
    1/4厚部のフェライト中の平均転位密度:7×1012/m以下、
    であり;
    1mmピッチのビッカース硬さの試験で、
    鋼板の表面から1/4厚部までおよび3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%、
    板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%;
    であることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
  2. 板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でPの最大濃度が0.02〜0.20%;
    であることを特徴とする請求項1に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
  3. 下記式(1)で示されるArが、760〜820℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
    Ar=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]
    −55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
    但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
  4. 板厚が5〜50mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
  5. 引張強さ(TS)が490〜620N/mmであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
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