JP6418361B1 - 石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 質量%で、
C:0.05〜0.20%、
Si:0.2〜1.0%、
Mn:0.5〜2.0%、
Nb:0.003〜0.030%、
Ti:0.003〜0.020%、
Al:0.002〜0.050%、
Sn:0.010〜0.30%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0005〜0.0050%、
Ca:0〜0.0080%、
Mg:0〜0.0080%、
REM:0〜0.0080%、
Ca+Mg+REM:0.0005〜0.0080%、
P:0.008%以下、
S:0.003%以下、
Cu:0〜0.05%、
Ni:0〜1.0%、
Cr:0〜0.10%未満%、
Mo:0〜0.5%、
V:0〜0.050%、
Co:0〜1.0%、
B:0〜0.0030%、
Ti/N:0.5〜4.0、
残部:Fe及び不純物、
であり;
圧延方向断面を観察した際にミクロ組織が、
1/4厚部のフェライト面積分率:80〜95%、
1/4厚部のパーライト面積分率:5〜20%、
1/4厚部のベイナイト面積分率:0〜10%未満、
1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比:1.0〜1.5、
1/4厚部のフェライト粒の平均粒径:5〜20μm、
1/4厚部のフェライト中の平均転位密度:7×1012/m2以下、
であり;
1mmピッチのビッカース硬さの試験で、
鋼板の表面から1/4厚部までおよび3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%、
板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%;
であることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔2〕板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でPの最大濃度が0.02〜0.20%;
であることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔3〕下記式(1)で示されるAr3が、760〜820℃であることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]
−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
〔4〕板厚が5〜50mmであることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
〔5〕引張強さ(TS)が400〜650N/mm2であることを特徴とする本発明の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
α中で析出物を形成するNb、Ti等の元素は必要最小限の添加にとどめ、侵入型で固溶して降伏応力を顕著に上昇させるNや、不純物元素であるP、S等を極力低減することが効果的である。
また、第二相であるパーライトを分散させることで強度向上が図れるが、船舶が衝突したときに船舶側面部の破口を抑制するためには、鋼板板厚方向の組織を均一化し、鋼板板厚方向の硬さの分布を均一化することに効果があること等を知見した。
まず、本発明鋼板の鋼成分の限定理由を説明する。なお、成分についての「%」はすべて質量%を意味する。
Cは、パーライトを形成して強度を高めるのに不可欠な元素であるため0.05%以上含有する。一方、C量が増えると溶接性や継手靭性確保が困難となるため0.20%を上限とする。なお、C量は0.10%以上、0.16%以下が好ましい。
Siは、安価な脱酸元素であり、固溶強化に効くとともに、変態点を上昇させてα中の転位密度低減に寄与するため0.2%以上含有する。一方、Si量が1.0%を超えると溶接性と継手靭性を劣化させるため上限を1.0%とする。Si量は、0.3%以上、0.5%以下が好ましい。
Mnは、母材の強度及び靭性を向上させる元素として有効であるため0.5%以上含有する。一方、Mnを過剰に含有すると、継手靭性、溶接割れ性を劣化させるため2.0%を上限とする。Mn量は、0.8%以上、1.6%以下が好ましく、更に好ましくは、0.9%以上、1.5%以下である。
Nbは、微量の添加により組織微細化に寄与し、特にYP36などの高強度鋼の延性向上と母材強度確保に有効な元素であるため、0.003%以上を含有する。0.030%超のNbを含有すると、溶接部を硬化させて著しく靭性を劣化させるため、0.030%を上限とする。
Tiは、微量の添加により母材と溶接部の組織微細化を通じて延性向上と靭性向上に寄与するため、0.003%以上含有する。一方、過剰に添加すると溶接部を硬化させ著しく靭性を劣化させるため、0.020%を上限とする。Ti量は、0.006〜0.013%が好ましい。
Alは、重要な脱酸元素であるため0.002%以上含有する。一方、Alを過剰に含有すると鋼片の表面品位を損ない、靭性に有害な介在物を形成するため0.050%を上限とする。Al量は、好ましくは0.002〜0.040%であり、更に好ましくは、0.010〜0.040%である。
合金元素としてSnを含有させると、塗装部の耐食性が著しく向上するだけでなく、石炭や鉱石という固形物を収容して運搬するために塗膜が機械的に傷つけられ、塗膜が剥がれて裸鋼となった後の耐食性も著しく向上する。これは、石炭・鉱石運搬船ホールド内のpHが低下した環境において、Snが溶解して鋼材上に析出するが、Snは水素過電圧の大きい元素であるから、Snが析出した部分では低pH環境におけるカソード反応である水素発生反応を著しく抑制することになり、その結果、耐食性が向上する。また、Snはイオンとして存在する場合においても、鋼材の溶解反応であるアノード反応を抑制する効果がある。これは、Snイオンの作用により鉄の溶解経路となる鉄表面へのOH−やCl−の吸着を抑制し、鉄の溶解そのものを抑えるためである。これらの効果を得るには、0.010%以上の含有量が必要であるが、0.30%を超えて含有させても前記の効果は飽和するばかりでなく、伸びや靭性の著しい劣化をまねく。したがって、含有量は0.010〜0.30%とする。好ましくは、0.02〜0.25%である。
Nは、Alと共に窒化物を形成し継手靭性を向上させるため、含有量の下限を0.0010%以上、好ましくは0.002%以上とする。一方、Nの含有量が過剰であると、固溶Nによる脆化や伸びの低下が生じるため、上限を0.0050%とする。好ましくは、0.0040%以下である。
Oは、Mg、Ca、REMとともに酸化物を形成する。0.0050%を超えると酸化物が粗大化して伸びや靭性が低下するので、0.0050%以下とする。一方、Oは少ないほど良いが、Oを減らすには、例えば、RH真空脱ガス装置での還流作業が長時間となり現実的ではないので、0.0005%以上とする。ここで、Оは総酸素(T.O)である。
Ca、Mg、REMは、いずれも硫化物を形成することで粗大な介在物(延伸MnS等)の生成を抑制する重要な元素である。これらの元素は同等の効果を有するため、個々の含有量は問わないが、Ca含有量、Mg含有量およびREM含有量の合計としては0.0005〜0.0080%とする必要がある。これらの含有量の合計つまりCa+Mg+REMが0.0005%未満であると伸び向上の効果が安定して得られない。一方、0.0080%を超えて過剰含有しても効果は飽和し、粗大な酸・硫化物を形成して靭性や伸びを劣化させる。したがって、これらの含有量の合計は、0.0005〜0.0080%としたが、好ましくは0.0010〜0.0060%、更に好ましくは0.0015〜0.0040%である。なお、Ca、Mg、REMについて、個々の含有量はいずれも0〜0.008%(5〜80ppm)とするが、少なくともいずれかひとつの元素の含有量を0.0005〜0.008%(5〜80ppm)とすることが好ましい。
P、Sは、不可避不純物であり、特にここでは、伸びや靭性に対しては望ましくない合金であるSnを意図的に含有していることもあって、これらの特性を確保するためにはP及びSの含有量は少ないほど望ましいので、Pは0.008%、Sは0.003%を上限とする。
Ti/Nを0.5〜4.0とするのは、TiをNで固定して伸びの劣化の原因となるTiCの生成を抑制するためで、少ない方がよいが、0.5未満となるとN量が多くなり、固溶Nが生じ伸びを劣化させる原因となり、さらにスラブの表面疵の発生の原因ともなる。一方、4.0を超えるとTiCが生成して、伸びを劣化させる。したがって、Ti/Nは0.5〜4.0とした。
更に、強度確保のために、選択元素として、Cu:0〜0.05%、Ni:0〜1.0%、Cr:0〜0.10%未満%、Mo:0〜0.5%、V:0〜0.050%、Co:0〜1.0%、B:0〜0.0030%の群の内の1種又は2種以上を含有してもよい。
これらの選択元素の下限は0%であってもよい。
なお、以上に述べた化学組成の残部はFeおよび不可避不純物である。
フェライト(α)面積分率が高くなるほど均一伸び特性が向上し、α面積分率が80%以上となると、急激に伸び特性が改善される。組織は板厚方向で多少変化するが、十分な伸びを確保するために1/4厚部のフェライト面積分率が80%以上必要である。一方、95%を超えると強度を確保できないので、1/4厚部のフェライト面積分率を80〜95%とした。この板厚1/4厚部は、冷却時において、板厚中央部に比べて相対的に冷却速度が速くなり、硬質相が生成しやすく、均一伸びが劣化しやすい領域である。板厚全体を考慮した場合、板厚中央部との特性差を考慮する必要があるので、1/4厚部のフェライト面積分率を80〜95%に限定したが、85〜90%がより好ましい。
1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比は小さいほど好ましく、1.5を超えると転位密度が高く伸びが劣化するので、上限を1.5とした。また、下限はフェライト粒が球状となる1.0とした。
1/4厚部のフェライト粒の平均粒径が20μmを超えると強度を確保できなくなるので、上限を20μmとした。また、フェライト粒は細粒であるほど好ましいが5μm未満は工業上実現が難しいので、下限を5μmとした。ここで限定する平均粒径とは、例えば、500倍で撮影した250μm×200μm×5視野の光学顕微鏡組織写真から抽出できる。フェライト粒径は、このような組織写真から各結晶粒の面積により換算した円相当径を単純平均で算出した、結晶粒の平均円相当直径として求めることができる。
伸びを確保するためにはフェライト(α)中の平均転位密度を7×1012/m2以下とする必要がある。転位密度が7×1012/m2超であると、鋼板の塑性変形により転位が顕著に増殖してフェライト(α)が硬くなり、十分な全伸び(T.EL%)が得られない。転位密度は低ければ低いほどよいが、通常1×1012/m2を下回ることはほとんどない。平均転位密度の好ましい上限は6×1012/m2である。
厚鋼板の冷却時において、板厚表裏層部は板厚中央部に比べて相対的に冷却速度が速くなり、硬質化しやすく、表層部近傍の硬さが大きすぎると伸びを劣化させる。板厚全体の伸び特性を考慮した場合、板厚表裏層部の硬質化の影響はある程度は許容できるが、板厚表裏層部と板厚中央部との硬度差が大きくなると影響を無視できなくなってくる。そのため、1mmピッチのビッカース硬さの試験で、板厚表裏層部(鋼板の表面から1/4厚部まで、および3/4厚部から裏面まで)のビッカース硬さ(Hv)の平均値を、板厚中心部(板厚の1/4厚部から3/4厚部まで)のビッカース硬さ(Hv)の平均値の80〜105%とすることが必要である。伸びを確保するためには、板厚表裏層部の硬さを抑えた方がよく、板厚表裏層部のビッカース硬さの工業的に可能な下限は、板厚中心部のビッカース硬さ平均値の80%である。また、105%を超えると伸びの確保が困難となる。したがって、(板厚表裏層部のビッカース硬さ平均値)/(板厚中心部のビッカース硬さ平均値)を80〜105%とした。なお、ビッカース硬さは、JIS Z 2244のHV10(つまり試験力98.07Nのビッカース硬さ)とする。
Snは連続鋳造時に中心偏析して板厚中心部に脆化域を形成し、割れを生じさせて局部伸びを劣化させるので、Snの最大濃度は小さい方が好ましい。Snの最大濃度の上限は、伸びを確保するためには、板厚中心部(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲を意味する)のSnの最大濃度は5.0%以下が必要である。より好ましくは、0.01〜1.0%である。なお、Snの添加濃度の下限値が0.01%であるので、板厚中心部のSn濃度の下限値は自ずと0.01%となる。
Pは連続鋳造時に中心偏析して板厚中心部に脆化域を形成し、割れを生じさせて局部伸びを劣化させるので、Pの最大濃度は小さい方が好ましい。Pの最大濃度の上限は特に特定するものではないが、伸びを確保するためには、板厚中心部(板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲を意味する)のPの最大濃度は0.20%以下とすることが好ましい。また、Pの最大濃度を0.02%未満とすることは現実的に困難であるので、0.02%を下限とし、0.02〜0.20%を好ましい範囲とした。
鋼を冷却する際のフェライト変態開始温度Ar3は、鋼組成としてのAr3が高いほど高温でフェライト変態するため、フェライト粒内の転位密度が低下し、伸びが向上する。したがって、鋼のAr3が大きい方が好ましいが、820℃を超えて大きすぎるとフェライトが粗大化し強度が低下するので、上限を820℃とすることが好ましい。一方、Ar3が低すぎるとベイナイトを形成し伸びが劣化するので、760℃を下限とすることが好ましい。
なお、冷却する際のフェライト変態開始温度Ar3は、公知の下記式(1)で示される。
−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
溶鋼の溶存酸素量を10ppm以下に調整するには、例えば、脱酸剤としてAlを添加後、RH真空脱ガス装置の真空度が1〜5torr(133〜667Pa)で、溶鋼を10〜60分還流して、溶鋼の溶存酸素量を10ppm以下に調整する。真空度が1〜5torr(133〜667Pa)で、溶鋼を10〜60分還流しなければ、溶存酸素量を10ppm以下とすることができない。また、溶存酸素量は少ないほどよく、溶鋼の溶存酸素量の下限については設定する必要はない。
熱間圧延では、圧延前にまず、鋳片を1200〜1300℃で4〜48時間加熱した後に室温まで冷却する。耐食性には必要であるが、偏析すると靭性には必ずしも好ましくないSnの偏析を拡散させて、板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%とするために、この熱処理(SP処理)が特に有効であることを知見したことにより、導入した。望ましくは、1200〜1300℃で24時間〜48時間加熱する。
Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。
Trex=−91900[Nb*]2+9400[Nb*]+770 ・・・ (2)
ここで、[Nb*]は、下記式(3)により求めるものとする。
Trexは、通常の厚板圧延のパス間時間(10〜15秒間程度)で概ね再結晶を完了させるために必要な温度(再結晶限界温度)のことで、Nb添加量を用いて上記の式(2)で表すことができる。
[Sol.Nb]=(10(−6770/(T+273)+2.26))/([C]+12/14×[N])・・ (3)
なお、式(3)のTは鋼片の2回目の加熱温度で、単位は摂氏温度(℃)とし、
[Nb]≧[Sol.Nb]の場合は、[Nb*]=[Sol.Nb]、
[Nb]<[Sol.Nb]の場合は、[Nb*]=[Nb]、
とする。ここで、[Nb]は、Nb含有量(質量%)を、[Sol.Nb]は式(3)で求めたSol.Nb(固溶Nb)(質量%)を表す。
また、Trexの式(2)は実験式で、低温加熱することで固溶していないNbもあるので、固溶Nb量(Sol.Nb量)を、固溶Nbと再結晶温度の関係から求めた式である。
表1の化学成分を有する鋼片を用いて、表2、3の製造条件により板厚6〜40mmの鋼板を試作した。なお、表2、3のCa、Mg、REM前溶存酸素量は、Ca、Mg、REMの1種または2種以上を添加する前を意味する。溶存酸素は、ZrO2(MgO)固体電解質を用いた酸素濃淡電池を有する酸素プローブを溶鋼に挿入することにより測定した。還流時間は、脱酸剤としてAlを添加後からCa、Mg、REM添加までの時間、鋳造時の圧下量は、中心固化率0.2〜0.7での圧下量(mm/m)、Ar3は(1)式、Trexは(2)式、[Sol.Nb]は(3)式より求めた。冷却条件の欄の冷却速度(℃/s)は、実測された表面温度から、公知の差分法による熱伝導解析により求めた1/2厚部での冷却速度である。表2、3の冷却パターン欄で記載の「空冷」は、水冷(加速冷却)を行わずに空冷を行った例であり、そして、「一部水冷」は圧延後、一部水冷を行った後に空冷を行った例である。
まず、鋼板のミクロ組織は、鋼板の圧延方向垂直断面が観察できるようにサンプルを採取し、光学顕微鏡により表面から1mm、板厚1/4、板厚中心部の金属組織を500倍の倍率で撮影した。次に、画像解析ソフトを用いて適切な条件で二値化処理を施した後、αと第二相(パーライトおよびベイナイト)の総面積を求め、撮影部の全面積で除することにより各相の分率(面積分率%)を求めた。なお、表4、5中、小数点以下は四捨五入している。
フェライト粒の平均アスペクト比は、500倍で撮影した250μm×200μm×5視野の光学顕微鏡組織写真からフェライト粒径を抽出し、その視野中の各フェライト粒を楕円近似し、その長軸と短軸の比の平均値を求めることにより算出した。一方、フェライト粒径は円相当径を単純平均で算出した、結晶粒の平均円相当直径である。
鋼板(板厚t)の表面から1/4厚部まで(表面〜t/4)、または3/4厚部から裏面まで(裏面〜3t/4)、そして、1/4厚部から3/4厚部まで(t/4〜3t/4厚部の中心部)のそれぞれのビッカース硬さ平均値は、1mmピッチのビッカース硬さの試験を、JIS Z 2244のHV10つまり試験力の98.07Nの条件で測定し、平均値を求めた。
α中の平均転位密度は、上記板厚各位置から薄膜試料を採取し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて倍率を40000倍として明視野の観察撮影を行い、得られたTEM像から任意の直線(長さ:L)と転位線との交切点の数(N)を測定し、膜厚:tの値を用いて、以下の式(4)により平均転位密度(ρ)を算出した。
ρ=2N/Lt ・・・ (4)
機械的性質は、板厚中心部から圧延方向と直角の方向に採取したJIS Z 2241(2011)の1B号引張試験片を用いて引張強さ(TS)評価した。降伏点はJIS Z2241(2011)の上降伏応力(上降伏点)ReHとし、例外的に降伏現象がなかった場合のみオフセット法の0.2%耐力とした。全伸び(T.EL)は、JIS Z2241(2011)の破断時全伸びAtのことを意味し、試験片は、JIS1B号を用いた。
表6中にて、各鋼はYP36規格として製造されたものである。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.05〜0.20%、
Si:0.2〜1.0%、
Mn:0.5〜2.0%、
Nb:0.003〜0.030%、
Ti:0.003〜0.020%、
Al:0.002〜0.050%、
Sn:0.010〜0.30%、
N:0.0010〜0.0050%、
O:0.0005〜0.0050%、
Ca:0〜0.0080%、
Mg:0〜0.0080%、
REM:0〜0.0080%、
Ca+Mg+REM:0.0005〜0.0080%、
P:0.008%以下、
S:0.003%以下、
Cu:0〜0.05%、
Ni:0〜1.0%、
Cr:0〜0.10%未満、
Mo:0〜0.5%、
V:0〜0.050%、
Co:0〜1.0%、
B:0〜0.0030%、
Ti/N:0.5〜4.0、
残部:Fe及び不純物、
であり;
圧延方向断面を観察した際にミクロ組織が、
1/4厚部のフェライト面積分率:80〜95%、
1/4厚部のパーライト面積分率:5〜20%、
1/4厚部のベイナイト面積分率:0〜10%未満、
1/4厚部のフェライト粒の平均アスペクト比:1.0〜1.5、
1/4厚部のフェライト粒の平均粒径:5〜20μm、
1/4厚部のフェライト中の平均転位密度:7×1012/m2以下、
であり;
1mmピッチのビッカース硬さの試験で、
鋼板の表面から1/4厚部までおよび3/4厚部から裏面までのビッカース硬さ平均値が、1/4厚部から3/4厚部までのビッカース硬さ平均値の80〜105%、
板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でSnの最大濃度が0.01〜5.0%;
であることを特徴とする石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。 - 板厚の厚み方向の1/2厚±(板厚の)10%範囲でPの最大濃度が0.02〜0.20%;
であることを特徴とする請求項1に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。 - 下記式(1)で示されるAr3が、760〜820℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
Ar3=910−310[C]+65[Si]−80[Mn]−20[Cu]
−55[Ni]−15[Cr]−80[Mo] ・・・ (1)
但し、元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。なお、含有されていない元素は0%とする。 - 板厚が5〜50mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
- 引張強さ(TS)が490〜620N/mm2であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の石炭・鉱石運搬船ホールド用鋼板。
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