JP3578126B2 - 耐衝突性に優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents

耐衝突性に優れた鋼材およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶等の大型構造物に使用される鋼材およびその製造方法に関し、特に船舶の衝突時等の損害抑制に効果がある高い一様伸びを有する、耐衝突性に優れた鋼材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型タンカーの座礁や衝突による油流出による環境汚染が問題となっている。これらの事故による油流出を防止するために、船殻の二重構造化等の船体構造面からの取り組みは行われているが、般体用鋼材については十分な対応策が検討されていない。その中でも、船体用鋼材面からの取り組みとして、衝突時のエネルギーを鋼材自体に多く吸収させることが提案されているが、未だ十分な実用段階には達していない。
【0003】
衝突時のエネルギー吸収能カを向上させる方法としては、鋼板の組織をフェライト主体とし、かつフェライト相を強化する技術が特開平10−306340号公報に提案されている。この技術は、フェライト分率Fが80%以上であり、かつフェライトの硬さHについては下限値(H≧400−2.6×F)を規定することを特徴としている。
【0004】
また、鋼板の表裏層に残留γ相を含ませる技術が特開平11−246935号公報に提案されている。この技術は、C、Si、Mn、Alを含有し、さらに必要に応じて強化元素を含有し、鋼板の少なくとも板厚の1/8以上の表裏層に面積率で1.0〜20%の残留γを含むというものである。
【0005】
これらの技術においては、衝突時のエネルギー吸収を、鋼材の強度(降伏応力と破断応力の平均)と全伸びの積として評価している。そのため、強度と全伸びの両者の向上により吸収エネルギーの増加を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術で用いられている全伸びによる吸収エネルギーの評価は、必ずしも船体構造の安全性の評価に繋がるとはかぎらず、耐衝突性を議論する場合には相応しくない。すなわち、引張試験における標点距離とは比べものにならない長大なスパンで防撓材に支えられている船体外板の伸び変形を評価するには、試験片形状の影響を受ける局部伸びを含んだ全伸びの評価は適していない。そこで、衝突時の吸収エネルギーを考える場合には、船体外板の伸び特性と相関が高いと判断される一様伸びで評価する必要がある。
【0007】
前述の従来技術でもこの点は解決されておらず、例えば、特開平10−306340号公報記載の技術では、フェライト粒径が5μm以下で、フェライトの硬さは実施例(同公報、表2)ではHv160〜190であり高めとなっている。そのため、全伸び(同表のEL)でも23〜32%であり、一様伸びはこれより高くなり得ないので、せいぜい10〜20数%程度に止まるものと推定される。
【0008】
また、前述の特開平11−246935号公報記載の技術では、組織に残留γを含むようにするため合金元素が添加されており、実施例の鋼は炭素等量(Ceq)が高いか、Siが高い鋼種となっている。例えば同公報の表1を見ると、鋼種AではCeqを計算すると約0.38であり、鋼種B〜FではSiが0.55〜1.94%であり、いずれも高めとなっている。そのため、全般に延性が低く、表層だけ残留γにより一様伸びを高くしても、一様伸びは延性の低い部分で律則されるため、一様伸びを向上させることが困難であるものと推測される。
【0009】
これらの鋼種については、靭性あるいは溶接性に関する試験結果が、全く開示されていない。なお、同公報で衝撃吸収エネルギーというのは、表2のEL×(YP+TS/2)であり、全伸びと強度の積のことである。そこで、これらの鋼種の材質について、通常の厚鋼板の材質から考えると、Siが高めの鋼種は靭性が低く、Ceqが高めの鋼種は溶接性に問題があると推測される。
【0010】
一般に、船体用鋼材においては設計上の要求から必要な降伏応力が決められており、使用する部位に応じて鋼材の強度等級が変更されるため必要以上の強度は特に必要とされないこと、および強度を向上させるためには合金元素の添加等によるコスト上昇や溶接性の劣化を生じるため、強度増加による吸収エネルギーの向上は好ましくない。以上の観点から、船舶の衝突時のエネルギー吸収性能に優れた鋼材は未だ開発されていないのが実状である。
【0011】
本発明は、現状用いられている鋼材に対して合金元素の添加等によるコス卜の増加や、船体構造設計の変更なしに、衝突時のエネルギー吸収能を増加させることが可能な耐衝突性に優れた鋼材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は次の発明により解決される。
【0013】
その発明は、鋼組成が質量%でCeq≦0.36%を満たし、組織がフェライト相と硬質相からなり、前記フェライト相の相分率が板厚中央部で70%以上かつ板厚表層部で50%以上、硬さがHv160以下、平均粒径が2μm以上であることを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材である。ただし、
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 (1)
であり、元素記号は含有量(質量%)を表す。
【0014】
本発明は、上記課題の達成に向けて鋭意研究を重ねた結果、なされたものであり、通常の船体用鋼材とほぼ同じ成分で、耐衝突性に優れた、すなわち一様伸び性に優れた鋼材およびその製造方法を提供する。すなわち、強度を低下させることなく、一様伸びを向上させるために、軟質相であるフェライトと硬質相であるベイナイト、セメンタイト、マルテンサイト等の2相以上の組織からなる鋼を用い、それぞれの相の機械的性質を最適化するとともに、その組み合わせを最適化している。
【0015】
以下、本発明における、ミクロ組織、成分組成について説明する。まず、ミクロ組織については次のようになる。
【0016】
鋼の組織: フェライト相と硬質相
この発明の鋼の組織は、フェライト相と硬質相からなる。硬質相は、ベイナイト、パーライト、マルテンサイト等のフェライト相に比べて硬度の高い組織により構成される。
【0017】
フェライト相分率: 板厚中央部で70%以上かつ板厚表層部で50%以上
フェライト相分率が高くなるほど、一様伸びが向上する。組織は板厚方向で多少変化するが、十分な一様伸びを得るには板厚中央部で70%以上とすることが必要である。板厚表層部では、これより低くてもよいが、50%未満では一様伸びが低下する。従って、フェライト相分率を板厚中央部では70%以上、板厚表層部では50%以上とする。
【0018】
なお、この発明では、板厚表層部を板の表面から板厚の1/10程度の深さまでの領域とする。この板厚表層部は、冷却時において、板厚中央部に比べて相対的に冷却速度が速くなり、硬質相が生成しやすく、一様伸びが劣化しやすい領域である。板厚全体を考慮した場合、分率的にはさほど大きくなく、特性的にもその影響はある程度は許容できるが、板厚中央部との特性差が大きくなると影響を無視できなくなってくる。そのため、板厚表層部についても、このようにフェライト相分率を確保する必要がある。
【0019】
フェライト相の硬さ: Hvで160以下
フェライト相の硬さが低いほど、一様伸びが向上する。フェライト相の硬さがHvで160以下で一様伸びが優れるため、Hvで160以下とする。
【0020】
フェライト相の平均結晶粒径: 2μm以上
フェライト相の平均結晶粒径が小さいほど、一様伸びは低下する。特に平均結晶粒径が2μm未満になると一様伸びが急激に劣化するため、2μm以上とする。
【0021】
成分組成については、この発明では炭素等量Ceqを次のように規定する。
【0022】
Ceq: 0.36%以下
Ceqは高いほど強度が上がり、フェライトの強度も高くなるため一様伸びが低下し、0.36%を超えると一様伸びの低下が著しい。また、Ceqは溶接熱影響部の靭性の指標で、0.36%を超えた場合、大入熱溶接の熱影響部靭性が劣化する。このため、Ceqは0.36%以下とする。ここで、
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 (1)
である。
【0023】
この発明において、鋼組成としてさらに、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.8〜1.6%、Sol.Al:0.002〜0.07%を含み、残部が実質的に鉄および不可避不純物からなることを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材とすることもできる。
【0024】
また、鋼組成として、これらの発明に加えてさらに、質量%でTi:0.003〜0.03%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材、あるいは質量%で、Nb:0.005〜0.05%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材とすることもできる。さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.5%、Mo:0.02〜0.3%、V:0.01〜0.08%、Cu:0.1〜0.6%の1種以上を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材、あるいは質量%で、Ni:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材とすることもできる。
【0025】
これらの発明は、上記の発明の鋼組成としてさらに成分組成を規定したものである。以下、個々の化学成分の限定理由について説明する。
【0026】
C: 0.05〜0.16%
Cは強度を確保するため含有するが、0.05%未満ではその効果が十分でなく、0.16%を超えるとフェライト主体の組織が得られず一様伸びが劣化するため、0.05〜0.16%とする。
【0027】
Si: 0.1〜0.5%
Siは製鋼段階の脱酸材および強度向上元素として含有するが、0.1%未満ではその効果が不十分で、0.5%を超えると延性を劣化させるため、0.1〜0.5%とする。
【0028】
Mn: 0.8〜1.6%
Mnは強度を確保するため含有するが、0.8%未満ではその効果が不十分で、1.6%以上含有するとフェライト主体の組織が得られないため、0.8〜1.6%とする。
【0029】
Sol.Al: 0.002〜0.07%
Alは脱酸のため添加する。Sol.Al量で0.002%未満の場合はその効果が十分でなく、0.07%を超えて含有すると鋼材の表面疵が発生し易くなるため、0.002〜0.07%添加する。
【0030】
Ti: 0.003〜0.03%
これらの発明は、靭性をより向上させるため、Tiを添加することができる。Tiは圧延加熱時あるいは溶接時、TiNを生成し、オーステナイト粒径を微細化し、母材靭性ならびに溶接熱影響部の靭性を向上させる。その添加量が、0.003%未満ではその効果が十分でなく、0.03%を超えて添加すると溶接熱影響部の靭性を劣化させるため、Tiを添加する場合はその添加量を0.003〜0.03%とする。
【0031】
Nb: 0.005〜0.05%
これらの発明は、強度を向上させるため、Nbを添加することができる。その添加量が0.005%未満ではその効果が十分でなく、0.05%を超えると溶接熱影響部の靭性を劣化させるため、Nbを添加する場合はその添加量を0.005〜0.05%とする。
【0032】
これらの発明は、強度を向上させるためCr、Mo、V、Cuを単独添加あるいは複合添加することができる。
【0033】
Cr: 0.1〜0.5%
Crは、0.1%未満ではその効果が不十分で、0.5%を超えると溶接性および溶接影響部の靭性が劣化するため、添加する場合は0.1〜0.5%とする。
【0034】
Mo: 0.02〜0.3%
Moは、0.02%未満ではその効果が不十分で、0.3%を超えると溶接性および溶接熱影響部の靭性が著しく劣化するため、添加する場合は0.02〜0.3%とする。
【0035】
V: 0.01〜0.08%
Vは、0.01%未満ではその効果が不十分で、0.08%超えでは著しく靭性が劣化するため、添加する場合は0.01〜0.08%とする。
【0036】
Cu: 0.1〜0.6%
Cuは、0.1%未満ではその効果が十分でなく、0.6%を超えて添加するとCu割れの懸念が高まるため、添加する場合は0.1〜0.6%とする。
【0037】
これらの発明は、靭性を向上させるためNiを添加することもできる。Niの添加量が0.1%未満ではその効果が十分でなく、0.5%を超えると鋼材コストの上昇が著しいため、Niを添加する場合はその添加量を0.1〜0.5%とする。
【0038】
製造方法の発明は、上述の発明の鋼組成を有する鋼素材を加熱後、Ar以上850℃以下の温度域で累積圧下率50%以上の圧延を行ない、その後、鋼材平均温度が(Ar−120)℃以上Ar以下の範囲で鋼材平均冷却速度Vc℃/秒がVc<5かつ冷却時間T秒がT≧30/Vc の関係を満たす条件で第1段の冷却を行い、鋼材平均温度(Ar−120)℃以上から10℃/秒以上の鋼材平均冷却速度で、鋼材平均温度が300℃以上650℃以下の範囲まで第2段の冷却を行うことを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材の製造方法である。
【0039】
この発明は、上記の発明の鋼材の製造方法に関するもので、特に圧延条件と冷却条件を規定している。以下、個々の条件について説明する。
【0040】
圧延条件: Ar以上850℃以下の温度域で50%以上の累積圧下率
圧延においては、靭性を向上させるため、オーステナイトの未再結晶温度域であるAr以上850℃以下の温度域で加工歪を導入する。累積圧下率については、50%以上で、変態後のフェライト結晶粒径が十分微細化して靭性向上が図られる。従って、圧延中の累積圧下率をAr以上850℃以下の温度域で50%以上とする。なお、Arは、例えば、Ar=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo(℃、元素記号は質量%)として求められる。
【0041】
第1段の冷却条件: 冷却速度 Vc<5かつ冷却時間T≧30/Vc
第1段の冷却は、フェライト相の相分率、硬さ、粒径を所定のものにするため制御する。そのためには、鋼材平均冷却速度Vc℃/秒に対して、冷却時間Tが30/Vc秒未満であるとフェライト変態が十分に進行しないため、板厚中央部のフェライト分率が70%に満たない。また冷却速度Vcが5℃/秒を超えると、 Cのフェライト相からオーステナイト相への拡散が十分に進行せず、フェライト相の硬さがHv160以下にならない。さらに、表層部においては冷却速度が相対的に速くなるので、表層部が硬化する。従って、VcとTはT≧30/Vcおよび Vc<5の関係を満たすものとする。
【0042】
第1段の冷却の温度範囲: (Ar−120)℃以上Ar以下
冷却温度範囲は、鋼材平均温度が(Ar−120)℃未満まで上記冷却条件で冷却すると、第2段の冷却条件を如何に変更しても所定の強度を得ることが出来なくなってしまうことから、(Ar−120)℃以上とする。なお、冷却の開始に関しては、冷却速度を制御する必要のある温度域は変態の始まるAr以下であるが、冷却開始はArを超える温度であってもかまわない。要するに、(Ar−120)℃以上Ar以下の温度範囲で、上記の冷却条件で冷却すればよい。
【0043】
なお、鋼材の平均温度は、鋼材の形状と表面温度、冷却条件等が与えられた場合に、シミュレーション計算等により求められたものを用いることができる。
【0044】
第2段の冷却条件: (Ar−120)℃以上の温度から10℃/秒以上の冷却速度で300℃〜650℃まで冷却
第2段の冷却は、硬化相の強度の向上により所定の強度を確保するために制御する。冷却開始温度は、低いほど強度が低下し、鋼材平均温度が(Ar−120)℃未満になると所定の強度が得られなくなるため、(Ar−120)℃以上とする。冷却速度は、速いほど強度が向上するが、鋼材平均冷却速度で10℃/秒未満では所定の強度が得られないので、10℃/秒以上とする。冷却終了温度は、低いほど強度が向上するが、300℃未満まで冷却すると延靭性が劣化する。逆に、650℃を超える温度で冷却を停止すると所定の強度が得られないので、冷却終了温度を300℃以上650℃以下とする。
【0045】
上記の発明において、第1段の冷却として、鋼材平均温度がAr未満(Ar−80)℃以上から(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下の範囲まで鋼材平均冷却速度10℃/秒以上で冷却し、次いで鋼材平均温度が(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下の範囲で5秒以上放冷を行うことを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材の製造方法とすることもできる。
【0046】
この発明は、圧延条件および第2段の冷却は、前述の発明に同じ製造方法であり、第1段の冷却のみ次のようにする。
【0047】
冷却の温度範囲: Ar未満(Ar−80)℃以上〜(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下第1段の冷却は、それに続く放冷により、フェライト相の相分率、硬さ、粒径を所定のものにするため行う。このため、冷却温度域は、鋼材平均の温度がAr未満(Ar−80)℃以上の温度から開始し、放冷中に変態の制御が行い易い(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下の温度範囲までとする。
【0048】
冷却速度: 10℃/秒以上
冷却速度は、鋼材平均冷却速度で10℃/秒未満であると、変態が進行して放冷中の変態制御が難しくなるため、10℃/秒以上とする。
【0049】
冷却後の放冷: (Ar−120)〜(Ar−50)℃の温度範囲で5秒以上
冷却(10℃/秒以上)後の放冷は、フェライト相の相分率、硬さ、粒径を所定のものにするため行う。放冷温度域については、鋼材平均温度が(Ar−120)℃未満ではフェライト変態を進行させるのに長時間を要し、(Ar−50)℃を超える温度ではフェライトの変態率が所定の分率に達しない。従って、放冷温度域を(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下とする。放冷時間については、5秒未満であるとフェライト変態が十分に進行しないためフェライト分率が所定の分率に満たず、またCのフェライト相からオーステナイト相への拡散が十分に進行せずフェライト相の硬さがHv160以下にならない。従って、放冷時間を5秒以上とする。
【0050】
なおこの発明における圧延に引き続く第1段の冷却(冷却および放冷)は、前述の発明とは方法が異なるが、冷却の効果は同等であり、能率を向上させることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
本発明は、通常の船体用鋼材とほぼ同じ成分で、耐衝突性に優れた、すなわち一様伸び性に優れた鋼材およびその製造方法を提供する。製造に当たっては、上記の鋼組成、製造方法に基づき、組織制御を行う。例えば、通常の転炉や電炉等で所定の鋼組成の鋼を溶製し、連続鋳造等により得られた鋳片をそのままあるいは冷却後、圧延を行う。圧延においては、圧延条件あるいは冷却条件を調節して鋼材の組織制御を行い、目標の複合組織を得る。この場合、上記第7または第8の発明の製造方法を用いることにより、組織制御を容易に実施することができる。
【0052】
製造された鋼材は、強度を低下させることなく、一様伸びを向上させるために、軟質相であるフェライトと硬質相であるベイナイト、セメンタイト、マルテンサイト等の2相以上の組織からなる鋼とする。なお、この鋼材の組織は、それぞれの相の機械的性質を最適化するとともに、その組み合わせを最適化することを基本方針に検討を行う中で得られたものであり、以下の知見に基づいている。
【0053】
一般に2相以上の組織を有する鋼においては、軟質相が主に延靭性向上の役割を担い、硬質相が主に強度向上の役割を担う。そこで、まず一様伸びを向上させるために軟質相であるフェライト相の性質を検討した。一様伸びは軟質材ほど優れていることは明らかであるが、他に硬質相が存在する場合は、両相の差がある程度大きい方が軟質相への歪の集中が大きくなり、一様伸びに対する軟質相の寄与が大きくなる。硬質相として比較的強度の低いベイナイト相を考えた場合、フェライト相への歪集中を大きくするためには、フェライト相の硬度をHv160以下にしなければならない。
【0054】
また、一様伸びは結晶粒径が小さくなるほど低下するため、複相鋼のフェライト結晶粒径の影響を調査したところ、平均結晶粒径が2μm以下になると急速に一様伸びが低下することを確認した。ここで、局部伸びは結晶粒径の影響を比較的受けないため、結晶粒径の減少による全伸びの低下は、一様伸びの低下に比べ相対的に小さいことも確認した。よって、このことからも、延性を評価する場合には、一様伸びと全伸びを区別して考える必要がある。
【0055】
さらに、軟質相と硬質相の割合と一様伸びの関係を検討したところ、フェライト相の分率が高いほど一様伸びの向上が見られ、特にフェライト相分率が板厚中央部で70%以上、板厚表層部で50%以上で、一様伸びに優れることを見出した。この場合、フェライト相分率が板厚方向で多少変化するが、機械的特性値としての差は小さく、一様伸びを損なうことはない。このようにフェライト相分率を所定割合確保するには、冷却条件を適切に調節すればよい。
【0056】
例えば、相分率への冷却速度Vcと冷却時間Tの影響については次のようになる。冷却速度Vcが小さい場合は、相平衡が律速となり、ある温度以下にならないと板厚中央部におけるフェライト変態率が70%にならない。そこでこの場合は、冷却時間Tを十分にとり、フェライト変態が進むよう温度降下させる必要がある。一方、Vcが大きい場合は、相平衡としては相変態に必要な温度域に速やかに温度低下する。この場合、冷却速度 Vcが大きいほど相変態の駆動力が大きくなるので、冷却時間Tは短くてよい。但し、ある程度原子が拡散し、相変態が進行する時間が必要であるため、Tには下限がある。
【0057】
以上より、実験結果等から冷却速度Vcと冷却時間Tが満たすべき関係として、T>30/Vcが得られた。実際には、冷却速度Vcは鋼板の板厚や冷却設備により、冷却時間Tは設備配置等により、それぞれある範囲に限定されるが、上記の不等式の範囲であればそれぞれ任意に設定可能である。
【0058】
次に、強度に対する組織の影響を検討した。強度は、硬質相の強度と分率に大きく影響を受けるが、鋼の成分組成が一定の場合は、たとえ組織が変化しても、製造条件の選択により、強度をほぼ一定に制御できることを確認した。すなわち、硬質相の分率を比較的大きくしたい場合には、圧延後の水冷温度を高めにしたり冷却速度を低目にして硬質相の強度を低目とすることにより、一方、硬質相の分率を比較的小さくしたい場合には、逆に圧延後の水冷温度を低目にしたり冷却速度を高目にして硬質相の強度を高くすることにより、強度を一定に保つことが可能である。
【0059】
なお、このような強度の制御は、硬質相の分率が小さい場合には、フェライト相から変態時に排出され硬質相に濃化する炭素濃度が高くなり、硬質相がより硬化し易くなるという原理から、比較的容易に達成される。また、冷却速度の制御方法は、所定の条件を満たせば放冷でもかまわないが、保温する場合は鋼材の上に断熱カバーを設けたり、冷却速度を上げる場合には水冷することが考えられる。
【0060】
最後に、船舶等に使用される鋼材においては、靭性も重要な機械的性質の一つであるが、本発明が対象にしているフェライト主体の組織の鋼材においては、靭性は主にフェライト結晶粒径の影響を受けるため、望ましくは結晶粒径を40μm以下にすることが必要である。結晶粒径の制御は、圧延工程で圧下率を一定値以上にすること等により可能である。
【0061】
【実施例】
以下、実施例について説明する。表1に実施例に用いた供試鋼の成分を示す。表示しない残部は、実質的に鉄および不可避不純物よりなる。表1における鋼種A〜Hは本発明を満足する成分組成の鋼で、鋼種IはCeqが発明の範囲外(上限
0.36%超)となっている。
【0062】
【表1】
Figure 0003578126
【0063】
これらの鋼組成を有する鋳片を加熱後、板厚12〜25mmの鋼板に圧延して種々の冷却パターンで冷却した。表2に製造条件を示す。鋼番1〜11は本発明の製造条件を満足する発明材、鋼番12〜17は本発明の製造条件又は成分組成から外れている比較材である。
【0064】
【表2】
Figure 0003578126
【0065】
これらの鋼板のミクロ組織を光学顕微鏡により観察し、板厚中央部と板厚表層部のフェライト相の分率、フェライトの結晶粒径(平均粒径)を測定した。フェライト相の硬さはマイクロビッカース硬度計により測定した。
【0066】
また、機械的特性として、強度、一様伸び、靭性を求めた。引張試験は、全厚のJIS1B号試験片を、鋼板の圧延方向と直角の方向に採取して試験した。一様伸びは、最大応力時の伸びとして評価した。衝撃試験は、JIS 4号標準試験片を、圧延方向と平行に、かつ表層に寄せて(鋼材の表面と試験片の端面との間隔が2mm以下)採取して試験した。靭性は、vTsにより評価した。表3に鋼板のミクロ組織および機械的特性を示す。
【0067】
【表3】
Figure 0003578126
【0068】
表3に示すように、鋼番1〜11の発明材は、いずれもTSが500MPa前後で、一様伸びが24%以上の優れた特性が得られている。また、発明材のYSは360MPa以上、vTsは−40℃より低く、いずれも目標特性とするYS≧315MPa、TS≧440MPa、一様伸び≧20%、vTs≦0℃を満足している。
【0069】
これに対して、鋼番12〜17の比較材については、まず、鋼組成と組織の観点から説明すると、次のようになる。鋼番12,13,15,16は、板厚中央部および板厚表層部のフェライト相分率がいずれも小さいため、一様伸びが劣っている。鋼番14も、板厚表層部のフェライト相分率が小さいため、一様伸びが劣っている。鋼番17は、Ceqが高いため、フェライト相の硬度が高く、一様伸びが劣っている。
【0070】
次に、これらの比較材について製造条件の観点から説明すると、次のようになる。なお、組織についても繰り返しになるが記しておく。鋼番12は、第l段の冷却速度が高すぎるため、フェライト相分率が小さくなり、一様伸びが劣っている。鋼番13は、第l段冷却の冷却速度に対して冷却時間が短いため、フェライト相分率が小さくなり、一様伸びが劣っている。
【0071】
鋼番14は、第l段冷却の開始温度が高すぎるため、フェライト相分率が小さくなり、一様伸びが劣っている。鋼番15は、第l段冷却の終了温度が高すぎるため、フェライト相分率が小さくなり、一様伸びが劣っている。鋼番16は、第1段冷却と第2段冷却の間の放冷時間が短かったため、フェライト相分率が低くなり、一様伸びが劣っている。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、通常の船体用鋼材とほぼ同じ成分で、軟質相であるフェライトと硬質相の2相以上の組織からなる鋼を用い、それぞれの相の機械的性質を最適化し、その組み合わせを最適化することにより、一様伸びが高く耐衝突性に優れた鋼材を得ることが可能である。その結果、現状用いられている鋼材に対して合金元素の添加等によるコストの増加なしに、船舶の衝突時のエネルギー吸収性能に優れた鋼材が提供可能で、産業上その効果は極めて大きい。また、大型タンカーの座礁や衝突による油流出を防止するという観点から、環境保護の効果も極めて大きい。

Claims (8)

  1. 鋼組成が質量%でCeq≦0.36%を満たし、組織がフェライト相と硬質相からなり、前記フェライト相の相分率が板厚中央部で70%以上かつ板厚表層部で50%以上、硬さがHv160以下、平均粒径が2μm以上であることを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材。
    ただし、
    Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 (1)
    であり、元素記号は含有量(質量%)を表す。
  2. 鋼組成として、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.8〜1.6%、Sol.Al:0.002〜0.07%を含み、残部が実質的に鉄および不可避不純物からなることを特徴とする請求項1記載の耐衝突性に優れた鋼材。
  3. 鋼組成として、請求項2記載の鋼組成にさらに質量%でTi:0.003〜0.03%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材。
  4. 鋼組成として、請求項2または請求項3の発明の鋼組成に、さらに質量%で、Nb:0.005〜0.05%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材。
  5. 鋼組成として、請求項2ないし請求項4記載の鋼組成に、さらに質量%で、Cr:0.1〜0.5%、Mo:0.02〜0.3%、V:0.01〜0.08%、Cu:0.1〜0.6%の1種以上を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材。
  6. 鋼組成として、請求項2ないし請求項5記載の鋼組成に、さらに質量%で、Ni:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材。
  7. 請求項1ないし請求項6記載の鋼組成を有する鋼素材を加熱後、Ar以上850℃以下の温度域で累積圧下率50%以上の圧延を行ない、その後、鋼材平均温度が(Ar−120)℃以上Ar以下の範囲で鋼材平均冷却速度Vc℃/秒がVc<5かつ冷却時間T秒がT≧30/Vc の関係を満たす条件で第1段の冷却を行い、鋼材平均温度(Ar−120)℃以上から10℃/秒以上の鋼材平均冷却速度で、鋼材平均温度が300℃以上650℃以下の範囲まで第2段の冷却を行うことを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材の製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項6記載の鋼組成を有する鋼素材を加熱後、Ar以上850℃以下の温度域で累積圧下率50%以上の圧延を行ない、その後、第1段の冷却として、鋼材平均温度がAr 未満 (Ar−80)以上から(Ar−120)℃以上 (Ar−50)℃以下の範囲まで鋼材平均冷却速度10℃/秒以上で冷却し、次いで鋼材平均温度が(Ar−120)℃以上(Ar−50)℃以下の範囲で5秒以上の放冷を行い、鋼材平均温度が(Ar−120)℃以上から10℃/秒以上の鋼材平均冷却速度で鋼材平均温度が300℃以上650℃以下の範囲まで第2段の冷却を行なうことを特徴とする耐衝突性に優れた鋼材の製造方法。
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