JP6135595B2 - 耐衝突性に優れた鋼板の高能率製造方法 - Google Patents
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C:0.05〜0.16%
Cは強度を確保するために必要である。しかし、C含有量が0.05%未満ではその効果が十分でなく、C含有量が0.16%を超えるとフェライト主体の組織が得られず一様伸びが劣化する。よって、C含有量は0.05%〜0.16%とする。
Siは製鋼段階の脱酸材および強度向上元素として必要である。しかし、Si含有量が0.1%未満ではその効果が十分でなく、Si含有量が0.5%を超えると延性が劣化する。よって、Si含有量は0.1〜0.5%とする。
Mnは強度を確保するために必要である。Mn含有量が0.8%未満ではその効果が十分でなく、Mn含有量が1.6%を超えるとフェライト主体の組織が得られない。よって、Mn含有量は0.8〜1.6%とする。好ましくは1.0〜1.5%である。
Alは脱酸のため添加する。Sol.Al含有量が0.002%未満の場合はその効果が十分でなく、Sol.Al含有量が0.07%を超えると鋼板の表面疵が発生し易くなる。よって、Sol.Al含有量は0.002〜0.07%とする。
Nbは、オーステナイト再結晶を強く抑制する元素である。本発明では、第1段の冷却と第2段の冷却との間に4秒を超える放冷時間を設けることなく、フェライト変態を起こさせ、所望のフェライト量を確保する必要がある。オーステナイト結晶粒界は、フェライトの核生成サイトとして作用するため、オーステナイト結晶粒径が小さいほど、結晶粒界面積が大きくなり、フェライト変態が起こりやすい。このため、Nbを添加することで、熱間圧延中および熱間圧延後のオーステナイト再結晶を抑制して、オーステナイト結晶粒を小さくすることが、第1段の冷却と第2段の冷却との間に4秒を超える放冷時間を設けることなく、フェライト変態を起こさせるために必要である。Nb含有量が0.005%未満では再結晶抑制効果が十分でなく、Nb含有量が0.05%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。よって、Nb含有量を0.005〜0.05%とする。
Ceqが高いほど強度が高まりフェライト相の強度も高くなるため、一様伸びが低下する。Ceqが0.36を超えると一様伸びの低下が著しい。また、Ceqは溶接熱影響部の靭性の指標であり、Ceqが0.36を超えた場合、大入熱溶接の熱影響部靭性が劣化する。このため、Ceqは0.36以下とする。なお、ここで、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15である。元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しないものは0とする。
本発明では、オーステナイト粒径を微細化するため、Tiを添加することができる。Tiは圧延加熱時あるいは溶接時にTiNを生成し、オーステナイト結晶粒の成長を抑制し、オーステナイト粒径を微細化する。このことにより、フェライト変態の発生を容易にする。また、オーステナイト結晶粒の微細化により、オーステナイトから変態して生成するフェライト結晶粒も微細化し、母材靭性ならびに溶接熱影響部の靭性が向上する。Ti含有量が0.003%未満ではその効果が十分でなく、Ti含有量が0.03%を超えると溶接熱影響部の靭性が劣化する。よって、Tiを添加する場合は、その含有量を0.003〜0.03%とする。
Cr含有量が0.1%未満では強度向上の効果が十分でなく、Cr含有量が0.5%を超えると溶接性および溶接影響部の靭性が劣化する。よって、Crを添加する場合はその含有量を0.1〜0.5%とする。
Mo含有量が0.02%未満では強度向上の効果が十分でなく、Mo含有量が0.3%を超えると溶接性および溶接熱影響部の靭性が著しく劣化する。よって、Moを添加する場合、その含有量を0.02〜0.3%とする。
V含有量が0.01%未満では強度向上効果が十分でなく、V含有量が0.08%超えでは著しく靭性が劣化する。よって、Vを添加する場合、その含有量を0.01〜0.08%とする。
Cu含有量が0.1%未満では強度向上効果が十分でなく、Cu含有量が0.6%を超えるとCu割れの懸念が高まる。よって、Cuを添加する場合、その含有量を0.1〜0.6%とする。
Ni含有量が0.1%未満では靭性向上効果が十分でなく、Ni含有量が0.5%を超えると鋼板コストの上昇が著しい。よって、Niを添加する場合はその添加量を0.1〜0.5%とする。
本発明では、圧延条件を規定して、圧延後のオーステナイト結晶粒を微細化する。圧延においては、オーステナイト結晶粒を微細化するため、オーステナイトの未再結晶温度域であるAr3以上900℃以下の温度域で加工歪を導入する。ここで、本発明の鋼板ではNbが添加されているため、再結晶温度が高く、900℃以下が未再結晶温度域である。さらに、本発明では、第1段の冷却条件を規定することで、フェライト変態が容易に生ずるようにして、第1段の冷却後に4秒を超える放冷をせずとも、所望のフェライト相分率を確保する。また、本発明では、第2段の冷却により未変態のオーステナイト相をベイナイト相及び/又はマルテンサイト相を主体とする硬質相に変態させることで、フェライト相を主体とし、フェライト相と硬質相とからなる組織になる。以上のようなことから、本発明では、耐衝突性に優れた鋼板を能率良く製造できる。圧延条件と冷却条件の規定は、本発明において重要な要件である。以上の知見をもとに完成した本発明の製造方法は以下の通りである。
「上記の鋼組成を有する鋼に対して、加熱」の「加熱」とは、鋼素材(例えば、スラブ)の加熱を意味する。通常の加熱の目的は、圧延可能な温度にすること、および、組織、組成の均一化である。本発明では、これらに加えて、加熱によってNb炭化物、Nb窒化物などを溶解し、Nbを固溶させることを目的とする。これらの観点から加熱温度は1050〜1250℃が好ましい。
圧延中の一部または全部のパス間において、圧延と同時に急冷を行う。本発明では、圧延しながらパス間で冷却を行うため、圧延機の冷却待ち時間がなく、圧延時間を短縮して、鋼板(厚鋼板)の製造効率を高めることができる。パス間の鋼板平均冷却速度は15℃/秒〜300℃/秒とする。パス間の鋼板平均冷却速度を15℃/秒〜300℃/秒にすることで、想定される全ての板厚の鋼板について、冷却待ち時間をなくして目的の圧延終了温度でかつ所定板厚まで連続して圧延を行うことができる。そのため、圧延時間の短縮ができ、生産性の向上を図ることができる。鋼板平均冷却速度が15℃/秒未満では本発明のパス間急冷を行う能力が不足し、300℃/秒超えでは必要以上の能力を有する急冷設備となって経済的ではない。
圧延終了後の第1段の冷却は急冷である。第1段の冷却(急冷)により、フェライト相の相分率、硬さ、平均粒径を所定のものにする。
第2段の冷却(急冷)は、第1段の冷却によりフェライト相に変態しなかった未変態のオーステナイト相を急冷して、ベイナイト相および/またはマルテンサイト相を主体とする硬質相を生成するために行う。
フェライト相と硬質相
本発明の製造方法により製造された鋼板は、強度を低下させることなく、一様伸びを向上させるために、軟質相であるフェライト相と硬質相とからなる組織を有する。硬質相は主にベイナイト相および/またはマルテンサイト相からなる。
軟質相と硬質相の割合と一様伸びの関係を検討したところ、軟質相であるフェライト相の分率が高いほど一様伸びの向上が見られ、特にフェライト相分率が板厚中央部で70%以上、板厚表層部で50%以上のときに、一様伸びに優れることを見出した。従って、十分な一様伸びを得るにはフェライト相分率が板厚中央部で70%以上、板厚表層部で50%以上とすることが必要である。板厚表層部では、フェライト相分率がこれより低くてもよいが、板厚表層部のフェライト相分率が50%未満では一様伸びが低下する。しかし、フェライト相分率が高くなりすぎると硬質相の分率が低下し、所望の強度が得られなくなるため、フェライト相分率は板厚中央部、板厚表層部とも90%以下とする。
一般に2相以上の組織を有する鋼板においては、軟質相が主に延靭性向上の役割を担い、硬質相が主に強度向上の役割を担う。両相の差が大きい方が軟質相への歪の集中が大きくなり、一様伸びに対する軟質相の寄与が大きくなる。フェライト相への歪集中を大きくするためには、フェライト相の硬さをビッカース硬さでHV160以下にしなければならない。以上より、フェライト相の硬さがHV160以下で一様伸びが優れるため、HV160以下とする。
また、一様伸びはフェライト相の結晶粒径が小さくなるほど低下するため、2相以上の組織を有する鋼板のフェライト結晶粒径の影響を調査した。その結果、フェライト相の平均結晶粒径が2μm未満になると急速に一様伸びが低下することを確認した。このため、フェライト相の平均結晶粒径は2μm以上とする。
Claims (4)
- 鋼組成が、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.8〜1.6%、Sol.Al:0.002〜0.07%、Nb:0.005〜0.05%を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、Ceq≦0.36を満たす鋼素材を加熱し、
次いで、圧延中の一部または全部のパス間において、鋼板平均冷却速度15〜300℃/秒で急冷しつつ、900℃以下の累積圧下率が20%以上、圧延終了温度がAr3以上850℃以下の条件で、前記鋼素材から鋼板の圧延を行い、
該圧延終了後、第1段の冷却として、冷却開始温度が鋼板平均温度でAr3以上、平均冷却速度が10℃/秒以上、冷却停止温度が(Ar3−90)℃以上(Ar3−70)℃以下の条件の冷却を行い、
次いで、前記第1段の冷却終了後、1秒以上4秒以内に開始する第2段の冷却として、平均冷却速度が10℃/秒以上、冷却停止温度が300℃以上650℃以下の条件で冷却を行うことを特徴とする耐衝突性に優れた、YS≧355MPa、TS≧490MPa、一様伸び≧20%、vTrs≦0℃である鋼板の高能率製造方法。
ただし、Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15であり、式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しないものは0とする。 - 前記鋼組成として、さらに、質量%で、Ti:0.003〜0.03%を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐衝突性に優れた鋼板の高能率製造方法。
- 前記鋼組成として、さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.5%、Mo:0.02〜0.3%、V:0.01〜0.08%及びCu:0.1〜0.6%の中から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐衝突性に優れた鋼板の高能率製造方法。
- 前記鋼組成として、さらに、質量%で、Ni:0.1〜0.5%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐衝突性に優れた鋼板の高能率製造方法。
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