JP4969282B2 - 溶接熱影響部の靭性に優れた高強度低降伏比鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶、建築物、橋梁などの溶接構造物に適用される鋼材に関し、特に耐震性の観点から、低降伏比特性が要求される鋼材のうち、大入熱溶接が施工される高強度低降伏比鋼材に関するものである。
船舶、建築物、橋梁等に適用される鋼材は、溶接施工が施されて溶接構造物とされるのが一般的である。近年、上記各種溶接構造物の大型化に伴い、使用される鋼材は厚肉、高強度化へのニーズが高まっており、また建築構造物の耐震性の観点から、降伏比(降伏点/引張強さ×100%)が小さいこと(即ち、塑性変形能が高いこと)も要求されている(例えば、建築用途の場合、80%以下)。
一方でコスト面では安価な鋼材で且つ溶接施工効率を改善するという観点から、大入熱溶接が指向される状況である。しかしながら、大入熱溶接を行うと、鋼材が高温のオーステナイト領域まで加熱されてから徐冷されるので、特に熱影響部(以下、単に「HAZ」と呼ぶことがある)の組織が粗大化し、その部分の靭性が劣化しやすいという問題がある。こうしたHAZにおける靭性(以下、「HAZ靭性」と呼ぶことがある)を良好に確保することが、永年の課題となっている。
大入熱溶接時におけるHAZ靭性の劣化防止のための技術は、これまでにも様々提案されている。こうした技術として、例えば特許文献1、2では、鋼材中にCaを適量含有させ、高温領域でのオーステナイト粒(γ粒)の粗大化防止を、フェライト変態を促進することによって高HAZ靭性化を図っている。しかしながら、溶接入熱量が40kJ/mmを超えるような超大熱溶接を行った場合には、良好なHAZ靭性を確保することは困難である。またこれら技術では、耐震性の観点から要求される低降伏比特性を必ずしも確保できないという問題もある。
一方、特許文献3では、Ti,B,N等の含有量と固溶B量を規定することによって、溶接入熱が100kJ/mm程度の超大入熱でのHAZ靭性が確保できることが示されている。しかしながらこの技術では、S含有量が規定されておらず、溶接施工による拡散性水素に起因する低温割れの有無については明確にされていない。またCa含有量に関する適正範囲が記載されておらず、HAZ靭性向上のための介在物制御ができず、超大熱溶接において安定したHAZ靭性を得ることができない。更に、低降伏比特性については何ら考慮されていない。
特許第3546308号公報 特許第3733898号公報 特開2005−139506号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、入熱量が40kJ/mm以上の大入熱溶接を行った場合であってもHAZ靭性に優れると共に、耐震性特性の観点から要求される低降伏比を実現できるような高強度低降伏比鋼材を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る高強度低降伏比鋼材とは、C:0.04〜0.10%(「質量%」の意味、化学成分組成については以下同じ)、Si:0.05〜0.40%、Mn:1.20〜1.70%、P:0.015%以下(0%を含まない)、S:0.0010%以下(0%を含まない)、Al:0.020〜0.045%、Cu:0.20〜0.80%、Ni:0.20〜0.80%、Ti:0.005〜0.015%、B:0.0010〜0.0022%、N:0.0040〜0.0080%、Ca:0.0015〜0.0040%およびO:0.0025%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるPK値が−0.55〜4.3の範囲にある点に要旨を有する。
PK値={[N]−([Ti]/6.8)−([Al]/10)−([B]/2)}
×1000…(1)
但し、[N],[Ti],[Al]および[B]は、夫々N,Ti,AlおよびBの含有量(質量%)を示す。
本発明の鋼材には、必要によって更に(a)組織が軟質相と硬質相とからなる複合組織であり、そのうち硬質相の平均ビッカース硬さHvが180〜450である、(b)硬質相の平均ビッカース硬さHv1と軟質相の平均ビッカース硬さHv2の比(Hv1/Hv2)が1.1以上である、(c)軟質相の分率が10〜80体積%である、等の要件を満足させることが好ましく、こうした要件を満足させることで鋼材の低降伏比が確実に実現できることになる。尚、こうした複合組織において、軟質相はフェライト、焼戻しベイナイトおよび焼戻しマルテンサイトよりなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、硬質相はベイナイト、パーライトおよびマルテンサイト(島状マルテンサイトを含む)よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明によれば、上記(1)式の関係を満足させつつ、鋼材の化学成分組成を適切な範囲内に納めると共に、低降伏比を維持しつつ溶接熱影響部(HAZ)の靭性改善を図った鋼材が実現できた。
溶接入熱が40kJ/mm以上の大入熱溶接施工が施される溶接構造物用鋼材では、低C成分を基本とした成分設計が必要となるが、希望する高強度化を得るためには、合金元素による各種強化機構を利用することも必要である。しかしながら、高強度化に最も有効であるCに代表される様に、C含有量を高くすることはHAZ靭性を大きく劣化させることが一般的に知られており、高強度化と高HAZ靭性の両立は困難であった。
本発明者らは、高強度化と高HAZ靭性の両立を図るべく、合金成分による鋼材強度とHAZ靭性への影響について様々な角度から検討を重ねた。その結果、CuおよびNiを適正量含有させることがこれらの特性を満足させる上で最も効果的であることが分かった。それに加え、更なる高HAZ靭性化のためには、Ti,B,NおよびAl量のバランスの適正化[前記(1)式]、並びに極低S且つCa量の適正化が必須であることを見出し、本発明を完成した。
本発明の鋼材は上記のように、化学成分組成の適切化を図ることも重要な要件である。これらの成分の範囲限定理由は、下記の通りである。
[C:0.04〜0.10%]
Cは、鋼材の強度を高める上で欠くことのできない元素であるが、多量に含有させることはHAZ靭性を劣化させることにもなる。C含有量が0.04%未満では、鋼材の強度が確保できない。好ましくは0.05%以上である。しかしながら、0.10%を超えると、溶接時にHAZに島状マルテンサイト相(MA相)が多く生成してHAZの靭性劣化を招くことになる。従ってCは0.10%以下(好ましくは0.08%以下)に抑える必要がある。
[Si:0.05〜0.40%]
Siは、HAZ靭性の確保を図る上で有用な元素であり、こうした効果を発揮させるためには0.05%以上(好ましくは0.07%以上)含有させる必要がある。しかしながら、Siを過剰に含有させると、溶接性およびHAZ靭性を却って劣化させることになるので、0.40%以下にする必要があり、好ましくは0.25%以下に抑える。
[Mn:1.20〜1.70%]
Mnは、焼入れ性を向上させ、鋼板の強度および靭性を確保する上で有用な元素であり、こうした効果を有効に発揮させるには、1.20%以上含有させる必要がある。好ましくは1.4%以上である。しかし、Mn含有量が過剰になるとHAZの強度が上昇し過ぎて靭性が劣化するので、1.70%以下とする。好ましくは1.60%以下である。
[P:0.015%以下(0%を含まない)]
不純物元素であるPは、鋼材(母材)およびHAZの靭性に悪影響を及ぼすので、その量ができるだけ少ないことが好ましい。HAZ靭性を確保するという観点からして、P含有量は0.015%以下に抑制する必要があり、好ましくは0.010%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のPを0%にすることは困難である。
[S:0.0010%以下(0%を含まない)]
Sは、MnSを形成して延性を低下させる不純物元素であり、その結果として鋼材(母材)の靭性が劣化するため、その量ができるだけ少ないことが好ましい。HAZ靭性を確保するという観点からして、S含有量は0.0010%以下に抑制する必要があり、好ましくは0.0008%以下とする。しかし、工業的に、鋼中のSを0%にすることは困難である。
[Al:0.010〜0.045%]
Alは、脱酸、およびミクロ組織微細化による鋼材(母材)靭性確保のために有用である。こうした効果を発揮させるためには、0.010%以上含有させる必要があり、好ましくは0.015%以上である。しかしながら、Al含有量が過剰になると、HAZ靭性が劣化するので、0.045%以下に抑える必要があり、好ましくは0.040%以下とする。
[Cu:0.20〜0.80%]
Cuは、HAZ靭性を劣化させずに固溶強化および析出強化によって鋼材(母材)の強度を向上させる元素である。また、Mnほどではないが、焼入れ性を向上させる効果も発揮する。こうした効果を有効に発揮させるには、Cuは0.20%以上含有させることが必要であり、好ましくは0.25%以上とする。しかし、Cuを過剰に含有させると、HAZ靭性が却って劣化するので、0.80%以下に抑えるべきである。好ましくは0.65%以下とする。
[Ni:0.20〜0.80%]
Niは、鋼材の低温靭性の向上および焼入れ性を高めて強度を向上させると共に、Cu割れおよび溶接高温割れ防止に寄与する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Niは0.20%以上含有させることが必要であり、好ましくは0.25%以上とする。しかし過剰に含有させると、スケール疵が発生しやすくなるので、0.80%以下に抑えるべきである。好ましくは0.65%以下とする。
[Ti:0.005〜0.015%]
Tiは、Nと窒化物を形成して溶接時のHAZのγ粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Tiは0.005%以上含有させることが必要であり、好ましくは0.007%以上とする。しかし過剰に含有させると、母材靭性やHAZ靭性を劣化させるため、0.015%以下に抑えるべきである。好ましくは0.013%以下とする。
[B:0.0010〜0.0022%]
Bは、鋼中のNと結合してBNを析出し溶接時におけるHAZのγ粒内組織を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素であると共に、フリーのBは焼入れ性を高めて母材強を向上させる。こうした効果を有効に発揮させるには、Bは0.0010%以上含有させる必要がある。好ましくは0.0012%以上である。しかし、B含有量が過剰になると、焼入れ性が過剰になり、母材靭性が劣化するので、0.0022%以下とする必要がある。好ましくは0.0020%以下とするのがよい。
[N:0.0040〜0.0080%]
Nは、TiやBと結合し、TiNやBNを形成して、大入熱溶接時のγ粒の微細化や粒内組織を微細化し、HAZ靭性を向上させるのに有用な元素である。N含有量が0.0040%未満では、TiN,BN量が不足し、HAZ靭性が劣化する。好ましくは0.0045%以上含有させるのが良い。しかしN含有量が過剰になると、母材靭性、HAZ靭性に悪影響を与えるので、Nは0.0080%以下に抑える必要があり、好ましくは0.0070%以下とする。
[Ca:0.0015〜0.0040%]
Caは、微細な介在物を形成し、HAZ組織におけるγ粒とγ内組織を微細化し、HAZ靭性を向上させる効果を有し、超大入熱溶接におけるHAZ靭性の安定性を確保できる。こうした効果を有効に発揮させるには、Caは0.0015%以上含有させる必要がある。好ましくは0.0020%以上である。しかし、Ca含有量が過剰になると、介在物を粗大化させ、母材の靭性が劣化するので、0.0040%以下とする必要がある。好ましくは0.0037%以下とするのがよい。
[O:0.0025%以下(0%を含まない)]
Oは、鋼中の種々の元素と結合して酸化物を形成する。その酸化物は、場合によっては粗大化して母材やHAZの靭性を劣化させるのでできるだけ、低減することが必要となる。O含有量が0.0025%を超えると、酸化物が粗大化して母材やHAZの靭性を劣化させることになる。好ましくは0.0022%以下に抑制するのがよい。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避的不純物であり、該不可避的不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、Cr,Mo,V,Nb等)の混入が許容され得る。但し、上記のように化学成分を調整しただけでは、本発明の効果を発揮させることができず、上記(1)式で規定されるPK値が所定の範囲となるようにする必要がある。
上記(1)式で規定されるPK値は、N,Ti,BおよびAlのバランスを示したものである。このPK値は、大入熱溶接によるHAZ組織のγ粒とフェライト(α)粒の組織制御と母材強度の適正化に関して、本発明者らが真空溶解による鋼塊の作製、加熱、熱間圧延による母材性能の調査と、再現熱サイクル試験によるHAZの模擬とその靭性評価によって見出したものである。
上記PK値が−0.55未満であると、N,Ti,BおよびAlのバランスが崩れ、HAZ靭性が大幅に劣化する。またPK値が4.3を超えた場合においても、同様にHAZ靭性が劣化することになる。尚、PK値の好ましい下限は−0.25であり、好ましい上限は3.50である。
本発明の鋼材は、上記した化学成分組成およびPK値を適切に制御することによって希望する特性(高強度、高靭性および低降伏比)が発揮できるものとなるが、低降伏比をより確実に達成するためには、鋼材の組織を下記の要件を満足する様に適切に制御することが好ましい。次に、これらの要件を規定した理由について説明する。
[組織が軟質相と硬質相とからなる複合組織であり、そのうち硬質相の平均ビッカース硬さHvが180〜450である]
低降伏比特性を得るためには、鋼材の組織が軟質相と硬質相とからなる複合組織であることが好ましい。降伏比特性は、硬質相の硬さに影響され、こうした観点から硬質相は平均ビッカース硬さHvが180〜450であることが好ましい。硬質相硬さが平均ビッカース硬さHvで180未満であると、降伏比は高くなる。また450を超えると、強度が過剰になって母材靭性が劣化することになる。
尚、本発明の鋼材における軟質相とは、フェライト、焼戻しベイナイトおよび焼戻しマルテンサイトよりなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、硬質相としては、ベイナイト、パーライトおよびマルテンサイト(島状マルテンサイトを含む)よりなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。また本発明の鋼材の組織は、第1相としての軟質相と第2相としての硬質相を含むものであればよいが、必ずしも2相組織である必要はなく、上記した各相を3種或は4種以上を含む複合組織であっても良い。
また、鋼材の組織を上記のような複合組織にするためには、冷却開始表面温度をAr3変態点±20℃、且つ冷却停止温度を400℃±20℃とすれば良く、硬質相の平均ビッカース硬さHvを180〜450に制御するためには、冷却速度を10℃/秒以上とすれば良い。
[硬質相の平均ビッカース硬さHv1と軟質相の平均ビッカース硬さHv2の比(Hv1/Hv2)が1.1以上である]
低降伏比特性を有効に発揮させるためには、硬質相の平均ビッカース硬さHv1と軟質相の平均ビッカース硬さHv2の比(Hv1/Hv2)の適正化を図ることも有効な要因となる。この比(Hv1/Hv2)が1.1未満であると、降伏比の観点から、事実上同一組織と同等となり、降伏比が高くなってしまう。尚、上記比を適切な範囲に制御するためには、C含有量を0.04〜0.10%の範囲内に制御すれば良い。
[軟質相の分率が10〜80体積%である]
低降伏比特性を有効に発揮させるためには、軟質相と硬質相の分率(体積率)を制御することも有効な要因となる。軟質相の分率が10体積%未満であると、引張特性はほぼ硬質相を反映した特性となってしまい、複合組織構造によって得られる低降伏比特性を得ることができなくなる(即ち、降伏比が高くなる)。また、軟質相の分率が80%を超えた場合においても、同様に降伏比が高くなってしまう。尚、軟質相の分率を上記の範囲に制御するためには、冷却開始表面温度をAr3変態点±20℃とすれば良い。
本発明の鋼材は基本的に厚鋼板を製造することを想定したものであるが、こうした鋼板に限定されるものではない。尚、上記厚鋼板とは、JISで定義されるように、一般に板厚が3.0mm以上であるものを指す。しかし、本発明の厚鋼板の板厚は、好ましくは35mm以上、より好ましくは40mm以上である。即ち、本発明で想定される厚鋼板は、入熱量が50kJ/mm以上の大入熱溶接であっても良好なHAZ靭性を示すので、板厚が厚くても、入熱量を増大させることで効率良く溶接できるものである。
本発明の鋼材は、例えば橋梁や高層建造物、船舶などの構造物の材料として使用でき、小〜中入熱溶接はもとより大入熱溶接においても、溶接熱影響部の靭性劣化を防ぐことができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表1、2に示す化学成分に制御した鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を鋳造、冷却してスラブ(断面形状:240mm×150mm)とした。このスラブから、下記表3、4に示すミクロ組織を得るために、その製造方法の一例として、1100℃に加熱し、圧延最終パス直前の表面温度を900℃±10℃にて最終パスを行い、板厚1/4位置における冷却速度を15℃/秒に制御し、冷却停止時の表面温度を400℃±20℃とした。
引き続き、熱処理として、Ac1点とAc3点の平均温度から、+60℃および−20℃の温度範囲に加熱し、そのまま焼入れ処理を施し、更に450〜650℃の温度範囲において、焼戻し処理を施して鋼板(厚さ:50mm)を作製した。尚、このときのAc1点およびAc3点は下記(2)式および(3)式によって求められるものである。
Ac1=723−14・[Mn]+22・[Si]−14.4・[Ni]+23.3・
[Cr] …(2)
Ac3=908−223.7・[C]+438.5・[P]+30.49・[Si]−
34.43・[Mn]−23.5・[Ni] …(3)
但し、[C],[P],[Si],[Mn],[Ni]および[Cr]は、夫々C,P,Si,Mn,NiおよびCrの含有量(質量%)を示す。
Figure 0004969282
Figure 0004969282
Figure 0004969282
Figure 0004969282
上記のようにして製造した各鋼板について、板厚1/4位置におけるミクロ組織を光学顕微鏡で観察することによって、軟質相の分率を測定すると共に、下記の要領で硬質相の平均ビッカース硬さHv、比(Hv1/Hv2)および鋼材の引張特性、並びにHAZ靭性を測定した。
[硬質相の平均ビッカース硬さHv、比(Hv1/Hv2)の測定]
硬質相のビッカース硬さHv1、および軟質相のビッカース硬さHv2を、10gfのマイクロビッカース硬度計を用いて測定し、各10点の平均値を求め、硬さ比(Hv1/Hv2)を計算した。
[鋼材(母材)の引張特性]
各鋼板の板厚1/4位置から、圧延方向に対して直角の方向にJIS Z 2201の4号試験片を採取し、JIS Z 2241の要領で引張試験を行ない、降伏点(YP)および引張強さ(TS)を測定し、降伏比YR(YP/TS)を計算した。そして、TSが520MPa以上、YRが80%以下のものを合格と評価した。また、圧延方向に対して平行な方向の母材靭性(0℃におけるシャルピー吸収エネルギーvE0)をJIS Z 2242の要領で評価した。そして、vE0が200J以上のものを合格と評価した。
[HAZ靭性の評価]
各鋼板の板厚1/4位置から、(1)圧延方向に対して平行な方向に熱サイクル用の鋼片を切り出し、(2)大入熱溶接のボンド部の熱履歴を模擬した熱サイクル試験を行い、(3)JIS Z 2242の要領で試験を行い、HAZ靭性を評価した。このとき熱サイクル試験は、上記試験片を1400℃に加熱して(昇温速度:50℃/秒)、30秒間保持した後、800〜500℃の温度範囲を約700秒かけて冷却することにより、溶接入熱量が60kJ/mmに相当する熱サイクルを与えた。JIS Z 2242に準拠して、0℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギー(vE0)を測定した。このとき3本の試験片について吸収エネルギー(vE0)を測定し、その平均値を求めた。そして、vE0の平均値が70J以上のものをHAZ靭性に優れると評価した。
これらの結果を、下記表5、6に示すが、本発明で規定する要件を満足するもの(試験No.1〜30)では、HAZ靭性に優れた高強度低降伏比鋼材を得ることができ、こうした鋼材は溶接構造物の安全性と施工効率の向上に寄与できるものである。これに対して、本発明で規定する何れかの要件を外れるもの(試験No.31〜60)では、いずれかの特性が劣化していることが分かる。これらのデータに基づいて、PK値とHAZ靭性(vE0)との関係を図1に、硬質相硬さHvと降伏比YRの関係を図2に夫々示す(図1、2中、「●」印は実施例、「△」印は比較例を示す)。
Figure 0004969282
Figure 0004969282
PK値とHAZ靭性(vE0)との関係を示すグラフである。 硬質相硬さHvと降伏比YRの関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. C:0.04〜0.10%(「質量%」の意味、化学成分組成については以下同じ)、Si:0.05〜0.40%、Mn:1.20〜1.70%、P:0.015%以下(0%を含まない)、S:0.0010%以下(0%を含まない)、Al:0.020〜0.045%、Cu:0.20〜0.80%、Ni:0.20〜0.80%、Ti:0.005〜0.015%、B:0.0010〜0.0022%、N:0.0040〜0.0080%、Ca:0.0015〜0.0040%およびO:0.0025%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、且つ下記(1)式で規定されるPK値が−0.55〜4.3の範囲にあると共に、
    組織が軟質相と硬質相とからなる複合組織であって、
    軟質相がフェライト、焼戻しベイナイトおよび焼戻しマルテンサイトよりなる群から選ばれる1種以上であり、硬質相がベイナイト、パーライトおよびマルテンサイト(島状マルテンサイトを含む)よりなる群から選ばれる1種以上であり、かつ、
    軟質相の分率が10〜80体積%であり、更に、
    硬質相の平均ビッカース硬さHvが180〜450であって、なおかつ、
    硬質相の平均ビッカース硬さHv 1 と軟質相の平均ビッカース硬さHv 2 の比(Hv 1 /Hv 2 )が1.1以上であることを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた高強度低降伏比鋼材。
    PK値={[N]−([Ti]/6.8)−([Al]/10)−([B]/2)}
    ×1000…(1)
    但し、[N],[Ti],[Al]および[B]は、夫々N,Ti,AlおよびBの含有量(質量%)を示す。
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