JP2004156095A - 母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板およびその製造方法 - Google Patents

母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】母材及び溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼が、質量%で、C:0.005〜0.2%、Si:0.01〜1%、Mn:0.1〜2%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、N:0.0001〜0.01%、B:0.0005〜0.005%、Al:0.001〜0.1%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の中で円相当直径の寸法が50nm以上10000nm以下のものの個数密度が5.0×10個/mm未満、該個数密度をBの添加量で除した値が2.0×1010個/(mm・質量%)未満、ベイナイトとマルテンサイトの体積率の和が60%以上、さらにベイナイト中で隣接組織との結晶方位差が15度以上となる領域の平均寸法が20μm以下の、母材及び溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、母材及び溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法に関するものである。この製法で製造した鋼材は、造船、橋梁、建築、海洋構造物、圧力容器、ラインパイプなどの溶接構造物一般に用いることができるが、各構造物のうち母材あるいは溶接熱影響部の靱性確保が困難となる板厚40mm以上の鋼板を適用する部位での使用において特に有効である。
【0002】
【従来の技術】
近年の構造物の大型化に伴い、強度や板厚の要求水準は高くなる一方であり、高強度かつ厚手、しかも母材靱性や溶接熱影響部靱性、さらには溶接性にも優れる鋼材が求められている。母材靱性や溶接熱影響部靱性を考慮した場合、合金元素の添加量は極力控えた上で強度の確保を図る必要があり、これを達成するための手法は、例えば下記の特許文献1〜4などに開示されている。これらは、主として製造条件の規定により組織を微細化し、靱性の向上を図ったものである。
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−200723号公報
【0004】
【特許文献1】
特開平2−205627号公報
【0005】
【特許文献1】
特開平6−93332号公報
【0006】
【特許文献1】
特開平10−158778号公報
【0007】
前記特許文献1には、未再結晶域での圧下量を50%以上として、さらに圧延パス間時間や圧延終了後の冷却開始時間を制御することで微細なフェライト組織を得ると記述されている。このように未再結晶域で導入される加工とその後の回復過程を制御することは組織微細化に対して非常に有効であるものの、この手法で製造した鋼板の組織はフェライトが主体となるため、引張強さの高い鋼板、例えば600MPa超の引張強さの鋼板を製造することは困難である。
【0008】
一方、前記特許文献2,4及び3は、いずれもベイナイトを含む組織の靱性を向上する方法を開示している。
特許文献2に記載の発明は、B(ホウ素)添加による焼入性向上効果の活用を規定している。しかし、焼入性低下を抑制するために圧下率を30%以下としており、組織微細化による靱性向上の程度は小さい。
【0009】
特許文献4に記載の発明では、未再結晶域での圧下量を50%以上とし、冷却速度を制御することで微細なベイナイトとフェライトの混合組織を生成させ、靱性向上をはかっている。しかし、未再結晶温度域で導入された加工下部組織からのベイナイトの核生成促進、加工下部組織によるベイナイトの成長抑制、フェライト生成によるベイナイト分断などを通じた最終組織の大幅な微細化は、未再結晶温度域での圧下量と圧延後の冷却速度を主たる制御指針とするのみでは不十分であり、最大の組織微細化効果は得られない。
【0010】
また、同様の視点による前記特許文献3に記載の発明では、未再結晶温度域での圧下量や冷却速度の制御のみでなく、圧延後の冷却開始までの時間を「直ちに」と規定しており、圧延最終パス時点での加工下部組織は回復が抑制された状態で加速冷却されるため、組織微細化には有利と考えられる。しかし、組織微細化効果を得るための「直ちに」の定量的指標、すなわち圧延終了後何秒以内に加速冷却を開始すべきかが明確でなく、効果発現の信頼性を疑問視せざるを得ない。さらに、未再結晶温度域での圧下率が50%以上となっているため、圧下率の確保が困難となる厚手材ではこの手法を使用することはできない。
【0011】
以上挙げたように、ベイナイトを含む組織の微細化を考える場合には、ベイナイトの核生成サイト増大やベイナイトラスの成長抑制、フェライト生成によるベイナイトの分断等を通じた組織微細化に寄与する加工下部組織の導入量や不均一性、さらに逐次進行する回復や再結晶の制御が非常に重要であり、上記に述べたような指針のみでは最大限の効果を得るには不十分である。しかもこれら技術の根幹となっている未再結晶域での大圧下率は板厚の大きい鋼板を製造する上では大きな障害となり、かつ生産性を大きく阻害する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、母材及び溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板及びその製造方法を提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、種々の製造条件による組織微細化の検討を進めた結果、鋼中の析出物の制御や圧延前、圧延中、圧延後の幅広い範囲での冷却制御が重要であることを新たに知見し、この有効な範囲を限定するに至り、本発明を完成したもので、その要旨とするところは以下の通りである。
【0014】
(1)鋼が、質量%で、
C :0.005〜0.2%、 Si:0.01〜1%、
Mn:0.1〜2%、 P :0.02%以下、
S :0.02%以下、 N :0.0001〜0.01%、
B :0.0005〜0.005%、Al:0.001〜0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物のなかで円相当直径の寸法が50nm以上10000nm以下のものの個数密度が5.0×10個/mm未満であり、該個数密度をBの添加量で除した値が2.0×1010個/(mm・質量%)未満であり、ベイナイトとマルテンサイトの体積率の和が60%以上であり、さらにベイナイト中で隣接組織との結晶方位差が15度以上となる領域の平均寸法が20μm以下であることを特徴とする、母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
(2)質量%で、さらに、
Nb:0.001〜0.1%、 Ti:0.001〜0.2%、
V :0.001〜0.2%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
(3)質量%で、さらに、
Cu:0.005〜1%、 Ni:0.01〜2%、
Cr:0.01〜1%、 Mo:0.01〜1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)または(2)のに記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
(4)質量%で、さらに、
Ca:0.0005〜0.02%、 Mg:0.0005〜0.02%、
REM:0.001〜0.1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
【0015】
(5)質量%で、
C :0.005〜0.2%、 Si:0.01〜1%、
Mn:0.1〜2%、 P :0.02%以下、
S :0.02%以下、 N :0.0001〜0.01%、
B :0.0005〜0.005%、Al:0.001〜0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼片または鋳片を、1050℃以上1350℃以下の温度域に加熱し、該温度域に20分以上保持をした後に圧延を開始し、圧延をAr3 点以上950℃以下で終了した後、20秒以内に鋼板表面の平均冷却速度が0.5℃/s以上の冷却を行い、350℃以上で冷却を終了した後空冷することを特徴とする母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(6)質量%で、
C :0.005〜0.2%、 Si:0.01〜1%、
Mn:0.1〜2%、 P :0.02%以下、
S :0.02%以下、 N :0.0001〜0.01%、
B :0.0005〜0.005%、Al:0.001〜0.1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼片または鋳片を、1050℃以上1350℃以下の温度域に加熱し、該温度域に20分以上保持をした後に圧延を開始し、圧延をAr3 点以上950℃以下で終了した後、20秒以内に鋼板表面の平均冷却速度が0.5℃/s以上の冷却を行い、350℃未満で冷却を終了した後空冷し、さらにその後に900℃以下の温度で焼き戻しを行うことを特徴とする母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(7)質量%で、さらに、
Nb:0.001〜0.1%、 Ti:0.001〜0.2%、
V :0.001〜0.2%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(5)または(6)に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(8)質量%で、さらに、
Cu:0.005〜1%、 Ni:0.01〜2%、
Cr:0.01〜1%、 Mo:0.01〜1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(5)ないし(7)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(9)質量%で、さらに、
Ca:0.0005〜0.02%、 Mg:0.0005〜0.02%、
REM:0.001〜0.1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、前記(5)ないし(8)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
【0016】
(10)加熱後の鋼片または鋳片を、鋼塊表面の平均冷却速度が2℃/s以上で1050℃以下Ar3 点以上の温度まで冷却し、復熱後に圧延を開始することを特徴とする、前記(5)ないし(9)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(11)再結晶温度未満700℃以上で実施する圧延の圧下率を70%以上とすることを特徴とする、前記(5)ないし(10)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(12)全ての圧延パスにおける圧下率を平均した値が25%以上であることを特徴とする、前記(5)ないし(11)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(13)圧延最終パスの圧下率が25%以上であることを特徴とする、前記(5)ないし(12)に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
(14)圧延パス間の一部あるいは全てにおいて、鋼板表面の平均冷却速度が2℃/s以上の冷却を行い、復熱後に次の圧延パスを実施することを特徴とする、前記(5)ないし(13)のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。
発明者らは、圧延プロセスにおける冷却の効果を最大限に活用するために、様々な冷却過程を取り入れた圧延実験を行い、組織微細化に対する影響を調べた。強度レベルは570MPa以上を対象とした。この結果、母材及び溶接熱影響部の靱性確保に関して、以下の手法が非常に有効であることを見いだした。
【0018】
最も重要な点は、Bの存在状態を規定することである。具体的には、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の中で50nm以上10000nm以下のものの個数密度が5.0×10個/mm未満であり、該個数密度をBの添加量で除した値が2.0×1010個/(mm・質量%)未満と規定する。これは、50nm以上10000nmの範囲にある粗大析出物が上記範囲にある場合には、焼入性を高める固溶Bが変態温度域で多量に残存し、変態強化による強度増大が顕著に現れることを新たに知見したためである。Bを含む炭化物、窒化物、炭窒化物の個数密度が5.0×10個/mmを超えた場合は、特に強度増大量が低下し、さらに母材靭性も低下するため、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の個数密度を5.0×10個/mm未満と限定する。
【0019】
また、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の絶対的個数はBの添加量増大とともに大きくなるため、その添加量に対して個数密度の上限値を規定する必要がある。Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物のなかで50nm以上10000nm以下のものの個数密度をBの添加量で除した値が2.0×1010個/(mm・質量%)を超えると、たとえ個数密度が5.0×10個/mm未満であっても強度増大効果が小さくなるため、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物のなかで50nm以上10000nm以下のものの個数密度をBの添加量で除した値を2.0×1010個/(mm・質量%)未満と規定した。
【0020】
なお、ここでBを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物というのは、例えばBNなどである。また、前記の炭化物、窒化物、炭窒化物が他の酸化物、硫化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、例えばAl、MnS、AlNなどと複合して析出した場合にもこれを含めるものとする。
【0021】
本発明ではBを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の寸法が50nm以上10000nm以下のものを規定しているが、これら炭化物、窒化物、炭窒化物の寸法を測定する方法は以下の通りである。
鋼材を下記の非特許文献1に示すような選択的腐食技術により腐食し、この後下記の非特許文献2に示すような抽出レプリカ法により電子顕微鏡試料を作製し、透過型電子顕微鏡で倍率1万倍の明視野像の観察を行い、個々の粒子の面積から算出した円相当直径をもってその寸法とする。
【0022】
【非特許文献1】
「防食技術」第37号、1988年12月、腐食防食協会発行、776〜778頁、
【0023】
【非特許文献2】
「電子顕微鏡Q&A」、1996年12月15日、アグネ承風社発行、174頁
【0024】
また、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物の個数密度は、同じく透過型電子顕微鏡で撮影した倍率1万倍の明視野写真をその総面積が1000μm以上となる枚数だけ撮影し、この領域内に存在するBを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物のうちその寸法が50nm以上10000nm以下であるものの個数を測定し、これを撮影した領域の面積で除した値とする。さらに、個数密度を添加量で除した値を算出する際の添加量は、鋼材の成分分析により得られた全B量を質量%で表した値とする。
【0025】
また、本発明が対象とする570MPa以上の高強度と母材および溶接熱影響部の高靱性を両立させるためには、以下の点が重要である。母材の靱性を向上させるためには、一定の方位差を有する組織単位を微細化することが重要となる。特に隣接組織との結晶方位差が15度以上となる領域を考えた場合、この領域の平均寸法が20μm以下である場合に、靱性が非常に高くなることを知見した。このことから、隣接組織との方位差が15度以上となる領域の平均寸法を20μm以下と規定する。
【0026】
一方、溶接熱影響部の靱性を高めるためには合金元素の添加量を極力低くすることが望ましい。一定の強度で合金元素の添加量を低減するためには、ベイナイトやマルテンサイトの体積率を一定量以上確保することが有効であり、特にベイナイトとマルテンサイトの体積率の和が60%以上である場合に合金元素の添加量低減効果が大となるため、本発明におけるベイナイトとマルテンサイトの体積率の和を60%以上と規定する。
なお、隣接組織との方位差が15度以上となる領域の平均寸法については、EBSPにより1.0×10μmの領域について解析した結果得られる平均面積より円相当の平均直径を計算するものとする。
【0027】
以下に、合金成分の添加量を規定した理由を述べる。
Cは、強度確保に必須の元素であるため、その添加量を0.005%以上とする。しかし、一方でC量の増大は粗大析出物の生成による母材靱性や溶接性の低下を招くためその上限を0.2%とする。
【0028】
Nは、Bの窒化物形成を通じて焼入性を低下させるため、極力低減することが望ましく、その上限を0.01%とする。一方下限値は、コストを勘案して0.0001%とする。
【0029】
Bは、焼入性の増大に有効な元素であり、その添加量を0.0005%以上とする。しかし、一方でB量の増大は粗大析出物の生成により母材靭性の低下を招くためその上限を0.005%とする。
【0030】
Si、Mnは強度確保の観点から必要に応じて添加する。
Siは、強度確保及び脱酸に必要な元素であるため、その添加量を0.01%以上とする。しかし、一方でSi量の増大は溶接性を低下させるためその上限を1%とする。
【0031】
Mnは強化元素として有用であるが、過剰な添加は溶接性を低下させるため、その範囲を0.1%以上2%以下とする。
【0032】
Alは、脱酸材として添加される他、窒化物の形成により固溶B量を増大する効果のある元素であり、その添加量を0.001%以上とする。しかし、一方でAl量の増大は母材靭性の低下を招くためその上限を0.1%とする。
【0033】
Pは不純物元素であり低い方が望ましく、0.02%以下とする。特に、フェライトに固溶したPは母材の延性を低下させるため、望ましくは0.015%以下とする。
【0034】
Sは、不純物元素であり低い方が望ましく、0.02%以下とする。SはMnSの生成により母材靱性を低下させるため、望ましくは0.01%以下とする。
【0035】
Ti、Nb、Vは固溶N量の低減や析出強化のため必要に応じて添加する。
Tiは、窒化物の形成による固溶N量の低減を通じてBの焼入性向上させることや、微細析出物による強度確保に有効な元素であるため、その添加量を0.001%以上とする。しかし、一方でTi量の増大は粗大析出物の生成による母材靭性や溶接性の低下を招くためその上限を0.2%とする。
【0036】
Nbは、窒化物の形成による固溶N量の低減を通じてBの焼入性向上させることや、微細析出物による強度確保に有効な元素であるため、その添加量を0.001%以上とする。しかし、一方でNb量の増大は粗大析出物の生成による母材靭性や溶接性の低下を招くためその上限を0.1%とする。
【0037】
Vは、窒化物の形成による固溶N量の低減を通じてBの焼入性向上させることや、微細析出物による強度確保に有効な元素であるため、その添加量を0.001%以上とする。しかし、一方でV量の増大は粗大析出物の生成による母材靭性の低下を招くためその上限を0.2%とする。
【0038】
Cu、Ni、Cr、Moは、強度確保の観点から必要に応じて添加する。
Cuは、強度確保のため必要に応じて添加する。0.005%未満の添加ではその効果は小さく、一方、1%を超える添加は溶接性を低下させるため、その範囲を0.01〜1%とする。
【0039】
Niは、強度確保のために必要に応じて添加する。0.01%未満の添加ではその効果は小さく、一方、2%を超える添加は溶接性を低下させるため、その範囲を0.01〜2%とする。
【0040】
Crは、強度確保のために必要に応じて添加する。0.01%未満の添加ではその効果は小さく、一方、1%を超える添加は母材靱性や溶接性を低下させるため、その範囲を0.01〜1%とする。
【0041】
Moは、強度確保のために必要に応じて添加する。0.01%未満の添加ではその効果が小さく、一方、1%を超える添加は母材靱性や溶接性を低下させるため、その範囲を0.01〜1%とする。
【0042】
また、Ca,Mg,REMの1種または2種以上の添加により、母材介在物制御、溶接熱影響部の加熱オーステナイトの微細化や粒内からの変態核生成を通じて母材靱性及び溶接熱影響部靱性を高めることができる。この効果を発揮するためには、Ca及びMgはそれぞれ0.0005%以上、REMは0.001%以上の添加が必要である。一方、過剰に添加すると硫化物や酸化物が粗大化して母材靱性や延性の低下をもたらすため、その上限値をCa,Mgで0.02%、REMで0.1%とする。
【0043】
次に、上記の鋼材を得るための製造方法について規定する。最も重要な点は、圧延前の加熱、圧延終了温度、圧延最終パス後の冷却の条件をそれぞれ規定することである。
本発明の鋼組成を有する鋼片または鋳片を加熱する条件は、凝固時に析出した析出物を十分に固溶するために1050℃以上に加熱の上、この温度域に20分以上保持する必要がある。また、1350℃を超える温度まで加熱したのちに20分以上保持することは、オーステナイトの粗大化による最終組織の粗大化を通じて母材靭性の低下をもたらすため、加熱温度の上限を1350℃とした。
なお、保持時間については、設定加熱温度に達した後設定温度±50℃以内にある時間を指す。また、加熱温度は鋼板表面で測定した値とし、その測定精度を高めるため3箇所以上の測定の平均値とすることが望ましい。
【0044】
実際の鋳造から圧延に至る過程では、鋳造後の鋼塊を常温まで冷却することなく直接圧延を開始する場合がある。この場合においても、鋳造後の鋼塊の温度が1050℃未満の場合には析出物を固溶させるため、1050℃以上1350℃未満に加熱の上20分以上保持する必要があるが、1050℃以上の場合にはその時点でも固溶量が大きいためそのまま圧延を開始することが可能である。
【0045】
圧延の仕上温度に関しては、これを900℃超とした場合には、オーステナイト中の加工下部組織が回復や再結晶により減少し、ベイナイトやマルテンサイトを微細化する効果が低下する。一方、圧延の仕上温度をAr3 点未満とした場合には、フェライトが加工され靭性が大幅に低下する。よって、圧延の仕上げ温度は900℃以下Ar3 点以上とする。
圧延の仕上げ温度とは、圧延の最終パスの直前温度、たとえば圧延機直前に取り付けられた温度計にて測定した鋼板表面の温度を指し、測定精度を高めるためには3点以上の平均値を採用することが望ましい。Ar3 点は、たとえば圧延を想定した熱加工履歴を与え、種々の温度から急冷を行った組織を観察することにより、変態が開始する温度として推定が可能である。
【0046】
圧延を仕上げた後に加速冷却を実施するための条件は本発明で最も重要な製造上の要件である。具体的には、圧延を仕上げた後20秒以内に鋼板表面の平均冷却速度が0.5℃/s以上の冷却を行う。これには2つの重要な理由がある。
一つは、圧延時に導入された加工下部組織の回復を極力抑制した状態で加速冷却を実施し、該下部組織をベイナイトの変態核やベイナイト成長に対する抵抗、さらには微細なフェライトの生成核として最大限有効活用し、ベイナイトやマルテンサイトの組織を大幅に微細化するためである。
【0047】
もう一つが、圧延時に導入された加工下部組織にBの窒化物、炭窒化物が析出する以前に加速冷却を開始することで充分な焼入性を確保することである。
圧延終了後20秒超で加速冷却を開始した場合には、既に進行した回復過程により組織微細化効果が低減し、さらにBの炭化物や炭窒化物の生成により焼入性が低下するため、これを20秒以内とした。なお、圧延終了後加速冷却を開始するまでの時間が10秒以内の場合には組織微細化の効果が一層顕著となるため、望ましくはこれを10秒以内とする。
【0048】
また、圧延後20秒以内に実施する冷却の速度は0.5℃/s以上とする。この冷却速度はベイナイトやマルテンサイト主体組織を得るために必須であり、0.5℃/s未満ではフェライト主体の組織となり強度が不足する。冷却速度は速いほどよいが、設備コストなどの観点から100℃/sを上限とすることが好ましい。なお、圧延を仕上げた後20秒以内とは、圧延の最終パス圧下を受けた鋼板の一部位が0.5℃/s以上の平均冷却速度で冷却を開始されるまでの時間を意味する。鋼板表面の平均冷却速度とは、例えば放射温度計により測定された鋼板表面温度の単位時間当たりの変化量を意味し、測定精度を高めるため3箇所以上を測定してその平均値を採用することが望ましい。
【0049】
以上の手法により、合金成分量を極力抑制した上で微細なベイナイト主体の組織を製造することができ、高い強度を確保するとともに母材の靱性を大幅に高め、さらに、同一の強度を達成するために必要な合金元素量が大幅に低減されるため、溶接熱影響部靱性も向上させることができる。
【0050】
なお、本発明ではTi、Nb、Vは必要に応じて添加することとしているが、圧延仕上げ後20秒以内に鋼板表面の冷却速度が0.5℃/s以上で冷却を行うことにより、オーステナイト中での粗大析出物の生成が抑制され、変態時あるいは変態後に微細析出するため、従来にくらべ格段に高く強度を増大させることができる。この効果は本発明の主要な構成要件ではないものの、副次的な溶接性向上要件として必要に応じて使用することが望ましい。
【0051】
圧延終了後20秒以内に鋼板表面の冷却速度が0.5℃/s以上で冷却を開始した後は、必要に応じて焼き戻しを行うことができる。冷却終了温度が350℃を超える場合や焼き戻し温度が900℃を超える場合には強度が低下することから、圧延終了後20秒以内に鋼板表面の冷却速度が0.5℃/s以上で冷却を開始した後は、冷却終了温度を350℃未満とし、焼き戻し温度は900℃以下とする。また、焼き戻しを行わない場合には、冷却終了温度を350℃未満とした場合には母材靱性が大幅に低下するため、冷却終了温度を350℃以上と規定する。
【0052】
本発明で規定した鋼材を得るための製造方法としては、上記の条件とあわせて下記の要件を満足することが望ましい。
粗圧延については、母材靱性と生産性を低下させない条件で所定の圧下を加えることが重要である。粗圧延の開始温度が950℃未満となる場合には、加熱後に圧延を開始するまでの時間が長くなり生産性が大きく低下するため、一方開始温度が1100℃以上ではオーステナイトが粗大化して最終組織の粗大化を通じて母材靱性が低下するため、粗圧延の開始温度は1100℃以下950℃以上とする。
粗圧延の終了温度が900℃未満となる場合には、仕上圧延時の圧延温度が低くなり圧延能率が低下して生産性が低下するため、一方終了温度が1100℃を超えるとオーステナイトが粗大化して最終組織の粗大化を通じて母材靱性が低下するため、粗圧延の終了温度は1100℃以下900℃以上とする。
【0053】
また、粗圧延での圧下率が90%を超える場合には、圧延温度が上記の範囲にある場合でもBを含む粗大炭化物、粗大窒化物、粗大炭窒化物の析出量が増大するため、粗圧延での圧下率は90%以下とする。
また、粗圧延での圧下率が20%未満の場合にはオーステナイトが十分に微細化せず母材靭性が低下するため、粗圧延での圧下率は20%以上とする。
【0054】
なお、ここでの粗圧延とは、制御圧延による種々の効果を発現させるために行う高温側、低温側2段階の圧延のうち高温側での圧延を指し、低音側での圧延は仕上げ圧延と呼ばれる。低温側での圧延の開始にあたっては、所定の開始温度までの時間待ちが生じるのが一般的であり、低温側圧延の開始温度という管理指標の存在により粗圧延、仕上げ圧延を区別するものとする。しかし、全圧延過程の途中で圧延開始温度の管理指標が存在しない場合には、粗圧延を900℃以上における圧延とする。また、粗圧延の開始温度や終了温度は圧延機の直前直後に取り付けられた温度計により測定された鋼板表面の温度とし、測定精度を高めるため3点以上の平均値を採用することが望ましい。また圧下率とは、圧延前の板厚から圧延後の板厚を引いた値を圧延前の板厚で除した値の百分率表示である。
【0055】
仕上圧延は組織の微細化効果を充分に得るために1000℃以下で開始し、フェライトの加工により母材靱性が低下するのを抑制するためこれをAr3 点以上とする。また仕上圧延の圧下率は、充分な組織微細化効果を得るために40%以上とすることが望ましい。なお、上記で規定した圧下率とは、圧延前の鋼板の厚さから圧延後の厚さを引き、圧延前の鋼板厚さで除した値の百分率表示である。
【0056】
本発明では、以下に述べる製造方法を必要に応じて組み合わせることで、鋼板の特性を一層向上することが可能である。
第一に、圧延開始前の冷却の制御が有効である。具体的には、加熱後の鋼片、鋳片を、圧延開始前に鋼板表面の平均冷却速度が2℃/s以上でAr3 点以上1050℃以下の温度まで冷却し、復熱後に圧延を開始する。圧延開始前にこの冷却を実施するのは、一端圧延を開始した後は圧延最終パスまでの間の温度待ち時間を低減できるよう予め温度を低下させるためである。これにより、未再結晶温度域での加工組織の導入が回復や再結晶の影響を極力受けずに可能となり、組織の微細化に対して有効である。
【0057】
この方法は従来圧下量の増大が困難であった厚手材で特に有効であり、圧延開始温度の低温化によりこれまで以上に未再結晶温度域の圧下率を確保することが可能であり、さらに圧延に先立つ水冷と復熱過程により鋼板内部と表面に温度差が生じ、相対的に変形抵抗の小さい板厚中心部での再結晶オーステナイトの微細化や加工下部組織の導入が促進され、母材全体に加え板厚中心部の靱性が大きく向上する。この効果は2℃/s未満では小さいため、これを2℃/s以上とした。冷却速度は速いほどよいが、設備コストなどの観点から100℃/sを上限とすることが好ましい。
【0058】
なお、圧延前の冷却温度をAr3 点以上1050℃以下としたのは、1050℃超では未再結晶域での圧下量が減少して十分な組織微細化効果が得られないためであり、Ar3 以上としたのは、Ar3 未満の温度まで冷却すると鋼板表層部近傍ではオーステナイトとフェライトの二相域圧延となり、圧延による加工フェライトが鋼中に残存することで靱性低下を招くためである。
なお、ここにいう復熱とは、冷却された表面と未冷却の内部との温度勾配が時間と共に緩和される結果、表面温度が上昇する現象であり、本発明においては、鋼板中心部の温度と表面温度の差が50℃未満になった時点、あるいは冷却後20秒以上経過した時点を指す。
【0059】
第二に、再結晶温度以下700℃以上の圧下率を70%以上とすることが有効である。これは、未再結晶域での圧延により粒内への加工組織導入が進み、特に低温変態の場合には格段の組織微細化効果が得られ、母材靭性と溶接性の一層の向上が可能となる。上限は圧延負荷の観点から150%とすることが望ましい。なお、ここでの圧下率は再結晶温度以下で圧延を行う直前の板厚と最終板厚の差を再結晶温度以下で圧延を行う直前の板厚で除した値の百分率表示である。
【0060】
第三に、圧延1パス当たりの平均圧下率を25%以上とすることが有効である。平均圧下率を25%以上とすることで、圧延により導入された加工下部組織の局所的集中を強め、組織微細化効果が一層顕著となり、母材靭性が向上する。しかも、強度を一定とした場合には合金元素の添加量を削減可能であるため、溶接熱影響部の靭性も向上する。平均圧下率が25%未満では有意な効果が得られないため、これを25%以上とした。上限は圧延負荷の観点から50%とすることが好ましい。なお、平均圧下率とは各圧延パスの圧下率、すなわち圧延パス前の板厚と圧延パス後の板厚の差を圧延パス前の板厚で除した値の百分率表示の平均値である。
【0061】
第四に、圧延最終パスの圧下率を25%以上とすることが有効である。圧延最終パスの圧下率を高めることで、特に低温変態の場合に大きな析出強化量増大効果と組織微細化効果が得られる。この値が25%未満では効果が小さいため、圧延最終パスの圧下率を25%以上とした。なお、上限は圧延負荷の観点から95%とすることが好ましい。
【0062】
第五に、圧延パス間の一部あるいは全てにおいて、鋼板表面の平均冷却速度が2℃/s以上の冷却を行い、復熱後に次の圧延パスを実施することが有効である。圧延パスの間に前記の冷却を実施するのは、圧延パス間での加工下部組織の回復を抑制し、かつ温度を低下させることで制御圧延効果を増大させることができる。さらに、鋼板表層部と中心部に温度差をつけることで内部の変形抵抗を相対的に小さくして、板厚中心部への加工下部組織の導入を促進し、これにより組織を微細化して板厚中心部の靱性を高める効果もある。パス間冷却を行うことにより圧延開始から終了までの時間が短縮され、生産性の向上にも大きく寄与する。パス間の冷却による上記効果は、圧延パス間の鋼板表面における平均冷却速度が2℃/s未満では効果が小さいため、2℃/s以上とする必要がある。冷却速度は速いほどよいが設備コストなどの観点から100℃/sを上限とすることが好ましい。圧延パス間の冷却については必ずしも全圧延パス間について実施する必要はなく、要求される靱性に応じてそれを選択することができる。
【0063】
圧延パス間の冷却開始温度及び停止温度は、この圧延パス間冷却がオーステナイトの再結晶温度域及び未再結晶温度域の両方で効果を有することから、上限を圧延開始温度とすることが好ましい。一方、Ar3 点以下に冷却された場合には、引き続く圧延によりフェライトが加工され靱性が低下するため、圧延パス間冷却の停止温度の下限を鋼板表面温度でAr3 点以上とすることが好ましい。
なお、ここにいう復熱とは、冷却された表面と未冷却の内部との温度勾配が時間と共に緩和される結果、表面温度が上昇する現象であり、本発明においては、鋼板中心部の温度と表面温度の差が100℃未満になった時点、あるいは冷却後5秒以上経過した時点を指す。
【0064】
【実施例】
種々の化学成分の供試鋼材を用いて、種々の製造条件で製造した板厚20〜80mmの鋼板について、母材の引張強さ、靱性および溶接熱影響部靱性を評価した。鋼板の化学成分とCeq.、Pcm、Bを含有する炭化物、炭窒化物、窒化物のなかで50nm以上10000nm以下のものの個数密度、個数密度をBの添加量で除した値、ベイナイトとマルテンサイトの体積率、結晶方位差が15度以上となる領域の平均寸法を表1(表1−1、表1−2)に、製造条件を表2 (表2−1、表2−2)に、母材の引張強さ、靱性および溶接熱影響部靱性を表3に示す。
【0065】
引張強さは、鋼板の1/4t部(板厚中心と表面との中間)から圧延方向に垂直に採取したJIS4号サブサイズ引張試験片を用いて常温試験により測定した。母材靱性は、鋼板の1/4t部から圧延方向と試験片の長手方向が垂直になるように、さらにノッチが板厚貫通方向となるように採取したJIS4号シャルピー試験片を用い、−20℃で試験を実施し、衝撃吸収エネルギーを測定した。
なお、引張強さについては同一条件で実施した2本の試験結果の平均値を採用し、母材靱性については同一温度で3本の試験を実施し、その平均値を採用した。溶接熱影響部靱性は、鋼板に入熱10kJ/mmのサブマージアーク溶接を実施し、ノッチ底部位が1/4t、ボンドに対応するように採取したシャルピー試験片により−20℃での衝撃吸収エネルギーとして測定した。試験は同一温度で3本実施し、その平均値を採用した。
【0066】
発明例1は、0.31という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が大きいため、強度は600MPaを超え、さらに低Ceq.かつ組織が微細化しているため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例1は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、発明例1に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。また比較例2は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間は20秒以内であるものの、C量が本発明の成分範囲を外れているため、母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に低下しており、発明例1に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0067】
発明例2は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ700MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が大きいため、強度は700MPaを超え、さらに低Ceq.かつ組織が微細化しているため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例3は仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、発明例2に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。また比較例4は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間は20秒以内であるものの、N量が本発明の成分範囲を外れているため、母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に劣化しており、発明例2に比べて母材強度と母材靱性および溶接熱影響部靱性のバランスが大きく劣っている。
【0068】
発明例3は、0.44という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が大きいため、強度は800MPaを超え、さらに低Ceq.かつ組織が微細化しているため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例5は仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、発明例3に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。また比較例6は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間は20秒以内であるものの、B量が成分範囲を外れているため、母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に低下しており、発明例3に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0069】
発明例4は、0.31という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が大きいため、強度は600MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化、Ca、Mg添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例7は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、発明例4に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0070】
発明例5は、0.44という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が大きいため、強度は800MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化、REM添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。一方、比較例8は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、発明例5に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0071】
発明例6は、0.28という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例9は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成して変態強化量が小さく低強度であり、さらに加熱温度が本発明の範囲よりも高いために母材靱性が大幅に低下しており、発明例6に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0072】
発明例7は、0.44という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例10は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらに圧延の仕上温度が本発明の範囲よりも高いため、母材靱性が大幅に低下しており、発明例7に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0073】
発明例8は、0.30という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに圧延前に2℃/s以上の冷却を実施し、仕上圧延後20秒以内に加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例11は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているために粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、発明例8に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0074】
発明例9は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ700MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに仕上圧延中に2℃/s以上のパス間冷却を実施し、仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は700MPaを超え、さらに低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例12は、仕上圧延中に2℃/s以上のパス間冷却を実施しているものの、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているために粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、しかもB添加量が本発明の範囲を超えているために粗大析出物が多量に生成し、母材および溶接熱影響部の靱性が低下し、発明例9に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0075】
発明例10は、0.45という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに粗圧延、仕上圧延中に2℃/s以上のパス間冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例13は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、発明例10に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0076】
発明例11は、0.31という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに圧延最終パスの圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例14は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらに仕上圧延の終了温度がAr3 点よりも低くなっているために母材靱性が大幅に低下し、発明例11に比べて母材強度と母材靱性および溶接熱影響部接性のバランスが大きく劣っている。
【0077】
発明例12は、0.39という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、さらに圧延の平均圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例15は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、発明例12に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0078】
発明例13は、0.28という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に2℃/s以上の冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例16は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらにC量が本発明の範囲を超えているために母材と溶接熱影響部の靱性が大幅に低下し、発明例13に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0079】
発明例14は、0.28という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に2℃/s以上の冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延最終パスの圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例17は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらにN量が本発明の範囲を超えているために母材と溶接熱影響部の靱性が大幅に低下し、発明例14に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0080】
発明例15は、0.29という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延平均および最終パスの圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例18は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらにB量が本発明の範囲を超えているために母材と溶接熱影響部の靱性が大幅に低下し、発明例15に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0081】
発明例16は、0.29という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延平均の圧下率を25%以上とし、圧延中に2℃/s以上のパス間冷却を実施し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例19は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらに加熱温度が本発明の範囲を超えているために母材靱性が大幅に低下し、発明例16に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0082】
発明例17は、0.27という非常に低いCeq.で引張強さ600MPa程度を達成するため、Bを添加し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延平均および最終の圧下率を25%以上とし、圧延中に2℃/s以上のパス間冷却を実施し、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は600MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化、Mg添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。一方、比較例20は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらに仕上圧延の終了温度が本発明の範囲より低くなっているために母材靱性が大幅に低下し、発明例17に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0083】
発明例18は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ700MPa程度を達成するため、Bを添加し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延最終の圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は700MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例21は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらにMn量が本発明の範囲を超えているために母材靱性が大幅に低下し、発明例18に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0084】
発明例19は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ700MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に冷却速度2℃/s以上の冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延平均および最終の圧下率を25%以上とし、圧延中に2℃/s以上の加速冷却を実施し、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は700MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化、Ca添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例22は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、強度が低く、さらに加熱温度が本発明の範囲を超えているために母材靱性が大幅に低下し、発明例19に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0085】
発明例20は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に冷却速度2℃/s以上の冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延中に2℃/s以上の加速冷却を実施し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例23は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらにC量が本発明の範囲を超えているために母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に低下し、発明例20に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0086】
発明例21は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に冷却速度2℃/s以上の冷却を実施し、未再結晶温度域での圧下率を70%以上とし、圧延平均の圧下率を25%以上とし、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例24は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらにN量が本発明の範囲を超えているために母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に低下し、発明例21に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0087】
発明例22は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延最終パスの圧下率を25%以上とし、圧延中に冷却速度2℃/s以上の加速冷却を実施し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例25は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらにB量が本発明の範囲を超えているために母材靱性、溶接熱影響部靱性が大幅に低下し、発明例22に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0088】
発明例23は、0.40という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に冷却速度2℃/s以上の加速冷却を実施し、未再結晶温度域の圧下率を70%以上とし、圧延平均および最終パスの圧下率を25%以上とし、圧延中に冷却速度2℃/s以上の加速冷却を実施し、さらに仕上圧延後20秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化、Ca、REM添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例26は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらに加熱温度が本発明の範囲を超えているために母材靱性が大幅に低下し、発明例23に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0089】
発明例24は、0.37という非常に低いCeq.で引張強さ800MPa程度を達成するため、Bを添加し、圧延前に冷却速度2℃/s以上の加速冷却を実施し、未再結晶温度域の圧下率を70%以上とし、圧延平均および最終パスの圧下率を25%以上とし、圧延中に冷却速度2℃/s以上の加速冷却を実施し、さらに仕上圧延後10秒以内の加速冷却を実施したものである。粗大析出物の生成量が少なく、変態強化量が極めて大きいため、強度は800MPaを超え、かつ低Ceq.、組織微細化、Mg添加のため母材靱性、溶接熱影響部靱性が非常に優れ、さらに低Pcmであることから溶接性にも優れている。
一方、比較例27は、仕上圧延後に加速冷却を開始するまでの時間が20秒を超えているため、粗大析出物が多量に生成し、さらに圧延仕上温度が本発明の範囲を下回っているために母材靱性が大幅に低下し、発明例24に比べて母材強度と母材および溶接熱影響部の靱性のバランスが大きく劣っている。
【0090】
以上の実施例から、本発明により製造された鋼材である発明例1〜24の鋼板は、同一の強度で比較した場合の母材靱性や溶接熱影響部靱性に極めて優れた鋼材であることは明白である。
【0091】
【表1】
Figure 2004156095
【0092】
【表2】
Figure 2004156095
【0093】
【表3】
Figure 2004156095
【0094】
【表4】
Figure 2004156095
【0095】
【表5】
Figure 2004156095
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、幅広い強度範囲で母材及び溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板およびその製造方法を提供することが可能であり、産業上の価値の高い発明であるといえる。

Claims (14)

  1. 鋼が、質量%で、
    C :0.005〜0.2%、
    Si:0.01〜1%、
    Mn:0.1〜2%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    N :0.0001〜0.01%、
    B :0.0005〜0.005%、
    Al:0.001〜0.1%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成とし、Bを含有する炭化物、窒化物、炭窒化物のなかで円相当直径の寸法が50nm以上10000nm以下のものの個数密度が5.0×10個/mm未満であり、該個数密度をBの添加量で除した値が2.0×1010個/(mm・質量%)未満であり、ベイナイトとマルテンサイトの体積率の和が60%以上であり、さらにベイナイト中で隣接組織との結晶方位差が15度以上となる領域の平均寸法が20μm以下であることを特徴とする、母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
  2. 質量%で、さらに、
    Nb:0.001〜0.1%、
    Ti:0.001〜0.2%、
    V :0.001〜0.2%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
  3. 質量%で、さらに、
    Cu:0.005〜1%、
    Ni:0.01〜2%、
    Cr:0.01〜1%、
    Mo:0.01〜1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
  4. 質量%で、さらに、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    Mg:0.0005〜0.02%、
    REM:0.001〜0.1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板。
  5. 質量%で、
    C :0.005〜0.2%、
    Si:0.01〜1%、
    Mn:0.1〜2%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    N :0.0001〜0.01%、
    B :0.0005〜0.005%、
    Al:0.001〜0.1%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼片または鋳片を、1050℃以上1350℃以下の温度域に加熱し、該温度域に20分以上保持をした後に圧延を開始し、圧延をAr3 点以上900℃以下で終了した後、20秒以内に鋼板表面の平均冷却速度が0.5℃/s以上の冷却を行い、350℃以上で冷却を終了した後空冷することを特徴とする母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  6. 質量%で、
    C :0.005〜0.2%、
    Si:0.01〜1%、
    Mn:0.1〜2%、
    P :0.02%以下、
    S :0.02%以下、
    N :0.0001〜0.01%、
    B :0.0005〜0.005%、
    Al:0.001〜0.1%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼組成を有する鋼片または鋳片を、1050℃以上1350℃以下の温度域に加熱し、該温度域に20分以上保持をした後に圧延を開始し、圧延をAr3 点以上900℃以下で終了した後、20秒以内に鋼板表面の平均冷却速度が0.5℃/s以上の冷却を行い、350℃未満で冷却を終了した後空冷し、さらにその後に900℃以下の温度で焼き戻しを行うことを特徴とする母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  7. 質量%で、さらに、
    Nb:0.001〜0.1%、
    Ti:0.001〜0.2%、
    V :0.001〜0.2%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項5または6に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  8. 質量%で、さらに、
    Cu:0.005〜1%、
    Ni:0.01〜2%、
    Cr:0.01〜1%、
    Mo:0.01〜1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項5ないし7のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  9. 質量%で、さらに、
    Ca:0.0005〜0.02%、
    Mg:0.0005〜0.02%、
    REM:0.001〜0.1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  10. 加熱後の鋼片または鋳片を、鋼塊表面の平均冷却速度が2℃/s以上で1050℃以下Ar3 点以上の温度まで冷却し、復熱後に圧延を開始することを特徴とする、請求項5ないし9のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  11. 再結晶温度未満700℃以上で実施する圧延の圧下率を70%以上とすることを特徴とする、請求項5ないし10のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  12. 全ての圧延パスにおける圧下率を平均した値が25%以上であることを特徴とする、請求項5ないし11のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  13. 圧延最終パスの圧下率が25%以上であることを特徴とする、請求項5ないし12に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
  14. 圧延パス間の一部あるいは全てにおいて、鋼板表面の平均冷却速度が2℃/s以上の冷却を行い、復熱後に次の圧延パスを実施することを特徴とする、請求項5ないし13のいずれか1項に記載の母材および溶接熱影響部の靱性に優れた鋼板の製造方法。
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