JP5453865B2 - 強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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1.フェライト相を主相とし、残部が、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上からなる複合組織を有する高張力厚鋼板であって、前記フェライト相は、平均粒径:3μm以下の微細フェライト相を面積率で30%以上含み、且つ、Nbを含んだ粒径10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
2.成分組成が、質量%で、C :0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする1に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
3.さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする2に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
4.質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃〜1250℃に加熱した後、板厚中心部の平均冷却速度が2℃/s以上で、(Ar3−100℃)以下まで冷却した後、(Ar3−100℃)以下、550℃以上の温度域で累積圧下率80%以上の圧延を行うことを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
5.鋼組成が、さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする4に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
本発明において、ミクロ組織の主相は、フェライト相であり、その面積率は80%以上とする。残部はパーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上で構成する。なお、延性を向上させるため、好ましくは、フェライト相の分率は90%以上とする。
C
Cはセメンタイト形成を通して連続再結晶を促進する。また、Cは炭化物として析出強化に寄与する元素である。0.02%より少ないと、十分その効果が得られず、一方、0.08%を超えると硬質第二相の分率が大きくなり、延性が低下するため、0.02%以上、0.08%以下とする。
Siは脱酸元素として、また、鋼の強化元素として有効であるが、0.03%未満の含有量ではその効果が得られない。一方、0.5%を超えると鋼の表面性状を損なうばかりか靭性や溶接性が極端に劣化する。従ってその添加量を0.03%以上、0.5%以下とする。
Mnは、強化元素として添加する。0.1%より少ないとその効果が十分でなく、2%を超えると延性が低下するとともに溶接性が劣化し、鋼材コストも上昇するため、0.1%以上、2%以下とする。
P,Sは、鋼中の不可避不純物であるが、Pは0.04%を超え、Sは0.02%を超えると靭性が劣化するため、それぞれ、0.04%以下、0.02%以下が望ましい。尚、含有量の下限は製造コスト上の観点から定めればよい。
Alは、脱酸元素として添加されるが、0.1%を超えると介在物が増加し、靭性が低下するため、0.1%以下とする。
Nは、Al、Ti、Nbと結合し窒化物を形成し、オーステナイトの圧延加工時の結晶粒径を調整し、鋼を強化するが、0.01%を超えると靭性が劣化するため、0.01%以下とする。
Nbは上述したミクロ組織を得るために重要な役割を果たす元素である。0.005%以上添加することで、窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物を形成し、強度上昇に大きく寄与する。一方、0.10%を超えて添加すると溶接熱影響部の靭性が劣化するため、添加量は0.005〜0.10%とする。なお、好ましくは、0.01〜0.07%とする。
V,Tiは微量の添加により、窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化する効果を有するとともに、鋼を強化する効果を有するため、一種または二種以上添加する。
Cu,Ni,Cr,Moの1種または2種以上
Cu,Ni,Cr,Moはいずれも鋼の焼入れ性を高める元素で、圧延後の強度向上に直接寄与するとともに、靭性、高温強度、あるいは耐候性などを向上させる。添加する場合は、その効果を得るため、それぞれ0.01%以上とし、一方、過度の添加は靭性や溶接性を劣化させるため、それぞれ上限を0.5%未満、3%、3%、1%とする。
3.製造条件
本発明に係る高張力厚鋼板は、上記成分組成を有するスラブを1000〜1250℃に加熱後、当該加熱温度から、スラブの板厚中心部での冷却速度を2℃/s以上として冷却を(Ar3−100℃)以下まで行い、(Ar3−100℃)以下の二相温度域で累積圧下率80%以上の圧延を実施して製造する。以下、各製造条件について詳しく説明する。
スラブ加熱温度は1000〜1250℃とする。加熱温度が1000℃未満では、炭化物などとなっているNbの固溶が不十分となり、圧延時のNb炭窒化物などの微細析出が不十分となることから強度が低下するため、また、1250℃を超えると靭性が劣化するため、スラブ加熱温度は1000〜1250℃とする。
1000℃〜1250℃にスラブを加熱した後、平均冷却速度2℃/s以上で冷却する。これにより、加熱中に固溶したNbを過飽和に含んだ状態で圧延を行うことが可能である。
圧延の圧延開始温度は(Ar3−100℃)以下とする。二相域圧延では組織中にフェライトよりも変形抵抗の高いオーステナイトが混在するため、フェライトにひずみが集中し、オーステナイトが存在しない場合と比較して連続再結晶が顕著に促進される。ここで、圧延開始温度を(Ar3−100℃)以下とするのは、オーステナイト分率が、5%以上50%以下という好ましい分率になるからである。
Ar3(℃)=910−273C−74Mn−5Cu−56Ni−16Cr−9Mo
(ただし、各元素記号は含有量(質量%)を示す)
これらスラブを用い、表2に示す種々の条件で圧延を実施し、板厚12〜36mmの鋼板を製造した。いずれの圧延も、平均パス圧下率10%以下の小圧下多パス圧延を行った。パス間時間は概ね8秒程度である。
Claims (4)
- 成分組成が、質量%で、C :0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、面積率で80%以上のフェライト相を主相とし、残部が、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上からなる複合組織を有する高張力厚鋼板であって、前記フェライト相は、平均粒径:3μm以下の微細フェライト相を面積率で30%以上含み、且つ、Nbを含んだ平均粒径10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強さと全伸びとの積であるTS×t.ELが15000(MPa・%)以上の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
- さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
- 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃〜1250℃に加熱した後、板厚中心部の平均冷却速度が2℃/s以上で、(Ar3−100℃)以下まで冷却した後、(Ar3−100℃)以下、550℃以上の温度域で累積圧下率80%以上の圧延を行うことを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
- さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項3に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
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