JP5453865B2 - 強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は船舶、海洋構造物、建築物、橋梁、タンク等の分野で使用して好適な、板厚6mm以上の高張力厚鋼板およびその製造方法に関するものである。
鉄鋼材料の強度、靭性、延性などの機械的特性を向上させることができる理想的な組織制御法として結晶粒微細化が知られている。結晶粒微細化の手法として工業的に広く用いられているのがTMCP(加工熱処理:Thermo−Mechanical Control Process)であり、例えばフェライト主体組織において平均粒径5μm程度までの微細化が比較的容易に達成されている。
機械的特性の更なる改善を目指し、近年微細化の極限を追求する研究開発が行われ、フェライト粒径を2μm前後まで超微細化する種々の手法が提案されている。
フェライト粒径の超微細化を具現化するための技術として、オーステナイトからフェライトへの変態を利用する技術とフェライトの連続再結晶を利用する技術がある。
前者は準安定オーステナイト域からフェライト−オーステナイト二相域にかけて圧下量の大きい加工を加えることにより、変態後に2μm前後以下の超微細フェライト粒と第二相組織を備えた複合組織を実現するものである。
一方、後者はオーステナイトからフェライトへの変態を利用することなく、フェライト温度域で強度の加工を行い、フェライトの連続再結晶を利用して2μm前後以下の超微細フェライト粒組織を得る技術である。
例えば特許文献1および特許文献2では、多量の合金元素を含まない鋼材を過冷オーステナイト域で大歪加工をすることで平均結晶粒径3μm以下のフェライト組織を得る方法が示されている。
特許文献3では多方向において温間圧延を行うことでフェライト連続再結晶を促進し、フェライト結晶粒径を2.5μm以下とする微細粒組織鋼の製造方法が示されている。
また、特許文献4には、組織を実質的にフェライト単相とすることで延性を向上させ、かつフェライト相内にTiとMoを含む粒径10nm未満の析出物を分散させることで強度を向上させる技術が記されている。
特許第3844645号公報 特開2001−98322号公報 特開2003−253332号公報 特許第3714232号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも結晶粒微細化に着目し高強度化を図ったもので、析出強化などの強化機構との複合強化を意図的に狙ったものではないため、強度・延性バランスが十分良好とは言い難い。特許文献4記載の技術は、高価なMoを含有しているためコスト上昇が避けられない。
そこで、本発明は、結晶粒径を2μm程度まで微細化することによる高強度・高延性化を更に進展させるために析出強化を組み合わせた、安価な成分組成の、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、二相域圧延によりフェライト連続再結晶を誘起させてフェライトを微細化すると共に、通常の厚板圧延で用いられるNb添加量において、Nbを含む微細析出物の析出強化を最大限活用することを着想した。
従来、二相域圧延は、主としてAr点近傍、典型的な例ではAr点〜Ar点−40℃程度において、圧下率20〜30%以下で、圧延終了温度をAr点近傍として実施されるものであった。ここで、二相域圧延と称しながら二相域の低温領域での圧延としない理由は、二相域の低温域で圧延するとフェライトの加工硬化が促進されて靭性・延性が劣化することが知られていたためである。このように、従来の二相域圧延にはフェライトの連続再結晶を誘起させるという概念はない。
そこで、本発明者らは二相域圧延によるフェライトの連続再結晶の誘起を目的とし、圧延を二相域の比較的低温域、すなわちフェライト分率が高い温度域で行うことを検討し、以下の知見を得た。
1.二相域の低温域での圧延を、フェライトに加工硬化をもたらす状態からさらに続けて、累積圧下率80%以上の圧延を行うと、フェライトの連続再結晶が誘起されるため、靭性・延性の悪い加工硬化フェライトから延性に優れた連続再結晶フェライトに組織が発展する。
2.二相域の低温域での圧延では、ひずみが入りにくい板厚中心においてもフェライトの連続再結晶は促進され、フェライト相における微細フェライト粒の面積分率は30%以上となる。
3.このようなフェライト連続再結晶法を利用した超微細粒厚鋼板のミクロ組織としてフェライト総面積に対する平均粒径3μm以下の微細フェライトの面積分率が、板の表層から中心部にいたるまでのすべての深さ方向位置において30%以上であれば、優れた強度・延性バランスが得られる。
4.連続再結晶を誘起する過程ではフェライト中に大量の転位を導入するため、この転位を核として、Nbを含んだ微細析出物を均一に析出させることが可能である。
5.前記ミクロ組織を実現するためのプロセスとして、鋼片を1000〜1250℃に加熱してNbを一旦固溶させ、急冷することにより、Nbを過飽和に固溶したフェライトとオーステナイトの二相組織とし、当該二相組織において小圧下多パスで累積圧下率80%以上の圧延を行うことが有効で、フェライト連続再結晶が誘起されるとともに、Nbを含んだ微細析出物が析出する。
本発明はこれらの知見に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は
1.フェライト相を主相とし、残部が、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上からなる複合組織を有する高張力厚鋼板であって、前記フェライト相は、平均粒径:3μm以下の微細フェライト相を面積率で30%以上含み、且つ、Nbを含んだ粒径10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
2.成分組成が、質量%で、C :0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする1に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
3.さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする2に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
4.質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃〜1250℃に加熱した後、板厚中心部の平均冷却速度が2℃/s以上で、(Ar−100℃)以下まで冷却した後、(Ar−100℃)以下、550℃以上の温度域で累積圧下率80%以上の圧延を行うことを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
5.鋼組成が、さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする4に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、安価な成分組成で、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板を製造することが可能で産業上極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ミクロ組織
本発明において、ミクロ組織の主相は、フェライト相であり、その面積率は80%以上とする。残部はパーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上で構成する。なお、延性を向上させるため、好ましくは、フェライト相の分率は90%以上とする。
前記フェライト相は、平均粒径:3μm以下の微細フェライト相と展伸したフェライト相で構成され、Nbを含んだ粒径10nm未満の析出物が分散析出しているものとする。
微細フェライト相の平均粒径を3μm以下とすることにより、強度・延性バランスに優れた鋼材とすることが可能である。
フェライト相の総面積に対する微細フェライト相の面積分率が30%未満であると、展伸したフェライト、すなわち加工硬化フェライトの影響により延性が低下するため、30%以上とする。
また、Nbを含んだ析出物は、Nb炭化物、Nb窒化物およびNb炭窒化物のうちの一種または二種以上である。粒径10nm以上の析出物は析出強化に対する寄与が小さく、粒径10nm未満の析出物が析出強化への寄与が大きいため、10nm未満とした。好ましくは、10nm未満の析出物の割合は、個数分率にして、全析出物の80%以上の割合とする。
本発明に係る鋼板は、上述したミクロ組織を板の表層から中心部にいたるまで備えることで、優れた強度・延性バランスを達成することが可能となる。上述したミクロ組織を得るための好ましい化学成分と製造条件は以下の通りである。
2.化学成分(説明において%は質量%とする)

Cはセメンタイト形成を通して連続再結晶を促進する。また、Cは炭化物として析出強化に寄与する元素である。0.02%より少ないと、十分その効果が得られず、一方、0.08%を超えると硬質第二相の分率が大きくなり、延性が低下するため、0.02%以上、0.08%以下とする。
Si
Siは脱酸元素として、また、鋼の強化元素として有効であるが、0.03%未満の含有量ではその効果が得られない。一方、0.5%を超えると鋼の表面性状を損なうばかりか靭性や溶接性が極端に劣化する。従ってその添加量を0.03%以上、0.5%以下とする。
Mn
Mnは、強化元素として添加する。0.1%より少ないとその効果が十分でなく、2%を超えると延性が低下するとともに溶接性が劣化し、鋼材コストも上昇するため、0.1%以上、2%以下とする。
P,S
P,Sは、鋼中の不可避不純物であるが、Pは0.04%を超え、Sは0.02%を超えると靭性が劣化するため、それぞれ、0.04%以下、0.02%以下が望ましい。尚、含有量の下限は製造コスト上の観点から定めればよい。
Al
Alは、脱酸元素として添加されるが、0.1%を超えると介在物が増加し、靭性が低下するため、0.1%以下とする。

Nは、Al、Ti、Nbと結合し窒化物を形成し、オーステナイトの圧延加工時の結晶粒径を調整し、鋼を強化するが、0.01%を超えると靭性が劣化するため、0.01%以下とする。
Nb
Nbは上述したミクロ組織を得るために重要な役割を果たす元素である。0.005%以上添加することで、窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物を形成し、強度上昇に大きく寄与する。一方、0.10%を超えて添加すると溶接熱影響部の靭性が劣化するため、添加量は0.005〜0.10%とする。なお、好ましくは、0.01〜0.07%とする。
V,Tiの一種または二種
V,Tiは微量の添加により、窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化する効果を有するとともに、鋼を強化する効果を有するため、一種または二種以上添加する。
添加量がそれぞれ0.005%未満ではその効果が得られないため、0.005%以上とする。一方、多量に添加されると、鋳片に割れを生じ、製造コストも上昇するため、それぞれ、添加量は0.1%以下とする。
以上が好ましい基本成分組成であるが、所望する特性を得るため、更に、以下の元素を添加することができる。
Cu,Ni,Cr,Moの1種または2種以上
Cu,Ni,Cr,Moはいずれも鋼の焼入れ性を高める元素で、圧延後の強度向上に直接寄与するとともに、靭性、高温強度、あるいは耐候性などを向上させる。添加する場合は、その効果を得るため、それぞれ0.01%以上とし、一方、過度の添加は靭性や溶接性を劣化させるため、それぞれ上限を0.5%未満、3%、3%、1%とする。
なお、本発明の効果が損なわれない範囲で、B,REM,Zr,Ca,Mg等の元素を必要に応じて添加してもよい。なお、それぞれの元素を添加する場合の好適範囲として、B:0.001%以下、REM:0.002%以下、Zr:0.002%以下、Ca:0.002%以下、Mg:0.002%以下とする。
3.製造条件
本発明に係る高張力厚鋼板は、上記成分組成を有するスラブを1000〜1250℃に加熱後、当該加熱温度から、スラブの板厚中心部での冷却速度を2℃/s以上として冷却を(Ar−100℃)以下まで行い、(Ar−100℃)以下の二相温度域で累積圧下率80%以上の圧延を実施して製造する。以下、各製造条件について詳しく説明する。
スラブ加熱温度
スラブ加熱温度は1000〜1250℃とする。加熱温度が1000℃未満では、炭化物などとなっているNbの固溶が不十分となり、圧延時のNb炭窒化物などの微細析出が不十分となることから強度が低下するため、また、1250℃を超えると靭性が劣化するため、スラブ加熱温度は1000〜1250℃とする。
スラブ加熱後の冷却
1000℃〜1250℃にスラブを加熱した後、平均冷却速度2℃/s以上で冷却する。これにより、加熱中に固溶したNbを過飽和に含んだ状態で圧延を行うことが可能である。
加熱後に放冷または徐冷を行うと、固溶したNbが炭化物、窒化物、または炭窒化物として高温域から析出し、析出物が容易に粗大化し強度が低下する。よって、析出強化に最適な温度まで急冷を行い、高温域からの析出を防止する。この、平均冷却速度2℃/s以上の冷却は、後述の圧延開始温度域である(Ar−100℃)以下の温度域まで実施する。 冷却速度が2℃/s未満では、高温域での析出防止効果が十分ではなく、強度低下するため、2℃/s以上とする。冷却方法は、たとえば、水冷によるオンライン制御冷却設備を用いて行うことが可能である。
なお、冷却速度は、放射温度計により測定した鋼板表面温度から、伝熱計算により求めた板厚中心部の平均冷却速度を意味する。
圧延条件
圧延の圧延開始温度は(Ar−100℃)以下とする。二相域圧延では組織中にフェライトよりも変形抵抗の高いオーステナイトが混在するため、フェライトにひずみが集中し、オーステナイトが存在しない場合と比較して連続再結晶が顕著に促進される。ここで、圧延開始温度を(Ar−100℃)以下とするのは、オーステナイト分率が、5%以上50%以下という好ましい分率になるからである。
オーステナイト分率は、その値が高い程、二相温度域での圧延時にフェライトに効果的にひずみを導入するので、後述の累積圧下率の条件をも満たすことにより、フェライトの連続再結晶を促進し、結晶粒径の微細化が可能である。同時に、Nb含有微細析出物の析出も促進され、高強度化に寄与することとなる。しかしながら、オーステナイト分率が50%を超えると、冷却後に生成するベイナイトやマルテンサイトの量が増えて靭性劣化をもたらすようになる。一方、オーステナイト分率が5%に満たない場合には、二相温度域での圧延時にフェライトの連続再結晶を促進する効果が得られない。よって、圧延開始時のオーステナイト分率は5%以上50%以下であることが好ましく、このオーステナイト分率を実現するために、圧延開始温度を(Ar−100℃)以下とする。
(Ar−100℃)以下の温度域における累積圧下率は80%以上とする。フェライト連続再結晶を生じさせるため、(Ar−100℃)以下の温度域で、オーステナイト分率を5〜50%にした状態で圧延を開始し、累積圧下率80%以上の多パス圧延を行う。
累積での圧下率が80%未満であると、フェライトの連続再結晶が十分に促進されず、フェライト相の総面積に対する、平均粒径3μm以下の微細フェライトの面積分率が、板の表層から中心部にいたるまでのすべての深さ方向位置において、30%以上である鋼板を得ることが困難で、強度・延性バランスがと低下する。尚、前記累積圧下率80%以上の圧延は、圧延荷重の増大を考慮し、平均パス圧下率10%以下の小圧下多パス圧延を実施することが望ましい。
圧延仕上温度は550℃以上とする。圧延開始後、多パス圧延の過程で鋼板からの抜熱により、圧延仕上温度は低下する。連続再結晶したフェライトの粒径は圧延温度が低くなるほど微細になるため、強度・靭性バランス向上の観点から、多少、圧延仕上温度が低下することは許容される。
しかしながら、550℃よりも低下すると、設備への負荷が大きくなるうえ、フェライトの連続再結晶が生じにくくなり、単に加工を受けて展伸しただけのフェライトの領域が増加し、延性の低下を招くようになるため、550℃以上とする。
なお、圧延条件にて示した圧延開始温度および圧延仕上温度は、放射温度計により測定した鋼板表面温度から、伝熱計算により求めた板厚中心部の温度を意味する。
圧延終了後の冷却方法は、特に限定されるものではなく、目標とする第二相の組織形態に応じて、室温まで空冷(放冷)、焼入れ、加速冷却、などの方法から、適宜選択して実施することができる。
表1に示す化学成分の鋼の鋳造インゴットを熱間圧延で120mmまで分塊して圧延用のスラブとした。各鋼種のAr温度は次式により算出した。
Ar(℃)=910−273C−74Mn−5Cu−56Ni−16Cr−9Mo
(ただし、各元素記号は含有量(質量%)を示す)
これらスラブを用い、表2に示す種々の条件で圧延を実施し、板厚12〜36mmの鋼板を製造した。いずれの圧延も、平均パス圧下率10%以下の小圧下多パス圧延を行った。パス間時間は概ね8秒程度である。
得られた鋼板について、組織観察、引張試験を実施した。組織観察は、得られた厚鋼板から組織観察用試験片を採取し、圧延方向断面の表面から板厚中心部までの領域について、走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて撮像した。
得られた画像について画像解析装置を用いて、それぞれ、フェライト相の平均結晶粒径および面積率、ならびに平均粒径3μm以下の粒径を有する微細フェライト相のフェライト相全量に対する面積率を測定した。なお、フェライト相の平均結晶粒径は、フェライト粒のそれぞれの面積を測定し、その面積から円相当径を算出し、該結晶粒の粒径とし、その平均値をその鋼板のフェライト相の平均結晶粒径とした。なお、測定する視野数は3視野以上とした。
また、Nbを含む析出物は、得られた厚鋼板の組織観察用試験片から抽出レプリカによりTEM(透過型電子顕微鏡)観察用サンプルを採取し、倍率10万倍の写真を撮影し、画像解析により粒径測定を行った。なお、測定する視野数は3視野以上とした。
引張試験は、得られた厚鋼板の板厚中心部から引張方向が圧延方向(板長方向)となるように、JIS14A号試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を実施し、降伏強度YS、引張強さTS、全伸びt.ELを求めた。
表2に鋼板の製造条件と組織観察、引張試験の結果を併せて示す。本発明例(鋼板No.1〜4、10〜12、16)はいずれも、目標の引張強さ:570MPa以上の強度と、20%以上の全伸びを有し、また、引張強さと全伸びとの積であるTS×t.ELが15000(MPa・%)以上を満足する強度と延性とのバランスに優れた高張力厚鋼板であることが認められる。
一方、本発明例の範囲を外れる比較例(鋼板No.5〜9、13〜15)は、強度および/または延性が本発明例と比較して不足していることが認められた。
Figure 0005453865
Figure 0005453865

Claims (4)

  1. 成分組成が、質量%で、C :0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、面積率で80%以上のフェライト相を主相とし、残部が、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの1種以上からなる複合組織を有する高張力厚鋼板であって、前記フェライト相は、平均粒径:3μm以下の微細フェライト相を面積率で30%以上含み、且つ、Nbを含んだ平均粒径10nm未満の析出物が分散析出していることを特徴とする、引張強さと全伸びとの積であるTS×t.ELが15000(MPa・%)以上の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板。
  3. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.03〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼片を、1000℃〜1250℃に加熱した後、板厚中心部の平均冷却速度が2℃/s以上で、(Ar−100℃)以下まで冷却した後、(Ar−100℃)以下、550℃以上の温度域で累積圧下率80%以上の圧延を行うことを特徴とする、強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
  4. さらに、質量%で、Cu:0.01〜0.5%未満、Ni:0.01〜3%、Cr:0.01〜3%、Mo:0.01〜1%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項に記載の強度・延性バランスに優れた高張力厚鋼板の製造方法。
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