JP6416012B2 - 転圧コンクリート舗装、および転圧コンクリート舗装の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、締固め性に優れた転圧コンクリート舗装とその施工方法に関する。
転圧コンクリート舗装は、通常の舗装コンクリートよりも単位水量が少ない超固練りコンクリートを用いて、アスファルトフィニッシャ、振動ローラ、およびタイヤローラ等のアスファルト舗装で使用する施工機械を用い施工された舗装である。また、転圧コンクリート舗装の施工方法は、一般に、路盤上へのコンクリートの敷き均し、初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧、コンクリートの養生、および舗装上の目地切削が含まれる。
そして、転圧コンクリート舗装は、通常のコンクリート舗装と比べて、
(i)アスファルト舗装と同じ施工機械で施工するため、施工速度が大きい、
(ii)初期材齢の耐荷力が強いため、短い養生期間で早期交通解放が可能である、
(iii)コンクリートの乾燥収縮が小さいため、目地の間隔を大きくできる、
(iv)型枠を用いなくても施工できるため、版厚を自由に変えられる
等の利点がある。
しかし、転圧コンクリートは超固練りコンクリートであるため、ヤード舗装等の外周部や有料道路の料金所等の機械施工ができない狭い場所では、締固めが不十分になり易く、その結果、耐荷力が低下し、路面の骨材の飛散や路面のひび割れ等が生じ易い。
そこで、転圧コンクリートを含む舗装の施工方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1に記載の転圧コンクリートの施工方法は、基盤上のコンクリート打設エリア内に測点を複数設けると共に、前記測点における上下方向の2ヵ所以上のコンクリートの電気抵抗値を検出し得る電気抵抗測定手段を設けておき、前記基盤上にコンクリートを打設する際に、前記電気抵抗測定手段が検出する電気抵抗値のそれぞれが、所定の値になるまで転圧を施す施工方法である。しかし、前記施工方法でも、転圧コンクリートの締固め性は十分とはいえない。
また、特許文献2に記載の排水性コンクリート舗装の施工方法は、転圧コンクリートの舗装工法によって基層を施工した後、該基層がまだ固まらない状態で該基層上にセメントモルタルを塗布し、さらに、該セメントモルタルがまだ固まらない状態で、排水性コンクリートを用いて表層を施工する方法である。しかし、該施工方法は、基層を構成する転圧コンクリートと表層を構成する排水性コンクリートとがセメントモルタルを介して強固に付着する効果を有するものの、転圧コンクリートの締固め性の向上効果は記載されていない。
特開05−2230807号公報 特開2003−096705号公報
したがって、本発明は、締固め性に優れた転圧コンクリート舗装とその施工方法を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は前記目的を達成するため鋭意検討したところ、路盤の上に特定の性状を有するモルタルを敷設し、該モルタルの上にコンクリートを敷設した転圧コンクリート舗装は、締固め性に優れた転圧コンクリート舗装になることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の構成を有する転圧コンクリート舗装の施工方法である。
[1]路盤の上に敷設されたモルタル層と、該モルタル層の上に敷設されたコンクリート層からなる転圧コンクリート舗装であって、前記モルタル層が、下記錘の沈下深さが6mm以下のモルタルの硬化体である、転圧コンクリート舗装。
錘の沈下深さ:形状が円柱又は角柱であって、該円柱又は角柱の各端面の面積が283〜346mm(ただし、各端面の面積は等しい。)であり、かつ質量が500±3gである錘を、厚さを25mmに敷き均したフレッシュ状態のモルタルの上に載せ、該錘の沈下が終了した時点において該錘が沈下した深さ(mm)
[2]前記錘が、直径が20±1mmの円柱である、前記[1]に記載の転圧コンクリート舗装。
[3]前記[1]又は[2]に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法であって、路盤上に、錘の沈下深さが6mm以下のモルタルを敷設した後、該モルタルの上にコンクリートを敷設して転圧する、転圧コンクリート舗装の施工方法。
[4]モルタルの敷設厚さが、該モルタルの上に敷設するコンクリート中の粗骨材の最大寸法以上であり、かつ粗骨材の最大寸法+20mm以下である、前記[3]に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法。
[5]路盤上に前記モルタルを敷設した後、60分以内にコンクリートを敷設する、前記[3]又は[4]に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法。
本発明の転圧コンクリート舗装は、締固め性に優れる。また、本発明の転圧コンクリート舗装の施工方法によれば、締固め性の高い転圧コンクリート舗装を施工することができる。
転圧コンクリート舗装においてコア抜きした位置を示す平面図である。
本発明の転圧コンクリート舗装は、前記のとおり、路盤の上に敷設されたモルタル層と、該モルタル層の上に敷設されたコンクリート層からなる転圧コンクリート舗装である。以下、本発明について、転圧コンクリート舗装と、転圧コンクリート舗装の施工方法とに分けて説明する。
1.転圧コンクリート舗装
(1)モルタル層
該モルタル層を構成するモルタルは、フレッシュ状態において、厚さが25mmに敷き均したモルタルの上に、前記特定の大きさと重さの錘を載せ、錘の沈下が終了した時点で、該錘が沈下した深さが6mm以下であるフレッシュ性状を有するモルタルである。該沈下深さが6mm以下であれば、コンクリートの締固め性は高くなる。なお、該沈下深さは、好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜4mmである。
前記錘は、形状が円柱又は角柱であって、該円柱又は角柱の各端面の面積が283〜346mm(ただし、各端面の面積は等しい。)であり、かつ質量が500±3gである錘である。このような錘として、例えば、直径が20±1mm、かつ質量が500±3gの円柱の錘が挙げられる。
本発明において前記モルタルの水セメント比は、好ましくは30〜70%である。水セメント比が該範囲であれば、コンクリートの締固め性は高くなる。なお、該水セメント比は、より好ましくは35〜65%、さらに好ましくは40〜60%である。
また、該モルタルのセメント/細骨材の質量比は、好ましくは20〜50%である。セメント/細骨材の質量比が該範囲にあれば、コンクリートの締固め性は高くなる。なお、該セメント/細骨材の質量比は、より好ましくは25〜45%、さらに好ましくは27〜33%である。
また、該モルタルに用いるセメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、エコセメント、およびシリカフュームプレミックスセメントからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
該モルタルに用いる細骨材は、特に制限されず、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、およびスラグ細骨材からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、該モルタルに用いる水も特に制限されず、水道水、スラッジ水、下水処理水等を用いることができる。
なお、該モルタルは、AE減水剤、高性能減水剤、又は高性能AE減水剤等の減水剤を含んでもよい。
(2)コンクリート層
該コンクリート層を構成するコンクリートは、いわゆる超固練りコンクリートであり、セメント、水、細骨材、および粗骨材を含む。そして、該コンクリートの配合は、例えば、単位セメント量が300〜420kg/m、単位水量が70〜130kg/m、単位細骨材量が700〜850kg/m、単位粗骨材量が1000〜1350kg/m、水セメント比が30〜50%、および細骨材率が33〜48%である。
前記コンクリートに用いるセメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、エコセメント、およびシリカフュームプレミックスセメントからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
前記コンクリートに用いる水は、特に制限されず、水道水、スラッジ水、下水処理水等を用いることができる。
また、前記コンクリートに用いる細骨材も特に制限されず、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、およびスラグ細骨材からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
さらに、前記コンクリートに用いる粗骨材も特に制限されず、川砂利、砕石、スラグ粗骨材等からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
該コンクリートは、さらに、ひび割れ等の防止のため有機繊維、収縮低減剤、又は膨張材を含んでもよく、また、流動性の向上のために、AE減水剤、高性能減水剤、又は高性能AE減水剤等の減水剤を含んでもよい。
2.転圧コンクリート舗装の施工方法
該施工方法は、路盤上に、錘の沈下深さが6mm以下のモルタルを敷設した後、該モルタルの上にコンクリートを敷設して転圧する方法である。本発明において、モルタルの敷設厚さは、該モルタルの上に敷設するコンクリート中の粗骨材の最大寸法以上で、かつ粗骨材の最大寸法+20mm以下が好ましい。モルタルの厚さが前記範囲内にあれば、コンクリートの締固め性が高い。なお、該モルタルの敷設厚さは、該モルタルの上に敷設するコンクリート中の粗骨材の最大寸法以上で、かつ粗骨材の最大寸法+10mm以下がより好ましい。
また、該施工方法では、路盤とコンクリートの付着性を確保するため、好ましくは、路盤上に前記モルタルを敷設した後、60分以内にコンクリートを敷設する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料
表1に使用した材料を示す。
Figure 0006416012
2.コンクリートの締固め率の測定等
レディミクストコンクリート工場において、公称容積が3mの水平二軸形強制練りミキサを用いて、1バッチ当たりの練混ぜ量は1.75mで、表2に示す配合のコンクリートを製造した。
次に、該コンクリートを用いて、コンクリートの温度と、B072−2「転圧コンクリートのコンシステンシー試験方法」(マーシャル締固め試験方法)に準拠して、コンクリートの締固め性とを測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006416012
3.モルタルの沈下深さの測定
表3に示す配合のモルタルを製造した後、該モルタルを25mmの厚さに敷き均した。次に、該モルタルの上から、直径20mm、質量500gの円柱形の錘を載せて、沈下が終了した時点におけるモルタルの沈下深さを測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0006416012
4.転圧コンクリート舗装の施工と充填率
路盤上に前記モルタルを25mmの厚さに敷き均した後、前記コンクリートをダブルタンパバイブ型のアスファルトフィニッシャにより敷き均し、さらに振動ローラとタイヤローラを用いて初期転圧、二次転圧、および仕上げ転圧を行った。
前記初期転圧は、振動を与えずに2往復した後、10トン級のゴム巻き振動ローラにより振動を与えながら3往復した。前記二次転圧は、25トン級のタイヤローラを3往復した。また、前記仕上げ転圧は、振動ローラを用いて振動を与えずに行った。その後、シート養生を材齢4日まで行った。
また、参考例として、モルタルを使用しない以外は、前記と同様にして転圧コンクリート舗装を施工した。
次に、材齢28日目に、転圧コンクリート舗装上の図1に示す位置からコアを採取して、コアの質量および体積を測定し、コアの単位容積質量を求めて下記式により充填率を算出した。その結果を表4に示す。
充填率(%)=100×コアの単位容積質量/配合から計算したゼロ空隙の単位容積質量
Figure 0006416012
表4に示すように、実施例1の充填率は、転圧コンクリート舗装のいずれの位置においても、比較例1および参考例の充填率と比べ高い。したがって、本発明の転圧コンクリート舗装の施工方法によれば、締固め性が向上した転圧コンクリート舗装を施工することができる。

Claims (5)

  1. 路盤の上に敷設されたモルタル層と、該モルタル層の上に敷設されたコンクリート層からなる転圧コンクリート舗装であって、前記モルタル層が、下記錘の沈下深さが6mm以下のモルタルの硬化体である、転圧コンクリート舗装。
    錘の沈下深さ:形状が円柱又は角柱であって、該円柱又は角柱の各端面の面積が283〜346mm(ただし、各端面の面積は等しい。)であり、かつ質量が500±3gである錘を、厚さを25mmに敷き均したフレッシュ状態のモルタルの上に載せ、該錘の沈下が終了した時点において該錘が沈下した深さ(mm)
  2. 前記錘が、直径が20±1mmの円柱である、請求項1に記載の転圧コンクリート舗装。
  3. 請求項1又は2に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法であって、路盤上に、錘の沈下深さが6mm以下のモルタルを敷設した後、該モルタルの上にコンクリートを敷設して転圧する、転圧コンクリート舗装の施工方法。
  4. モルタルの敷設厚さが、該モルタルの上に敷設するコンクリート中の粗骨材の最大寸法以上であり、かつ粗骨材の最大寸法+20mm以下である、請求項3に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法。
  5. 路盤上に前記モルタルを敷設した後、60分以内にコンクリートを敷設する、請求項3又は4に記載の転圧コンクリート舗装の施工方法。
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