JP6448031B2 - コンクリート舗装 - Google Patents

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本発明は、すべり抵抗性が高いコンクリート舗装に関する。
コンクリート舗装は供用に伴い、すべり抵抗性が低下するため、すべり抵抗性を維持する方法が求められている。
一般に、コンクリート舗装の滑り抵抗性を高める工法として、
(i)舗装面に複数の溝を切り、その溝に水を流して舗装面のすべり抵抗を増大させるグルービング工法、
(ii)舗装の表面仕上げ後に凝結遅延剤を散布して表面の硬化を遅らせ、ブラシ等により表面を削り取って、粗骨材の頂部を露出させる骨材露出工法、
(iii)舗装面に樹脂系接着材を塗布した後、硬質骨材を散布して接着させるニート工法
等が知られている。
そして、例えば、前記ニート工法として、特許文献1には、道路の舗装面に、ウレタン系樹脂層が設けられ、前記ウレタン系樹脂層に、一部が埋設された凍結抑制機能を発揮し得るゴム材と共に、すべり抵抗性を発揮し得る骨材が設けられている道路の表面処理構造が提案されている。
しかし、前記(i)と(ii)の工法は舗装の施工時に用いるものであり、施工後に、舗装のすべり抵抗性を回復させることはできない。また、(iii)の工法は、樹脂系接着剤を用いるため、コスト高になる。
また、コンクリート舗装の滑り抵抗性を高める粗面処理工法として、
(i)ショットブラスト装置から供給された鋼球を舗装面に投射して粗面処理を行うショットブラスト工法、
(ii)隙間なく取り付けたダイヤモンドブレードを用いて、舗装面を薄層で研削するダイヤモンドグラインディング工法
等が知られている。
しかし、いずれの工法も、硬化した舗装面を機械的に粗面処理するため、騒音や粉塵が発生するほか、広範囲の舗装面に適用する場合は手間がかかるという問題がある。
特開2009−263997号公報
「コンクリート舗装の補修技術資料」 2010年度版、46頁、48頁、社団法人セメント協会
したがって、本発明は、高いすべり抵抗性を長期に渡って維持できるコンクリート舗装を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は前記目的を達成するため鋭意検討したところ、特定の水セメント比を有するコンクリートを舗装用コンクリートとして用いれば、コンクリート舗装のすべり抵抗性を維持できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の構成を有するコンクリート舗装である。
[1]水セメント比が60〜70%、および有機繊維の含有率が0.2〜4.0体積%であるコンクリートを敷設してなる、コンクリート舗装。
[2]コンクリートの単位粗骨材量が1000〜1300kg/mである、前記[1]に記載のコンクリート舗装。
本発明のコンクリート舗装は、高いすべり抵抗性を長期に渡って維持でき、また高い曲げ強度を有する。
本発明のコンクリート舗装は、前記のとおり、水セメント比が50%を越え80%以下、および有機繊維の含有率が0.2〜4.0体積%であるコンクリートを敷設してなるコンクリート舗装である。以下、本発明について詳細に説明する。
1.コンクリートの水セメント比と有機繊維の含有率
本発明のコンクリート舗装に用いるコンクリート(以下「舗装コンクリート」という。)は、車道用の舗装コンクリートに要求される曲げ強度の基準値(4.5N/mm以上)を有すると同時に、車両の走行によりコンクリート面に凹凸が形成されて高いすべり抵抗性を維持する機能を有する。
この曲げ強度とコンクリート面の凹凸の形成され易さを両立させる観点から、舗装コンクリートの水セメント比は50%を越え80%以下であり、有機繊維の含有率は0.2〜4.0体積%である。
水セメント比が50%以下ではコンクリート面に凹凸が形成され難くなり、80%を超えると曲げ強度が低下するおそれがある。なお、前記水セメント比は、好ましくは55〜75%、より好ましくは60〜70%である。
また、舗装コンクリート中の有機繊維の含有率が0.2体積%未満では、曲げ強度が前記基準値を満たさない場合があり、4.0体積%を超えると、コンクリートの流動性が低下して、コンクリートの敷設が困難になる場合がある。なお、有機繊維の含有率は、好ましくは0.5〜3.5体積%、さらに好ましくは0.8〜2.5体積%である。
2.舗装コンクリートの構成材料
舗装コンクリートを構成する材料は、少なくとも、有機繊維、セメント、水、細骨材、粗骨材、および減水剤である。
以下、前記構成材料について、各材料別に説明する。
(1)有機繊維
有機繊維は、ポリビニルアルコール繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、およびセルロース繊維からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
前記有機繊維の直径は、好ましくは0.005〜0.5mm、より好ましくは0.01〜0.4mmである。該値が0.005mm未満では繊維自体の強度が不足して張力を受けると切断し易くなり、0.5mmを超えると同じ繊維の配合量では舗装コンクリート中の繊維の本数が相対的に少なくなり、曲げ強度の向上効果が低下する。
また、前記有機繊維の長さは、好ましくは5〜50mm、より好ましくは7〜35mmである。該値が5mm未満ではマトリックスとの付着力が低下して曲げ強度の向上効果が低下し、50mmを超えると混練時にファイバーボールが生じ易くなる。
(2)セメント
セメントは、特に制限されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、エコセメント、およびシリカフュームプレミックスセメントからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
また、単位セメント量は、好ましくは160〜400kg/m、より好ましくは170〜300kg/mである。該値が160kg/m未満では舗装コンクリートのワーカビリティが低下し、400kg/mを超えると舗装コンクリートの自己収縮が大きくなる傾向がある。
(4)水
水は、特に限定されず、水道水、スラッジ水、下水処理水等を用いることができる。
(5)細骨材
細骨材は、特に限定されず、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、およびスラグ細骨材からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、単位細骨材量は、好ましくは700〜800kg/m、より好ましくは725〜775kg/mである。該値が700kg/m未満では収縮低減効果が低下し、800kg/mを超えると舗装コンクリートの流動性やコンシステンシーが低下して、作業性が悪くなる場合がある。
(6)粗骨材
粗骨材は、特に限定されず、川砂利、砕石、スラグ粗骨材等からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、単位粗骨材量は、好ましくは1000〜1300kg/m、より好ましくは1050〜1200kg/m、さらに好ましくは1100〜1150kg/mである。該値が1000kg/m未満では舗装コンクリートの耐久性や耐摩耗性が低下し、1300kg/mを超えると舗装コンクリートのワーカビリティが低下する場合がある。
また、粗骨材の最大粒径は好ましくは10〜50mm、より好ましくは13〜30mmである。該値が10mm未満では舗装コンクリートの耐摩耗性が低下し、50mmを超えると入手が困難なほか、舗装コンクリートのワーカビリティが低下する場合がある。
なお、前記細骨材および前記粗骨材は、天然骨材のほか再生骨材も用いることができる。
(7)減水剤
減水剤は、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸、およびこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、前記の塩は、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩や、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、これらの減水剤は、減水性能や空気連行性能等により、AE減水剤、高性能減水剤、または高性能AE減水剤等に分類される。これらの中でも、本発明において用いる減水剤は、作業性(混練性や施工性)の確保や耐久性等の観点から、好ましくはAE減水剤であり、より好ましくはリグニンスルホン酸塩を有効成分とするAE減水剤である。
また、減水剤の添加量は、好ましくはセメントに対して0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.3〜3.0質量%、さらに好ましくは0.5〜2.0質量%である。該値が0.1質量%未満では減水性能が低く、5.0質量%を超えるとセメントの凝結が遅延する場合があるほかコスト高になる。
また、任意の構成材料として、収縮ひび割れを防止する必要がある場合は、さらに膨張材および/または収縮低減剤を用いることができ、空気量を調節する必要がある場合はAE剤を用いることができる。また、舗装コンクリートの表面の乾燥を防ぐ必要がある場合は、塗膜養生剤を用いてもよい。
2.コンクリート舗装の施工方法
該施工方法は、特に制限されず、主に、(a)舗装コンクリートの舗設打設工程、(b)舗装コンクリートの敷き均し工程、(c)舗装コンクリートの締固め工程、(d)舗装コンクリートの表面仕上げ工程、および(e)舗装コンクリートの養生工程の順に行われる。
また、本発明のコンクリート舗装の施工時において、前出のグルービング工法、または骨材露出工法を併用してもよく、また、該舗装の施工後において、前出のニート工法、ショットブラスト工法、またはダイヤモンドグラインディング工法を併用してもよい。
また、本発明のコンクリート舗装を構成する態様として、(a)車道用コンクリート舗装の全体を、本発明のコンクリート舗装で構成する態様と、(b)車道用コンクリート舗装の表層部のみを、本発明のコンクリート舗装で構成する態様が挙げられる。前記(b)において、本発明のコンクリート舗装により構成される表層部の厚さは、好ましくは、該舗装に含まれる粗骨材の最大粒径の3倍以上である。また、前記(b)の態様では、表層部以外の舗装部分は、一般的な車道用コンクリートやアスファルトで構成することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料
表1および表2に、使用した材料を示す。
Figure 0006448031
Figure 0006448031
2.舗装コンクリートのすべり抵抗性と曲げ強度の測定
表3に示す配合のコンクリートを、公称容積が60リットルの水平二軸形強制練りミキサを用いて混練し型枠に打設した後、材齢1日で脱型し材齢28日まで標準養生して供試体を製造した。
なお、すべり抵抗性の測定には、上辺幅15cm、下辺幅20cm、高さ14cm、厚さ10cmの台形型供試体を、また曲げ強度の測定には、縦10cm、横10cm、長さ40cmの角柱供試体を製造した。
Figure 0006448031
次に、前記台形型供試体を用いて、日本道路協会S021−2「振り子式スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に準拠して、該供試体のすべり抵抗性を測定した。ただし、タイヤは、日本道路協会B002「ラベリング試験方法」に準拠してノーマルタイヤを使用した。また、前記角柱供試体を3本用いて、JIS A 1106「コンクリートの曲げ強度試験方法」に準拠して曲げ強度を測定して、その平均値を求めた。前記すべり抵抗性と曲げ強度(平均値)を表4に示す。
Figure 0006448031
実施例1および比較例1は、ラベリングを30万回転した後においても、すべり抵抗性の基準値である60BPNを上回り、高いすべり抵抗性を有している。一方、比較例2および3はすべり抵抗性が低下し、前記基準値を下回っている。また、実施例1、比較例2、および比較例3の曲げ強度は、曲げ強度の基準値である4.5N/mmを上回った。
以上から、実施例1だけが、すべり抵抗性と曲げ強度のいずれも高く、前記基準値を満たすことが分かる。

Claims (2)

  1. 水セメント比が60〜70%、および有機繊維の含有率が0.2〜4.0体積%であるコンクリートを敷設してなる、コンクリート舗装。
  2. コンクリートの単位粗骨材量が1000〜1300kg/mである、請求項1に記載のコンクリート舗装。
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