JP6409258B2 - ガスバリアフィルム積層体とそれを用いた電子部品 - Google Patents

ガスバリアフィルム積層体とそれを用いた電子部品 Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリアフィルム積層体に関する。特に電子部品への水蒸気透過を有効に抑制することができるガスバリアフィルム積層体に関する。
従来から、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、OLED素子ともいう)、有機太陽電池素子(以下、OPV素子ともいう)、液晶素子などでは、基板にバリア性の高いガラスが利用されてきた。しかしガラス基板は、重く、割れやすく、大面積化が困難であるという欠点がある。そのようなガラス基板に代えて、プラスチックフィルム上に無機フィラーを混合/分散した樹脂組成物膜または金属酸化物の薄膜を形成した、ガスバリアフィルム積層体を基板とすることがある。金属酸化物等の薄膜をプラスチックフィルムの表面上に成膜する方法としては、特にプラズマ化学気相成長法(CVD)が知られている。しかし、プラズマCVD法は、ガスバリア膜の成膜時に生じる急激な圧縮応力と、これに起因するカール発生が問題であった。
カール発生を抑える技術として、特開2011−121347号公報(特許文献1)には、基材の一方の面にガスバリア層が形成された第一フィルムと第二フィルムについて、ガスバリア層を互いに粘着層または紫外線硬化樹脂からなる接着層で貼り合わせ、形成された積層構造を1単位以上有することを特徴とするガスバリアフィルム積層体が開示されている。該文献の技術は、応力のバランスを取るために第一フィルムと第二フィルムを対称的に貼り合わせた積層構造とするものである。しかし、必然的にガスバリアフィルム積層体が厚くなってしまうという課題を抱えたものであった。
特開2011−121347号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、有機金属化合物を原料として用いるプラズマCVD法によるガスバリア膜の形成において、可撓性を保持しつつ残留応力を緩和しカールを低減させるとともに、十分なガスバリア性を有するガスバリアフィルム積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂フィルムと有機膜層とガスバリア膜層を組み合わせることにより、カールが少なく、高いガスバリア性を兼ね備えたガスバリアフィルム積層体を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、例えば図1に示すように、基材となる樹脂フィルム11と;樹脂フィルム11の少なくとも片面に、少なくとも一つの有機膜層12と少なくとも一つのガスバリア膜層13を備え;ガスバリア膜層13が、プラズマCVD法により製膜された、金属酸化物を主成分とする、有機成分を含有する膜である。
「主成分」とは、ガスバリア膜層を構成する組成物のうち、金属酸化物に相当する部分を50重量%以上含むことを言う。
このように構成すると、有機膜層を設けることにより、有機膜層より下層の表面の凹凸を平坦化することができる。さらに、有機膜層は、ガスバリア膜層の膜形成過程で生じる残留応力に起因したガスバリアフィルム積層体のカール発生を抑えることができる。
ガスバリア膜層は、プラズマCVD法により製膜されるため、緻密で柔軟な膜を形成できる。そのため、欠陥や剥離が生じ難く、高いバリア性を付与することができる。
本発明の第2の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記有機膜層が、光硬化性樹脂組成物を光重合させて得られた膜である。
このように構成すると、光硬化性樹脂組成物を用いているため、製造が容易で生産効率を上げることができる。
本発明の第3の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第2の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記光硬化性樹脂組成物が、アクリル系樹脂を含む組成物である。
このように構成すると、透明性に優れた有機膜層を形成することができる。さらに、光硬化性を有するアクリル系樹脂は、その硬さによりカール防止性に優れているため好ましい。
本発明の第4の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第3の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記有機膜層が、塗布法により積層される。
このように構成すると、有機膜層を均一にコーティングすることができ、優れた平面滑性を得ることができる。
本発明の第5の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第4の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記プラズマCVD法が、ロール・ツー・ロール方式で行われる。
このように構成すると、プラズマCVD法とロール・ツー・ロール方式とを組み合わせることにより、生産性が向上し品質の安定性を得ることができる。
本発明の第6の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記有機膜層の厚みが、1〜20μmである。
このように構成すると、1μm以上にすることにより、充分な平滑性の確保とカール発生を抑えることが可能となる。また、20μm以下にすることにより、折り曲げによる割れが防止し易くなるとともに、ガスバリアフィルム積層体の光学特性のバランスが調整し易くなる。
本発明の第7の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第6の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記ガスバリア膜層の厚みが、0.2〜2μmである。
このように構成すると、0.2μm以上とすることにより、膜厚均一性が良好となり、ガスバリア性能が優れるようになる。また、2μm以下にすることにより、屈曲によるクラックの発生を抑制することができる。
本発明の第8の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記ガスバリア膜層を、前記樹脂フィルムの片面側にのみ備える。
このように構成すると、ガスバリア膜層が樹脂フィルムの片面側にのみ備えるガスバリアフィルム積層体であっても、十分に高いバリア性を有し、さらにガスバリアフィルム積層体を薄くすることができる。
本発明の第9の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第8の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記樹脂フィルムと、前記有機膜層と、前記ガスバリア膜層の3層からなり、カール高さが15mm以下である。
このように構成すると、3層からなるガスバリアフィルム積層体であっても、カール高さが15mm以下であるため、ガスバリアフィルム積層体は良好な加工性を発揮することができる。また、カールに起因したクラックや膜剥がれも抑制されるため、良好なガスバリア性を維持することができる。
本発明の第10の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第9の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記有機膜層を前記樹脂フィルムと前記ガスバリア膜層との間に備える。
このように構成すると、有機膜層が基材表面の凹凸を平坦化することができる。
本発明の第11の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第10の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が0.005g/m/d以下である。
このように構成すると、OLED素子やOPV素子のような電子素子に用いるガスバリアフィルムとして十分に利用可能となる。
本発明の第12の態様に係るガスバリアフィルム積層体は、上記本発明の第1の態様〜第11の態様のいずれか1の態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記樹脂フィルムが、ポリエチレンレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリイミド、またはこれらの混合物である樹脂を主成分としたフィルムである。
このように構成すると、入手が容易な樹脂で樹脂フィルムを形成することができるとともに、例えば透明にする等の、用途に応じた樹脂を適宜選択することができる。
本発明の第13の態様に係る電子部品は、例えば図2(b)に示すように、正負電極と、前記正負電極に挟まれた有機材料とを有する電子素子22と;前記電子素子を水蒸気から保護する、上記本発明の第1の態様〜第12の態様のいずれか1の態様のガスバリアフィルム積層体10とを備える。
このように構成すると、ガスバリアフィルム積層体がガスバリア性に優れているため、水蒸気や酸素が電子素子内部に浸透して電子素子を構成する成分が劣化し、性能が低下するのを抑制することができる。
本発明の第14の態様に係る電子部品は、上記本発明の第13の態様に係る電子部品において、前記ガスバリアフィルム積層体が透明であり、前記素子がOLED素子またはOPV素子である。
このように構成すると、OLED素子に用いた場合に、素子からの発光を妨げないため発光効率を劣化させることがない。また、OPV素子のような光電素子に用いた場合に、ガスバリアフィルム積層体の側から太陽光の受光を行うように構成できる。
本発明により、プラズマCVD法により製膜されたガスバリア膜層の残留応力を緩和してカールを低減させるとともに、十分なガスバリア性を有するガスバリアフィルム積層体を提供することができる。さらに、そのガスバリアフィルム積層体を使用して、OLED素子やOPV素子などの電子素子を水蒸気の侵入から保護することができる。
本発明のガスバリアフィルム積層体の一実施例を示す図である。 図2(a)は、OLED素子を固体封止方式で有する電子部品の断面図である。図2(b)は代替として本発明のガスバリアフィルム積層体を用いた電子部品の断面図である。 本発明のガスバリアフィルム積層体を用いた他の電子部品の断面図である。 図4(a)は、OLED素子を従来の中空構造で有する電子部品の断面図である。図4(b)は代替として本発明のガスバリアフィルム積層体を用いた電子部品の断面図である。 ロール・ツー・ロール方式の概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
1.ガスバリアフィルム積層体
本発明の第1の実施の形態に係るガスバリアフィルム積層体は、基材となる樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも片面に、少なくとも一つの有機膜層と少なくとも一つのガスバリア膜層を備える。特に好ましくは、例えば図1に示すように、ガスバリアフィルム積層体10が、樹脂フィルム11上に直接有機膜層12を有し、さらに有機膜層12上に直接ガスバリア膜層13を有する。
なお、ガスバリア膜層は、プラズマCVD法により製膜され、金属酸化物を主成分とし、有機成分を含有する。ガスバリア膜層は、単独膜であっても複合膜であってもよい。
2.有機膜層
ガスバリアフィルム積層体に有機膜層を設けることで、基材表面の凹凸を平坦化し、さらに、ガスバリア膜層の膜形成過程で発生する残留応力に起因したガスバリアフィルム積層体のカール発生を抑えることができる。
有機膜層の厚みは、1〜20μmが好ましく、より好ましくは1.2〜10μm、更に好ましくは2〜8μmである。1μm以上にすることにより、充分な平滑性の確保とカール発生を抑えることを可能とする。また、20μm以下にすることにより、折り曲げによる割れが防止し易くなるとともに、ガスバリアフィルム積層体の光学特性のバランスが調整し易くなる。
有機膜層の表面粗さは、算術平均粗さSaが5nm以下が好ましく、より好ましくは3nm以下、更に好ましくは2nm以下である。5nm以下にすることにより、有機膜層上に積層する薄膜のガスバリア膜層を均一に処理することが可能となりガスバリアフィルム積層体のバリア性が向上する。
有機膜層の熱膨張係数は、10〜150×10−6/℃であることが好ましく、より好ましくは21〜100×10−6/℃であり、更に好ましくは21〜80×10−6/℃である。理由は定かではないが、上記の範囲にあるとガスバリアフィルム積層体の製造過程で生じるガスバリアフィルム積層体のカール発生を抑えることができる。
熱膨張係数の測定
熱膨張係数の測定は、測定装置としてSII株式会社製熱機械試験装置TMA/SS6100を用いて、引っ張り荷重5gで測定した。温度範囲は25℃〜100℃(昇温速度5℃/分、測定環境:23℃)である。熱膨張係数としては、2個の試料を測定し上記温度範囲において温度−伸びの関係が直線となる近似を装置上で実施し、その平均値より求めた。
熱膨張係数(線膨張率)α=ΔL/(L・ΔT)
(ΔL:試料の伸び、L:試料の長さ、ΔT:温度上昇)
本発明の有機膜層は、光硬化性樹脂組成物を光重合させて得られた膜であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物は、アクリル系樹脂を含む組成物からなるものであることが好ましい。なお、「光硬化性樹脂組成物」は、全体として光硬化する組成物であればよく、必ずしも光硬化性樹脂が主成分である必要はない。
有機膜層の前駆体である光硬化性樹脂としては、紫外線照射などの光による硬化が可能なアクリル系樹脂が挙げられる。例えば(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂を挙げることができる。これらアクリル系樹脂は単独でも、または2種類以上混合して使用することもできる。中でも、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートモノマー等の単独またはこれらの混合物が好ましい。
前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物で、官能基に(メタ)アクリレート基を有する化合物も挙げられる。
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
不飽和ポリエステルは、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
前記ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、前記不飽和ポリエステルと同様である。
前記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、更に水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バノックD−750、クリスボンNK(商品名;DIC(株)製)、デスモジュールL(商品名;住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名;日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名;三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名;三菱化学(株)製)などが挙げられる。
ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
光硬化性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤の具体例としては、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。光重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、などである。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
上記の付加重合において用いられる重合開始剤の量は、単量体の総モル数に対して約0.01〜10mol%が好ましい。また、これら光重合開始剤は単独でも、または2種以上を混合しても使用することができる。
また前記付加重合において、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることで、分子量を適切に制御することができる。連鎖移動剤の例には、チオ−β−ナフトール、チオフェノール、ブチルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、イソプロピルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ドデカンチオール、チオリンゴ酸、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトアセテート)などのメルカプタン類;ジフェニルジサルファイド、ジエチルジチオグリコレート、ジエチルジサルファイドなどのジサルファイド類;などのほか、トルエン、メチルイソブチレート、四塩化炭素、イソプロピルベンゼン、ジエチルケトン、クロロホルム、エチルベンゼン、塩化ブチル、s−ブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化プロピレン、メチルクロロホルム、t−ブチルベンゼン、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、酢酸、酢酸エチル、アセトン、ジオキサン、四塩化エタン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルアルコール、ベンゼンなどが含まれる。特にメルカプト酢酸は、重合体の分子量を下げて、分子量分布を均一にさせ得る。これら連鎖移動剤は単独でも、または2種以上を混合しても使用することができる。
光硬化性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を調製する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。これら溶媒は単独でも、または2種以上を混合しても使用することができる。
また、光硬化性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液には、塗布時に塗布した塗布液の表面流動性やレベリング性などを改善し、濡れ不良やハジキによる塗布膜のピンホールや欠陥の発生などを防止するための表面調整剤(レベリング剤、濡れ性改良剤、界面滑性剤など)を含有してもよい。表面調整剤としては、ポリシロキサン、ポリアクリレートおよびワックス等が例示される。
また、塗布液中への気泡の発生を防止するための消泡剤などの添加剤を使用してもよい。消泡剤としては、ミネラルオイル系化合物、ポリシロキサン系化合物などが例示される。
更に、必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤等の添加剤を含有してもよい。
有機膜層の形成方法は特に制限はないが、光硬化性樹脂組成物を均一にコーティングするためにウェットコーティング法(塗布法)を用いることが好ましい。塗布法を用いることにより、優れた表面平滑性が得られる。塗布法のうち、少量を作成する場合には簡便で均質な製膜が可能であるスピンコート法が好ましい。生産性を重視するロール・ツー・ロールの場合には、グラビアコート法、ダイコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロッドコート法などが好ましい。塗布法は、これらの方法の中から必要とする膜厚、粘度や硬化条件等に応じて適宜選択することができる。
塗布された塗布液の乾燥は、室温〜約200℃の環境下で熱風などにより行うことができる。塗布乾燥後に、活性エネルギー線源により、光活性エネルギー線または電子線を照射して硬化させる。光活性エネルギー線源としては特に制限はないが、用いる光重合開始剤の性質に応じて、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、気体レーザー、固体レーザー、電子線照射装置などが挙げられる。
乾燥のための乾燥炉通過時間は、ライン速度、および塗布液の種類や塗工厚み、および装置能力(風量・面積など)により異なる。例えば、1分〜105分を挙げることができる。硬化のための照射量も同様に、材料や厚みにより異なる。例えば、高圧水銀灯を用いる場合には、200〜700mJ/cm程度を挙げることができる。
3.ガスバリア膜層
ガスバリアフィルム積層体が有するガスバリア膜層は、プラズマCVD法により製膜された、金属酸化物を主成分とする膜であり、単独膜または複合膜である。
なお、金属酸化物の替わりに金属窒化物、または金属酸化物と金属窒化物の混合物を主成分とする膜であってもよい。
ガスバリア膜層の厚みは、0.2〜2μmが好ましく、より好ましくは0.3〜1.5μm、更に好ましくは0.5〜1.5μmである。0.2μm以上とすると膜厚均一性が良好となり、ガスバリア性能に優れる。2μm以下にすると、屈曲によるクラックが発生し難くなる。
金属酸化物の薄膜をプラスチック基材の表面上に成膜する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD)、熱化学気相成長法、プラズマ化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD)がある。しかし、真空蒸着法は、生産性の高いプロセスとして広く使われているが、ガスバリア性能が劣る。スパッタ法では緻密な皮膜を形成することができるが、成膜速度が低く十分な生産性を得ることができない。さらに、PVD法で形成した皮膜は無機質で脆いため、欠陥や剥離が生じ易く、高いバリア性を付与することができない。
これらに対して、プラズマCVD法では、スパッタ法に比較して生産性の面で優位性があり、更に真空蒸着法やスパッタ法に比較して良好なガスバリア性能を有している。
このように、ガスバリア膜層の成膜方法としては、プラズマCVD法を好ましく用いることができる。更に好ましくは、生産性や品質の安定性などの面からロール・ツー・ロール式プラズマCVD法を用いることができる。
なお、CVD(Chemical Vapor Deposition,化学蒸着)は、作製したい薄膜材料の構成元素を含む化合物の、1種類以上の原料ガスを製膜対象(例えば基板)上に供給し、気相または基板表面での化学反応により薄膜を作製する方法であり、プラズマCVD法は、反応ガスをプラズマ状態にし、活性なラジカルやイオンを生成させ、活性環境下で化学反応を行わせる方法である。また、ロール・ツー・ロールとは、図5に示すように、ロール状に巻いた製膜対象を送り出しロール31から送り出して、表面に目的物質を成膜・印刷し、再び別のロール(巻き取りリール32)に巻き取って回収する生産方法である。
プラズマCVD法による成膜装置としては種々のタイプがあるが、本発明の目的をそこなわない限り何ら制限されるものではない。
例えば、特表2005−504880号公報には、成膜を行うフィルムを巻き掛けて搬送する一対の成膜ロールを備え、前記ロールをまたぐように磁場を形成するとともに、二つの成膜ロールが同じ極性になるように高周波電源に接続し、同時に数十から数百kHzの高周波電力を供給し、ロール間の対向空間(放電領域)でベニング放電を発生させてプラズマを閉じ込めると共に前記対向空間に酸素とヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などの原料ガスを供給し、放電領域の両側の成膜ロール上のフィルムに同時に成膜を行うものが記載されている。
また、特許2587507号公報には、真空チャンバー内に対向して配置した一対の成膜ロール(金属ドラム)と、一方と他方の成膜ロールにそれぞれ一方と他方の電極を接続した交流電源と、成膜ロールの間の対向空間に配置され、成膜ロールに対向する面が解放された放電室と、前記放電室に接続されたモノマー(原料)ガス供給手段を有するプラズマCVD成膜装置が記載されている。
さらに、特許4268195号公報には、減圧下において、対向して配置した成膜ロールに交流あるいは極性反転を伴うパルス電圧を印加し、対向配置された成膜ロールの間の対向空間(成膜ゾーン)にグロー放電を発生させ、成膜ロールの対向空間に面して巻き掛けた帯状の基材にプラズマCVDによる成膜を行う装置が記載されている。
一例として、(株)神戸製鋼所製プラズマCVD装置(ロールコーターW35)などを好ましく用いることができる。
ガスバリア膜層の主成分となる金属酸化物の例としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。ガスバリアフィルム積層体に透明性が求められる用途においては、酸化珪素がより好ましい。
ガスバリア膜層の形成に用いる原料ガスとしては、有機金属化合物が好ましく、例えば、珪素を含有する有機珪素化合物、アルミニウムを含有する有機アルミニウム化合物等を用いることができる。これら原料ガスの中でも、化合物の取り扱い性、および得られるガスバリア膜層に柔軟性や高いガスバリア性を付与できる等の観点から、有機珪素化合物を用いることがより好ましい。
有機珪素化合物としては、例えば、HMDSO、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
これらの有機珪素化合物の中でも、化合物の取り扱い性、および得られる薄膜層のガスバリア性等の特性の観点から、HMDSO、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、テトラエトキシシランが特に好ましい。
これらの有機珪素化合物等の原料は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウムなどが挙げられる。
前記原料ガスに加えて反応ガスを用いることができる。反応ガスとしては、前記原料ガスおよびそのラジカルと反応して酸化物、窒化物等の化合物となるガスを使用することができる。反応ガスとしては、例えば、酸素、窒素、アンモニア、オゾン等を用いることができる。これらの反応ガスは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
成膜のためのガスとして、前記原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜のためのガスとして、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガスおよび放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスなどを用いることができる。
このような成膜のためのガス(原料ガス、反応ガス、キャリアガス、放電用ガス等の成膜時に使用するガス)をまとめて「成膜ガス」と呼ぶ。中の原料ガスに対する反応ガスの混合比率は、原料ガス1モルと完全に反応させるために理論上必要となる反応ガスのモル比をAとした場合に、使用する反応ガスのモル量がA×(0.2〜1.5)の範囲であることが好ましく、A×(0.3〜1.25)の範囲がより好ましい。
例えば、原料ガスとしてのHMDSOと、反応ガスとしての酸素(O)とを含有する成膜ガスをプラズマCVDにより反応させてガスバリア膜層を成膜する場合は、下記反応式(1)に記載のような反応が起こる。
(CH)SiO+12O→2SiO+6CO+9HO (1)
原料ガスであるHMDSO1モルに対する反応ガスである酸素の理論量は12モルである。したがってこの場合は、HMDSO1モルに対して好ましい酸素のモル比は12×(0.2〜1.5)=2.4〜18モルであり、より好ましいモル比は3.6〜15モルである。
反応ガスの比率が低すぎると、成膜したバリア膜中に原料ガスに起因する有機成分(例えば原料ガスにHMDSOを使用した場合には、原料中に含まれるメチル基に起因する炭素を含む成分)が多くなり、高いバリア性が得られず、また、反応ガスの比率が高すぎると反応が進行しすぎてバリア膜がもろくなり屈曲性や耐久性が劣る。
プラズマCVD装置の真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.1Pa〜50Paの範囲とすることが好ましい。
放電するために印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.2〜10kWの範囲とすることが好ましい。印加電力が前記下限以上では、原料ガスの反応が不十分でバリア性が低くなることがなく、前記上限以下であると、成膜時の製膜対象(例えば基材)表面の温度が上昇してしまい、製膜対象に皺が発生したり、フィルム表面に凹凸が発生して外観が損なわれる、ということがない。
製膜対象の搬送速度は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.1〜50m/minの範囲とすることが好ましく、0.3〜20m/minの範囲とすることがより好ましい。ライン速度が前記下限以上では、搬送中の樹脂フィルムに熱に起因する皺が発生しにくくなる傾向にあり、前記上限以下であると、形成される薄膜層の厚みが薄くなりすぎることがない。
ガスバリア膜層は、有機成分を含有する。例えば、成膜ガス(原料ガスとしてのHMDSOと反応ガスとしての酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガス)からプラズマCVD法による薄膜形成を行い、ガスバリア膜層を形成すると、下記反応式(2)に記載のように、形成された膜には有機成分としてのCy(微量の炭素成分)が含まれる。
(CH)Si−O−Si(CH) + O → SiOxCy (2)
4.樹脂フィルム
ガスバリアフィルム積層体の基材となる樹脂フィルムは、ガスバリア膜層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、シクロオレフィンポリマー、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アクリル酸エステルポリマー、メタクリル酸エステルポリマー、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、JNC株式会社製)、更には前記プラスチックを2層以上積層して成る樹脂フィルムや、ガラスクロスに樹脂を含浸した複合フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂を主成分としたフィルムを好ましく用いることができる。
樹脂フィルムの厚みは特に限定されないが、厚み20〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。厚みが20μm以上では、基材としての剛性が不足して、ロール・ツー・ロールでの成膜の際に安定性が低下することがない。また、500μm以下では、屈曲性が低下すると共にコストupになることを回避することができる。
さらに、樹脂フィルムが透明であると、樹脂フィルム上に形成する有機膜層およびガスバリア膜層も透明であることにより、透明なガスバリアフィルム積層体とすることが可能となる。そのため、OLED素子、またはOPV素子等の透明基板とすることも可能となるため、より好ましい。
また、本発明に係るガスバリアフィルム積層体の表面(樹脂フィルム表面、有機膜層表面、ガスバリア膜層表面)に、密着性を向上する目的でコロナ処理、プラズマ処理等の表面改質処理を施してもよい。
本発明のガスバリアフィルム積層体は、樹脂フィルムの少なくとも片面に、少なくとも一つの有機膜層と、少なくとも一つのガスバリア膜層を有し、好ましくは樹脂フィルムと有機膜層が接するものである。さらに好ましくは、図1に示すように、有機膜層12とガスバリア膜層13が樹脂フィルム11の片面にのみに積層された構造からなるガスバリアフィルム積層体10である。
樹脂フィルム上への有機膜層およびガスバリア膜層の積層順序を樹脂フィルム/有機膜層/ガスバリア膜層にすることで、樹脂フィルム/ガスバリア膜層/有機膜層の順に積層した場合に較べて、有機膜層とガスバリア膜層との密着性を向上させることができより好ましい。
また、ガスバリア膜層が樹脂フィルムの片面にのみに積層された構造とすることで、両面に積層した場合と比べて、ガスバリアフィルム積層体の軽量化、光線透過率の向上および製造プロセスの簡略化等を図ることができより好ましい。
本発明の構成によって形成されるガスバリアフィルム積層体は、水蒸気透過率(温度:40±0.5℃、相対湿度:90±5%RH)が、0.005g/m/d以下の高いガスバリア性を発現する。成膜条件等を最適化することで0.001g/m/d以下を発現でき、更に有機膜層、ガスバリア膜層の厚みなどを最適化することで、0.0001g/m/d以下が達成される。
本発明のガスバリアフィルム積層体は、光電素子、OLED素子、またはOPV素子等の用途に用いる場合には、好ましくは透明な材料のみにより構成されたものであり、JIS 7105法に従って測定した全光線透過率が80%以上であることが好ましく、更に好ましくは85%以上であり、特に好ましくは88%以上である。
しかしながら、可視光線や紫外線の透過を遮断させたい場合や、透明性がそれほど要求されない場合は、不透明なガスバリアフィルム積層体として作製してもよい。
本発明のガスバリアフィルム積層体は、使用環境において発生するカールしようとする内部応力を極力抑えたものであり、良好なカール防止性が発揮される。これにより、当該ガスバリアフィルム積層体を製造した後、デバイスへの組み込み工程等、別工程を経る場合において、良好な加工性が発揮される。また、カールに起因したクラックや膜剥がれも無く、良好なガスバリア性を維持できる。
例えば、厚み125μmのPETフィルム上に積層した本発明のガスバリアフィルム積層体を、100mm×100mmに裁断して定盤上に載置し、定規などの高さ測定器を用いて、定盤表面からカールして反っている箇所の高さ(定盤表面からの距離)の平均値をカール高さとすると、カール高さは15mm以下であることが好ましく、更に好ましくは10mm以下であり、特に好ましくは5mm以下である。なお「カール高さ」とは、四角いフィルムの4隅の高さの平均である。
5.用途
本発明のガスバリアフィルム積層体は、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする用途に用いることができる。特に好ましくは、OLED素子またはOPV素子等の各種ガスの遮断に有用に用いることができる。また、ガスバリアフィルム積層体が透明である場合には、OPV素子のような光電素子に用いた場合に、ガスバリアフィルム積層体の側から太陽光の受光を行うように構成できる。また、OLED素子に用いた場合に、素子からの発光を妨げないため発光効率を劣化させることがない。
図2(a)にOLED素子を固体封止方式で有する電子部品の概略図を示す。正負電極と当該正負電極に挟まれた有機材料とを有するOLED素子22がガラス基材21上に配置され、さらにOLED素子22はその全体を固体封止剤23で覆われている。このような構成の電子部品において、図2(b)に示すように、ガラス基材21の替わりに本願のガスバリアフィルム積層体10を用いることができる。
または、図3に示すように、OLED素子22を本願のガスバリアフィルム積層体10で挟んだサンドイッチ構造としてもよい。その場合は、接着剤25によりガスバリアフィルム積層体10を接着させるとよい。
図4(a)にOLED素子を従来の中空構造で有する電子部品の概略図を示す。正負電極と当該正負電極に挟まれた有機材料とを有するOLED素子22がガラス基材21上に配置され、離間して存在するガラス封止材28に覆われている。ガラス基材21とガラス封止材28は、両側を接着剤25で接着(封止)されている。中空内部には水分を吸着するゲッター26が配置され、Nガス27で満たされている。このような構成の従来から存在する電子部品において、図4(b)に示すように、ガラス基材21とガラス封止材28の代替として、本願のガスバリアフィルム積層体10を用いることもできる。
正負電極と当該正負電極に挟まれた半導体材料とを有するOPV素子においても、同様にガラス基板の代替として本願のガスバリアフィルム積層体を用いることができる。
このように、OLED素子、OPV素子、液晶素子などへの透明基板として、本発明のガスバリアフィルム積層体を用いると、軽量化、大型化という要求に答えることができる。さらに、ロール・ツー・ロール(ロール状に巻いた樹脂フィルム等の基材を送り出して、基材の表面に目的物質を成膜する等の加工を行った後、再びロール状に巻き取って回収する方法)での生産が可能であること、形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求を、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に替わって、満たすことができる。
なお、従来から透明プラスチック等のフィルム基材は、ガラスに比してガスバリア性が劣るという問題があるが、本発明のガスバリアフィルム積層体を用いると、例えば、OLED素子やOPV素子等の電子部品の材料として用いた場合、ガスバリア性に優れた基板として、水(水蒸気)や酸素が浸透してデバイスを構成する成分が劣化し、性能が低下することを抑制することができる。
以上のとおり本発明は、主に有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED素子)や液晶エレメントに代表される表示素子、有機太陽電池素子(OPV素子)に代表される光電素子、あるいはOLED素子を用いた照明等の製品に用いることができるガスバリアフィルム積層体である。本発明のガスバリアフィルム積層体は、生産性が良好でカールが少なく、ガスバリア特性が良好であることを特長とする。
以下に本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。しかし本発明は、以下の実施例に記載された内容に限定されるものではない。
<ガスバリア層と有機膜層の膜厚測定>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、下記条件にてガスバリアフィルム積層体の断層面観察を行い、膜厚を測定した。
・SEM観察
装置:日立製作所製SU−70
加速電圧:10kV
<耐屈曲性>
作製したガスバリアフィルム積層体を、JIS K5600−5−1(円筒形マンドレル法)に基づいて耐屈曲性を評価した。
<密着性>
作製したガスバリアフィルム積層体を、JIS K5600−5−6(付着性[クロスカット法])に基づいて密着性を評価した。
切込間隔:1mm
カット数:10×10個
判定: ○:剥離面積≦5%
△:5%<剥離面積≦30%
×:30%<剥離面積
<カール性試験>
作製したガスバリアフィルム積層体を、ロール状に巻き取られた状態のまま23±2℃、50±10%RHの環境で1日以上放置した。その後、100mm×100mmに裁断し、23±2℃、50±10%RHの環境で定盤上に載置し、24h放置した。その後、長さ測定器(JIS1級の金尺)を用いて、定盤表面からカールして反っている箇所の高さ(定盤表面からの距離)を測定した。すなわち、サンプルの四隅についてそれぞれカールの高さを測定し、それらの平均値をカール高さとした。
<水蒸気透過率(WVTR)の測定>
水蒸気透過率の測定方法は特に限定するところではないが、本発明に於いてはISO15106−3記載の方法、または以下に記載するCa腐食法により評価を行った。
・測定法1(ISO15106−3法)
評価装置:イリノイ製水蒸気透過率測定装置Model7002
温湿度:40℃、90%RH
・測定法2(Ca腐食法)
上記測定法1で測定限界以下となる場合には、以下の方法にて測定した。ガスバリアフィルム積層体の片面に金属カルシウムを蒸着し、CaをAlおよび蝋で封止し該フィルムを透過した水分で金属Caが腐食される現象を利用する方法。腐食面積とそこに到達する時間から水蒸気透過率を算出する。本発明においては、特許第3958235号に記載された方法および以下に示す条件にて評価を行った。
・本発明評価に用いたCa法
蒸着装置:サンユー電子(株)製電子ビーム真空蒸着装置SVC−700LEB
恒温恒湿器:エスペック(株)製恒温恒湿器LHL−113
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
Ca封止用水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
封止材:パラフィン(融点60〜62℃)/蜜蝋(融点61〜65℃)を重量比1:1の混合物
観察装置:(株)三ツワフロンテック製カルシウム腐食観察装置MFB−1000
<実施例1>
・基材
基材として、両面に易接着加工された厚さ125μm、幅550mmのロール状に巻き取られたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、商品名「コスモシャインA4300」)を用いた。
・光硬化性樹脂組成物の塗布液の調製
ユニディックV−4000BA(商品名、ウレタンアクリレート/酢酸ブチル=75〜85重量部/15〜25重量部の混合物、DIC株式会社製UV硬化性樹脂) 36重量部
酢酸ブチル(和光純薬製 溶剤) 63重量部
IC184(商品名、BASF社製 光重合開始剤) 1重量部
を調製した。
・有機膜層の形成
ロール・ツー・ロール式グラビアコーターを用いて、上記基材上に、上記塗布液を乾燥後の平均膜厚が5μmになるように塗布した後、温度85℃、風量20m/秒、乾燥炉内滞留時間50秒で乾燥した。その後、窒素雰囲気下で高圧水銀ランプを用いて、照射量300mJ/cmで光硬化を行い、有機膜層を形成した。
・ガスバリア膜層の形成
前記、有機膜層を処理した基材の表面に、ロール・ツー・ロールで成膜可能な(株)神戸製鋼所製プラズマCVD装置(型番W35型)PE−CVDを用いて、ガスバリア膜層を形成した。
以下に示す条件にて、放電電極間にプラズマを発生させ、この放電領域に、成膜ガス(原料ガスとしてのHMDSOと反応ガスとしての酸素ガス(放電ガスとしても機能する)の混合ガス)を供給して、特開2012−81632記載の方法にてプラズマCVD法による薄膜形成を行い、表1に示す厚みのガスバリア膜層を有するガスバリアフィルム積層体を得た。
原料ガス:HMDSO(アズマックス株式会社製 商品名「SIH6115.0」)
反応ガス:酸素ガス(鈴木商館株式会社製 高純度酸素、純度≧99.999%)
<実施例2>
・光硬化性樹脂組成物の塗布液の調製
ユニディックV−6841(商品名、(メタ)アクリル酸エステルポリマー/アクリレートモノマー/メチルイソブチルケトン=25〜35重量部/25〜35重量部/35〜45重量部の混合物、DIC株式会社製 UV硬化型コーティング剤) 55重量部
メチルイソブチルケトン(和光純薬製 溶剤) 43重量部
IC184(商品名、BASF社製 光重合開始剤) 2重量部
を調製した。
光硬化性樹脂組成物の塗布液の調製以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<実施例3>
プラズマCVDによるガスバリア膜層を表1に示す厚みになるよう処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<実施例4>
グラビアコーターによる有機膜層を乾燥後の厚みが表1に示すように処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<実施例5>
基材として、厚さ125μm、幅550mmのロール状に巻き取られたポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名「テオネックスQ65FA」)を用いた以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<比較例1>
光硬化性樹脂組成物を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作製した。
<比較例2>
・光硬化性樹脂組成物の塗布液の調製
PMMA(ポリメチルメタクリレート/トルエン/メチルエチルケトン=9〜11重量部/40〜50重量部/40〜50重量部の混合物 株式会社三和研究所製 商品名「ATOM BOND MA−830−M50」 熱硬化型コーティング剤) 60重量部
メチルエチルケトン(和光純薬製 溶剤) 20重量部
トルエン(和光純薬製 溶剤) 20重量部
光硬化性樹脂組成物の塗布液の調製、および塗布後の乾燥温度を110℃にしたこと、および高圧水銀ランプの照射(光硬化)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
得られたガスバリア膜積層体は、ガスバリア膜層と有機膜層との密着性が悪く、層間で剥離が生じた。
<比較例3>・ガスバリア膜層の厚みが薄い場合
プラズマCVDによるガスバリア膜層を表2に示す厚みになるよう処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<比較例4>・ガスバリア膜層の厚みが厚い場合
プラズマCVDによるガスバリア膜層を表2に示す厚みになるよう処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
成膜後、ロール状態からサンプリングの際にガスバリア膜層のひび割れが確認された。
<比較例5>・有機膜層の厚みが薄い場合
グラビアコーターによる有機膜層を乾燥後の厚みが表2に示すように処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
<比較例6>・有機膜層の厚みが厚い場合
グラビアコーターによる有機膜層を乾燥後の厚みが表2に示すように処理した以外は、実施例2と同様にしてガスバリアフィルム積層体を作成した。
Figure 0006409258
Figure 0006409258
表1から明らかなように、本発明のガスバリアフィルム積層体はカールが低減されると共に、高いバリア性を有することが分かる。
本発明は、主にOLED素子、OPV素子、液晶素子等を有する電子部品に用いられるガスバリアフィルム積層体、および該ガスバリアフィルム積層体を備える電子部品に関する。
10 ガスバリアフィルム積層体
11 樹脂フィルム
12 有機膜層
13 ガスバリア膜層
21 ガラス基板
22 OLED素子
23 固体封止材
25 接着剤
26 ゲッター
27 Nガス
28 ガラス封止材
31 送り出しロール
32 巻き取りロール
33 ローラ

Claims (8)

  1. 基材となる樹脂フィルムと;
    前記樹脂フィルムの少なくとも片面に、少なくとも一つの有機膜層と少なくとも一つのガスバリア膜層を備え;
    前記有機膜層を前記樹脂フィルムと前記ガスバリア膜層との間に有し、
    前記ガスバリア膜層が、プラズマCVD法により製膜された、金属酸化物を主成分とする、有機成分を含有する膜であり、
    前記有機膜層の厚みが、1〜8μmであり、
    前記ガスバリア膜層の厚みが、0.730〜2μmであり、
    前記有機膜層が、アクリル系樹脂を含
    前記アクリル系樹脂は、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂またはウレタン(メタ)アクリレート樹脂である、
    ガスバリアフィルム積層体。
  2. 前記ガスバリア膜層を、前記樹脂フィルムの片面側にのみ備える、
    請求項1に記載のガスバリアフィルム積層体。
  3. 前記樹脂フィルムと、前記有機膜層と、前記ガスバリア膜層の3層からなり、カール高さが15mm以下である、
    請求項1または請求項2に記載のガスバリアフィルム積層体。
  4. 40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が、0.005g/m/d以下である、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  5. 前記樹脂フィルムが、ポリエチレンレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリイミド、またはこれらの混合物である樹脂を主成分としたフィルムである、
    請求項1〜のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  6. 正負電極と、前記正負電極に挟まれた有機材料とを有する電子素子と;
    前記電子素子を水蒸気から保護する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体とを備える;
    電子部品。
  7. 前記ガスバリアフィルム積層体が、透明であり、
    前記電子素子が、OLED素子またはOPV素子である、
    請求項に記載の電子部品。
  8. 基材となる樹脂フィルムと、有機膜層と、ガスバリア膜層とを備えるガスバリアフィルム積層体の製造方法であって:
    前記基材に、塗布法により光硬化性樹脂組成物を塗布し、前記光硬化性樹脂組成物を光重合させ、前記有機膜層を積層するステップと;
    前記有機膜層に、プラズマCVD法によりロール・ツー・ロール方式で前記ガスバリア膜層を積層するステップと;を備え、
    前記有機膜層の厚みが、1〜8μmであり、
    前記ガスバリア膜層の厚みが、0.730〜2μmであり、
    前記光硬化性樹脂組成物が、アクリル系樹脂を含む組成物であ
    前記アクリル系樹脂は、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂またはウレタン(メタ)アクリレート樹脂である、
    ガスバリアフィルム積層体の製造方法。
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